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パート主婦の離婚後の生活|生活費はいくら必要?仕事はどうなる?

監修者:弁護士法人あおい法律事務所

代表弁護士 雫田雄太

略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。
3,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。

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当サイトでは、離婚に関する法的な知識を分かりやすくお届けしております。皆様のお悩みの解消に少しでもお役立ちできましたら幸甚です。

離婚を決意したとき、どのように離婚手続きを進めていくべきか、財産分与や慰謝料などの離婚条件をどのようにすべきか、さまざまな事に悩むことになります。

そんな中でも、不安や心配の声を耳にすることが多いのは、離婚後の生活についてです。

離婚後の生活で実家を頼れずひとり暮らしになる場合、仕事と子育ての両立や、収入と生活にかかるお金のバランスなどで、不安を抱える人は少なくありません。

婚姻中は専業主婦だったという女性や、収入が十分ではないパート主婦などは、特に離婚後の生活に不安や悩みを抱えていることが多いです。

この記事では、パート主婦を中心に、パート主婦や専業主婦などの収入面に不安のある女性にとって、離婚後の生活がどのようになるのか、見ていきたいと思います。パート主婦や専業主婦が子どもを扶養する場合の公的支援制度についてもご紹介させていただきますので、ご一読いただければと思います。

目次

パート主婦や専業主婦が離婚後の生活で不安な事はお金の問題

日本の家庭では従来から、夫が働いて妻が家事や育児を担う、というスタイルが一般的です。昨今の日本においては、共働きはさほど珍しくはなくなってきましたが、それでも夫の方が収入が多く、共働きの妻もパート主婦で収入は少ない、という夫婦は少なくありません。

こうした夫婦が離婚することになった場合、経済的に苦心しがちなのは女性側だと考えられています。離婚後に実家を頼ることができれば良いのですが、ひとり暮らしとなった時、離婚後の生活をどのように維持するのか、収入についてのお悩みは、当法律事務所の弁護士にも寄せられます。

そこで、この記事では、パート主婦が離婚後の生活にどういった不安や悩みを抱えているのかを明らかにし、その不安を解消するためには何ができるのか、といったことについて、弁護士が詳しく解説していきたいと思います。

また、扶養すべき子どもがいる場合に、パート主婦におさえておいていただきたい公的支援制度や、養育費の請求に関する知識についても、簡単に解説させていただきます。

離婚準備で注意すべきポイントは仕事・住まい・生活費

パート主婦などの収入の少ない女性が、離婚後の生活で直面する問題はお金の問題が多いです。

特に、パート主婦が離婚を考えた時、仕事や十分な収入を得られるか、自分や子どもの生育に適した住まいで生活できるか、生活費はいくら必要になるのか、といった点についてのご相談をうかがうことが少なくありません。また、未成年の子どもがいるパート主婦の方からは、子どもの親権を確保できても、養育費を支払ってもらえるかが不安、というお悩みもうかがいます。

以上の通り、挙げさせていただいた「仕事・住まい・生活費」の3つの悩みは、パート主婦の方に離婚に向けた準備の中で、十分に注意して考えていただきたいポイントでもあります。

パート主婦が離婚後の生活に向けて注意すべき3つのポイント

  1. 仕事・収入の確保
  2. 住まいの確保
  3. 生活費・養育費の確保

この点、離婚後の生活に経済的な面で不安がある場合でも、離婚時の財産分与などでお金をもらえれば、離婚後しばらくは生活していけると考えている方もいらっしゃるでしょう。

  • 離婚時の財産分与で、当面の生活費は得られると思っている。
  • 未成年の子どもがいるので、自分のパート収入と養育費を合わせればギリギリ生活していける。

しかし、離婚財産分与や子どもの養育費などは、請求すれば簡単に欲しい分だけのお金をもらえるものではありません。

離婚時の財産分与は、そもそも対象となるのは夫婦が婚姻期間に築き上げた「共有財産」であるため、婚姻期間が短ければ財産分与の対象となる共有財産は少なくなりますし、全てを預貯金で受け取れる場合もあれば、すぐには生活費として利用できない資産を分配することもあります。

子どもの養育費や、不倫による慰謝料を請求したとしても、必ず請求したお金全額を受け取れるものではないですし、離婚時に約束しても離婚後に約束を反故にされてしまうこともあるのです。

また、老後の生活の支えとなり得る年金分割も、年金を実際に受け取れるようになるまで、年数を要することもあります。

このように、離婚時には財産分与や慰謝料、養育費や年金分割といったお金を請求することができますが、離婚後の生活費としてはあまりあてになるものではないのです。

そのため、離婚後の生活に向けては、入念に準備を進めることが重要です。それでは、パート主婦の離婚後の生活に欠かせない「仕事・住まい・生活費」についての基本的知識や重要な事項について、詳しく見ていきましょう。

離婚後の女性のひとり暮らしにいくら必要?

さて、そもそも、パート主婦の離婚後の生活には、一体いくらのお金が必要なのでしょうか。

パート主婦とひとくくりにいっても、旅行が好きで月に1回は旅行をしたいという人や、将来に備えて投資したい人、治安や防犯面から住環境にこだわりたい人など、それぞれのライフスタイルに応じて必要な生活費は異なります。

人によっていくら必要かは異なりますが、一般的には、「生活費」として次の費用が必要とされています。

  • 家賃
  • 食費
  • 衣料費
  • 通信費(携帯電話、インターネット)
  • 光熱費(電気、ガス、水道)
  • 保険料(健康保険、生命保険、自動車保険など)
  • 交通費
  • 自動車の維持費(ガソリン代、駐車場代、車検費用、メンテナンス費用)
  • 教育費(子どもがいる場合)
  • 娯楽費
  • 医療費
  • 日用品費
  • 貯蓄・投資

どういった住まいで離婚後の生活を送るのか、賃貸か持ち家か、などの事情によって家賃の金額は変動します。また、子どもの有無や人数によっても、食費や医療費、日用品費などにかかるお金も異なります。自動車を所有している場合は、自動車の維持にかかるお金も必要です。

それぞれにいくらのお金が必要になるかは、個々の状況によって違いますが、この点において参考になる統計のデータが2つあります。

1.司法統計による生活費(婚姻費用)の相場

裁判所がホームページ上で毎年公開している、司法統計というデータがあります。この司法統計に、調停によって生活費(婚姻費用)の取り決めを行った夫婦のうち、生活費の支払いについて合意した金額と件数が記載されており、これが生活費の相場の金額として参考になります。

下の表は、司法統計のデータをまとめたものになります。「令和4年 司法統計年報(家事編)」の第26表「婚姻関係事件のうち認容・調停成立の内容が「婚姻継続」で婚姻費用・生活費支払の取決め有りの件数-支払額別支払者別-全家庭裁判所」によりますと、生活費の月額と件数は、次の通りになりました。

月額

2万円以下

3万円以下

4万円以下

6万円以下

8万円以下

10万円以下

15万円以下

20万円以下

30万円以下

30万円超

総数

646

484

577

1,488

1,612

1,365

1,945

975

630

333

参考:司法統計(司法統計 結果一覧 | 裁判所 – Courts in Japan

この裁判所の司法統計によりますと、一般的には、別居中の生活費は「15万円以下」での合意が最も多く、おおむね「6万円以下から15万円以下」での合意が相場であると分かります。

別居中の生活費(婚姻費用)の金額なので、厳密には「離婚後の生活費用」とは異なりますが、ひとり暮らし・ひとり親世帯としての暮らしの生活費について、目安になるかと思います。

なお、協議離婚であれば、離婚後の生活費の金額については、原則として夫婦の話し合いで決めることになりますが、話し合いの中で裁判所が基準として用いている「養育費・婚姻費用算定表」が金額の参考として使われることが一般的です。

2.総務省の「家計調査」

もうひとつ、離婚後の生活費の参考になる統計として、総務省の「家計調査」があります。

以下の表は、「家計調査 家計収支編(2022年度)」の調査結果から、単身世帯の1ヶ月の消費支出の平均額をまとめたものです。この消費支出に含まれている費目は、衣食住費、衣料費、通信費、教育費、その他の趣味嗜好品費の合計になります。

用途分類

食料

39,952

住居

24,220

光熱・水道

13,750

家具・家事用品

5,666

被服及び履物

5,259

保健医療

7,345

交通・通信

20,003

教育

1

教養娯楽

18,747

その他

30,853

消費支出 合計

165,796

この家計調査によれば、単身世帯の平均的な生活費用は、16万5796円(約17万円)となりました。
参照:家計調査(総務省統計局)

以上の通り、離婚後の生活費として、月に約16万円程度は必要だという目安が見えました。これらの支出に加え、健康保険料や住民税といった税金がかかることになるため、実際の生活費はこの目安よりも多くかかると考えられるでしょう。

また、離婚にともない引っ越す場合は、引っ越しにかかる費用や、部屋を借りるための初期費用も必要です。

パート主婦が離婚してひとり暮らしをするのであれば、必要な生活費に対して自分の離婚後の収入はいくら見込めるのか、離婚準備を進める中できちんと検討しておく必要があります。

離婚後の女性の仕事や収入を確保するには・・・キャリアアップや転職

さて、上述のパート主婦の離婚後の生活費を得るために、自分に適した仕事を確保し、十分な収入を得なければなりません。

そこで、離婚準備の段階で重要な検討事項となってくるのが、パート主婦の離婚後の生活を支える仕事探しです。離婚前から十分なパート収入を得ていたり、離婚前はパート主婦だったが、離婚後は正社員になって働ける、といった人であれば離婚後の生活も安心ですが、パート主婦としての働き方を見直すか、職業訓練や資格取得によって転職・キャリアアップを図ることが求められるケースが少なくないでしょう。

パート主婦が離婚後の生活で十分な収入を得るために、考えられる対処方法や準備すべき事について、解説させていただきます。対処方法としては、主に次の8つの方法が考えられます。

  1. 正社員にキャリアアップする
  2. 派遣社員として働く
  3. 副業や内職をする
  4. フリーランスとして働く
  5. 在宅勤務できる仕事を探す
  6. 職業訓練を受ける
  7. 資格を取得する
  8. オンラインでの収入を得る

それぞれについて、特徴やメリット、注意点などを具体的に見ていきましょう。

1.正社員にキャリアアップする

安定した収入と福利厚生を確保するために、パート主婦から正社員にキャリアアップすることが考えられます。

一般的には、正社員として働くことで、毎月安定した収入を得ることができ、福利厚生も充実しており、会社内でのキャリアアップも見込める上、長期に渡って勤続することが期待できます。

女性の場合、妊娠や出産などのライフプランによってはキャリアが断絶しがちですが、産休や育休制度の整っている会社に正社員として勤務できれば、離婚後の生活においても大きなメリットです。

しかし、大抵の場合は8時間程度の勤務時間に加え、通退勤に時間もかかるため、幼い子どもがいるパート主婦にとっては特に、正社員にキャリアアップすることも、正社員として働き続けることも難しいものがあるでしょう。

さらに、長期間パート主婦として勤務していた場合は、フルタイムの職務要件に見合ったスキルを取得する必要があったり、経験のギャップを埋める必要があったりします。

このように、パート主婦から正社員にキャリアアップすることは理想的ですが、時間的な制約の大きさと、仕事と家庭生活のバランスの難しさを考慮すると、柔軟な勤務条件を提供する職場を選択することが非常に重要になります。

2.派遣社員として働く

正社員の他にも、パート主婦から派遣社員になることも考えられます。
派遣の場合、時給の設定金額がやや高い傾向があり、応募してから日数を置かずすぐに勤務開始できることも多いというメリットがあります。そのため、離婚後すぐに収入を得たいというパート主婦にもおすすめです。

また、転職活動時には自分で勤務日数やシフトなどの調整・交渉をすることが通常ですが、派遣の場合は派遣会社が間に入って調整をしてくれるため、会社との調整・交渉がしやすいです。

一方で、派遣社員は契約期間を決めて勤務することが多く、契約期間を更新しないとなってしまえば、また新たに仕事を探さなければいけなくなってしまいます。正社員の場合と比較すると、安定して勤続できるものではありません。

また、正社員の場合と同様に、パート主婦としての勤務が長期に渡り、ブランクがあったりすると、なかなか派遣先が決まらない可能性もあります。
パート主婦から派遣社員へと働き方を変えた場合は、正社員登用や資格取得などのスキルアップ、さらなるキャリアアップを同時に目指していくことをおすすめいたします。

3.副業や内職をする

離婚後の生活で十分な収入を得るために、パート主婦が考えることができる対処法の一つに、副業や内職をするという選択があります。
副業や内職をすることで、本業の収入に加えて追加の収入源を確保し、経済的な安定性を高めることが可能になります。

この方法は、特に時間的な制約があるパート主婦や、子どもが幼いため自宅でできる仕事が欲しい、と考えているパート主婦に最適です。

副業や内職にも、さまざまな種類があります。データ入力や記事のライターといったPCスキルを要するものもありますし、手作業が得意な人は、手芸品やアクセサリーの製作・販売を内職として行うことも可能です。手芸やイラストなど、趣味から副業に繋げることもできるでしょう。

副業や内職をする上で注意が必要なのは、本業とのバランスです。本業によっては、副業や内職が会社の就業規則等によって認められない場合もあります。

また、複数の収入を得ることになるので、確定申告が必要になることもあります。
パート主婦としての本業と、家庭生活でのバランスを見ながら、自分に適した副業や内職を探してみましょう。

4.フリーランスとして働く

離婚後の生活で十分な収入を得るために、パート主婦が検討すべき一つの選択肢は、フリーランスとして働くことです。

フリーランスとしての仕事は、離婚後の生活環境に適した柔軟な働き方を可能にし、自分の専門分野や興味がある分野で独立して働くことが期待できます。

子どもが幼く早退や遅刻で会社に迷惑をかけるのが申し訳ない、など時間の管理と仕事の両立が困難なパート主婦には、フリーランスとしての働き方は魅力的かと思います。

しかし、フリーランスとして安定した収入を得ることは、簡単ではありません。フリーランスとして成功するためには、まず自分の提供できるサービスやスキルを明確に定義し、ターゲットとするクライアントや市場を特定することが重要です。

また、収入の不安定さに加え、社会保険や税金などの自己管理が求められることになり、結果的にパート主婦として働いている時よりも手間と時間がかかってしまう、という可能性もあります。

そのため、一般的には広くおすすめできる方法ではありませんが、方法の一つとして知っておいても良いかと思います。

5.在宅勤務できる仕事を探す

パート主婦が離婚後の生活を安定させるための方法として、在宅勤務できる仕事を探すことも考えられます。

在宅勤務は、通勤時間が不要で、自宅で仕事ができるため、育児や家事との両立がしやすいという大きなメリットがあります。
ここ数年、こうした在宅勤務を取り入れる企業が増えたものの、まだ広く一般的ではありません。

また、たとえば法律事務所などは、郵便物やFAXでのやり取りが主流なため、在宅勤務を導入していても交代制であるなど、職種によってはフルリモートが不可能です。また、フルリモートできる企業でも、採用後1~3ヶ月は本社で研修、など出勤を求められることがあるため、応募から勤務までを完全に在宅で完了できることはなかなか難しいでしょう。

また、在宅勤務には孤独感を感じることや、家庭と仕事の境界があいまいになることがありますので、定期的に外部とのコミュニケーションを取り、心身のケアに注意することも大切です。

6.職業訓練を受ける

離婚後の生活で十分な収入を得るためには、新たなスキルを習得したり、既存のスキルを向上させたりすることが非常に重要です。

職業訓練を受けることには、単純なスキル習得だけでない、さまざまなメリットがあります。

まず、新しいスキルを習得することで、より多くの就職機会が開かれます。

また、特定の分野での専門知識を深めることができ、それにより職場での競争力が増すでしょう。

さらに、職業訓練中には同じ目標を持つ人々と交流を持つ機会もあり、離婚後の生活における人脈を広げることもできますし、就職に繋がるコネクションを得ることも期待できます。

こうしたメリットの一方で、職業訓練には一定の時間と費用がかかることが一般的です。
自分に適した職種で仕事を得るために、職業訓練が必要かどうか、十分に検討してみる余地があるでしょう。

7.資格を取得する

パート主婦から正社員や派遣社員になろうと考えた時に、募集要項の資格・経験についての記載で躓いてしまう人は少なくありません。

特段の資格は不要とされる一般事務職であっても、PCスキルや経験年数を求められることは多く、採用面談の際にタイピングスキルを見られることもあります。
パート主婦からより良い仕事へキャリアアップするためにも、資格の取得を検討してみてください。

可能であれば、離婚してからではなく、離婚前に資格の取得をしておくようにしましょう。離婚後の生活では、なかなか資格取得のための勉強に時間を割くことが難しくなってしまいます。

自分に適した職種を検討し、募集要項で求められている資格や経験を調べ、転職を見据えて資格を取得してみてはいかがでしょうか。
パート主婦からキャリアアップをするためには、早めの準備が重要です。

8.オンラインでの収入を得る

パート主婦が離婚後の生活で安定した収入を得るために、考慮すべき手段として、インターネットを利用した仕事が挙げられます。

具体的には、オンラインマーケットプレイスでの販売、ブログや動画配信サイトを通じた広告収入、オンラインコースやウェビナーの開催など、インターネットを活用して収入を得ることが検討されます。

とはいえ、広告収入を得るまでに時間がかかることや、ウェビナーを開催するのに専門的な知識やスキルが必要になるなど、オンラインで収入を得るためにクリアすべき課題は少なくありません。

また、長期にわたって安定した収入を得られるわけではないため、パート主婦として本業をこなしつつ、離婚後の生活費の足しにするなど、やり方を慎重に検討する必要があります。

子どもを扶養するパート主婦必見!公的支援制度と養育費の請求のやり方

離婚後の生活において、未成年の子どもがいる場合は、自分ひとりの生活費だけではなく、子どもの扶養にかかるお金を得る必要があります。
パート主婦としての収入以外に、離婚後の生活において考えられる収入は①公的支援制度による助成金等と、②養育費です。

公的支援制度による助成金等

 

公的支援制度による助成金等

 

国や地方自治体が、ひとり親世帯を金銭的に支援する公的支援制度がありますので、支給要件などを確認して利用申請しましょう。公的支援制度の中には、金銭を支給するもの以外にも、税金や手数料の軽減といった支援制度もあります。

以下に公的支援制度の一例をご紹介いたしますが、パート主婦や女性に限らず、条件に合致している人であれば受けられる制度となっております。

  • 児童手当
  • 児童扶養手当
  • 生活保護
  • 医療費助成
  • 住宅手当
  • 自立支援教育訓練給付金
  • 高等職業訓練促進給付金
  • ひとり親家庭等日常生活支援事業
  • 就学援助費
  • 上下水道料金の減免
  • 保育料の減免
  • 国民健康保険料の軽減
  • 国民年金保険料の減免
  • 住民税の減免
  • ひとり親控除(所得税)
  • 寡婦控除(所得税)
  • 粗大ごみ処理手数料の減免
  • 公共交通機関の利用料割引

こちらの一覧のなかでも、代表的なものを簡単にご紹介いたします。

児童扶養手当

児童扶養手当は、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある児童(障害児の場合は20歳未満)がいるひとり親家庭に対して年6回、金銭が支給される制度です。

申請手続きは、現住所の市区町村に対して認定請求書を提出することによって行います。審査の結果、認定されれば、申請付きの翌月分から支給となります。
申請に必要な書類は次の通りです。

請求者と対象となる児童の戸籍謄本(抄本)

  • 請求者の名義の預金通帳
  • 請求者の本人確認書類
  • 請求者のマイナンバーカード

なお、前年の所得金額によっては所得制限にかかります。詳細は役所の窓口で直接確認してみてください。

生活保護

生活保護とは、資産や能力などを活用してもなお生活に困窮する人に対し、その困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障し、その自立を助長することを目的とした制度です。

都道府県や市が設置する福祉事務所に対して、生活保護の相談・申請を行います。

申請にあたって必要な書類はありませんが、申請後の調査において、世帯の収入・資産などの状況がわかる資料(通帳の写しや給与明細等)の提出が求められることがあります。

支給される生活保護費の金額は、厚生労働大臣が定める基準で計算される「最低生活費」と「収入(給与等の就労収入、年金や児童扶養手当等の社会保障給付、親族による援助)」を比較し、収入が最低生活費に満たない場合に、最低生活費から収入を差し引いた差額となります。

医療費助成

母子家庭・父子家庭等の経済的負担を軽減するため、医療費の自己負担相当分の一部を都道府県と市区町村で助成する制度です。

対象から除外される者の条件や助成範囲、所得要件等は、市区町村により異なるため、事前に窓口に問い合わせて確認してください。
助成対象となる医療費は、医療保険の対象となる医療費や薬剤費等です。

国民健康保険や健康保険など各種医療保険の自己負担相当額から、自己負担分を差し引いた一部負担金額(住民税非課税世帯は、医療保険の自己負担分)を助成してもらえます。

主なものを3つご紹介いたしましたが、居住地によってはその自治体が独自で行っている支援制度もありますので、離婚後の生活で子どもを扶養することになる方には、離婚の準備を進める中で前もってご確認いただくことをおすすめいたします。

子どもの養育費を元配偶者に請求する

養育費は、子どもがいるパート主婦の離婚後の生活において、重要な収入源の一つです。

通常は離婚前に、まず夫婦間で養育費の金額や支払い方法について話し合いを行います。合意に至らない場合は、家庭裁判所に申し立てを行い、裁判所が金額や支払い方法を決定することになります。

なお、離婚協議や離婚調停などにおいて養育費の支払いについて合意しても、必ず履行してもらえるわけではありません。
養育費の支払いが滞った場合には、以下のような法的手続きによって、支払いを求めることになるでしょう。

  1. メールや内容証明郵便を使用して、養育費の支払いをお願いする内容の連絡を行います。
  2. 回答が得られない場合や、支払い及び話し合いが拒否された際には、裁判所に養育費請求のための調停を申し立てます。
  3. 調停を通じても合意に至らない場合には、裁判所へ養育費請求の審判を申し立てます。
  4. 審判により決定が出された際には、その決定に基づいて養育費の支払いを受けます。
  5. それでも養育費の支払いが遅れる場合には、裁判所に対して強制執行の申し立てを行います。

子どものいるパート主婦の離婚後の生活が、パート主婦や子どもにとって安定・安心できるものであるために、養育費はなるべく請求するようにしてください。養育費の請求に関してお悩みがあれば、弁護士にご相談ください。

パート主婦の離婚後の生活に関するQ&A

Q1.パート主婦が離婚するにあたって、離婚後の生活に向けて注意すべきポイントは何がありますか?

パート主婦が離婚する際に直面する大きな問題は、お金に関する問題です。そのため、仕事・住まい・生活費の3つのポイントについて、離婚の準備段階からしっかり検討しておくことが重要です。

Q2.パート主婦が離婚後の生活で十分な収入を得るために、考えられる対処方法や準備すべき事は何がありますか?

対処方法としては、主に次の8つの方法が考えられます。

  1. 正社員にキャリアアップする
  2. 派遣社員として働く
  3. 副業や内職をする
  4. フリーランスとして働く
  5. 在宅勤務できる仕事を探す
  6. 職業訓練を受ける
  7. 資格を取得する
  8. オンラインでの収入を得る

Q3.離婚後の生活で、子どもを扶養するために、給与収入以外で得られるものはありませんか?

給与収入以外にも、公的支援制度を活用して助成金を得たり、元配偶者に養育費を請求することが考えられます。
養育費は支払いが途絶えることも多く、請求には手間や時間を要することがあるため、弁護士にご相談いただくことをおすすめいたします。

離婚後の生活のお悩みは弁護士にお気軽にご相談ください

離婚後の生活は多くの変化を伴いますが、パート主婦の方々にとっては特に経済的な自立が大きな課題となります。

この記事では、離婚後の生活において十分な収入を得るための対処法や準備すべき事項を詳しく解説しました。

正社員への転職、派遣社員やフリーランスとしての働き方、在宅勤務やオンラインでの収入獲得、そして職業訓練の受講など、さまざまな選択肢をご紹介しました。

また、子どもの養育費の請求方法や、パート主婦をはじめとするひとり親世帯などが受けられる公的支援制度についても触れ、離婚後の経済的な基盤をしっかりと築くための基本的な知識について、弁護士が解説いたしました。

本記事の情報が、少しでもお役に立ちましたら幸いです。

収入に不安のあるパート主婦が離婚後の生活を充実させるためには、事前にしっかり検討し、十分に準備しておくことが不可欠です。
離婚後の生活に関してご不安やお悩みがありましたら、お気軽に弁護士にお問合せください。

この記事を書いた人

雫田 雄太

弁護士法人あおい法律事務所 代表弁護士

略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。3,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。

 

家庭の法律問題は、なかなか人には相談できずに、気付くと一人で抱え込んでしまうものです。当事務所は、家庭の法律問題に特化した事務所であり、高い専門的知見を活かしながら、皆様のお悩みに寄り添い、お悩みの解決をお手伝いできます。ぜひ、お一人でお悩みになる前に、当事務所へご相談ください。必ずお力になります。

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