相続放棄の照会書|相続放棄照会書とは?回答書の書き方や確認方法も解説

相続放棄

更新日 2026.01.30

投稿日 2024.06.11

監修者:弁護士法人あおい法律事務所

代表弁護士 雫田雄太

略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。3,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。

弁護士法人あおい事務所の相続専門サイトをご覧いただき、ありがとうございます。当サイトでは、相続に関する法的な知識を分かりやすくお届けしております。皆様のお悩みの解消に少しでもお役立ちできましたら幸甚です。

相続放棄の申述の手続きをすると、家庭裁判所から「相続放棄の照会書」という書類が申述人に対して送られてきます。

相続放棄の照会書は、相続放棄の申述が申述人本人の意思によってなされたものかを確認するために、重要な書類です。そのため、照会に対しては適切に回答しなければなりません。

ですが、裁判所で使われる書類は日常的・一般的でもないため、記載されている内容や回答の書き方について、迷う方も多いのではないかと思います。

そこでこの記事では、相続放棄の申述をしたときに送られる「相続放棄の照会書」について、弁護士が詳しく解説させていただきます。照会書の書式や、照会に対しての回答書の書き方を、記入例も参考にしながら具体的に見ていきたいと思います。まれに、照会書が送られてこないケースもあるため、そういった場合の対応についても確認しておきましょう。

また、相続放棄をした人がいるかどうかを調べる方法としての「相続放棄の照会」についても、あわせてご説明いたします。

相続放棄の申述の照会書と回答書について、本記事で網羅しております。申述後にスムーズに照会を終えるため、本記事が少しでもお役に立ちましたら幸いです。

目次

相続放棄の照会書

1.家庭裁判所から届く相続放棄の照会書とは

被相続人の財産の一切を相続しないことを意味する相続放棄の申述手続きは、家庭裁判所で行います。相続放棄の申述が一度受理されると、基本的には撤回や取り消しができません。例外的に、詐欺や脅迫によって相続放棄をした場合には取消しが認められる余地もありますが、基本的には一度認められた相続放棄の申述の効果は、覆すことが難しいです。

そのため、家庭裁判所は相続放棄の申述が、申述人本人の意思によって適切に行われたものであるか、慎重に判断します。その際に重要な書類が、「相続放棄の照会書」なのです。

「相続放棄の照会書」とは、相続放棄の申述の手続き後、家庭裁判所が申述人に対して送付する書類のことです。家庭裁判所は、照会書に申述人に対する照会事項(質問)を記載しており、これに対して申述人が「回答書」を返送することで、主に以下の2点について確認します。

  1.  申述人が自分の意思(本意)で相続放棄を申述したか

    これは、相続放棄が真に申述人の自由な意思に基づいて行われているかを判断するためです。不正や詐欺、または暴力による影響で意思表示が歪められていないか、家庭裁判所は慎重に調査します。
    特に、未成年者や成年被後見人などが相続放棄をする場合は、本人に法律行為を行う行為能力がないため、保護者や成年後見人などの法定代理人が実際の手続きを行うことになります。代理人などの、本人以外の第三者が関与するケースでは、その代理人が申述人本人の意思に基づいて正当な判断を行っているか、といった点も重視されます。

  2. 相続放棄が法的に認められる条件を満たしているか

    相続放棄が法的に認められる条件が満たされているかどうか、という点についても問われます。

    具体的には、相続開始の事実を知ってから3か月(熟慮期間)を超えていないかどうか、その熟慮期間内に財産の売却や贈与などの処分行為を行っていないかどうか、といった点について確認されます。これらは、「法定単純承認」に該当する事由として、該当する場合には相続放棄が認められなくなるのです(民法第921条)。
    相続放棄は3か月の熟慮期間内に行わなければ、「遺産相続することを承認したもの」とみなされ、以後相続放棄が認められなくなってしまいます。また、熟慮期間内に財産の処分をした場合にも、被相続人の財産を使用する行為が相続を承認したものとみなされるため、相続放棄が認められなくなってしまうのです。

    家庭裁判所は、こうした事由に該当していないかを調査し、法的な条件を満たしているかを確認するため、照会書を用いて申述人に事実関係の確認を求めるのです。

具体的には、以下のような質問事項が記載されています。

  • 今回の遺産相続についていつ知ったか。
  • 相続放棄の申述は自己の意思によるものか。
  • 相続放棄を行う理由は何か。
  • 遺産の全部や一部を処分していないか。

そして、この照会書に対して、申述人は裁判所へ回答しなければなりません。裁判所へ回答する際には、照会書とあわせて送られてくる「回答書」を使用します。

2.相続放棄照会書の「回答書」とは

相続放棄の照会書と共に送られる回答書は、相続放棄の意思が申述人本人のものであるかを裁判所が確認するために重要な書類です。一般的に、照会書は「裁判所からの質問を記載した紙」、回答書は「照会された事項について申述人が回答する紙」となっています。裁判所によっては、照会書と回答書が1枚になっていることもあるようです。

回答書には、前述の「今回の遺産相続についていつ知ったか。」、「相続放棄の申述は自己の意思によるものか。」、「相続放棄を行う理由は何か。」、「遺産の全部や一部を処分していないか。」といった基本的な照会事項について記載するほか、個別の事情に応じた照会事項についても回答を記載します。

家庭裁判所や相続放棄をする申述人の事情によっても照会事項は異なるため、自身のケースで聞かれたことについて適切に回答するようにしましょう。

申述人は、家庭裁判所からの照会事項に対し、正確に回答することが求められます。誤った情報や嘘を回答したり、照会事項を無視したりすると、相続放棄が認められないリスクがあります。

ですので、回答書の記載には十分な注意を払い、求められた照会事項に対しては事実に基づいて正確に回答し、裁判所から指定された期限内に返送することが重要です。

3.申述後、照会書はいつ届く?

相続放棄の申述書を家庭裁判所に提出した後、通常は1週間~2週間程度で照会書と回答書が送られてきます。ただし、これには厳密な定めはないため、家庭裁判所やその時期の混雑状況などによっても異なります。

裁判所が遠方にあり、郵送に時間がかかることもありますし、その裁判所で扱われている事件が多く混雑している、といったときには1か月かかることもあります。

また、書留などではなく一般的な普通郵便で送られてきますので、他の郵便物に紛れてしまっていないかチェックしておきましょう。

照会書は基本的には申述人本人に届きますが、弁護士に相続放棄を依頼している場合などには、弁護士に送られることもあります。弁護士が照会書を受け取っている場合は、弁護士に対応を任せられます。

弁護士に依頼している場合でも、申述人本人に送られることもあります。この場合は、届いた照会書を弁護士に転送あるいは法律事務所へ持参するなどしましょう。照会書が来た場合にどのように対応したらいいか、あらかじめ弁護士と打ち合わせておくと安心です。

なお、弁護士は本人の代理で回答書に記入できますが、司法書士などは本人の代理で回答することができませんので、ご注意ください。

4.照会書が来ない場合は

上でご説明したとおり、照会書と回答書が送られてくるまでに、基本的には1週間~2週間程度、長いと1か月程度かかります。もし1か月待っても届かない場合には、申述書を提出した裁判所に問い合わせてみましょう。問い合わせの際には、相続放棄の申述書の控えなどに記載されている「事件番号」を伝えるとスムーズです。

なお、相続放棄の照会書が、そもそも送られてこない場合もあります。

相続放棄の申述書に記載された内容で、家庭裁判所が十分に審理できたというようなケースでは、申述人に対して照会したいことがないため、照会書が送付されません。この場合に相続放棄の申述が受理されると、照会書ではなく相続放棄申述受理通知書が送られてくることになります。

家庭裁判所によっては、全ての相続放棄の申述に対して照会書を送付していることもありますので、運用に関しては家庭裁判所ごとに若干の違いがあります。本記事でご紹介するのは、あくまで一般的な目安となるケースです。具体的な自身のケースに関しては、申述を行った家庭裁判所に問い合わせましょう。

相続放棄の照会書(回答書)の書き方

それでは、相続放棄照会書と回答書について、具体的な書式や書き方を見ていきましょう。

1.照会書の書式

以下の書式は、相続放棄の照会書と回答書が1枚で一体となっているパターンになります。

※必ず御本人が記載してください。

令和○○年(家)第○○号

相続放棄照会書

申述人 ○○ ○○ 殿

令和○○年○○月○○日

静岡家庭裁判所○○支部

裁判所書記官 ○○ ○○

あなたが申し立てた,被相続人(○○○○様)の相続放棄申述受理申立事件について,下記のとおり照会します。

各事項についてそれぞれの回答を記入し(選択する事項は該当する数字を○で囲む。),末尾にあなたの住所,氏名,電話番号を記載し,押印して令和  年  月  日までに当庁へ返送してください。

1 あなたは,被相続人の死亡をいつ知りましたか。

令和  年  月  日ころ

2 あなたは,相続財産(借財を含む。)があることをいつ,誰からどのようにして知りましたか(手紙等で知った場合には,その写しを同封してください。)

令和  年  月  日ころ

誰から,どのように(具体的に記入してください。)

〔                                 〕

3 相続放棄の申述(相続財産(借財を含む。)の一切を引き受けないこと)は,あなたの真意に基づくものですか。

(1)私の真意です。 (2)強要されました。

(3)知らないうちに申述書が裁判所へ提出されました。

4 あなたが相続放棄する理由を選んでください。

(1)債務超過のため(借財が多いため)

(2)遺産が少ないため

(3)(       )に遺産を継がせたいため

(4)自分の生活が安定しているため

(5)被相続人から生前に財産をもらっているため

(6)生前に疎遠であったため

(7)その他(具体的に記入してください。)

〔                                 〕

5 あなたは,遺産の全部又は一部について,これまでに,処分,隠匿又は消費(例えば,遺産の土地の名義を変更したり,預金をおろして使ったりした)ことがありますか。

(1)あります。

具体的に

(2)ありません。


上記のとおり回答します。

令和  年  月  日

住所

氏名(署名)         (印) (※申述書に使用した印を押してください。)

日中連絡が取れる電話番号    -   -

※本人が署名押印できない場合は,当職までお電話ください。

2.照会書の書き方【記入例】

照会書・回答書は、必ず黒のボールペンや万年筆などの消えないペンで書き、修正液や修正テープは使わないようにしてください。

2-1.被相続人の死亡を知った日

相続放棄は、被相続人の死亡を知った日から3か月以内に手続きを開始しなければ、熟慮期間が経過してしまい認められない可能性が高いです。そのため、3か月のカウントの起算点となる「被相続人の死亡を知った日」は、特に重要な照会事項になります。

例えば、もし被相続人が令和4年4月1日に亡くなった場合で、申述人がその死亡の事実を令和4年5月1日に初めて知ったとしましょう。この場合、回答書には「被相続人の死亡を知った日」として「令和4年5月1日」と記載することになります。

この日付が、相続放棄が認められる熟慮期間の起算点「自己のために相続の開始があったことを知った時(民法第915条1項)」となるのです。相続人は、この日付から3か月以内に、相続放棄の意思表示を行う必要があります。

仮に、この質問に対して死亡日である「令和4年4月1日」と回答してしまうと、熟慮期間の起算点が令和4年4月1日となるため、本来の場合よりも1か月、余裕がなくなってしまいます。

相続放棄の申述が有効に認められるかという点で、「被相続人の死亡を知った日」は非常に重要な照会事項なのです。

なお、回答書の書式によっては、被相続人の死亡を知った日に加え、どのように知ったかなどを記載する場合もあります。例えば、警察から電話を受けて知った場合には「〇年〇月〇日に、××警察署からの電話で被相続人の死亡を知った。」などと書き、兄弟からの手紙で知った場合には、「〇年〇月〇日に、別居している長男から手紙を受け取って被相続人の死亡を知った。」などと記載します。

2-2.どのように相続財産を知ったのか

「誰から、どのように(具体的に記入してください。)」の部分には、相続財産についてどのような経緯で知ったかについて、具体的に記述します。

  • 情報を提供した人物の氏名や関係:遺産整理を担当する弁護士、家族の一員など
  • その情報がどのような形で伝えられたか:直接会話、電話、手紙、メールなど

また、書式の中に「手紙等で知った場合には,その写しを同封してください。」とあるため、証拠となるものがあれば同封して返送します。

例えば、「長男が〇年〇月〇日に亡くなり、預貯金2,000万円と×市の土地がある。」といったような手紙や書類などで相続財産を知った場合は、その手紙や書類の写しを回答書とともに裁判所に提出しましょう。

記入例(どのように相続財産を知ったのか)

平成29年4月15日ころ
弟の田中太郎から、電話で連絡を受けました。太郎は被相続人である父の遺産整理を担当しており、父の死亡に伴い相続財産と借財の存在を教えてくれました。この情報を得た際に、太郎から受け取った財産目録のコピーを同封します。

2-3.申述人に相続放棄の意思があるかの確認

相続放棄の申述が、申述人本人の意思に基づくものであるかを確認する質問になります。上の書式には、選択肢として以下の3つがあるため、該当するものを選択します。

  1. 私の真意です

  2. 強要されました

  3. 知らないうちに申述書が裁判所へ提出されました

選択肢の(2)や(3)を選ぶと、相続放棄の申述が申述人の意思に基づくものではない、と判断され、相続放棄の申述が認められなくなる可能性があります。

2-4.相続放棄をする理由

相続放棄の申述書にも、相続放棄をする理由を記載して提出していますが、あらためて照会されることが一般的です。

  1. 債務超過のため(借財が多いため)

    被相続人の財産について、プラスの財産を債務が上回っている場合などに選びます。

  2. 遺産が少ないため

    遺産の総量が期待よりも少ないと思う場合や、遺産分割協議をする労力に対して得られる財産が見合わない、などと判断した場合に選びます。

  3. 〔       〕に遺産を継がせたいため

    他の相続人に遺産を譲りたい場合に選びます。空欄には、財産を譲りたい相続人の名前や自分との関係(母、弟、子どもなど)を具体的に記入します。

  4. 自分の生活が安定しているため

    既に経済的に安定しており、遺産を相続する必要がないといった場合に選びます。

  5. 被相続人から生前に財産をもらっているため

    生前に相続人から十分な贈与を受けており、遺産を相続する必要がないといった場合に選びます。

  6. 生前に疎遠であったため

    被相続人との関係が疎遠で、遺産を受け継ぐことに心理的抵抗がある場合などに選びます。

  7. その他(具体的に記入してください。)

    上記のどの理由にも当てはまらない場合には「その他」を選び、空欄に具体的な理由を記入します。

「その他」の空欄には、例えば以下のように記載します。

記入例(「その他」の場合)

  1. 海外移住を計画しており、日本国内の財産管理が困難であるため。
  2. 他の相続人らと遠方に暮らしており、高齢で長距離移動も難しく、遺産分割協議への参加が手間であるため。

基本的には、相続放棄の申述書に書いた理由と同じ理由を書くことになります。誠実かつ正確に記載することが重要です。

2-5.遺産の処分、隠匿、または消費をしたかどうか

相続放棄の手続きにおいて、家庭裁判所が特に重視する内容です。

被相続人の財産について、何らかの処分や使用があった場合、通常はその行為が単純承認とみなされ、相続放棄が認められなくなります。

具体的には、「不動産や自動車、携帯電話の名義変更」、「株式の議決権行使」、「家屋のリフォーム、大規模な修繕、取り壊し」、「高価な遺品の持ち帰り」といった行為が単純承認に該当することがあります。

回答書に記入する際は、虚偽の情報を提供することは法的に許されないため、事実に基づいて正確に記述する必要があります。

「ありません。」を選択した場合、特にその他の記載は必要ありません。「あります。」を選んだ場合は、具体的に何を行ったのか、その行為の日付、場所、そしてその行為に至った経緯や理由も詳細に記載してください。必要に応じて、弁護士に相談しましょう。

記入例

あります。

被相続人が知人に200万円の借金をしていたので、令和4年5月3日に、被相続人の××銀行××口座から預金200万円を引き出して、令和4年5月5日に知人へ直接手渡して弁済にあてました。

2-6.その他の照会事項

以上が、基本的に照会される質問事項の回答書の書き方と記入例になります。これらの他にも、裁判所によっては以下のような事項について照会を受けることがあります。回答例とあわせて、ご参考にしてください。

その他の照会事項と回答例

  1. 被相続人の生前の生活状況や経済状況等について、知っていたこと

    回答例:仕事の退職金と年金で、ごく一般的な生活をしていた。

  2. 生前の被相続人との連絡状況

    回答例:年始に被相続人の家へ立ち寄って挨拶をするくらいで、普段は電話やメールもしていない。

  3. 熟慮期間内に、相続財産の調査を行ったか

    回答例:被相続人の自宅のポストに督促状があった。銀行の通帳があったため、その口座の残高を調べた。

2-7.熟慮期間の経過後に申述を行った場合

熟慮期間3か月の経過後に相続放棄の申述を行った場合に、「なぜ3か月経ってからの申述となったのか」といった点について聞かれることがあります。この場合は、「熟慮期間内に財産の調査をしたときには、借金がなかった。3か月経ってから、借金の存在を知った。」といったように、相続放棄の申述が遅れた理由を記載しましょう。

2-8.書き間違えた場合

回答書を書き間違え、訂正をする場合には、修正液や修正テープは使用しないでください。誤字の上にボールペンで二重線を書き、その上に訂正印を押し、あらためて正しい記載で書いてください。

3.照会書の返送期限はある?

相続放棄の照会書・回答書の返送期限は、裁判所から受け取った照会書などに記載されています。

「令和○年○月○日までに返送してください」などと直接指定されている場合もありますし、「書面右上にある日付から10日以内に返送してください。」と書いてある場合もあります。

もし、何らかの事情で指定された期限内に回答書を返送できない場合は、返送期限が来る前に、家庭裁判所に連絡しましょう。

相続放棄照会書には、担当する窓口の連絡先の電話番号が記載されていることが多いです。電話番号が記載されていない場合は、申述をした家庭裁判所の代表番号に連絡して事件番号を伝え、担当窓口に回してもらいましょう。その際に、直通の電話番号を控えておくと、以後再び連絡することになった場合にスムーズです。

期限内に対応が難しいことを伝え、家庭裁判所の指示を仰ぎましょう。

4.相続放棄の照会書を書く際の注意点

さて、相続放棄の照会書・回答書の書き方でもいくつかの注意点はお伝えしましたが、あらためて注意事項を確認しておきましょう。

4-1.嘘は書かない

家庭裁判所へ返送した回答書は、家庭裁判所で保管されます。回答書に嘘を書かないように、必ず事実に沿って正確に記載しましょう。

特に、「単純承認とみなされると相続放棄ができなくなるから、財産を使ったことは隠しておきたい」といった方も見受けますが、財産を使ってしまった場合も、正直に書いてください。

その行為が単純承認に当たるかどうかを自己判断せず、事実のまま、その具体的な状況を詳細に説明するようにしましょう。

不正確な情報や不完全な記述は、新たなトラブルを発生させかねません。例えば、債権者が相続放棄の取り消しを訴えて裁判になった場合に、「相続財産を使ったのに、それを隠して相続放棄した」など問題となる可能性があります。手続きに不利な影響を及ぼすおそれもありますので、提出する書類には、嘘をつかずに回答しましょう。

4-2.原則として代筆は認められない

原則として、相続放棄の照会書・回答書は本人が回答しなければなりません。裁判所から送られてくる照会書にも、「あなた自身で回答を記入してください。」などと印字されています。

相続放棄の申述の照会は、申述人本人の意思で申述が行われたかを確認するための手続きです。本人以外が書いてしまっては、回答書が本人の意思に基づく記載であるかが不明瞭になってしまいます。

また、申述人本人としても、代筆によって微妙にニュアンスの違う内容で記入されたり、申述人の意思と異なる記載がされてしまうリスクがあります。

仮に、自分で記入することが難しい場合には、家庭裁判所に事前に連絡して代筆する旨を説明しておき、代筆が必要な理由を添えて、代筆者の住所氏名と本人との関係を記入の上、代筆者の署名押印をしておきましょう。

やむを得ず代筆を依頼する場合は、その相続において申述人本人と利害関係のない人(法定相続人以外)が推奨されます。

4-3.回答書の押印は相続放棄申述書と同じ印鑑で

回答書には申述人の署名押印が必要ですが、この押印には、相続放棄の申述書に使用したものと同一の印鑑を使ってください。これにより、相続放棄を申し立てた人物と、回答書を提出した人物が同一であることを裁判所が確認できます。

万が一、どの印鑑を使用したか忘れてしまった場合は、家庭裁判所に連絡して指示を仰ぐようにしましょう。場合によっては、印影の大きさや形を教えてもらえます。複数の候補があるときには、該当する印鑑を並べて押印するように指示されることもあります。

4-4.理由は法的要件ではない

相続放棄を行う理由は、法的に認められるかどうかには直接影響しません。相続放棄の動機が何であっても、それが法的な手続きの妨げになることはなく、「相続開始を知ってから3か月以内に家庭裁判所に相続放棄の申述を行ったか」、「単純承認に当たる行為がなかったか」という点が重要なポイントとなります。

4-5.簡単な確認は裁判所から電話で来ることも

ごくまれなケースですが、照会書を送るほどでもない簡単な確認などは、直接裁判所から電話で来ることもあります。

また、回答書を返送した後に、回答書に書かれた内容について確認の電話が来ることもあります。電話で返答して終わることもあれば、裁判所への出頭を求められることもあります。その際には、指示に従うようにしましょう。

4-6.空欄が足りない場合は別紙を添付しましょう

記載事項が多く空欄が足りない場合は、別紙を添付しましょう。A4サイズの用紙に横書きで回答内容を記載した上で、用紙左側の余白2か所をホチキスで止め、照会書・回答書に押印した印鑑で割り印を押してください。

相続放棄の確認方法

1.相続放棄したかどうかを調べられる?

相続放棄は家庭裁判所での手続きですので、その記録は裁判所に保管されています。ですので、特定の相続人が相続放棄を行ったかどうかは、家庭裁判所に問い合わせることで確認することが可能です。

ただし、家庭裁判所への問い合わせは、電話や口頭などではなく、書面を通じて行う必要があります。その手続きが、相続放棄におけるもう一つの「照会」になります。

2.相続放棄の照会の方法

申請を行うことができるのは、相続人と被相続人に対する利害関係がある人物(例えば債権者など)です。
相続放棄の照会手数料は無料で、申請をする際には「相続放棄・限定承認の申述の有無についての照会書
」と「被相続人等目録」を作成し、被相続人の最後の住所地を管轄する裁判所に提出します。被相続人の最後の住所地は、住民票(除票)で確認することが可能です。

照会書には、照会を行う本人の住所、氏名、電話番号などを記入し、押印します。被相続人や照会対象者については「被相続人等目録」に記載するため、通常は「別紙目録記載のとおり」と印字されています。

そして、「別紙目録記載の被相続人の相続に関し、照会対象者が特定の期間内に相続放棄または限定承認の申述をしたか否かの調査を依頼する」ため、該当の期間の始期と終期、照会を求める理由にチェックを入れます。

家庭裁判所では、提出された被相続人等目録に記載した氏名を基に、相続放棄の照会が行われます。

この際に提出する必要書類ですが、申請者が相続人か利害関係人かによって異なりますので、それぞれのケースに応じた書類をご確認ください。

相続人が申請する場合の必要書類

  • 被相続人の住民票の除票(本籍地が表示されているもの)
  • 照会者と被相続人の発行から3か月以内の戸籍謄本(照会者と被相続人との関係がわかる戸籍謄本)
  • 照会者の住民票(本籍地が表示されているもの)
  • 委任状(代理人に委任する場合のみ)
  • 返信用封筒
  • 返信用切手
  • 相続関係図など

利害関係人が申請する場合

  • 被相続人の住民票の除票(本籍地が表示されているもの)
  • 利害関係の存在を証明する書面のコピー(金銭消費貸借契約書、訴状、競売申立書、競売開始決定、債務名義等の各写し、担保権が記載された不動産登記簿謄本、その他債権の存在を証する書面など)
  • 委任状(代理人に委任する場合のみ)
  • 返信用封筒
  • 返信用切手

なお、相続放棄の有無を照会できる期間(調査対象期間)は、裁判所によって異なります。

相続放棄の照会書に関するQ&A

Q1.相続放棄の照会書と回答書の主な目的とは何ですか?

A:相続放棄の照会書と回答書の主な目的は、相続放棄の申述が本当に相続人の自由な意思に基づいて行われたかどうかを、家庭裁判所が確認するためです。裁判所は、相続放棄の申述が誤りや外部からの圧力によるものではなく、申述人の本意で行われたことを回答書によって確認します。

回答書には、相続放棄の理由や、相続放棄の申述が3か月の期限を過ぎてから行われた場合の理由などについても具体的に記載することになります。申述人は、照会書に記載された照会事項に対して、事実に沿って正確かつ具体的に記載した回答書を期限内に返送することが重要です。

Q2.相続放棄の回答書は普通郵便で返送しても大丈夫ですか?

A:相続放棄の回答書は普通郵便で返送することも可能です。裁判所から送られてくる照会書自体も普通郵便で送られてきます。
ですが、普通郵便では配達状況の追跡ができないため、書類が裁判所に無事届いたか、郵便事故や遅延がなかったかどうかを確認できません。

もし書類が届かなかった場合に、気付かないまま相続放棄の期限である3か月を経過してしまうリスクがあります。そのため、配達状況を追跡できる書留郵便やレターパックでの返送をおすすめいたします。

Q3.相続放棄が受理されたことをどのように確認できますか?

A:相続放棄の回答書を家庭裁判所に返送した後、通常は1週間から2週間の間に相続放棄申受理通知書が送られてきます。この通知書によって、相続放棄が正式に受理されたことが確認できます。

相続放棄照会書とは異なり、相続放棄受理通知書は手続きを行った全員に送付される書類です。もし2週間が経過しても通知書が届かない場合は、申述を行った家庭裁判所に問い合わせて、状況を確認することをおすすめいたします。

まとめ

本記事では、相続放棄の申述後に家庭裁判所から申述人に対して送付される「相続放棄申述の照会書」と、その回答書について弁護士が詳しく解説させていただきました。

相続放棄の申述が家庭裁判所で受理されるためには、この照会書が不可欠です。本記事でもお伝えしたとおり、照会書と回答書は、相続放棄の申述の正確性と正当性を示すため、重要な書類となっています。

3か月という熟慮期間内に、相続放棄の申述手続きを行って申述がスムーズに受理されるよう、回答書には正確に事実を記載し、嘘を書かず、なるべく早めに返送することが大切です。

とはいえ、遺産相続開始後の慌ただしい日々の中で、慣れない書類のやり取りを裁判所とするというのは、時間も手間もかかりますし、精神的にも負担になるかと思います。

このような相続放棄の申述は、お一人で抱え込まず、弁護士にご相談ください。
弁護士法人あおい法律事務所では、弁護士による遺産相続の法律相談を、初回無料でお受けしております。法律相談は、事務所にお越しいただくだけでなく、お電話でも可能です。当ホームページのWeb予約フォームやお電話にて、ぜひお気軽にお問合せいただければと思います。

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代表弁護士

雫田 雄太

略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。3,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。

家庭の法律問題は、なかなか人には相談できずに、気付くと一人で抱え込んでしまうものです。当事務所は、家庭の法律問題に特化した事務所であり、高い専門的知見を活かしながら、皆様のお悩みに寄り添い、お悩みの解決をお手伝いできます。ぜひ、お一人でお悩みになる前に、当事務所へご相談ください。必ずお力になります。