家庭内別居のやり方とは?快適な生活のためのルールやメリットを解説
「家庭内別居」とは、夫婦が別々の生活を送りながらも、同じ家庭内で暮らし続けることを指します。
離婚しないで別居を選択する理由はさまざまですが、経済的な事情や子供のため、さらにはお互いの距離を置くことで関係を見直すためなど、それぞれの夫婦にとって大切な理由があります。
しかし、一緒に暮らし続けることで生じる問題が生じることやストレスを感じる場合も少なくありません。
そこで、この記事では、家庭内別居の意味や特徴、「仮面夫婦」との違いといった基本的知識に加え、円満で楽しい家庭内別居生活のやり方のコツやルールについても弁護士が解説させていただきます。
さらに、家庭内別居がもたらすメリットとデメリットについても、弁護士が詳しく解説していきます。
この記事が夫婦関係の修復や見直しに、少しでもご参考となりましたら幸いです。
目次
家庭内別居とはどういう意味?
それではまず、家庭内別居についての定義や特徴といった基本的知識を簡単にご説明させていただきます。また、仮面夫婦という家庭内別居に似た状態の夫婦を表す言葉もあるため、仮面夫婦の意味や家庭内別居との違いについても簡単に解説いたします。
家庭内別居の定義・特徴|「家庭内離婚」とは違うの?
家庭内別居とは、夫婦が法的には離婚せず、同じ住居内に住みながらも、実質的には別々の生活を送ることを指します。離婚届を提出していないため、法律上の配偶者としてのさまざまな権利義務を有していますが、その実際の生活においては互いに協力し合ったり扶助するようなこともなく、居所こそ同じではあるものの、夫婦としての共同生活は送っていない状態です。
なお、民法など法律上「家庭内別居」についての明確な定義や規定があるわけではありません。そして、家庭内別居は、それぞれの夫婦の状態や理由・目的に応じて異なる形を取るものであるため、その生活の中身もさまざまです。
家庭内別居をする理由
理由1.離婚や別居をすると子供に影響がある
離婚や別居は子供にとって大きな精神的な負担となることがあります。家庭内別居を選ぶことで、自身は配偶者と精神的に距離を置き、自分のペースで生活しつつ、子供の日常生活や教育環境を維持することが可能になります。
理由2.離婚に伴う手続きを避けるため
離婚には多くの法的手続きが伴います。財産分与や親権の問題、苗字の変更や引越し、名義変更など、さまざまな面で少なくない手間と時間、お金がかかります。
家庭内別居を選ぶことで、これらの手続きを回避しつつ、離婚後に夫婦が別れて生活するのに近い状態で生活を送ることが可能になります。
理由3.宗教的・文化的に離婚しづらい
一部の宗教や文化では、離婚が忌避されることがあります。家庭内別居を選ぶことで、宗教的・文化的な価値観を守りつつ、夫婦関係に一定の距離を置くことができます。
理由4.世間体が気になる
社会的な評価や周囲の目を気にする場合、離婚はネガティブなイメージを持たれることがあります。家庭内別居を選ぶことで、表向きは夫婦としての体裁を維持しつつ、実際には別々の生活を送ることが可能です。
理由5.別居生活の自由度は欲しいが離婚したくない
離婚するまでの気持ちはないが、別居生活で得られる自由度が欲しい、という場合にも家庭内別居が選ばれることがあります。離婚や別居をせずに、夫と妻がそれぞれ自分のペースで自由に生活できるという理由から家庭内別居の形で生活する夫婦もいます。
仮面夫婦との違い
さて、家庭内別居と似ている夫婦関係を表す言葉として、「仮面夫婦」というものがあります。
仮面夫婦という言葉も、法律上明確に定義されているものではありませんが、一般的には「表向きは夫婦としての体裁を保っているが、実際には夫婦関係が破綻している状態」が仮面夫婦であるとされています。簡単に言えば、夫婦という仮面をかぶって、対外的には仲の良い円満な夫婦を演じているような関係です。
社会的な評価や世間体、子供への影響などを理由に、外見上は夫婦としての関係を維持するために、離婚ではなく仮面夫婦であることを選択することが多いです。
仮面夫婦は、夫婦間の愛情や信頼関係が失われていますが、離婚せずに形式的な夫婦関係を続けている状態です。そのため、夫婦の互いの生活は別々でも、夫婦としての外見を保つことが重視されています。
したがって、仮面夫婦は、夫婦関係がすでに破綻しているが、形式的な関係を維持する状態を指します。一方で、家庭内別居は夫婦関係を改善するための一時的な選択であったり、相手に対する夫婦としての信頼感や愛情を失っていない場合もあります。
家庭内別居と仮面夫婦はその意味や内容が多少異なりますが、仮面夫婦と言われる夫婦の生活状態を見ると、家庭内別居状態であることが少なくありません。
家庭内別居をする家族の生活はどんな状態?
それでは、家庭内別居をする夫婦の具体的な生活状態について見ていきましょう。家庭内別居をする夫婦の生活状態は、一体どんな状態なのでしょうか。
部屋や食事は別、相手のご飯は作らない
家庭内別居の生活は、部屋や食事は夫婦で別々というのが一般的です。夫婦の寝室は別にし、極力顔を合わせずに生活することが多いです。
そして、家庭内別居をする夫婦は、日常生活において、各自が自分の分の家事をこなすことになります。
たとえば、食事に関しては、通常の夫婦の場合、なるべく同じ時間に揃って食事をし、一方が仕事で遅くなるような場合には他方がご飯を用意しておくことが一般的です。しかし、家庭内別居の場合はそれぞれが自分の分のご飯だけを用意しますし、食事の時間もバラバラです。
洗濯や掃除も、自分が使ったものや自分の部屋に限って行い、相手の分を担当することはありません。
こうした生活状態のため、一人暮らしに慣れていない人や、料理や洗濯などの家事が苦手な人にとっては、日常の家事をこなすだけでもストレスになるでしょう。
仕事から疲れて帰宅しても、家庭内別居ではご飯を用意しておいてもらえませんから、自分で食事を用意する必要があります。自分で料理をするか、料理が苦手であれば外食や出前に頼ることになるでしょう。
自分の洗濯物や部屋の掃除も自分で行わなければならず、これまで配偶者が担っていた家事を自分でこなす必要があります。
なお、家庭内別居をする夫婦がどんな状態か、何を目的としているかによっては、部屋と家事は別々でも食事は一緒にとっているようなケースもあるでしょう。
生活費や財産・お金の管理も別
家庭内別居の生活では、生活費や財産・お金の管理も夫婦で別々に行うことが一般的です。これは、夫婦がそれぞれ独立した生活を送ることを意味し、経済的な面でもお互いの自立性を重視するという姿勢が反映されています。
具体的には、夫婦はそれぞれ自分の収入や支出といったお金の管理を自分ですることになります。家庭内別居を始めるまでに築いた共有の財産や負債についても、事前に話し合って個々に分担することになるでしょう。
たとえば、家賃や光熱費などの共通の生活費については、事前に合意した割合で分担するか、別々に支払うことがあります。また、食事や日用品の購入にかかるお金に関しても、家庭内別居生活では各自が自分の分のみを負担することになります。
家庭内別居では、財産やお金の管理を別にし、お金の面でお互いに依存しないことで、将来的にお金の問題が生じることを防止できたり、財産やお金の管理に関するトラブルが夫婦関係のストレスにつながることを避けることができます。
また、家庭内別居の後に離婚することになった場合にも、財産やお金の管理が別々であることで、財産分与や慰謝料などのお金の計算が比較的スムーズに行えるという利点があります。
休日の過ごし方は?
財産やお金の管理、食事といった家庭内での生活スタイルだけでなく、休日の過ごし方についても、家庭内別居の夫婦は別々であることが通常です。
夫婦で旅行や買い物に行く、といったことがなくなり、個人が外出する場合にも行先や帰宅の予定を相手に告げることもないでしょう。
ただし、未成熟の子供がいる場合には、事前に夫婦間で家庭内別居中の休日の過ごし方についてのルールを決めている場合があります。
子供との時間を公平に設けるために、休日は交代で子供と過ごすことにしたり、あるいは休日だけは子供の両親として、家族全員揃って時間を過ごすこともあるでしょう。また、子供の行事や習い事に参加する際には、どちらが付き添うかを事前に決めておくこともあります。
家庭内別居中の休日の過ごし方は、夫婦の関係や家庭の状況によって異なりますが、お互いのプライバシーを尊重し、コミュニケーションを取りながら、それぞれが納得できる方法で過ごすことができるよう、さまざまな工夫が取られているようです。
円満で楽しい!という夫婦も
さて、家庭内別居はこのように、部屋や食事や財産・お金の管理まで別々になった生活です。ひとり暮らしと同じだと感じる人や、もはや家庭内別居をすることに意味があるのか?と疑問に思う人もいるかもしれません。
ですが、こうした家庭内別居の生活が楽しい、と前向きに家庭内別居生活を送っている夫婦もいます。
お金の管理や食事が別々になっているといっても、その点で夫と妻がお互い自由に生活できることで精神的に余裕ができ、家庭内別居の状態を楽しいと感じることができている場合もあるようです。
そもそも、家庭内別居は、必ずしも夫婦関係の悪化を意味するわけではありません。お互いが干渉しすぎず、程よい距離感で夫婦として生活していくために、あえて家庭内別居という形を選んだ夫婦や、関係の修復のために家庭内別居をしている夫婦もいるでしょう。
夫婦が婚姻関係の継続に前向きな場合、「家庭内別居は程よく自由で楽しい!」と感じている夫婦もいます。こうした夫婦は、家庭内別居をお互いの関係をリフレッシュする機会として捉え、それぞれの独立性を尊重しながらも、夫婦として円満な関係を築いています。
その後、家庭内別居を解消して関係修復できる?
家庭内別居をする場合、その後どうなるのかは気になるところだと思います。
家庭内別居の状態や目的も夫婦によってさまざまですし、事前に「子供が成人したら離婚する」などと最終的な着地点を決めている場合もあれば、家庭内別居のその後について特に決めていない場合もあります。
一般的に考えられる家庭内別居の行く末は、主に「離婚する」か「家庭内別居を解消して夫婦関係を修復する」のどちらかになるでしょう。
この点、家庭内別居後に離婚する夫婦と、家庭内別居を解消して夫婦関係を修復するについての割合などは統計がないため不明ですが、家庭内別居後に離婚に至るケースは少なくないと考えられます。家庭内別居で個々人の生活スタイルが長期に渡って固定化してしまうと、もはや同じ住居で生活している意味を感じなくなってしまい、気持ちが離婚に傾いてしまう可能性が高いです。
そのため、もし夫婦関係の修復を前提に家庭内別居をするのであれば、夫婦で家庭内別居中のルールを決めておくことが重要です。家庭内別居の期間を設けたり、家庭内別居の期間中もコミュニケーションを取ったり、休日は子供もまじえて家族で共に過ごすなど、関係修復を意識した生活を送るようにしましょう。
上手な家庭内別居のやり方のコツ
さて、夫婦の関係修復を図るにしても離婚するにしても、家庭内別居をするならできるだけストレスを減らし、上手な家庭内別居生活を送りたいものです。
そこで、上手な家庭内別居のやり方のコツを詳しくご説明させていただきます。
子供への影響には注意しましょう
家庭内別居を上手に行うためのコツには、いくつかの重要なポイントがあります。特に、子供がいる場合は、家庭内別居が子供に与える影響に特に注意する必要があります。
家庭内別居中、親としても子供の様子に注意をはらうでしょうが、一見して家庭内別居する前と変わらないように思えても、実際には子供が家庭内別居の影響を受けていることがあります。
両親の間で生じる緊張感や不和は、たとえ夫婦が表面上は隠そうと努めたとしても、子供には感じ取られてしまうものです。子供は、大人が思っている以上に親の表情や家庭の雰囲気に敏感であり、両親の関係に微妙な変化も感じ取ります。
家庭内別居では、夫婦は別々の部屋で過ごし、食事も一緒にとらず、日常的な会話も最小限になります。
家庭内別居で夫婦が別々の部屋で過ごす状況は、子供にとってさまざまな影響を及ぼす可能性があります。このような生活様式は、親が物理的には同じ家にいながらも、精神的には距離を置いているという状況を作り出します。これにより、家族としての一体感や絆を子供が感じる機会が減り、子供が家族の中で安心感や居場所を見失うことがあります。
特に、親の姿を日常的に見る機会が減少することで、親の存在感が薄れ、子供にとっての安定要素が失われがちになります。この結果、子供は不安定さを感じることがあり、心理的なストレスを抱えるリスクが高まります。
食事を一緒にとらないことも、子供にとって大きな影響を与える可能性があります。食事の時間は家族がコミュニケーションを取り、絆を深める重要な機会であるため、この時間が失われることで、子供は家族とのつながりを感じにくくなるかもしれません。
さらに、子供が何か相談したいことがあるときや、支援が必要な場面でも、親へ気軽に声をかけにくくなる可能性があります。親との物理的な距離感が、心理的な隔たりを生じさせ、子供が自分の悩みや心配事を内に抱え込んでしまう可能性があります。
子供の精神面に影響するだけでなく、家庭内別居は子供の養育や学習指導などにも影響を及ぼします。夫婦が家庭内別居でコミュニケーションを取らず、両親が子供の学習や生活をしっかりサポートできない状態が続く場合、子供の学習習慣や生活習慣が崩れてしまう恐れもあります。
このような状況を防ぐためには、家庭内別居をしている夫婦が、子供とのコミュニケーションを一層重視し、積極的に関わっていくことが求められます。定期的に家族で過ごす時間を設ける、子供の日常や学校生活に関心を持つ、子供の話に耳を傾けるなど、親子の絆を維持し、強化するための努力が不可欠です。
夫婦が別々の部屋で過ごすことになったとしても、子供が安心して成長できるような環境を整えることが、親としての大切な責務であると言えるでしょう。
そのため、家庭内別居を始める際には、子供への影響を最小限に抑えるための配慮が必要です。
夫婦・家族間でルールを作る
2つ目のコツは、夫婦・家族間で家庭内別居生活におけるルールを作ることです。
別居とはいえ、同じ居所で生活するわけですから、干渉するのもストレスになり、干渉しないように意識することもかえってストレスとなってしまいます。ですので、あらかじめその夫婦にとっての適切な距離感を確認しておきましょう。
たとえば、「ありがとう」「ごめんね」など、同じ家に住む相手を最低限尊重する言葉は交わした方が良いでしょう。特に子供がいる場合は、「おはよう」といった挨拶や、感謝、謝罪などの礼儀的な言葉を交わすことは、子供の養育や躾の上でも重要です。
そして、家事についてのルールも決めましょう。家庭内別居では、夫婦がそれぞれ自分の生活空間を持つため、家事の分担を明確にすることが重要です。たとえば、誰がどの日に掃除や洗濯を担当するか、食事の準備は各自で行うのか、共同で行う場合はどのように分担するかなど、具体的なルールを決めておきます。
家庭内別居生活にかかる生活費や財産の管理についても、話し合って明確にしておきましょう。それまで共通の口座から生活費を支払っていた場合は、共通の口座の取り扱いや、各自の収入をどのように管理するのか、生活費(家賃、光熱費など)はどちらが負担あるいは分担するのか、子供の養育費はお互いが折半するのか、想定される支出を書き出して整理しながら話し合うと良いでしょう。
子供、特に未成熟の子供がいる場合は、子供の養育や教育についてのルールも具体的に設定しておくことが重要です。たとえば、子供とのコミュニケーション方法や時間、親がそれぞれどのように関わるか、子供の日常生活や教育に関する責任の分担などを明確にします。
また、子供に対しては、家庭内別居が子供のせいではないことを理解させ、変わらぬ愛情を伝え続けることが大切です。これにより、子供が安心感を持ち、健やかに成長できる環境を維持することができます。
そして、家庭内別居中のプライベートな時間や空間をどのように確保するのかについても決めておきましょう。夫婦それぞれのプライベートな時間や空間を尊重するルールを設けることで、お互いのストレスを軽減することが期待できます。たとえば、家庭内別居前は寝室が同じだった場合は、家庭内別居に際してそれぞれの部屋を持ち、互いに無断で入らない、プライベートな時間には互いに干渉しない、などのルールを決めます。
目的や期間などを設定しておく
家庭内別居を始めるにあたって、明確な目的や家庭内別居の年数などを設定しておくことも重要です。
もし夫婦関係の修復を目指しているが、冷却期間として家庭内別居を始める場合、家庭内別居の期間を定めていないと、曖昧なまま家庭内別居の生活が日常化してしまい、夫婦関係を修復するどころか「今の生活なら離婚しても変わらない」と、求めた結果とは反対の結論に至ってしまう可能性もあります。
家庭内別居の目的が離婚に向けての準備期間なのか夫婦関係の修復のための期間なのか、家庭内別居の期間は長くても3年までとする、などといったことについて、しっかり夫婦で話し合って決めておくようにしましょう。
家庭内別居のメリットとデメリット
さて、こうした家庭内別居ですが、メリットもあればデメリットもあります。
以下に、家庭内別居のメリットとデメリットについて、簡単に解説させていただきたいと思います。
表面上夫婦で自由度の高い生活がメリット
家庭内別居には、さまざまなメリットがあります。
家庭内別居は、夫婦が別々の住居を借りる通常の別居に比べて、経済的な負担が軽減されるというメリットがあります。同じ家に住み続けることで、家賃や光熱費、その他の生活費を二重に負担する必要がなくなります。このため、夫婦が経済的な理由で別居を避けたい場合に、家庭内別居は有効な選択肢となります。
また、対外的に夫婦としての体裁を保ちつつ、内面的な問題に取り組むことができるというメリットもあります。社会的な観点から見れば、離婚や別居は職場や地域社会での立場に影響を及ぼす可能性があります。特に、離婚がタブー視される文化や、夫婦の絆が強調される環境では、家庭内別居は世間体を守りながら問題を解決するための有効な手段となり得ることがメリットです。
さらに、夫婦が表面上は一緒に生活していることで、職場や学校、地域社会での扱いが変わることを防げる点もメリットです。
子供がいる場合、家庭内別居は子供の心身に影響を及ぼしますが、家庭内別居が子供にとってメリットとなることもあります。
たとえば、父親と母親が同居している方が、子供にとって安定した環境を提供できる場合があります。両親が別々に暮らす場合に比べて、家庭内別居では子供が両親の両方と日常的に接する機会が多くなり、親子関係の維持に有利です。
そして、家庭内別居で夫婦関係が改善できる可能性があるというのもメリットです。
家庭内別居では、夫婦が一定の距離を保つことで、お互いのプライバシーを尊重し、日々のストレスを軽減することができます。家庭内別居を通じて、夫婦はお互いの距離を再調整し、関係を見直す機会を得ることができます。特に、一度距離を置くことで、日常生活でのストレスやイライラが減少し、冷静に問題に向き合うことが可能になることもある、というメリットもあるのです。
最大のデメリットはストレス
家庭内別居にはいくつかのデメリットがあります。まず、コミュニケーション不足により夫婦関係がさらに悪化する可能性があります。夫婦が同じ家に住んでいても、心理的な距離が広がると、互いの理解や信頼が徐々に失われ、感情的な溝が深まります。これは、問題の解決をより困難にする原因となります。
また、家庭内別居は、夫婦の一方または双方が浮気や不倫に走りやすくなる環境を提供することがあります。夫婦がお互いに距離を置くことで、結婚生活への責任感が弱まり、外部からの誘惑に対する抵抗力が低下するためです。これにより、夫婦関係がさらに複雑化し、修復が難しくなる可能性があります。
子供への影響も無視できません。家庭内別居中の両親の関係が不安定であることや、家庭の雰囲気が変わることで、子供は混乱や心理的なストレスを感じることがあります。これは、子供の行動や学業成績に悪影響を及ぼし、長期的に心理的な影響を与える可能性があります。
さらに、家庭内別居中は、新しい恋愛や再婚が難しくなるというデメリットもあります。法的にはまだ結婚している状態であるため、新たなパートナーとの関係を築くことが複雑になり、感情的な葛藤や法的な問題を引き起こす可能性があります。
最後に、家庭内別居自体がストレスの原因となることがあります。夫婦が同じ空間にいながらも別々の生活を送ることは、精神的な負担となり、家庭内の緊張を高めます。このストレスは、健康問題や精神的な不調を引き起こす可能性があります。
これらのデメリットを理解し、家庭内別居を検討する際には、夫婦でしっかりと話し合い、慎重に判断することが重要です。
Q&A
Q1.夫婦が離婚や別居ではなく、家庭内別居を選ぶ理由は何が考えられますか?
離婚や別居ではなく、家庭内別居を選択することには、一般的に次のような理由があります。
- 離婚や別居をすると子供に影響がある
- 離婚に伴う手続きを避けるため
- 宗教的・文化的に離婚しづらい
- 世間体が気になる
- 別居生活の自由度は欲しいが離婚したくない
Q2.家庭内別居のメリットは何ですか?
家庭内別居には、経済的な負担の軽減、社会的な体裁の維持、子供に安定した環境を提供できること、夫婦関係の改善の可能性など、さまざまなメリットがあります。同じ家に住み続けることで、家賃や光熱費の二重負担がなく、社会的な立場を守りつつ内面的な問題に取り組めます。また、子供が両親と日常的に接する機会が増え、親子関係を維持しやすくなります。夫婦は一定の距離を保つことで、ストレスを軽減し、関係の見直しや改善につながる可能性があります。
Q3.家庭内別居のデメリットについて教えてください。
家庭内別居のデメリットには、夫婦関係のさらなる悪化、浮気や不倫のリスク増加、子供への負の影響、新しい恋愛や再婚の困難さ、そして生じるストレスなどがあります。
夫婦が同じ家にいても心理的距離が拡大すると、相互の理解や信頼が損なわれ、子供は家庭の不安定さによる混乱やストレスを感じる可能性があります。さらに、結婚生活の責任感の低下や外部からの誘惑により、夫婦関係が複雑化する恐れがあり、家庭内別居が精神的負担となって家庭内の緊張が高まる、などのデメリットがあります。
当法律事務所の弁護士にご相談ください
この記事では、家庭内別居について弁護士が詳しく解説させていただきました。
家庭内別居についての基本的知識に加え、家庭内別居を解消して夫婦関係を修復する際のポイントや、家庭内別居のメリット・デメリットなどについてもご説明いたしました。
家庭内別居は、経済的な負担を軽減し、社会的な体裁を保ち、子供に安定した環境を提供するなどのメリットがあります。しかし、コミュニケーション不足による夫婦関係の悪化、浮気や不倫のリスク、子供への負の影響、新たな恋愛や再婚の困難さ、そして家庭内のストレスなど、さまざまなデメリットも存在します。
家庭内別居を検討する際には、こうしたメリットとデメリットを十分に考慮し、夫婦でしっかりと話し合い、場合によっては専門家の助言を求めることが重要です。
当法律事務所の弁護士は、こうした家庭内別居や一般的な別居、離婚問題について、幅広い内容のご相談をお受けしております。
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この記事を書いた人
雫田 雄太
弁護士法人あおい法律事務所 代表弁護士
略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。3,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。
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