夫源病チェックシート|夫源病の症状をチェックリストで確認!

夫の何気ない言動や態度が原因で、妻が心身の不調を訴えるケースが増えています。夫婦関係で長年にわたって積み重なったストレスが体調不良やうつ状態として現れることもあり、放置すれば日常生活に大きな支障をきたす恐れもある問題です。
このような、夫の言動を原因として妻の心身が不調となることを「夫源病」といいます。
この記事では、夫源病の症状にどういったものがあるかについて、チェックシートをもとに見ていきたいと思います。また、夫源病の危険度がどれくらいあるか、兆候を確認するための夫源病の危険度チェックシートもご用意いたしました。
夫源病の症状や兆候について把握することで、夫源病の可能性があるのか、あるいは夫源病になる環境・状況であるのか確認することが可能です。
それでは、本記事で夫源病についてチェックしていきましょう。
目次
夫源病チェックシート
本記事では夫源病について、チェックシートをもとにその症状や兆候について確認していきますが、その前に夫源病の基本的事項をおさえておきましょう。
夫源病とは
夫源病(ふげんびょう)とは、その名の通り「夫」が「病気の源(みなもと)」となることで、主に妻が心身の不調を訴えるようになるストレス関連の疾病(しっぺい)概念です。疾病概念とは、医師によって診断されるような医学的な病名ではありませんが、実際に体がだるい、気分が落ち込む、やる気が出ないといった不調が現れている状態を説明するための考え方です。つまり、病気とは言えなくても確かにつらさがある、その苦しさに名前をつけて理解しようという概念を意味します。
疾病概念ですので、医学的な病名ではありませんが、近年ではメディアや書籍などでも取り上げられ、夫源病に関する社会的な認知が進んできています。
さて、夫源病という名前の通り、夫源病の原因とされているのは、日常生活における夫の態度や言動から受ける慢性的なストレスです。たとえば、妻の話をろくに聞かずに遮る、感謝や労いの言葉を口にしない、家事や育児を当然のように任せきりにする、自分の非を認めず常に正当化する、あるいは外面ばかり良く家庭内では無関心になる、といった夫の言動が長期間続くと、妻にとっては夫の言動や存在そのものがストレスとなってしまうことがあるのです。
夫の態度や発言の一つひとつは、周囲から見ると「些細なこと」「どこの家庭にもある話」と見過ごされがちですが、積み重なったストレスは確実に妻の心と体に影響を及ぼします。特に、夫と長時間一緒に過ごす機会が増える定年退職後や、体調の変化が起きやすい更年期に入ると、心身のバランスが崩れやすく、夫源病の症状が表面化しやすくなると考えられています。
気づかぬうちにため込んだストレスが、どのように現れているのか。次にご紹介するチェックリストを通して、まずはご自身の状態を確認してみましょう。
夫源病の症状チェックシート
夫源病によって現れる可能性のある症状について、次のチェックシートを使って確認してみましょう。
ただし、チェック項目に該当する症状があったとしても、それだけで必ずしも夫源病と断定できるわけではありません。
心身の不調には、職場の人間関係や家庭以外の環境など、夫以外の要因が関係している場合も十分に考えられます。
あくまで現在のご自身の状態を把握するための参考資料としてご活用いただき、気になる症状が続く場合や強い不安を感じる場合には、カウンセラーや医師などの専門機関へご相談いただくことをおすすめします。
【夫源病の症状チェックシート】
夫源病の症状は、単に身体の不調だけではありません。下記のチェックシートにある通り、症状は主に次の4つに分けられます。
- 身体の不調
- 精神的な不調
- 夫と関わる場面での変化
- 日常生活への影響
具体的には、以下のチェックシートをご参照ください。
□ 頭痛が頻繁に起こる
□ うつ症状(気分の落ち込み、興味喪失、やる気の低下)が見られる
□ めまいやふらつきを感じることがある
□ 動悸や不整脈が起こることがある
□ 睡眠障害(不眠や過眠)が見られる
□ 食欲不振や過食が見られる
□ 不安感やイライラが強い
□ 集中力の低下や物忘れが増えた
□ 疲労感や倦怠感が強い
□ 体のこわばりや筋肉痛がある
□ 性欲の減退が見られる
□ 夫と一緒にいると症状が悪化する
□ 社交活動への興味や意欲が低下する
□ 胃腸の不調(胃痛、胃もたれ、下痢、便秘など)が見られる
□ 自己肯定感の低下・自己嫌悪
□ 涙もろくなったり、感情の起伏が激しくなったりする
□ 家事や育児に対するモチベーションが低下する
□ 夫とのコミュニケーションを避けたくなる
□ 無力感や絶望感を抱くことがある
□ 外見に対する関心が薄れる
□ 夜間の汗をかきやすくなる
□ 症状が長期間にわたって続く
□ 夫が不在の時には体調が良好であることが多い
□ 音や匂いに敏感になる(夫の足音や話し声に強く反応してしまう)
□ 肌荒れや蕁麻疹、脱毛など、ストレスによる皮膚トラブルが増える
□ 夫の帰宅時間が近づくと、憂うつな気分や緊張感が強まる
□ 朝起きるのがつらく、何もする気が起きない日が続く
□ 夫の些細な言動に過剰に反応してしまい、自分でも驚くことがある
□ 理想的な夫婦をメディアで見ると、強い孤独感や虚しさを感じる
□ 家の中にいても落ち着かず、自分の居場所がないように感じる
□ 自分の気持ちを周囲に話すことが難しくなり、黙りがちになる
□ 笑う・楽しむといったポジティブな感情がほとんど出なくなる
本チェックシートに挙げた通り、夫源病の症状は頭痛や不眠といった身体的な不調にとどまらず、気分の落ち込み、イライラ、無力感などの精神的な不調や、夫と一緒にいることへの拒否反応、日常生活における意欲の低下といった行動面の変化にも及びます。中には、夫が不在のときには体調が良くなる、夫の帰宅が近づくと不安が強まるなど、明確に夫との関係性と結びついているものもあります。これらは決して珍しいことではなく、日常的なストレスが積み重なった結果として表れるものです。
チェックシートを確認して該当する項目が多かった場合は、必要に応じて専門家に相談することも検討してみてください。
夫源病の危険度チェックシート
それでは次に、夫源病の危険度がどれくらいあるのかについても、チェックシートを使って確認してみましょう。夫源病のリスクに関しては、夫婦関係・夫の言動から確認できる兆候、妻側の性格・思考傾向から確認できる兆候や、周囲の環境・家庭の状況から確認できる兆候などがあります。
【夫婦関係・夫の言動から確認できる兆候】
□ 夫は「家事は妻の仕事」という考えを持っている
□ 夫は自分の意見が最優先で、話し合いにならない
□ 夫は外では愛想がいいが、家では無口・無関心
□ 夫は自分の両親の味方ばかりで、妻の立場を尊重しない
□ 夫が「俺が稼いでいるんだから偉い」といった態度を取る
□ 妻が体調不良でも、夫が気づかない・気にしない
□ 家のことを頼むと「言い方が悪い」と逆ギレされる
□ 夫が謝らない・反省しない・いつも妻のせいにする
□ 夫から感謝やねぎらいの言葉をほとんどかけられたことがない
□ 「夫と話すと疲れる」と感じることが増えてきた
□ 夫は「何をしても文句を言うが、具体的な希望は言わない」
□ 夫がSNSや家族LINEなどで家庭のことを勝手に発信する
□ 夫は妻の話をすぐに遮ったり、話題をそらしたりする
【妻側の性格・思考傾向から確認できる兆候】
□ 自分の気持ちを飲み込んでしまう癖がある
□ 相手を怒らせないように、常に先回りして行動している
□ 「こんなことで悩んでいる私はおかしいのかも」と思ってしまう
□ つい夫に合わせてしまい、自分の希望を言い出せない
□ 自分さえ我慢すればいい、と思うことが多い
□ 自己主張が苦手で、話し合いを避ける傾向がある
□ 感情を外に出すことに罪悪感がある
□ 子どもの前では良い夫婦を演じようとしている
□ 「私が至らないせいで、夫がこうなったのかも」と考えがち
□ 自分の感情や希望を口にすると「面倒な人だ」と思われる気がする
□ 幼少期から「人に迷惑をかけてはいけない」と思って育ってきた
□ 夫といるときだけ、自然な笑顔が出せないと感じる
【周囲の環境・家庭の状況から確認できる兆候】
□ 結婚を機に地元を離れ、頼れる友人や家族が近くにいない
□ 夫婦の関係性について、誰かに相談したことがない
□ 専業主婦または収入の少ないパートで、経済的に自立しにくい
□ 夫の在宅時間が長く、逃げ場がないと感じることがある
□ 夫に反論すると「離婚するか?」と脅されるような雰囲気がある
□ 家の中で一人になれる場所がなく、常に気を張っている
□ 世間からは「仲良し夫婦」と思われていて、本音が言えない
□ 義実家との関係がストレスの原因になっているが、夫は味方しない
□ 日中の交流が限られており、ほとんど人と話さない日がある
□ 日常生活における決定権をほとんど夫が握っている
□ 家族内の会話が必要最低限しかない状態が続いている
□ 自分の時間や空間を持つことがほとんどできない
□ 家の中でも安心して深呼吸できる場所がないと感じる
このチェックシートにあるような項目に、いくつも心当たりがあると感じた方は、夫源病のリスクが高まっている可能性があります。
日々の中で当たり前になっている夫婦関係や、自分の思考のクセ、置かれている環境が、実は心身へのストレスとなっているかもしれません。そして、些細な違和感であっても、繰り返されることで深刻なストレスとなるケースは少なくありません。
まずは現状を冷静に確認しながら、必要に応じて無理のない範囲で夫との関係性の見直しを進めることが重要です。
Q&A
Q1.夫が不在のときに体調が良くなるのは、夫源病の可能性がありますか?
A:他に特別な要因がない状態で、夫がいるときだけ症状が悪化し、不在のときに改善する傾向が見られる場合、夫の存在や言動がストレス要因となっている可能性があります。夫源病の典型的な兆候の一つといえます。
Q2.チェックシートで複数項目に当てはまったら、夫源病と断定できますか?
A:チェックシートは、夫源病に見られる傾向や兆候を把握するための参考資料であり、診断を行うものではありません。複数の項目に該当した場合でも、ただちに夫源病であると断定することはできません。心身の不調には複数の要因が関わることが多く、生活環境や個人の体調、他のストレス要因が影響している可能性もあります。状況の継続性や他の要素との関連を踏まえ、必要に応じて専門機関への相談や医療機関の受診を検討しましょう。
Q3.危険度チェックで該当する項目が多かったのですが、症状自体はまだ軽いです。それでも対策が必要でしょうか?
A:危険度チェックは、夫源病が起こりやすい環境や傾向を把握するためのものです。症状が軽いうちでも、生活環境や夫との関係性にリスクがある場合は、早めの対処が重要です。現在の状況を放置することで、症状が深刻化してしまうおそれがあります。
まとめ
本記事では、夫源病の基礎的な情報に加え、具体的な症状を確認するためのチェックシートと、夫源病のリスクにつながる兆候を把握するためのチェックシートを通じて、全体像を整理しました。
夫源病は正式な医学的診断名ではないものの、夫婦関係に起因する慢性的なストレスが心身に影響を及ぼし、放置すれば夫婦関係の悪化や離婚につながる可能性もある問題です。
状況によっては、カウンセリングや医療機関だけでなく、法律の専門家へ相談することも検討してみてください。
弁護士法人あおい法律事務所では、初回無料で法律相談を行っております。夫源病が原因で夫婦関係に悩んだときは、なるべく早い段階でご相談いただくことをおすすめいたします。当ホームページのWeb予約フォームやお電話にて、お気軽にお問合せください。
この記事を書いた人

雫田 雄太
弁護士法人あおい法律事務所 代表弁護士
略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。3,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。
家庭の法律問題は、なかなか人には相談できずに、気付くと一人で抱え込んでしまうものです。当事務所は、家庭の法律問題に特化した事務所であり、高い専門的知見を活かしながら、皆様のお悩みに寄り添い、お悩みの解決をお手伝いできます。ぜひ、お一人でお悩みになる前に、当事務所へご相談ください。必ずお力になります。