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カサンドラ症候群に疲れたら?離婚の方法や治し方を徹底解説!

監修者:弁護士法人あおい法律事務所

代表弁護士 雫田雄太

略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。
3,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。

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夫や妻と接しているときに、話が噛み合わなかったり、コミュニケーションが取れずストレスを重ねていませんか?

それ、もしかしてカサンドラ症候群かもしれません。

カサンドラ症候群とは、配偶者のアスペルガー症候群によって、より密接な関わりのある相手がストレスを抱えてしまい、その状況をアスペルガー症候群である配偶者や周囲の人に理解されずに孤立してしまう状態のことです。

カサンドラ症候群になった場合、アスペルガー症候群の配偶者と生活を続けることが苦しくなってしまいます。

時には離婚を考えてしまう方も少なくないでしょう。離婚を考える前に、まずは自分の状態を正しく把握して、冷静に今後のことを考えることが大切です。

ここでは、カサンドラ症候群の解説をはじめ、カサンドラ症候群で悩んでいる方に、状況を改善する方法、離婚や離婚事由、慰謝料を請求する方法について解説します。

目次

配偶者のアスペルが症候群にお悩みの方へ~まずはカサンドラ症候群について解説します!

カサンドラ症候群とは?

カサンドラ症候群とは、配偶者がアスペルガー症候群の場合に、その言動によってコミュニケーションの齟齬が起きたりすることで、身近にいる人に不安や抑うつなどの心身の不調をきたす状態のことをいいます。

特に、アスペルガー症候群のある配偶者と一緒に暮らす家族に影響が起こりやすく、カサンドラ症候群になってしまった方は、日々アスペルガー症候群のある配偶者の言動によってストレスを感じ、心身ともに疲弊していきます。

アスペルガー症候群は発達障害である自閉症スペクトラムのことであり、医学的にも社会的にも発達障害を代表する特性の一つであると理解されています。

一方で、カサンドラ症候群とは最近になって注目されてきた言葉です。

1990年代からアスペルガー症候群の言動によって配偶者に与える影響は問題視されていました。2003年に心理学者によってカサンドラ症候群と名付けられ、臨床心理の業界に徐々に広まっていったのです。

しかし、正式な障害や診断名として確立しているものではなく、あくまで「状態」を表す言葉として使われています。

カサンドラ症候群の原因となる配偶者の言動とは?

アスペルガー症候群は、一般に女性よりも男性がなりやすい障害であると言われています。

逆に言えば、カサンドラ症候群は女性である妻がなりやすい症状であるともいえるでしょう。

カサンドラ症候群は、アスペルガー症候群である夫の言動に妻が振り回されることによって、妻が精神的に疲弊し、周囲に相談することもできずに孤立してしまう状態です。

しかし、夫婦の性格やその関係性はさまざまで、カサンドラ症候群になる原因やきっかけも夫婦によって異なっています。

カサンドラ症候群が引き起こる原因として共通していることは夫婦が以下の状態であることといえます。

 

  • アスペルガー症候群のある配偶者とのコミュニケーションや情緒的な関わりの乏しさから、夫婦の関係性が悪化していること
  • その状態を配偶者や周囲の人が理解してくれず、本人だけが苦痛や悲しみを抱えた状態で孤立して生活していること

 

また、カサンドラ症候群の原因となるアスペルガー症候群には、以下のような特徴があり、これらが複数に絡み合って、配偶者との齟齬を引き起こします。

 

  1. コミュニケーションや対人関係につまずきがある
  2. 言葉の理解が不十分で非言語的なコミュニケーションが苦手である
  3. 相手の気持ちや立場への理解が難しい
  4. こだわりがあり、状況や環境の変化が苦手である

 

たとえば、アスペルガー症候群のある配偶者は、自分の関心事を一方的に話し続けたり、妻の質問に対して的外れな受け答えをして、言葉のキャッチボールができなかったりします。

また、一度決まったことを変更されることが耐え難いため、家族のイベントや保育園や学校などの行事が急に変更されてしまうと混乱してしまいます。

物事に優先順位を付けたり、同時に複数の作業を行うことが苦手なので、育児や家事が段取りよくできないこともあるでしょう。

これらの言動から、パートナーがストレスを抱えて、カサンドラ症候群になってしまうのです。

一方で、アスペルガー症候群の場合、知的レベルは標準より高い人も多く、また人と関わることは積極的で一見すると愛嬌があると思われるため、周りに発覚しにくい障害でもあります。

そのようなことから、配偶者が夫のアスペルガー障害に悩んでいたとしても周囲に理解されにくい状況があり、問題を軽視されたり、悩みを批判されることも少なくないのです。周囲の理解の乏しさから、配偶者はより孤独を感じて精神的に追い込まれてしまいます。

カサンドラ症候群が引き起こる共通の原因

カサンドラ症候群の症状を理解しましょう。

カサンドラ症候群は、アスペルガー症候群のある配偶者の言動に振り回されてしまい、抑うつや自律神経系の不調、睡眠障害など様々な心身の異変が生じます。

カサンドラ症候群の代表的な症状には以下のものがあります。

 

  • 片頭痛
  • めまい
  • 体重の増加、減少
  • 自己肯定感の低下
  • 抑うつ(気分が落ち込み、無気力な状態)
  • 自律神経失調症(吐き気、動悸、頭痛、しびれ、不眠など)
  • 疲労しやすくなる
  • パニック障害(突然の動機やめまい、発汗、息苦しさ、発作など)

 

上記のような症状は、アスペルガー症候群のある配偶者の性格や症状の程度によって変わってきます。

カサンドラ症候群は、日常生活に支障をきたさない程度の軽い症状もあれば、身体が重く仕事や家事ができなくなり、医療機関を受診しなければいけないほどの重度のものまで、人によって症状の出方はさまざまです。

症状は初期のうちに専門家に見てもらうことが一番です。一人で悩みを抱えるのではなく、まずは誰かに相談するなどして、できるだけ孤立しないようにしましょう。

カサンドラ症候群で疲れても離婚しない方法はある?治し方や抜け出す方法とは

心身に異変を感じたら、できるだけ早めに医療機関を受診するようにしましょう。

カサンドラ症候群は正式な病気ではありませんが、精神科や心療内科で治療を受けることができます。

カサンドラ症候群はその他の精神疾患と同様に、カウンセリングや症状に対する対処方法が主な治療となるでしょう。

対処方法による治療では、めまいや吐き気といった症状に対して投薬治療を施したり、抑うつやパニック障害などには認知行動療法などを組み合わせて、症状が緩和されることを目指します。

しかし、カサンドラ症候群を根本的に治療するためには、アスペルガー症候群のある配偶者との関係を改善することが最も重要になります。

カウンセリングでは、あなたの悩みに寄り添ってもらえる以外に、アスペルガー症候群との向き合い方についても精神科医の専門的なアドバイスを受けることができます。

また、クリニックによっては、配偶者も同意していれば、夫婦で一緒に治療を受けることが可能です。

アスペルガー症候群の特性を理解し、割り切ることも大事です。

人は自分が理解できないものに対して恐怖や不安を感じるものです。

夫婦の間でコミュニケーションの齟齬が生じている場合に、その原因を理解することができれば、「夫に悪意はない」「障害だから仕方がないかもしれない」と納得できる部分が見つかるかもしれません。

近年は、大人の発達障害という言葉が注目され、インターネットや書籍を調べてみると、アスペルガー症候群についてもたくさんの知識を会得することができます。

アスペルガー症候群の人がどのような考え方をして、どう行動するのかを客観的に理解できるようになるだけでも、自分も冷静に対応することができます。

 

ただし、アスペルガー症候群の症状には様々なものがあり、アスペルガー症候群だからといって書籍にある行動を必ずとるわけではありません。日々の生活の中で、配偶者の性格や言動を観察してみながら、配偶者の特性を少しずつ理解できるように心掛けてみましょう。

 

発達障害者支援センターや自助グループを活用する

全国の地方自治体には、発達障害者を総合的に支援する発達障害者支援センターが設置されています。

アスペルガー症候群のある配偶者本人やその家族も利用することができ、発達心理や臨床心理などの専門知識を有する相談員に家庭の悩みや困りごとなどについて相談を受けてもらえるでしょう。

また、全国には、カサンドラ症候群やアスペルガー症候群に悩む人や家族を対象にした自助グループも存在します。

同じ悩みをもつ人たちと苦悩を共有したり、カサンドラ症候群を乗り切った人の経験談を聞いたりすることで、配偶者とのコミュニケーションの在り方を考えるきっかけにつながるかもしれません。

それでも「もう限界!」というときは

カサンドラ症候群に疲れたら、配偶者と距離を置くことも賢明でしょう。

アスペルガー症候群のある夫や妻の言動にストレスを抱えて、共同生活に限界を感じたときには、生活環境を一変させることで状況が改善することがあります。

同じ家に住んでいても、配偶者と顔を合わせる時間を減らしたり、ともに過ごす時間を減らすだけでも、自分の時間をゆっくりと過ごすことができるようになります。

また、実家や頼れる知人の家が近くにある場合などは、一時的に別居して、アスペルガー症候群のある夫や妻と物理的な距離を置くことを考えてもいいかもしれません。

カサンドラ症候群が改善されない場合は、離婚することも考えてみましょう。

アスペルガー症候群のある配偶者との生活環境を工夫したり、別居などで距離を置いてみてもなお、カサンドラ症候群が改善されず、身体的にも精神的にも追い込まれているような場合には、離婚することで原因から解放され、症状が回復することもあるでしょう。

カサンドラ症候群になりやすい人の傾向として、「真面目」「完璧主義」「面倒見がいい」「忍耐強い」などの性格が指摘されています。

このような責任感がある人には、アスペルガー症候群のある配偶者と離婚することに抵抗を覚える方もいるかもしれませんが、婚姻生活を続けることで心身の健康が損なわれることは互いにとって悪い影響を及ぼしてしまいます。

カサンドラ症候群の状態が悪化してしまう前に、離婚を選択することも賢明といえるでしょう。

配偶者が発達障害の場合の離婚率

なお、夫や妻が発達障害である場合に、離婚を選択する人は全体の7割程度あるといわれています。これはアメリカの調査結果のようですが、高い割合の夫婦が離婚を選んでいるようです。

そのため、発達障害をもつ配偶者との婚姻生活を続けることは難しいといえますし、たとえ離婚を選択したとしても仕方のないことかもしれません。

離婚する方法を徹底解説!カサンドラ症候群だけでは離婚事由にならない?

カサンドラ症候群が改善されず、アスペルガー症候群のある配偶者との婚姻生活に限界を感じると一度は離婚を考えることでしょう。

しかし、相手も離婚に応じてくれれば円滑に別れられるかもしれませんが、アスペルガー症候群のある配偶者の場合には、話し合いが長期化してしまうことも少なくありません。

では、離婚する場合には、どのような方法がとれるのでしょうか?詳しく解説していきたいと思います。

アスペルガー症候群のある配偶者と話し合って離婚する場合

カサンドラ症候群を理由に離婚したい場合には、まずは夫婦できちんと話し合うことが大切です。

ただし、アスペルガー症候群の配偶者と話し合う場合、話が嚙み合わずにイライラしたり、感情的になってしまうこともあるでしょう。

互いに冷静さを欠いた状態では話し合いもまとまらないため、一旦時間を置くなどして心を落ち着かせましょう。

協議離婚の場合は、夫婦双方が離婚することに合意していれば、役所に離婚届を提出することで、離婚することができますので、カサンドラ症候群や配偶者のアスペルガー症候群が理由であっても離婚できます。

一方、夫婦だけの話し合いではまとまらないときには、実家や共通の知人などに同席してもらって話を仲裁してもらってもいいでしょう。

特に配偶者がアスペルガー症候群の自覚がなかったり、カサンドラ症候群の状況を理解できない場合などには、話し合っても埒が明かないことがあるので、家族や主治医などから説得してもらって、離婚に応じてもらうことが考えられます。

弁護士に示談交渉を依頼して離婚する場合

夫婦の話し合いでまとまらない場合は、弁護士事務所に相談して、弁護士に離婚を交渉してもらう方法があります。

近年はカサンドラ症候群やアスペルガー症候群に関連した夫婦の問題も増えてきていますので、ノウハウのある弁護士に一任して交渉することで、スムーズに別居や離婚がまとまることも多いのです。

弁護士に相談するのは裁判をするとき、というイメージが強いかもしれませんが、弁護士には協議離婚の交渉を依頼することができます。

弁護士が代理人となった場合には、アスペルガーのある配偶者との連絡はすべて弁護士が取ることになりますので、依頼者は直接相手と関わる必要はありません。

また、離婚に伴い、親権や養育費、慰謝料の問題についても、弁護士が法律の視点から適格にアドバイスをしてくれるでしょう。

もし、自分で交渉を行いたい場合には、協議の場に弁護士の同席を依頼することができます。同席の場合は、相手から不当な要求をされたとしても弁護士が法的な観点から拒否してくれます。

また、離婚に向けて妥協すべき点やアドバイスを弁護士からもらうこともできるため、夫婦にとって最適な内容で離婚を目指すことができるでしょう。

しかし、弁護士による交渉を経てもなお、離婚に向けた話し合いがまとまらない場合には、裁判所の調停手続又は訴訟手続を利用することになります。

離婚調停で離婚する場合

離婚調停を行う場合は、家庭裁判所で離婚調停を申し立てます。

調停は、裁判官と2人の調停委員で構成される調停委員会が夫婦の話し合いを仲裁して、離婚のほか、親権、養育費、面会交流、財産分与、慰謝料などについて話し合います。

調停委員は、社会生活上の豊富な知識経験や専門的な知識を持つ人の中から選ばれます。

調停委員の中には、心理カウンセラーの資格を有している方など、カサンドラ症候群やアスペルガー症候群などの症状について専門的な知識を持っている調停委員がいますので、カサンドラ症候群の状況や辛い気持ちを理解してもらいながら、離婚に向けて話し合いを進めることができるでしょう。

一方で、調停では、調停委員がアスペルガー症候群のある配偶者と話をして、その内容をもう一方の配偶者に伝達しながら協議を進めていきます。

アスペルガー症候群のある配偶者が、その特性から調停の枠組みを理解できなかったり、頑なに自分の主張を繰り返してまとまらず、調停が長期化することも少なくないでしょう。

調停は、カサンドラ症候群やアスペルガー症候群を直接の理由としなくても、双方が離婚に合意すれば成立しますが、アスペルガー症候群のある配偶者が同意しない限りは、調停離婚は難しいでしょう。

調停は誰でも申し立てることができますが、裁判所の手続きに慣れていないと、調停の進め方や枠組みを理解するのに苦労します。

弁護士に依頼することで、離婚や親権について有利な主張を示したり、調停委員会とスムーズに意見を交換することができますので、アスペルガー症候群の配偶者との離婚を考える場合には、弁護士に相談することをおすすめします。

離婚裁判で離婚する場合

調停手続が不成立になり、それでも離婚をしたいと考える場合は、当事者のどちらか一方が、裁判所に対して訴訟を提起します。

これがいわゆる裁判といわれるものです。

裁判で離婚するためには、法的に認められる離婚事由が必要となりますので、カサンドラ症候群や配偶者のアスペルガー症候群が離婚事由になるのか、事前に確認する必要があります。

民法上、離婚事由として以下の5つが明記されています。

 

  1. 配偶者に不貞行為があったとき
  2. 配偶者から悪意の遺棄をされたとき
  3. 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
  4. 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
  5. その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき

 

カサンドラ症候群を理由に離婚を求める場合には、カサンドラ症候群が4つ目の「配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき」に該当する必要があります。

しかし、カサンドラ症候群は正式な病名ではないため、「強度の精神病」であると判断される可能性は低いと考えられます。

したがって、カサンドラ症候群を理由にして、アスペルガー症候群のある配偶者と離婚するためには、5つ目の「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」を満たす必要があります。

ただし、単に、あなたがカサンドラ症候群である、または配偶者がアスペルガー症候群であるというだけでは、離婚事由になりません。

裁判によって「その他婚姻を継続し難い重大な事由である」と判断されるためには、アスペルガー症候群のある配偶者と婚姻生活を続けることによって、耐え難い苦痛やストレスからもう一方の配偶者がカサンドラ症候群を患い、共同生活が困難な状況になっていること、または別居期間が相当期間長期化しているなど、第三者から見ても婚姻生活を続けられない状況であると立証する必要があります。

アスペルガー症候群の配偶者の言動によって身体的または精神的に追い込まれ、共同生活が困難になっていることを証明するためには、医師の診断書などが必要となるでしょう。

ただし、カサンドラ症候群は正式な病名ではありませんので、診断名にはカサンドラ症候群の症状である抑うつ状態や自律神経失調症などの診断名が記載される可能性がありますので、診断書には、医師に相談して詳しい症状を記載することをおすすめします。

立証するためには、かなり法律的な知識が必要になりますので、弁護士に依頼することが一番でしょう。

しかし、これだけでは離婚事由として認められない可能性があります。すぐに立証できない場合、まずは別居をして既成事実を作る方法があります。

判例では、5〜10年ほど別居が継続している場合に、夫婦関係が破綻していると認めるケースが多いのです。

相当期間別居をすることで、第三者から見ても復縁は難しいと考えられ、「婚姻を継続し難い重大な事由がある」と認められる可能性が高まります。また、カサンドラ症候群のほかに暴力やモラハラなどのDV、不倫がある場合には、それぞれを理由にして離婚が認められるケースがあります。

立証の仕方や証拠の集め方については、専門家である弁護士のアドバイスをもらいましょう。

調停や裁判での離婚を考える場合は、まずは弁護士に相談することをおすすめします。

カサンドラ症候群を理由に慰謝料を請求することはできるのか?

慰謝料とは、「相手の言動によって被る精神的な苦痛に対して支払われるお金」のことです。

アスペルガー症候群の配偶者との生活によってストレスを負い、カサンドラ症候群を患った場合に、そのことを理由として慰謝料を請求することはできるのでしょうか?

結論としては、カサンドラ症候群を理由に慰謝料を請求できるケースは少ないでしょう。

アスペルガー症候群は、遺伝子などの異常により来たらせる障害であり、アスペルガー症候群を有する本人も、自らが望んでアスペルガー症候群になったわけではありません。

そのため、アスペルガー症候群のある配偶者の言動が原因でカサンドラ症候群を引き起こした場合であっても障害を抱える本人にその責任を負わせる意味で慰謝料を請求することはできないでしょう。

一方で、アスペルガー症候群の夫や妻が、配偶者に対して暴力を振るったり、不倫をした場合には、暴力や不倫を理由に慰謝料を請求することができます。

ただし、本人が暴力や不倫を認めない場合は、慰謝料を請求しても支払いを拒否されることがあります。慰謝料をきちんと請求するためには、暴力や不倫の証拠が必要になります。

ただ、重度のアスペルガー症候群で配偶者に労働能力がなかったり、就労支援事業で就業している場合などは、仕事が安定せずに収入が満足に得られないケースが多いので、慰謝料請求をしても支払ってもらえるかはわかりません。

カサンドラ症候群を理由に慰謝料請求が認められるのは、DVや不倫があり、かつ相手に経済力がある場合でしょう。どのような場合に慰謝料を請求することができるのか、慰謝料の請求方法などについて詳しく知りたい方は弁護士事務所にご相談ください。

カサンドラ症候群に疲れたら?離婚の方法や治し方に関するQ&A

カサンドラ症候群の治し方や治療方法にはどのようなものがありますか?

カサンドラ症候群は、精神科や心療内科で治療を受けることができます。

カウンセリングや対処方法が主な治療方法となり、めまいや吐き気といった症状に対して投薬治療を施したり、抑うつやパニック障害などには認知行動療法などを組み合わせて治療を行います。

また、カサンドラ症候群を治すためには、原因となる配偶者のアスペルガー症候群の特性について理解を深めることも重要になります。

カサンドラ症候群に疲れたらどうすればいいでしょうか?

どうしてもカサンドラ症候群に疲れてしまう場合には、配偶者と別居をするなどして、物理的に距離を置いて、心身を休めることも必要となるでしょう。

また、これ以上婚姻生活を続けることで互いに健康を損なう場合などには、症状が悪化する前に離婚することも賢明といえます。

カサンドラ症候群を理由に離婚や慰謝料を請求することはできますか?

協議離婚、弁護士による示談交渉、調停離婚の場合、夫婦の双方が離婚に納得していれば、カサンドラ症候群を理由に離婚することができます。

一方で、相手が離婚に納得しない場合は、最終的に裁判を起こす必要があり、離婚裁判の場合は、「その他婚姻を継続し難い重大な事由がある」ことを立証することができれば離婚は認められます。

慰謝料については、カサンドラ症候群を直接の理由として慰謝料の請求が認められることは少ないでしょう。

最後に

なにより、配偶者と良好的な関係を築いていくためには、お互いに障害や病気を正しく理解し合うことが大切です。

アスペルガー症候群のある配偶者の言動に悩んでしまい、カサンドラ症候群になったときには、一人ですべての問題を抱えるのではなく、まずは話しやすい知人や家族、または専門機関の主治医や相談員に相談するなどして、早めに症状の緩和に努めましょう。

もし離婚や別居を考える場合は、配偶者との話し合いは避けて通れません。

アスペルガー症候群のある配偶者との話し合いは長期化することも予想されますので、法律のプロである弁護士に相談して、すべての交渉を一任する方法もあります。

少しでも離婚で悩んでいる方は、ぜひ弁護士事務所の無料相談などを一度ご利用ください。

この記事を書いた人

雫田 雄太

弁護士法人あおい法律事務所 代表弁護士

略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。3,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。

 

家庭の法律問題は、なかなか人には相談できずに、気付くと一人で抱え込んでしまうものです。当事務所は、家庭の法律問題に特化した事務所であり、高い専門的知見を活かしながら、皆様のお悩みに寄り添い、お悩みの解決をお手伝いできます。ぜひ、お一人でお悩みになる前に、当事務所へご相談ください。必ずお力になります。

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