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アスペルガーの特徴【完全版】アスペルガー症候群のあるあるを解説

監修者:弁護士法人あおい法律事務所

代表弁護士 雫田雄太

略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。
3,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。

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「人との会話がなぜかうまくいかない」「集団の中でいつも浮いてしまう」といった悩みを抱えている人の中には、アスペルガー症候群に該当するケースもあるかもしれません。

アスペルガー症候群の人と接していると、一見すると「会話が下手」「協調性がない」といった個性や性格のように思えますが、この傾向が重いものになってくると、対人関係や日常生活で著しく支障をきたすこともあります。

それでは、アスペルガー症候群の人に一般的に見られる特徴とは、どういったものなのでしょうか。

この記事では、アスペルガー症候群の代表的な特徴について確認し、その理解を深めていきたいと思います。

また、見過ごされがちな大人のアスペルガー症候群の特徴や、学校・職場・家庭などで生じやすいトラブルの傾向についても取り上げています。

アスペルガー症候群の特徴について正しく理解しておくことは、当事者にとっても、周囲の人々にとっても、円滑な人間関係を築く上で非常に重要です。どのように接するべきか悩んでいるとき、本記事が少しでもご参考となりましたら幸いです。

目次

アスペルガーの特徴

アスペルガー症候群の人の特徴について確認していく前に、アスペルガー症候群についての基本的な事項を確認しておきたいと思います。

アスペルガー症候群とは

アスペルガー症候群は、自閉症スペクトラムの一種であり、知的な発達や言語能力に大きな遅れはないものの、コミュニケーションや対人関係に特有の困難を抱える障害です。

かつては「発達障害」のひとつとして独立した診断名としてアスペルガー症候群とされていましたが、現在では「自閉スペクトラム症(ASD:Autism Spectrum Disorder)」という包括的な名称の中に含まれています。とはいえ、依然「アスペルガー」という言葉は広く認識されているので、この記事でもアスペルガーとして表記させていただきます。

 

アスペルガー症候群とは

 

さて、アスペルガー症候群においては、本人にとっては日常的な行動であっても、周囲からは「空気が読めない」「自己中心的に見える」と受け取られてしまうことがあり、対人関係で誤解を与えたり、摩擦を生む要因となったりすることもあります。

アスペルガー症候群の特性は、幼少期から見られる場合が多く、話し方に特徴があったり、同じ遊びや活動に強いこだわりを持ったりすることがあります。そして、成長とともに接する人間関係・社会的範囲が広がり、社会のルールが複雑になることで、違和感や生きづらさが顕在化しやすくなるのです。

一方で、特定の分野において非常に高い集中力や専門性を発揮する人も多く、特性を理解し、適切な環境を整えることで力を発揮できるケースもあります。

それでは、アスペルガー症候群の人によく見られる特徴について見ていきましょう。

アスペルガー症候群の全般的な傾向

アスペルガー症候群の人には、知的発達や言語能力に大きな遅れがない一方で、対人関係や感覚の特性、身体的な傾向など、さまざまな面で特徴的な傾向が見られます。

一般的に、「障害がある人は顔つきや容姿に特徴が現れる」という先入観を持たれることがありますが、アスペルガー症候群においては外見上の特徴は見られません。

身体的な特徴としては、運動神経があまり良くない人が多いことが知られています。たとえば、ボールを使った遊びや、周囲と動きを合わせるような運動が苦手で、うまくタイミングを取ったり力加減をしたりすることに難しさを感じるようです。空間認識能力が低いため、物との距離感や動きがうまくつかめないことや、人と目を合わせることが苦手なため、集団競技でのアイコンタクトができない、といった要因も関係しています。

また、アスペルガー症候群の子どもによく見られる傾向として、同じ場所をぐるぐる回る・体を前後に揺する、といった行動(常同行動)を取ることがあります。常同行動とは、外から見るとその意図がわからない、繰り返し行われる行動のことです。何か要求を伝えたいときや、不快な刺激を受けたときなどにこうした行動を取ることがあります。

生活音や人混みのざわめき、エアコンの音など、普通は気にならないような音がストレスになるほど、聴覚過敏という特徴も見られます。

一方で、記憶力に優れているという特徴も見られます。一度聞いた話や見た出来事を細かいところまで覚えていたり、数字や日付、会話の内容などを長期間忘れずに覚えていたりすることがあります。興味のある分野については特に集中力が高く、専門的な知識を深く掘り下げて覚えている人も少なくありません。

このような記憶力の良さは、勉強や仕事において発揮される場面も多く、大きな強みとなります。ただその反面、「一度覚えたやり方を変えたくない」「予定の変更が苦手」といったこだわりの強さにつながることもあり、柔軟に対応しきれないことも多いです。

 

アスペルガー症候群の全般的な傾向

 

アスペルガーは「人の気持ちがわからない人」?

アスペルガーは、よく「共感力がない・人の気持ちがわからない」と言われることが多いです。これは一体どういう意味なのでしょうか。

 

アスペルガー症候群の特性のひとつに、他人の気持ちを読み取ることが苦手であるという傾向があります。これは、相手の表情、声のトーン、言葉に込められたニュアンスなどから感情や意図を推測する力が弱いためで、悪意がなくても人の気持ちを無視しているように見えてしまうことがあります。

たとえば、同僚が落ち込んでいる様子を見ても「大丈夫?」と声をかけることなく、話題に関係のない話を始めてしまう、あるいは冗談のつもりで皮肉を言ってしまい、相手を傷つけるなど、場の空気や相手の心理を読み損ねた言動が起きやすくなります。その結果、人間関係における距離感をうまく保てず、誤解されてしまったり、度々人と衝突してしまったりすることがあるのです。

会話においても、相手の意見に対して否定から入る傾向があり、「それは違う」「でもこうじゃない?」といった返しが無意識に出てしまうことがあります。正確さや論理性を重視するあまり、相手の気持ちを受け止める前に理屈を優先してしまい、周囲からは高圧的、批判的な態度に映ることがあります。

また、自分の行動に対しては寛容である一方で、他人に対しては厳しい姿勢を取ってしまうこともあります。自分のミスは軽く流すのに、他人のミスには細かく指摘するといった態度は、周囲からは身勝手に見え、敬遠されてしまいがちです。

また、感情のコントロールがうまくいかず、自分の思い通りにいかないと不機嫌になる、周囲の気持ちや状況・立場に配慮して行動することが難しい、という特徴もあるため、精神年齢が実年齢より幼く感じられることも少なくありません。

また、ストレスがたまったときや予想外の状況に直面したときに、攻撃的な言動が出ることもあります。本人にとっては混乱や不安の表れであっても、声を荒げたり強い言葉で反論したりすることで、周囲からは感情的で扱いづらい人物だと受け取られてしまうことがあるのです。

以上の通り、他人の気持ちを理解することが難しいために、人間関係のトラブルが生じやすいという面があります。

  • 他人の気持ちを読み取るのが苦手で、表情や言葉の裏にある感情をくみ取ることが難しい。
  • 空気を読めず、相手の心理や状況にそぐわない言動をとってしまうことがある。
  • 会話では否定的な返しが多く、理屈を優先するため高圧的に見られることがある。
  • 自分に甘く、他人のミスには厳しく接する傾向がある。
  • 感情のコントロールがうまくいかず、精神年齢が実年齢より幼く見えることがある。
  • 少し混乱しただけでも攻撃的な言動になってしまい、感情的で扱いにくい印象を与えてしまう。

同じ話を何度もする人はアスペルガー?

アスペルガーの人には、「同じ話を何度もする」といったコミュニケーション面での特徴も見られます。

ASDの話し方の特徴

アスペルガーの人には、「同じ話を何度もする」という特徴があります。これは、自分が話した内容をどこまで伝えたか忘れてしまったために再度同じ話をする場合や、自分が関心のある話題に対して強いこだわりがあるため、相手の反応や話の流れを気にせず繰り返してしまう場合があります。

また、会話が一方的になりやすいことも特徴のひとつです。自分の話したい内容に集中し、相手が発言する余地を持たないまま話し続けてしまうことがあります。特に、強い興味を持っている分野については、情報量が多く、話が止まらなくなる傾向があります。相手の反応や関心の有無を汲み取ることが難しいため、会話が相互的に成立しづらくなるのです。

不用意な発言が多くなる、という特徴もあります。本人としては事実を伝えたり、自分の考えを率直に述べたりしているつもりでも、文脈や相手の心情を十分に考慮せずに発言してしまうことが少なくありません。そのため、余計な一言を加えてしまい、相手を不快にさせたり、傷つけたりする場合があります。

そして、話の流れが飛びやすいという特徴もあります。会話中に本人の中で話していることとは違うことを思い浮かべ、その思い浮かべたことについて突然話始めるため、唐突に話題が変わってしますのです。本人にとっては一貫性のある思考の流れですが、聞き手からは突然話が飛んでしまうため、スムーズなやり取りがしづらくなりがちです。

また、会話をする際に視線を合わせることに対して強い抵抗を感じる人も少なくありません。相手の目を見ることが苦手で、会話中に視線をそらす、もしくは一点を見つめたまま話す傾向が見られます。これは失礼な態度として誤解されることもありますが、本人にとっては冷静さを保ち、集中力を維持させるために必要な工夫であることもあります。

こうした特徴から、自分に合わせて会話をしてくれる年長者との会話を好み、同年代や年少者との会話は好まない傾向が見受けられます。

コミュニケーションは対人関係を築く上での基本です。そのため、アスペルガー症候群の特性によって生じる会話上の違和感やすれ違いについて正しく理解しておくと、アスペルガー症候群の人との会話でストレスを感じることがあっても、関わり方を工夫して前向きに付き合っていけるかもしれません。

アスペルガーの人の文章の特徴

アスペルガー症候群の人には、話し言葉だけでなく、文章表現においても特有の傾向が見られることがあります。書く力そのものが低いというよりは、思考の組み立て方や言語の使い方に独自の癖があることが多く、それが文章に反映されやすいという特徴があります。

まず、文章が非常に具体的で、細部にこだわる傾向が見られます。たとえば出来事の説明を求められた際に、時間、順番、背景、登場人物などを事細かに書き出す一方で、読み手に伝わりやすい構成や要点の整理といった視点が抜け落ちることがあります。本人にとっては事実を正確に記述しているつもりでも、情報の優先順位や全体の流れが不明瞭になり、結果として読みづらい文章になることがあります。

また、抽象的な表現や感情を言語化することが苦手な人も少なくありません。たとえば「楽しかった」「困った」「申し訳なかった」などの主観的な感情を言葉にすることに難しさがあり、代わりに行動や状況の説明に終始してしまうケースがあります。これにより、読み手が筆者の意図や心情をつかみにくくなることがあります。

他にも、一文が極端に長くなる、あるいは文の構造が不自然になるといった特徴も見られることがあります。これは、思考の整理と文章の構造化が一致しづらいことが関係しており、頭の中にある情報を順序立てて文章化することが難しいためです。

さらに、相手の立場に立った書き方が難しいという点も指摘されています。たとえば報告書やメールにおいて、「相手が何を求めているか」「どの程度の説明が必要か」といった読み手側の視点を考慮するのが難しく、必要以上に情報を詰め込みすぎたり、逆に要点が抜け落ちたりする場合があります。

アスペルガーは自分の気持ちがわからない?

アスペルガー症候群の人には、自分の感情をうまく認識できないという特徴も見られます。

感情そのものが存在しないのではなく、それを適切に「気づき」「言葉にする」ことが難しいのです。

怒りや不安を抱えているにもかかわらず、それが自分の中で明確に意識されず、「胸がざわざわする」「落ち着かない」「周囲に当たってしまう」といった漠然とした違和感や行動としてしか表に出てこないことがあります。本人は、心身に生じている変化がどの感情によるものなのかがわからないまま、不快感だけが残っている状態です。

また、喜怒哀楽などの感情の区別をつけることが難しいため、本人が自分の中にある感情の種類を正確に把握することができず、状況に応じた適切な行動を取ることが難しくなる場合があります。たとえば、「悲しい」「寂しい」「悔しい」などの感情が区別されないまま、「なんとなく気分が悪い」といった漠然とした感覚としてしか捉えられず、自分にとって何が負担になっているのかが分からないまま、その状態が長引いてしまうことがあります。結果として、不調の原因に気づくのが遅れてしまい、周囲に助けを求めるタイミングを逃してしまうこともあるのです。

自分の気持ちがわからないという感覚は、本人にとっても説明が難しく、周囲からしても理解が難しいかもしれません。ですが、こうした特徴があるのだということを把握しておくことが重要なのです。

【例】アスペルガーの人に見られるこだわり

アスペルガー症候群の特徴の一つに、「こだわりが強い」という傾向があります。これは、本人の中にある特定のルールや習慣、関心の対象が非常に明確で、それを繰り返すことで安心感を得ているからです。こだわり自体は誰にでもあるものですが、アスペルガー症候群の人に見られるこだわりは、日常生活に大きく影響を及ぼすほど強く表れることがあります。

たとえば、同じ本ばかり読むというこだわりを見せることがあります。アスペルガー症候群の人は、ちょっとした変化や予期せぬ出来事についても不安や緊張を感じやすいため、何度も同じ本を読むことで、安心感を得られるのです。

日常生活においては、同じ服しか着ない、あるいは同じものばかり食べるといった傾向も見受けられます。衣類の素材や着心地、食事の味や食感といった感覚面でのこだわりが強いことに加え、新しいものを取り入れることに抵抗を感じ、変化を避ける傾向があるためです。

また、こだわりが強いために、自分なりのやり方や進め方に対して強い確信があるため、他人のやり方を受け入れにくくなり、自分が状況をコントロールしようと、その場を仕切りたがるという特徴も見られます。

こうした行動は、単に頑固であるとか、融通が利かないという個性・性格ではなく、本人が安心感を得られ、本人にとっての秩序を保つための反応であることを理解しておくと、適切な対応をしやすくなるかもしれません。

アスペルガーの特徴に関するQ&A

Q1.アスペルガー症候群の人は、なぜ空気が読めないと言われるのですか?

A:アスペルガー症候群の人には、相手の表情や声の調子、言葉の裏にある意図や感情を読み取ることが難しいという特徴があります。そのため、悪気はなくても相手の気持ちに寄り添った対応ができず、「空気が読めない」「配慮が足りない」と見られることがあるのです。

Q2.アスペルガー症候群の人は、みんな同じ特徴を持っているのですか?

A:いいえ、アスペルガー症候群の特徴は人によって大きく異なります。会話の仕方や感覚の特性、こだわりの強さなど、いくつか共通する傾向はありますが、現れ方の程度や場面には個人差があります。「この特徴があるからアスペルガーだ」と単純に判断することはできません。

Q3.アスペルガー症候群の人の特徴である「こだわりが強い」とは、具体的にどういうことですか?

A:特定の行動や習慣、考え方に対して強い執着を持ち、変化を嫌う傾向のことを意味します。たとえば、毎日同じ服を着る、決まったものしか食べない、同じ場所を繰り返し歩くといった行動に現れることが多いです。本人にとっては安心を保つ手段であり、環境の変化に対して不安を感じやすいことが、強いこだわりを生じさせていると考えられています。

まとめ

この記事では、アスペルガー症候群の人に一般的に見られる特徴について、解説させていただきました。

アスペルガー症候群に対する理解を深めることは、本人の生活の質の向上だけでなく、周囲との関係を円滑にし、社会全体における共生の基盤をつくる上でも重要です。特徴を正しく認識したうえで、必要に応じた配慮や関わり方を考えていくことが求められます。

なお、ご家族や配偶者にアスペルガー症候群の方がいらっしゃり、関係の築き方や日常生活での不安や疑問、法的な問題などでお悩みの場合は、ひとりで抱え込まずに、信頼できる第三者にご相談いただくことをおすすめいたします。

この記事を書いた人

雫田 雄太

弁護士法人あおい法律事務所 代表弁護士

略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。3,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。

 

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