不倫現場を目撃したら?証拠を押さえるまでは冷静に
偶然、夫や妻の不倫現場を目撃してしまったらどう対処すればよいのでしょうか?
慰謝料や離婚を考えている場合には、あまりに突然のことで冷静さを失い、その場で問い詰めてしまうのはあまりおすすめできません。
確かな証拠を手に入れるまでは、できるだけ落ち着いて対応することが望ましいといえます。
ここでは、配偶者の不倫現場を目撃したときの対応の仕方や証拠の集め方、また、不倫についての慰謝料請求や離婚について解説します。
目次
夫や妻の不倫現場に遭遇したら?
夫や妻の不倫現場を目撃してしまうと、突然のことにとてもショックを受けてしまい、冷静な判断ができなくなります。
その場で配偶者や不倫相手に対して、不倫を問い詰めたい気持ちになってしまうのも仕方のないことです。
しかし、配偶者との離婚や、不倫の慰謝料請求を考えるなら、不倫の証拠を集める必要があります。
不倫現場を目撃したことは、不倫をしていることの疑いようのない証拠となりそうですが、目撃したという事実だけでは不十分であることが多いです。
離婚や慰謝料請求の場面では、より強力な証拠が必要になるため、「ただ不倫現場を目撃した」という供述だけでは、不倫の証拠として弱いためです。
不倫現場を目撃しても、不倫をしている写真など、確定的な証拠を手に入れるまでは、できるだけ冷静に振る舞うようにしましょう。
鉢合わせをして修羅場になりそうなときは
配偶者にばれていない場合は、気付いていないふりをして過ごすべき?
不倫現場を目撃しただけでなく、配偶者と不倫相手が一緒にいるところに遭遇した場合はどうすればいいのでしょうか。
不倫現場に遭遇しても、夫や妻があなたの存在が見つかっていなければ、しばらくは気付いていないふりをして過ごすことが賢明です。
なぜなら、偶然会っただけの友達だと言い逃れをされる可能性もあるからです。また、あなたが不倫を知ってしまったことがばれてしまえば、夫や妻は不倫の証拠を隠滅するかもしれないからです。
あなたが証拠を集めようとしても、すでに不倫相手の連絡先や写真やLINEのやり取りなどを削除している可能性があります。
したがって、あなたが不倫の確定的な証拠を集められるまでは、たとえ不倫現場に遭遇したとしても、不倫に気付いていないふりをして過ごしたほうがよいでしょう。
配偶者や不倫相手が気付いている場合でも、冷静になれるまでは話し合いも避けた方がよい
一方で、配偶者や不倫相手があなたに気付いた場合はどのようにすればよいのでしょうか?
目の前に配偶者と不倫相手がいれば、とてもショックを受けますし、動揺することでしょう。
だからといって、感情的になって配偶者や不倫相手を罵倒したり、万が一にでも暴力を振るうようなことがあっては、相当な修羅場になり、かえってあなたが悪者になってしまうこともあります。
不倫現場に遭遇したら、その場で、相手の住所や名前、不貞の時期、期間不貞回数などについて一筆書いてもらうことも考えられますが、その時は怒りや悲しみの気持ちで正しい判断ができない可能性がありますので、話し合いは後日がよいでしょう。
配偶者や不倫相手と話し合えるくらいに冷静になるまで、時間を置くことを検討してみてください。
不倫の証拠を押さえるためには?ホテルや家に行っている写真など
離婚や慰謝料請求をスムーズに行うためには、不倫の証拠があるほうがよい
夫や妻の不倫を目撃すると、悲しみや怒りなどの感情が襲ってくることでしょう。
しばらくは感傷的な日が続くかもしれませんが、少し冷静になると、不倫をした夫や妻との離婚や慰謝料請求を考えたりします。
しかし、いざ不倫を理由に離婚や慰謝料を請求しようとすると、相手は不倫したことを否定して、話し合いは難航してしまいます。
夫や妻の不倫を理由に、離婚や慰謝料請求を行う場合は、不倫の証拠が必要になります。
不倫の証拠になるものとは?
夫や妻の不倫現場を目撃したら、できるだけ早く不倫の証拠を集めるようにしましょう。
時間が経つと、不倫の証拠を隠滅されたりする恐れがあるため、配偶者に見付からないように準備することがおすすめです。
では、不倫現場を目撃した場合、どのような証拠を集めるとよいのでしょうか?
離婚や不倫の慰謝料を請求するときに、不倫の証拠として認められやすいものは以下のとおりです。
- ホテルや不倫相手の家に出入りしている写真や動画(短時間の滞在では肉体関係があったと認められないケースもあります。ホテルに入った時間と出て行った時間を必ず記録しましょう)
- ホテルの領収書やクレジットカードの利用明細書
- 配偶者と不倫相手のやり取りの記録(肉体関係をほのめかすようなやり取り、不倫を推察できる写真や動画など)
- 不倫を認める音声や動画、LINEやSNSなどの記録
ここから1つずつ詳しく解説していきます。
証拠①:ホテルや不倫相手の家などに出入りしている写真や動画を撮影する
夫や妻が不倫相手とラブホテルや不倫相手の家などで一夜を過ごしていることを示す写真や動画は、証拠としてとても有効です。
なぜなら、通常、ラブホテルは性行為を行う場所として考えられており、そのような場所に異性と長時間立ち入ったことが分かれば、よほどのことがない限り、不貞があったということができるからです。
不倫相手だけがラブホテルに立ち入ったことしか映っていない写真だけでは、配偶者と不貞が行われたとまでは言うことができないという意味で、証拠として弱いので、撮影できる場合は、できるだけ配偶者と不倫相手の両方が写りこんでいるものを準備できるといいでしょう。
他方で、配偶者のみがラブホテルに立ち入って、相当期間滞在していることが分かる動画や写真の場合には、状況によっては不貞行為があったこということができる可能性があります。
また、短時間のホテルの滞在では肉体関係にあったと認められないケースもあります。つまり、性行為などを行うためには、相応の時間を要することから、およそ性行為ができないような短時間の滞在の場合には、不貞がなかったと裁判所に認定されてしまう可能性が高いのです。
以上から、ホテルに入った時間と出て行った時間が分かるようにしておきましょう。
証拠②:ホテルの領収書やクレジットカードの利用明細書
夫や妻が不倫相手とラブホテルなどを利用した場合、写真や動画の他に、利用したホテルの領収書なども証拠の一つとなります。
また、クレジットカードでETCの利用履歴などが見れる場合は、ホテルの行き来に車を利用したことを証明することができます。
領収書や明細を見付けた場合は、携帯電話で撮影しておき、保存しておくとよいでしょう。
ただし、領収書やクレジットカードの明細は、それだけだと不倫以外の可能性もあるという意味で、不倫の証拠としては弱い場合が多いです。例えば他にも、ホテルに行った日時の前後に、浮気相手とのLINEのやり取りでホテルに関するやり取りが残っていれば、そのやり取りと合わせれば、その浮気相手とホテルに行ったと主張することができます。
証拠③:配偶者と不倫相手のやり取りの記録
LINEやSNS,メールなどで、夫や妻が不倫相手とホテルに行く約束をしていたり、また肉体関係をほのめかすようなやり取りがある場合、これらのやり取りが記録されている携帯電話の画面の画像などが不倫の証拠となりえます。
ただし、嫌がる配偶者から無理やり携帯電話を奪ったりすると、不倫された側の言動に責任を問われかねませんので、入手方法には注意してください。
証拠④:不倫したことを自白した音声や動画、LINEやSNSなどの記録
夫婦で話し合った結果、配偶者が不倫を自白したり、喧嘩の最中に配偶者が不倫を認める発言をした場合、これらの記録が不倫の証拠になる可能性があります。
しかし、口頭で自白しただけでは、「そんなこと言ってない」など後からいくらでも覆えされる可能性がありますので、できるだけ記録媒体に残すことをおすすめします。
また、夫や妻が不倫を自白したという事実だけでは、いつの話かも分からないという意味で、例えば大昔の話で時効だと反論されかねません。不貞の時期や回数、内容などについては一筆書いてもらえる場合には書いてもらうようにしましょう。また、相手の住所や氏名も知っておく必要があります。
証拠⑤:第三者の証言
知人や家族などの第三者が、配偶者の不倫現場に遭遇して、配偶者の不倫を証言してくれるときがあります。
第三者の証言だけだと証拠としては弱い場合があります。
しかし、証言以外にも夫や妻が不倫をしていることが推察されるやり取りや写真などの証拠がある場合、その記録と矛盾しない証言なら、信用できる証拠となる可能性があります。
これだけの証拠を集めるのはとても大変です。
より効率的かつ効果的な証拠を集めたい場合には、弁護士事務所を利用すると良いでしょう。ほかにも探偵事務所に相談する方もいらっしゃいます。
不倫現場を目撃したらどうする?
不倫現場を目撃した後は、離婚や慰謝料を請求することも考えられる
夫や妻の不倫現場を目撃したら、配偶者との離婚も頭に浮かびます。
一方、不倫現場を目撃しても、子供のことを優先したりして、配偶者とは離婚せずに、婚姻生活を続ける方もいるでしょう。
不倫現場を目撃した後の対処方法は人ぞれぞれかと思いますが、ここでは、離婚しない場合、離婚する場合、慰謝料を請求する場合の方法などについて解説していきます。
不倫現場を目撃した後も離婚をしない場合
夫や妻の不倫現場を目撃しても、不倫に気付いていないふりをして共同生活を続ける方や、不倫した配偶者と話し合った上で離婚せずに婚姻を続ける方も少なくありません。
夫や妻と離婚しない場合でも、不倫行為を繰り返させないために、いくつか約束事を作っておくことをおすすめします。
約束事は必ず書面などにまとめ、約束を破った場合のペナルティを作っておくとよいでしょう。
離婚しない場合のペナルティー付きの約束の例としては、
- 不倫したことを認めること
- 不倫相手の氏名、住所、連絡先
- 不倫相手の連絡先、SNSの繋がりなどをすべて消去すること
- 今後一切、不倫相手と接触しないこと
- 再び不倫をした場合は離婚すること
- 離婚時の慰謝料は〇〇〇万円とすること
- 誓約日、当事者の氏名、押印
などです。離婚しない場合は、今後の婚姻生活を安定させるために、きちんと約束事を作りましょう。
どのような約束にするかは、不倫した夫や妻の性格や経済状況などにもよります。
書面の内容に迷ったり、書面に法的な拘束力を付けたい場合など、離婚しない場合の約束事で不安があるときには、弁護士に相談してみるとよいでしょう。
不倫現場を目撃して離婚する場合
不倫現場を目撃し、不倫を理由に離婚する場合は、同時に不倫についての慰謝料も請求することができます。
具体的にどのようにして、不倫した夫や妻に離婚や慰謝料請求の話を進めるのでしょうか?
離婚と同時に不倫の慰謝料を請求するためには、以下のように対処することができます。
- 当事者間で話し合う
- 弁護士に依頼して、示談交渉を行う
- 裁判所で調停又は訴訟を提訴する
以下は、それぞれの方法について解説します。
対処①:当事者間の話し合いで離婚や慰謝料について請求する
まずは、当事者同士の話し合いによって離婚や慰謝料について請求する方法です。
夫婦が離婚する場合、日本では夫婦が話し合いで合意すれば協議離婚をすることができます。
このときに、離婚の原因として配偶者の不倫を訴えることで、離婚と一緒に不倫についても慰謝料を請求することができます。
ただし、夫や妻の不倫を訴える前に、まずは冷静に不倫の事実を確認する必要があるでしょう。
夫や妻が不倫を認めている場合は、話し合いも比較的スムーズに進みやすいですが、不倫を否認する場合は、話し合いが難航してしまいます。
夫や妻が不倫を否認する可能性も踏まえて、事前に不倫の証拠を準備しておくとよいでしょう。
不倫した夫や妻と離婚する場合、離婚届に必要事項を記入して役所に提出して、役所がこれを受理することで法的に離婚が認められます。
一方で、不倫の慰謝料請求については、配偶者や不倫相手が支払ってくれさえすれば書面にする必要がないと思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、口約束では後からいくらでも慰謝料請求の条件を覆される可能性がありますので、口頭で約束することはおすすめできません。
不倫の慰謝料請求について話し合う際には、できるだけ会話のやり取りを録音したり、約束事項を書面にまとめるなどして、客観的な証拠を残しておきましょう。
慰謝料請求の条件を取りまとめる場合には、以下の内容を記載するとよいでしょう。
- 不倫したことを認めること
- 不倫の慰謝料として総額〇円の支払義務があることを認め、金〇万円を支払う
- 慰謝料の支払い方法(一括か・分割か)
- 慰謝料の支払い期限・支払い期間(〇年〇月〇日までに支払う/〇年〇月~〇年〇月の期間、毎月〇日限りに支払う)
- 二度と不貞相手と接触しないこと
- 合意が成立した日時
- 当事者の氏名・住所
以上は、あくまでも示談書を書くにあたってのポイントです。示談書の内容を法的に問題ないものにするためには、弁護士に相談することをお勧めします。
対処②:弁護士に依頼して離婚や慰謝料について示談交渉を行う
夫や妻が不倫を認めずに、話し合いが難航する場合は、弁護士に依頼して離婚や不倫の慰謝料について示談交渉を行ってもらう方法があります。
弁護士は、プロの法律家ですので、法的に有効な証拠の集め方や離婚や不倫の慰謝料を請求できるケースかどうか、不倫の慰謝料の相場などについて判断を任せることができますし、依頼人の代わりにすべての示談交渉を行ってくれます。
弁護士の示談交渉の方法としては、まず内容証明郵便を利用して、弁護士から不倫した夫や妻に対し離婚と慰謝料請求に関する通知書を送付します。
次に、相手からの返答を踏まえて、離婚、親権や養育費、慰謝料の請求金額やそのほかの条件について交渉していきます。
内容証明郵便とは、郵便局が内容を証明してくれる制度のことです。
郵便局と自分の手元に相手に送った文書と全く同じ内容の写しが控えられるため、相手に送った文書内容を証明することができます。
そのため、配偶者から「離婚や慰謝料請求の話なんて聞いていない!」と言われても、反論することができます。
弁護士による示談交渉によって、離婚や不倫の慰謝料請求に合意した場合は、その内容に基づいて弁護士が合意書を作成します。
公正証書に残す場合は、配偶者や不倫相手が慰謝料の支払いを怠った場合に強制執行をすることも可能になります。
さらに、不倫相手についても、不倫相手の情報がわからない場合などに、弁護士は職権によって「戸籍や住民票の職務上請求」や「弁護士会照会」という方法により不倫相手の連絡先を調べられる可能性があります。
また、弁護士に示談交渉を任せれば、妻は不倫相手と直接関わる必要はないので、精神的にも負担が減ることでしょう。
どのような内容で条件をまとめるのかは、依頼人の希望をもとに弁護士が考えてくれます。
離婚や慰謝料請求の問題について一緒に解決することができますので、交渉の手間が省けるだけでなく、一貫して妻の味方をしてくれます。
夫や妻の不倫が発覚して動揺もある中で、弁護士にすべての示談交渉を任せられるので、非常におすすめです。
対処③:裁判所で離婚調停を申し立てる方法
弁護士による示談交渉を行ってもなお、話し合いがまとまらない場合、裁判所で調停又は裁判を起こすことになります。
離婚したい場合は、まず家庭裁判所で夫婦関係調整(離婚)調停を申し立てることになります。
離婚調停では、離婚と同時に親権、養育費、面会交流、財産分与、慰謝料請求などについても細かく内容をまとめることが可能です。
調停を申し立てるときには、まず裁判所に対して必要書類を提出します。
必要書類には、申立ての趣旨や親権、養育費、慰謝料請求などについての希望条件を記載することになります。
提出した書類は、裁判官や調停委員によって、夫婦双方がどのような主張を行っているのかを確認し、その後の調停進行に反映されることになります。
したがって、配偶者の不倫行為が原因で離婚したいと考えていること、離婚と同時に慰謝料を請求したいことをしっかりと記載しておきましょう。
また、不倫の証拠を準備している場合は、書面と一緒に裁判所に証拠を提出しましょう。
調停は、裁判官と二人の調停委員で構成された調停委員会が、夫婦の話し合いの仲裁を行います。
調停はそれぞれの条件で合意することができれば、離婚が成立しますが、一方が条件に応じない場合は話し合いが難航します。
不倫の慰謝料についても、夫が不倫を認めない場合は、話し合いが平行線になってしまうため、反論に耐えうる証拠を準備しておくとよいでしょう。
調停が成立すれば、調停調書が作成されます。調停調書には、夫婦が離婚することや、不倫の慰謝料の総額や支払い条件などについてまとめて記載されます。
調停調書に記載された内容は法的な拘束力が生じるため、不倫の慰謝料の支払いが滞った場合には、給与の差し押さえなどの強制執行が可能となります。
裁判所の調停手続は、弁護士に依頼しなくても一人で行うことができますが、法律の知識があるほうが、優位な主張を行うことができますので、一度は弁護士に相談しておくとよいでしょう。
特に不倫の慰謝料を請求する場合は、調停で有用なレベルの証拠を集めたり、過去の判例などから適切な慰謝料請求の相場を把握する必要がありますので、このような場合は弁護士に代理人を依頼することがよいでしょう。
離婚や不倫の慰謝料請求について話し合いが難航する場合は、調停は不成立となり、必要に応じて、裁判を提起することになります。
対処④:裁判所で離婚訴訟を提起する方法
調停が不成立となった場合、裁判所で離婚訴訟を提起することができます。離婚裁判では、調停で話し合った内容などもある程度引き継がれますが、証拠と書面の重要性が増しますし、法定離婚事由が認められなければ離婚することができません。
そのため、裁判で離婚するためには、民法の離婚事由を満たすと書面で主張する必要があります。
不倫は、民法上の離婚事由(不貞行為)として認められていますので、夫や妻の不倫が不貞行為として認められる場合は、離婚と不倫の慰謝料請求が同時に認められる可能性が高いと考えられます。
ただし、不倫が不貞行為として認められるためには、その証拠が必要となります。
証拠を基に配偶者が不貞行為を行っていたことを主張し、裁判官から見ても不貞行為があったと判断された場合には、不倫行為による離婚や慰謝料請求が認められるでしょう。
裁判の終わり方としては、裁判官によって離婚と不倫の慰謝料の請求を認める旨の判決がでるか、裁判の途中で夫婦間で離婚と不倫の慰謝料を支払うことに合意して和解する方法があります。
裁判所で決まった内容については、判決文が作成されるため、もし不倫の慰謝料の支払いが滞った場合には、強制執行が可能となります。
裁判で離婚や不倫の慰謝料を勝ち取るためには、法律の知識を基に上手に主張書面を作成したり、不倫の証拠を裁判所に提出する必要がありますので、ほとんどのケースで弁護士が依頼人の代わりに手続きを行っています。
また、調停で話し合っていた内容も踏まえて裁判手続は行われるので、調停と同じ弁護士に依頼することで、スムーズに手続きを行うことができるでしょう。
不倫を原因とした離婚や慰謝料請求が認められるのは、肉体関係がある場合
なお、裁判や調停で注意しておきたい点として、夫や妻の不倫の証拠を集めても、すべてのケースで離婚や慰謝料請求が認められるとは限りません。
法律上、不倫の慰謝料請求が認められるのは、不倫相手と肉体関係を持った場合です。
なぜなら、不倫相手と肉体関係を持つことは、民法上の不貞行為や不法行為にあたり、損害賠償を請求することが認められているためです。
もし不倫を原因として離婚や慰謝料請求を行う場合は、配偶者が不倫相手と肉体関係があったことを立証できるような証拠を集める必要があるでしょう。
決定的な証拠がなければ不倫の立証は難しいと感じるかもしれませんが、補充証拠があれば、請求が認められるケースもあります。
一人では不倫の立証が難しいと感じる場合などは、まずは弁護士事務所にご相談されるとよいでしょう。
不倫相手に対しても慰謝料を請求することができる
また、夫や妻の不倫現場に遭遇した場合、不倫相手に対しても慰謝料を請求することができます。
不倫は1人でできるものではありません。
不倫は、「共同不法行為」といって、不倫相手がいなければ成立しない行為です。
そのため、不倫した配偶者と不倫相手は連帯して慰謝料を支払う義務を負い、請求側はどちらに対しても慰謝料を求めることができます。
ただし、気を付けておきたい点としては、慰謝料の二重取りはできないことです。
二重取りとは、配偶者と不倫相手の双方から総額を受け取り、2倍の慰謝料をもらうことをいいます。
したがって、先に夫や妻から不倫の慰謝料の全額を受けっている場合は、後から不倫相手に対して慰謝料を請求することができないため、注意してください。
不倫相手に慰謝料を請求する場合は、別途民事訴訟を検討することになります
不倫相手に不倫の慰謝料を請求する場合、一般的に民事訴訟を検討することが多いでしょう。
不倫の慰謝料請求は、民法上の損害賠償請求になりますので、慰謝料が140万円以下の場合は簡易裁判所に、慰謝料が140万円を超える場合は地方裁判所に申し立てをします。
裁判で不倫の損害賠償が認められるためには、不倫が民法上の不法行為又は不貞行為であることを立証する必要があり、そのための証拠が不可欠です。
写真や動画などの客観性のある強力な証拠があれば、裁判や調停で有利な条件で交渉を進めることができますので、裁判に有利な証拠や主張を行いたい場合は、一度弁護士に相談するとよいでしょう。
また、不倫相手に慰謝料を請求する場合、不貞行為があった日又は不倫相手を知った日から3年が時効となります。
「不倫相手を知った日」というのは、不倫相手の住所及び氏名を知った時点のことをいいます。不倫相手に対して慰謝料を請求する場合は、時効の3年以内に手続を行う必要がありますので、留意してください。
なお、時効についての詳細は、こちらのリンクをご参照ください。
不倫現場を目撃したら?証拠を押さえるまでは冷静にに関するQ&A
不倫現場を目撃したら?
夫や妻の不倫現場を目撃してしまったら、つい感情的になりがちですが、不倫現場を目撃しても、不倫をしている写真など確定的な証拠を手に入れるまでは、できるだけ冷静に振る舞うようにしましょう。
もし不倫した夫や妻と話し合う場合には、互いに冷静な話し合いができるように、不倫現場よりも後日に話し合いの場を設けることをおすすめします。
不倫の証拠になるものとは?
不倫の証拠として認められやすいものは、①ホテルや不倫相手の家に出入りしている姿を撮影した写真や動画、②ホテルの領収書やクレジットカードの利用明細書、③配偶者と不倫相手のやり取りの記録、④不倫を認める音声や動画、LINEやSNSなどの記録などが挙げられます。写真や動画を加工してしまうと証拠として認められないため、現物のまま保存しておくようにしてください。
不倫現場に遭遇した後の対処方法とは?
夫や妻の不倫現場に遭遇した後の対処方法としては、不倫に気付いていないふりをして共同生活を続ける方法、不倫した配偶者と話し合った上で離婚せずに婚姻を続ける方法、不倫を原因に離婚や慰謝料を請求する方法などがあります。
不倫した配偶者と離婚しない場合は、不倫を繰り返させないために、ペナルティー付きの誓約書などを作成しておくことをおすすめします。
また、離婚や慰謝料請求を考えている場合は、一度弁護士事務所などにご相談ください。
不倫現場に遭遇したら弁護士にご相談を!
夫や妻の不倫を理由に離婚や慰謝料を請求するときには、できるだけ不倫の証拠を集めて、優位な交渉を目指しましょう。
しかし、不倫の決定的な証拠がない場合や、難しい裁判手続などを行う場合などには、一度弁護士事務所に相談されることをおすすめします。
弁護士に依頼するメリット①:不倫の慰謝料請求が可能か判断することができる
夫や妻への慰謝料請求が認められるためには、法律上必要とされる条件を満たす必要があります。
そのため、どのようなケースで不倫の慰謝料請求が可能であるのか判断するためには、法律の知識が不可欠となっています。
弁護士に相談することで、まずは自分の場合に慰謝料を請求することができるかどうかを確認することができるのでおすすめです。
弁護士に依頼するメリット②:不倫を立証するために有利な証拠などを集めることができる。
配偶者や不倫相手が不倫を認めない場合や、裁判などで離婚や不倫の慰謝料を請求する場合には、必ず不倫の証拠が必要になります。
特に不貞行為を立証するには、配偶者と不倫相手が肉体関係にあることを証明しなければなりません。
客観性の高い写真や動画などの証拠を集めるためには、プロの弁護士に相談することが一番です。
弁護士に依頼するメリット③慰謝料請求の交渉や離婚手続、裁判手続などをすべて任せることができる
不倫の慰謝料を請求するためには、不倫の証拠を集めたり、配偶者や不倫相手と交渉する必要があります。
弁護士に依頼すると、弁護士が依頼主の代わりにすべての手続きを行ってくれるため、依頼主は準備の手間が省けるほか、不倫相手に関わらずに済むため、気持ちの面でもとても負担が減ることでしょう。
不倫の慰謝料請求を行う場合は、支払い額や支払い方法、強制執行が可能な内容などにまとめておく必要があります。
時効や除斥期間を踏まえてながらそのような話し合いを行うのはとても大変です。
弁護士に任せることで、細かな条件のすり合わせも可能となり、法的に有効な内容で取りまとめることができるため、安心して任せることができます。
また、裁判で慰謝料を請求する場合は、裁判手続に則った書面の作成や立証の手順があります。
自分ひとりでは難しいことでも、弁護士に任せることで、ご自身に有利になるように主張することができます。
さらに、不倫の慰謝料請求の段階で弁護士に手続きを依頼しておくと、事情を知っている弁護士が、別居や離婚についても配偶者と交渉を行ってくれたり、離婚調停や離婚裁判で手続を代理してもらうことができます。
このように、弁護士事務所では、依頼者に代わって、弁護士がすべての手続きを代理で行うことができます。
不倫をされた側はもちろん、不倫をした側で自分の行為によって慰謝料を請求されるか不安な方なども、一度弁護士事務所に相談して、弁護士からのアドバイスを受けるとよいでしょう。
不倫による慰謝料請求をお考えの方は、一度弁護士へご相談ください。
この記事を書いた人
雫田 雄太
弁護士法人あおい法律事務所 代表弁護士
略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。3,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。
家庭の法律問題は、なかなか人には相談できずに、気付くと一人で抱え込んでしまうものです。当事務所は、家庭の法律問題に特化した事務所であり、高い専門的知見を活かしながら、皆様のお悩みに寄り添い、お悩みの解決をお手伝いできます。ぜひ、お一人でお悩みになる前に、当事務所へご相談ください。必ずお力になります。