産後クライシスは妻が悪い?産後の嫁にムカつく夫は必見!原因や対処方法も解説
出産は家族にとって大きな喜びですが、時には夫婦関係に亀裂を生じさせる「産後クライシス」という問題をもたらすことがあります。多くの場合、夫から見て「妻が変わった」と感じられることから、妻に非があると捉え、「妻が悪い」と思いがちです。
もちろん、産後クライシスによる夫婦仲の悪化には、妻が悪い側面もあるのでしょう。ですが、「妻が悪い」と夫が感じてしまうようになる原因もまた、妻だけにあるわけではありません。
本記事では、産後クライシスがもたらす夫婦の不仲の原因と、産後クライシスの対処法について、弁護士が徹底的にご説明させていただきます。
出産後、夫婦仲が悪くなった、とお悩みの方にとって、この記事が問題解決の一助となりましたら幸いです。
目次
産後クライシスは妻が悪い?
非常に残念ながら、出産後に夫が冷たくなった、と感じる妻が増えているようです。このように、出産後に夫婦仲が冷え込み夫と妻の関係が悪化することを、産後クライシスと言います。
妻としては、出産前はごく普通の夫婦関係だったのに、どうして急に夫が冷たくなったのか分からず、困惑するケースも少なくありません。
「子供が生まれてから、旦那とうまくいかない」と悩み、関係を改善できずに離婚を考えて、当法律事務所にご相談に来られる女性もいらっしゃいます。
さて、妻が「出産後に夫が冷たくなった」と悩む一方で、夫の中には「産後クライシスになって夫婦仲が冷え込んだのは、妻が悪い」と思う人もいるようです。
実際に、「自分に向いていた愛情が全て子供に向き、妻からの愛情を感じられなくなって夫婦仲が悪化した。妻が悪い。」という意見を耳にしたこともあります。
しかし、妻が悪いと思っていても、実は夫婦の不仲の原因は、夫の行動や態度にあることも少なくありません。
残念なことに、妻が悪いと
決めつけたまま、夫自身が妻に対する態度や言動を変えないままでいると、妻の態度もより硬化してしまい、やがては限界をむかえて離婚の危機に瀕してしまう恐れもあります。
夫婦仲が限界をむかえて離婚に至ってしまう前に、産後クライシスの原因を探り、なぜ夫が「妻が悪い」と考えてしまうのか、その問題の根底について見ていきましょう。
産後に妻が変わったせい?
産後クライシスにおいて、夫が「妻が悪い」と思うようになる要因の一つに、妻が冷たい態度を取るから、というものがあります。
夫を冷たいと感じる妻がいる一方で、妻を冷たいと感じる夫もいるのは、産後クライシスを悪化させる残念な悪循環です。
この点、なぜ妻が冷たいと感じるようになるのか。妻の態度の変化の原因を知ることが、夫婦関係の改善と産後クライシスの解消に役立つかもしれません。
「産後の妻が冷たい」のはなぜ?
出産後の妻の冷たい態度に、夫は自分に対する嫁の愛情が感じられないと思うようになりますが、妻がこのような態度になってしまう理由は、夫に対する愛情不足だけではありません。
出産後に妻が怒りやすくなったり、夫に対して厳しい態度をとるようになる背景には、出産・育児による疲労と、ホルモンバランスの乱れや、夫の非協力的な姿勢に対するストレスがあると考えられています。
まず、出産や育児は、非常に大きな体力的・精神的負担を伴います。
特に、新生児の世話は夜間の睡眠不足を招き、これが継続すると、疲労が蓄積しやすくなります。不規則な生活や睡眠不足は、自律神経の乱れを招きます。妻の体力が限界をむかえる前に、夫が気付いてフォローすることが重要です。
さらに、出産に伴うホルモンバランスの変化も大きな影響を及ぼします。出産後は、エストロゲンやプロゲステロンなどのホルモンレベルが急激に変動し、これが気分の変動や、些細なことに対しても怒りやすくなるといった、感情の起伏につながることがあるのです。
また、夫の支援が不足していると感じることも、妻のストレスの理由となります。夫が家事や育児に積極的に関わらない、あるいは関わり方が妻の期待と異なる場合、妻は自分ひとりで全てを担わなければならない、という圧迫感を感じることがあります。
このような状況が、夫への不満や怒りとして表れることがあり、それを夫が「嫁が冷たい。」「嫁の愛情が足りない。」と感じるようになってしまうのです。
ですので、理由もなく妻が夫に対して愛情を感じなくなったのではありません。もしも「嫁の態度が出産前と変わってしまった。」と感じるのでしたら、愛情不足ではなく、お互いの状況の理解とサポートが不足していないか、考えてみてはいかがでしょう。
産後の嫁にムカつくときは
さて、ホルモンバランスの乱れや育児疲れなどによって、妻の態度が変わってしまうことは理解できても、現実に冷たいと感じるような態度を取られ続けると、夫としても疲弊してしまいますよね。
夫が妻に対して「妻が悪い」と感じる不満の内容としては、次の3点が一般的です。
- 出産後、夫婦の性生活がなくなってしまった(セックスレス、性的不調和)。
- 妻が些細なことでイライラして機嫌が悪い。
- 出産前と同レベルの家事をできていない。
出産後、性生活が減ったりなくなったりする夫婦は少なくありません。これは、妻がセックスレスを望むか、性的な関心が減退することによって起こることが多いです。
例えば、妻が出産による体の回復中であったり、育児の疲れで性行為に対する興味が低下している場合があります。また、ホルモンバランスの変化によって、性欲が減退することもあります。
しかし、セックスレスの原因を夫が理解していなかったり、家事や育児の疲労を大したことはないだろう、と思っていたりすると、夫婦間で性生活についての認識の違いが生じて産後クライシスが悪化してしまうのです。
夫はセックスレスについて妻が悪いと思い込んでいることが多く、夫婦の性生活について認識を共有しておかなければ、産後クライシスは解決できないでしょう。
また、夜泣きで睡眠が中断される、赤ちゃんのお世話に追われて自分の時間が持てない、家事に対する夫の協力が不足しているなどの状況も、産後クライシスを深刻化させます。
そして、妻が以前のように家事に集中できていない状況に対して、妻が悪いと考えるケースもあると聞きます。
慣れない子育ては、想像以上に気力と体力を消耗するものです。
たとえ子供が昼寝をしている時間でも、母親としては気が休まることはありません。子供の容態が安定しているかを気にかけ、常に目を配りながら出産前と同レベルの家事をこなすことは、たいへん難しいのです。
こうした状況がストレスや疲労となり、産後クライシスをもたらすことにつながります。
夫から寄り添い、妻の辛い気持ちを理解してあげてください
会社で働いている夫としても、帰宅したら妻に疲労をねぎらってほしいという気持ちもあるでしょうが、こうした場面でこそ、「妻が悪いから産後クライシスになる。」と考えるのではなく、「産後クライシスになるのも、妻が悪いのではなく、妻をフォローしてあげられていないのかもしれない。」と考えていただきたいと思います。
産後夫婦仲が最悪にならないために
産後クライシスが悪化して離婚してしまった、などといったことにならないためにも、産後クライシスかもしれない・・・と感じたら、次のような対処方法を実践してみましょう。
- 妻の産後のつらさに寄り添って労わる言葉をかける。
- 家事育児を分担して、積極的に協力する。
- 妻の一人の女性としての魅力や存在を認めて褒める。
- 夫婦の時間や会話を大切にする。
- 妻のSOSに気付いて、夫がフォローする以外にも第三者や行政からの適切な支援を受ける。
- お互いの感情や不安を率直に話し合い、誤解を避け、相互理解を深める。
- 妻がリラックスできる時間や自分自身のケアをする時間を確保し、精神的なリフレッシュを促進する。
- 友人や家族などの社会的ネットワークを活用し、感情の吐露やサポートの要請を行う。
- 健康的な食生活、十分な睡眠、適度な運動など日常の健康管理に注意を払う。
妻の産後のつらさに寄り添って労わる言葉をかける。
妻が経験する肉体的、精神的な変化を理解し、支える言葉をかけることで、妻は心強さを感じ、産後の課題を乗り越えやすくなります。
家事育児を分担して、積極的に協力する。
家事や育児の負担を夫婦で分担することにより、妻のストレスが軽減され、夫婦の絆も強化されます。
妻の一人の女性としての魅力や存在を認めて褒める。
出産後の身体や役割の変化に対する自信喪失を和らげ、妻の自己尊重感を高めます。
夫婦の時間や会話を大切にする。
定期的な夫婦の時間を設け、お互いの感情や考えを共有することで、夫婦間の理解と信頼を深めます。
妻のSOSに気付いて、夫がフォローする以外にも第三者や行政からの適切な支援を受ける。
外部の支援を利用することで、妻への追加的なサポートを提供し、夫婦での解決策を見出す手助けとなります。
お互いの感情や不安を率直に話し合い、誤解を避け、相互理解を深める。
産後のストレスや不安を共有し、夫婦間の信頼関係を強化するための重要なステップです。
妻がリラックスできる時間や自分自身のケアをする時間を確保し、精神的なリフレッシュを促進する。
妻自身のリフレッシュのための時間を確保することで、精神的な健康が維持され、産後クライシスの軽減に寄与します。
友人や家族などの社会的ネットワークを活用し、感情の吐露やサポートの要請を行う。
社会的ネットワークを通じてサポートを得ることは、産後の孤独感を軽減し、多角的なサポートを可能にします。
健康的な食生活、十分な睡眠、適度な運動など日常の健康管理に注意を払う。
健康的なライフスタイルは、身体的および精神的な健康を維持する上で不可欠であり、産後クライシスの軽減に貢献します。
「産後クライシスは妻が悪い?」に関するQ&A
Q1.産後クライシスは妻が悪いのでしょうか。
産後クライシスが悪化する要因は、妻にだけあるのではありません。産後クライシスは妻が悪いと決めつけてしまうことは良くないでしょう。
産後クライシスを招く要因は、妻だけの問題ではなく、夫婦のコミュニケーション不足によることもあります。妻の冷たい態度は妻が悪い、と感じるかもしれませんが、その根本的な要因として、夫の家事・育児に対する無理解があることもあります。
Q2.産後クライシスは夫にだけ責任があるのでしょうか。
妻が悪いわけではないとは言っても、夫にだけ責任があるわけでもありません。
夫が家事や育児に協力的ではなかったり、妻の本音を理解していないことから誤解が生じ、産後クライシスになることもありますが、「妻が悪い、夫が悪い」ではなく、夫婦双方のコミュニケーション不足が、産後クライシスの大きな要因と考えられています。
産後クライシスになるのは妻が悪い、産後クライシスになるのは夫が悪い、という一方的な考えは捨てて、夫にも妻にも足りないところがあるかもしれない、と考え、夫婦がお互いに歩み寄ることが産後クライシスから脱するためには重要なのです。
Q3.産後クライシスへの対処方法は何があるのでしょうか。
産後クライシスへの対処方法として、以下のようなことが有効と考えられています 。
- 妻の産後のつらさに寄り添って労わる言葉をかける。
- 家事育児を分担して、積極的に協力する。
- 妻の一人の女性としての魅力や存在を認めて褒める。
- 夫婦の時間や会話を大切にする。
- 妻のSOSに気付いて、夫がフォローする以外にも第三者や行政からの適切な支援を受ける。
- お互いの感情や不安を率直に話し合い、誤解を避け、相互理解を深める。
- 妻がリラックスできる時間や自分自身のケアをする時間を確保し、精神的なリフレッシュを促進する。
- 友人や家族などの社会的ネットワークを活用し、感情の吐露やサポートの要請を行う。
- 健康的な食生活、十分な睡眠、適度な運動など日常の健康管理に注意を払う。
なお、これ以外にも、個々の夫婦の状況に応じて、産後クライシスへの適切な対処方法が考えられますので、産後クライシスについて悩んでいるときは、第三者に相談することをおすすめいたします。
まとめ
本記事では、産後クライシスは妻が悪いのか、という夫の考え方に沿って、産後クライシスの問題点や対処法についてご説明させていただきました。産後クライシスによって妻の態度が変わってしまうことは、妻が悪いのではなく、夫側にも要因があること、それは対処できることを、ご理解いただけたのではないかと思います。
産後クライシスは、夫婦間のコミュニケーションの問題ですが、悪化すると離婚などの法的な問題に発展することもあります。
出産後の複雑な感情や家庭内での対立は、時に法的なアドバイスやサポートを必要とする場合がありますので、当法律事務所の弁護士にお気軽にご相談ください。
この記事を書いた人
雫田 雄太
弁護士法人あおい法律事務所 代表弁護士
略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。3,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。
家庭の法律問題は、なかなか人には相談できずに、気付くと一人で抱え込んでしまうものです。当事務所は、家庭の法律問題に特化した事務所であり、高い専門的知見を活かしながら、皆様のお悩みに寄り添い、お悩みの解決をお手伝いできます。ぜひ、お一人でお悩みになる前に、当事務所へご相談ください。必ずお力になります。