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離婚と別居どちらが得?離婚か別居か迷ったら・・・違いを比較して解説します!

監修者:弁護士法人あおい法律事務所

代表弁護士 雫田雄太

略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。
3,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。

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夫婦関係が悪化している時、離婚するか、あるいはまず別居をするか、悩むことと思います。離婚と別居ではどちらが得なのか、自分の場合は離婚と別居のどちらを選択すべきなのか、迷っている人もいるのではないでしょうか。

どちらが得なのかを知っておき、自分のケースで最適な方を選びたいですよね。

そこで、この記事では、離婚か別居か、どちらが得なのか決めかねている方向けに、離婚と別居のそれぞれのメリットやデメリットについて、弁護士が解説いたします。

離婚するか別居するかでお悩みの際に、本記事がご参考になりましたら幸いです。

目次

離婚と別居どちらが得?

夫婦仲が悪化した時、離婚するか、別居をするか。どちらの選択肢を取っても手間や時間、費用がかかりますし、一度決断すると覆すのは大変です。

そこで、離婚と別居とではどちらが得なのか、自分の場合にはどちらを選ぶべきなのか、ということについて、弁護士が詳しく解説させていただきたいと思います。

離婚と別居のどちらが得なのかを比較する前に、まずは離婚と別居それぞれの基本的な知識と、離婚と別居の違いについて見ていきましょう。

 

離婚と別居

離婚と別居の違い

離婚とは

離婚とは、婚姻届の提出によって法律上の夫婦となった男女について、離婚届の提出によって法律上の夫婦関係を解消することをいいます。

離婚の方法には「協議離婚」、「調停離婚」、「裁判離婚」、「審判離婚」の4種類の方法があります。中でも、日本で最も一般的なの離婚の方法は話し合いによる協議離婚で、夫婦双方の合意があれば、離婚届を提出するだけで離婚が成立します。

離婚することによって、夫婦の法律上の地位が大きく変化することになります。まず、婚姻関係が解消されるため、法律上の配偶者としての権利や義務がなくなります。これにより、相続権や扶養義務などが失われます。

離婚は単に法律上夫婦でなくなる、というだけでなく、個人の法律上の地位や権利義務に大きく影響する手続きなのです。

別居とは

別居とは、夫婦が一時的または長期的に別々の生活を送ることを指します。別居には、別居を始める理由や目的、別居中の生活などによって、さまざまな形態があります。

たとえば、夫の単身赴任で夫婦が離れて生活する別居があります。一般的に単身赴任は一時的なもので、週末は夫婦で顔を合わせたり、単身赴任の終了とともに同居生活に戻ることが想定されているため、あまり別居生活だと意識することはないかもしれません。

また、妻が里帰りのために実家に帰省して夫とは別々に生活することも別居です。

一方で、離婚を前提とした別居では、夫婦が将来的に離婚することを意図して別々に生活を始めることもあります。この場合の別居は、離婚に向けて法的な手続きや財産分与、子供の親権などの問題を解決するための準備期間となります。

いずれの別居生活においても、離婚届を提出していないため、法律上は夫婦の婚姻関係は継続しています。そのため、別居中も法律上の夫婦としての権利や義務が生じることになります。

離婚と別居の違い

離婚と別居は、夫婦関係における重要な選択肢ですが、その法的地位の変化、夫婦関係の扱い、手続きの内容には大きな違いがあります。

まず、法的地位の変化についてですが、離婚は夫婦関係を法的に解消することを意味します。これにより、法律上の配偶者としての権利や義務が終了し、相続権や扶養義務などが失われます。

一方、別居は夫婦が物理的に離れて生活することを指すため、法的地位に変化はありません。夫婦は法的には引き続き結婚しており、法的な権利や義務も維持されます。

夫婦関係については、離婚の場合は離婚の成立によって夫婦関係は完全に終了します。これに対し、別居は夫婦関係を一時的に中断するものであり、関係の修復や再構築の可能性が残されています。

手続きの違いに関しては、離婚は協議離婚、調停離婚、裁判離婚など、法的な手続きを経て正式に成立します。
これに対して、別居は夫婦間の合意によって実施されることが多く、特別な法的手続きを必要としない場合が一般的です。

「離婚と別居どちらが得か」の「お得」の意味

「得」とは、利益や利点があることを意味します。

離婚と別居はどちらが得かというのは、自身が置かれている状況において、離婚と別居はどちらがより良い選択肢か、ということになります。

たとえば、夫婦関係が修復不可能な状態にある場合、離婚は新たな人生を始めるための清算として「得」となるかもしれません。一方で、関係を見直し、修復の可能性を探るために一定期間距離を置きたい場合、別居がより「得」な選択となるでしょう。

また、子供の存在や経済的な状況、社会的な立場など、個々の状況に応じて「得」の意味は異なります。子供のために法的な夫婦関係を維持しながらも別居生活を選ぶことが「得」と感じる場合もあれば、経済的自立を目指して離婚を選ぶことが「得」となる場合もあります。

さらに、精神的な健康や将来の幸福を考慮すると、一時的な不利益を受け入れてでも離婚や別居を選ぶことが「得」となる場合もあります。重要なのは、自身の価値観、目標、そして現在の状況を正確に把握し、長期的な視点で最も利益をもたらす選択をすることです。

結局のところ、離婚と別居のどちらが得かは、個人の状況や目指す未来によって異なります。夫婦それぞれが自身の状況を慎重に分析し、最善の選択をすることが重要です。

それでは、自身にとって最善の選択肢がどちらなのか、まずはそれぞれのメリットとデメリットについて、詳しく見ていきましょう。

離婚か別居か

離婚問題が生じた場合、離婚前に別居して冷却期間を設けるという夫婦は少なくありません。すぐに離婚していない場合や、離婚条件で揉めている場合は、離婚前に別居することが一般的です。このように、離婚前に別居することに関して、何かメリットやデメリットはあるのでしょうか。

離婚はめんどくさい?別居を続ける理由

離婚前に別居をすることには、いくつかのメリットがあります。

まず、別居期間が長くなると、裁判での離婚請求が認められやすくなる傾向があります。これは、長期間の別居が婚姻関係の破綻の明確な証拠と見なされるためです。

また、自身の離婚への強い意志を示すことができ、相手がその意思を真剣に捉え、話し合いに前向きに応じるようになる可能性が高まります。

さらに、相手が別居中の婚姻費用の支払いを減らしたいと考える場合、それが早期の離婚に向けた動機となることもあります。

別居によって、同居に伴うストレスから解放されることも大きなメリットです。特に、DVやモラルハラスメントなどの問題がある場合、別居は安全な距離を確保し、精神的な安定を取り戻すための重要な手段となります。

特に、日頃から夫婦喧嘩が絶えない場合、同居を続けていると、両親が揉めている環境は子供にとっても多大なストレスになります。別居することで、子供がストレスから解放され、心身の健全な発達に悪影響とならないようにすることができます。

そして、別居することで安心感を得られるため、離婚に向けた準備を冷静に進めることも可能になります。具体的には、離婚に関する法的手続きの準備、財産分与や親権などの交渉戦略の立案、必要な書類の収集などを、じっくりと行うことができます。

このように、別居は離婚に向けた慎重な準備を可能にし、より良い結果を導くための重要な役割を果たすという点で、非常に大きなメリットがあるのです。

別居のデメリット

離婚前の別居には以上のようなメリットがある一方、次のようなデメリットもあります。

まず、一度別居してしまうと、離婚を考え直した場合に復縁が難しくなる可能性があります。別居によって生じた心理的な距離が、関係修復の障壁となることがあるためです。

また、相手の有責行為の証拠集めが難しくなることも懸念されます。特に、浮気やDVなどの証拠は、同居しているときに比べて収集が困難になることが多いです。

そして、別居に際しては、新しく仕事や住居を探す労力も必要となります。これには時間や手間、費用がかかるため、精神的および経済的な負担が増大することがあります。

さらに、家を出た行為が“悪意の遺棄”と見なされるリスクもあります。これにより、相手から逆に離婚請求や慰謝料請求をされるおそれがあるため、別居の際にはそのようなリスクを十分に考慮する必要があります。

子供がいる場合、別居は子供にとって精神的な負担となることがあります。親の一方と離れて暮らすことになるため、子供の心理的な安定や成長に影響を与える可能性があります。また、親子関係にも影響を及ぼすことがあるため、別居の際には子供の心情を十分に考慮する必要があります。

さらに、別居は社会的なつながりや支援ネットワークを失うリスクも伴います。同居していたときには当たり前にあった家族や近隣との交流が減少し、孤立感を感じることがあるかもしれません。特に高齢者の場合、別居によって支援を受ける機会が減ることが懸念されます。

また、別居は法的な問題を引き起こすこともあります。たとえば、離婚手続き中に別居をする場合、法的な権利や責任に関する問題が生じることがあります。別居によって家族構成が変わる場合、これらの法的な影響も考慮する必要があります。

また、別居中に相手が通帳などの財産を隠してしまう可能性も考えられます。離婚に際して財産分与が不利になることを避けるために、こうした財産隠しが行われることがあり、隠された財産に気付かないまま財産分与をしてしまうと、結果的に自身の権利が損なわれる可能性があります。

また、同居時よりも経済的に苦しくなることも一つのデメリットです。別居により生活費が二重にかかることになり、特に収入が限られている場合には、生活の質が低下する可能性があります。

このように、離婚前の別居にはメリットとデメリットがあるため、慎重に検討して判断することが大切です。

 

別居のメリットとデメリット

別居より離婚を選ぶ理由

離婚には、主に次の4つのメリットがあります。

  • 配偶者との関係についてのストレスや不満から解放される
  • 自分の時間やお金を自由に使える
  • 新しく恋愛や再婚ができる
  • 仕事や住む場所を配偶者の都合で左右されない

①配偶者との関係についてのストレスや不満から解放される

離婚によって、配偶者との関係に起因するストレスや不満から解放されることが大きなメリットの一つです。

夫婦関係がうまくいかない場合、日々の生活において感じるストレスは心身の健康に悪影響を及ぼすことがあります。離婚をすることで、このようなストレスから解放され、精神的な安定を取り戻すことができます。

また、不満や対立が解消されることで、自分自身の幸福感や満足感を取り戻すことができます。

②自分の時間やお金を自由に使える

離婚することで、自分の時間やお金を自由に使えるようになることも大きなメリットです。

夫婦の結婚生活では、配偶者との共同生活や家族のために時間や財産を使うことが多く、自分自身のために使える時間やお金が制限されることが多いです。

離婚によって独立することで、自分の趣味や興味、キャリアの追求など、自分の人生を自分のために生きることができます。

また、財産分与によって自分の資産を確保し、経済的な自立を図ることもできます。

自分の時間やお金を自由に使えることは、新たな人生のスタートを切る上で重要な要素です。

③新しく恋愛や再婚ができる

離婚によって、新しい恋愛や再婚の可能性が開かれることも大きなメリットです。

夫婦関係が終わることで、新たなパートナーとの出会いや人生を共にする機会が生まれます。再婚によって、より相性の良い人との関係を築き、幸せな家庭生活を送ることができるかもしれません。

また、新しい恋愛を通じて、自己成長や新たな経験をすることもできます。離婚後の人生で新しい恋愛や再婚を選択することは、自分自身の幸福を追求する上で重要な一歩となります。

④仕事や住む場所を配偶者の都合で左右されない

離婚によって、仕事や住む場所を自分自身の選択で決められるようになることも、メリットの一つです。

結婚生活では、配偶者の仕事や生活環境に合わせて、自分のキャリアや住居を選ぶ必要があることがあります。

しかし、離婚をすることで、自分のキャリアプランや希望する生活スタイルに合わせて、仕事や住む場所を自由に選択できるようになります。これにより、自分の望む人生を実現するための機会が広がります。

離婚することのデメリット

一方で、離婚には次のようなデメリットもあります。

  • 経済的に苦しくなる
  • 配偶者としての法的な権利を失う
  • 家族や子供と離れることの孤独感
  • 離婚に対してマイナスなイメージを持たれる
  • 離婚準備や離婚後の手続きが煩雑

①経済的に苦しくなる

離婚は、経済的な面での大きな変化をもたらすことがあり、これがデメリットの一つとなることがあります。

結婚生活では、収入や財産を配偶者と共有することで生活の安定が保たれていることが多いですが、離婚によってこの安定が失われる可能性があります。

特に、専業主婦や低収入の配偶者の場合、離婚後の経済的自立が困難になることがあります。また、財産分与や養育費、慰謝料など、離婚に伴う経済的な負担が増加することもあります。

③配偶者としての法的な権利を失う

離婚することで、配偶者としての法的な権利を失うこともデメリットの一つです。

結婚生活では、配偶者として相続権や保険の受取人となる権利、税法上の優遇措置など、さまざまな法的な権利が認められています。

しかし、離婚によってこれらの権利が失われることになります。特に、相続権の喪失は、配偶者が亡くなった場合に大きな影響を及ぼすことがあります。

また、健康保険や社会保険の扶養家族から外れることによる影響も考慮する必要があります。

このように、離婚によって失われる法的な権利は、離婚の際に十分に検討すべき重要なポイントです。

③家族や子供と離れることの孤独感

離婚によって家族や子供と離れることは、深い孤独感を引き起こすことがあります。

特に、子供との関係が変化することは、親にとって大きな心理的な負担となることがあります。子供との日常的なコミュニケーションや親子の絆が弱まることで、孤独感や喪失感を感じることがあります。

また、離婚によって家族との関係が断絶されることは、社会的な支援ネットワークの喪失にもつながり、孤立感を強めることがあります。

このように、離婚に伴う孤独感や孤立感は、精神的な健康に悪影響を及ぼす可能性があります。

④離婚に対してマイナスなイメージを持たれる

離婚に対して社会的な偏見やマイナスなイメージを持たれることも、デメリットの一つです。

特に、離婚がまだ社会的に受け入れられにくい地域や文化の中では、離婚した人に対する偏見や差別が存在することがあります。このような状況は、離婚した人の社会的な立場や人間関係に悪影響を及ぼすことがあります。

また、離婚に対するネガティブなイメージは、離婚後の恋愛や再婚に対する障害となることもあります。
このため、離婚を決断する際には、社会的な偏見やイメージに対する対処方法を考えることが重要です。

⑤離婚準備や離婚後の手続きが煩雑

離婚には、準備や手続きが煩雑であることもデメリットの一つです。

離婚には、財産分与、親権や養育費の決定、慰謝料の交渉など、さまざまな問題を解決する必要があります。これらの問題を解決するためには、法的な知識や専門家のアドバイスが必要になることがあり、時間や費用がかかることがあります。

また、離婚後も、養育費の支払いや子供の面会交流など、さまざまな手続きが続くことがあります。このように、離婚に伴う手続きの煩雑さは、精神的なストレスや経済的な負担となることがあります。

【比較】離婚と別居どちらが得か

 

【まとめ】離婚と別居はどちらが得か

 

さて、以上の通り、離婚と別居それぞれのメリットとデメリットについて詳しく見てきました。その上で、離婚と別居はどちらが得なのか、どういった場合にどちらが得になるのかを簡単にまとめさせていただきます。

離婚より別居する方が得な場合

冷静に考える時間が欲しい場合
夫婦関係が破綻していると感じるものの、すぐに離婚するかどうか決断できない場合、別居を選ぶことで感情的な距離を置き、将来の関係について冷静に考える時間を確保することができます。この期間を利用して、自身の感情や配偶者との関係を再評価し、修復の可能性を探ることもできます。

世間体が気になる場合
特に社会的な立場があったり、職業上、離婚がマイナスに影響する可能性があったりする場合、離婚より別居が向いていることがあります。苗字が変わることで離婚したことが周囲にバレる、というリスクもなく、外部からの評価を保ちつつ、夫婦関係の問題に対処することができます。

配偶者の扶養に入っていたい場合
経済的な理由から、配偶者の健康保険の扶養に入っていたい場合、別居を選ぶことで、法的な離婚をせずに扶養関係を継続することができます。これにより、医療費や生活費の負担を軽減し、経済的な安定を保つことができます。

離婚に必要となる費用負担を抑えたい場合
離婚には、弁護士費用や裁判費用など、多額の費用がかかることがあります。別居を選ぶことで、これらの費用を節約し、経済的な負担を軽減することができます。また、別居中に財務状況を安定させ、将来的な離婚に備えることも可能です。

離婚手続きを進める時間はないが配偶者と距離を取りたい場合
仕事や子育てなどで忙しく、すぐに離婚手続きを進めることが難しい場合でも、別居を選ぶことで、配偶者との距離を速やかに取ることができます。これにより、心理的な余裕を得ることができ、離婚に向けての準備をじっくりと進めることができます。

別居より離婚する方が得な場合

再婚したい場合
もし将来的に新しいパートナーとの結婚を考えているなら、離婚することでその道が開かれます。別居中は法的に夫婦関係が続くため、再婚することはできません。新しいパートナーときちんと入籍したい場合は、別居ではなく離婚を選択すべきです。

経済的な独立を図りたい場合
配偶者との経済的な結びつきを完全に断ち切り、自分の収入や資産を自由に管理したい場合、離婚が適切な選択です。別居では、法的にはまだ夫婦とみなされ、経済的な義務や権利が残る可能性があります。離婚により、経済的な独立を図り、自分の財産を自由に使うことができます。

財産分与や慰謝料を請求したい場合
離婚に際して、配偶者の不貞行為やDVなどの有責行為に対して慰謝料を請求したい場合や、共有財産の公正な分与を求めたい場合、離婚手続きを進める必要があります。別居だと、婚姻関係が継続するため、慰謝料を請求すること自体が結果として夫婦の共有財産にとってマイナスになることがありますし、財産分与は離婚時に行われる手続きなので、別居時には財産分与をできません。婚姻期間が長く、分配する共有財産が多い夫婦は、特に別居よりも離婚を選ぶ方が良いケースがあります。

夫婦関係によるストレスや不満から解放されたい場合
配偶者との価値観の違い、コミュニケーションの問題、性格の不一致、あるいは不貞行為やモラハラなどの有責行為が原因で、配偶者との関係が悪化していると、精神的なストレスが大きく、別居するだけではこうしたストレスから完全に開放されません。別居ではなく離婚することによって、完全に関係を断ち切ることで、心理的な解放感を得ることができます。

別居と離婚は税金ではどちらが得?

税金や保険などの制度面で見ると、一般的に別居の方が有利なケースが多いです。

たとえば税金に関しては、別居中でも法的に夫婦であれば、配偶者控除を受けることができます。離婚するとこの控除は受けられなくなります。同様に、別居中でも配偶者や子供が扶養家族として認められれば、扶養控除を受けることができますが、離婚するとこの控除は受けられなくなります。

社会保険については、別居中は配偶者の健康保険の扶養家族として保険証を使用することができますが、離婚するとその資格を失うことになります。そして、離婚すると、配偶者の社会保険の扶養から外れるため、自身で国民健康保険などに加入する必要があります。

ですが、これらは夫婦の状況や、世帯の所得によっても左右されるため、離婚と別居では別居の方が得だとは一概には言えません。たとえば、子供がいる場合は、離婚した方がひとり親世帯に対する公的支援制度を利用することができる場合もあるからです。

税金や社会保険だけではなく、他のメリットやデメリットを検討した上で、自分の状況に照らし、離婚と別居ではどちらが得なのかを慎重に判断すべきです。

「離婚と別居どちらが得か」に関するQ&A

Q1.別居することのメリットとデメリットを教えてください。

別居することのメリットには、主に次のようなものがあります。

  • 裁判での離婚請求が認められやすくなる
  • 自分の意思を強く表明でき、相手が協議に応じる可能性が高まる
  • 別居により婚姻費用が生じることが、早期離婚へのきっかけとなる
  • 同居に伴うストレスからの解放
  • 子供のストレス軽減と心身の健全な発達の保護
  • 離婚に向けた準備を冷静に進めることができる

反対に、別居することには次のようなデメリットもあります。

  • 一度別居をすると復縁が難しくなる
  • 有責行為の証拠集めが難しくなる
  • 仕事や住まい探しなどの手続きに手間がかかる
  • 悪意の遺棄とみなされるリスクがある
  • 子供の精神的負担が増大する
  • 社会的なつながりや交友関係が失われる
  • 財産を隠蔽されるリスクがある
  • 同居時よりも経済的な負担が増える

Q2.離婚することのメリットとデメリットを教えてください。

離婚には、主に次の4つのメリットがあります。

  • 配偶者との関係についてのストレスや不満から解放される
  • 自分の時間やお金を自由に使える
  • 新しく恋愛や再婚ができる
  • 仕事や住む場所を配偶者の都合で左右されない

一方で、離婚には次のようなデメリットもあります。

  • 経済的に苦しくなる
  • 配偶者としての法的な権利を失う
  • 家族や子供と離れることの孤独感
  • 離婚に対してマイナスなイメージを持たれる
  • 離婚準備や離婚後の手続きが煩雑

Q3.離婚するより別居する方が得な場合には、どういったケースが考えられますか?

離婚するより別居する方が得だと言えるケースとしては、次のような場合が考えられます。

  • 冷静に考える時間が欲しい場合
  • 世間体が気になる場合
  • 配偶者の扶養に入っていたい場合
  • 離婚に必要となる費用負担を抑えたい場合
  • 離婚手続きを進める時間はないが配偶者と距離を取りたい場合

まとめ

離婚と別居、どちらが得かは個々の状況や目的によって異なります。

別居は、関係の修復を目指す場合や、税金や保険の制度面で有利な場合に選択されることが多いです。

一方、離婚は、関係が完全に破綻している場合や、精神的な解放を求める場合に適しています。

重要なのは、自身の状況を正確に把握し、将来に向けて最善の選択をすることです。

離婚と別居のどちらを選択するべきか悩んだ時は、法律の専門家である弁護士にお気軽にご相談いただければと思います。離婚前に別居する場合に、離婚手続きを進める中で不利にならないよう、別居から離婚成立まで徹底的にサポートさせていただきます。

この記事を書いた人

雫田 雄太

弁護士法人あおい法律事務所 代表弁護士

略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。3,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。

 

家庭の法律問題は、なかなか人には相談できずに、気付くと一人で抱え込んでしまうものです。当事務所は、家庭の法律問題に特化した事務所であり、高い専門的知見を活かしながら、皆様のお悩みに寄り添い、お悩みの解決をお手伝いできます。ぜひ、お一人でお悩みになる前に、当事務所へご相談ください。必ずお力になります。

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