事務所について

皆様は、「豊かな生活」とはどのようなものであると思われるでしょうか。「豊かさ」を測る指標として、GDP（国内総生産）という経済指標がよく使われます。しかし、GDPは、元々は1934年に発案されたものであり、その時代に「国の軍事力」を測るために使われたものでした。そのため、GDPでは、ひとの生活の質を測ることはできないということが分かっています。

近年では、ひとの生活の質を測る指標について、世界各国で盛んに研究が行われています。その研究においては、「経済的な豊かさ」に限らず、社会とのつながりや健康、居住環境、子育て、介護など、さまざまな視点から、ひとの「Well-being（良い状態）」を測る試みがなされています。そのような世界の潮流のなかで、日本においても、2021年7月にWell-beingに関する関係省庁連絡会議が設置されるなどし、ひとの生活の質を測る取り組みが本格的に始まっています。

ひとの生活の質に家庭があたえる影響はとても大きいため、well-beingを向上させようとするならば、社会全体として、家庭が抱える問題の解決に真摯に取り組まなければなりません。しかし、日本における家庭の法律問題についてみれば、その解決が十分になされていないのが現状といえます。その一例をあげるとすれば、養育費の支払い率は30％未満と先進国では類を見ないほどに低く、ひとり親家庭の相対的貧困率は50％程とされます。また、遺言の作成率は7％程、成年後見制度の利用率は潜在的な後見ニーズの2％程など、高齢者の尊厳を守る制度もほとんど利用されていません。我々法曹は、家庭の法律問題の解決を十分になし得なかった長い歴史の反省の中で、あらためて家庭の法律問題に真摯に向き合い、その社会的責務を果たすことが必要とされています。

弁護士法人あおい法律事務所は、ひとがより良い生活の質とは何かを模索する時代の中で、家庭の抱える法律問題を「社会課題」として捉え、「法」という立脚点に立ち、その社会課題の解決に取り組むことを使命としています。一人でも多くのひとが家庭で悩まずに生きられるように、この社会課題に、誠心誠意取り組んでまいります。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 令和６年３月１５日 弁護士法人あおい法律事務所