遺留分とは何かわかりやすく解説します!│計算例と請求方法も

遺留分

更新日 2024.10.03

投稿日 2024.01.25

監修者:弁護士法人あおい法律事務所

代表弁護士 雫田雄太

略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。3,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。

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遺留分とは、わかりやすく説明すると、亡くなった人の遺産から家族が受け取ることができる最低限の取り分です。例えば、ある人が遺言で全財産を友人に渡すと決めた場合でも、遺留分として、その人の配偶者や子どもたちは法律により保証された最低限の遺産を受け取ることができます。
この制度は、わかりやすく言えば、残された家族が金銭的な困窮に陥らないよう守るためのものです。

この記事では、遺留分とは何か、そして誰がどのくらいもらえるのか、どのように請求するのかをわかりやすく解説していきます。不公平な相続でお悩みの方は、この記事で「遺留分とは」を理解して最低限の遺産を取り戻しましょう。

目次

遺留分とは?意味やもらえる人をわかりやすく解説

遺留分とは、わかりやすく言うと、特別な相続人(亡くなった人の配偶者や子ども、親など)が、どんな遺言が残されていても、必ず受け取れる最低限の財産の割合のことです。
通常、遺言がある場合は、その指示に従って遺産が分けられます。もちろん、亡くなった人の遺言を大切にすることも重要ですが、法律では特定の相続人が一定の財産を受け取る権利が保証されています。この「遺留分」は遺言よりも優先されるルールです。

しかし、大切なことは、遺留分は自動的にもらえるわけではないということです。家族などの相続人が自分で「遺留分をもらう権利」を主張して、請求する必要があります。

誰が遺留分をもらえる?│民法で認められる相続人の範囲

遺留分が認められている人は特定の法定相続人だけです。民法1042条において以下のような人と定められています。

  1. 配偶者
  2. 子や孫などの直系卑属
  3. 親や祖父母などの直系尊属

まず、配偶者は常に相続人として認められ、遺留分も常に保障されています。
次に、直系卑属(子どもや孫)ですが、子どもたちは第1順位の法定相続人に位置づけられており、常に遺留分が認められています。もし子どもがすでに亡くなっている場合、孫がその位置を引き継ぎ、同様に遺留分を請求する権利があります。

直系尊属(親や祖父母など)の場合は、状況によります。親は第2順位の法定相続人であり、被相続人に子どもがいない場合にのみ相続人になることができます。相続人になる場合は、遺留分も認められます。親がすでに亡くなっている場合は、祖父母が相続人になることがあります。

しかし、被相続人に子どもがいる場合、親は相続人になれず、遺留分も認められません。
なお、兄弟姉妹や甥姪に関しては、第3順位の法定相続人に位置づけられますが、遺留分は認められていません。民法では、遺留分が「兄弟姉妹以外」の相続人にのみ適用されると明記されています。兄弟はそれぞれ生活の基盤を持っているため、兄弟が亡くなったとしても、生活に困ったりすることはないと考えられているからです。

遺留分の割合│最低限の取り分はどれくらい?

遺言書を確認したら、遺留分の割合以下の財産しか取得できないような内容が書かれていた場合もには、遺留分が侵害されているとして、他に財産を受け取った人に対してその割合に達するまでの遺留分を請求することができるのです。
遺留分の割合は、誰が相続人として残されているかによって異なります。

  1. 直系尊属(親など)のみが相続人の場合:遺留分は「法定相続分の1/3」になります。
  2. 配偶者と直系尊属など、直系尊属のみ以外の場合:遺留分は「法定相続分の1/2」になります。

つまり、亡くなった人の財産が親に相続される場合、親はその財産の少なくとも3分の1を遺留分として受け取ることができます。
また、配偶者と親に相続される場合は、彼らはそれぞれ法定相続分の半分を最低限受け取る権利があります。
遺産相続において、法定相続人の構成は以下のように7つのケースが想定されます。以下の表に、想定される7つのケースと、それぞれの遺留分の割合を簡単にまとめています。自分や家族がどのケースに当てはまるのかを見て、それに応じた遺留分の割合を確認してください。

相続人の構成

全体の遺留分割合

配偶者の遺留分割合

子どもの遺留分割合

親の遺留分割合

兄弟姉妹の遺留分割合 

配偶者のみ

1/2

1/2

配偶者と子

1/2

1/4

1/4

配偶者と親

1/2

1/3

1/6

配偶者と兄弟姉妹

1/2

1/2

なし

子どものみ

1/2

1/2

親のみ

1/3

1/3

兄弟姉妹のみ

なし

なし

法定相続分と遺留分の違い

遺留分と似たものに、法定相続分という用語があります。
法定相続分は民法によって定められた各相続人が相続財産に対して持つ権利の割合です。遺言書が存在しない場合などは、相続人はこの法定相続分に基づき、自分の相続分を主張することができます。さらに、遺言書や遺産分割協議による合意がある場合は、法定相続分にとらわれずに、より自由に相続割合を決めることができます。

一方で、遺留分は相続人が生活の保障のために相続財産から最低限確保できる取り分を指します。これは、遺言書や生前贈与によって不公平な遺産分配が行われた場合に、相続人が遺産の一部を取り戻すための権利です。遺留分の割合は民法によって固定されており、遺言や合意によって変更することはできません。このため、遺留分は不公平な遺産分配を解消するために重要な役割を果たします。

遺留分を計算するには

ステップ①遺留分の基礎となる財産を求める

遺留分の基礎となる財産とは、被相続人が残した財産に、被相続人が生前に贈与した財産を足し、借金を引いたものです。
遺留分の基礎となる財産=遺産(相続開始時に有した財産の価格)+贈与した財産-債務

贈与した財産には、相続開始前10年以内の特別受益にあたる生前贈与や相続開始前1年以内の生前贈与などが含まれます 。

ステップ②相続人ごとの遺留分の割合を求める

相続人ごとの遺留分の割合とは、それぞれの相続人が法律で定められた遺産の取り分(法定相続分)の半分です。具体的なケースごとの割合は上の表をご覧ください。
遺留分の相続人の割合=法定相続分×1/2。

ステップ③遺留分の額を求める

遺留分の額とは、遺留分の基礎となる財産と相続人ごとの遺留分の割合をかけたものです。
遺留分の額=遺留分の基礎となる財産×相続人ごとの遺留分の割合

遺留分の計算方法を具体例でわかりやすく解説

<具体例1>不公平な遺言による遺留分の請求│妻と子供3人が相続人のケース

被相続人は、遺言で長男に全財産を相続させると定めました。遺産は、不動産(3000万円)と預貯金(3000万円)の合計6000万円です。被相続人には、相続人として妻と長男のほかに、長女と次男がいます。この場合、妻、長女、次男は遺留分に相当する金銭を長男に請求できます。遺留分の計算方法は以下の通りです。

ステップ①まず、遺留分の基礎となる財産を求めます。
遺留分の基礎となる財産は、遺産に遺贈や贈与を加えたものです。この場合、遺贈や贈与はないので、遺産(6000万円)がそのまま遺留分の基礎となります。

ステップ②次に、遺留分の相続人の割合を求めます。
遺留分の相続人の割合は、それぞれの相続人の法定相続分の1/2となります。この場合、法定相続分は、妻が1/2、長男が1/6、長女が1/6、次男が1/6となります。
したがって、遺留分の相続人の割合は、妻が1/4、長女が1/12、次男が1/12となります。

ステップ③最後に、遺留分の基礎となる財産と個別の遺留分の割合を掛け合わせることで、遺留分の額を求めます。それぞれの遺留分額は以下のとおりです。
妻の遺留分:6000万円×1/4(1/2×1/2)=1500万円
長女の遺留分:6000万円×1/12(1/2×1/3×1/2)=500万円
次男の遺留分:6000万円×1/12(1/2×1/3×1/2)=500万円
長男は遺留分侵害額請求をされた場合は、合計2000万円の金銭を妻、長女、次男に支払わなければなりません。

<具体例2>生前贈与による遺留分の請求│父母が相続人のケース

被相続人は、生前親しくしていた人に不動産(5000万円)と株式(2000万円)を贈与しました。そのため、遺産は、預貯金(2000万円)のみです。被相続人には、相続人として父と母がいます。この場合、父と母は遺留分に相当する金銭を贈与を受けた人に請求できます。遺留分の計算方法は以下の通りです。

ステップ①まず、遺留分の基礎となる財産を求めます。
遺留分の基礎となる財産は、遺産に遺贈や贈与を加えたものです。この場合、遺産(2000万円)に贈与した不動産(5000万円)と株式(2000万円)を加えるので、合計9000万円が遺留分の基礎となります。

ステップ②次に、遺留分の相続人の割合を求めます。
遺留分の相続人の割合は、それぞれの相続人の法定相続分の1/3となります。この場合、法定相続分は、父が1/2、母が1/2です。 したがって、遺留分の相続人の割合は、父が1/6(1/2×1/3)、母が1/6(1/2×1/3)となります。

ステップ③最後に、遺留分の基礎となる財産と個別の遺留分の割合を掛け合わせることで、遺留分の額を求めます。
それぞれの遺留分額は以下のとおりです。
父の遺留分:9000万円×1/6 (1/2×1/3)= 3000万円
母の遺留分:9000万円×1/6(1/2×1/3) = 3000万円
預貯金2000万円については、父母が1000万円ずつ相続するため、それぞれの遺留分侵害額は2000万円-1000万円=1000万円となります。
生前贈与を受けた人が遺留分侵害額請求をされた場合、合計2000万円の金銭を父と母に支払う必要があります。

遺産の金額を算出する際の注意点│時価で計算する

遺留分を計算する際に重要なのは遺留分の基礎となる財産の「金額」です。この金額は、相続が発生した時の「時価」とされています。
遺産が現金や預金のように明確な場合は問題になりません。しかし、土地や建物のように価値が変動する資産である場合、価値はいくらなのかという問題が生じます。

不動産の価値を算出する方法にはいくつかあります。例えば、路線価で不動産を評価する際は、その価額を80%で割り戻して時価を求めます。固定資産税評価額を使う場合も、価額を70%で割り戻して遺留分計算のための評価額を算出します。

遺留分は通常、遺産分割協議の段階で話し合われます。ここでの遺留分計算に誤りがあると、後にトラブルになる可能性があるため、注意が必要です。

遺留分は「遺留分侵害額請求」をしないともらえない

 

遺留分は「遺留分侵害額請求」をしないともらえない

 

遺留分を受け取るためには、「遺留分侵害額請求」という手続きが必要です。
遺留分侵害額請求を行うことで、相続人は遺言や贈与によって遺産の一部を受け取った遺留分侵害者に対して、侵害された分の金銭を請求することができます。(民法第1046条)
なお、遺留分侵害額請求する権利があるだけなので、遺言どおりの遺産分割でよいと考えるのであれば、遺留分侵害額請求をする必要はありません。請求するのは、相続人が自分の遺留分を守りたいと考える場合だけです。
※「遺留分侵害額請求」は、現在の民法において遺留分が侵害された場合に利用することができる制度

ですが、2019年6月30日以前に開始された相続には、旧民法の「遺留分減殺請求」という名称とそのルールが適用されます。侵害額請求と減殺請求の主な違いは、請求の方法にあります。
遺留分侵害額請求では、侵害された遺留分を金銭で取り戻すことが主な手段です。この制度は、侵害された遺留分の価値を金銭で評価し、その額を請求する方法です。これにより、複雑な現物分割を避けることができます。

一方で、旧法の「遺留分減殺請求」では、侵害された遺留分の現物返還が原則でした。これは、相続された不動産や貴重品などの財産を、実際に返還する形で遺留分を取り戻す方法です。この方法は、財産が現物で返還されるため、複雑な共有状態が発生する場合があり、トラブルも多い制度でした。
このように、遺留分に関する法律は、2019年の民法改正によって、より現代的で実務上扱いやすい形に変化しています。

遺留分侵害額請求の請求手続きの流れなどについては、下記記事で解説しております。あわせて参照してください。

時効より前に請求する│権利が失効する前に手続きを

遺留分の請求には期限があります。(民法1048条)下の期限内に請求の意思表示をしておかなければ、遺留分侵害額請求の権利がなくなり、遺留分の請求ができなくなってしまいますので注意が必要です。

  • 遺留分侵害額請求の消滅時効:相続が開始したこと及び遺留分が侵害されていることを知ったときから1年
  • 遺留分侵害額請求権の除斥期間:相続開始から10年

遺留分の時効、請求期限については、下記記事で詳しく解説しております。あわせて参照してください。

遺留分の請求方法は?

相続人と相続財産の調査をする│遺留分侵害額の特定

遺留分の請求を行うためには、まず遺産相続の状況を正確に把握することが大前提となります。これには、具体的に誰が相続人であるか、そして遺産分割の対象となる遺産がどれほどあるのかを明らかにする必要があります。

誰が相続人であるかの情報を得るためには、戸籍謄本や住民票などの書類を取得する必要があります。これにより、亡くなった人の出生から死亡までの戸籍謄本を取得することにより、法定相続人が誰であるかを確定していきます。

また、相続財産に関しては、具体的な資産の内容と価値を明らかにする必要があります。不動産などの財産については、その登記簿謄本を取得することで具体的な内容と価値の評価を行います。
さらに、遺産の管理権限を持つ遺言執行者がいる場合には、遺産に関する情報の開示請求も必要になることがあります。これらの手続きを通じて、遺産の全体像を正確に把握し、まずは自分の遺留分が侵害されているかどうかを判断することが重要です。

内容証明郵便を送る

遺留分侵害額請求は、口頭でも行うことができますが、言った言わないのトラブルになることを避けるために、証拠として残せる方法を選ぶのが賢明です。このため、配達証明付きの内容証明郵便を利用することが一般的です。

遺留分侵害額請求の権利には、上で説明したように時効があります。時効を過ぎると請求ができなくなるため、時効前に請求を行い、その日付と内容が分かる書面を送ることが重要です。
内容証明郵便を送付した後、相手方が話し合いに応じて協議が成立すれば、合意書を交わして、侵害された遺留分を取り戻す手続きを進めます。

遺留分侵害額の請求調停を申し立てる

相手方が話し合いに応じない場合や話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所に遺留分侵害額の請求調停を申し立て、解決を目指します。
調停では、裁判所の第三者が中立的な立場で当事者の間に入り、双方の主張を調整して解決を図ります。お互いの主張は調停委員を通して行われますので、直接相手と対面して話し合う必要がありません。

直接話し合いをするとトラブルになってしまうケースが多くあります。トラブルになることが想定される場合は、調停を利用すると円滑に解決する場合が多いです。調停が成立し合意に至った場合、その内容は調停調書に記載され、公式な合意文書が作成されます。

遺留分侵害額訴訟を提起する

調停でも合意が得られなかった場合は、訴訟を提起することになります。請求金額が140万円を超える場合は地方裁判所、140万円以下なら簡易裁判所で訴訟提起の手続きを行います。
訴状が裁判所に受理された後は、まず裁判所が指定する期日までに相手方が答弁書を提出が求められ、その後は必要に応じて裁判所に出頭し、自分の意見を口頭で述べるなどの口頭弁論が始まります。ただし、実際にはこれらの手続きの多くが書面で行われることが一般的です。この手続きを通じて、裁判が進行し双方の主張が審理されます。

訴訟では、話し合いによって解決ができなかった場合でも、法律の規定に基づいて強制力を持った形(判決)で問題が解決されます。
裁判所の判決には強制力があるため、財産の差し押さえなどによって判決内容が実行されることになります。

なお、裁判官は、判決を言い渡す前に、当事者に和解を勧めることもあります。和解とは、当事者が遺留分の支払いについて自主的に合意することです。和解が成立すれば、和解調書が作成されて訴訟は終了します。

遺留分問題の解決は弁護士に相談を

ここまで、遺留分とは何か、また計算方法や遺留分侵害額の請求方法などを解説してきました。
ここでは、遺留分問題を解決するにあたって、弁護士に依頼すべき理由を解説いたいします。
遺留分侵害額請求を行う際、他の相続人との話し合いは避けられません。自分が遺留分を請求すると、他の相続人の取り分が減る可能性があるため、しばしば相続トラブルへと発展します。特に親族間での話し合いは、感情的になりがちで、余計なトラブルを引き起こすリスクがあります。

このような状況では、第三者が介入することが有効です。特に、すでに相続トラブルに発展している場合や自分たちだけでは解決が困難な場合には、弁護士に依頼するのが最善の選択です。弁護士は交渉のプロであり、双方の意見を聞きながら依頼者にとって納得のいく解決策を見つけ出すことができます。
さらに、遺留分侵害額請求の手続きは複雑で、相続財産の調査や遺留分侵害額請求の通知の送付など、多くの手間が伴います。例えば、不動産が相続財産に含まれている場合は、正確な評価額の算出が必要

ですが、これは不動産に関する専門知識がなければ難しい作業です。弁護士にこのような面倒な手続きを任せることで、スムーズで確実に手続きを行うことができます。
また、遺留分が認められて相続財産を受け取った場合、相続税の問題も考慮する必要があります。相続税は通常、他の税金に比べて高い税率が設定されているため、専門家に相談することで、最適な節税策を見つけることができます。これにより、遺留分を相続した後に高額な税金を支払うという事態を避けることができます。

このように、遺留分侵害額請求においては、親族間でのトラブルの回避、手続きのスムーズな進行、税金対策など、多方面で弁護士に相談することにメリットがあります。

遺留分に関するQ&A

Q1: 遺留分の請求ができる相続人は誰ですか?

A1: 遺留分の請求ができる相続人は、法律で定められた「遺留分権利者」です。これには配偶者、子ども、および被相続人の親(子どもがいない場合)が含まれます。兄弟姉妹は原則として遺留分の権利を持ちません。

Q2: 遺留分の計算に贈与は含まれますか?

A2: はい、遺留分の計算には、被相続人が生前に行った贈与も含まれます。これは遺留分を計算する際の遺産総額に贈与された財産の価値を加えることにより行われます。ただし、加算される贈与には一定の条件があり、すべての贈与が自動的に加算されるわけではありません。

Q3: 遺留分の請求期限はありますか?

A3: はい、遺留分の請求には期限があります。遺留分が侵害されていることを知った日から1年以内、または相続開始から10年以内に請求しなければ、その権利は消滅します。したがって、時効を過ぎないよう注意する必要があります。

Q4: 遺留分を請求するにはどのような手続きが必要ですか?

A4: 遺留分を請求するには、まず相続財産の範囲や価値を把握する必要があります。遺産の総額や他の相続人の取り分を確認し、自分の遺留分が侵害されているかを判断します。その後、遺留分侵害額請求の通知を相続人に送付し、必要に応じて交渉や法的手続きを行います。複雑なケースでは弁護士に相談することが推奨されます。

Q5: 遺留分放棄は可能ですか?

A5: はい、遺留分の放棄は可能です。相続人は遺留分を放棄することを選択でき、この決定は通常、契約や遺言を通じて行われます。ただし、この放棄は自由意志に基づくものでなければならず、法的な効力を持たせるためには適切な手続きが必要です。

まとめ

遺留分とは、民法によって保障された相続人が最低限受け取るべき相続財産の割合のことです。この制度は、遺言による不公平な財産分配を防ぎ、特に配偶者や子ども、親などの家族に最低限の経済的保障を行うために設けられています。遺留分の割合は相続人の関係によって異なり、一般的には法定相続分の半分が基準となります。遺留分が侵害された場合は、相続人は「遺留分侵害額請求」を行うことができ、これにより不足分を請求する権利があります。

ただし、この請求には1年の時効があり、相続開始から10年以内に行わなければ権利は消滅しまので、必ず期限内に請求をするようにしましょう。
このように遺留分の権利の内容や請求方法は、複雑な内容になっています。家族間のトラブルを避けるためにも、適切に理解したうえで権利を行使することが重要です。遺留分に関するトラブルや疑問がある場合は、まずは弁護士に相談することをおすすめいたします。最善の解決策を提供し、解決までサポートいたします。

この記事を書いた人

弁護士法人あおい法律事務所
代表弁護士

雫田 雄太

略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。3,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。

家庭の法律問題は、なかなか人には相談できずに、気付くと一人で抱え込んでしまうものです。当事務所は、家庭の法律問題に特化した事務所であり、高い専門的知見を活かしながら、皆様のお悩みに寄り添い、お悩みの解決をお手伝いできます。ぜひ、お一人でお悩みになる前に、当事務所へご相談ください。必ずお力になります。