• 不倫慰謝料

慰謝料請求を自分で|弁護士を立てずに慰謝料請求できる?流れなどを解説

監修者:弁護士法人あおい法律事務所

代表弁護士 雫田雄太

略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。
3,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。

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配偶者の不倫が発覚し、慰謝料を請求したいと思っても、「弁護士に依頼すると高額な費用がかかりそう」「できれば自分で手続きしたい」と考える方も多いのではないでしょうか。

実際、弁護士を立てずに、自分で慰謝料を請求することは可能です。

とはいえ、不倫慰謝料を自分一人でスムーズに請求できるというほど、法的手続きに慣れているという人はいないでしょう。

そこでこの記事では、浮気相手に対して慰謝料を自分で請求する際に取り得る方法やその流れについて、弁護士が詳しく解説させていただきます。

弁護士を立てずに慰謝料請求する場合のポイントを本記事でおさえておき、自分で慰謝料請求する際のご参考にしていただければと思います。

目次

慰謝料請求を自分で

慰謝料請求は個人でできる

「浮気相手への慰謝料請求を自分でできるのか」という疑問に関しては、「自分でできる」という結論になります。不倫慰謝料の請求は、弁護士に依頼しなければ行えない、というものではありません。

そもそも不倫とは、法律上は「不貞行為」といい、民法第709条の「不法行為」に該当するものだと考えられています。そして、不法行為によって損害が発生した場合に賠償責任が発生することについては、法律に次のように定められています。

(不法行為による損害賠償)
民法第709条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

したがって、法律の知識や手続に不慣れな場合は注意が必要になりますが、自分で慰謝料請求を行うことは、制度上は問題ないのです。

慰謝料請求を自分でやる流れ

浮気相手に対して自分で不倫慰謝料を請求する場合、基本的には「示談による解決を目指し、それでも合意できなければ訴訟を検討する」という順序で対応するのが一般的です。

まずは、請求の根拠となる証拠を整理し、不貞行為の事実や慰謝料請求の理由・金額などについてまとめましょう。

そして、その整理した内容を請求書や内容証明郵便などに整え、浮気相手に送付します。まずは相手に請求の意思を伝え、任意の支払いを促すことになります。

すぐには支払いがされなくても、相手が「金額について話し合いたい、減額してほしい」と交渉を求めてくることもあります。話し合いで、慰謝料の金額や支払条件などについて合意が得られれば、示談書や誓約書などを取り交わし、実際に支払われたら完了です。

ですが、現実には相手が請求に応じないケースが多いです。また、そもそも連絡が取れないこともあるでしょう。

そのようなときは、裁判所に損害賠償請求の訴訟を提起して、浮気相手に慰謝料を請求することになってきます。

訴訟に進む場合には、裁判所に訴状や証拠といった書類一式を提出し、手続きを進めることになります。判決までには1~2年程度の時間がかかることがありますが、慰謝料請求が認められれば、任意での支払いがされなくても、強制執行によって回収を図ることも可能となります。

このように、自分で慰謝料請求を行う場合には、まずは示談を目指して相手に請求の意思を伝え、それでも応じない場合には訴訟に進む、というのが基本的な流れとなります。

 

慰謝料請求を自分でやる流れ

 

自分でやる浮気相手への慰謝料請求方法

浮気相手への慰謝料請求を自分で行う場合、現実的に取り得る方法としては、主に① 内容証明郵便で請求する方法、② 直接交渉する方法、③ 裁判を提起する、の3つの方法があります。

それぞれにメリット・デメリットがありますし、自分自身の負担も大きく違いますので、どの方法が自分の状況に合っているのか、参考にしてみてください。

① 内容証明郵便で請求する

自分で慰謝料を請求する場合に、内容証明郵便で請求するのは一般的な方法です。

内容証明郵便とは、どのような内容の文書を、誰が・いつ・誰に対して送ったのかを、日本郵便が公的に証明してくれる制度です。

後に「そんな請求は受け取っていない」「そのような文書は届いていない」と言われた場合でも、内容証明郵便であれば「〇月〇日に、こういった内容の内容証明郵便を送った」という送付事実とその内容を、客観的に立証することができます。

請求の意思を明確に伝えるとともに、記録として残すことができるという点で、実務では内容証明郵便が用いられることが少なくありません。

請求書に記載する内容としては、主に次のような項目が考えられます。

  • 不貞行為の具体的な事実(時期や状況など)
  • 不貞行為によって被った精神的損害の説明
  • 慰謝料として請求する金額とその支払期限
  • 振込先の口座情報
  • 支払がなされない場合には法的手続も検討する旨の文言

文章は冷静かつ簡潔にまとめることが重要です。相手を強く非難するような表現や、感情的な言葉遣いは避け、事実関係と請求内容に絞って記載しましょう。

送付後、相手が請求内容に応じて任意に支払ってくることもあれば、減額を求めてくるケースもあります。反対に、何の反応もない場合や事実関係を真っ向から争う姿勢の場合には、訴訟を検討していくことになるでしょう。

② 直接交渉する

内容証明郵便に反応があった場合や、浮気相手と直接連絡を取ることができる状況であれば、慰謝料について話し合いによる解決を図るという方法もあります。

このように直接話し合う方法の場合、柔軟なやり取りができる一方で、やり取りの内容が証拠として残らないという注意点もあります。後日、「そんな話はしていない」と否定されるリスクもあるため、可能であればお互いの主張を文書でまとめながら話し合いを進め、録音や記録メモを残しておくことが望ましいでしょう。

また、感情的にならず、事実に基づいて冷静に伝えることも大切です。一方的に相手を非難・批判するような発言は控え、冷静に話し合いをしましょう。

そして、話し合いで慰謝料の金額や支払方法について合意が得られた場合には、示談書などの書面を必ず作成するようにしてください。示談書には、以下の項目について具体的に明記しておきましょう。

  • 合意した金額
  • 支払期限や支払い方法
  • 一括払いか分割払いか
  • 今後の連絡方法
  • 接触禁止に関する取り決め
  • 再発防止の条項
  • 当事者双方の署名押印

なお、直接の話し合いができないケースや、話し合っても合意できない場合には、損害賠償請求の訴訟を提起することになります。

③ 裁判を提起する

示談での解決が難しい場合や、相手が慰謝料の支払いを一切拒否しているような場合には、最終的な手段として、裁判所に損害賠償請求訴訟を提起することになります。

訴訟を起こす際には、まずは裁判所に訴状を提出し、不貞行為の事実や損害の内容を裏付ける証拠資料を添付します。訴状の作成にあたっては、請求金額や請求の根拠となる事実を整理し、法律的に筋の通った主張を構成することが重要です。

訴訟では、慰謝料請求する側と慰謝料請求された浮気相手側の双方が主張・立証を行い、裁判所が慰謝料の支払義務の有無や金額について判断します。

判決により慰謝料請求が認められれば、浮気相手の支払い義務が確定することになります。相手が任意に支払わない場合でも、強制執行によって財産を差し押さえるなどの手続きを取ることができるようになります。

争点や証拠の内容によっては、判決までに1年以上を要するケースも珍しくありません。また、時間だけでなく費用や手間もかかり、日常生活に少なからず影響が及ぶため、なるべく訴訟に至るまでに解決できることが望ましいです。

弁護士を立てずに慰謝料請求

最後に、弁護士を立てずに自分で慰謝料請求する場合のポイントについて、確認しておきましょう。

弁護士を立てずに慰謝料請求する場合のポイント

 

弁護士を立てずに慰謝料請求する場合のポイント

 

まず重要なのが、慰謝料請求の根拠となる証拠をきちんと確保しておくことです。不貞行為の存在を裏付ける証拠が不十分なまま慰謝料請求を行っても、相手に否定されてしまえば、それ以上の追及が難しくなる可能性があります。

証拠としては、写真やメッセージのやり取り、ホテルの領収書、探偵の報告書など、客観的に状況を示す資料が有効です。

また、慰謝料請求にあたっては、内容証明郵便の作成や送付手続き、相手との交渉、示談書の作成など、各段階で一定の法的知識が必要になります。法律事務所のコラムなどで、事前に基本的な知識を仕入れておくことも重要です。

もちろん、交渉の場における言動や態度にも注意が必要になってきます。

特に、相手に対して過度の謝罪を繰り返し求めたり、法外な金額を一方的に請求したりすることのないようにしましょう。

慰謝料請求はあくまでも法的根拠に基づいて行うべきものです。必要以上に謝罪を迫るような行為や、「支払わなければ会社や家族に知られるような事態になる」といった威圧的な言動は、かえって自分が不利な立場になってしまいかねません。

慰謝料の金額についても、社会通念や過去の裁判例などに照らして、一定の相場を参考にした金額を提示することが大切です。明らかに不相当に高額な金額を請求すると、相手が交渉自体を拒絶する可能性があり、話し合いによる解決が難しくなる原因となるからです。

自分で慰謝料を請求する際には、冷静かつ客観的に、事実に即した態度で対応することが何より重要です。自分の要求が正当であることを相手に理解させた上で、協議の余地を残す姿勢を見せることで、スムーズな合意が期待できるでしょう。

Q&A

Q1.弁護士に依頼せずに、慰謝料請求を自分で行うことはできますか?

A:はい、可能です。慰謝料請求は、必ず弁護士を通さなければならない手続きではありません。必要な書類や証拠をそろえれば、自分で慰謝料請求を行うことができます。

Q2.請求書はどのように浮気相手に送ればよいですか?

A:内容証明郵便で送付するのが一般的です。請求の意思を明確に伝えるとともに、「いつ、どのような内容で請求を行ったか」を証拠として残すことができます。

Q3.請求された相手が何も反応してこない場合はどうすればいいですか?

A:任意での支払いが期待できない場合は、裁判所に損害賠償請求の訴訟を提起して慰謝料を請求することを検討する必要があります。訴訟では証拠の提出や主張の整理が求められますが、弁護士をつけずに本人だけでも手続きは可能です。

まとめ

本記事では、浮気相手に対して慰謝料請求を自分で行う方法について、具体的な流れや代表的な手段、注意すべきポイントなどを解説しました。

慰謝料請求は、法律上、必ず弁護士を立てなければならないものではなく、証拠や手続に必要な知識を備えれば、自力で対応することも可能です。内容証明郵便による請求や直接交渉、訴訟の提起といった手段を状況に応じて選び、段階的に進めていくことが大切です。

自分で慰謝料請求を行う際には、本記事で紹介したポイントを参考に、無理のない範囲で進めてみてください。必要に応じて、途中から弁護士のサポートを受ける、といった柔軟な対応もご検討いただければと思います。

自分で慰謝料請求する、と決めた場合も、何か不安な点や疑問がありましたら、当法律事務所の初回無料相談をぜひご利用ください。対面のご相談だけでなく、電話相談もお受けしておりますので、お気軽にお問合せいただければと思います。

この記事を書いた人

雫田 雄太

弁護士法人あおい法律事務所 代表弁護士

略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。3,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。

 

家庭の法律問題は、なかなか人には相談できずに、気付くと一人で抱え込んでしまうものです。当事務所は、家庭の法律問題に特化した事務所であり、高い専門的知見を活かしながら、皆様のお悩みに寄り添い、お悩みの解決をお手伝いできます。ぜひ、お一人でお悩みになる前に、当事務所へご相談ください。必ずお力になります。

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