別居婚する理由とは?入籍の手続きやメリット・デメリットを解説
入籍しても同居をしない「別居婚」をご存知でしょうか。いずれ同居する予定だが、入籍後しばらくは別居婚になるという夫婦や、仕事の関係で長期に渡って別居婚しているという夫婦まで、さまざまです。
やむを得ず別居生活になってしまったという夫婦もいますが、円満に別居生活を送り、最高に楽しい夫婦の関係だと満足している夫婦もいます。前向きに別居婚を楽しいと思う夫婦にとって、一体どのようなメリットがあるのでしょうか。
そこでこの記事では、別居婚を選択する夫婦にとって、どういったメリットやデメリットがあるのかについて、弁護士が分かりやすくご説明させていただきます。また、入籍の際の婚姻届の提出方法や住民票の取り扱い、子供に関する手続きについても解説いたします。
さらに、夫の会社の健康保険の扶養に別居婚の妻を入れることができるのか、といった点についても簡単にご説明いたします。
この記事が少しでもご参考となれば幸いです。
目次
別居婚の意味とは?週末婚や遠距離婚との違い
別居婚とはどういった婚姻関係を意味するのでしょうか。
別居婚とは、夫婦が入籍し正式に結婚してからも、さまざまな理由で別々の場所に住んでいる状態を指します。離婚を前提とした別居とは異なり、別居しながらも円満に夫婦としての関係を継続するのが別居婚です。
別居婚の夫婦にはさまざまな形態や理由がありますが、一例を挙げると次の通りです。
- 夫が海外に長期赴任することになったが、妻は日本での仕事を続けたいため、海外と日本とで別居婚をしている。
- 遠方の実家に住む妻の母親が認知症を患い、日常生活のサポートが必要になったため、妻は子供を連れて実家で生活し、夫は東京で暮らす別居婚の状態になっている。
別居婚は違法ではないの?
こうした別居婚ですが、法律に違反しているのでは?という疑問の声も耳にします。それは、この通り、法律に「夫婦は同居しなければならない」と定められているからです。
(同居、協力及び扶助の義務)
民法第752条 夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。
ですが、この民法第752条が意図しているものとは、「夫婦の一方が同居生活を望んでいるのに、一方的に他方が同居することを放棄してはならない。」というものです。
出産の里帰りや、夫の単身赴任による一時的な別居などは、別居状態になることもやむを得ませんし、夫婦が互いに納得して選択したことですから、法律が同居を強制できるものでもありません。
円満な別居婚も、夫婦の双方が別居婚を望んで選択したものなので、法律の規定に違反するものではないと考えられています。
週末婚や遠距離婚との違い
別居婚と似ている夫婦の生活スタイルに、週末婚や遠距離婚、通い婚といったものがあります。
週末婚とは、夫婦が平日は別々の場所で生活し、週末になると一緒に過ごすという生活スタイルです。夫と妻の勤務先が遠距離のため、平日一緒に過ごすことが夫婦にとって負担になるような場合に選ばれることが多い、別居婚の1つのパターンです。
遠距離婚も別居婚の1つのパターンで、夫婦が仕事や家族の事情などで、長期間にわたって遠距離で生活することを意味します。
また、近隣で別居している夫婦で、毎晩どちらかの家で一緒に夕食をとるなど、同居はせずに互いの家を行き来するような夫婦もいます。これも別居婚のひとつの形で、通い婚と呼ばれています。
このように、別居婚とは入籍して法律上の夫婦となったが、同居はせず別居生活している夫婦を意味します。国内外での別居婚や、同じマンションの上下のフロアでの別居婚など、別居婚は夫婦の個別の事情に合わせてさまざまな形が見られます。
入籍に必要な手続き|婚姻届や住民票
それでは、別居婚で入籍する場合、婚姻に必要な手続きはどうなるのでしょうか。
一般的な結婚で必要な手続きは婚姻届の提出による入籍です。同様に、別居婚の場合も婚姻に必要な手続きは、婚姻届の提出です。
必要な手続き:婚姻届の書き方と提出方法
まずは市区町村役場の窓口やホームページから、婚姻届の書式を入手します。最近では雑誌の付録に婚姻届の用紙がついていたり、オリジナルデザインの婚姻届も増えてきました。所定の形式で内容に不備がなければ、キャラクターやオリジナルデザインの婚姻届でも受理されます。
婚姻後に夫婦が名乗ることになる氏(苗字)や、新しい本籍、住所、証人欄などを記入します。印鑑の押印は任意になったため、基本的に署名があれば大丈夫です。「同居を始めたとき」の欄には通常、同居生活を始めた日や結婚式を挙げた日を記入しますが、別居婚の場合は空欄のままで問題ありません。
婚姻届の提出先は、本籍地や住所地の市区町村役場です。提出先が夫婦の双方あるいは一方の本籍地ではない場合、その者の戸籍謄本の提出も必要になります。
たとえば、夫の本籍地がA市で妻の本籍地がB市の場合、夫の本籍地A市に提出するのであれば妻の戸籍謄本が必要です。夫と妻のどちらの本籍地でもないC市に提出する場合は、夫と妻の両方の戸籍謄本が必要になります。
婚姻届と戸籍謄本を準備したら、運転免許証などの本人確認書類を持参して市区町村役場に提出します。
なお、提出先によっては、休日や夜間も婚姻届の提出を受け付けていますが、その場で内容の不備などは確認してもらえず、翌営業日に受理されることになります。そうなると、届出をした日(婚姻日)がずれてしまうため、事前に提出のタイミングを確認しておくと良いでしょう。
別居婚と住民票の関係
入籍した夫婦であっても、住民票を分けることは可能です。夫と妻それぞれの生活スタイルに合わせて、住民票をどうするか、必要な手続きは何かについて、事前に話し合って確認しておくと良いでしょう。
別居婚で入籍してからも、現住所と変わらない場合は、必要な手続きはありません。
入籍により引っ越す場合は、状況に応じて「転居届」か「転出届・転入届」の提出が必要になります。
住民登録をしている住所と同じ市区町村内で引っ越しをする場合は、引越した日から14日以内に、転居届を提出します(住民基本台帳法第23条)。
同じ市区町村内での引越しではなく、A市からB市への引越しなど、別の市区町村へ移動する場合は、現在住んでいる市区町村に「転出届」を提出して「転出証明書」を受け取り、引っ越し先の市区町村に「転入届」と転出証明書を提出します。
なお、住民票については、夫婦それぞれの実際の居住地で住民登録をしておくことをおすすめいたします。
たとえば夫の居住地で夫婦で住民票を同じにしておくことも可能ですが、その場合妻は実際の居住地で行政サービスを受けられなくなってしまうため、おすすめできません。住所地に適切に住民登録することで、その自治体の行政サービスを受けることが可能になります。
また、夫と妻とで住民票を別にした時に、妻の住民票の世帯主を夫にする、といったことはできません。世帯主は、同じ場所で住民登録している人の中から選ぶのが基本です。
別居婚と扶養の手続き|夫の会社の健康保険に入れる?
さて、入籍手続きの他にも、別居婚では重要な手続きが残っています。忘れてはならないのが、健康保険や扶養といった、社会保険に関する手続きです。
社会保険の種類によっては、住民票の登録がどのようになっているかが深く関連してくるため、別居婚する際には社会保険についても知っておきましょう。
夫の会社の健康保険に加入できるのか?子供も扶養に入れる?
通常、夫が会社勤めで、妻が専業主婦や定収入である場合には、妻は夫の会社の社会保険の扶養に入ることが一般的です。
これに関しては、別居婚の場合も同居の夫婦と変わらず、所定の要件を満たせば別居婚の妻も夫の会社の健康保険の扶養に入れます。
別居婚の妻が夫の被扶養者になるためには、次の条件に該当している必要があります。
- 日本国内に住民票があり、被保険者により主として生計を維持されている。
- 夫婦が同居している場合は、年間収入が130万円未満(60歳以上または障害者の場合は、年間収入180万円未満)かつ、収入が夫の収入の半分未満。
- 夫婦が別居している場合は、年間収入が130万円未満(60歳以上または障害者の場合は、年間収入180万円未満)かつ、収入が夫からの仕送り額未満。
健康保険の扶養については、配偶者に関して同居していることは条件ではないため、上記の年間収入の条件を満たしていれば、別居婚でも構わないのです。
別居婚の夫の扶養に入るための手続きは、夫の会社を経由して行うことになります。「被扶養者(異動)届」を用意して、夫の会社に手続きをしてもらいましょう。
そして、別居婚の妻だけでなく、別居婚の夫婦の子供も父親の扶養に入ることができます。子供が別居婚の妻の住民票に入っている場合でも、法律上の夫婦の子供であるため、同居していることは必要条件ではありませんし、無収入なので扶養に入る要件を満たしているからです。
別居婚の夫婦の子供に関しても、会社を通して扶養に入る手続きを行います。
国民健康保険の場合は注意が必要です
以上の通り、会社の健康保険に関しては別居婚で問題はありませんが、国民健康保険の場合は少し注意が必要です。
たとえば夫が自営業で、夫婦ともに国民健康保険に加入しているような場合は、住民票が同じか別かで保険料の負担が変わってきます。
通常、国民健康保険には世帯単位で加入し、世帯収入に応じた保険料を納付することになります。別居婚の夫と妻の住民票が異なる場合は別の世帯となるため、別居婚の夫と妻それぞれが自分の保険料を支払わなければならないのです。
単身赴任手当はもらえるのか
転勤などで、やむを得ず家族と別居しなければならない従業員に対して、単身赴任手当が支給されることがあります。
単身赴任手当の支給条件や金額は会社の規定により異なりますが、従業員と家族が同居しており、従業員の住居に引き続き居住して管理することが支給要件になっていることもあります。
そのため、入籍時から別居状態にある別居婚においては、支給要件を満たさずに単身赴任手当をもらえない可能性があります。詳細については、勤務先に確認してください。
夫婦が別居生活を選んだ理由は何?メリットとデメリットとは
さて、円満な別居婚は、自分の仕事や趣味に注力できて、一人暮らしの快適さも適度にあるので最高、と感じている夫婦も少なくありません。
別居婚のどういったところに最高だと感じるのでしょうか。
ここからは、別居婚のメリットとは何か、デメリットとは何かについて、見ていきたいと思います。
円満な別居婚は楽しい!最高だと思うメリットとは
それでは、まずは別居婚のメリットから見ていきましょう。別居婚には主に4つのメリットがあります。
- 生活の自由度が高い
- 衝突が起こりにくく、夫婦関係を良好に保てる
- 法律婚のメリットを得られる
- 仕事の選択肢が増える
メリット1.生活の自由度が高い
別居婚のメリットの一つとして、生活の自由度が高いことが挙げられます。
別居婚では、夫婦がそれぞれの場所で生活するため、お互いの生活リズムやプライバシーを尊重しながら、より自由に日々を過ごすことが可能です。
たとえば、夫は平日の日中働いていて、妻は夜勤や休日出勤が多い場合、同居だと相手に気を使って家では物音を立てないように常に配慮することが求められます。
別居婚では気を遣う相手がいないため、こうした自由度の高さは、特に個人の趣味やキャリアに重点を置きたい夫婦にとって、大きなメリットとなります。
メリット2.衝突が起こりにくく、夫婦関係を良好に保てる
別居婚のメリットの一つとして、衝突が起こりにくく、夫婦関係を良好に保てることが挙げられます。
同居する夫婦の場合、日常生活の中で些細なことが原因で衝突が生じることがあります。しかし、別居婚では、お互いに独立した生活空間を持つことで、生活習慣の違いや個人の好みに関する問題が表面化しにくくなり、結果として夫婦喧嘩や意見の対立が生じず、夫婦関係を良好に保てます。
また、別居婚では会う時間が限られるため、一緒に過ごす時間をより大切にするようになります。
このように、別居婚は夫婦がお互いに距離を保ちつつ、良好な関係を築くための選択肢として機能することがあるのです。
メリット3.法律婚のメリットを得られる
別居婚は別居生活をしているだけで、同居している夫婦と法律上の違いはありません。
そのため、法律婚の夫婦と同じメリットを得ることができます。
- 法律上の配偶者には法定相続権があり、別居婚の夫婦もお互いの法定相続人になる。
- 配偶者控除や相続税の配偶者控除など、税制面での優遇措置を受けることができる。
- 健康保険の扶養家族として登録されることや、年金制度の適用を受けることができる。
別居婚を選択することで、夫婦はお互いの独立性を保ちながらも、これらの法律的なメリットを享受することが可能になるのです。
メリット4.仕事の選択肢が増える
別居婚のメリットの一つとして、仕事の選択肢が増えることが挙げられます。別居婚では、夫婦が別々の場所に住むことで、地理的な制約が少なくなり、それぞれのキャリアにおいてより多くの機会を追求することが可能になります。
たとえば、夫が東京で働き、妻が大阪で仕事を続けたい場合、結婚後に同居するのであれば、どちらかが転職したり、仕事を辞めなければなりません。別居婚を選択することで、夫も妻も現在の仕事をそのまま続けることができ、それぞれの職業上のチャンスを最大限に活かすことができます。
また、一方が海外赴任や地方への転勤など、仕事の都合で移動する必要がある場合でも、別居婚であればもう一方のキャリアに大きな影響を与えることなく、柔軟に対応することが可能なのです。
会う頻度が少なく浮気しやすい?子育てが大変?同居より生活費がかさむ?デメリットとは
一方で、別居婚には次の6つのデメリットもあります。
- 会う頻度が少なく、コミュニケーション不足になりやすい
- 浮気しやすい
- 子育てが大変
- 同居する場合より生活費がかさんでしまう
- 相手の緊急時に対応が遅れてしまう
- 離婚しやすい
デメリット1.会う頻度が少なく、コミュニケーション不足になりやすい
別居婚のデメリットの一つとして、会う頻度が少なく、コミュニケーション不足になりやすいことが挙げられます。
別居婚では、夫婦が別々の場所に住んでいるため、日常的に顔を合わせる機会が減ります。その結果、お互いの日々の出来事や感情を共有することが難しくなり、コミュニケーション不足が生じる可能性があります。
会う頻度が少ないと、些細な誤解が積み重なりやすく、問題が大きくなる前に解決する機会を逃してしまうこともあります。また、お互いの気持ちを確認し合う時間が限られているため、関係の不安や孤独感を感じやすくなることもあります。
コミュニケーション不足は、特に重要な決断や危機的状況に直面したときに、夫婦間の支え合いや協力が難しくなる原因となります。そのため、別居婚を続ける場合には、定期的なコミュニケーションを心がけ、お互いの理解を深める努力が必要です。たとえば、オンライン通話やメッセージ交換を活用することで、日々のコミュニケーションを維持し、関係を強化することが大切です。
デメリット2.浮気しやすい
別居婚では、夫婦が別々の場所に住んでいるため、お互いの行動を把握しにくくなります。その結果、信頼関係が揺らぎやすくなり、浮気しやすい状況になってしまいがちです。
特に、長期間にわたる別居やコミュニケーション不足が続く場合、孤独感や寂しさから他の人との関係を求める心理が働きやすくなります。また、お互いがいない環境で新たな出会いがある場合、浮気に発展するリスクが高まります。
また、別居婚の配偶者の浮気に気付くことができず、数年にわたって不貞行為が続いていた、といったようなケースも見受けられます。
別居婚は配偶者との物理的・心理的距離が離れてしまうことが多いため、不貞のリスクが高いのです。
デメリット3.子育てが大変
別居婚の夫婦の場合、夫か妻のどちらかが子供の養育を担うことになります。
子供が病気になったときや学校行事に参加する必要があるとき、別居している親がすぐに駆けつけることが難しい場合があります。その結果、子育てを担う親は、仕事と家庭の両立に苦労し、精神的・肉体的な負担が増大します。
また、子供の視点から見ると、両親のどちらかとの関係が希薄になることがあり、家族としての絆を感じにくくなる可能性もあります。子供が成長する過程で、両親のサポートや愛情を十分に受けられないと感じることは、子供の心理的な安定に影響を与えることがあります。
このように、別居婚は子育てにおいてさまざまな課題を引き起こす可能性があります。そのため、別居婚を選択する場合には、子供のためのサポート体制を構築し、夫婦で協力して育児に取り組むことが重要です。
デメリット4.同居する場合より生活費がかさんでしまう
同居生活であれば、ひとつの世帯に生じる生活費を夫婦が協力して担うことになりますが、別居婚の場合は夫と妻それぞれの世帯に生活費が発生することになります。
まず、夫婦それぞれの家賃や光熱費を支払う必要があります。また、食事も個別に準備するため、食費も増える傾向にあります。
さらに、定期的にお互いのもとを訪れるための交通費も必要となってきます。
そのため、同居している場合よりも、別居婚の夫婦は生活費がかさんでしまう傾向にあります。
デメリット5.相手の緊急時に対応が遅れてしまう
夫や妻が事故に遭ったり、怪我や病気で倒れたりした時に、別居婚の夫婦は物理的な距離がある分、緊急時の対応が遅れてしまいがちです。
特に、距離が離れている場合や交通手段が限られている場合には、緊急時の対応が大幅に遅れる可能性があります。
このように、別居婚は緊急時の対応において、タイムリーなサポートが提供しにくくなるというデメリットがあります。
そのため、別居婚を選択する場合には、緊急連絡先を互いに共有する、近隣に頼れる人を確保する、定期的な健康チェックを行うなど、緊急時の対応策を事前に準備しておくことが重要です。
また、コミュニケーションを密にすることで、相手の状況を把握しやすくし、必要なサポートを迅速に提供できるように心がけることが求められます。
デメリット6.離婚しやすい
上述したデメリットがストレスになったり、物理的な距離から関係が希薄になったりして、離婚に対するハードルも下がる可能性があります。
特に、別居婚では既に夫と妻はそれぞれの生活スタイルが確立しているため、離婚しても現在の生活がそこまで変化することはないと考え、離婚を決断しやすい状況にあるからです。
このように、別居婚は離婚しやすいというデメリットがあります。そのため、別居婚を選択する場合には、定期的なコミュニケーションを心がけ、お互いの理解を深める努力が重要です。また、夫婦関係を維持するための意識的な取り組みが求められます。
出産したら子育てはどうする?出生届や子供のこと
別居婚で出産する場合、出生届の手続きや子育てはどのようになるのでしょうか。
この点、基本的には同居の夫婦とすべきことに違いはありません。
子供を出産したら、出産した市区町村で出生届を提出します。本籍欄に関しては、夫の住所に扶養として入る場合は、夫の本籍を記入しておきましょう。書式や記入例は各自治体のホームページから入手できるので、事前に確認しておくことをおすすめいたします。
出生届の提出先は、子供を出産した市区町村か、夫婦どちらかの本籍地、夫婦どちらかの住所地の市区町村役場になります。
そして、別居婚のデメリットでご説明した通り、別居婚では夫婦の一方に子育ての負担が集中することになります。
週末や休日など、もう一方の親が子供と過ごす時間を設けることで、育児を分担することが重要です。子供と離れて暮らす親は、定期的なビデオ通話やメッセージのやり取りを通じて、子供の成長や日々の様子を積極的に共有しましょう。
また、別居婚では、緊急時や育児で困ったときに頼れるサポート体制が重要です。親族や友人、地域の支援サービスなどを活用することで、子育ての負担を軽減できます。
なお、子育てに関して行政のサービスを受けたい場合は、住民票に注意が必要です。
たとえば母子手帳の交付や健康診断・予防接種などは、原則として住民登録をした市区町村でなければ受けられません。母親が子供を自分の居所で養育する場合に、父親の住民票に子供が世帯員として登録されていると、母親が自分の居住地で行政サービスを受けることができなくなってしまいます。
別居婚で出産を控えている場合は、この点のメリットやデメリットも慎重に検討してください。
Q&A
Q1.別居婚の意味を教えてください。
別居婚とは、入籍した法律上の夫婦が同居せず、別居生活を送る状態をいいます。
Q2.別居婚をするメリットは何ですか?
別居婚には、主に次の4つのメリットがあります。
- 生活の自由度が高い
- 衝突が起こりにくく、夫婦関係を良好に保てる
- 法律婚のメリットを得られる
- 仕事の選択肢が増える
Q3.別居婚にデメリットはありますか?
別居婚のデメリットは、主に次の6つが考えられます。
- 会う頻度が少なく、コミュニケーション不足になりやすい
- 浮気しやすい
- 子育てが大変
- 同居する場合より生活費がかさんでしまう
- 相手の緊急時に対応が遅れてしまう
- 離婚しやすい
当法律事務所の弁護士にご相談ください
別居婚は、夫婦が別々の場所に住む生活スタイルであり、近年、その選択肢が注目されています。別居婚は、夫婦それぞれの自立性を尊重し、キャリアやライフスタイルの多様性を追求する現代人にとっては、非常に魅力的な選択肢のひとつです。
しかし、別居婚には、法的な側面や子育て、経済的な課題など、考慮すべき点も多く存在します。特に、住民票の異動については慎重な検討が必要です。
また、子育てや夫婦間のコミュニケーション、経済的な負担など、生活面での工夫も求められます。別居婚を選択する際には、これらの点を十分に検討し、夫婦でしっかりと話し合い、計画を立てることが重要です。
別居婚が夫婦にとって最適な選択肢であるかどうかは、それぞれの状況や価値観によって異なります。
別居婚についてのお悩みやご不安がありましたら、当法律事務所の弁護士にお気軽にご相談いただければと思います。
この記事を書いた人
雫田 雄太
弁護士法人あおい法律事務所 代表弁護士
略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。3,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。
家庭の法律問題は、なかなか人には相談できずに、気付くと一人で抱え込んでしまうものです。当事務所は、家庭の法律問題に特化した事務所であり、高い専門的知見を活かしながら、皆様のお悩みに寄り添い、お悩みの解決をお手伝いできます。ぜひ、お一人でお悩みになる前に、当事務所へご相談ください。必ずお力になります。