• 離婚手続き

離婚手続きチェックリスト|優先順位で順番もわかる!母子家庭も男性も必見

監修者:弁護士法人あおい法律事務所

代表弁護士 雫田雄太

略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。
3,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。

弁護士法人あおい事務所の離婚専門サイトをご覧いただき、ありがとうございます。
当サイトでは、離婚に関する法的な知識を分かりやすくお届けしております。皆様のお悩みの解消に少しでもお役立ちできましたら幸甚です。

離婚するための手続きや、離婚後に役所や会社でする手続きなど、夫婦の状況に応じて多種多様な手続きがあります。

手続きの多くは申請期限が設けられているため、離婚後の慌ただしい時期に効率よく済ませるのは大変です。

そこで、離婚後の手続きについて、チェックリストにまとめました。

チェックリストは、男性・女性に共通するものと、子供を連れて離婚する場合の、母子家庭・父子家庭向けのチェックリストとなっております。

また、必要書類のチェック欄も同時にまとめたチェックリストのPDFもご用意しましたので、ぜひダウンロードしてご活用ください。

目次

離婚手続きチェックリスト

優先順位リスト(男性も必見!)

下のチェックリストは、男性・女性や子あり・子無しを問わず、離婚後に共通して行う手続きのチェックリストです。

チェックリストには、手続きの概要、取扱窓口、申請期限について記載してあります。

また、申請期限の短い順にチェックリストの上から並べてありますので、チェックリストの上にある手続きほど、一般的に優先順位が高い離婚後の手続きです。

このチェックリストをご参考にしていただければと思います。

 

手続き

概要

取扱窓口

申請期限

世帯変更

世帯分離や世帯主の変更

市町村役場

変更のあった日から14日以内

住民票(転出届)

現住所とは別の市区町村へ引っ越したとき

引っ越しの14日前から当日まで

住民票(転入届)

異なる市区町村から転入したとき

引っ越し先の役所

引っ越しの日から14日以内

住民票(転居届)

同じ市区町村内で引っ越したとき

市町村役場

引っ越しの日から14日以内

国民健康保険

国民健康保険への加入・住所氏名の変更

変更のあった日から14日以内

国民年金

国民年金への加入・住所氏名の変更

変更のあった日から14日以内

マイナンバーカード

登録されている氏名や住所の変更

なるべく早く

氏名の変更

「離婚の際に称していた氏を称する届」の提出により、婚姻中の氏をそのまま使うとき

離婚した日から3ヶ月以内

印鑑登録

現在の印鑑登録の廃止

新しい印鑑の登録

必要に応じて

役所以外で行う手続き

運転免許証

氏名や住所の変更

警察署

運転免許センター

離婚後すぐに

パスポート

パスポート窓口

銀行口座

氏名や住所、連絡先、引き落とし口座など、契約者情報の変更

金融機関

クレジットカード

カード会社

公共料金

 

携帯電話

氏名や住所、契約プランの変更

携帯会社

生命保険金

保険金受取人の変更

保険会社

健康保険(被扶養者の変更)

会社の健康保険の被扶養者の変更

勤務先

変更のあった日から5日以内

厚生年金(被扶養者の変更

厚生年金の被扶養者の変更

健康保険(加入)

会社の健康保険に加入するとき

雇用開始日から5日以内

厚生年金(加入)

厚生年金に加入するとき

所有者の名義変更・移転登録

運輸支局

軽自動車検査協会

変更のあった日から15日以内

家・土地(不動産)

不動産の所有権移転登記

法務局

なるべく早く

年金分割

離婚にともなう年金分割を行う場合

年金事務所

離婚後2年以内

住民票や身分証明書等の名義・住所変更は最優先で!

離婚後、最優先で行う手続き

住民票の住所変更や身分証明書・銀行口座等の名義変更は、離婚後最優先で行いましょう。

離婚後の手続きは大抵の場合、本人確認書類として運転免許証やマイナンバーカードの提示が求められます。身分証明書の記載事項と戸籍・住民票の記載事項が一致していないと、手続きができない恐れがあります。

また、口座やカード情報は公共料金の引き落としにも関係するため、離婚後すぐに変更手続きをしましょう。

離婚手続きチェックリスト(母子家庭向け)

次に、離婚後の手続きの内、母子家庭や父子家庭の方にとって重要な、子供に関する手続きのチェックリストとなります。

チェックリストでご紹介する手続き以外にも、各市区町村が独自で行っている助成制度や支援事業がありますので、居住地の市区町村にご相談されると良いでしょう。

 

手続き

概要

申請手続き・窓口

備考

幼稚園・保育園・学校等

入園・入学や転園・転校等の手続き。

市区町村役場・学校

市区町村によっては保育園等の空きがないこともある。

子の氏の変更許可の申立て

離婚にともない、父の戸籍から母の戸籍に移り母の氏を称するために、家庭裁判所の許可を得る申立手続き。

子の住所地の家庭裁判所

家庭裁判所の許可を得た後、市区町村役場に入籍の届出をする必要がある。

児童手当

中学校卒業まで(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の児童を支給対象とした、現金給付による支援制度。

出生や転入から15日以内に、現住所の市町村に認定請求書を提出する。

毎年6月、10月、2月に、それぞれの前月分までの手当が支給される。

児童扶養手当

18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある児童(障害児は20歳未満)がいるひとり親家庭に対し現金が支給される制度。

現住所の市町村に認定請求書を提出する。

年6回(5月、7月、9月、11月、1月、3月)、それぞれ2ヶ月分が支給される。

生活保護

食費、被服費、光熱費、義務教育の学用品費、医療・介護サービス費、出産費用、就労に必要な技能習得等費用など、生活を営む上で生じる必要な費用に対して保護費を支給する制度。

都道府県や市が設置する福祉事務所で相談・申請する。

国が定める「最低生活費」から実際の収入を控除した差額が支給される。

医療費助成

母子家庭・父子家庭等の経済的負担を軽減するため、医療費の自己負担相当分の一部を都道府県と市区町村で助成する制度。

市区町村役場で申請し、医療証の交付を受ける。

生活保護受給者や限度額以上の所得がある者は支給対象外。

住宅手当

引っ越し費用などの一時的・一回限りな金銭的援助や、家賃の一部補助などを行う、市区町村独自の助成金交付制度。

役所での申請・公開抽選など、市区町村による。

市区町村により実施していない場合もある。

自立支援教育訓練給付金

雇用保険教育訓練給付金制度の指定講座を受講した場合、修了後に受講料の一部を支給する制度。

居住地の保健福祉センター等で、講座の受講申請をする。

 

高等職業訓練促進給付金

就職に有利な資格を取得するために養成機関で修業する場合、訓練促進給付金と修了支援給付金を支給する制度。

居住地の保健福祉センター等で申請する。

対象資格は看護師、准看護師、介護福祉士、保育士、理学療法士、作業療法士、歯科衛生士、美容師、社会福祉士、製菓衛生師、調理師等。

ひとり親家庭等日常生活支援事業

家庭生活支援員が、利用者宅で家事・介護などの日常生活を支援したり、支援員の居宅等で乳幼児の保育等を行う支援事業。

居住地の市区町村を管轄する福祉事務所で利用者登録をする。

利用者登録すると、1年間有効。1時間単位で利用でき、費用負担も少ない。

就学援助費

学用品費や修学旅行費、卒業アルバム代やオンライン学習通信費など、就学に必要な経費を援助する制度。

市区町村による。

 

上下水道料金の減免

基本料金及び基本料金にかかる消費税等相当額の減額。実施の有無は水道事業者による。

水道事業者による。

【例】東京都水道局の場合、児童扶養手当等の受給世帯を対象とした減免制度がある。

保育料の減免

市区町村民税が非課税のひとり親世帯や、児童扶養手当の受給世帯に対し、保育料を減免する市区町村独自の制度。

市区町村による。

 

国民健康保険料の軽減

前年より所得が大幅に減少した場合や、病気などで生活が苦しくなった場合などに、国民健康保険料が軽減される制度。

市区町村による。

 

国民年金保険料の減免

民年金保険料を納めることが経済的に困難な者を対象に、保険料の納付を一部あるいは全額免除する制度。

市区町村役場または年金事務所で申請する。

生活保護の生活扶助を受けている場合は、国民年金保険料が法定免除となる。

住民税の減免

前年より所得が大幅に減少するなど、市税等の納付が極めて困難な事情があると認められる場合に、住民税が減免される制度。

市区町村による。

 

ひとり親控除(所得税)

合計所得金額が500万円以下で、生計を一にする子がいるひとり親を対象に、所得税を減免する制度。

所得税の確定申告または年末調整で申告を行う。

寡婦控除と異なり。婚姻歴や性別を問わない。

寡婦控除(所得税)

合計所得金額が500万円以下で、ひとり親控除に該当せず、婚姻歴のある女性を対象とした、所得税を減免する制度。

所得税の確定申告または年末調整で申告を行う。

ひとり親控除と同時に適用できず、ひとり親控除が優先される。

粗大ごみ処理手数料の減免

粗大ごみの処理手数料の減額・免除。

市区町村による。

市区町村により実施していない場合もある。

公共交通機関の利用料割引

生活保護や児童扶養手当の受給世帯や、母子生活支援施設に入所している世帯等を対象に、バスや電車、地下鉄などの利用料金を減免する制度。

市区町村による。

利用できる区間や交通機関が限定されていることが多い。

離婚手続きチェックリスト【PDF】

離婚後に必要な手続きの一覧を、必要書類つきでリスト化いたしました。
手続きに必要な書類や持ち物を確認するのにご活用いただければと思います。

また、空欄はご自身の状況に応じて必要な事を書き込むのにご利用ください。

12-必要書類つきチェックリスト

なお、本記事のチェックリストでご紹介したものの一覧が以下の通りとなります。

一般的な手続きの一覧

  • 世帯変更
  • 住所変更(転出届・転入届・転居届)
  • 国民健康保険
  • 国民年金
  • マイナンバーカード
  • 氏名の変更
  • 印鑑登録
  • 運転免許証
  • パスポート
  • 銀行口座
  • クレジットカードの名義変更
  • 公共料金
  • 携帯電話の名義変更
  • 生命保険金の受取人変更
  • 健康保険(被扶養者の変更)
  • 厚生年金(被扶養者の変更
  • 健康保険(加入)
  • 厚生年金(加入)
  • 車の名義変更
  • 家・土地(不動産)の名義変更
  • 年金分割

 

子供に関する手続きの一覧

  • 幼稚園・保育園・学校等
  • 子の氏の変更許可の申立て
  • 児童手当
  • 児童扶養手当
  • 生活保護
  • 医療費助成
  • 住宅手当自立支援教育訓練給付金
  • 高等職業訓練促進給付金
  • ひとり親家庭等日常生活支援事業
  • 就学援助費
  • 上下水道料金の減免
  • 保育料の減免
  • 国民健康保険料の軽減
  • 国民年金保険料の減免
  • 住民税の減免
  • ひとり親控除(所得税)
  • 寡婦控除(所得税)
  • 粗大ごみ処理手数料の減免
  • 公共交通機関の利用料割引

 

離婚手続きチェックリストに関するQ&A

Q1.特に離婚後最優先でする手続きは何がありますか?

チェックリストの中でも、離婚後最優先で行うべき手続きはこちらです。

 

  1. 世帯変更
  2. 住所変更(転出届・転入届・転居届)
  3. 運転免許証の氏名・住所変更
  4. 銀行口座やクレジットカードの名義や住所変更

 

詳細は本記事のチェックリストをご参考ください。

なお、これ以外の離婚後の手続きも申請期限があるため、離婚後なるべく早めに手続きを行ってください。

Q2.離婚後に何度も役所に行くのは面倒です。

離婚後、役所で行う手続きはチェックリストに記載の通りですが、ほとんどが離婚届の提出と同時にできる手続きです。

詳細は、こちらの関連記事をご覧ください。

Q3.母子家庭が離婚後に申請できる支援制度を教えてください。

母子家庭が離婚後に利用可能な支援制度は下の通りです。

  • 児童手当
  • 児童扶養手当
  • 生活保護
  • 医療費助成
  • 住宅手当
  • 自立支援教育訓練給付金
  • 高等職業訓練促進給付金
  • ひとり親家庭等日常生活支援事業
  • 就学援助費
  • 上下水道料金の減免
  • 保育料の減免
  • 国民健康保険料の軽減
  • 国民年金保険料の減免
  • 住民税の減免
  • ひとり親控除(所得税)
  • 寡婦控除(所得税)
  • 粗大ごみ処理手数料の減免
  • 公共交通機関の利用料割引

 

制度の概要は、本記事のチェックリストをご参考ください。

まとめ

以上が、離婚後に必要な手続きのチェックリストとなります。

男女共通のチェックリストと、子供関係のチェックリストとありますので、必要なチェックリストをダウンロードしてご利用ください。

ご自身の状況によって、離婚後の手続きは異なるため、本記事のチェックリストの空欄をうまくご活用いただき、ご自分に合ったチェックリストにアレンジしてご利用いただければと思います。

また、優先度の高い順番でチェックリストに記載してありますが、必ずしもこの順番で行う必要はありません

役所や会社に行くタイミングに合わせて、臨機応変にチェックリストに記載の手続きを済ませていきましょう。

この記事を書いた人

雫田 雄太

弁護士法人あおい法律事務所 代表弁護士

略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。3,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。

 

家庭の法律問題は、なかなか人には相談できずに、気付くと一人で抱え込んでしまうものです。当事務所は、家庭の法律問題に特化した事務所であり、高い専門的知見を活かしながら、皆様のお悩みに寄り添い、お悩みの解決をお手伝いできます。ぜひ、お一人でお悩みになる前に、当事務所へご相談ください。必ずお力になります。

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