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産後クライシスとは|なりやすい人は?いつまで旦那にイライラするの?乗り越え方も解説!

監修者:弁護士法人あおい法律事務所

代表弁護士 雫田雄太

略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。
3,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。

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出産や育児を通して、夫婦仲が冷めてしまう、といった話を耳にしたことはないでしょうか。
近年、出産後の夫婦関係の危機的状況を表すものとして、「産後クライシス」という言葉が注目されています。
産後クライシスとは、出産後に夫婦関係が悪化してしまうことを言います。
出産後、夫への愛情が突然冷めてしまった、些細なことでイライラすることが増えた、などといった症状があれば、それは産後クライシスかもしれません。
出産によって夫婦の関係性が変化することは当然のことですが、産後クライシスの状態が悪化したり、長期に渡って続いてしまうと、やがては離婚の危機に至ることも。

そこで本記事では、産後クライシスについて、弁護士が詳しく解説させていただきます。
症状や原因を知ることで自分たち夫婦の状況を把握し、産後クライシスの対処法を理解しておくことで、産後クライシスにも落ち着いて対処することができます。

本記事で、産後クライシスについて知っていただき、離婚の危機を回避できるよう、本記事がお役に立てましたら幸いです。

目次

産後クライシス

まずは、産後クライシスの言葉の意味と、その原因についてご説明いたします。

産後クライシスとは

出産後、数年の間に夫婦仲が悪化し、場合によっては離婚に至るほど夫婦関係が破綻してしまう危機(クライシス)的状況のことを、産後クライシスといいます。
元々は、NHKの情報番組「あさイチ」が、出産後妻の夫への愛情が下がり続ける現象を産後クライシスと名付け、2012年に同番組内で取り上げたことから、「産後クライシス」という言葉が広まりました。

産後クライシスと聞くと、産後うつ病のことかな?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。この点、産後クライシスと産後うつ病は異なるものだということを理解しておきましょう。
産後クライシスは病気ではないため、産後クライシスの原因となる要素を取り除いたり、時間の経過や配偶者の協力によって、改善することができる一時的な現象です。

しかし、産後クライシスは病気ではないからといって放置していると、やがて悪化し、産後うつ病という精神疾患になってしまうことがあるのです。
産後クライシスと産後うつ病の違いは、病気であるか、という点です。
産後クライシスが「夫婦仲の悪化」であることに対して、産後うつ病は精神疾患という病気です。産後うつ病は、気分の落ち込み、意欲の低下、不安感などの症状が長期間に渡って続きます。そして、産後うつ病は病気であるため、医師による診断と治療が必要になります。

特徴 産後クライシス 産後うつ病
定義

出産後の夫婦関係が悪化すること。

出産後に発生する深刻な精神疾患。

症状の重さ 軽度から中度 中度から重度
主な症状 気分の波、イライラ、不安、孤立感 深刻な悲しみ、無力感、自己嫌悪、無関心。
持続期間 比較的短期間 長期間にわたることが多い
治療の必要性 自己ケアやサポートで改善されることも。 専門的な治療やカウンセリングが必要な場合が多い。
影響の範囲 主に感情的な面に影響 精神的、身体的、日常生活に広範囲に影響

産後クライシスについてしっかりと理解し、夫婦で協力して産後クライシスの問題に対処していくことが大切です。

産後クライシスの原因

産後クライシスの原因は、出産後のホルモンバランスの変化による、と一般的には言われています。
ホルモンバランスの変化のほかにも、睡眠不足、育児のストレス、身体的な疲労、自分のアイデンティティや配偶者との関係性の変化など、さまざまなものが考えられます。以下では、一般的な産後クライシスの原因についてご説明いたします。

①ホルモンバランスの変化

出産後、女性の体はエストロゲンやプロゲステロンなどのホルモンレベルが急激に変動します。これらのホルモンは気分や感情に直接影響を及ぼすため、そのホルモンバランスの変化は、気分の波や感情の不安定さを引き起こす可能性があるのです。
産後の体は、妊娠中に高まったホルモンレベルから通常の状態に戻ろうとするため、このホルモンバランスの変化の過程で、多くの母親が感情的な乱れを経験します。

②睡眠不足

新生児の頻繁な授乳や世話、夜泣きの対応などにより、母親は十分な睡眠をとることが困難になります。育児による睡眠不足は、疲労感を増加させ、集中力の低下を招き、イライラしやすい状態を引き起こします。また、睡眠不足により、十分な思考ができず、相手の気持ちに配慮して相手を気遣う余裕もなくなってしまうことがあるでしょう。

③育児・子育てのストレス

育児・子育ては時間とエネルギーを要求する作業であり、特に初産の母親にとっては何もかもが未知の経験です。育児への不安は、母親に大きなストレスを与え、産後クライシスの原因となってしまうのです。
また、育児に対する価値観や考え方が夫と異なる場合には、そうした夫婦間の意思のズレもストレスとなり、産後クライシスの原因となります。

子供の成長は、当然それぞれ個人差があるものですが、自分の子どもとほかの子どもを比較して、あれこれと考え、悩んでしまう方もいらっしゃるでしょう。母親は、子供への愛情ゆえに、様々なことを考えて悩んでしまうものですが、これが母親に大きなストレスとなっていることがあるのです。

④夫の非協力的な態度

産後の母親は身体的、精神的に非常に脆弱な状態にあり、育児に加えて家事や他の責任を抱えることが多くなります。この時期に夫の協力的なサポートが不足していると、母親は孤独感や過重な負担を感じやすくなります。
特に、夫が育児や家庭の責任を共有することに消極的である場合、母親は支援が不足していると感じ、ストレスや不安を感じることが増えます。

たとえば、夫が仕事で忙しく、家事や子育てを妻一人で行っている場合には、妻は夫が仕事で大変なことを理解しながらも、母親は孤独感や不満などを感じてしまうものです。このような場合に、夫から「俺は、仕事を頑張っていて忙しいから、家事と子供のことは自分でやってほしい。俺に相談しないでほしい。」などと言われてしまうと、母親は、より孤独感や不満を感じてしまいます。

こうしたストレスや不満が産後クライシスの原因となってしまうことがあるのです。

⑤自己アイデンティティの変化

出産により、母親という新しい役割を得ると、女性の自己アイデンティティに大きな変化をもたらします。これまでの自分との調和を図る過程で、自己の価値観や自信に影響を与えることになり、そうした変化が産後クライシスを引き起こす原因になります。
たとえば、このときに「夫は仕事を辞めなくていいのに、なぜ母親の私だけが辞めなければならないの。」といった不満をためこんでしまうことも、ストレスの要因となります。

また、母親という新しい役割に自信を持つことができず、「私はちゃんと母親になれているのだろうか。」などと一人で悩んでしまうことも、ストレスの要因となるのです。

⑥夫婦間のコミュニケーション不足

産後クライシスは、夫婦間のコミュニケーションの問題にも関連しています。良好なコミュニケーションは、夫婦が互いの感情や期待を共有し、育児や家庭生活の課題に対処する上で重要です。
コミュニケーションが不足していると、誤解や感情的な距離感が生じ、これが産後の母親の心理的ストレスに影響を及ぼします。母親が自分の感情や困難を夫と共有できない場合、孤立感を覚え、夫に理解してもらえていないと感じることが増え、産後クライシスのリスクが高まります。

同居している夫婦の場合は、夫婦のコミュニケーションをとろうと思えばいつでも可能な環境にあるため、あえて夫婦のコミュニケーションのための時間を作ろうとしない方もいらっしゃるかもしれません。ですが、意識的に夫婦のコミュニケーションの時間を確保しないと、実は夫婦のコミュニケーション不足の状態になっている場合も少なくありません。

⑦社会的・経済的なプレッシャー

社会的な期待や育児に関する規範は、産後の母親に対して重圧を与えることがあります。また、育児に専念するために休業・退職したり、減収することは経済的なプレッシャーとなり、これが産後クライシスにつながることがあります。

子育てには、お金がかかります。母親は、家計をやりくりしている場合が多いため、子育てにかかる費用のことを考えて、より現実的に経済的なプレッシャーを感じていることが多いのです。

産後旦那にイライラしたら

産後、夫や旦那にイライラすることが重なれば、それは産後クライシスの症状かもしれません。産後クライシスの症状について、具体的にどういった症状がおこり得るのか、以下にご紹介していきたいと思います。

産後クライシスの症状

  • 夫に対して些細なことでイライラする
  • 自己評価の低下と育児に対する自信の喪失
  • 社交的な孤立と孤独感
  • 夫に対しての愛情が失われてしまう、夫との触れ合いが苦痛に感じてしまう
  • 夫婦関係を継続していくことがストレスだと感じるようになる
  • 感情をうまくコントロールできず、相手に対して攻撃的になってしまう

①夫に対して些細なことでイライラする

出産後の母親は、ホルモンの変動や睡眠不足が原因で、通常より感情が不安定になることがあります。この感情の不安定さは、日常生活の小さな出来事に過剰反応する形で現れ、夫に対して、些細なことでも怒りを覚えたり、イライラしやすくなります。
出産前は気にならなかった夫の言動に対しても、嫌悪感を持ち、通常よりも強いストレスを引き起こすことがあるのです。
このような感情の起伏は、疲労やストレスが累積することでさらに悪化する可能性があります。

②自己評価の低下と育児に対する自信の喪失

新たな育児の責任と対応に圧倒されることで、特に初めての母親は自己評価を低く感じることがあります。育児に関する知識や経験の不足が、不安や自信の喪失につながります。
この感覚は、自分が適切に子育てをしているかどうかに対する継続的な疑問と不安を生み出し、場合によっては自己批判や自己否定へとつながることがあります。
これは母親にとって心理的に消耗する状況であり、育児に対する楽しさや達成感を感じることを妨げることがあります。

③社交的な孤立と孤独感

出産と育児は母親の生活リズムを大きく変えるため、以前のように友人や家族との交流が難しくなることがあります。これにより、特に夫のサポートが不足している夫婦関係下では、社交的な孤立感が強まることがあります。
孤立感や孤独は、母親が自分自身を理解されずにいると感じることにつながり、精神的な不安定さを増すことがあります。

④夫に対しての愛情が失われてしまう

出産後の母親は、夫に対する愛情が減退してしまうことがあります。これは、出産による身体的・感情的な変化、育児のストレス、睡眠不足などが影響しています。
また、夫が育児や家事に十分に関与しないことへの失望や不満が愛情の減退につながることもあります。夫への愛情の喪失は、夫との間の感情的な距離を生じさせ、夫婦間のコミュニケーションや親密さに悪影響を及ぼすことがあります。

⑤夫婦関係を継続していくことがストレスだと感じるようになる

産後の生活の変化は、夫婦関係に新たなストレスをもたらします。
特に、育児に対する夫のサポートが不足していると、母親は夫婦関係の継続にストレスを感じるようになります。
夫の育児への関与の少なさ、家庭内でのコミュニケーションの不足、育児や家庭生活の意見の相違などが、関係の緊張を引き起こす原因となります。この状況は、夫婦間の不和や疎遠感を増大させる可能性があります。

⑥感情をうまくコントロールできず、攻撃的になってしまう

産後の感情的な不安定さやストレスが高まると、母親は感情のコントロールが難しくなり、攻撃的な行動を取ることがあります。家庭内では、特に夫に対して攻撃性が顕著になることがあります。
たとえば、夫が家事や育児を手伝わないことに対して、母親が怒りを爆発させるケースがあります。小さなミスやうっかりした行動に対しても、通常よりも強い言葉で非難したり、批判的な態度を取ったりすることがあります。このような状況では、母親は自分の感情をコントロールするのが難しく、夫に対して過度に厳しくなることがあります。

また、夫が育児の方法について意見を述べた際に、その提案を拒絶し、攻撃的な反応を示すこともあります。

これらの行動は、通常は母親自身も望まない反応であり、後になって後悔することもあります。
このような攻撃的な行動は、夫婦関係にさらなるストレスをもたらし、関係の修復を困難にすることがあります。

産後クライシスはいつまで?

それでは、こうした産後クライシスの症状は、いつまで続くものなのでしょうか。

産後、子供が2歳になるまでの時期に起こりやすい

産後クライシスは、出産後、子供が2歳になるまでの時期に起こりやすいとされています。そして、子供が3歳くらいになると、親子間でコミュニケーションを取れるようになるため、親子の会話が増え、ぎこちなかった夫婦関係も改善していく、と考えられています。
そのため、産後クライシスは出産後、数年間は続くと言われています。
産後クライシスの症状を自覚し、改善しようと夫婦が自主的に行動する場合は、短期間で産後クライシスの状態も落ち着くかもしれません。

ですが、夫婦に産後クライシスの自覚がない場合や、自覚があっても適切に対処できず、夫婦関係を改善できないでいる場合は、産後クライシスの状態が長く続いていってしまうでしょう。

産後クライシスになりやすい人

出産前から、ストレスを抱えている女性は、出産後に産後クライシスになりやすいとされています。ストレスの要因は家庭に限らず、職場でのストレスや交友関係から生じる個人的なストレスなどが含まれます。
特に、出産が初めての場合は、出産や育児に対する不安から、産後クライシスになりやすい傾向にあります。

また、過去に産後うつ病や不安障害といった精神面で健康問題を抱えていた経験がある女性は、再び産後の精神的健康問題に直面するリスクが高くなるとも考えられています。

産後クライシス(旦那側)

一般的に、産後クライシスは主に出産後の母親に関連する状態として認識されていますが、出産による影響は妻だけにとどまりません。
出産による生活の変化、育児のプレッシャーによって、夫が産後クライシスになることもあります。産後クライシスになった妻に対して、夫も不満を感じてイライラしやすくなってしまうという、悪循環に陥ってしまうのです。
また、育児中心になってしまった妻とセックスレスになったり、愛情を感じなくなってしまったりした結果、不倫をしてしまうケースも見られます。
夫が産後クライシスに陥った場合、以下のような症状が見受けられることがあり、深刻なものになると、身体の健康に支障をきたすものにまで悪化してしまいます。

  • 妻に対する愛情や関心が減退する。
  • 妻や子供に対する罪悪感や不安感が増大する。
  • 仕事に没頭して家庭をかえりみなくなったり、反対にやる気を失ったりすることがある。
  • 育児や家庭での役割から逃避し、趣味や友人との交流に逃げることがある。
  • 過食、飲酒、喫煙などの依存症状が現れることがある。
  • 睡眠障害、頭痛、胃痛などの身体的な不調が生じることがある。

産後クライシスの乗り越え方

さて、それではこのような産後クライシスに対して、どのように対処すれば良いのでしょうか。

産後クライシスの8つの解決法

①夫婦の状況について客観的な視点を持つ。

産後クライシスはどの夫婦にも起こり得るため、自分たちの状況を冷静に、客観的に分析することが重要です。現在の状況を理解することが、問題解決の第一歩となります。

女性の場合、妊娠から出産後のホルモンバランスの変化の関係で、夫に愛情があっても、夫に触れられることが嫌だと感じることがあります。夫に対して愛情があるのに、触れられることが嫌だと感じるようになったとしても、これはホルモンバランスの影響によるもので、一時的なことである場合もあります。

たとえば、日記をつける、感情や出来事を記録する、といった方法によって、後日読み返したときに、自分が何を考えていたのか、どのような気持ちの変化があるのかなどを客観的に考えることが可能となります。

②不満や意見はためこまず、夫や妻に気持ちをはっきり伝える。

産後の不安やストレス、夫や妻に対する不満などは、ためこむべきではありません。「こういうところに困っているので、こうしてほしい。」というように、相手に対する希望や期待を、夫や妻に正直かつ具体的に伝えることが大切です。

相手に伝えられずに自分の中でためこんでしまうと、コミュニケーション不足の要因となってしまいますし、そうした状態はストレスレベルを高め、状況を悪化させることになってしまいます。
お互いの感情を理解し合うことで、問題を共有し、支え合うことが可能です。

たとえば、女性は、夜に2~3時間おきに授乳をしていて、寝不足で疲れていることが多くあります。その場合には、「実は、夜は授乳の関係でぐっすり寝れていないから、少し落ち着いて寝かせてほしい。その間、子供を見ておいてほしい。」などと伝えてみるのも良いでしょう。

③家事や育児の分担について話し合い、協力し合う。

家事や育児の分担に関する具体的な話し合いを行い、公平な負担の分配を目指しましょう。
とはいえ、夫が激務で家にいる時間が少なかったり、掃除はできるが料理は不得意、ということもあるでしょう。
なるべく負担が公平になるようにしつつも、役割分担に拘束されすぎず、相手が困っていればお互いに協力し合うことを心がけてください。

たとえば、妻が料理が得意であれば、妻は料理をして、夫はスーパーへの買い出しを担当するなど役割分担をすることも考えられます。また、平日は仕事で夫が忙しい場合には、土日は、妻の家事の負担を減らして、夫が積極的に家事をするなども考えられます。

このように、夫婦が協力的であるという家庭環境が、産後クライシスの軽減につながります。

④夫婦のコミュニケーションの時間を大切にする。

夫婦間のコミュニケーションは、産後クライシスを乗り越えるうえで中心的な役割を果たします。
子育てや家事、お互いの感情や期待について率直に話し合うことが重要です。
定期的に「夫婦の時間」を設け、日々の忙しさから離れて、お互いの感情や願い、心配事を共有することは、理解と絆を深める上で非常に有効です。

また、一緒に過ごす時間を大切にし、共通の趣味や活動を通じて関係を強化することも重要です。このようなコミュニケーションは、お互いのニーズを理解し、満たす助けとなります。

⑤カウンセリング、通院、相談窓口を利用する。

心理的なサポートが必要な場合は、カウンセリングを受診したり、専門の相談窓口を利用してみてください。専門家の助言は、問題解決の大きな手助けとなります。
カウンセリングは、産後クライシスに陥っている本人だけでなく、その配偶者も一緒に受けることがおすすめされます。
産後クライシスの状況を夫婦双方で共有するとともに、第三者の客観的な意見を取り入れ、専門家のアドバイスを聞いて夫婦関係の改善を目指しましょう。

⑥自分ひとりの時間を作る。

自分だけの時間を持つことは、精神的なリフレッシュや自己実現のために非常に重要です。特に産後は、個人としての自己を見失いがちですが、趣味、運動、リラクゼーション、または単に静かに過ごす時間など、自分が楽しめる活動を行うことで、心のバランスを保つことができます。
たとえ短時間でも、自分の趣味や興味に没頭することで、ストレスの軽減につながります。

たとえば、子供を実家やベビーシッターに預けて、「自分だけの時間」をつくることが考えられます。短時間でも、子供と離れて過ごすことができれば、夫や周囲の状況を客観的に考える時間を確保できたり、リフレッシュのための趣味の時間を確保することができます。

このような「自分だけの時間」は、心身の健康を保ち、産後クライシスに対処するためのエネルギーを再充電するために不可欠です。

⑦夫と子供が母親抜きで過ごす時間を作る。

夫に子供の世話を任せ、母親に休息の時間を提供します。父親には子供との絆を深める機会が与えられ、家族全体の健康と幸福に寄与します。また、夫が子供の世話をすることにより、負担の母親の子育ての大変さを実感することもでき、家事や子育てに積極的に関わっていこうと考える機会にもなります。

⑧夫婦の親や友人を頼ったり、サービスを活用する。

夫婦の両親や親族、友人などの助けを借りましょう。ベビーシッターや、地域のサポートサービスがあれば活用してみてください。
育児や家事の負担が軽減することで、ストレスも軽減し、産後クライシスの状態を改善することが期待できます。

出産前から夫婦でしっかりコミュニケーションを取っておきましょう

夫婦といえど、相手の気持ちを100%理解することは不可能です。何か思っていることや考えていることがあれば、相手に伝えなければ伝わりません。
察してもらえるだろう、と相手に甘えずに、日頃から積極的にコミュニケーションを取っておくように心がけましょう。

産後クライシスに関するQ&A

Q1.産後クライシスと産後うつの違いは何ですか?

産後クライシスと産後うつは、似ているようですが、違うものです。
産後うつとは、出産後に女性が発症する精神疾患で、気分の落ち込みや意欲の低下などの症状が2週間以上続く場合に診断されます。産後うつは、ホルモンバランスの変化や育児への不安などが原因となり、医師の治療が必要です。

産後クライシスとは、出産後に夫婦の関係が急速に悪化する現象で、医療用語ではありません。産後クライシスになると、妻は夫に対してイライラや不満を感じやすくなり、夫は妻の変化についていけないことが多くなります。
産後クライシスは、夫婦間のコミュニケーション不足や価値観のズレが原因となり、夫婦で協力して乗り越えることができます。

Q2.産後クライシスは、妻だけではなく夫もなるのですか?

産後クライシスになるのは、女性だけではありません。妻の出産を機に、夫も産後クライシスになることがあります。
夫の場合、妻や子どもに対する責任感やプレッシャー、仕事と家庭の両立の難しさ、妻との関係の変化などが産後クライシスの原因となります。

夫の産後クライシスは、女性の産後クライシスよりも発症が遅く、症状が軽いことが多いです。
夫が産後クライシスにならないよう予防したり、産後クライシスになったときに解決したりするためには、妻とのコミュニケーションを大切にし、育児や家事に積極的に参加し、自分の気持ちを素直に表現することが有効です。

Q3.産後クライシスにはどのように対処したら良いですか?

まずは、出産後に夫も妻も産後クライシスになる可能性があることについて、理解しておきましょう。
そして、出産前から、出産後の生活の変化について、認識を共有しておくことも重要です。夫や妻のどちらかが率先して準備を進めるのではなく、たとえば「おすすめのベビーカーを探しておいてほしいな。」のように、小さなことでも相手に協力を求めましょう。

出産という、人生における一大イベントに向けて、出産前から夫婦でコミュニケーションを密接に取り、認識を共有しておくことで、出産に対して心構えができ、産後クライシスを予防できるかもしれません。

まとめ

本記事では、出産後のお悩みとして多い「産後クライシス」について、その原因や症状、対処法などに関して解説させていただきました。
産後クライシスとは、出産を機に夫婦関係が悪化し、些細なすれ違いなどから不仲になってしまった状態を言います。
ホルモンバランスの変化や、慣れない育児による身体的・精神的疲労などが、産後クライシスの主な原因として挙げられますが、何よりも重要なのは夫婦間のコミュニケーションと、夫婦双方で協力し合うことです。夫だけ、妻だけが、我慢をしたり、負担を負わされるという状況では、夫婦仲はうまくいかなくなってしまいます。

産後クライシスは病気ではないとはいえ、産後クライシスの状態を放置しておくと、悪化して産後うつという病気になったり、夫婦離婚の危機に至ることも考えられます。
とはいえ、産後クライシス自体は珍しくなく、どの夫婦にも起こり得るものです。出産前に入念に心構えしていても、慣れない子育てに追われる中では、誰でも産後クライシスになってしまう可能性があります。
産後クライシスになっても必要以上に気に病まず、夫婦で日々のコミュニケーションを大切にしていれば、産後クライシスを乗り越えられることでしょう。

大切なことは、夫婦仲のお悩みを一人で抱えこまないで、誰かを頼ることです。

夫婦仲のお悩みはひとりで抱え込まずに、弁護士にお気軽にご相談ください。当法律事務所の相談窓口では、産後クライシスについてのお悩みもお受けしております。
初回のご相談は無料ですので、ぜひお問合せください。

この記事を書いた人

雫田 雄太

弁護士法人あおい法律事務所 代表弁護士

略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。3,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。

 

家庭の法律問題は、なかなか人には相談できずに、気付くと一人で抱え込んでしまうものです。当事務所は、家庭の法律問題に特化した事務所であり、高い専門的知見を活かしながら、皆様のお悩みに寄り添い、お悩みの解決をお手伝いできます。ぜひ、お一人でお悩みになる前に、当事務所へご相談ください。必ずお力になります。

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