夫から慰謝料や親権の要求に屈することなく、慰謝料を拒否して親権を取得した30代女性の解決事例
30代女性(パート兼業主婦)Mさん
ご相談前の状況
Mさんは、婚姻中に、夫との価値観の不一致や夫のモラハラに悩んでいました。夫のモラハラとしては、Mさんに対して性交渉を強要するとか、まだ幼い子どもが3人もいるのにMさんにも働くことを強要するなどがありました。
Mさんは、夫のモラハラが原因で、婚姻関係はかなり悪い状況でしたが、子どもが3人いて、住宅ローンを組んだ後であったことなどから、離婚を決心できずにいました。
そんな中で、Mさんは、夫との関係が冷め切っていた中で、共通の趣味を持った異性と知り合い、一日だけ二人で遊びに行くことがありました。Mさんからすると、少しの息抜きのつもりであり、当然ながら不貞行為に及んだわけではなく、単に友人と時間を過ごしたに過ぎなかったのです。
ところが、これを知った夫は激怒し、Mさんに暴力を振るい、多額の慰謝料と親権を主張し、家からも出ていくよう求めてきました。Mさんは、このような夫の態度で離婚することを決意しましたが、慰謝料や親権などで不安を抱えることになり、弁護士にご相談に来られました。
ご相談後の状況
Mさんの抱えていた悩みは、①夫の行動はモラハラにあたるのか、②住宅ローンのある家はどうなるのか、③友人と遊びに行ったことが不貞行為とされるのか、④親権を取得できるのかという大きく4つがありました。これについて、弁護士は、①夫の行為は典型的なモラハラであること、②住宅ローンのある家は夫に取得してもらい、住宅ローン全額を夫に負担してもらうべきこと、③友人と遊びにいっても不貞行為にはあたらず、慰謝料を払う必要もないこと(反対に、夫のモラハラが慰謝料の対象になり得ること)、④Mさんが専ら子ども達を見てきたことからすれば、親権を取得できることを伝えました。
ご相談の後に、正式に弁護士が委任を受けることとなり、当初の方針のとおりに毅然と弁護士が対応していきました。夫にも弁護士が付き、慰謝料や親権などを主張してきましたが、すべて拒否して、反対に、離婚協議中の生活費を請求するなどして、Mさんの別居後の生活を安定させる対応も進めました。
弁護士は、夫のモラハラや暴力などを主張しながら、粘り強く交渉にあたりました。その結果、交渉から約4か月が経過した頃には、夫は、慰謝料を取り下げ、親権もMさんが取得することに応じ、住宅ローンも自らが負担することに応じてきました。反対に、Mさんが親権を取得することを前提に、養育費の支払いにも応じてきました。
その後、夫が子ども達との面会交流についても要望を出してきたため、適正な面会のあり方について、丁寧に話し合いを重ねました。面会交流は、これから子ども達を育てていく母親の負担となってはいけませんから、適正な内容とすることが大切です。Mさんも、協議中に試しに面会交流を数回行ってみるなどして、子ども達と自分にとって無理のない条件を整えることができました。
これらの取り決めをすべて合意書に盛り込み、最終的には当初の方針のとおりの条件で、離婚を成立させることができました。
解決のポイント
- モラハラには精神的暴力や性的暴力も含まれる。
- 住宅ローンは必ずしも負担しなくて良い。
- 不当な慰謝料や親権の要求には屈しない。
- 面会交流は子どもと母親に無理がない条件とする。
弁護士コメント
弁護士 雫田雄太
Mさんは、長い間、夫のモラハラで苦しんできました。もちろん、離婚後も大変なことはあるかもしれませんが、尊厳ある人生を子ども達と歩んでいくためには、離婚という決断が必要であったといえます。夫の不当な要求に最後まで屈することなく、新しい一歩を踏み出したMさんを心から応援したいと思います。