モラハラ妻が原因でうつ病になった夫が離婚するには?弁護士が解説
言葉や態度によって相手の精神を傷つける精神的虐待行為のことを「モラハラ」といいます。その加害者は、男性だけではありません。
妻からのモラハラに悩みを持たれている男性の方もいらっしゃるでしょう。
家庭内においては、夫から妻に対するモラハラだけではなく、妻から夫に対してもモラハラが行われます。
しかし、「男がモラハラされてうつ病になったなんて恥ずかしいし、言っても信じてもらえないんじゃないか。」「妻の言葉や態度がキツいと感じるけれど、これがモラハラなのかわからない。」「自分にも悪いところがあるのかもしれない。」と、モラハラ妻についての悩みを相談できない男性は少なくありません。
ですが、人格を否定する暴言などが日常的となっている中で生活することは、精神的に大きな負担です。
このような場合、夫側に非はなく、どちらかというと忍耐力や責任感が強い、前向きで包容力のあるタイプの方が逃げ出さずに被害をひたすら受け止めてしまい、妻のモラハラが長期化・深刻化していることが少なくありません。
妻のモラハラが深刻化すると、モラハラ被害を受けている夫がうつ病になってしまうケースもあり、夫婦関係がそのような状態ですと、子供への影響も懸念されます。
この記事では、モラハラ妻によってうつ病になった場合に、モラハラ妻とうつ病を理由に離婚できるのか、その方法やポイントについて弁護士が解説いたします。また、モラハラ妻との関係を修復するために取り得る対処方法についてもご説明させていただきます。
目次
モラハラ行為が原因でうつ病や精神病になることはあるの?
モラハラ妻に疲れた夫が離婚するケースが増えている?
近年、モラハラ妻の行為や態度に疲れた夫が、モラハラ妻を理由に離婚するケースが増えています。
モラハラとは、モラル・ハラスメントの略語です。倫理や道徳に反した嫌がらせ、という意味になり、「精神的な虐待」と解釈されています。
夫婦関係の中では、夫が話しかけても無視される、妻が収入を軽視して侮辱する、睨む、無言で不機嫌にふるまうなどの行動がモラハラにあたります。
ところで、モラハラというと、セクハラやパワハラのように、「モラハラ行為をするのは男性」というイメージを持たれがちです。そのため、夫婦間におけるモラハラも、夫が妻に対して行うもの、という印象が一般的かと思います。
ですが、妻から夫に対するモラハラは表面化しにくいだけで、実際は妻から夫に対するモラハラは少なくないと考えられています。そのため、モラハラ妻に疲れたと感じた夫が、モラハラ妻の言動を原因として離婚を請求するケースも増えてきているのです。
たとえば、裁判所が公開している「令和4年 司法統計年報(家事編)」によれば、夫が離婚調停を申し立てた動機として、モラハラ(精神的に虐待する)は2番目に多い結果となっています。
順位 |
申立ての動機 |
申立人数 |
1 |
性格が合わない |
9,127 |
2 |
精神的に虐待する |
3,234 |
3 |
その他 |
3,223 |
4 |
家族親族と折り合いが悪い |
1,849 |
5 |
異性関係 |
1,779 |
参照:令和4年 司法統計年報(家事編)・第19表 婚姻関係事件数(裁判所)
この申立人数は、あくまで離婚方法が離婚調停による場合に限られるため、協議離婚を含めるとさらに増えるでしょう。
つまり、それだけモラハラ妻に悩んでいる夫は多く、モラハラ妻と結婚生活を続けていくことに疲れたと感じた夫が、モラハラ妻を理由に離婚するケースは少なくないのです。
モラハラ妻の行為の特徴とうつ病
モラハラ妻の行為の特徴
上記の通り、男性の離婚理由としても多いモラハラですが、家庭内のモラハラは外部に露呈しづらく、当事者もモラハラをしている・されている自覚がないことが多いと言われています。そのため、まず夫はモラハラ被害を受けていることを認識することが必要です。
モラハラ妻の言動には次のような特徴があります。以下の特徴に当てはまるものがあったら、自分の妻がモラハラ妻である可能性があります。
- 夫に対して支配的で、夫の行動や考えを自分の意のままにコントロールしようとする。
- 自分の意見が正しいのだと言って、夫の意見や行動を頻繁に批判・否定し、夫の自尊心を傷つける。
- 夫を無視し続けたり、冷たい態度を取ったり、罵倒・脅迫など、態度や言葉による虐待を行う。
- 夫の交友関係を妨げたり、過度な束縛を行ったりして、孤立させようとする。
- 言動に一貫性がなく、夫を混乱させるような矛盾した言動をする。
- 問題が起こると、常に夫のせいにし、自分の行動に対する責任を取らない。
- 夫が自分の思い通りの行動をしないと怒る。
- 話し合うことを拒否し、夫の意見を聞かずに、一方的に自分の意見だけを言う。
- 夫の小遣いを極端に制限して、自分は自由にお金を使っている。
- 夫の行動を逐一観察し、細かいことでいちいち文句を言う。
- 何時間も夫に対して説教をし、深夜にわたり寝かせない。
そして、このようなモラハラ妻との関係に悩む夫の中には、モラハラ妻の行為によって多大なストレスを受けたことで、うつ病などの精神疾患を発症してしまうケースもあります。
「うつ病」とは
うつ病とは、気分が強く落ち込み憂うつになったり、睡眠障害や疲労感、食欲不振や自己肯定感の低下といった、精神的にも身体的にもさまざまな症状が現れる気分障害の一種です。
症状が重い場合には、自殺念慮や自殺企図が見られることもあるため、「うつ病は気分が落ち込む精神病」などとと軽々しく流してはいけません。妻からのモラハラが原因で、うつ病の症状が出た場合には、すぐに精神科を受診しましょう。
軽度のうつ病であれば、数ヶ月から1年程度で症状が改善するとも言われています。その一方で、うつ病は長期化すると症状も重くなっていきます。深く落ち込んで憂うつで気分が晴れない状態の「抑うつ」状態と、極端に調子が良くなり活発的な状態になる「躁(そう)」状態を繰り返す、「双極性障害」に発展することもあります。
そんなうつ病ですが、はっきりとした原因は解明されていません。一般的には、ストレス、遺伝的要素、脳内の神経伝達物質のバランスの乱れなど、さまざまな原因が絡み合って発症すると考えられています。
夫婦関係においては、対して日常的に暴言を吐かれたり、長期間にわたってモラハラ妻から無視されたりする行為によって、夫が日常的に継続して多大なストレスを受け続けることになり、そのモラハラ妻を原因とするストレスの結果、夫がうつ病を発症する場合が少なくないのです。
子供への影響も懸念されます
モラハラ妻によって影響を受け、うつ病などの症状を発症するのは夫だけではありません。モラハラ妻の行為によって、夫がうつ病になるだけでなく、夫婦の子供への影響も懸念されるのです。
子供たちは、両親間の言動を見聞きしています。親の方は、モラハラ行為を子供には知られていないと思っていても、子供はわかっていることが多いです。
そのため、モラハラ妻とうつ病の夫が日常的に不仲だと、そんな家庭環境で育った子供は、さまざまな影響を受ける可能性があります。モラハラ妻とうつ病の夫の仲が常に緊張状態にあると、子供も委縮してしまいます。
また、常に親の顔色をうかがうようになりかねません。たとえば、モラハラ妻がうつ病の夫について「役立たず」などと罵倒する光景を直接目にした子供は、モラハラ妻に逆らわないようにと自分の意思を抑えるようになり、子供もモラハラ妻の態度にならって、うつ病の夫を馬鹿にしたり無視をするようになってしまうことがあります。
このような環境では、子供は不安や恐怖を感じ、情緒が不安定になりやすくなってしまうでしょう。
モラハラ妻の批判的な態度やうつ病の夫の消極的な姿勢を見て育つことで、子供の自己肯定感も減少してしまいます。子供は、「自分に責任があるのではないか。」、「自分には起きていることを止められない。」などと感じてしまい、罪悪感、無力感に苛まれ、健全な自尊心を育めないこともあるのです。モラハラ妻とうつ病の夫の不健全なコミュニケーションを見て育つことで、子供は他人との関係構築について適切ではない方法を学んでしまい、将来的に対人関係に問題を抱えてしまうこともあります。
また、子供にとって安全な場所であるはずの家庭に安心できる居場所がない、起きている出来事の理由も分からず自分が悪いと思い込むといったことから、子供が、ADHD類似の行動をし始める場合もあります。たとえば、落ち着きがない、規律を守れない、他の子に暴言を言ったり暴力を振るう等の症状が出ることもあります。
さらに、家庭内のストレスが子供の学業にも影響を及ぼし、集中力の欠如や学業成績の低下につながることがあります。
モラハラ妻とうつ病の夫の関係性から生じるストレスは、子供の精神面だけでなく、子供の身体や健康にも悪影響を及ぼし、睡眠障害や食欲不振、免疫力の低下などを引き起こすことがあります。
特に、長期的にモラハラやうつ病の影響を受けることで、子供が将来的に不安障害、うつ病、ストレス関連の疾患などの精神疾患を発症するリスクが高まってしまいます。
子供が健全な発達を遂げるためには、モラハラ妻とうつ病の夫が適切な対処法を見つけ、子供が安心して成長できる環境を整えることが重要なのです。
妻のモラハラを理由に離婚して夫婦関係を解消したい場合
モラハラ妻によるストレスからうつ病になった場合に、離婚して夫婦関係を解消したいと考える人もいるでしょう。
この点、モラハラ妻と離婚したい場合は、離婚する方法によっては次のような法的問題が生じることになります。
まずは、一般的に考えられる3つの離婚方法について、簡単にご説明させていただきます。
モラハラ妻とうつ病の夫が離婚するための3つの方法
モラハラ妻と離婚して夫婦関係を解消したいと思った場合、離婚するには主に3つの方法があります。それが、協議離婚、離婚調停、離婚裁判です。
1.協議離婚
離婚する方法として最も多いものは協議離婚です。モラハラ妻の行為が理由で離婚したい場合に、まずは夫婦で妻のモラハラや離婚の問題についてきちんと話し合うことになります。協議離婚であれば、夫婦双方が離婚することに合意していれば、モラハラ妻の行為が理由の場合でも離婚することは可能です。
このとき、夫婦に子供がいる場合は、離婚のほかに、親権者や養育費についても話し合いましょう。どちらが親権を獲得するかは、重要な問題ですので、慎重に話し合って決める必要があります。もし、モラハラ妻が親権を求める場合には、妻のモラハラの症状を踏まえて、妻のモラハラがあっても本当に育児をすることができるのか、妻のモラハラによって子供に影響が出ないかなど、慎重に検討する必要があります。
うつ病の夫が親権を獲得する場合、うつ病の症状の軽重や治療の予定・治る見込みがあるのか、うつ病の治療をしながら子供を養育できるのかなど、モラハラ妻との離婚後の生活について十分に検討する必要があります。
モラハラ妻との話し合いがまとまらない場合は、共通の知人や家族などの第三者に同席してもらう方法もあります。しかし、離婚や親権について、夫婦の双方が納得しない場合には、協議による離婚は難しいでしょう。
協議離婚でモラハラ妻と離婚できなかった場合は、離婚調停を申し立てることを検討することになります。
2.離婚調停
協議離婚で離婚できなかった場合は、家庭裁判所の離婚調停手続を申し立てます。
離婚調停の場合も、協議離婚と同じように離婚理由については問われないため、離婚調停が成立しさえすれば、モラハラ妻の行為を理由に離婚して夫婦関係を解消することが可能です。
離婚調停では、離婚する・しないことのほか、子供の親権や養育費、面会交流、離婚財産分与、慰謝料などについても話し合います。
離婚調停で離婚する場合のメリットは、家庭裁判所で調停委員が夫婦の間に入って話し合いを進めていくため、うつ病の夫とモラハラ妻が直接対面して話し合いをせずにすむことです。
モラハラ妻との離婚の話し合いは、うつ病の夫にとっては多大なストレスになることが想定されます。また、モラハラ妻は自分の行為がモラハラであると自覚していない場合があるため、離婚理由がモラハラであることを認めず、離婚することにも強く反対してくるかもしれません。
こうした時に、離婚調停ではモラハラ妻と直接顔を合わせる必要がないため、協議離婚よりもスムーズにモラハラ妻との離婚手続きを進めていける可能性が高いのです。
なお、離婚調停においてうつ病の夫が有利な主張を行うためには、モラハラ妻によってどういった加害行為を受けたのか、どのような経緯でうつ病になったのか、など夫婦の状況を正しく裁判所に伝えて、必要な証拠を提出する必要があります。
証拠収集や主張の整理には、ある程度の法律の知識も重要です。離婚調停の方法によってモラハラ妻と離婚することを検討している場合は、弁護士にご依頼されることをおすすめいたします。
3.離婚裁判
離婚調停が不成立になり、それでもモラハラ妻と離婚をしたいと考える場合は、家庭裁判所に対して離婚裁判を提起します。
離婚裁判は、協議離婚や離婚調停とは異なり、夫婦間で合意が得られない場合に最終的に利用される方法です。
離婚裁判は、調停が不成立となった場合に離婚を求める手段です。裁判離婚では、夫婦の話し合いは行われず、財産分与や子供の親権、養育費などの離婚条件を裁判所が決定することになります。
この離婚裁判による離婚方法は、協議離婚や調停離婚に比べると時間と費用がかかり、手続きも複雑です。
また、裁判離婚においては、民法に定められた離婚理由が認められる場合にのみ、離婚することが認められます。
モラハラ妻とうつ病の夫が離婚するためには、この民法に定められた離婚理由(法定離婚事由)が問題になります。
妻のモラハラでうつ病の夫が離婚したい場合に生じる法的問題
前述しました通り、離婚裁判において離婚が認められるためには、民法に規定された「法定離婚事由」があることが必要です。
法定離婚事由とは、民法第770条1項に定められた離婚理由です。
(裁判上の離婚)
民法第770条1項 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
1.配偶者に不貞な行為があったとき。
2.配偶者から悪意で遺棄されたとき。
3.配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
4.配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
5.その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
たとえば、民法第770条1項1号の「配偶者に不貞な行為があったとき。」とは、配偶者の浮気や不倫といった不貞行為のことを意味しています。不貞行為は、夫婦・婚約・内縁関係にある男女のどちらか一方が、他方以外の異性と自由意志で肉体関係を持つこと(貞操義務違反)です。
また、民法第770条1項2号の「配偶者から悪意で遺棄されたとき。」とは、「悪意の遺棄」のことをいいます。
「悪意」とは、夫婦関係が破綻することを分かっている、意図していることで、「遺棄」とは正当な理由なく民法752条の同居義務(一緒に住む)・協力義務(協力し合う)・扶助義務(助け合う)を怠ることをいいます。
つまり、「夫婦関係が破綻すると分かっていながら、夫婦として同居して協力して生活する義務を果たさないこと」が悪意の遺棄という法定離婚事由なのです。
「妻のモラハラ」は法定離婚事由に該当するか
不貞行為や悪意の遺棄、あるいは3年以上の生死不明(民法第770条1項3号)といった、法定離婚事由に該当する明確な離婚理由が存在する場合は、離婚裁判で離婚が認められる可能性が高いです。一方で、ご覧の通り、「妻のモラハラ」は民法第770条1項に明記されていません。
それではモラハラ妻とは、離婚協議や離婚調停以外では離婚できないのか、というと、離婚裁判でもモラハラ妻と離婚できる可能性はあります。
モラハラ妻によってうつ病の夫が受けた行為が、民法第770条1項5号「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。」に該当すると裁判所に認めてもらえた場合は、離婚裁判でモラハラ妻と離婚できるでしょう。
そして、離婚裁判でモラハラ妻のモラハラ行為を理由に離婚を認めてもらうためには、家庭裁判所に対してモラハラ妻のモラハラ行為があったことを証明できる具体的な証拠が重要になってきます。
具体的には、以下のような証拠が必要です。
- モラハラの具体的な内容や日付、時間、状況を記録した日記やメモ。
- モラハラ妻の言動を録音・録画したデータ。
- モラハラ発言を含むメールやSNSのメッセージのやりとりの記録。
- モラハラ行為を目撃した家族、友人、近隣住民などの証言。
- モラハラ妻の行為による精神的な影響を示すカウンセリングや心療内科の診断書、治療記録。
なお、モラハラ妻やモラハラ夫と離婚する場合の手続きや注意点については、こちらの関連記事もぜひご一読ください。
うつ病の夫からの離婚請求は認められる可能性が高い
なお、モラハラ妻の行為によって、夫がうつ病になってしまった場合は、民法第770条1項5号「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。」に該当すると認められる可能性が高いです。
この場合にも、モラハラ妻によるモラハラの行為があったことを示す証拠と、うつ病を発症したことを示す証拠資料を揃えておくことが重要です。
モラハラ妻との夫婦関係を改善したい場合の対処方法
モラハラ妻の行為によって夫がうつ病になった場合でも、全ての夫婦が離婚に至るとは限りません。中には、モラハラ妻とうつ病の夫がそれぞれ適切なカウンセリングや治療を受け、症状を改善し、夫婦関係を改善してやり直すケースもあるでしょう。
そこで、モラハラ妻との夫婦関係を改善したい場合は、次のような対処方法を取ることが考えられます。
夫婦でカウンセリングを受ける
モラハラ妻への対処方法として、夫婦でカウンセリングを受けることが有効です。心療内科や専門のカウンセリング機関では、モラハラ問題に対応するための支援を提供しています。特に、最近ではモラハラを専門とするカウンセラーが増えており、家庭内や夫婦間でのモラハラ問題への認識が高まっています。
夫婦カウンセリングでは、夫と妻の両方がカウンセラーのもとでカウンセリングを受けます。これには、夫婦それぞれから個別に話を聞く方法や、夫婦一緒にカウンセラーと三人で話し合う方法が含まれます。このような夫婦カウンセリングは、お互いの課題や問題点を共有し、理解し合う機会を提供します。また、コミュニケーションの改善や解決策の模索に役立ちます。
カウンセラーによっては、初回相談の前に無料で体験カウンセリングを提供している場合もあります。また、対面だけでなく、メールやビデオ通話などのオンライン相談、さらには匿名でのチャット相談も可能な場合があります。これにより、気軽に相談を始めることができ、時間や場所の制約を受けにくくなります。
夫婦でカウンセリングを受けることは、モラハラ妻との関係を改善し、健全な夫婦関係を築くための一歩となるでしょう。互いの理解を深め、問題解決に向けた具体的な計画を立てることが可能です。
話し合いをしてみる
モラハラ妻と離婚せずに夫婦関係を改善したい場合、安全が確保されている状況であれば、話し合いを試みることもひとつの方法です。
モラハラ妻は基本的に強気ですので、夫は、離婚したい理由をしっかりと伝える必要があります。ですが、話し合いとなると、妻が怒って暴言を吐いたり、夫にとって不利な条件を提示されたりするおそれもあります。
そこで、話し合いの際には、落ち着いて話し合いのできる半個室のあるカフェなどで行うか、信頼できる第三者を同席させることで、安全性を高めることができます。
そして、モラハラ妻との話し合いの際には、一方的にモラハラ妻を非難することはやめましょう。モラハラは、加害者であるモラハラ妻にのみ原因があるとは限りません。夫の妻に対する関わり方などによっても、モラハラが悪化してしまう場合があります。
その上で、双方が納得できる解決策を模索し、関係改善に向けた具体的なステップを踏んでいくことが重要です。
このモラハラ妻との話し合いと並行して、カウンセリングを受けることも検討しましょう。
別居してうつ病の症状を改善させる
モラハラ妻からの加害行為を受けないように、モラハラ妻との同居生活を解消し、別居することで物理的に距離を置いてみることも検討してみましょう。
別居によって、お互いの感情を落ち着かせる時間を確保し、冷静に状況を見直す機会を持つことができます。
また、別居は、モラハラの影響から一時的に逃れることができるため、精神的な回復にもつながります。別居によって、ストレスの原因となっている環境やモラハラ妻から離れることができます。新しい生活環境は気分をリフレッシュさせ、精神的な負担の軽減につながるでしょう。
そして、この別居期間中に、うつ病の治療も進めると良いでしょう。うつ病の治療は、主に次の4つのアプローチで行われます。
- ストレスから離れてゆっくりと休むことで、心と体の回復を目指します(休養)。
- ストレスを引き起こす環境を改善し、リラックスできる空間を作ります(環境調整)。
- 抗うつ薬を使って、脳の化学物質のバランスを整えて気分を安定させます(薬物治療)。
- カウンセリングやセラピーを受けて、ストレスに対処する方法や問題を解決する技術を学びます(精神療法)。
うつ病の症状を改善できれば、うつ病を発症する前のように日常生活を送れるようになり、モラハラ妻との関係についても、落ち着いて考えられるようになるでしょう。
そして、別居期間中は、お互いに自分自身を見つめ直し、関係改善に向けた意欲や方法を考えることが重要です。この期間に夫婦カウンセリングや個別の心理カウンセリングを受けることで、問題解決のための具体的な手段や自己理解を深めることができます。
別居を決断する際には、経済的な面や生活環境の変化も考慮する必要があります。
別居に伴う費用や新しい住居の手配、日常生活の再構築について、事前に計画を立てておくことが大切です。また、子供がいる場合は、子供の心のケアや生活環境の安定についても考えることが重要です。
Q&A
Q1.うつ病とはどういう病気ですか?
うつ病とは、気分が強く落ち込み憂うつになったり、睡眠障害や疲労感、食欲不振や自己肯定感の低下といった、精神的にも身体的にもさまざまな症状が現れる気分障害の一種です。
うつ病の症状が深刻化すると、深く落ち込んで憂うつで気分が晴れない状態の「抑うつ」状態と、極端に調子が良くなり活発的な状態になる「躁(そう)」状態を繰り返す、「双極性障害」に発展することもあります。
うつ病のはっきりとした原因は解明されていませんが、一般的には、ストレス、遺伝的要素、脳内の神経伝達物質のバランスの乱れなど、さまざまな原因が絡み合って発症すると考えられています。
Q2.モラハラ妻と離婚したい場合はどういった方法が考えられますか?
モラハラ妻との離婚を考えた場合、主に協議離婚、離婚調停、離婚裁判の3つの方法があります。
協議離婚は夫婦双方の合意があれば可能で、子供の親権や養育費についても話し合います。
離婚調停は協議離婚が成立しない場合に家庭裁判所で行い、調停委員が間に入って話し合いを進めます。
離婚裁判は調停が不成立の場合に提起し、裁判所が離婚条件を決定します。
どの方法も法的な知識が必要なため、弁護士へご相談いただくことをおすすめいたします。
Q3.モラハラ妻との夫婦関係を改善させたいです。どういった対処方法がありますか?
モラハラ妻との夫婦関係を改善させたい場合、安全が確保されている状況であれば、落ち着いて話し合いを試みることが大切です。お互いの感情や問題点を率直に伝え合い、理解し合うことが重要です。
また、夫婦カウンセリングを受けることで、専門家のサポートを受けながら関係改善に向けて努力することも効果的です。
別居が可能な場合は物理的にモラハラ妻と距離を置き、別居期間中にうつ病の治療を進めるのも良いでしょう。
モラハラ妻に関するお悩みは弁護士にご相談ください
パートナーからのモラハラは、心に深い傷を残すことがあります。モラハラ妻の行為によって多大なストレスを受けることで、夫がうつ病になってしまうこともあります。
このような状況にある場合は、一人で抱え込まず、第三者に相談して適切な支援を求めることが重要です。
うつ病の治療やモラハラ妻とのカウンセリングについては、医療機関やカウンセラーに相談しましょう。
そして、モラハラ妻との話し合いや、離婚手続きを進めたい場合には、法律の専門家である弁護士にご相談ください。
弁護士は、モラハラを理由とした離婚手続きに関して、豊富な法的知識を持っています。当事者同士の話し合いでは、モラハラ妻が感情的になってしまい、冷静に話し合うことはなかなか難しいです。また、うつ病を発症している場合、一人ではなかなか思うように離婚手続きを進めていけないことかと思います。代理人として交渉や調停・裁判の手続きを行える弁護士に依頼することをご検討していただければと思います。
当法律事務所では、初回の法律相談を無料とさせていただいております。電話やホームページからの予約が可能ですので、まずは初回相談をご予約ください。
この記事を書いた人
雫田 雄太
弁護士法人あおい法律事務所 代表弁護士
略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。3,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。
家庭の法律問題は、なかなか人には相談できずに、気付くと一人で抱え込んでしまうものです。当事務所は、家庭の法律問題に特化した事務所であり、高い専門的知見を活かしながら、皆様のお悩みに寄り添い、お悩みの解決をお手伝いできます。ぜひ、お一人でお悩みになる前に、当事務所へご相談ください。必ずお力になります。