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ワンオペ育児チェック|子育て疲れでノイローゼになる前に自己診断を

監修者:弁護士法人あおい法律事務所

代表弁護士 雫田雄太

略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。
3,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。

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夫婦の一方が家事や子育ての全てを一人で担う状態を、ワンオペ育児といいます。

ワンオペ育児の状況にあると、家事をこなす疲労やストレス、子育てのプレッシャーなどが、精神的にも肉体的にもさまざまな影響を及ぼします。その多大なストレスやプレッシャー、疲労感から、時には育児ノイローゼになる場合もあるのです。

本記事では、ワンオペ育児とはどういった状況なのかを自分でチェックできるよう、その特徴や内容についてのチェックリストを用意いたしました。また、自分の精神状態などから、育児ノイローゼになる可能性があるかどうかを自己診断するチェックリストも用意いたしました。

ワンオペ育児の体制でストレスを蓄積させないためにも、チェックリストを活用して自身の状況を把握し、早めに対応することが重要です。

この記事のチェックリストが、ワンオペ育児の悩みを解消するために、少しでもご参考になりましたら幸いです。

目次

ワンオペ育児の問題とは

ワンオペとは「子育て・家事を旦那や妻に頼れない状態」のこと

ワンオペ育児とは、子育てや家事を夫や妻に頼ることができず、一人で全てを担う状況を指します。この状態は、特に小さい子供がいる家庭で見られることが多く、夫や妻が仕事で忙しい場合や、単純に育児や家事に参加しないために起こります。

このような環境では、一人で子育てと家事の両方を管理し、子供の世話から食事の準備、掃除、洗濯まで、日々のあらゆるタスクをこなさなければならないため、非常に大きな負担がかかります。

このワンオペ育児が長期間続くと、育児や家事の負担だけでなく、孤独感や疲労感が積み重なり、精神的な健康を害するリスクも高まります。

また、育児と家事の両立に追われる日々の中で、子供とのかけがえのない時間を楽しむ余裕が失われがちです。

「専業主婦なら当たり前、負担じゃない」は間違い

ワンオペ育児の問題は、共働きの夫婦にも、妻が専業主婦の夫婦にも起こり得ますが、特に専業主婦については、「働いてない分、夫の代わりに家事や子育てをするのは当たり前」というイメージが先行しており、専業主婦の妻自身も「ワンオペ育児に疲れた」と言い出しにくい風潮があります。

ですが、専業主婦の仕事を軽視し、「専業主婦なら当たり前、負担じゃない」と考えるのは、大きな間違いです。

専業主婦であっても、ワンオペ育児の負担は非常に重く、心身の健康に悪影響を及ぼすことがあります。日々の家事と子育ての全てを一人で担うことは、想像以上に時間と労力を要し、しばしば見過ごされがちなストレスが蓄積します。

特に、子供がまだ小さい場合は、家事をこなしながら一日中子供を見ていなければならず、個人で趣味をする時間を取るどころか、休息の時間も取れないことも少なくありません。専業主婦だからといって、「家事・子育てをやって当たり前」ではないのです。

このように、ワンオペ育児の問題は共働きの夫婦だけでなく、妻が専業主婦の夫婦にも起こり得ます。

ワンオペ育児のストレスや配偶者へのイライラで育児ノイローゼになる可能性も

ワンオペ育児の状況は、夫や妻へのイライラを引き起こしやすく、それが育児ノイローゼへと繋がる可能性があります。このワンオペ育児のストレスや影響によって、心身の健康を害することが多く見られます。ワンオペ育児をしている夫や妻は、常に時間に追われ、休息を取る時間も不十分であるため、心身のバランスを崩しやすいのです。

さらに、ワンオペ育児をしている夫や妻が感じる孤独感や助けを求める声が聞き届けられないと、家庭内のコミュニケーションが不足しがちになってしまいます。

これにより、夫婦間の誤解や摩擦が生じやすくなり、その結果、育児に対する情熱や愛情も損なわれることがあります。このような環境は、育児ノイローゼのリスクを高め、家庭全体の幸福感を著しく低下させる可能性があります。

そのため、ワンオペ育児のストレスをチェックし、夫婦が互いにサポートし合う体制を整えることが非常に重要です。夫や妻が育児や家事を分担することにより、一人にかかる負担を軽減し、心身の健康を保つための一歩となるでしょう。

また、定期的にワンオペ育児の状況を見直し、必要に応じて外部からの支援を求めることも重要です。

ワンオペ育児チェックリスト

それでは実際に、ワンオペ育児になっている可能性をチェックするためのチェックリストを見ていきましょう。

【チェックリスト】どこからがワンオペ育児になる?

ワンオペ育児には、夫婦のうち一方が保育園や習い事の送り迎え、日々の育児を一手に担い、共働きであっても、子どもの通院といったイレギュラーな事態には毎回必ず妻が対応するなど、役割が固定化している特徴が見られます。家事と育児の全責任が、夫もしくは妻に集中している状態です。

具体的には、次のようなワンオペ育児のチェック項目の状況が見受けられます。

□ 一日のほとんどの時間を自分と子どもの2人きりで過ごしている。

□ 家事全般(料理、掃除、洗濯など)を自分一人で行っている。

□ 夫や妻からの育児や家事の協力をほとんど受けていない。

□ 家事や育児で忙しく、自分のための自由時間がほとんど取れない。

□ 子どもの睡眠時間以外はほぼ一人で子どもの世話をしている。

□ 子どもの送迎や学校行事に一人で参加している。

□ 夫や妻が家事や育児に積極的に関与していないと感じる。

□ 休日も夫や妻に頼ることなく、子どもの世話をしている。

□ 子どもの病気や事故の際も、ほぼ一人で対応している。

□ 子どもの教育活動(宿題のチェック、学習のサポートなど)を自分だけで行っている。

□ 家の買い物を一人で全て担っている。

□ 夫や妻に家事や育児の負担を話しても、状況が改善されない。

□ 夜中や早朝も子どもの世話で目が覚め、休む時間が不規則。

□ 疲れを感じることが多く、リラックスする時間が少ない。

□ 誰かに子どもの世話を頼むことができず、常に自分が対応している。

□ 夫や妻が仕事や趣味で家を空けることが多い。

□ 子どもの保育園や学校の問題に一人で対応している。

□ 子どもの健康管理や予防接種のスケジュールを自分で管理している。

□ 夫や妻と子育ての価値観が合わないため、話し合いが困難。

□ 自分の健康がおろそかになりがち。

□ 育児や家事のため、友人との交流が減っている。

□ 「もっと支援が欲しい」と感じることが多い。

□ 育児や家事に追われて、趣味や自分の時間を持つことが難しい。

□ 子どもを育てることが、楽しみよりも義務感として捉えられている。

□ 夫や妻に感じる不満が、育児のストレスに繋がっていると感じる。

【チェックリスト】育児ノイローゼのリスクを自己診断

上記のようなワンオペ育児の状況で、疲労感を覚えたり、気力の低下が続いたり、子育てをすることが強い負担になっている場合、育児ノイローゼの可能性があります。次のチェックリストで自身の心身の状況をチェックしたとき、該当するチェック項目が多いほど、育児ノイローゼである可能性が高いと考えられます。

□ 最近、怒りやすくなったと感じる。

□ 疲れがなかなか取れず、常に疲労感を感じる。

□ 気分が沈んでいることが多く、なかなか晴れない。

□ 少しのことで涙が出ることが増えた。

□ 子どもに対してイライラしやすくなった。

□ 自分の時間が全く取れず、ストレスが溜まっていると感じる。

□ 趣味や楽しい活動に興味を持てなくなってきた。

□ 孤独を感じることが増えた。

□ 睡眠の質が低下している(寝つきが悪い、夜中に何度も覚めるなど)。

□ 人と会うことが億劫になってきた。

□ 食欲がなく、体重が減少している。

□ 自分の健康を気遣う余裕がなく、体調が悪い。

□ 家事や育児に集中できず、ミスが増えている。

□ 未来に希望を持てず、すべてが無意味に感じられることがある。

□ 親としての自信を失いつつある。

□ 自分が「悪い親」ではないかとよく考える。

□ 周囲の人々に理解されていないと感じることが多い。

□ 子どもの笑顔を見ても喜べないことがある。

□ 子どもを叱った後、自己嫌悪に陥る。

□ 一人で全てを抱え込んでしまい、他人に頼ることができない。

□ 家族や友人との関係が以前より悪化している。

□ 無力感や絶望感を強く感じることがある。

□ 身体的な症状(頭痛、胃痛など)が現れることがある。

□ 「自分がいなくなった方がいい」と思うことがある。

□ 日常生活において恐怖感を覚えることがある。

なお、この記事でご紹介しているチェックリストは、あくまで目安にしていただくチェックリストです。参考程度にとどめていただき、必要な場合はカウンセラーや医師などの専門家の診断を受けていただくことをおすすめいたします。

ワンオペの子育てを回避するための対処方法・ポイント

ワンオペ育児のストレスで育児ノイローゼにならないよう、ワンオペでの子育ての負担を軽減するためには、どういった対処方法が有効なのでしょうか。

ワンオペ育児のストレス・負担を軽減するための対処方法

 

ワンオペ育児のストレス・負担を軽減するための対処方法

 

まず、家事代行やベビーシッターといったサポートサービスの活用が挙げられます。これらのサービスを定期的に利用することで、日々の家事や育児の負担を軽減し、夫婦で子どもと向き合う時間や自分自身のリフレッシュの時間を持つことが可能になります。また、精神的な余裕を保つためには、夫婦間での役割分担を明確にし、具体的な協力をお互いに求めることが重要です。

さらに、便利な家電製品を活用して日常の家事負担を減らすことも効果的です。例えば、ロボット掃除機や食洗機、乾燥機能付き洗濯機を導入することで、掃除や洗濯の手間を大幅に削減できます。これにより、ワンオペ育児で感じがちな時間の圧迫感を和らげることができるでしょう。

また、日々の食事準備については、献立をシンプルに保ち、作り置きや冷凍食品を上手に活用することが役立ちます。これにより、毎日の料理にかける時間と労力を減らすことが可能です。

そして、家族や地域コミュニティとの連携を深めることで、精神的なサポートネットワークを構築し、孤独感の軽減を図りましょう。

例えば、親族との連携を強化することで、例えば祖父母や兄弟姉妹が子どもの面倒を見ることができる日を設けるなど、育児の負担を分散させることが可能です。

また、地域の育児支援センターや子育てサークルへの参加も、大きな支援となります。これらのグループでは、育児の悩みを共有したり、育児に関する貴重な情報を交換したりすることができます。また、時には子どもを預かってもらえるサービスも提供されているため、ワンオペ育児の負担が一時的にでも軽減されることで、ワンオペ育児のストレスを解消し、精神的なリフレッシュが図られます。

同じようなワンオペ育児の状況にある他の親と交流することで、ワンオペ育児の日々にも孤独を感じることなく、ワンオペ育児のストレスを和らげることができるでしょう。

最後に、自分自身のための時間を確保し、趣味やリラックスできる活動に積極的に取り組むことも大切です。これは精神的な健康を保ち、育児のストレスから一時的に解放されるために効果的な手段です。

夫婦で支え合いながら、これらの対処方法を実施することで、ワンオペ育児の負担を軽減することが期待できます。

セルフチェックだけでなく専門家に相談し対応しましょう

さて、この記事ではワンオペ育児の状態にあるかを確認する方法として、自己診断するためのチェックリストや、自身がワンオペ育児によるストレスを抱えているかをセルフチェックするためのチェックリストをご紹介させていただきました。

ですが、ワンオペ育児の負担は、時に予想以上に精神的な重圧となるため、それを自己診断やセルフチェックだけで解決しようとするのは困難です。

このような場合には、カウンセラーや医師といった専門家に相談することが、非常に重要です。

カウンセラーは、ワンオペ育児による心理的ストレスを軽減するためのサポートを提供し、ストレス対処方法などに関する具体的なアドバイスを行います。カウンセリングによって、ワンオペ育児に伴う孤独感や、ワンオペ育児の過重労働による心身の疲労を効果的に緩和するためのサポートを行います。

一方、医師の診断を受けると、育児ノイローゼやうつ病のような精神的な問題が疑われる場合に、適切な医学的診断を行い、治療方針を提案してもらえます。治療方法には、カウンセリングの他、薬物療法なども含まれることがあり、これによって精神的な安定を取り戻し、日常生活の質の向上を図ることが可能です。

適切なタイミングで専門家に相談し、心身の健康を保つことで、ワンオペ育児の負担や問題を乗り越えることが期待できるでしょう。

Q&A

Q1.ワンオペ育児とは何ですか?

ワンオペ育児の「ワンオペ」とは「ワンオペレーション」の略で、ワンオペ育児とは一人で子育ての全て、またはほとんどを担う状況を指します。

Q2.ワンオペ育児だとどういった問題があるのでしょうか?

ワンオペ育児は、子育てや家事を一人で担うことによる多大なストレス、疲労、孤独感を蓄積させ、そうした精神的負担・肉体的負担が原因で、育児ノイローゼを引き起こす場合があります。また、夫婦関係が悪化することで、夫婦関係が破綻したり、離婚に至ったりする可能性もあります。

Q3.どこからがワンオペ育児か分かりません。自分でチェックできますか?

どこからがワンオペ育児なのかを自己診断するためには、Webサイトのチェックリストなどが参考になります。また、ワンオペ育児の可能性がある場合や、配偶者のサポートが不足していて子育てがつらい、と感じる場合は、セルフチェックするだけでなく、カウンセラーなどの専門家にご相談いただくことをおすすめいたします。

当法律事務所の弁護士にご相談ください

ワンオペ育児は、一人で子育てと家事の全責任を担う状況であり、多くの場合、ワンオペ育児は多大なストレスや疲労感、孤独感を引き起こし、そうした負担は心身に悪影響を及ぼすことにつながります。

この記事では、そうしたワンオペ育児の状況を認識するべく、自身が直面している状況を明確にするためのチェックリストをご紹介いたしました。

さらに、ワンオペ育児による精神的な負担や過重労働を軽減するための、具体的な対処法についても、簡単に解説させていただきました。

自分がワンオペ育児の状況にあるかもしれないと感じていたり、日々の家事や子育てにストレスを感じていると思ったりした時には、本記事のチェックリストなどをご活用いただき、なるべく早めにワンオペの子育ての負担を軽減し、心身ともに健康的な生活を送っていただければと思います。

また、家事・子育てについて、夫婦で考え方や価値観が一致しないこともあるかと思います。

そのような場合には、ぜひ一度、当法律事務所の弁護士にご相談ください。夫婦間に生じている問題を整理し、関係改善、あるいは別居や離婚を進めていくためにはどのようにしたら良いのか、適切な法的サポートを提供いたします。

この記事を書いた人

雫田 雄太

弁護士法人あおい法律事務所 代表弁護士

略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。3,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。

 

家庭の法律問題は、なかなか人には相談できずに、気付くと一人で抱え込んでしまうものです。当事務所は、家庭の法律問題に特化した事務所であり、高い専門的知見を活かしながら、皆様のお悩みに寄り添い、お悩みの解決をお手伝いできます。ぜひ、お一人でお悩みになる前に、当事務所へご相談ください。必ずお力になります。

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