相続放棄できない│相続放棄でしてはいけないことは?放棄できないケースと理由も

相続放棄

更新日 2026.01.27

投稿日 2024.02.09

監修者:弁護士法人あおい法律事務所

代表弁護士 雫田雄太

略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。3,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。

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相続放棄は、被相続人に借金があった場合、借金などの負債を引き継がないために相続人が取り得る手段です。ですが、相続放棄が必ずできるわけではありません。

では、どういった事情がある場合に、相続放棄ができなくなってしまうのでしょうか。

そこでこの記事では、相続放棄ができないケースについて、具体的な理由と共に弁護士が解説いたします。

相続放棄ができないと、多額の借金を背負うことになってしまいかねません。不測の事態にならないために、相続放棄ができなくなってしまう要因をおさえ、相続が始まったら適切に対応できるように備えておきましょう。

この記事が、相続放棄をする際のご参考となりましたら幸いです。

目次

相続放棄できない

1.配偶者でも相続放棄できないことがある?

相続人が遺産相続する権利を放棄することを、相続放棄といいます。相続放棄の手続きは家庭裁判所で行うのですが、必ず認められるといったものではありません。たとえ被相続人の配偶者であっても、相続放棄できないこともあるのです。

前提として、相続権を持たない人は、相続放棄をすることができません。そもそも放棄する相続権がないためです。法律によって相続権を持つ可能性のある人を「法定相続人」といいますが、配偶者は必ず法定相続人となります(民法第890条)。その他の家族や親族については、民法の相続順位に従って、子ども・親・兄弟などが順に法定相続人となります(民法第887・同第889条)。

したがって、配偶者をはじめとする相続人は、基本的には相続放棄をすることが可能です。ですが、以下で解説する特定の行為をしてしまったような場合には、相続放棄することができなくなってしまいます。

2.相続放棄できない人の理由

それでは、どういった理由に該当する場合、相続放棄ができなくなってしまうのでしょうか。

  1. 単純承認した人

    民法第921条は、相続人が「相続財産の全部又は一部を処分」した場合に単純承認をしたものとみなす、としています。そして、相続人は「単純承認をしたときは、無限に被相続人の権利義務を承継する(民法第920条)」ことと定められています。相続財産を処分する行為が、その財産を自分のものとして承継する意思の表れだとみなされるためです。被相続人の不動産を売却したり、預金を引き出して使ったりする行為のほか、借金の一部を返済するような行為も、単純承認に該当します。

  2. 3か月の熟慮期間を経過してしまった人

    相続人は、原則として「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内(熟慮期間内)」に、限定承認または相続放棄の手続きをしなければなりません(民法第915条1項)。この期間内にどちらの手続きもしなかった場合は、単純承認をしたものとみなされることになるため、「迷っているうちに3か月が経過してしまった。」といったことがないよう、注意が必要です。

  3. 相続放棄の手続きに不備のあった人

    相続放棄の手続きについては、「相続の放棄をしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない。」と定められています(民法第938条)。他の相続人に「相続放棄をする。」と言うだけでは、相続放棄したことにはなりません。
    ですので、そもそも家庭裁判所で相続放棄の手続きをしていない人は相続放棄できませんし、提出した申述書や添付書類に不備があった場合や、書類の補正を求められても応じなかった場合には、相続放棄の申述が受理されず、相続放棄できなくなってしまいます。

相続放棄できないケース

3.相続放棄できないものは何?

ここまでは「相続放棄できない」場合について、相続人という観点から見てきました。ところで、「相続財産」という観点からも、全ての財産について相続放棄ができるわけではありません。

どういった財産や権利は相続放棄できないのか、確認しておきましょう。

3-1.祭祀財産

相続放棄をしても、「祭祀財産」は相続放棄する遺産の対象には含まれません。

祭祀財産とは、系譜、祭具、墳墓といった、祖先をまつるための財産のことです(民法第897条)。

(祭祀に関する権利の承継)
民法第897条 系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。
2 前項本文の場合において慣習が明らかでないときは、同項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所が定める。

祭祀財産はその性質上、共同相続人が分割して相続することに適さないため、一般的な相続財産には含まれないと考えられています。そのため、遺産分割とは関係なく、「仏壇の管理は長男がしていく。」と取り決めたり、「親友に墓を管理してもらう。」と相続人以外の第三者に祭祀財産を承継させることも可能です。

したがって、相続放棄をしても、祭祀財産を放棄することにはならないのです。

3-2.土地や建物の管理義務

土地や建物などの相続財産を現に占有している場合には、相続放棄をしても、一定の条件下で管理義務(保存義務)が残ります(民法第940条)。

(相続の放棄をした者による管理)
民法第940条 相続の放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人又は第九百五十二条第一項の相続財産の清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存しなければならない。
2 第六百四十五条、第六百四十六条並びに第六百五十条第一項及び第二項の規定は、前項の場合について準用する。

例えば、被相続人の死亡後も被相続人が所有していた家に住んでいる相続人が相続放棄をした場合、他の相続人や相続財産清算人に家を引き渡すまでは、その家を管理する義務を負うことになるのです。仮に相続人全員が相続放棄をした場合は、相続財産清算人が選任されて遺産の清算が行われますが、その清算人に財産を引き渡すまでは、管理しなければなりません。

「現に占有している」かどうかの判断は、個々の事情に応じて判断されることになりますが、「その家に現に居住している」といった物理的な占有のほか、「対象不動産に自身の家財や荷物などを保管している場合」や「対象となる住宅の鍵を保有している場合」なども含まれる、と考えられています。

なお、民法では「自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存しなければならない。」と定められています。これについては、例えば「家の屋根や外壁を修繕して専門業者にクリーニングを頼む」といった積極的な管理義務までは求められず、「財産を滅失させたり、損傷させたりしない」という消極的な管理義務にとどまる、とされています。

3-3.相続人固有の権利

生命保険金や死亡退職金を受け取る権利などは、受取人として指定されている人に固有の権利となるため、相続財産に含まれません。ですので、例えば被相続人の配偶者が生命保険金の受取人として指定されていた場合に、配偶者が相続放棄をしても、生命保険金を受け取る権利に影響はありません。

3-4.特別縁故者としての財産分与請求権

相続人がいない場合などに、被相続人と生前親密な関係にあった第三者などの「特別縁故者」が、家庭裁判所に相続財産の分与を請求することが認められています(民法第958条の2)。

特別縁故者への遺産の分配は、相続権に基づくものではありません。そのため、一度相続放棄をした相続人が、特別縁故者として財産分与を請求することが認められる可能性があります。

実際に、被相続人と生前に交際していたと主張する債権者から、執拗に弁済を求められたため、際限のない請求がされることを危惧して相続放棄をした被相続人の子が、相続財産の清算が終了した後に、相続財産分与の申立てをした事案では、「①被相続人の唯一の子であったこと、② 被相続人と長く同居していたこと、③ 被相続人が亡くなるまでの約1年間の入院費用を負担し、見舞いもしていたこと、④ 被相続人の葬儀を執り行っていたこと」といった事情から、特別縁故者として財産分与が認められています(広島高等裁判所岡山支部平成18年7月20日決定)。

もっとも、自らの意思で相続放棄をしたにも関わらず、相続財産の分与を申し立てることは自己矛盾である、という見解もあります。必ずしも「相続放棄をしても特別縁故者として財産分与を請求できる」というわけではないことに注意してください。

4.相続放棄できないとどうなる?

相続放棄ができない場合、原則として「単純承認」したものとみなされます。そのため、被相続人のプラスの財産だけでなく、マイナスの財産も含め、被相続人の遺産すべてを無条件で引き継ぐことになります。

相続放棄できないケース

1.相続放棄でしてはいけないこと

以上のとおり、相続放棄できない理由や、相続放棄できない財産・権利などについて確認してまいりました。以下では、「相続放棄できないケース」では、相続人はどういった行為をしてしまったのかを、具体的に見ていきたいと思います。

1-1.税金や未払い金を支払ってしまった

「相続人が被相続人の未払い税金や他の未払い金を支払ってしまった場合」、単純承認とみなされ、相続放棄できなくなってしまいします。具体的には、以下のような支払いをしてしまった場合、相続放棄できない可能性があります。

  • 被相続人の固定資産税、所得税、またはその他の公共料金の未払い分を支払った。
  • 被相続人が生前に発生させた、契約違反による違約金などの未払い金を支払った。
  • 被相続人が生前に利用した医療サービスの未払い料金を支払った。
  • 被相続人の賃貸契約に関する、家賃の滞納分を支払った。

なぜこうした行為が単純承認とみなされるかといいますと、被相続人の未払い負債に対して積極的に対応しており、自己の責任として認識している、と判断されるためです。

1-2.借金の一部を支払ってしまった

「相続人が被相続人の財産を使って、被相続人の借金を支払ってしまった場合」も単純承認とみなされ、相続放棄できない可能性があります。

例えば、借金の返済、クレジットカードの残高の清算、ローンの一部返済といった行為を、被相続人の財産を使って行った場合が該当します。

なお、相続人が自身の財産を使って借金を支払った場合は、相続財産の一部を処分したことにあたらず、単純承認とはみなされない、とした判例もあります(福岡高等裁判所宮崎支部平成10年12月22日決定)。

単純承認とはみなされなかった裁判例

相続人(被相続人の子)が、相続財産の状態や債権債務を調査するために、2度に渡って熟慮期間の伸長を申立てました。その伸長された熟慮期間内に、被相続人が加入していた火災海上保険株式会社の死亡保険金を受け取り、受け取った保険金を、被相続人の農業協同組合に対する借受金債務330万円の弁済に充てています。
この後、伸長された熟慮期間中に、相続放棄の申述を行いました。

原審は、相続人の行為は法定単純承認に当たるとし、相続放棄の申述は不適法であるとして、これを却下する旨の審判をしました。これに対して相続人が即時抗告をした事案になります。

裁判所は、「保険契約の効力が発生した被相続人死亡と同時に、相続人たるべき者である抗告人らの固有財産となり、被保険者である被相続人の相続財産より離脱しているものと解すべきである。」と述べ、「固有財産に属する権利行使をして、その保険金を受領したものに過ぎず、被相続人の相続財産の一部を処分した場合ではない」ため法定単純承認には当たらない、としました。その上で、「熟慮期間中の被相続人の相続債務の一部弁済行為は、自らの固有財産である前記の死亡保険金をもってしたものであるから、これが相続財産の一部を処分したことにあたらないことは明らかである。」と判断し、原審を取消し差し戻しとしました。

(福岡高等裁判所宮崎支部平成10年12月22日決定)

1-3.財産を使ってしまった

被相続人の財産を使用すると、単純承認とみなされ、相続放棄できなくなってしまします。

具体的には、被相続人が亡くなった後、相続人がその預金を引き出すまたは解約する、不動産や車を利用する、あるいは貴重品(経済的価値がある骨とう品など)を自己のものとして持ち帰り使用する、といった行為が含まれます。

相続人が、被相続人の財産に対して所有権や管理権を行使しているとみなされるためです。

1-4.不動産の賃料の振込先の変更

被相続人が経営していた会社の株主権を行使した上、被相続人所有マンションの賃料振込口座の名義と支払名義を自身のものに変更した行為について、単純承認に当たる、とした裁判例があります(東京地方裁判所平成10年4月24日判決)。

こうした行為が単純承認であるとみなされるのは、被相続人の不動産に関する権利を積極的に行使し、その結果として生じる経済的利益を自己のものとしていることから、被相続人の財産を引き継ぐ意思があると判断されるためです。

1-5.土地を売却した

被相続人名義の土地を売却する行為も、単純承認とみなされて相続放棄できなくなる可能性があります。

相続人が被相続人名義の土地を不動産業者を通じて売り出し、売却によって得た金銭を自己の口座に振り込ませるなどの行為は、被相続人の不動産に対して実質的な所有権を行使し、それによって得られる経済的利益を自己のものとしているとみなされます。

また、家屋の取り壊しのような事実的な処分行為についても、「相続財産の処分」に当たると考えられています。

1-6.遺産分割協議書に印鑑を押してしまった

遺産分割協議書に署名押印してしまった場合も単純承認とみなされ、相続放棄できなくなることがあります。相続人が遺産分割協議によって、被相続人の財産の一部または全てを受け取る意思表示をしていることになるためです。

実際に、遺産分割協議の成立後に相続債務の存在を認識して相続放棄の申述を申し立てたが却下された事件の抗告審において、裁判所は「他の共同相続人との間で本件遺産分割協議をしており、右協議は、抗告人らが相続財産につき相続分を有していることを認識し、これを前提に、相続財産に対して有する相続分を処分したもので、相続財産の処分行為と評価することができ、法定単純承認事由に該当するというべきである。」と判示しています(大阪高等裁判所平成10年2月9日決定)。

遺産分割協議を行うこと自体が、「相続財産の処分」に当たると考えられているのです。

なお、遺産分割協議で相続財産を受け取らないという旨の意思表示をした場合でも、借金の返済義務がなくなるわけではありません。負債についても放棄したい場合は、必ず家庭裁判所での相続放棄の申述手続きを行うようにしましょう。

1-7.形見分けを超える範囲で遺品を持ち帰った

一般的に、軽微な慣習上の形見分けは相続財産の処分には当たらないとされていますが、対象となる遺品の経済的価値が高い場合や、衣類などのほとんどを持ち帰るといった行為は、単純承認に当たると判断されることがあります。

実際に、スーツや毛皮、コート、絨毯、靴などの遺品をトラックで2度に渡って運搬して持ち帰った行為が、形見分けを超えて民法第921条3号の「隠匿」に該当するとして、単純承認だと判断された裁判例があります(東京地方裁判所平成12年3月21日判決)。

1-8.書類の不備を補完しなかった

相続放棄は、家庭裁判所に対する申述という方式で行わなければならない要式行為です。そのため、相続放棄の申述書や添付書類に不備があり、訂正や追加提出を求められたのに補完しなかった場合、家庭裁判所が申述を却下する審判を下し、相続放棄できない可能性があります。

1-9.実家の取り壊しをした

相続放棄をするのだし、老朽化しているから取り壊そう、と考える方は少なくありません。ですが、家屋の取り壊しは財産の現状や性質を大きく変える行為なので、「相続財産の処分」とみなされ、相続放棄できない可能性があります。取り壊し以外にも、大規模な改修やリフォームなども、処分行為となりかねません。

一方で、財産の現状や価値を維持するための「保存行為」の範囲内に留まる行為は、単純承認とはみなされないことがあります。例えば、崩れそうなブロック塀の補修は「保存行為」に該当します。

1-10.迷っているうちに3か月を過ぎてしまった

民法第915条1項は、相続放棄ができる期間を「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内」と定めています。この期間を家庭裁判所に申立てて伸長してもらうこともできますが、そういった手続きを何もせずに、3か月が過ぎてしまった場合は、相続放棄することができません。

2.相続放棄でしてはいけないことか迷ったら

被相続人が亡くなると、生活にかかっていた出費を止めるため、さまざまなサービスを解約することになるかと思います。
そういったサービスの中でも、特に日常生活で切り離せないものが、携帯電話です。

被相続人の携帯電話を解約する行為が、相続放棄をできなくさせる法定単純承認事由の「処分」にあたるか、それとも例外である「保存行為」にあたるかが問題となります。

この点については、被相続人の携帯電話やインターネットといった通信サービスの契約解除は、無用な債務の発生を止めるという観点から、相続財産の処分ではなく「保存行為」に当たると考えられています。

ですが、これに関して明確な基準があるわけではないため、携帯電話の解約をする前に、弁護士などの専門家に相談していただければと思います。

以上の具体的な事例の他にも、相続放棄をするためには「してはいけないこと」や「人によって判断がわかれるもの」が多々あります。
重要なのは、自分で安易に判断しないことです。3か月の間に相続財産を調査しきれそうになかったり、決めかねていたりする場合には、なるべく早めに法律の専門家である弁護士に相談していただくことをお勧めいたします。

相続放棄ができなかった場合

相続放棄ができなかった場合、相続人は「即時抗告」によって不服申し立てをすることができます(家事事件手続法85条1項、同第201条9項3号)。

(即時抗告をすることができる審判)
家事事件手続法85条1項 審判に対しては、特別の定めがある場合に限り、即時抗告をすることができる。

家事事件手続法第201条9項 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。
一 相続の承認又は放棄をすべき期間の伸長の申立てを却下する審判 申立人
二 限定承認又は相続の放棄の取消しの申述を却下する審判 限定承認又は相続の放棄の取消しをすることができる者
三 限定承認又は相続の放棄の申述を却下する審判 申述人

即時抗告を行うには、家庭裁判所から相続放棄不受理の通知を受け取った翌日から数えて2週間以内に行う必要があります(家事事件手続法86条1項)。この期間を過ぎてしまうと、即時抗告する権利は失われてしまうため、迅速に行動する必要があります。

(即時抗告期間)
家事事件手続法86条1項 審判に対する即時抗告は、特別の定めがある場合を除き、二週間の不変期間内にしなければならない。ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。

即時抗告をする場合は、却下の審判をした家庭裁判所(原裁判所)に抗告状を提出して申し立てをします。抗告裁判所である高等裁判所が具体的な事実関係や証拠を検討し、家庭裁判所の判断が妥当であったかを審理することになります。

即時抗告を成功させるためには、不受理決定を覆すため、十分な証拠と適切な主張が重要です。
例えば、単純承認が成立していないことの証拠や、熟慮期間が過ぎていない、または特別な事情により期間を伸長すべき理由などが必要です。そして、主張をするだけでなく、その主張を裏付ける証拠も重要です。

こうした証拠によって立証される根拠が不十分な場合、即時抗告をしても却下されてしまう可能性が高いため、即時抗告する場合は、専門的な知識と経験を持つ弁護士にご相談いただくことをお勧めいたします。

相続放棄ができない場合に関するQ&A

Q1.一度でも何か財産に関する行動をすると、絶対に相続放棄できなくなりますか?

A:すべての行動が直ちに問題になるわけではありませんが、相続財産を処分したり、借金を支払ったりすると、相続を受け入れたと判断されることがあります。単純承認に当たるとみなされると、原則として相続放棄はできなくなってしまいます。判断がわかれる行為も多いため、迷った時点で行動せず、弁護士などに相談することがお勧めです。

Q2.配偶者でも相続放棄ができないことはありますか?

A:はい、あります。配偶者であっても、相続財産を使ったり、熟慮期間を過ぎてしまったりすると、相続放棄ができなくなることがあります。配偶者だから特別に有利というわけではなく、他の相続人と同じルールが適用されます。

Q3.相続放棄ができない場合の対処法はありますか?

A:相続放棄ができなかった場合、場合によっては、限定承認という選択肢が考えられます。限定承認は、被相続人のプラスの財産の範囲でのみマイナスの財産を相続し、プラスの財産を超過する負債は引き継がないという手続きです。ただし、限定承認は相続人全員で行う必要がありますので、一人でも反対した場合は限定承認を行うことはできません。

まとめ

この記事では、相続放棄ができないケースとその理由、対処法などについて具体的に解説させていただきました。

単純承認とみなされる行為があった場合、基本的に相続放棄はできなくなってしまいます。相続放棄できないと、被相続人の借金、税金や未払い金などの負債を引き継ぐリスクがあるため、相続が開始されたら慎重に行動する必要があります。

また、相続放棄を行う際には、財産調査により被相続人の財産と負債の状況を明らかにしたうえで、裁判所へ申し立て手続きを行う必要があります。財産調査は、隠れた借金や財産が見つかることもあり、時間もかかってしまうケースも少なくありません。

相続放棄に関連する手続きに不安がある場合は、弁護士に相談することをお勧めいたします。弁護士は、財産調査、相続放棄の申し立てや、債権者への対応などをすることが可能ですので、相続放棄の手続きに関するストレスを大幅に軽減することができるでしょう。

弁護士法人あおい法律事務所では、対面だけでなくお電話によるご相談もお受けしております。弁護士による法律相談は初回無料となっておりますので、ぜひ一度、弁護士法人あおい法律事務所にご相談いただければと思います。

この記事を書いた人

弁護士法人あおい法律事務所
代表弁護士

雫田 雄太

略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。3,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。

家庭の法律問題は、なかなか人には相談できずに、気付くと一人で抱え込んでしまうものです。当事務所は、家庭の法律問題に特化した事務所であり、高い専門的知見を活かしながら、皆様のお悩みに寄り添い、お悩みの解決をお手伝いできます。ぜひ、お一人でお悩みになる前に、当事務所へご相談ください。必ずお力になります。