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面会交流が多すぎる!面会交流の頻度の平均は?回数は減らせる?弁護士が解説

監修者:弁護士法人あおい法律事務所

代表弁護士 雫田雄太

略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。
3,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。

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両親の離婚によって、子どもは一方の親と離れて暮らすことになるため、子の健全な発達や親子関係の維持のためにも、面会交流をすることが望ましいと考えられています。

面会交流は、あらかじめ父母間で決めたルールに則って、月に1回程度、日帰りで実施されることが一般的です。時には宿泊を伴う面会交流や、月に2~3回会うようなケースもあるでしょう。

離れて暮らす親との良好な関係を維持するためには、面会交流は重要ですが、その頻度があまりに多すぎると、子どもにとってはかえって精神的・肉体的な負担となってしまいかねません。実際、「面会交流の回数が多すぎるので減らしたい。」といった悩みをお見受けすることもあります。

そこでこの記事では、面会交流の頻度に関して、弁護士が分かりやすく解説いたします。

一般的な面会交流の頻度の平均のほか、回数が多いと感じた場合に面会交流の頻度を減らすことはできるのか、といった点について、詳しく見ていきたいと思います。

目次

面会交流が多すぎる

面会交流が多すぎると思っていても、簡単には頻度の多い・少ないを断定することはできません。

それというのも、面会交流を実施しやすい環境にあるかどうか、子どもは積極的に会いたがっているかどうかなど、さまざまな個別の事情によって、最適な面会交流の頻度や方法は異なるからです。

また、面会交流と聞くと、イメージするのは親と子が直接会って半日ないし一日一緒に過ごす交流かもしれませんが、昨今の通信手段の発達により、テレビ電話やSNSを活用した間接的な方法による面会交流も実施されるようになりました。

そのため、「面会交流は月に2回している。」といっても、たとえば北海道に暮らす非監護親が東京に暮らす子どもと直接会って面会交流をするのと、北海道と東京とでZoomを使って間接的に面会交流をするのとでは、当事者にかかる負担が大きく異なります。直接会う場合は、往復の移動時間や交通費なども考慮した上で、親子が一日自由に過ごせる日程を合わせる必要がるでしょう。一方で、Zoomでの面会交流であれば移動時間と交通費を考慮する必要がないため、「土曜日の午前中」や「毎週金曜日の18時から2時間」など、互いの都合に合わせて柔軟に日程を調整できます。

このように、本当に「面会交流の頻度・回数が多すぎる」のかは、個々の状況によってかなりの差異があるのです。

そのため、一概には参考にできないかもしれませんが、通常想定されている「直接親子が会って行う」形での面会交流に関して、統計データを基に相場を見てみましょう。

面会交流の頻度の平均

それでは、面会交流の頻度の相場はどれくらいなのか見ていきましょう。

面会交流の頻度の相場

厚生労働省の「令和3年度 全国ひとり親世帯等調査」によると、面会交流の実施頻度は、母子世帯では「月1回以上2回未満」が最も多く294人(24.2%)で、父子世帯でも「月1回以上2回未満」が最も多く、108人(27.7%)となっています。
母子世帯と父子世帯のそれぞれのデータをまとめると、以下の表の通りになります。

面会交流の実施頻度

母子世帯

父子世帯

割合

割合

月1回以上2回未満

294

24.1%

108

27.7%

月2回以上

167

13.7%

92

23.6%

2~3か月に1回以上

205

16.8%

41

10.5%

4~6か月に1回以上

138

11.3%

37

9.5%

長期休暇中

81

6.6%

20

5.1%

別途協議

53

4.3%

10

2.6%

その他

214

17.6%

66

16.9%

不詳

67

5.5%

16

4.1%

総数

1,219

100%

390

100%

参考:令和3年度 全国ひとり親世帯等調査(厚生労働省)

「月1回以上2回未満」とは、厳密には月1回以上、月2回には満たない頻度という意味ですが、実質は「月1回」という意味です。ほとんどの月は1回で、夏休みの8月だけ2回面会交流をしたというようなケースなども、「月1回」に含まれると考えられます。

この統計から、平均すると月に1回程度の頻度での面会交流が、一般的な相場といえるでしょう。

面会交流の宿泊頻度は?

なお、面会交流は日帰りだけではなく、宿泊を伴う場合もあります。子どもが幼い場合は宿泊なしの面会交流が一般的ですが、子どもがある程度の年齢に達すると、宿泊を伴う面会交流を実施することもあるようです。ですが、その割合は決して多いとはいえません。

この点に関して、実際にどれだけのひとり親世帯で宿泊を伴う面会交流が実施されているかを示す公的データはありませんが、離婚調停・離婚審判における、宿泊を伴う面会交流についての取り決め件数のデータが参考になります。

裁判所が公開している司法統計年報(令和5年)の「『離婚』の調停成立又は調停に代わる審判事件のうち面会交流の取決め有りの件数―面会交流の回数等別―全家庭裁判所」によれば、離婚調停または離婚審判によって離婚が成立した事件9,359件のうち、宿泊を伴う面会交流について取り決めた件数は、807件にとどまりました。割合にすると8.6%と、全体の1割にも達しません。

 

面会交流の宿泊頻度

 

参考:令和5年 司法統計年報「離婚」の調停成立又は調停に代わる審判事件のうち面会交流の取決め有りの件数―面会交流の回数等別―全家庭裁判所(裁判所)

面会交流の頻度は月1回程度が妥当

離婚後の面会交流は、離れて暮らす親子の良好な関係を維持し、子どもにとっても心理的な安定や健全な発達に重要な役割を果たします。

非監護親がDVをするなどの、面会交流をしない方が良いような特殊なケースを除けば、子どものためにも面会交流を実施することが望ましいでしょう。

そして、その頻度としては、月1回程度が妥当といえます。

大切なのは、子どもにとって無理のない範囲で、面会交流を継続していくことです。

特に、幼い子どもの場合は、監護親の送迎や付き添いが必要となるため、面会交流の頻度が高いと監護親自身にも大きな負担となります。日程を決めるにしても、子どもの都合だけでなく、監護親の都合もあるため、現実的に頻繁には実施できないでしょう。

また、子どもの年齢や成長に伴って、面会交流の頻度や交流方法を適宜見直すことも大切です。子どもが成長し、自分の意思をはっきり伝えられるようになった際には、「もう少し減らしたい」「今は月に1回だけど、月に2回に増やしたい」といった子どもの意思を尊重し、交流頻度や方法について都度話し合い、状況に合った取り決めをすることが望ましいです。

面会交流は、あくまでも子どもの福祉を最優先に考えることが重要です。そのため、子どもや保護者双方にとって負担の少ない月1回程度を基準として、状況に応じて柔軟に対応することが理想的ではないでしょうか。

面会交流を減らしたい

さて、面会交流の頻度が多い場合、面会交流の頻度を減らすことはできるのでしょうか。

 

面会交流を減らしたい

 

①話し合い

面会交流の頻度を減らしたい場合、最も基本的で簡単な方法は、話し合いによる調整です。非監護親と監護親(子どもを主に養育している側)が、互いの状況や希望について話し合います。

話し合いを進める際には、子どもの生活リズムや体調、学校行事、習い事などの具体的な事情を明確に伝えることが大切です。監護親が面会交流の頻度を減らしたい側は、現在の頻度ではどういった理由から子どもの負担になっているのか、子ども自身がどう思っているかなどを、相手に具体的に伝えるようにしましょう。

また、監護親自身の負担や都合についても誠実に伝え、頻度を減らす理由を相手に理解してもらえるよう努めましょう。

話合いでは、互いに感情的にならないように注意し、一方的に自分の意見を押し付けようとせず、相手の意見も尊重しながら協議を進めていきましょう。

話し合いの結果、頻度の変更について双方が合意できた場合には、公正証書などの書面に残すことをおすすめいたします。これにより、「言った・言わない」「減らすことで合意した・合意していない」などのトラブルを予防できます。

②面会交流調停

面会交流の頻度について、当事者同士の話し合いで合意に至らない場合は、家庭裁判所での面会交流調停で話し合いを行いましょう。

面会交流調停は家庭裁判所で行われる手続きで、中立的な立場にある調停委員が双方から意見を聞き、子どもの福祉を第一に考えた上で、解決案を提案します。

調停手続きのメリットは、裁判所の関与によって冷静かつ公平な話し合いが可能になる点です。直接の話し合いが難しい場合でも、父母が直接顔を合わせずに調停委員を介することで、感情的な対立を避けられ、スムーズに話し合いを進めることができます。また、調停で合意した内容は、裁判所が調停調書として書面化します。調停調書は、義務が履行されない場合に強制執行を行うための債務名義にもなるため、後々のトラブル防止にもつながります。

面会交流調停は家庭裁判所への申立てが必要ですが、手続きも比較的簡便です。また、どうしても納得できない部分があっても、裁判所が強制的に結論を出すことはないため、望まない結果となる可能性が低い点もメリットです。

③面会交流審判

面会交流調停でも双方が合意に至らなかった場合や、そもそも話し合いが難しい場合には、面会交流審判によって解決を図ることになります。

面会交流審判は、調停が不成立となった際に家庭裁判所が職権で行う手続きですが、調停を申し立てずに審判を申し立てることも可能です。ただし、審判を申し立てた場合も、調停手続きに付されることが多いため、まず面会交流調停を申し立てるのが無難といえます。

面会交流審判においては、裁判官が双方の主張や提出された証拠をもとに、子どもの利益を最優先に考慮した上で最終的な決定を下します。調停とは異なり、父母の合意は必要ないため、一方が納得できない結論を下されることもあるでしょう。審判の結果に納得できないときは、審判の告知を受けた日から2週間以内に不服申し立て(即時抗告)をすることが可能です。

審判による決定内容は「審判書」として書面化されます。調停調書と同様に、審判書にも法的拘束力がありますので、面会交流が取り決め通りに実施されない場合は、間接強制を申し立てるための債務名義として役立ちます。

Q&A

Q1.どのくらいの頻度だと面会交流が多すぎるといえますか?

A:面会交流の方法や個々の家庭の状況にもよるため、一概に「月2回だと多すぎる」などとは断言できません。たとえば、飛行機を使わなければ直接会えないような距離の親子にとっては、月に3回だと大変かもしれませんが、Zoomやテレビ電話などによる間接的な面会交流をする場合は、週に1~2回実施する余裕があるかもしれません。適切な面会交流の頻度は、ケースバイケースといえるでしょう。

Q2.面会交流の平均的な頻度はどれくらいですか?

A:面会交流の一般的な頻度は、月1回程度が目安とされています。実際に、厚生労働省の「令和3年度 全国ひとり親世帯等調査」によると、面会交流の実施頻度は、母子世帯でも父子世帯でも、「月1回以上2回未満」が最も多い、という調査結果が出ています。

Q3.面会交流の頻度が多い場合に頻度を減らすことは可能ですか?

A:可能です。ただし、面会交流の頻度が多くて大変だからといって、一方的に頻度を減らしてはいけません。まずは相手と話し合い、頻度を減らせないか交渉しましょう。当事者同士の話し合いでは解決しない場合は、面会交流調停や面会交流審判によって、面会交流の頻度を決めることになります。いずれの場合にも、何が子どもにとって最善となるか、利益となるかを考え、相手方や裁判所に面会交流の頻度を減らすことが相当である、と納得してもらうことが重要です。

まとめ

この記事では、面会交流の頻度が多すぎる場合について、相場の頻度はどれくらいなのか、頻度を減らしたい場合にどういった方法があるのか、弁護士が詳しく解説させていただきました。

面会交流の一般的な頻度は、月1回程度が目安とされており、実際の統計でも月1回程度と取り決めているケースが多いです。ですが、個々の家庭や子どもの状況によって、適切な頻度は異なります。生活の変化や子どもの成長に合わせて、その時に最適な頻度・方法で面会交流を実施していくことが望ましいです。

面会交流の頻度や方法は、あくまで子どもの福祉を最優先に考え決定すべきものです。頻度の調整にあたって面会交流調停や面会交流審判を利用する場合は、具体的な証拠の提示や丁寧な説明が求められることもあるため、法律の専門家である弁護士にご相談いただくことをおすすめいたします。

面会交流や離婚後の子どもに関するお悩みがありましたら、当法律事務所にご相談ください。弁護士法人あおい法律事務所では、初回無料で法律相談を行っております。当Webサイトの予約フォームやお電話にて、お気軽にお問合せいただければと思います。

この記事を書いた人

雫田 雄太

弁護士法人あおい法律事務所 代表弁護士

略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。3,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。

 

家庭の法律問題は、なかなか人には相談できずに、気付くと一人で抱え込んでしまうものです。当事務所は、家庭の法律問題に特化した事務所であり、高い専門的知見を活かしながら、皆様のお悩みに寄り添い、お悩みの解決をお手伝いできます。ぜひ、お一人でお悩みになる前に、当事務所へご相談ください。必ずお力になります。

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