養子縁組の条件は特別養子縁組と普通養子縁組で異なる!年収や年齢制限は?
養子縁組は、血縁関係のない人々が法律上の親子関係を結ぶための重要な制度であり、日本では古くから家系の存続や跡取りの確保として利用されてきました。この制度には、普通養子縁組と特別養子縁組の二つの形態があり、それぞれに独自の意味合いと条件が設けられています。
この記事では、それぞれの特徴と認められるための条件や手続きについて詳しく解説します。
目次
養子縁組の条件は普通養子縁組と特別養子縁組で異なる
養子縁組は、血縁の有無に関わらず法律上の親子関係を確立するための制度です。この制度により、養子となる人を「養子」、養子を迎え入れる人を「養親」と呼びます。養子縁組には大きく分けて「普通養子縁組」と「特別養子縁組」の2種類が存在し、それぞれ異なる特徴と条件が設けられています。
普通養子縁組とは│実親との親子関係も存続
普通養子縁組は、実親との親子関係を保持しながら、養親とも法的な親子関係を築く養子縁組の形態です。この制度では、養子になる人は二組の親と法的な関係を有し、それぞれから扶養を受ける権利や相続する権利が認められます。普通養子縁組は、特に特別養子縁組に比べて条件が柔軟で、成年者であり養親になる意志がある人ならば、養子の同意が得られれば、誰でも養親になることが可能です。
ただし、養子となる人は、養親やその尊属よりも年少でなければなりません。そのため、養親の年齢によっては養子を迎え入れることができない場合もあります。また、婿養子や再婚相手の連れ子、相続税対策としての孫の養子縁組など、特定の家庭内の事情に応じた普通養子縁組も一般的です。
特別養子縁組とは│実親との関係は解消
特別養子縁組は、実親との親子関係を法的に解消し、養親と新たな親子関係を築く制度です。この制度のもとで養子となる子どもは、実親に対する扶養を受ける権利や相続する権利を失うことが特徴です。
特別養子縁組が適用されるケースは、実親が育児を放棄している、虐待を行っている、または経済的困窮により育児が困難な状況など、子どもの福祉が著しく損なわれる場合に限られます。
このような場合、児童相談所や養子縁組斡旋事業者からの斡旋を受け、家庭裁判所の決定を経て、実親と養親の両方の同意のもとで特別養子縁組が成立します。この制度は、子どもの最善の利益を考慮し、不安定または有害な環境から安全な家庭環境への移行を目指しています。特別養子縁組は、養親や実親の都合ではなく、あくまで子どもの福祉を最優先に考えることが求められるため、養子となる子にとって最適な選択肢を慎重に考慮する必要があります。
普通養子縁組と特別養子縁組の違い
以下の表に普通養子縁組と特別養子縁組の特徴をまとめました。
|
普通養子縁組 |
特別養子縁組 |
---|---|---|
成立条件 |
養親と養子の同意が必要。 |
家庭裁判所の決定により成立。原則として実父母の同意が必要。 |
実親との関係 |
実親との親族関係が存続。 |
実親との親族関係が消滅。 |
相続権 |
実親と養親双方に対して法定相続人になれる。 |
養親に対してのみ法定相続人になれる。 |
養親の年齢制限 |
成年であること。 |
養親のいずれかが25歳以上、かつ夫婦がともに20歳以上であること。 |
養子の年齢制限 |
尊属または養親より年下であること。 |
申立時に15歳未満であること。(2020年4月1日より6歳から15歳に引き上げ)。 |
離縁 |
原則として養親と養子の同意により可能。 |
原則不可であり、家庭裁判所の審判が必要 |
戸籍の表記 |
実親の名前が記載され、続柄は養子(養女)と記載。 |
実親の名前が記載されず、続柄は長男(長女)などと記載。 |
普通養子縁組が認められるための条件は?
普通養子縁組は認められるための条件は以下のとおりです。
- 養親が20歳以上であること
- 養子が養親よりも年齢が下であること、尊属でないこと
- 養親・養子ともに養子縁組をする意思を持っていること(養子となる人が15歳未満の場合は法定代理人が代わりに承諾を行う)
- 養親または養子になる人が結婚している場合は配偶者の同意を得ること
- 養子となる人が未成年者の場合は家庭裁判所の許可を得ていること(養子が養親や配偶者の直系卑属の場合は許可不要)
- 後見人が被後見人を養子にする場合は家庭裁判所の許可を得ていること
- 婚姻関係にある夫婦が未成年者を養子にする場合は、夫婦ともに養親になること
- 養親または養子の本籍地か住所地を管轄する市区町村役場に養子縁組の届出をしていること
以下では、それぞれの条件についてわかりやすく解説していきます。
①養親の年齢は20歳以上│養子が成人であれば独身でも可
養親になるためには、最低限20歳以上である必要があります。また、成人を養子に迎える場合、養親が配偶者を持っている必要はありません。つまり、20歳以上であれば、独身の人でも養子縁組を行うことが可能です。
②養子が養親よりも年齢が下であること、尊属でないこと
養子になる人は、養親となる人より年齢が上であってはなりません。このため、年上の人を養子として迎え入れることはできません。さらに、尊属(父母や祖父母、おじやおばなど、自分より上の世代の親族)を養子にすることも禁じられています。
③養親・養子ともに養子縁組をする意思を持っていること
養子縁組を行うには、養親となる者と養子となる者双方の合意が必須です。ただし、養子が15歳未満の場合、その子は法的に自己の意思で合意を表明することができません。そのため、養子の法定代理人(例えば、親権者や未成年後見人など)が、養子本人に代わって養子縁組の合意を行います。
④養親または養子になる人が結婚している場合は配偶者の同意を得ること
養子縁組を検討する際、養親や養子となる人が既に結婚している場合は、その配偶者の同意が必要です。ただし、養子縁組において夫婦が共に養親や養子になる必要はありません。片方のみが養親または養子になる場合でも、法的には配偶者の同意を得ることが求められます。
未成年者を養子にする場合は、配偶者と共同で養親となることが必要です。しかし、配偶者が行方不明などの特別な事情で同意を得られない場合には、その同意は必要ありません。
⑤養子となる人が未成年者の場合は家庭裁判所の許可を得ていること
未成年者を養子にする際には、通常、家庭裁判所の許可が必要とされます。これは、未成年者の保護と最善の利益を確保するための法的手続きです。ただし、養子が自分や配偶者の直系卑属である場合—つまり、子や孫、曽孫などの場合—は、この裁判所の許可が必要ありません。
例えば、自分の孫や曽孫を養子にしたい場合や、配偶者の連れ子を法的に自分の子として迎え入れる場合には、これらの手続きが簡略化され、家庭裁判所の許可を求める必要がなくなります。
⑥後見人が被後見人を養子にする場合は家庭裁判所の許可を得ていること
後見人が被後見人を養子にする場合、家庭裁判所の許可が必要です。これは、後見人の立場から直接養子縁組を進める際、利害の衝突を防ぐための措置です。また、後見人がその任務を終えた後も、管理の計算が完了していない間は同様に裁判所の許可が必要となります。
これにより、後見人と被後見人との間の適切な関係が維持され、被後見人の利益が保護されることが確保されます。
後見人には成年後見人と未成年後見人が存在しますが、どちらの場合も家庭裁判所の許可が得られれば、被後見人を養子にすることが可能です。実際には、未成年後見人のケースで養子縁組が行われることが多いです。
⑦婚姻関係にある夫婦が未成年者を養子にする場合は、夫婦ともに養親になること
結婚している人が未成年者を養子にする際は、通常、夫婦共に養親となる必要があります。これは、家庭内での統一された親権を確保し、子どもに安定した家庭環境を提供するためです。
ただし、例外もあります。例えば、配偶者の実子(連れ子)を養子にする場合や、配偶者が行方不明で意思表示ができない状況下では、一方の配偶者だけが未成年者を養子にすることが許可されています。
⑧養子縁組の届出をしていること
普通養子縁組は、養親と養子の本籍地または現住所が登録されている役所に、養子縁組届を提出することで正式に成立します。この手続きにより、法律上の親子関係が確立されます。
特別養子縁組が認められるための条件は?普通養子縁組よりも厳しい
特別養子縁組は認められるための条件は以下のとおりです。
- 夫婦共同で養親になること(一方の連れ子を養子にする場合は養親となるのはもう一方のみ)
- 養親となる夫婦のどちらか一方が25歳以上で、もう一方が20歳以上であること
- 養子となる人の年齢が原則として15歳未満であること
※例外として一定の条件を満たす場合に15〜17歳の人も可(本人の同意があり、15歳未満から養父母が養育していて、やむを得ない事情で15歳までに申し立てができなかった場合) - 実親の同意があること(意思表示が難しい場合や、虐待などの理由で養子となる人の利益を著しく害する事由がある場合、同意は不要)
- 父母による、養子となる者の監護が著しく困難または不適当であること、その他特別の事情がある場合において、子の利益のため特に必要があること
- 特別養子縁組を請求してから6か月間監護した状況を考慮して家庭裁判所によって認められること
以下では、それぞれの条件について詳しく解説していきます。
①夫婦共同で養親になること│再婚相手の連れ後の場合は一方のみ
特別養子縁組の場合、子どもの最善の利益を優先し、実の親子と同等の安定した家庭環境を提供することが目的です。そのため、この制度では養親となる者が結婚しており、配偶者が存在することが必須条件となります。
さらに、夫婦共に養子縁組に参加し、共同で養親となることが求められます。これにより、養子は家庭内で両親からの支援を受けることができ、より充実した家庭生活を送ることが可能となります。
ただし、配偶者の連れ子を養子にする場合は、連れ子を養子にするのは再婚したばかりの配偶者のみとなります。この場合、もう一方の実親が既に子どもと法的な親子関係を持っているため、新たに養親関係を築くのは再婚相手のみに限られます。
②養親となる夫婦のどちらか一方が25歳以上で、もう一方が20歳以上であること
特別養子縁組において、養親となる夫婦には特定の年齢要件が定められています。この制度では、夫婦のうち少なくとも一方が25歳以上であることが必要とされ、もう一方は最低でも20歳以上でなければなりません。
この年齢条件は、養子縁組を行う際に、養親となる人々が一定の成熟度と生活の安定性を持っていることを保証するために設けられています。
③養子となる人の年齢が原則として15歳未満であること
特別養子縁組において養子となる人の年齢は原則として15歳未満であることが求められますが、15歳から17歳の間の未成年者も特定の条件下で養子になることが可能です。
これには、本人の同意が必要であり、さらに養親が15歳未満から養育していたこと、そして15歳までに申し立てができなかった場合にその理由がやむを得ない事情によるものである必要があります。
④実親の同意があること
特別養子縁組が成立する際には、養子となる者と実父母との法律上の親子関係が解消されるため、通常は養子となる者の実父母の同意が必要です。
しかし、実父母が意志を示すことができない状況(例えば、昏睡状態にある、行方不明であるなど)や、実父母の行動が養子の利益を大きく損なう場合(例えば、虐待やネグレクトがある場合など)、実父母の同意は不要とされています。
⑤子の利益のため特に必要があること
特別養子縁組は、子どもの最善の利益を考慮し、特定の困難な状況下でのみ認められる制度です。具体的には、子どもが現在の生活環境において著しく適切な監護を受けられない場合、たとえば実父母による虐待やネグレクトが存在する、または極端に偏った教育が行われているなど、実父母が子どもを健全に育てることが客観的に困難であると判断される場合に特別養子縁組が検討されます。
特別養子縁組は、実父母との関係を完全に断つことになるため、非常に重大な決定です。そのため、特別養子縁組は、子どもにとって「特に必要がある」と認められる特別の事情が存在する場合に限り、家庭裁判所の厳しい審査を経て成立します。
子どもが将来にわたって最も恵まれた環境で成長できるよう保障するための措置であり、実父母の同意が得られない場合でも、子どもの福祉を最優先に考慮した上での裁判所の判断によって進められます。
⑥特別養子縁組を請求してから6か月間監護した状況を考慮して家庭裁判所によって認められること
特別養子縁組の過程において、養親となる人は、対象となる子どもを少なくとも6か月間監護することが求められます。この期間は、養親と子どもがお互いに適合するかどうかを確認し、養親が子どもの日常生活の面倒を適切に見ることができるかを評価するために重要です。
裁判所はこの期間の監護状況を詳細に評価し、子どもが新しい家庭環境で安全かつ健康に育てられるかどうかを基準に、特別養子縁組の承認を決定します。
家庭裁判所では、特別養子縁組が子どもの最善の利益に適合するかどうかを慎重に審査します。審判は二段階で行われます。第一段階では、「特別養子適格の確認の審判」が行われ、養子となる子どもが特別養子縁組の対象として適切かどうかが評価されます。第二段階の「特別養子縁組の成立の審判」では、実際に養子縁組が子どもの福祉にとって最良であるかを判断します。
養子縁組の条件に年収の制限はない?!
特別養子縁組や普通養子縁組のプロセスでは、養親となる人の収入や経済的安定性に関する直接的な明文化された条件は存在しません。しかし、養子縁組を行うにあたっては、「子の利益のため特に必要があること」や養子縁組の適切性を評価する際の「6か月間の監護状況」などが家庭裁判所によって重要視されます。これらの評価において、養親の経済的な状況は間接的に考慮されることが一般的です。
具体的には、養子を育てるにあたって経済的に安定しており、子どもの教育や健康、全般的な福祉をしっかりと支えることができるかが問われます。経済的に不安定であると、養子の福祉を十分に保障できないと判断される可能性があり、「子の利益のため特に必要がある」とは認められず、特別養子縁組の承認が得られない場合もあります。また、普通養子縁組の場合、特に養子が未成年者のときは家庭裁判所の許可が必要で、同様に経済的な条件が影響することがあります。
このように、経済的な条件は直接的には規定されていないものの、養子縁組の可否を決定する重要な要素の一つとして、家庭裁判所によって間接的に評価されるため、養親希望者はこの点を十分に意識しておく必要があります。養子の最善の利益を保護し、安定した成長環境を提供することが養子縁組の根本的な目的であるため、経済的な基盤の確立はその達成に不可欠です。
養子縁組は大人同士でも可能│ただし年齢制限がある
普通養子縁組は、成人同士でも可能ですが、いくつかの重要な条件があります。まず、養子となる人は、養親より年齢が下である必要があります。この規定は、一般的な親子関係の年齢構造を反映しており、社会的な規範や法律上の親権の扱いに影響を与えます。また、養子となる人が養親の尊属(例えば、養親の親や祖父母など)にあたる場合は、養子縁組を行うことができません。
これらの条件は、養子縁組が法律上、社会的に認められた親子関係を形成するための基本的な枠組みを提供し、親子関係の自然な流れを尊重するために設けられています。成人同士の養子縁組は、特に家族の継続や事業の継承などの目的で利用されることがあり、法的に親子関係を確立することで相続などの法的効果を得ることが可能です。
養子になるにはどうすればいい?!手続きの流れ
普通養子縁組をするには
①当事者間で合意する
養子縁組を行う養親と養子(当事者)間での合意が最初のステップです。養子が15歳未満の場合は、その法定代理人との間で合意を得ます。また、養親や養子が既婚者の場合は配偶者の同意も必要になります。
②未成年の場合は家庭裁判所の許可を得る
未成年者を養子にする場合は、家庭裁判所からの許可が必要です。裁判所は、養子縁組が未成年者の福祉に適しているかどうかを評価します。ただし、養子が養親の孫や配偶者の連れ子の場合はこの手続きは不要です。
③届出する
合意が得られた後、養子縁組届を養親と養子の本籍地または居住地の役所に提出します。届出の際は、養子縁組届に必要事項を記載して必要書類を添付して提出します。
特別養子縁組をするには
①申立てと家庭裁判所による調査
養親となる者は家庭裁判所に特別養子縁組の申立てを行います。この段階では、養親の適格性と意向、養子縁組をあっせんした機関の情報や意見などが詳細に調査されます。
②審判と監護期間
家庭裁判所は調査結果を基に、特別養子適格の審判を行い、適格であると判断された場合、養親と養子間の6ヶ月以上の監護期間が始まります。この期間では、養親と養子の関係を確かめ、養育の実際を評価します。
③特別養子縁組成立の審判と届出
試験養育期間後、家庭裁判所はその成果を評価し、特別養子縁組を成立させるかどうかの最終的な審判を行います。審判が下りた場合、養親は審判後10日以内に養子縁組届を本籍地または所在地の役所に提出し、法的な親子関係が正式に成立します。
養子縁組の手続きにかかる費用は?
普通養子縁組にかかる費用
普通養子縁組の手続きにかかる費用は、状況によって異なりますが、基本的には費用は安くすみます。
①成人を養子にする場合
家庭裁判所の審判を必要としないため、基本的に費用はかかりません。また、本籍地の市区町村役場に届け出る際に戸籍謄本の提出が不要であれば、その費用も0円です。
②未成年を養子にする場合
家庭裁判所の許可が必要となります。このため、戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)が必要になり、その費用は一通450円です。さらに、審判申立てには収入印紙800円が養子1人あたり必要です。また、審判の連絡用に約1000円前後の郵便切手が必要になることもあります。
特別養子縁組にかかる費用
特別養子縁組の手続きには、家庭裁判所での審判申立てが必要であり、その過程で様々な費用が発生します。以下にその費用の内訳を簡潔にまとめます。
①戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)
1通につき450円が必要です。この書類は、申立てに必須のもので、養子および養親の法的状況を明確にするために使用されます。
②審判申立ての費用(収入印紙)
養子1人あたり800円が必要です。これは、申立ての手続き手数料です。
③連絡用の郵便切手
審判に関連する通信費として、5000円から1万円前後の郵便切手を家庭裁判所に前もって納める必要があります。この郵便切手は審判過程での各種連絡に使用され、手続き終了後に余った分は返還されます。
合計で、特別養子縁組の手続きには1万数千円程度の費用がかかることが一般的です。
養子縁組の条件に関するQ&A
Q: 養子縁組を考えていますが、養親になるための年収条件はありますか?
A: 養子縁組を行う際の年収に関して具体的な基準を設けている規定はありません。つまり、法律上は特定の年収を要求されることはありません。
しかし、特に特別養子縁組の場合、家庭裁判所は「子の利益のため特に必要があること」や「6か月間監護した状況を考慮して、特別養子縁組を成立させることがふさわしいと判断されるか」を評価します。
この際、養親候補の経済的安定性が子どもの福祉に与える影響を考慮に入れるため、間接的に経済状況が評価の対象となることがあります。経済的な困難がある場合、それが子どもの育成に不利になると判断されれば、養子縁組の認可が得にくい可能性があります。
Q: 養親および養子になるための年齢の条件は?
A: 養親や養子になるための年齢制限は、普通養子縁組と特別養子縁組で異なります。
①普通養子縁組の場合
- 養親:20歳以上である必要があります。
- 養子:原則として、養親またはその尊属(親や祖父母など)よりも年齢が下である必要があります。
②特別養子縁組の場合
- 養親:夫婦で養親になる場合、一方が少なくとも25歳以上で、もう一方は20歳以上である必要があります。
- 養子:原則として15歳までの子供が対象ですが、特別な事情がある場合は15歳から17歳の間でも養子縁組が可能です。
普通養子縁組では、養子となる人の年齢が養親よりも若い必要があるため、実際に年齢が上の人を養子にすることはできません。特別養子縁組では、より厳しい年齢要件が設けられており、特に子供の福祉を考慮した条件が加わります。
Q: 独身や共働きの夫婦でも養親になれますか?
A: 養親になる資格に関しては、普通養子縁組と特別養子縁組で条件が異なります。
①普通養子縁組の場合
独身(片親)であっても養親になることが可能です。また、共働きの夫婦が養親になることに関しても法的な制限はありません。つまり、経済的な自立が確保されていれば、独身者でも共働きの夫婦でも養子縁組を行うことができます。
②特別養子縁組の場合
特別養子縁組は、独身者が養親になることは通常認められていません。共働きの夫婦が養親になること自体に法的な問題はありませんが、特別養子縁組をあっせんする機関によっては、共働きの夫婦を受け入れていない場合があるため、事前に確認が必要です。
Q: 里親制度と養子縁組の違いは何ですか?
A: 里親制度と養子縁組は、子どもに対する関わり方に大きな違いがあります。里親制度は、子どもを永続的に養育することを目的としたものではなく、一時的な養育を提供する制度です。これは、生物学的な親が一時的に子育てができない状況にあるとき、例えば病気や経済的困難などで子どもの養育が困難になった場合に、代わりに子どもを預かって養育します。里親には自治体から里親手当や養育費が支給されることが一般的です。
一方で、養子縁組は法的に親子関係を確立する行為で、養親と養子は法律上の親子としての関係が生じます。これにより、相互の扶助義務が発生し、金銭的な支援は自治体からは提供されません。養子縁組は永続的な親子関係を築くためのもので、家系の継承、相続問題の解決、家族としての絆を深めるなど、多岐にわたる目的で行われます。
まとめ
養子縁組には、普通養子縁組と特別養子縁組の2種類が存在します。それぞれ異なる条件が設けられており、特に特別養子縁組はより厳しい基準と家庭裁判所の審判が求められます。養子縁組を検討する際は、これらの条件を十分に理解し、必要に応じて法律専門家である弁護士に相談することが大切です。
相続対策のための養子縁組を検討されている方は下記記事も参照してください。メリットデメリットも併せて解説しております。
この記事を書いた人
略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。3,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。
家庭の法律問題は、なかなか人には相談できずに、気付くと一人で抱え込んでしまうものです。当事務所は、家庭の法律問題に特化した事務所であり、高い専門的知見を活かしながら、皆様のお悩みに寄り添い、お悩みの解決をお手伝いできます。ぜひ、お一人でお悩みになる前に、当事務所へご相談ください。必ずお力になります。