相続放棄の照会書とは?回答書の書き方や申述の有無の確認方法も解説

相続放棄

更新日 2024.06.11

投稿日 2024.06.11

監修者:弁護士法人あおい法律事務所

代表弁護士 雫田雄太

略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。3,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。

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相続放棄の照会書は、相続放棄の意思が本人によって示されたものかを確認するための重要な文書です。しかし、その内容や回答の方法が分からないと、どう進めていいか戸惑うことも少なくありません。

この記事では、相続放棄照会書の基本情報、効果的な回答書の書き方、具体的な記載例をわかりやすく解説します。また、照会書が届かなかった場合の対処法についても紹介するので、相続放棄を検討している方や照会書の対応に迷っている方にとって、一助となる内容となっています。

目次

相続放棄の照会書とは?

「相続放棄の照会書」とは、相続放棄を希望する人が家庭裁判所に申立てを行った後、裁判所がその人物の意志を確認するために送付する書類です。この照会書は、申述人(相続放棄の申立を行う人物)に対し、自身が相続放棄の意思表示をしたことを再確認するために必要とされます。相続放棄は、被相続人の財産だけでなく債務の相続も放棄することを意味し、一度申述が受理されると撤回はできません。

そのため、申述人の意思が確実に反映されたものであるかを慎重に検討する必要があります。照会書には、その申述内容の確認と、どのように回答するかの指示が含まれており、申述人はこの照会書に従って、自己の意志を明確に回答することが求められます。

家庭裁判所が確認したいこと

家庭裁判所が相続放棄照会書を通じて確認したいのは、主に二つの重要な点です。

  • 申述人が自己の意志で相続放棄を申述したか
  • 相続放棄が法的に認められる条件を満たしているか

まず第一に、申述人が自己の意志で相続放棄を申述したかどうかが問われます。これは、相続放棄が真に申述人の自由な意思に基づいて行われているかを検証するためです。特に未成年者や成年被後見人など、代理人が関与するケースではその代理人が正当な判断を行っているかも重視されます。不正や詐欺、または暴力による影響で意思表示が歪められていないか、裁判所は慎重に調査します。

第二に、相続放棄が法的に認められる条件が満たされているかどうかです。具体的には、相続の事実を知ってから3ヶ月を超えていないこと、及びその熟慮期間内に財産の売却や贈与などの処分を行っていないことが確認されます。

これらは民法第921条で定められた「法定単純承認事由」に該当し、これに抵触する行動を取っていた場合、相続放棄を行うことができなくなります。家庭裁判所は、これらの条件を満たしているかを確認するため、照会書を用いて申述人に事実関係の確認を求めるのです。

相続放棄の回答書とは│照会書と一緒に送付される書類

相続放棄照会書に同封される回答書は、相続放棄の意思が本人のものであるかを裁判所が確認するための重要な書類です。この回答書には、被相続人の死亡日、相続放棄の意思の確認、さらには遺産の処分の有無や相続放棄を行う理由について質問が含まれる場合もあります。家庭裁判所によって質問内容は異なるため、提出する回答書の形式も多岐にわたります。

具体的に、回答書では相続放棄がその人の自由な意志に基づいて行われたか、また法的に相続放棄を行うことが可能かどうかを検討するための情報が求められます。これには、相続開始を知ってからの熟慮期間が3ヶ月以内であるか、またその期間内に財産の処分行為がなかったかどうかなどが含まれます。

申述人は、これらの質問に正確に答えることが求められます。誤った情報を提供したり、照会事項を無視したりすると、相続放棄が認められないリスクがあります。したがって、回答書の記載には十分な注意を払い、必要なすべての質問に対して真実かつ正確に回答し、指定された期限内に裁判所へ返送することが重要です。

相続放棄の照会書(回答書)の書き方と記入例

相続放棄の手続きにおいて、家庭裁判所から送付される「相続放棄照会書」と「相続放棄回答書」は、その形式や内容において裁判所ごとに異なります。

一部の裁判所では、相続放棄照会書と回答書が一体となった「相続放棄照会書兼回答書」を使用します。

しかし、他の裁判所では、相続放棄照会書と相続放棄回答書が別々の書類として扱われることがあります。この場合、照会書では相続放棄の意志確認のための情報提供が求められ、それに対して別の書類である回答書を用いて詳細な回答を裁判所に提出する必要があります。

照会書(回答書)の書式

以下は、相続放棄照会書と相続放棄回答書が一体となっているパターンの書式です。

※必ず御本人が記載してください。

平成○○年(家)第○○号

相続放棄照会書

申述人 ○○ ○○ 殿

平成○○年○○月○○日

静岡家庭裁判所○○支部

裁判所書記官 ○○ ○○

あなたが申し立てた,被相続人(○○○○様)の相続放棄申述受理申立事件について,下記のとおり照会します。

各事項についてそれぞれの回答を記入し(選択する事項は該当する数字を○で囲む。),末尾にあなたの住所,氏名,電話番号を記載し,押印して平成  年  月  日までに当庁へ返送してください。

1 あなたは,被相続人の死亡をいつ知りましたか。

平成  年  月  日ころ

2 あなたは,相続財産(借財を含む。)があることをいつ,誰からどのようにして知りましたか(手紙等で知った場合には,その写しを同封してください。)

平成  年  月  日ころ

誰から,どのように(具体的に記入してください。)

〔                                 〕

3 相続放棄の申述(相続財産(借財を含む。)の一切を引き受けないこと)は,あなたの真意に基づくものですか。

(1)私の真意です。 (2)強要されました。

(3)知らないうちに申述書が裁判所へ提出されました。

4 あなたが相続放棄する理由を選んでください。

(1)債務超過のため(借財が多いため)

(2)遺産が少ないため

(3)(       )に遺産を継がせたいため

(4)自分の生活が安定しているため

(5)被相続人から生前に財産をもらっているため

(6)生前に疎遠であったため

(7)その他(具体的に記入してください。)

〔                                 〕

5 あなたは,遺産の全部又は一部について,これまでに,処分,隠匿又は消費(例えば,遺産の土地の名義を変更したり,預金をおろして使ったりした)ことがありますか。

(1)あります。

具体的に

(2)ありません。

上記のとおり回答します。

平成  年  月  日

住所

氏名(署名)         (印) (※申述書に使用した印を押してください。)

日中連絡が取れる電話番号    -   -

※本人が署名押印できない場合は,当職までお電話ください。

①被相続人の死亡を知った日

相続放棄を行う際には、被相続人の死亡を知った日から3カ月以内に手続きを開始する必要があります。ここで特に注意が必要なのは、裁判所が求める情報が「被相続人の死亡日」ではなく、「死亡を知った日」であるという点です。

例えば、もし被相続人が令和4年の4月1日に亡くなった場合で、あなたがその死亡事実を同年の5月1日に初めて知ったとすると、回答書には「死亡を知った日」として「令和4年5月1日」と記載する必要があります。この日付が相続放棄の手続きを開始する起算点となり、ここから3カ月以内に相続放棄の意志表示を行う必要があるのです。この期限を逃すと、法的には相続放棄を行う権利を失うことになるため、正確な日付の記載は極めて重要です。

②どのように相続財産を知ったのか

誰から、どのように(具体的に記入してください。)」の部分には、相続財産についてどのような経緯で知ったかを具体的に記述します。情報を提供した人物の氏名や関係(例:遺産整理を担当する弁護士、家族の一員など)、そしてその情報がどのような形(例:直接会話、電話、手紙、メールなど)で伝えられたかを具体的に記入します。

もし手紙や書類など具体的な証拠物が存在し、それを通じて相続財産を知った場合は、その写しを照会書とともに裁判所に提出するよう指示されています。

【記入例】

平成29年4月15日ころ
弟の田中太郎から、電話で連絡を受けました。太郎は被相続人である父の遺産整理を担当しており、父の死亡に伴い相続財産と借財の存在を教えてくれました。この情報を得た際に、太郎から受け取った財産目録のコピーを同封します。

②申述人に相続放棄の意志があるかの確認

私の真意です

この選択肢を選ぶ場合は、相続放棄が自分の自由な意志によるものであり、他者からの強制や誤解なく行ったことを表しています。この選択を行った場合、裁判所はあなたの相続放棄の意志が確かなものであると判断します。

強要されました

この選択肢を選ぶ場合は、何らかの外部の圧力(家族からの圧力、経済的な脅迫など)により、本意ではない相続放棄を行ったことを意味します。このような事情がある場合、裁判所はその状況を考慮し、申述が無効となる可能性があります。

知らないうちに申述書が裁判所へ提出されました

この選択肢は、申述人自身が相続放棄の意志を示していないにも関わらず、何者かが勝手に申述を行ったことを表します。これが選ばれた場合、裁判所は申述の有効性を否定し、申述を取り消す手続きを進めることになります。

③相続放棄をする理由

相続放棄を行う理由を明確にするために設計されています。正確な理由を選択することで、裁判所は相続放棄の申述が適切な理由に基づいて行われているかを評価します。以下は、それぞれの選択肢に対する適切な回答方法と注意点です。

  1. 債務超過のため(借財が多いため):被相続人の財産が債務を超えている場合に適用されます。借財の総額が遺産の価値を上回っている場合に選びます。
  2. 遺産が少ないため: 遺産の総量が期待に応えられない場合や、手続きの労力に見合わないと判断した場合に選びます。
  3. 〔       〕に遺産を継がせたいため: 他の相続人に遺産を譲りたい意向がある場合に選びます。空欄には、その相続人の名前や関係(例: 弟、子ども)を具体的に記入します。
  4. 自分の生活が安定しているため: 既に経済的に安定しており、遺産を受け入れる必要がないと判断した場合に選びます。
  5. 被相続人から生前に財産をもらっているため: 生前に相続人から十分な贈与を受けていたため、追加の遺産が不要と判断した場合に選びます。
  6. 生前に疎遠であったため: 被相続人との関係が疎遠で、遺産を受け継ぐことに心理的抵抗がある場合に選びます。
  7. その他(具体的に記入してください。): 上記のどの理由にも当てはまらない場合に選び、具体的な理由を空欄に記入します。
    【記入例】
    海外移住を計画しており、日本国内の財産管理が困難であるため。

理由は裁判所が判断を下す上で重要な根拠となるため、誠実かつ正確に記述することが重要です。

④遺産の処分、隠匿、または消費をしたかどうか

この質問項目は、相続放棄の手続きにおいて家庭裁判所が特に重視する内容です。相続放棄とは、故人の財産全体に対する放棄を意味し、一部の遺産について何らかの処分や使用を行った場合、通常はその行為が単純承認と見なされ、相続放棄が不可能になる可能性があります。

具体的には、以下のようなケースがこれに該当します。

  1. 不動産や自動車、携帯電話の名義変更:これらの財産の名義を亡くなった方から自身の名義に変更する行為は、被相続人の財産を自己のものとして受け入れる意思表示とみなされます。
  2. 株式の議決権行使:故人が持っていた株式について、議決権を行使することも、その株式を自己のものとして扱っていると解釈されるため、単純承認に該当します。
  3. 家屋の修繕・改修:相続した家屋に対して修繕や改修を行う行為は、その家屋を維持し続ける意志があるとみなされ、同様に単純承認の対象となります。
  4. 相続財産の持ち帰り:亡くなった人の財産を自宅などに持ち帰る行為も、その財産を自分のものとして受け入れたと見なされます。

ただし、例外も存在します。例えば、遺産を被相続人の葬儀代として使用した場合は、これが単純承認には当たらず、相続放棄が可能な場合が多いです。このような状況では、適切な法的アドバイスを受けるために弁護士に相談することが推奨されます。

回答書に記入する際は、虚偽の情報を提供することは法的に許されないため、すべての情報は事実に基づいて正確に記述する必要があります。具体的に何を行ったのか、その行為の日付、場所、そしてその行為に至った経緯や理由も詳細に記載し、必要に応じて弁護士と相談しながら書類を作成することが重要です。

  1. あります。:この選択肢を選んだ場合、具体的にどのような行為を行ったのかを詳細に記述する必要があります。例えば、遺産として残された土地の名義を変更した、預金を引き出して使用した、などの行為を具体的に記入します。
    行為の内容、日付、場所、そしてその行為に至った経緯や理由を明確にすることが求められます。
  2. ありません。:この選択肢は、遺産に対して何らかの処分、隠匿、または消費を行っていないことを示します。この場合、追加の記述は必要ありません。

相続放棄の照会書(回答書)を書くときの注意点

原則として代筆は認められない│やむを得ない事情がある場合のみ条件付きで

相続放棄の回答書において代筆を行う場合、特に注意が必要な点は、代筆者の選定に関する制約です。具体的には、相続人およびその配偶者は代筆者として選ぶことができません。この規定は、回答書の内容が申述人本人の真意に基づくものであることを保証するために設けられています。

相続人やその配偶者が代筆すると、意図せずにも申述人の意思と異なる内容が記入されるリスクがあります。また、相続に直接利害関係を持つ人物による代筆は、回答内容に偏りや影響を与える可能性があるため、客観性を確保する観点からも避けるべきです。代筆を依頼する際は、これらの関係者以外の第三者を選ぶことが望ましいとされています。

さらに、代筆を依頼した場合、申述人は回答書に署名押印を自ら行う必要があります。これにより、文書が申述人の意志によるものであることの証明となります。代筆者が書いた部分があれば、その代筆者の氏名、住所、連絡先、そして依頼者との関係を回答書の適切な場所に明記することが求められます。これは、裁判所が必要に応じて代筆者に連絡を取ることを可能にし、回答書の内容の確認を行うための措置です。

理由は法的要件ではない

相続放棄を行う理由は、法的に認められるかどうかには直接影響しません。相続放棄の動機が何であっても、それが法的な手続きの妨げになることはなく、主な法的要件は相続開始を知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所に相続放棄の申述を行うことです。

相続放棄の理由には多様なものがあり、借金や負債の多さから相続を避けたい場合もあれば、経済的に安定しており他の相続人に権利を譲りたい、または家族関係の緊張から相続に関わりたくないという心情もあります。どのような理由でも、法的要件を満たしている限り、相続放棄の申述は裁判所に受け入れられることが一般的です。

回答書の押印は相続放棄申述書と同じ印鑑で

この押印には、相続放棄の申立て時に使用した同一の印鑑を用いる必要があります。これにより、相続放棄を申し立てた人物と回答書を提出した人物が同一であることを裁判所が確認できるため、手続きの正当性が保証されます。

万が一、どの印鑑を使用したか忘れてしまった場合は、家庭裁判所に連絡して相談することが望ましいです。裁判所は、印影の大きさや形にを教えてくれることがあり、場合によっては、候補である複数の印鑑を並べて押印するよう指示することもあります。

相続財産を使ってしまった場合

相続財産を使ってしまった場合、その行動が単純承認に該当するかどうかが非常に重要です。単純承認とは、相続財産を自分のものとして扱ったことを意味し、これが認められると相続放棄ができなくなります。例えば、銀行の預貯金を引き出して自分の消費に使った場合は単純承認になりますが、お葬式の費用に使用した場合は状況により異なるため、その具体的な状況を詳細に説明することが重要です。

不正確な情報や不完全な記述は、後に裁判などで問題となり、手続きに不利な影響を及ぼす可能性があります。したがって、提出されるすべての書類に正確で完全な情報を記録することが求められます。

照会書はいつ届く?

相続放棄の申述書を家庭裁判所に提出した後、照会書が届くまでの時間は一概には定められていません。裁判所によって異なりますが、一般的には1週間から1ヶ月程度で届くことが多いです。ただし、裁判所が遠方にある場合や、郵送の遅延がある場合はもう少し時間がかかることもあります。このため、相続放棄の手続きを進める際は、照会書が到着するまでの時間に余裕を持って計画を立てることが望ましいです。

照会書(回答書)の返送期限はある?

相続放棄照会書を受け取った際、回答書の返送期限は照会書に明記されています。期限の設定方法は二つあります。一つは特定の日付、「令和○年○月○日までに返送してください」と直接指定されている場合、もう一つは「書面にある日付から10日以内に返送してください」との記述があり、この場合は照会書の右上部に記載されている日付を基準にして返送期限を計算します。

返送期限が近づいているにも関わらず、何らかの事情で期限内に回答書を返送できないと予想される場合は、事前に家庭裁判所に連絡することが重要です。相続放棄照会書には連絡先の電話番号が記載されていることが多いので、期限内に対応が難しいことを伝え、必要に応じて指示を仰ぎましょう。

照会書が届かない場合の対処法

相続放棄に関する照会書や回答書が届かない場合、特に心配する必要はありません。これは、家庭裁判所が提出された申述書の内容について特に問題や疑問点を持たなかったため、追加の照会が必要ないと判断したことを意味しています。そのため、照会書や回答書が送られてこない場合は、申述内容が受理される可能性が高く、その後、相続放棄申述受理通知書が届くことになるでしょう。

また、照会書が届くことが必ずしも家庭裁判所に何か問題があるとは限りません。実際には、家庭裁判所によってはすべての申述に対して標準的な手続きとして照会書を送付している場合もあります。したがって、照会書が届いたとしても過度に心配する必要はありません。

相続放棄をしたか確認する方法│もう一つの「照会書」

申述の有無についての照会できる手続きがある

相続放棄は家庭裁判所での手続きを経るため、その記録は裁判所に残っています。したがって、特定の相続人が相続放棄を行ったかどうかは、家庭裁判所に問い合わせることで確認可能です。ただし、家庭裁判所への問い合わせは、電話ではなく書面を通じて行う必要があります。

手続の方法

申請を行うことができるのは、相続人と被相続人に対する利害関係がある人物(例えば債権者など)のみです。この照会に関する手数料は無料で、申請をする際には「照会申請書」と「被相続人等目録」(静岡家庭裁判所HPより)を提出する必要があります。

照会手続きでは、提出された被相続人等目録に記載されている氏名を基に調査が行われます。

「照会書」の提出は、被相続人の最後の住所地を管轄する裁判所です。被相続人の最後の住所地を確認するには、住民票(除票)を取得することが必要です。

必要書類

申請者が相続人か利害関係人かによって必要な書類が異なりますので、それぞれのケースに応じた書類をご確認ください。

相続人が申請する場合

  • 被相続人の住民票の除票(本籍地が表示されているもの)
  • 照会者と被相続人の発行から3か月以内の戸籍謄本(照会者と被相続人との関係がわかる戸籍謄本)
  • 照会者の住民票(本籍地が表示されているもの)
  • 委任状(代理人に委任する場合のみ)
  • 返信用封筒と返信用切手
  • 相続関係図など

利害関係人が申請する場合

  • 被相続人の住民票の除票(本籍地が表示されているもの
  • 利害関係の存在を証明する書面のコピー(金銭消費貸借契約書,訴状,競売申立書,競売開始決定,債務名義等の各写し,担保権が記載された不動産登記簿謄本,その他債権の存在を証する書面など)
  • 委任状(代理人に委任する場合のみ)
  • 返信用封筒と返信用切手など

相続放棄を弁護士に依頼するメリット

  1. 正確な書類の準備と提出: 弁護士は相続放棄に関連する法律的な要件を熟知しているため、必要な書類、特に照会書に記載する内容を正確に準備できます。相続放棄に関わる照会書は、相続人の意向が正確に反映されていることが重要であり、小さなミスが手続き全体に影響を及ぼす可能性があります。
  2. 照会書の対応と期限の管理: 相続放棄のプロセス中、家庭裁判所から照会書が送付されることがあります。この照会書への対応は、特に法的な知見を要する場合が多く、弁護士はこれらの書類に対する回答も適切に行うことができます。また、弁護士はこれらの手続きの期限を厳密に管理し、適切なタイミングでの提出を保証します。
  3. 書類提出後のフォローアップ: 照会書に対する回答が完了した後も、弁護士は裁判所との連絡を継続し、必要に応じて追加情報の提供やさらなる手続きを行います。これにより、相続放棄がスムーズに進行するよう支援してくれます。
  4. 精神的な負担の軽減: 相続放棄は感情的にも負担が大きな手続きです。弁護士に依頼することで、複雑な法的プロセスから解放され、精神的なストレスを軽減できます。

以上のように、弁護士に相続放棄の手続きを依頼することには、手続きの正確性の保証、期限の厳守、裁判所とのスムーズなコミュニケーション、そして精神的な負担の軽減といった多くのメリットがあります。特に照会書への適切な対応は、手続きの成功に直結するため、専門家のアドバイスが非常に重要です。

相続放棄の照会書に関するQ&A

Q: 相続放棄照会書と回答書の主な目的とは何ですか?

A: 相続放棄照会書と回答書の主な目的は、相続放棄の申述が本当に相続人の自由な意思に基づいて行われたかどうかを家庭裁判所が確認することにあります。これにより、相続放棄の申述が誤りや外部からの圧力によるものでないことを保証します。

さらに、相続放棄の理由や、相続放棄の申述に設定された3ヶ月の期限内に申述が行われなかった場合の理由など、家庭裁判所はこれらの事項を慎重に吟味します。これによって、相続放棄が完了した場合、その人は初めから相続人ではなかったとみなされ、遺産分割における影響が非常に大きいため、正確かつ慎重な手続きが求められます。

そのため、申述人は照会書に記載された照会事項に対して、回答書を用いて正確に回答する必要があります。

Q: 相続放棄の回答書は普通郵便で返送しても大丈夫ですか?

A: 相続放棄の回答書は普通郵便で返送することも可能です。しかし、普通郵便では配達状況の追跡ができないため、書類が裁判所に届いているかどうかを確認できません。

このため、もし書類が届かなかった場合に気づかず、相続放棄の期限である3カ月を超えてしまうリスクがあります。より安全に手続きを進めるためには、配達完了まで追跡できる書留郵便での返送をお勧めします。これにより、書類が確実に裁判所に届いたことを確認でき、手続きにおける不安を軽減できます。

Q: 相続放棄が受理されたことをどのように確認できますか?

A: 相続放棄の回答書を家庭裁判所に返送した後、通常は1週間から2週間の間に相続放棄申受理通知書が送られてきます。この通知書の受領によって、相続放棄が正式に受理されたことが確認できます。

相続放棄照会書とは異なり、相続放棄受理通知書は手続きを行った全員に送付される書類です。もし2週間が経過しても通知書が届かない場合は、申述を行った家庭裁判所に問い合わせて状況を確認することをおすすめします。

まとめ

本記事では、相続放棄の手続き中に送付される「相続放棄照会書」と回答書について詳しく解説しました。これらの書類は、相続放棄が裁判所に受理されるためには不可欠であり、申述の正確性と法的な正当性を保証するための重要な役割を担っています。

相続放棄の手続きは複雑で、多くの書類の準備と熟慮期間が必要とされます。もし相続放棄を検討されている場合は、専門的な知識を持つ弁護士に相談することをお勧めします。

弁護士に相談することで、手続きの誤りを避け、スムーズかつ効率的に手続きを進めることが可能となります。

この記事を書いた人

弁護士法人あおい法律事務所
代表弁護士

雫田 雄太

略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。3,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。

家庭の法律問題は、なかなか人には相談できずに、気付くと一人で抱え込んでしまうものです。当事務所は、家庭の法律問題に特化した事務所であり、高い専門的知見を活かしながら、皆様のお悩みに寄り添い、お悩みの解決をお手伝いできます。ぜひ、お一人でお悩みになる前に、当事務所へご相談ください。必ずお力になります。