• 不倫慰謝料

不倫の証拠の集め方から立証方法まで!離婚や裁判に役に立つ

監修者:弁護士法人あおい法律事務所

代表弁護士 雫田雄太

略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。
3,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。

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夫や妻の不倫がわかったら、できるだけ証拠を集めるようにしましょう。

不倫が原因で離婚する場合や、慰謝料の請求を考えるなら、早めの準備が必要です。

証拠にはたくさんの種類がありますが、決定的なものがなくても、補充証拠を複数集めることで不倫を立証することが可能です。

今回は、不倫を立証するために有用な証拠と集め方、離婚や慰謝料の請求方法が認められる方法などについて解説します。

目次

不倫の証拠がない場合でも慰謝料請求は可能か?

離婚や慰謝料請求をスムーズに行うためには、不倫の証拠があるほうがよい

夫や妻の不倫が発覚して、離婚や慰謝料請求を考える方は少なくありません。

不貞行為について不法行為に基づく慰謝料請求をする場合、夫婦の配偶者が不貞行為をした事実を主張する必要があります。

不貞行為とは、判例では、配偶者以外の者と性交渉を持つこととされています。そのため、配偶者以外の者と性交渉をしたこと、又は性交渉をしたと強く推認できる事実を主張する必要があります。

しかし、いざ不倫を理由に離婚や慰謝料を請求しようとしても、相手が不倫したことを認めなければ、話し合いは難航してしまいます。

また、配偶者や不倫相手が不倫したことを認めて、離婚や慰謝料請求に応じると言った場合であっても、証拠がなければ後々トラブルになる可能性もあります。

夫や妻の不倫で離婚や慰謝料請求を考えている場合は、できるだけ不倫の証拠を集めておくことが大切です。

不倫の証拠がなくても、不倫を理由として離婚や慰謝料請求ができる?

不倫の証拠がない場合でも、不倫をした配偶者や不倫相手が不貞行為を認めた場合は、不倫を理由に離婚や慰謝料を請求することができるようなケースもあります。

例えば、法律上、不倫を理由に慰謝料を請求できるのは、配偶者が不倫相手と肉体関係を持っている場合です。

そのため、配偶者の不倫を立証するためには、不倫相手と肉体関係を持っていた証拠を集めなくてはなりません。

有用な証拠としては、配偶者と不倫相手が手をつないで一緒にホテルに入っていく写真などが挙げられるでしょう。しかし、そのような写真を一人で入手するのはとても大変なことです。不貞行為は秘密裏に行われることが多いため、性交渉そのものの事実を示す証拠を取得することはほとんどできません。

では、「不倫の決定的な証拠がないと、慰謝料請求が認められないのか?」と疑問に思うでしょうが、そうとも限りません。

裁判では、配偶者と不倫相手の間に肉体関係があったと認める決定的な証拠がない場合でも、慰謝料の請求や離婚を認めたケースもあります。

その場合は、配偶者が不倫相手とどのような交際をしているのかがわかるような補充証拠を集めることになります。法律上、不倫を理由に慰謝料を請求できるのは、配偶者が不倫相手と肉体関係を持っている場合ですので、肉体関係にあることを強く推認させる証拠を入手していくことになります。

例えば、配偶者と不倫相手のSNSやメールでのやり取り、着信履歴、一緒に出掛けたと考えられる食事や映画館などのレシート、ホテルの利用履歴などは、それ一つでは証拠として弱いものになりますが、補充証拠をたくさん集めておくことで、決定打となる証拠がなくても、「これなら不倫をしていそうだ」と裁判官が不倫を認めてくれる場合があります。

また、配偶者と不倫相手の間に肉体関係が認められない場合でも、少額であれば不倫の慰謝料請求が認められたケースもあります。

不倫について決定的な証拠がないからといって、不倫された側が泣き寝入りする必要はありません。

夫や妻の不倫について、離婚や慰謝料請求を考えている方は、まずは弁護士などに相談して、有用なアドバイスを受けることをおすすめします。

不倫の証拠になるものは?写真や証言などで不倫を立証することはできるか?

相手が認めない限り、不倫をされた側は泣き寝入りをするしかないの?と不安に思われるかもしれませんが、そうではありません。

相手が不倫を認めない場合でも、証拠を集めることで、離婚や慰謝料請求が認められる可能性が高まります。

また、相手が話し合いに応じない場合には、最終的に裁判所の調停や裁判を利用することになりますが、そのようなときには、不倫の証拠があると有利な主張を行うことができます。

では、不倫を理由に離婚や慰謝料請求を行う場合、どのような証拠が役に立つのでしょうか?

不倫による慰謝料を請求するときに、証拠として認められやすいものは以下のとおりです。

 

  • ホテルや不倫相手の家に出入りしている写真や動画(短時間の滞在では肉体関係があったと認められないケースもあります。ホテルに入った時間と出て行った時間を必ず記録しましょう)
  • ラブホテルの領収書、ラブホテルの会員証、ラブホテルのポインドカードやクレジットカードの利用明細書
  • 配偶者と不倫相手のやり取りの記録(「またしたいね。」などの肉体関係をほのめかすようなやり取り、不倫を推察できる写真や動画など)
  • 不倫を認める音声や動画(ドライブレコーダーなど)、LINEやSNSなどの記録
  • 携帯電話の位置情報、GPS等
  • 手紙、手帳、日記等

 

ここから1つずつ詳しく解説していきます。

不倫の証拠となるもの

証拠①:ホテルや不倫相手の家などに出入りしている写真や動画

夫や妻が不倫相手とホテルや不倫相手の家などに出入りする写真や動画は、証拠としてとても有効です。

なぜなら、客観性が高く、信頼性があるからです。配偶者と不倫相手のどちらか一方しか映っていない写真では、証拠として弱いので、できるだけ配偶者と不倫相手の両方が写りこんでいるものを準備できるといいでしょう。

また、短時間のホテルの滞在では肉体関係にあったと認められないケースもありますので、ホテルに入った時間と出て行った時間を必ず記録しましょう。

証拠②:ホテルの領収書やクレジットカードの利用明細書

夫や妻が不倫相手とラブホテルなどを利用した場合、写真や動画と一緒に、利用したホテルの証明書なども証拠の一つとなります。

また、クレジットカードでETCの利用履歴などが見れる場合は、ホテルの行き来に車を利用したことを証明することができます。

領収書や明細を見付けた場合は、携帯電話で写真を撮って置いたり、保存しておくとよいでしょう。

ただし、領収書やクレジットカードの明細は、単独では不倫の証拠として弱いので、それ以外に写真など別の証拠も必要になるでしょう。

過去の裁判例(名古屋高判平成21年5月28日)として、夫の持ち物からラブホテルの割引カードやホテルや飲食店の領収書等が発見されたことから、妻が夫の不貞行為を主張した事案において、夫は「ホテルに宿泊し飲食店を利用したのは出張などの業務のために利用した。」などと主張しましたが、夫の不貞行為が認定された事例があります。

証拠③:配偶者と不倫相手のやり取りの記録

LINEやSNS,メールなどで、夫や妻が不倫相手とホテルに行く約束をしていたり、また肉体関係をほのめかすようなやり取りがある場合、これらのやり取りが記録されている携帯電話の画面の画像などが不倫の証拠となりえます。

ただし、嫌がる配偶者から無理やり携帯電話を奪ったりすると、不倫された側の言動に責任を問われかねませんので、入手方法には注意してください。

証拠④:不倫したことを自白した音声や動画、LINEやSNSなどの記録

夫婦で話し合った結果、配偶者が不倫を自白したり、喧嘩の最中に配偶者が不倫を認める発言をした場合、これらの記録が不倫の証拠になる可能性があります。

しかし、口頭で自白しただけでは、「そんなこと言ってない」など後からいくらでも覆される可能性がありますので、録音をするなどできるだけ記録媒体に残すことをおすすめします。

また、夫や妻が不倫を自白したという事実だけでは、不倫の証拠として弱いため、やはり不倫の写真など、他の証拠も集める必要があるでしょう。

証拠⑤:第三者の証言

知人や家族などの第三者が、配偶者の不倫現場に遭遇して、配偶者の不倫を証言してくれるときがあります。

第三者の証言は証拠としては弱く、証言だけでは証拠として認められないケースも少なくありません。

しかし、証言以外にも夫や妻が不倫をしていることが推察されるやり取りや写真などの証拠がある場合、その記録と矛盾しない証言なら、補充証拠として使える可能性があります。

不倫をしていることの決定的な証拠がない場合は、このような補充証拠が多いほうが不倫の立証が認められる可能性がありますので、もし第三者の証言がある場合には、書面などに残しておくとよいでしょう。

これだけの証拠を集めるのはとても大変です。

より効率的かつ効果的な証拠を集めたい場合には、弁護士事務所や探偵事務所などを利用するとよいでしょう。

不倫の証拠を効率的に集めるためにはどうすればいいか?

妻や夫に不倫を訴えるためには、まずは不倫の証拠を集める準備をしましょう。

しかし、不倫の証拠を一人で集めるにはとても時間が掛かります。
証拠を集める手間や時間が惜しい方には、探偵事務所を利用して不倫調査を依頼する方法があります。

探偵事務所で不倫・浮気調査を依頼する方法

ここからは、探偵事務所で不倫調査を依頼する方法について解説します。

普段の生活では、探偵事務所を利用する機会はそうそうないと思います。

なので、探偵事務所に不倫調査を依頼するとなると、少しハードルが高く思われるかもしれません。

しかし、夫が妻の不倫の証拠を集めるには、不倫調査のプロである探偵事務所を利用することがおすすめです。

探偵事務所の不倫調査を利用するメリットとしては、自分で調べる手間が省けるほか、夫が妻の不倫を疑っていることがばれにくいことや、慰謝料請求や離婚の裁判で有益になるレベルの不倫の証拠を集めることができることです。

では、探偵事務所が行う不倫調査は、どのようなものになるのでしょうか。

探偵事務所では、夫や妻の尾行や張り込みを行って、不倫の証拠を集めます。

尾行では、夫や妻の行動を追跡しながら、不倫相手との接触やホテルの出入りなどの証拠を集めることができます。

また、張り込みでは、夫や妻がホテルや不倫相手の家などに入る際に、その場を監視できる位置に待機して、建物から出てくるまで待ち続けます。

配偶者の不倫を証明するためには、不倫相手と肉体関係を持っていることを立証する必要があり、その場合は、長時間ホテルや不倫相手の家などに不倫相手と滞在している状況などを押さえなければいけません。

写真や動画などの証拠を集めようとすると、一晩中ホテルなどに張り付いて配偶者や不倫相手の言動を監視する必要があります。

しかし、プロの探偵に不倫調査を依頼することで、仕事や睡眠の時間を削ることなく、不倫の証拠を集めることができます。

また、探偵事務所では、不倫調査の結果について、調査報告書を作成します。

夫や妻の行動の詳細や不倫相手の情報などについて、写真なども添付された報告書となっておりますので、不倫の慰謝料を請求する際や離婚訴訟において十分に有効な証拠となるでしょう。

一人でこれだけの証拠を集めるには、とても大変です。より効率的かつ効果的な証拠を集めたい場合には、探偵事務所などを利用するとよいでしょう。

不倫を原因として離婚や慰謝料を請求する方法とは?

夫や妻の不倫が1度でも発覚すると、配偶者を信用できなくなり、離婚を考えてしまうのも仕方ありません。

不倫を原因として離婚する場合は、同時に不倫の慰謝料についても請求することができます。

では、具体的にどのようにして、不倫した夫や妻に離婚や慰謝料請求の話を進めるのでしょうか?

離婚と同時に不倫の慰謝料を請求するためには、以下のような手段を取ることができます。

 

  • 当事者間で話し合う
  • 弁護士に依頼して、示談交渉を行う
  • 裁判所で調停又は訴訟を提訴する

 

以下は、それぞれの方法について解説します。

当事者間の話し合いで離婚や慰謝料について請求する

まずは、当事者同士の話し合いによって離婚や慰謝料について請求する方法です。

夫婦が離婚する場合、日本では夫婦が話し合いで合意すれば協議離婚をすることができます。

このときに、離婚の原因として配偶者の不倫を訴えることで、離婚と一緒に不倫についても慰謝料を請求することができます。

ただし、夫や妻の不倫を訴える前に、まずは冷静に不倫の事実を確認する必要があるでしょう。

夫や妻が不倫を認めている場合は、話し合いも比較的スムーズに進みやすいですが、不倫を否認する場合は、話し合いが難航してしまいます。

夫や妻が不倫を否認する可能性も踏まえて、事前に不倫の証拠を準備しておくとよいでしょう。

不倫した夫や妻と離婚する場合、協議離婚書に必要事項を記入して役所に提出して、役所がこれを受理することで法的に離婚が認められます。

一方で、不倫の慰謝料請求については、配偶者や不倫相手が支払ってくれさえすれば、わざわざ書面にまとめる必要はありません。

しかし、口約束では後からいくらでも慰謝料請求の条件を覆される可能性がありますので、口頭で約束することはおすすめできません。

不倫の慰謝料請求について話し合う際には、できるだけ会話のやり取りを録音したり、約束事項を書面にまとめるなどして、客観的な証拠を残しておきましょう。

慰謝料請求の条件を取りまとめる場合には、以下の内容を記載するとよいでしょう。

 

  • 不倫したことを認めること(不倫相手の名前、不倫相手が不倫配偶者が既婚者であることを知っていたこと、肉体関係の回数・期間など)
  • 不倫の慰謝料として総額〇円を請求すること
  • 慰謝料の支払い方法(一括か・分割か)
  • 慰謝料の支払い期限・支払い期間(〇年〇月〇日までに支払う/〇年〇月~〇年〇月の期間、毎月〇日限りに支払う)
  • 分割払いの場合、二度にわたって支払いが滞った場合は、一括支払いをすること
  • 上記支払い条件に違反した場合には違約金を支払うこと
  • 二度と不貞相手と接触しないこと
  • 合意が成立した日時
  • 当事者の氏名・住所

 

話し合いの結果、不倫した夫や妻と離婚しない場合は、約束事を作っておく

一方で、夫や妻の不倫が発覚しても、不倫後の反省した態度や子供のことを考えて、離婚しないで婚姻生活を続けるようなケースもあるでしょう。

しかし、一度不倫をした人は、不倫へのハードルが低くなる傾向があり、一旦反省はするものの、しばらくするとまた不倫行為を繰り返すというケースも少なくありません。

したがって、夫や妻と離婚しない場合でも、不倫行為を繰り返させないために、いくつか約束事を作っておくことをおすすめします。約束事は必ず書面などにまとめ、約束を破った場合のペナルティを作っておくとよいでしょう。

離婚しない場合のペナルティー付きの約束の例としては、

 

  • 不倫相手の女連絡先、SNSの繋がりなどをすべて消去すること
  • 今後一切、不倫相手と接触しないこと
  • 要求した場合、携帯電話を預けること
  • 再び不倫をした場合は離婚すること
  • 離婚時の慰謝料は〇〇〇万円とすること

 

などです。

離婚しない場合は、今後の婚姻生活を安定させるために、きちんと約束事を作りましょう。

どのような約束にするかは、配偶者の性格や経済状況などにもよります。

もっとも、「再び不倫をした場合には離婚すること。」という条件については、その合意をするリスクに注意する必要があります。

離婚は、法律上は「身分行為」に該当するため、離婚をするという合意は、身分行為に関する合意になります。ですが、身分行為には、条件や期限を設けることはできません。そのため、上記のような「再び不倫をした場合には離婚すること。」という合意をしたとしても、身分行為に条件を定めた合意であるため、原則として無効となるのです。

ただ、再び配偶者が不倫をした場合には、夫婦の当事者間で上記約束をしたことを前提に、その約束に従って離婚してほしいと配偶者と話し合いをすることはできるでしょう。その際に、配偶者が離婚に応じてくれれば良いですが、離婚を拒否された場合には、身分行為に条件を定めた約束は原則として無効であり、法的拘束力がないため、約束に従った離婚を強制することはできません

また、「離婚時の慰謝料は、〇〇〇円とすること。」という条件についても、その合意をするリスクに注意する必要があります。

裁判例で認められる慰謝料額を大きく上回るような金額で合意をした場合には、後々その合意の有効性が争われて、無効になる可能性があります。たとえば、夫婦が離婚しないにもかかわらず、1000万円の慰謝料の合意をした場合などには、無効となるリスクが高いといえるでしょう。また、慰謝料に関する合意をするまでの過程が問題となって、合意自体が無効となるリスクもあります。たとえば、後々配偶者が、無理やり合意させられたなどと争ってきた場合には、無効となるリスクが高いでしょう。

そのため、リスク管理という観点からは、慰謝料に関する合意を定めたい場合は、配偶者との話し合いの段階から弁護士に依頼することをおすすめします。

また、書面の内容に迷ったり、書面に法的な拘束力を付けたい場合など、離婚しない場合の約束事で不安があるときには、弁護士に相談してみるとよいでしょう。

弁護士に依頼して離婚や慰謝料について示談交渉を行う

夫や妻が不倫を認めずに、話し合いが難航する場合は、弁護士に依頼して離婚や不倫の慰謝料について示談交渉を行ってもらう方法があります。

弁護士は、プロの法律家ですので、法的に有効な証拠の集め方や離婚や不倫の慰謝料を請求できるケースかどうか、不倫の慰謝料の相場などについて判断を任せることができますし、依頼人の代わりにすべての示談交渉を行ってくれます。

弁護士の示談交渉の方法としては、まず内容証明郵便を利用して、弁護士から不倫した夫や妻に対し離婚と慰謝料請求に関する通知書を送付します。

次に、相手からの返答を踏まえて、離婚、親権や養育費、慰謝料の請求金額やそのほかの条件について交渉していきます。

内容証明郵便とは、郵便局が内容を証明してくれる制度のことです。

郵便局と自分の手元に相手に送った文書と全く同じ内容の写しが控えられるため、相手に送った文書内容を証明することができます。

そのため、配偶者から「離婚や慰謝料請求の話なんて聞いていない!」と言われても、反論することができます。

弁護士による示談交渉によって、離婚や不倫の慰謝料請求に合意した場合は、その内容に基づいて弁護士が合意書を作成します。

公正証書に残す場合は、配偶者や不倫相手が慰謝料の支払いを怠った場合に強制執行をすることも可能になります。

さらに、不倫相手についても、不倫相手の情報がわからない場合などに、弁護士は職権によって「戸籍や住民票の職務上請求」や「弁護士会照会」という方法により不倫相手の連絡先を調べられる可能性があります。

また、弁護士に示談交渉を任せれば、妻は不倫相手と直接関わる必要はないので、精神的にも負担が減ることでしょう。

どのような内容で条件をまとめるのかは、依頼人の希望をもとに弁護士が考えてくれます。離婚や慰謝料請求の問題について一緒に解決することができますので、交渉の手間が省けるだけでなく、一貫して妻の味方をしてくれます。

夫や妻の不倫が発覚して動揺もある中で、弁護士にすべての示談交渉を任せられるので、非常におすすめです。

裁判所で離婚調停を申し立てる方法

弁護士による示談交渉を行ってもなお、話し合いがまとまらない場合、裁判所で調停又は裁判を起こすことになります。

離婚と同時に慰謝料を請求したい場合は、まずは家庭裁判所で夫婦関係調整(離婚)調停を申し立てることになります。

離婚調停では、離婚と同時に親権、養育費、面会交流、財産分与、慰謝料請求などについても細かく内容をまとめることが可能です。

調停を申し立てるときには、まず裁判所に対して必要書類を提出します。必要書類には、申立ての趣旨や親権、養育費、慰謝料請求などについての希望条件を記載することになります。

提出した書類は、裁判官や調停委員によって、夫婦双方がどのような主張を行っているのかを確認し、その後の調停進行に反映されることになります。

したがって、配偶者の不倫行為が原因で離婚したいと考えていること、離婚と同時に慰謝料を請求したいことをしっかりと記載しておきましょう。

また、不倫の証拠を準備している場合は、書面と一緒に裁判所に証拠を提出しましょう。

調停は、裁判官と二人の調停委員で構成された調停委員会が、夫婦の話し合いの仲裁を行います。

調停はそれぞれの条件で合意することができれば、離婚が成立しますが、一方が条件に応じない場合は話し合いが難航します。

不倫の慰謝料についても、夫が不倫を認めない場合は、話し合いが平行線になってしまうため、反論に耐えうる証拠を準備しておくとよいでしょう。

調停が成立すれば、調停調書が作成されます。

調停調書には、夫婦が離婚することや、不倫の慰謝料の総額や支払い条件などについてまとめて記載されます。

調停調書に記載された内容は法的な拘束力が生じるため、不倫の慰謝料の支払いが滞った場合には、給与の差し押さえなどの強制執行が可能となります。

裁判所の調停手続は、弁護士に依頼しなくても一人で行うことができますが、法律の知識があるほうが、優位な主張を行うことができますので、一度は弁護士に相談しておくとよいでしょう。

特に不倫の慰謝料を請求する場合は、調停で有用なレベルの証拠を集めたり、過去の判例などから適切な慰謝料請求の相場を把握する必要がありますので、このような場合は弁護士に代理人を依頼することがよいでしょう。

離婚や不倫の慰謝料請求について話し合いが難航する場合は、調停は不成立となり、必要に応じて、裁判を提起することになります。

裁判所で離婚訴訟を提起する方法

調停が不成立となった場合、裁判所で離婚訴訟を提起することができます。

離婚裁判では、調停で話し合った内容などもある程度引き継がれますが、より厳密に法律の条文に沿った審理が行われます。

そのため、裁判で離婚するためには、民法の離婚事由を満たす必要があります。

不倫は、民法上の離婚事由(不貞行為)として認められていますので、夫や妻の不倫が不貞行為として認められる場合は、離婚と不倫の慰謝料請求が同時に認められる可能性が高いと考えられます。

ただし、不倫が不貞行為として認められるためには、その証拠が必要となります。

証拠を基に配偶者が不貞行為を行っていたことを主張し、裁判官から見ても不貞行為があったと判断された場合には、不倫行為による離婚や慰謝料請求が認められるでしょう。

裁判の終結方法としては、裁判官によって離婚と不倫の慰謝料の請求を認める旨の判決がでるか、裁判の途中で夫婦間で離婚と不倫の慰謝料を支払うことに合意して和解する方法があります。

裁判所で決まった内容については、判決文が作成されるため、もし不倫の慰謝料の支払いが滞った場合には、強制執行が可能となります。

裁判で離婚や不倫の慰謝料を勝ち取るためには、法律の知識を基に上手に主張書面を作成したり、不倫の証拠を裁判所に提出する必要がありますので、ほとんどのケースで弁護士が依頼人の代わりに手続きを行っています。

また、調停で話し合っていた内容も踏まえて裁判手続は行われるので、調停と同じ弁護士に依頼することで、スムーズに手続きを行うことができるでしょう。

不倫の立証は難しい?不倫を原因とした離婚や慰謝料請求が認められるのは、肉体関係がある場合

なお、裁判や調停で注意しておきたい点として、配偶者の不倫の証拠を集めても、すべてのケースで離婚や慰謝料請求が認められるとは限りません。

法律上、不倫の慰謝料請求が認められるのは、不倫相手と肉体関係を持った場合です。

なぜなら、不倫相手と肉体関係を持つことは、民法上の不貞行為や不法行為にあたり、損害賠償を請求することが認められているためです。

もし調停や裁判で配偶者の不倫を原因として離婚や慰謝料請求を行う場合は、配偶者が不倫相手と肉体関係があったことを立証できるような証拠を集める必要があるでしょう。

決定的な証拠がなければ不倫の立証は難しいと感じるかもしれませんが、補充証拠があれば、請求が認められるケースもあります。

一人では不倫の立証が難しいと感じる場合などは、まずは弁護士事務所にご相談されるとよいでしょう。

慰謝料請求の時効に気を付ける

不倫の慰謝料を請求する場合、民法では、「不貞行為があったこと」及び「不貞行為の相手が誰かを知ったとき」から3年が時効となっています。

したがって、過去の不貞行為について慰謝料を請求したい場合でも不貞行為があったとき又は不貞行為の相手を知ったときから3年以内であれば、慰謝料の請求が可能です。

 

不貞行為の相手に慰謝料を請求する場合、不貞相手がどこの誰なのかがわからない限り、時効はカウントされません。不貞相手の名前や住所など、具体的な請求先がわかってから、3年の時効はスタートします。

さらに、最後の不貞行為から20年を経過した場合でも慰謝料請求が認められなくなるため、時効の期間には留意しましょう。

時効について詳しく知りたい方は弁護士事務所に一度相談されることをおすすめします。

不倫の証拠の集め方から立証方法まで!離婚や裁判に役に立つに関するQ&A

不倫の証拠として有効なものは何ですか?

不倫による慰謝料を請求するときに、証拠として認められやすいものは、①ホテルや不倫相手の家に出入りしている写真や動画、②ホテルの領収書やクレジットカードの利用明細書、③配偶者と不倫相手のやり取りの記録、④不倫を認める音声や動画、LINEやSNSなどの記録などが挙げられます。

不倫の証拠を効率的に集めるためにはどうすればいいでしょうか?

不倫の証拠を一人で集めるにはとても時間が掛かります。

そのよう場合には、探偵事務所を利用して不倫調査を依頼するとよいでしょう。

探偵事務所を利用するメリットとしては、自分で調べる手間が省けるほか、配偶者に不貞行為を疑っていることがばれにくいことや、慰謝料請求や離婚の裁判で有益になるレベルの不貞行為の証拠を集めることができます。

不倫を原因として離婚や慰謝料を請求する方法にはどのようなものがあるでしょうか?

不倫を原因として離婚する場合は、同時に不倫の慰謝料についても請求することができます。

この場合、①夫婦間で話し合う、②弁護士に依頼して、示談交渉を行う、③裁判所で調停又は訴訟を提訴するなどの方法があります。

ただし、裁判や調停で不倫を原因とした離婚請求や慰謝料請求を行う場合は、配偶者と不倫相手の間で肉体関係があったことを立証する必要がありますので、裁判で有用な証拠を事前に準備しておくとよいでしょう。

不倫の証拠を集めるなら弁護士事務所にご相談を!

不倫を理由に離婚や慰謝料を請求するときには、できるだけ不倫の証拠を集めて、優位な交渉を目指しましょう。

しかし、不倫の決定的な証拠がない場合や、難しい裁判手続などを行う場合などには、一度弁護士事務所に相談されることをおすすめします。

弁護士に依頼するメリット①:不倫の慰謝料請求が可能か判断することができる

不倫の慰謝料請求が認められるためには、法律の条件を満たす必要があります。

そのため、どのようなケースで不倫の慰謝料請求が可能であるのか判断するためには、法律の知識が不可欠となっています。

弁護士に相談することで、まずは自分の場合に慰謝料を請求することができるかどうかを確認することができるのでおすすめです。

弁護士に依頼するメリット②:不倫を立証するために有利な証拠などを集めることができる。

配偶者や不倫相手が不倫を認めない場合や、裁判などで離婚や不倫の慰謝料を請求する場合には、必ず不倫の証拠が必要になります。

特に不貞行為を立証するには、配偶者と不倫相手が肉体関係にあることを証明しなければなりません。客観性の高い写真や動画などの証拠を集めるためには、プロの弁護士に相談することが一番です。

弁護士に依頼するメリット③慰謝料請求の交渉や離婚手続、裁判手続などをすべて任せることができる

不倫の慰謝料を請求するためには、不倫の証拠を集めたり、配偶者や不倫相手と交渉する必要があります。

弁護士に依頼すると、弁護士が依頼主の代わりにすべての手続を行ってくれるため、依頼主は準備の手間が省けるほか、不倫相手に関わらずに済むため、気持ちの面でもとても負担が減ることでしょう。

不倫の慰謝料請求を行う場合は、支払い額や支払い方法、強制執行が可能な内容などにまとめておく必要があります。時効や除斥期間を踏まえてながらそのような話し合いを行うのはとても大変です。

弁護士に任せることで、細かな条件のすり合わせも可能となり、法的に有効な内容で取りまとめることができるため、安心して任せることができます。

また、裁判で慰謝料を請求する場合は、裁判手続に則った書面の作成や立証の手順があります。自分ひとりでは難しいことでも、弁護士に任せることで、自分の優位な主張が可能となります。

さらに、不倫の慰謝料請求の段階で弁護士に手続きを依頼しておくと、事情を知っている弁護士が、別居や離婚についても配偶者と交渉を行ってくれたり、離婚調停や離婚裁判で手続を代理してもらうことができます。

このように、弁護士事務所では、依頼者に代わって、弁護士がすべての手続きを代理で行うことができます。

不倫をされた側はもちろん、不倫をした側で自分の行為によって慰謝料を請求されるか不安な方なども、一度弁護士事務所に相談して、弁護士からのアドバイスを受けるとよいでしょう。

不倫による慰謝料請求をお考えの方は、一度弁護士へご相談ください。

この記事を書いた人

雫田 雄太

弁護士法人あおい法律事務所 代表弁護士

略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。3,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。

 

家庭の法律問題は、なかなか人には相談できずに、気付くと一人で抱え込んでしまうものです。当事務所は、家庭の法律問題に特化した事務所であり、高い専門的知見を活かしながら、皆様のお悩みに寄り添い、お悩みの解決をお手伝いできます。ぜひ、お一人でお悩みになる前に、当事務所へご相談ください。必ずお力になります。

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