離婚してよかった?アスペルガー症候群の夫や妻との離婚を考えている人に発達障害の特徴から離婚の原因に慰謝料まで
配偶者がアスペルガー症候群のために、うまくコミュニケーションが取れずにストレスを抱えていませんか?
なかには離婚を考えている人も少なくないでしょう。
一方で、アスペルガー症候群は愛嬌のある人も多く、人として魅力的なところもあります。
後々になって、離婚してよかったのかと後悔する人も少なくありません。
ここでは、離婚してよかったのかと後々で後悔しないように、まずはアスペルガー症候群の特徴を理解し、離婚につながりそうなトラブルやまた離婚や慰謝料の請求方法について詳しく解説していきます。
アスペルガー症候群の夫や妻と離婚してよかったと感じる場合は、どのようなケースなのか、一緒に考えてみましょう。
目次
アスペルガー症候群と向き合うために、まずは発達障害の特徴を理解しよう
アスペルガー症候群とは発達障害である自閉症スペクトラムのひとつです。
近年、発達障害はとても有名な言葉になりました。
発達障害をもつ子供は全体の6~7%ほどと言われており、大人になって社会生活の中で困りごとが増え、障害が発覚する大人の発達障害も増えてきています。
発達障害には、その特性によっていくつかの種類に分けられており、従来は、自閉症、高機能自閉症、アスペルガー症候群と細かく分類されていましたが、2013年以降、診断基準が改訂されたことによって、アスペルガー症候群を含めこれらをまとめて「自閉症スペクトラム」と呼ぶようになりました。
しかし、特にアスペルガー症候群などの旧診断名は、自治体や医療現場で広く使われ馴染み深いため、今でもあえてわかりやすくアスペルガー症候群と診断がつくことがあります。
アスペルガー症候群の特徴
アスペルガー症候群は、自閉症スペクトラムのひとつですが、知的障害を伴わず、言葉の遅れもないことが大きな特徴です。
アスペルガー症候群の人は、人懐っこかったり、話好きだったりするケースもあり、一見コミュニケーションには問題がないように見えます。
アスペルガー症候群は、①コミュニケーションや対人関係につまずきがある、②言葉の理解が不十分で非言語的なコミュニケーションが苦手、③相手の気持ちや立場への理解が難しい、④こだわりがあり、状況や環境の変化が苦手などの特徴があります。
もう少し具体的なことでは、自分の関心事を一方的に話し続けたり、相手の質問に対して的外れな受け答えをして、言葉のキャッチボールは苦手であったりします。
アスペルガー症候群の場合、知的レベルは標準より高い人も多いですが、言葉で言われていないことは理解できないなど、暗黙のルールがわからなかったり、場の雰囲気がつかめずに社会人になってからつまづいて、そこでアスペルガー症候群が発覚する人も少なくありません。
アスペルガー症候群は一見すると何も問題がないように思えてしまうので、わざと相手を困らせようとしているのではないか?などと誤解を受けやすいのも特徴の一つです。
アスペルガー障害の原因は特定されていませんが、脳の機能障害が関連しているといわれています。
したがって、このような言動は本人に責任はないのです。
しかし、現時点で脳の機能障害を治す方法は見付かっておらず、アスペルガー症候群のある旦那や妻と一緒に暮らすパートナーには相当な負担もかかることかと思います。
アスペルガー症候群は、適切な周囲の関わりによって、少しずつ本人の言動に変化をもらたすことができます。
アスペルが―症候群の旦那や妻と婚姻生活を続けていくためには、まずは発達障害の症状の特徴や症状への対応の仕方を学ぶことが何よりも大事になってきます。
また、離婚を考えている場合は、アスペルガー症候群の配偶者にもきちんと伝わるようにきちんと話し合い、双方が納得して離婚することができれば、その後離婚してよかったのかと後悔することも少なくなるでしょう。
夫や妻がアスペルガー症候群のときに離婚につながりやすいトラブルとは?
旦那や妻がアスペルガー症候群の場合に起こりうる5つのトラブル
アスペルガー症候群の特性は、大人になっても治ることはありません。
しかし、学校や社会に出てから人との関わり方を教わったり、経験を積むことで、社会上の適応能力は向上します。
それでもやはり、感じ方や考え方にはアスペルガー症候群特有のものがあり、それが原因となって配偶者などの家族、職場や知人とトラブルを起こすこともあるでしょう。
また、アスペルガー症候群に限らず、発達障害を有する人は、大人になるとそれまでの支援者とのつながりが途切れたり、仕事で忙しく通院できなくなったりして、子供のころよりも治療を受けることが少なくなってきます。
アスペルが―症候群の人は、自分から誰かに苦手なことや困っていることを伝えたり、支援を求めることが難しかったりするため、周りの人から誤解を受けたり、対人関係で摩擦が生じたりして、配偶者との関係がこじれたり、職場で大きなトラブルを起こしてしまうときがあります。
ここでは、旦那や妻がアスペルガー症候群だったときに、特に起こりやすいトラブルをみてみましょう。
家事や育児の段取りができない
アスペルガー症候群の特徴として、複数の作業に優先順位をつけたり、時間配分を考えたりすることが苦手です。
そのため、家事や育児の段取りがうまくできず、急ぎのものを後回しにしてしまったり、掃除や洗濯、炊事などを時間内に終えたりすることができなかったりします。
その一方で、融通が利きにくく、ルールや規則に厳しいため、配偶者には家庭内の決まりを守るようにと口うるさく言い付けることがあります。
妻や旦那が仕事で帰りが遅くなり、食事の準備が遅くなったりしても、仕事だからという理由で許してあげるといった融通が利きにくいでしょう。
その結果、育児や家事の分担が不公平になったりして、妻や旦那に不満を持たれることも少なくありません。
あいまいな言葉が理解できない
言葉の遅れはありませんが、抽象的な言葉を理解することが苦手なので、主語や述語がない言葉、「これ」「あれ」といった曖昧な言葉が理解しにくく、配偶者の求めにうまく応えられないことがあります。
「それ急いでやっておいて」と言っても、急いでというのが、どのくらいの時間幅であるかがわからず、本人的には明日までで大丈旦那と勝手に解釈して、旦那や妻に怒られてしまうということもあります。
予定の変更に柔軟に対応できない
アスペルガー症候群を始めとして、自閉症スペクトラムの特徴に、突然の状況や環境の変更に対応できないということがあります。
変化を受け入れることが苦手のため、妻や旦那とデートに行ったり、休日に家族で出かけたり、子供を習い事や友人宅へ送迎する際などに、出掛ける時間や場所などが変わったりすると混乱してしまいます。
また、こだわりの強さもあるため、自分が決めた方法に固執してしまい、配偶者のやり方を受け入れられず、喧嘩に発展してしまうケースもあるでしょう。
配偶者の気持ちを理解できずに、余計なことを言ったり、謝罪や感謝を伝えることができない
アスペルガー症候群は、人と関わることに積極的な人もいますが、相手の気持ちを想像したり、相手の立場で考えることが難しいため、相手を傷つけてしまうような言葉でも、口に出してしまうことがあります。
また、どういう言葉を使えば相手に気持ちが伝わるのかを理解しにくく、妻や旦那にお願いをする際の言葉遣いや、自分のミスが原因で配偶者や家族に迷惑をかけてしまったときの誤り方などが身に付いていないことがあります。
下手に出てお願いするべき場面でも「これやっておいて」などと指示口調になってしまい、妻や旦那を不快にさせてしまうこともあります。
自分の都合を優先させる
人に合わせることが苦手なので、配偶者や子供の都合に合わせることが難しいときがあります。
家族に買い物に行こうと誘われても、「見たいドラマがあるから」などと言って、断ったりします。
そうすることで、家族が気を悪くしてしまうことを想像することができないのです。
アスペルガー症候群の特徴を知ることで、トラブルを防ぐことができたり、アスペルガー症候群のせいだから仕方がないと相手を許せることができるかもしれません。トラブルが続くと離婚を考えてしまいますが、離婚してよかったのかと、後から振り返って後悔することがないように、夫婦の状況を客観的に見つめることが大事になるでしょう。
アスペルガー症候群の夫や妻に疲れてしまったら?離婚率や離婚を後悔しないためのポイント
夫や妻が発達障害の場合の離婚率は?
配偶者のアスペルガー障害を理由に離婚を悩んでいる方は、同じような体験で悩んでいる人がどのくらいいるのか気になりますよね。
残念ながら、日本でアスペルガー症候群の夫婦を対象に調査したデータはありませんでしたが、アメリカでは、発達障害を持つ配偶者との離婚を考えた夫婦は全体の7割ほどと言われているようです。
これほどに高い割合である理由は、アスペルガー症候群の夫や妻と共同生活を続けるうえで、コミュニケーションの困難さが障害になっているからといえるでしょう。
配偶者に疲れて離婚しようか悩んだときに、離婚してよかったのかと後悔しないためのポイント
アスペルガー症候群の主な特徴は、コミュニケーションの齟齬や融通の利かなさにあります。
普段は人好きのする性格で魅力のある配偶者であっても、普段の会話でうまくキャッチボールができなかったり、配偶者や子供の緊急時や大切な行事のときなどに柔軟に対応できないことが続けば、婚姻生活に嫌気が差してしまうこともあるでしょう。
アスペルガー症候群の配偶者との生活でストレスが続いたときに、離婚をしたほうがいいのか、それとも婚姻生活を続けるべきか迷うのも当然でしょう。
後で離婚してよかったのかと後悔する前に、離婚する前に考えておくべきことをお伝えします。
アスペルガー症候群の特徴を理解して、工夫することで互いの負担が減少し、婚姻生活を続けることができないか考えてみる
夫や妻がアスペルガー症候群であると、共同生活を続けていく上で様々な苦労があると思います。
しかし、離婚するまでの決心がつかない場合などには、もう一度、工夫しながら婚姻生活を続けることができないか考えてみることをおすすめします。
アスペルガ―症候群が完治することは難しいですが、アスペルガ―症候群を持つ本人とその家族、職場の同僚や知人が発達障害を理解して、本人に合う環境を調整することで、アスペルガ―症候群による困りごとを少しでも軽減できるように工夫しましょう。
たとえば、急な変更には柔軟に対応できなくても、決まった順序や手順の上ではきちんと取り組むことができます。
1週間や1日のスケジュールを夫婦で事前に話し合っておき、予定が変わる場合はできるだけ早く互いに報告するとうルールを決めて置いたり、一人でコツコツと作業に集中できる環境を作ることで、家事もきちんとこなすことができるようになったりもします。
また、医療機関などを受診して、アスペルガー症候群の特性に対する理解や特性にあった対処法、環境調整などを中心にカウンセリングを受けることもおすすめします。
一人で抱え込まずに、主治医や第三者のアドバイスなども取り入れながら、アスペルガー症候群に向き合う上で工夫できるところがないか配偶者と一緒に探していくことが大切です。
一度別居して、互いに冷静になる期間を設けてみる
アスペルガー症候群の症状にストレスを感じていても、その夫や妻を嫌いにはなれない、また、婚姻生活の中でも安定して穏やかな時期があるなど、離婚したい気持ちもあるが、迷いがある人も多いでしょう。
そのようなときには、一度配偶者から離れて、心身を休め、冷静な気持ちでこれからの生活を考えることも賢明でしょう。
また、仮に離婚する場合には、別居期間が長いほど離婚しやすくなるというメリットもあります。今後の家族のことを考える上で、今離婚すべきか、それとも少し距離を置いて復縁するのか、ゆっくりと考える時間あってもいいのではないのでしょうか。
離婚してよかったと言えるケースとは?カサンドラ症候群になってしまった場合
もし、婚姻生活を続けるために工夫したり、一時期別居をしてもなお、やはりアスペルガー症候群の相手と復縁することができないということであれば、離婚も考えてみましょう。
婚姻生活が継続できないか十分に考えて行動した上で離婚をするのであれば、離婚してよかったのかなと後から悔やむこともなく、自分たちの最適な方法を選択することができることでしょう。
近年、アスペルガー症候群の配偶者の言動によってもう一方の配偶者に精神的な影響を与えることをカサンドラ症候群と呼ぶようになりました。
カサンドラ症候群とは、アスペルガー症候群によって、コミュニケーションや情緒的な相互関係を築くことが難しくなり、一緒に生活をする人が不安や抑うつなどの心身の不調を来す状態のことであり、心理臨床の世界でも大きな問題とされています。
カサンドラ症候群になってしまった場合は、別居や離婚をすることがお互いの心身の健康を保つことにつながる場合があります。カサンドラ症候群で離婚を悩まれる方は、こちらのリンクに詳しく記載していますので、ご覧ください。
アスペルガー症候群の夫や妻と離婚する方法/離婚事由や親権、養育費について考える
夫や妻がアスペルガー症候群であった場合、配偶者はアスペルガー症候群の特徴を理解しながらも、様々なストレスを抱えながら婚姻生活を続けていることがあるでしょう。
ストレスを抱える生活では、精神的に追い詰められて、離婚を決意することもあると思います。
アスペルガー症候群を理由として離婚することはできるのでしょうか?
夫婦で話し合って離婚する場合
アスペルガー症候群を理由に離婚したい場合には、まずは夫婦できちんと話し合うことが大切です。
ただし、アスペルガー症候群の配偶者と話し合う場合、話が嚙み合わずにイライラしたり、感情的になってしまうこともあるでしょう。
また、離婚を切り出したとしても、相手にその理由を理解してもらえず、拒否されてしまうケースもあります。
互いに冷静さを欠いた状態で離婚をしてしまうと、あのまま離婚してよかったのかと後悔することもありますので、その場合は、一旦時間を置くなどして心を落ち着かせましょう。
協議離婚の場合、夫婦双方が離婚することに合意していれば、役所に離婚届を提出することで、離婚することができますので、アスペルガー症候群が理由であっても離婚できます。
一方、夫婦だけの話し合いではまとまらない場合、実家や共通の知人などに同席してもらって、話し合うこともいいでしょう。
特にアスペルガー症候群の特性から、話がうまく嚙み合わなかったり、自分の考えに固執してしまわれたりすることがありますので、第三者に仲裁してもらうほうが話がまとまることがあります。
弁護士に示談交渉を依頼して離婚する場合
夫婦間の話し合いでまとまらない場合は、弁護士事務所に相談して、弁護士の仲介で離婚に向けた交渉を行うことが考えられます。
近年はアスペルガー症候群に関連した夫婦の問題も増えてきていますので、弁護士にもアスペルガー症候群についての知識やノウハウがありますので、別居や離婚の問題について、安心して一任することができます。
弁護士に相談するのは裁判をするとき、というイメージが強いかもしれませんが、弁護士には協議離婚の交渉を依頼することもできます。
たとえば、アスペルガー症候群の配偶者と話し合うとお互いに感情的になってしまい話がまとまらない、すでに別居していて相手と関わりたくない、相手に話をしても無視されてしまうなど、弁護士が代理人になってもらうことで、スムーズに話ができることがあります。
また、弁護士が代理人となった場合には、相手との連絡はすべて弁護士が取ることになりますので、依頼者は直接相手と関わる必要はありません。また、親権や養育費、慰謝料の問題についても、法律の視点から適格にアドバイスをしてくれるでしょう。
もし、自分で交渉を行いたい場合には、協議の場に弁護士の同席を依頼することができます。同席の場合は、相手から不当な要求をされたとしても弁護士が法的な観点から拒否してくれます。
また、離婚に向けて妥協すべき点やアドバイスをもらうこともできるため、夫婦にとって最適な内容で離婚を目指すことができるでしょう。
しかし、弁護士による交渉を経てもなお、離婚に向けた話し合いがまとまらない場合には、裁判所の調停手続又は訴訟手続を利用することになります。
離婚調停で離婚する場合
離婚調停を行う場合は、家庭裁判所で離婚調停を申し立てます。調停は、裁判官と2人の調停委員で構成される調停委員会が夫婦の話し合いを仲裁して、離婚のほか、親権、養育費、面会交流、財産分与、慰謝料などについて話し合います。
調停委員は、調停に一般市民の良識を反映させるため、社会生活上の豊富な知識経験や専門的な知識を持つ人の中から選ばれます。
調停委員の中には、心理カウンセラーの資格を有している方など、アスペルガー症候群などの発達障害について専門的な知識を持っている調停委員がいますので、アスペルガー症候群の症状や配偶者のつらい気持ちも理解してもらいながら、話し合いを進めることができるでしょう。
調停では話し合いがベースになります。
離婚の原因について突き詰める必要はありませんので、夫婦の双方に離婚の意思があり、親権やそのほかの条件がまとまれば、離婚することができます。
一方で、夫婦のどちらか一方に復縁したい気持ちが残っていたり、親権や養育費などの条件が整わない場合は、話し合いがまとまらずに、調停が不成立となります。
離婚裁判で離婚する場合
調停手続が不成立になり、それでも離婚をしたいと考える場合は、当事者のどちらか一方が、裁判所に対して訴訟を提起します。
これがいわゆる裁判といわれるものです。
裁判で離婚するためには、法的に認められる離婚事由が必要となりますので、アスペルガー症候群が離婚事由になるのか、事前に確認する必要があります。
民法上、離婚事由として以下の5つが明記されています。
- 配偶者に不貞行為があったとき
- 配偶者から悪意の遺棄をされたとき
- 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
- 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
- その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき
もし、アスペルガー症候群の夫や妻と離婚したい場合には、5つ目の「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」を満たす必要があります。
ただし、配偶者がアスペルガー症候群であることだけでは、離婚事由になりません。
その他婚姻を継続し難い重大な事由を満たすためには、アスペルガー症候群の配偶者と婚姻生活を続けることによって、耐え難い苦痛やストレスから配偶者が精神疾患を患う場合や、別居期間が長期化して第三者から見ても婚姻生活を続けられない状況と判断される場合には離婚が認められることがあります。
離婚について配偶者の同意が得られなかったり、アスペルガー症候群によって婚姻が継続し難い状況であることがすぐには立証できない場合は、まずは別居をして既成事実を作る方法もあります。
判例では、おおむね5~10年ほど別居が継続している場合には、夫婦関係が破綻していると認められるケースが多いのです。相当期間別居をすることで、第三者から見ても復縁は難しいと考えられ、「婚姻を継続し難い重大な事由がある」と認められる可能性が高まります。
また、アスペルガー症候群のほかに暴力やモラハラなどのDV、不倫がある場合には、それぞれを理由にして離婚が認められるケースがあります。
立証の仕方や証拠の集め方については、専門家である弁護士に相談することが一番です。
調停や裁判での離婚を考える場合は、まずは弁護士に相談することをおすすめします。
アスペルガー症候群が親権や養育費に及ぼす影響を考える
夫婦に子供がいる場合は、離婚のほかに、親権者や養育費を決める必要があります。
親権者とは、子供の責任を第一に負う人のことで、基本的には親権者が子供と一緒に生活して、食事の管理を行い、適切な教育や医療を提要する人のことです。
婚姻中は夫婦が共同で親権を持ちますが、離婚後は夫婦の一方を親権者として指定する必要があります。また、養育費は、親権者にならなかった側が、子供の生活費として支払う義務があります。
アスペルガー症候群の配偶者が親権を求める場合には、本当に育児をすることができるのか、子供の気持ちに配慮して子供とコミュニケーションが取れるのかなど、子育てに与える影響について慎重に検討する必要があります。
一方で、養育費については、配偶者がアスペルガー症候群であったとしても養育費を支払う義務がなくなるわけではありません。
ただし、アスペルガー症候群が重度であり、就労支援などを利用している場合には、養育費は収入額に影響を受けるため、一般よりも低い金額の養育費を受け取ることがあります。
親権や養育費について、話し合いがまとまらない場合には、弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
アスペルガー症候群を理由に慰謝料を請求することはできるのか?
慰謝料とは、「相手の言動によって被る精神的な苦痛に対して支払われるお金」のことです。
アスペルガー症候群の配偶者との生活によって苦痛やストレスを受けた場合に、アスペルガー症候群を理由に慰謝料を請求することはできるのでしょうか?
アスペルガー症候群を理由に慰謝料請求が認められるケースは少ないでしょう。
アスペルガー症候群は、遺伝子などの異常により来たらせる障害であり、アスペルガー症候群を有する本人も、自らが望んでアスペルガー症候群になったわけではありません。
そのため、アスペルガー症候群を理由に離婚した場合であっても、障害を抱える本人にその責任を負わせることはできません。そのような考えから、アスペルガー症候群などの発達障害を理由に慰謝料を請求しても認められないことがほとんどです。
一方で、アスペルガー症候群の夫や妻が、配偶者に対して暴力を振るったり、不倫をした場合には、暴力や不倫を理由に慰謝料を請求することができます。ただし、本人が暴力や不倫を認めない場合は、慰謝料の支払いを拒否されることがあるでしょう。
慰謝料をきちんと支払ってもらうためには、暴力や不倫の証拠が必要になります。
なお、慰謝料の相場として、身体的または精神的な暴力が原因で離婚に至った場合の慰謝料は、おおよそ50万円から300万円となっています。
また、不倫(配偶者以外の者と肉体関係又はそれに類似した性交関係がある)が原因で離婚する場合は、200万円から300万円ほどの慰謝料を請求することが可能です。
どのような場合に慰謝料を請求することができるのか、慰謝料の請求方法などについて詳しく知りたい方は弁護士事務所にご相談ください。
アスペルガー症候群の夫や妻と離婚してよかった?に関するQ&A
アスペルガー症候群で離婚してよかったと思えるケースの特徴とは?
夫婦の一方がアスペルガー症候群であると、夫婦のコミュニケーションに齟齬が生じ、喧嘩に発展することも少なくありません。
アスペルガー症候群の特性を理解して、環境を工夫したり、それでもストレスが続く場合は一時別居するのもよいでしょう。
それでもなお離婚を考える場合には、夫婦できちんと話し合い、双方納得の上離婚することができれば、あとで離婚してよかったのかと後悔することは少なくなるでしょう。
アスペルガー症候群を理由にして離婚することはできるのか?
夫婦間の話し合い、弁護士の示談交渉、離婚調停などでは、夫婦双方が離婚することに応じていれば、アスペルガー症候群を理由に離婚することはできます。
一方で、離婚訴訟の場合は、アスペルガー症候群によって「その他婚姻を継続し難い重大な事由」が生じた場合に離婚が認められることになります。
アスペルガー症候群を理由にして慰謝料を請求することはできるのか?
アスペルガー症候群を理由とした慰謝料請求が認められるケースは少ないでしょう。
アスペルガー症候群のほかに、暴力やモラハラなどのDV、不貞の問題があれば、それらを理由に慰謝料を請求することはできます。
最後に
アスペルガー症候群には短所もあれば長所もあります。婚姻生活を続ける上では、アスペルガー症候群の特徴を理解しながらじっくりと向き合うことが大切になります。
もし離婚を迷っている場合には、お互いが納得の上でベストな解決策を見付けられるように、きちんと話し合いましょう。後悔せずに、離婚してよかったと思えるためにも、アスペルガー症候群と向き合って考えていくことが大切です。
また、もしアスペルガー症候群を理由に離婚や慰謝料請求を考えている場合には、弁護士事務所に相談することで、別居から離婚まで強い味方になってもらえます。
離婚には、親権や養育費の問題もあり、法的な専門知識が必要になるほか、裁判をする場合には、証拠や法律に基づいた立証が必要になります。
弁護士に一任することで、裁判所の各種手続きについてもプロの視点でアドバイスをもらうことができますし、弁護士があなたの主張が有利になるように、交渉を行います。
夫や妻のアスペルガー症候群でお悩みの方は、できるだけ早めに無料相談などをご利用ください。
この記事を書いた人
雫田 雄太
弁護士法人あおい法律事務所 代表弁護士
略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。3,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。
家庭の法律問題は、なかなか人には相談できずに、気付くと一人で抱え込んでしまうものです。当事務所は、家庭の法律問題に特化した事務所であり、高い専門的知見を活かしながら、皆様のお悩みに寄り添い、お悩みの解決をお手伝いできます。ぜひ、お一人でお悩みになる前に、当事務所へご相談ください。必ずお力になります。