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養育費の減額請求の方法と流れ|離婚後の交渉や調停を弁護士が解説

監修者:弁護士法人あおい法律事務所

代表弁護士 雫田雄太

略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。
1,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。

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離婚後、子どもの養育費を支払う親にとって、経済的な変化や予期せぬ事情により養育費の負担が重くなることがあります。そんな時、「養育費の減額請求」が考えられる選択肢です。しかし、この手続きはどのように進めればよいのでしょうか?

本記事では、養育費の減額請求の具体的な方法や、その流れについて、弁護士が詳しく解説させていただきます。

養育費の減額に関する交渉・話し合いのポイントや、交渉で合意できなかった場合の調停手続きとその流れなどについて、分かりやすく解説いたします。

また、家庭裁判所での減額請求の手続きにおいて、請求が認められる可能性のある4つの理由や、反対に請求が認められないケースなどについても、具体的にご説明いたします。

養育費を減額させたくない場合についての交渉のポイントもおさえておりますので、ぜひ最後までご覧いただければと思います。

目次

離婚後に養育費を減額請求する手続きと流れ

離婚後に、さまざまな理由や事情から、支払いをしている養育費の金額を減額したい、と思う扶養義務者は少なくありません。

養育費の支払い金額を減額したい場合、相手に知らせず一方的に支払い金額を変更したり、支払いを打ち切ってしまうのは問題です。

そのため、適切な養育費の減額請求の手続きによって、支払い金額についての減額交渉をする必要があります。

養育費の減額請求の方法として一般的なものは、元夫・元妻との直接の交渉・話し合いと、家庭裁判所で養育費減額請求調停を申し立てる方法です。

以下に、相手との交渉・話し合いのポイントと、家庭裁判所での養育費減額請求調停についての詳細について、弁護士が詳しく解説いたします。

方法1.元夫・元妻との交渉・話し合い

養育費の減額を希望する場合、まず最初に行うべき方法は元夫・元妻との交渉・話し合いです。この方法は、時間や費用をかけずに養育費の減額を実現できる可能性があるため、最もおすすめの方法です。

養育費の減額交渉を始めるにあたり、まず自身の経済状況の変化や生活環境の変化を元妻または元夫に具体的に説明することが重要です。

たとえば、収入が減少した、失業した、医療費が増加した、再婚して新たな家庭の支援が必要になったなどの理由を明確に伝えます。また、子どもの教育費や生活費の現状についても共有し、双方が納得できる金額を探ることが大切です。

交渉・話し合いの際には、感情的にならず、冷静かつ客観的に進めることが求められます。元夫または元妻が同意してくれない場合や、話し合いが難航する場合には、弁護士に交渉・話し合いの代理を依頼することも検討しましょう。弁護士は、法律の専門知識を活用して、公平かつ円滑な交渉をサポートいたします。

養育費の減額に関する合意が得られた場合、口頭の約束だけでなく、公正証書に残しておくことを強くおすすめします。公正証書には、新しい養育費の金額や支払い方法、開始時期などの詳細を明記し、双方が署名することで、後々のトラブルを防ぐことができます。

公正証書は、公証人が作成する公的な文書であり、法的な効力が認められています。このため、万が一支払いが滞った場合でも、裁判を経ずに強制執行が可能です。公正証書は、養育費の支払いを確実にするための強力な手段となり、双方にとって安心できる取り決めとなります。

このように、元夫・元妻との交渉・話し合いは、養育費の減額を円滑に進めるための第一歩として非常に重要な減額請求の方法となります。

方法2.家庭裁判所で調停を申し立てる

養育費の減額を希望する場合、元夫・元妻との交渉がうまくいかない場合には、家庭裁判所で養育費減額請求調停を申し立てることができます。この方法は、公的な手続きであり、法的な効力を持つ決定を得るために重要な手段となります。

養育費減額請求調停を利用するメリットは、公正な第三者である調停委員が仲介するため、冷静かつ公平な話し合いができる点です。調停委員は法律の専門知識を持ち、双方の主張や状況を総合的に判断して助言を行います。これにより、感情的な対立を避け、合理的な解決を図ることが可能です。

養育費減額請求調停を進める上でのポイントとして、まずは自身の経済状況や生活環境の変化を具体的に示すことが重要です。たとえば、収入が減少した場合にはその証拠となる給与明細や税務書類、失業した場合には失業証明書などを準備します。また、病気や怪我で働けなくなった場合には医師の診断書なども有効です。

さらに、調停に臨む際には、相手方の状況も考慮し、お互いの利益をバランスよく考えた提案を用意することが求められます。たとえば、子どもの教育費や生活費に関する具体的なデータを提示し、どの程度の養育費の減額が妥当であるかを論理的に説明します。

養育費減額請求調停が成立した場合、その内容は調停調書として記録され、法的な効力を持ちます。この調停調書は、後に双方の合意が守られなかった場合でも、強制執行の根拠となるため、信頼性が高いです。

養育費減額調停が不成立となった場合には、審判に移行することになります。養育費減額請求請求の審判では、裁判官が双方の主張を聞き、最終的な決定を下します。このため、養育費の減額請求が、なるべく自身の主張に沿った合意内容で認められるためには、養育費減額請求調停の段階で、しっかりとした準備と適切な対応が必要です。

調停に必要な書類や費用は?

家庭裁判所で養育費の減額請求調停を申し立てるためには、次の通りの書類や申立て費用が必要となります。

まず、養育費減額請求調停を申し立てるために必要な書類としては、以下のものが挙げられます。

養育費減額請求調停の申立書

調停を申し立てるために必須の書類で、現在の養育費の金額、減額を希望する理由、経済状況の変化などを具体的に記載します。この書類がなければ、養育費減額請求調停手続きは始まりません。

事情説明書

養育費減額を希望する具体的な理由を詳細に記載します。収入の減少や生活費の増加など、減額を必要とする背景を説明するための重要な書類です。

調停に関する進行照会書

養育費減額請求調停手続きの進行状況や今後の予定を確認するための書類です。この書類を通じて、養育費減額請求調停の進行を円滑に進めることができます。

子どもの戸籍謄本

子どもとの法的な親子関係を証明するための書類です。

収入証明書類

最近の給与明細や所得証明書、税務署からの通知書など、収入の減少を証明する書類です。これにより、現在の経済状況を客観的に示すことができます。特に収入が減少した場合には、その原因や状況を、養育費減額請求調停において詳細に説明するために必要です。

生活費の明細

家計簿や銀行の取引明細書など、生活費の支出を詳細に記録した書類です。これにより、生活費の増加や支出の内訳を、養育費減額請求調停で具体的に説明することができます。生活費が増えた理由や、どのような支出が増えたのかを明確にするために重要です。

医療費や教育費の証明書類

病気や怪我による医療費の明細や、子どもの教育費の領収書など、特定の出費を証明する書類です。これにより、特定の支出が増加したことを具体的に示し、養育費の減額が必要であることを裏付けます。

次に、養育費減額請求調停にかかる費用についてですが、調停申立書を提出する際には、収入印紙と郵便切手が必要となります。

収入印紙

家庭裁判所に調停申立書を提出する際には、収入印紙を貼る必要があります。収入印紙の額は通常、子ども1人あたり1200円程度ですが、正確な金額は家庭裁判所によって異なることがありますので、事前に管轄の家庭裁判所に確認することをおすすめします。

郵便切手

家庭裁判所からの通知や連絡を受け取るために、郵便切手を添付する必要があります。郵便切手の金額や種類も家庭裁判所によって異なることがありますので、こちらも事前に管轄の家庭裁判所で確認することが重要です。

方法3.調停不成立なら審判に移行する

養育費の減額を希望する場合、元夫・元妻との交渉や家庭裁判所での養育費減額請求調停がうまくいかなかった場合には、「養育費減額請求の審判」に移行することになります。養育費減額請求の審判は裁判所が最終的な判断を下す手続きであり、公正な解決を図るための重要な方法です。

養育費減額請求の審判では、裁判官が双方の意見を聞き、提出された証拠を基にして判断を行います。このため、収入証明書類、生活費の明細、医療費や教育費の証明書類など、具体的な証拠を用意することが求められます。

また、弁護士に依頼することで、法的なサポートを受けながら適切な準備を進めることが期待できます。調停段階から弁護士に依頼していると、養育費減額請求の請求内容や審判に移行するまでの流れを把握しているため、審判手続きにもスムーズに対応してもらえるでしょう。

養育費減額請求の審判のメリットは、公正かつ最終的な判断を得られる点です。裁判官の判断により、適正な養育費の額が決定されます。また、養育費減額請求の審判の結果は法的な効力を持つため、相手方が同意しない場合でも強制力があります。これにより、安心して新しい生活設計を進めることができます。

ただし、養育費減額請求の審判には時間と費用がかかるため、できるだけ養育費減額請求調停で解決することが望ましいです。しかし、養育費減額請求調停が不成立となった場合には、養育費減額請求の審判を通じて適正な養育費の減額を実現することが可能です。

養育費を減額できる条件は?可能性のある4つの理由

 

養育費を減額できる条件は?可能性のある4つの理由

 

さて、それでは具体的に、どういった理由がある場合に、養育費の減額が認められる可能性があるのでしょうか。養育費を減額できる条件とは何か、詳しく見ていきましょう。

理由1.支払う側が再婚して扶養する家族が増えた

養育費の減額を希望する理由の一つに、支払う側が再婚し、新たに扶養しなければならない家族が増えた場合が挙げられます。このケースは、養育費の減額が認められる可能性がある重要な条件の一つです。再婚によって支払う側の経済的負担が大きくなるため、現在の養育費の金額を見直す必要が生じることがあります。

支払う側が再婚すると、新しい配偶者やその子どもを扶養する義務が発生し、生活費や教育費、医療費などの支出が増加します。これにより、収入の中から養育費を捻出することが難しくなる場合があります。再婚によって家族の人数が増えるため、日常生活に必要な費用が増加します。

たとえば、食費、住宅費、光熱費などの基本的な生活費が増えることは、どうしたって避けられません。また、新しい配偶者との間に子どもがいる場合、その子どもの教育費も新たに支払う必要があります。私立学校や塾の費用、大学進学時の学費など、教育関連の出費が増えることで、養育費を支払う側の経済的な余裕が減少してしまいます。

さらに、新しい家族の健康管理のために医療費や保険料が増加することもあります。特に、持病や障害を持つ家族がいる場合、その治療費やケアにかかる費用が大きな負担となることがあります。再婚によって新たな扶養義務が発生する場合、家庭裁判所はこの状況を考慮に入れて養育費の減額を認める可能性があります。再婚による扶養家族の増加は、経済状況の大きな変化とみなされるためです。

再婚による扶養家族の増加は、支払う側にとって大きな経済的負担となります。このため、家庭裁判所はこの状況を考慮して養育費の減額を認める場合があります。

ただし、養育費の減額が認められるためには、具体的な証拠を示すことが重要です。収入や支出の詳細を明確にし、再婚後の経済状況を具体的に説明することが求められます。養育費の減額を希望する場合は、再婚による扶養家族の増加が大きな理由となることを理解し、適切な対応を取ることが重要です。

理由2.支払う側の収入が減少した

養育費の減額を希望する条件として、支払う側の収入が減少した場合が挙げられます。この条件では、養育費の減額ができる可能性が高いです。支払う側の収入が著しく減少すると、現在の養育費の金額を維持することが困難になるためです。

支払う側の収入が減少する背景にはさまざまな状況がありますが、特に事故や病気、会社の倒産などのやむを得ない理由による収入減少は、養育費の減額ができる可能性があります。

こうした収入減少は支払う側の都合や自分勝手な理由からではなく、外的要因によるものであるため、減額ができる可能性が高まります。

たとえば、事故や病気によって働けなくなった場合、収入が大幅に減少します。このような場合、治療費や生活費が増える一方で、収入が減るため、養育費の支払いが難しくなります。

これらは支払う側の意志とは無関係に発生する問題であり、収入減少の理由として正当性があります。医師の診断書や治療費の領収書などを用意することで、収入減少の理由を明確に説明することが重要です。

また、会社が倒産して失業した場合も同様です。このような状況では、収入が途絶え、生活費を確保するだけでも困難になります。突然の失業は支払う側の責任ではなく、外的な要因によるものです。退職証明書や失業保険の受給証明書を用意し、収入が減少したことを証明することが求められます。

これらの状況において養育費の減額ができる理由は、支払う側が予期せぬ外的要因によって収入が減少し、生活自体が困難になるためです。養育費の支払いを継続することが経済的に不可能な場合、減額を求めることは合理的な選択となります。

支払う側の経済的状況の変化を具体的に示し、養育費の減額を適切に求めることが大切です。収入の減少が一時的なものでない場合、養育費の見直しを検討することは現実的な対応と言えます。

理由3.受け取る側が再婚して再婚相手が子供と養子縁組をした

養育費の減額ができる条件の一つに、受け取る側が再婚し、再婚相手が子どもと養子縁組をした場合が挙げられます。この状況は、養育費の減額ができる可能性が高い理由です。再婚相手が子どもと養子縁組をすると、その再婚相手が子どもの第一次的な扶養義務者となるためです。

養子縁組が成立すると、再婚相手が法的に子どもの親となり、子どもに対して第一次的な扶養義務を負います。扶養義務とは、子どもが生活していく上で必要な衣食住や教育費、医療費などを負担する責任のことです。再婚相手が養子縁組を通じて子どもの扶養義務を負うことにより、元夫または元妻の養育費の負担が軽減されると考えられます。

このため、家庭裁判所においても、再婚相手が子どもと養子縁組をした場合には、養育費の減額が認められる可能性が高くなります。これは、元夫または元妻が支払う養育費の役割が再婚相手によって一部または全て補われるためです。

養子縁組が成立したことを証明するためには、再婚相手と子どもの間の養子縁組届や、戸籍謄本などの公式な書類が必要です。これらの書類を提出し、養育費の減額を適切に求めることが重要です。

このように、受け取る側が再婚して再婚相手が子どもと養子縁組をした場合には、養育費の減額ができる可能性が高まります。再婚相手が子どもの第一次的な扶養義務者となるため、元夫または元妻が支払う養育費の負担が軽減されることが理由です。

理由4.受け取る側の収入が増額した

養育費の減額ができる条件の一つに、受け取る側の収入が増額した場合があります。この条件は、養育費の支払い金額が適正に見直されるべき状況の一つです。

養育費は、子どもの生活を支えるためのものであり、双方の親の経済状況に基づいて算出されます。したがって、受け取る側の収入が増額した場合には、その経済状況の変化を反映して養育費の金額を再検討することが可能です。

受け取る側の収入が増額する背景には、昇進や給与の増加、転職による収入の向上などが考えられます。たとえば、受け取る側の親が昇進し、給与が大幅に増えた場合、その収入の増加は生活費や子どもの教育費に十分に充てることができるようになります。このような状況では、元夫または元妻が支払う養育費の負担を軽減することが合理的とみなされることがあります。

また、受け取る側が新たな職に就き、以前よりも高い収入を得るようになった場合も同様です。転職によって収入が増え、経済的な安定が得られるようになった場合、養育費の見直しが求められます。このような収入増加は、子どもの生活環境の向上に寄与する一方で、支払う側の経済的負担を軽減するための根拠となります。

受け取る側の収入が増加したことを証明するためには、給与明細や所得証明書、税務申告書などの書類が必要です。これらの書類を用いて、受け取る側の経済状況がどの程度変化したかを具体的に示すことが重要です。

このように、受け取る側の収入が増額した場合には、養育費の減額ができる可能性が高まります。双方の親の経済状況を考慮し、子どもの生活を支えるために最適な養育費の金額を再検討することが大切です。収入の変化に応じて養育費を適切に見直すことで、支払う側の負担を軽減し、公正な分担が図られます。

養育費の減額が認められないケースとは?

養育費を減額できる条件に該当する場合とは反対に、養育費の減額が認められないケースもあります。

前述した養育費を減額できる条件とどのように異なるのか、具体的に見ていきましょう。

ケース1.支払う側が自己都合で退職・転職したことによる減収

養育費の減額を希望する場合、支払う側が自己都合で退職や転職を行い、その結果として収入が減少した場合には、養育費の減額が認められないことが多いです。自己都合での退職や転職は、本人の意思による行動であり、養育費の支払い能力に重大な影響を与える行動として考えられますが、家庭裁判所はこれを正当な理由とはみなしません。

自己都合での退職や転職による収入減少は、本人の計画的な意思決定によるものです。たとえば、新しい仕事に挑戦したい、職場環境を変えたいなどの理由で退職や転職を行う場合、その結果として収入が減少することは自己責任とみなされます。したがって、このような状況を理由に養育費の減額を申し立てても、家庭裁判所では認められない可能性が高いです。

養育費は子どもの生活を支えるための重要な資金であり、支払う側の都合でその金額を減らすことは、子どもの福祉を損なう恐れがあります。家庭裁判所は、子どもの利益を最優先に考え、支払う側の自己都合による収入減少を理由に養育費の減額を認めることはありません。

たとえば、支払う側が転職によって一時的に収入が減少したとしても、その影響を理由に養育費の減額を求めることは困難でしょう。

ケース2.「養育費の金額が相場より高い」ことを理由とする減額請求

養育費の減額を申し立てる際に、「養育費の金額が相場より高い」ことを理由とする場合、家庭裁判所ではこの理由だけで養育費の減額が認められないことが多いです。養育費の金額は、子どもの生活を支えるための重要な要素であり、双方の収入や子どもの必要性に基づいて決定されるため、相場だけを基準に見直すことは困難です。

まず、養育費の金額は家庭裁判所が双方の収入や子どもの年齢、生活費用などを考慮して決定するため、個別の事情に応じた適正な金額とみなされます。養育費の金額が相場より高いと感じる場合でも、これはあくまで一般的な基準であり、具体的な家庭の状況や子どものニーズに応じた判断が優先されます。たとえば、子どもが特別な教育や医療を必要とする場合、その費用が養育費に反映されることが考えられます。

また、養育費の相場は地域や家庭の経済状況によっても異なるため、単に「相場より高い」という理由で減額を申し立てることは難しいです。家庭裁判所は、養育費の金額を決定する際に詳細な調査を行い、個別の事情を総合的に判断しています。そのため、相場との差異だけを理由に養育費の減額を申し立てても、正当な理由とはみなされにくいです。

さらに、養育費の金額が相場より高いと感じる場合には、弁護士に相談し、現在の養育費の金額がどのように決定されたかを確認することが重要です。弁護士は、適正な養育費の金額について専門的なアドバイスを提供し、必要に応じて養育費減額請求調停を行う際のサポートをしてくれます。しかし、「相場より高い」こと自体は強力な減額理由とはならないため、その他の正当な減額理由を併せて提示することが求められます。

このように、「養育費の金額が相場より高い」ことを理由とする減額請求は、家庭裁判所では認められにくいです。養育費の金額は、子どもの福祉を最優先に考え、具体的な家庭の事情に基づいて決定されるため、相場のみを基準とすることはできません。減額を希望する場合は、他の正当な理由をしっかりと提示し、適切な方法で養育費の見直しを求めることが重要です。

ケース3.「子どもと面会させてもらえない」ことを理由とする減額請求

養育費の減額を申し立てる際に、「子どもと面会させてもらえない」ことを理由とする場合、家庭裁判所ではこの理由だけで養育費の減額が認められることはほとんどありません。養育費は、子どもの生活を維持し、福祉を保障するためのものであり、親の面会交流とは別個の問題として扱われます。

面会交流は、親子の関係維持や子どもの情緒的な安定に寄与する重要な要素ですが、それが実現しないことを理由に養育費の減額を求めることは適切ではありません。養育費の支払いは、親の責任として子どもの基本的な生活費や教育費を支えるための義務であり、面会交流の問題とは直接関係がないとみなされます。たとえば、元妻が子どもとの面会を拒否している場合でも、そのことを理由に養育費の金額を減額することはできません。

家庭裁判所は、養育費の減額請求と面会交流の問題を別々に扱います。面会交流がうまくいっていない場合には、面会交流に関する調停や裁判を別途申し立てることが必要です。面会交流の確保や改善を目指す手続きと、養育費の減額を求める手続きを混同することは避けるべきです。

また、弁護士に相談することで、面会交流の問題と養育費の問題をそれぞれ適切に対応する方法を見つけることができます。弁護士は、面会交流に関する法的手続きや調停の進め方についてアドバイスを提供し、養育費の減額請求調停とは別の方法で解決を図るサポートをしてくれます。

このように、「子どもと面会させてもらえない」ことを理由に養育費の減額を申し立てても、家庭裁判所では認められません。養育費は子どもの生活を維持するためのものであり、面会交流の問題とは別に考えるべきです。面会交流がうまくいっていない場合には、別途面会交流に関する調停や裁判を申し立てることが重要です。

ケース4.子どもが自分の子どもではない

養育費の減額を申し立てる際に、「子どもが自分の子どもではない」ことを理由とする場合、家庭裁判所ではこの理由だけで養育費の減額が認められないことがほとんどです。養育費は子どもの生活を支えるために必要なものであり、支払う側の親子関係の疑念は別の法的手続きで扱われるべき問題です。

まず、養育費は子どもの生活費や教育費を賄うためのものであり、子どもの福祉を最優先に考慮して決定されます。子どもが自分の子どもではないと疑う場合でも、その疑念だけで養育費の減額を求めることは困難です。家庭裁判所は、子どもの生活を維持するための安定した支払いを確保することを重視します。そのため、養育費の減額ができる条件としては認められません。

このような場合、まず親子関係の有無を法的に確認する手続きが必要です。親子関係の不存在を主張するためには、家庭裁判所に親子関係不存在確認の申し立てを行い、DNA鑑定などの証拠を提出して法的に親子関係がないことを証明する必要があります。この手続きを経て、親子関係が正式に認められない場合には、養育費の支払い義務が解除される可能性がありますが、養育費減額請求調停ではなく、別の法的手続きが必要です。

さらに、弁護士に相談することで、親子関係の確認手続きや証拠の収集について適切なアドバイスを受けることができます。弁護士は、法的な視点から親子関係不存在確認の申し立ての進め方や必要な書類についてサポートを提供してくれます。

このように、「子どもが自分の子どもではない」ことを理由に養育費の減額を申し立てても、家庭裁判所では認められません。まずは親子関係の有無を確認するための法的手続きを行い、その結果をもとに養育費の支払い義務を見直すことが必要です。養育費の減額を希望する場合には、他の正当な理由をしっかりと提示し、適切な方法で対応することが重要です。

養育費を減額させたくない!拒否する方法

養育費の減額を希望する相手からの申し立てに対して、養育費を減額させたくない場合には、適切な方法で対応することが重要です。ここでは、養育費の減額請求を拒否するための具体的な方法について説明します。

まず、養育費減額請求調停において、相手が提示する減額理由が正当でない場合、その理由を具体的に反論することが必要です。たとえば、相手が自己都合で退職や転職を行ったことによる収入減少を理由に養育費の減額を申し立てる場合、その収入減少が本人の意図的な行動であることを示す証拠を提出します。これにより、家庭裁判所に対して養育費の減額が不当であることを主張することができます。

また、相手の収入が実際には減少していないことや、支出が増加していないことを証明するための証拠を集めることも重要です。たとえば、相手の収入証明書や生活費の明細などを入手し、家庭裁判所に提出することで、養育費の減額が必要でないことを示すことができます。

さらに、相手が「養育費の金額が相場より高い」と主張して減額を申し立てる場合、現在の養育費の金額が子どもの生活を支えるために適切であることを証明することが必要です。子どもの教育費や医療費、生活費などの具体的な支出を示し、家庭裁判所に対して養育費の現状が妥当であることを主張します。

最後に、養育費減額請求調停や裁判において、相手の主張に対して冷静かつ具体的に反論し、子どもの福祉を最優先に考えた判断を求めることが求められます。

以上のように、養育費の減額請求を拒否するためには、相手の主張に対して具体的な反論を行い、適切な証拠を提出することが重要です。

養育費の減額に関するQ&A

Q1.養育費が減額できるためにはどのような条件が必要ですか?

養育費が減額できる場合、支払う側の収入が大幅に減少した、支払う側が再婚して扶養家族が増えた、受け取る側の収入が増額した、または受け取る側が再婚して再婚相手が子どもと養子縁組をした、などの条件に該当している必要があります。

Q2.養育費の減額を請求するためには、どのような方法がありますか?

養育費の減額を申し立てるためには、まず元夫・元妻と交渉・話し合いを行い、合意に至らない場合には、家庭裁判所に対して養育費減額請求調停を申し立てることができます。養育費減額請求調停が不成立になると、養育費減額審判に移行します。

Q3.養育費の金額が相場より高いと感じた場合、養育費減額請求調停を申し立てることはできますか?

養育費の金額が相場より高いことを理由に、養育費減額請求調停を申し立てること自体は手続きとしては可能ですが、家庭裁判所で養育費の減額が認められることは難しいです。養育費は子どもの生活を支えるために個別の事情を考慮して決定されるため、単に相場より高いという理由だけでは、養育費の減額は認められません。

養育費支払いのお悩みは弁護士法人あおい法律事務所の弁護士にご相談ください

本記事では、どういった条件を満たせば養育費が減額できるのか、といったテーマを中心に、養育費の減額請求ができるケースとできないケース、養育費減額請求の方法や流れについて、弁護士が解説いたしました。

養育費の支払いは、子どもの生活を支えるために非常に重要な役割を果たします。しかし、経済状況の変化や家族構成の変更などにより、養育費の支払いが困難になる場合もあります。養育費の減額を検討する際には、勝手に支払いを打ち切るのではなく、適切な手続きを踏み、養育費の減額に双方が合意することが重要です。

弁護士法人あおい法律事務所では、養育費の減額に関するお悩みについてのご相談もお受けしております。

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雫田 雄太

弁護士法人あおい法律事務所 代表弁護士

略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。1,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。

 

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