離婚したいけどお金がない!妻や旦那と貯金なしで離婚できるか悩んだら弁護士に相談を
離婚を考えているものの、経済的な理由で踏み切れない方は少なくありません。「離婚したいけどお金がない」という状況に直面すると、手続きにかかる費用やその後の生活費についての不安が大きくなることでしょう。しかし、離婚を進めるための方法や支援制度は多岐にわたり、経済的な問題を解決する糸口を見つけることが可能です。例えば、法テラスを利用した弁護士費用の分割払い制度や、収入が一定以下の場合に利用できる扶助制度があります。また、離婚後の生活を見据えて、養育費や財産分与、配偶者の扶養義務といった法的権利について知ることも重要です。この記事では、経済的に厳しい状況にある中で離婚を検討する方に向けて、手続きに必要な情報や具体的な解決策をご紹介します。
目次
離婚したいけどお金がない
妻や旦那と離婚したいけどお金がない
「妻や旦那と離婚したいけどお金がない」と悩んでいる人は少なくありません。特に、旦那と離婚したいと考えている妻がパート主婦や専業主婦で、十分な収入がない場合、お金がないことで離婚するのを諦めてしまう、というケースがしばしば見受けられます。
たしかに、離婚を考える際に直面するお金の問題は多岐にわたりますし、その全てを解決しようと思うと、時間も手間もかかります。
例えば、弁護士に依頼する場合の費用や、調停や裁判にかかる手数料に加え、離婚後の住まいを確保するための引っ越し代や生活費の準備も必要です。また、専業主婦やパートタイムで働く主婦の場合、収入が限られているため、離婚後の生活基盤をどう整えるかという点で特に不安が大きくなります。さらに、収入がある場合でも、共同名義の借金や家計の管理状況によっては、離婚後の経済的負担がさらに増える可能性もあります。
このように、離婚にはさまざまな費用や経済的なリスクが伴います。中には、離婚後の生活が本当に成り立つのかという不安から、離婚に踏み切れない人もいるでしょう。また、離婚手続きにどの程度の費用がかかるのか、具体的な準備の仕方が分からず迷う人も少なくありません。
それでは次に、離婚するために実際にどれくらいの費用が必要になるのか、詳しく確認してみましょう。
離婚する時に必要な費用
離婚する時に必要な費用ですが、主なものを挙げるだけでも、以下の費用が考えられます。
- 住居関連費用
- 生活費の準備金
- 財産分与に関連する手続き費用
- 養育費や婚姻費用の請求に伴う費用
- 調停申立費用
- 裁判費用
- 弁護士費用
- その他の諸費用
ひとつずつ、具体的に見ていきましょう。
住居関連費用
離婚後の新しい生活を始めるために必要な費用です。具体的には、引っ越し費用、新居の敷金・礼金、初期の家具や家電の購入費などが含まれます。特に、賃貸契約を結ぶ場合にはまとまった資金が必要になることが多いため、事前にしっかり準備する必要があります。
生活費の準備金
離婚後の収入が安定するまでの間を支えるための生活資金です。食費や光熱費、交通費といった日常的な出費に加え、医療費や子供の教育費など、突発的な支出も考慮しておく必要があります。収入が途絶える期間が長い場合、一定期間分の生活費を計画的に確保しておくことが重要です。
財産分与に関連する手続き費用
結婚中に形成した財産を分割する際に発生する費用です。不動産の場合は名義変更や登記費用が必要となり、車両や金融資産の分配にも一定の手続きが伴います。また、評価額を算出するために専門家に依頼する場合は、その費用も考慮する必要があります。
養育費や婚姻費用の請求に伴う費用
養育費や婚姻費用を適正に支払ってもらうための調停や審判にかかる手続き費用です。これには申立書の作成費用や必要な書類の取得費用が含まれます。相手が支払いに応じない場合には、法的手続きの費用も発生する可能性があります。
調停申立費用
家庭裁判所で調停を申し立てる際に必要となる費用です。主に申立書に貼付する収入印紙代と、連絡や通知のために使用される郵便切手代が含まれます。費用は申立ての内容や件数に応じて異なりますが、比較的低額で済む場合が多いです。
裁判費用
離婚裁判を行う場合に発生する費用です。主に収入印紙代や郵便切手代、裁判に関連する書類作成の費用が挙げられます。裁判が長期化する場合には、追加の費用が必要になることもあります。
弁護士費用
離婚手続きや調停、裁判を弁護士に依頼する際にかかる費用です。初回相談料、事件を依頼する際の着手金、成果に応じた報酬金、必要書類の作成費用などが含まれます。弁護士によって費用体系は異なるため、事前に確認することが重要です。
その他の諸費用
離婚に伴う手続き全般で発生する細かな費用です。例えば、離婚協議書や公正証書を作成するための手数料、戸籍謄本や住民票などの取得費用が含まれます。また、必要に応じて専門家に相談する場合の費用も該当します。こうした細かな費用も積み重なると大きな金額になるため、計画的な準備が必要です。
以上の通り、離婚する際にはさまざまな費用が必要になってきます。
これに加えて、離婚後も家賃や生活費、子供の養育・教育に関するお金などが必要になります。
家賃
離婚後、実家に戻るなどせずにアパートやマンションを借りて新生活を始める際には、家賃が継続的に必要となります。新居を賃貸する場合には、月々の家賃だけでなく、初期費用として敷金や礼金、管理費なども発生します。新居の選択では、家賃が収入に対して無理のない範囲で設定されているかを確認することが重要です。また、子供がいる場合は通学や生活の利便性も考慮する必要があります。
生活費(食費・光熱費・日用品費など)
生活費には、日々の食費や光熱費(電気・ガス・水道料金)、洗剤やトイレットペーパーなどの消耗品費用が含まれます。離婚後は、以前よりも世帯規模が小さくなる一方で、単身世帯としてのコストが上がる場合もあります。これらの費用を明確に把握し、無理のない予算を立てることが重要です。
子供の養育費
子供の基本的な生活を支えるために必要な費用です。衣食住にかかる費用をはじめ、医療費や学校で必要な諸費用も含まれます。養育費は原則として親の収入や子供の人数に応じて算定されますが、離婚時の取り決めが適切であることが重要です。支払われる側だけでなく、支払う側も負担能力に応じて適切に計画する必要があります。
子供の教育費(学費・塾代・教材費など)
子供が学校に通うための学費や教材費、制服代に加え、塾や習い事にかかる費用が含まれます。教育方針や進学の計画に応じて、離婚後もこれらの費用を十分に見積もっておく必要があります。特に私立学校や大学への進学を希望する場合、将来的な支出計画を明確にしておくことが求められます。
医療費(子供と自身の医療に関する費用)
子供や自身の健康維持のための医療費です。定期的な健康診断や予防接種、病気や怪我に対応するための診察費用、薬代などが含まれます。特に、子供が持病やアレルギーを抱えている場合には、通常よりも高額な医療費が発生する可能性があるため、その点を考慮しておく必要があります。
保険料(健康保険、生命保険など)
離婚後は、健康保険の加入状況が変わる場合があります。会社員であれば勤務先の健康保険に加入し続けられる場合が多いですが、専業主婦(主夫)であった場合には新たに国民健康保険に加入する必要があります。また、生命保険や学資保険を契約している場合、それらの見直しが必要になる場合があります。特に子供がいる場合は、養育費を確保するための保険も検討すべきです。
車の維持費
車を所有している場合、駐車場代やガソリン代、車検費用、自動車保険料などの維持費が発生します。離婚後の生活で車が本当に必要かどうかを見極めたうえで、所有を続けるか、公共交通機関への切り替えを検討することも重要です。特に、車が生活圏内で不可欠な地域に住んでいる場合には、維持費を家計の中に組み込む計画が必要です。
このように、離婚するにあたっては、離婚をするための費用と、離婚後の生活の費用が必要になってくるのです。
そして、すぐには離婚しない場合でも、別居して生活するとなると、そのためのお金も必要になってきます。
別居したいけどお金がない
離婚前に別居する場合、別居中の生活費や引っ越し費用が必要となります。
ところで、別居中の生活費ですが、法律上の夫婦関係が継続している間は、一般的に収入の多い方が収入の少ない方の生活費を負担する義務を負うことになります(婚姻費用)。日本の法律では、婚姻関係が続いている限り、夫婦は互いに扶助義務を負うため、別居中であっても生活費の支援が求められることがあるのです。
とはいえ、離婚前提の別居となると、相手がなかなか別居中の生活費の支払いに応じてくれないことも少なくありません。
また、別居中の生活費について話し合う前に別居せざるをえない場合などは、当面の生活費を自分で確保しなければならないでしょう。
別居したいのにお金がないからできない、と別居を断念してしまう前に、弁護士にご相談いただくことをおすすめいたします。
離婚したいけど生活できない時は
さて、お金がないから離婚したいけど生活できない・・・というような場合には、離婚の手続きを進める中で相手に請求できるお金がないかを検討することと、離婚後に受けられる支援がないかを把握しておくことが重要です。
まずは、具体的に請求可能なお金について詳しく見ていきましょう。
離婚時に相手に請求できるお金
婚姻費用
婚姻費用とは、夫婦が別居している期間や離婚成立までの間、生活を維持するために必要な費用のことです。この中には、食費や住居費、光熱費などの生活費だけでなく、子供がいる場合には養育費も含まれます。婚姻費用は、夫婦の収入や生活水準をもとに算出され、収入の多い側が少ない側に支払う義務があります。調停や審判を通じて、具体的な金額が決定されることが一般的です。
財産分与
財産分与は、離婚時に結婚生活中に形成された夫婦共有の財産を分割する手続きです。対象となる財産には、預貯金、不動産、自動車、保険の解約返戻金などが含まれます。専業主婦であっても、家庭内での家事労働などを通じて間接的に財産形成に貢献しているとみなされるため、財産分与を受ける権利があります。分割割合や分与方法は、話し合いや家庭裁判所での調停を通じて決定されます。
養育費
養育費は、離婚後も子供を育てるために必要な費用であり、非同居親が支払うものです。養育費には、衣食住にかかる基本的な生活費だけでなく、教育費や医療費も含まれます。養育費の金額は、家庭裁判所が公表する養育費算定表を基に、両親の収入や子供の人数、年齢を考慮して決定されます。適切な養育費を受け取ることで、子供の生活の安定を図ることができます。
慰謝料
慰謝料とは、離婚原因となる行為によって被った精神的苦痛に対して請求できる賠償金です。不貞行為(浮気)、暴力、モラルハラスメントなどが慰謝料の対象となります。慰謝料の金額は、事案の内容や精神的苦痛の程度、相手の経済状況によって異なります。裁判所を通じて請求する場合には、客観的な証拠が重要です。
年金分割
年金分割とは、離婚後に相手の年金記録の一部を分割して受け取る制度です。結婚期間中に形成された年金記録が対象となり、話し合いや裁判で決まった分割割合に基づいて実施されます。この制度を利用することで、自分の将来の年金受給額を増やし、経済的な安定を図ることが可能です。申請には年金事務所への手続きが必要です。
以上の方法を活用することで、離婚後の生活を支えるための経済的基盤を整えることができます。どのような請求が可能かを早めに把握し、適切に権利を主張することが大切です。
離婚後に受けられる公的支援
また、条件を満たせば助成金などによる支援を受けることも可能です。金銭的な主な公的支援制度としては、例えば次のようなものがあります。
- 生活保護
- 児童手当
- 児童扶養手当
- 住宅手当
- 医療費助成制度
- 自立支援給付金
生活保護
最低限度の生活を営むための費用が支給される制度です。収入や資産が一定基準を下回る場合に利用できます。
児童手当
子供を養育している世帯に支給される手当です。対象となる子供の年齢や所得制限に応じて、一定の金額が支給されます。
児童扶養手当
ひとり親家庭を対象とした手当で、子供の養育を支えるために支給されるものです。子供の人数や親の収入状況により支給額が異なります。
住宅手当
低所得者が家賃負担を軽減するために利用できる制度です。自治体によって名称や内容が異なる場合がありますが、家賃補助や引っ越し費用の助成が含まれる場合もあります。
医療費助成制度
子供や一定条件を満たす方の医療費を軽減する制度です。多くの場合、一定年齢までの子供の医療費が無料または大幅に軽減されます。自治体によって内容が異なるため、詳細を確認することが必要です。
自立支援給付金
就労や資格取得を目指す際に必要な費用を一部助成する制度です。職業訓練や就職活動を支援し、経済的な自立を促すことを目的としています。
また、以上のような支援制度以外にも、自治体によって独自の支援制度を設けていることもあります。離婚を検討する際には、役場の窓口やホームページなどで確認するようにしましょう。
お金がないから離婚できない・・・と悩んだら
「お金がないから離婚できない」と悩んでいる方は少なくありません。しかし、経済的な問題があっても、適切な方法を検討することで離婚を進めることが可能です。まず、公的支援制度や相手に対する費用の請求を検討してみましょう。たとえば、別居中の婚姻費用や、離婚後に受け取れる養育費、財産分与、場合によっては慰謝料などが挙げられます。また、生活保護や児童扶養手当、医療費助成制度といった公的支援制度を活用することで、離婚後の生活基盤を整える一助とすることができます。
こうした手続きや請求を適切に進めるためには、法律の専門家である弁護士に相談することをおすすめします。弁護士は、離婚に伴う法的な手続きや相手方との交渉をサポートしてくれるため、複雑な問題も安心して任せることができます。
弁護士費用や相談料が心配な場合は、法テラスの利用も検討してください。法テラスでは、収入や資産が一定基準を満たしていれば、弁護士費用や裁判費用の立て替え制度を利用することができます。この制度を活用すれば、費用面での不安を軽減しながら、専門家のサポートを受けることが可能です。
Q&A
Q1.離婚したいのですが、離婚する時は具体的にどういったお金が必要になりますか?
離婚に際して必要なお金は、状況や手続きの内容によって異なりますが、主に以下のような費用が挙げられます。
- 住居関連費用
- 弁護士費用
- 調停や裁判費用
- 財産分与や養育費に関する手続き費用生活費の準備金
Q2.別居したい場合にどういった費用を検討する必要がありますか?
別居したい場合には、主に以下の費用について検討しましょう。
- 家賃
- 引っ越し費用
- 生活費
- 婚姻費用の確保
- 医療費や保険料
Q3.離婚したいのですが、収入が少なく生活できるか不安です。
離婚後の生活費について不安がある場合、公的支援制度や法的に請求できるお金を活用する方法を検討しましょう。例えば、婚姻費用や財産分与、養育費などを相手に請求することができます。また、生活保護や児童扶養手当といった公的支援制度も利用可能です。これらの制度を活用することで、経済的な不安を軽減することができます。
まとめ
離婚を考える際に「お金がない」という問題に直面すると、経済的不安から決断を先延ばしにしてしまう人も多いでしょう。しかし、必要な手続きや支援を知ることで、こうした不安を解消し、一歩を踏み出すことができます。
まず、相手に請求できるお金や権利について確認することが大切です。婚姻費用や養育費、財産分与は、離婚時や別居中でも相手に求められる可能性のある正当な権利です。特に、子供がいる場合には養育費を確保することで、子供の生活を安定させることができます。
さらに、経済的な不安がある場合でも、離婚に向けた計画を進めるためには、専門家への相談が不可欠です。弁護士は、法律の知識を活用して適切なアドバイスや交渉を行い、手続きのサポートをしてくれます。
当法律事務所でも、離婚に関する相談を初回無料でお受けしております。お電話での相談も可能ですので、まずはホームページからお問合せいただければと思います。
この記事を書いた人
雫田 雄太
弁護士法人あおい法律事務所 代表弁護士
略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。3,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。
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