離婚調停の期間|調停離婚にかかる期間や時間は?長引く理由なども解説

離婚を進める際、夫婦間の話し合いだけでは解決が難しい場合に利用されるのが離婚調停です。しかし、離婚調停は一度で終わるものではなく、複数回の調停期日が設けられることも多いため、どのくらいの期間がかかるのか不安に感じる人も少なくありません。離婚調停が長引くと、精神的な負担だけでなく、仕事や生活への影響も避けられないため、あらかじめ期間の目安を知っておくことが重要です。
また、離婚調停の期間は夫婦の状況や争点によって大きく変わります。例えば、親権や養育費、財産分与などの条件に合意が難しい場合、調停が長期化することも考えられます。一方で、比較的早く合意に達するケースでは、数か月程度で調停が終了することもあります。
そこで本記事では、離婚調停がどのくらいの期間で終わるのか、その目安や長引く理由について解説します。離婚調停の期間についての疑問や悩みを、本記事で解消していただけましたら幸いです。
目次
離婚調停の期間
それでは、離婚調停の期間について、具体的なデータを基に詳しく見ていきたいと思います。
離婚調停の期間の平均は?
離婚調停の申し立てから調停の終了までにかかる期間の平均についてご説明する前に、簡単に離婚調停の全体的な流れをおさえておきましょう。
離婚調停の基本的な流れ
離婚調停は、家庭裁判所で夫婦が話し合い、離婚条件について合意を目指す手続きです。その基本的な流れは、まず「申立て」から始まります。離婚調停を進めたい人が家庭裁判所に申立書と必要書類を提出し、受理されると調停期日が決まります。
調停では、夫婦それぞれが家庭裁判所に出向き、調停委員と個別に話をします。直接顔を合わせることはなく、調停委員が意見や希望を聞き取りながら、話し合いを進めます。調停はおおよそ1ヶ月に1回のペースで開かれ、複数回の期日を重ねることが一般的です。
話し合いがまとまれば「調停成立」となり、合意内容が調停調書にまとめられます。逆に、話し合いがまとまらなければ「調停不成立」として手続きが終わります。
離婚調停にかかる平均期間は「半年」
さて、それでは離婚調停の申し立てから調停の終了までにかかる平均的な期間について見ていきましょう。
前述の通り、調停はおおよそ1ヶ月に1回のペースで開かれ、大抵の場合は2~3回程で審理が終了します。
実際に令和5年の司法統計年報を見てみますと、離婚調停を含む婚姻関係事件の期日の実施回数と割合は、次の表の通りとなっています。
実施期日回数(審判+調停) | 事件数 | 割合(%) |
0回 | 4,704 | 8.3 |
1回 | 7,205 | 12.7 |
2回 | 11,141 | 19.6 |
3回 | 9,569 | 16.8 |
4回 | 7,273 | 12.8 |
5回 | 5,227 | 9.2 |
6~10回 | 10,041 | 17.7 |
11~15回 | 1,449 | 2.5 |
16~20回 | 199 | 0.4 |
21回以上 | 36 | 0.1 |
上記表は、令和5年の司法統計年報の「第16表 婚姻関係事件数―終局区分別審理期間及び実施期日回数別―全家庭裁判所」をまとめたものになりますが、これによると期日を実施した回数は2回が最も多く、全体の2割を占めていることが分かります。
また、同じく令和5年の司法統計年報の「第16表 婚姻関係事件数―終局区分別審理期間及び実施期日回数別―全家庭裁判所」から、婚姻関係事件の審理期間をまとめたものが下の表になります。
審理期間(審判+調停) | 事件数 | 割合(%) |
1月以内 | 3,199 | 5.6 |
3月以内 | 12,029 | 21.2 |
6月以内 | 17,557 | 30.9 |
1年以内 | 16,684 | 29.4 |
2年以内 | 6,681 | 11.8 |
2年を超える | 694 | 1.2 |
総数 | 56,844 | 100.0 |
したがって、大体のケースでは2~3回調停期日が開かれ、調停成立・不成立の判断が半年以内に出されるのが一般的といえます。
申立てから初回期日までの期間
以上の通り、全体的な期間は半年が一般的ですが、もう少し細かく見てみましょう。
離婚調停を申立ててから初回の調停期日までの期間は、一般的に1ヶ月から1ヶ月半程度です。
申立てが家庭裁判所に受理されると、裁判所が書類の確認や調停委員の日程調整を行い、その後、申立人と相手方に調停期日の通知が送られます。
裁判所の混雑状況や地域によって多少の違いはありますが、多くの場合、申立てから初回期日までに1ヶ月前後の時間がかかると考えて、余裕を持って離婚調停の申し立てを行いましょう。
初回期日から第2回期日までの期間
初回期日から第2回期日までの期間は、おおよそ1ヶ月程度が一般的です。
離婚調停は通常、1回の調停で合意に至ることは少なく、複数回の話し合いが行われます。初回期日で双方の意見や主張を確認した後、裁判所が次回期日を決定します。期日と期日の間隔は、おおよそ1ヶ月に1回のペースで設定されることが多く、調停委員や双方の都合、裁判所の混雑状況によって多少前後する場合もあります。
離婚調停の期日にかかる時間
離婚調停に要する全体的な期間と合わせて、離婚調停の期日当日にかかる時間もおさえておきましょう。
離婚調停の1度の期日にかかる時間は、通常2~3時間程度です。初回期日とそれ以降の期日では進行内容に違いがありますが、どちらもおおむね2~3時間が一般的です。
初回の調停では、調停委員が双方の状況や主張を確認し、争点を整理することが中心となります。離婚を希望する理由や条件についての意見を順番に聞き取り、今後の調停の進め方についても説明が行われます。そのため、初回はやや時間がかかることが多く、2時間半から3時間程度が一般的です。
2回目以降の期日では、具体的な条件について話し合いが進められます。例えば、親権や養育費、財産分与などの争点について意見をすり合わせ、合意点を探っていきます。この段階でも、双方から順番に話を聞き取る形で進められるため、1回あたりの所要時間は2~3時間程度です。
離婚調停期間が長引く理由は?
離婚調停の期間は、夫婦の状況や話し合いの内容によって大きく変わりますが、以下のようなケースでは長引く傾向にあります。
離婚自体を争っている場合
一方が離婚を強く望んでいても、相手が離婚に応じない場合、調停は長期化しやすくなります。離婚の理由や必要性について、双方が納得できる形で話し合う必要があるため、時間がかかるのです。
例えば、「離婚したくない理由」や「関係修復を望む意向」が相手にある場合、調停委員が間に入り、説得や調整を行いますが、意見が平行線をたどることも多く、複数回の期日を要することになります。
子供がいる場合
子供がいる場合、離婚そのものに加えて、親権や面会交流、養育費について話し合う必要があります。親権の争いは特に長引く原因となりやすく、それぞれが「自分が子供を育てたい」と主張するため、調停委員が慎重に双方の意見を聞き取ります。
また、子供の生活環境や福祉の観点も考慮されるため、調停では具体的な条件や将来の計画について詳しく話し合うことになり、時間がかかります。
争点が多い場合
親権や養育費に加え、財産分与や慰謝料など複数の争点がある場合も、調停が長期化する傾向にあります。
例えば、財産分与では不動産や預貯金の分け方で意見が対立し、双方の主張が折り合わない場合、調停が何度も繰り返されます。さらに、慰謝料の金額や支払い方法について意見が一致しない場合も時間がかかる要因になります。
双方の主張に大きな隔たりがある場合
夫婦それぞれの主張が大きく異なり、歩み寄りが難しい場合も調停が長期化します。例えば、慰謝料や財産分与について「金額が不公平だ」と双方が譲らない場合や、親権や養育費について意見が食い違う場合、調停委員が何度も間に入って調整する必要が出てきます。お互いに感情的になってしまうと、冷静な話し合いが難しくなることもあり、解決に時間がかかる要因となります。
専門家の意見や判断が必要な場合
離婚調停の中には、不動産や事業資産の評価、子供の親権に関する専門的な判断が必要となるケースもあります。
例えば、不動産の価値を巡って争いがある場合には、不動産鑑定士の意見を取り入れることがあり、その手続きには時間がかかります。また、親権争いで家庭裁判所調査官による調査が行われる場合、子供の生活状況や親の監護状況の確認が必要となり、その分調停が長引くことがあります。
このように、さまざまな理由から、離婚調停が長引く場合もあります。
離婚調停をスムーズに進めるためには、事前に自分の希望や条件を整理し、可能な限り冷静に話し合いに臨むことが大切です。
離婚調停の期間に関するQ&A
Q1.離婚調停はどれくらいの期間かかりますか?
離婚調停の平均的な期間は3ヶ月から6ヶ月程度です。ただし、夫婦の状況や争点の多さによっては、それ以上かかることもあります。
Q2.離婚調停を申立ててから初回の調停まで、どれくらいかかりますか?
申立てから初回期日までは、おおよそ1ヶ月から1ヶ月半程度です。裁判所の混雑状況や地域によって前後することがあります。
Q3.離婚調停1回あたりの所要時間はどれくらいですか?
1回の調停にかかる時間は、通常2~3時間程度です。初回は話し合いの内容の確認や調整が中心となるため、やや時間がかかることが多いです。
まとめ
本記事では、離婚調停にかかる期間の目安や、離婚調停の期間が長引く原因について解説しました。
離婚調停は半年程かかるのが一般的ですが、中には2年を超えるケースもあります。
離婚調停をなるべく長期化させずにスムーズに進めるためには、事前に自分の希望や条件を整理し、必要な書類を早めに準備しておくことが大切です。特に、財産分与や子供の親権、養育費などの争点が多い場合は、ポイントを明確にし、冷静に話し合いに臨む姿勢が求められます。
また、相手との意見が対立して調停が進まない場合や、手続きの進行に不安を感じる場合には、弁護士に依頼することも有効です。弁護士が間に入ることで、適切な主張や必要な手続きをサポートしてもらえるため、調停が長引くリスクを軽減できるでしょう。
離婚調停の期間は、夫婦それぞれの状況や争点の複雑さによって異なりますが、早期に準備を進めることで負担を減らし、納得のいく解決に近づくことができます。離婚調停について少しでも不安や疑問がある方は、ぜひ一度弁護士にご相談ください。
この記事を書いた人

雫田 雄太
弁護士法人あおい法律事務所 代表弁護士
略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。3,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。
家庭の法律問題は、なかなか人には相談できずに、気付くと一人で抱え込んでしまうものです。当事務所は、家庭の法律問題に特化した事務所であり、高い専門的知見を活かしながら、皆様のお悩みに寄り添い、お悩みの解決をお手伝いできます。ぜひ、お一人でお悩みになる前に、当事務所へご相談ください。必ずお力になります。