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マザコン夫の特徴とは?母親に依存する原因や離婚する方法を解説

監修者:弁護士法人あおい法律事務所

代表弁護士 雫田雄太

略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。
3,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。

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結婚前は、夫がマザコンであることに気づかなかったが、結婚してみたら夫がマザコンだったことがわかり、夫との向き合い方や義母との関係に悩み、結婚したことを後悔する妻は少なくありません。

「マザコンの夫とはやっていけない」と離婚を考える妻もいれば、「マザコンなこと以外は問題がないので、できれば上手く付き合っていきたい」と思う妻もいるでしょう。

また、夫の言動に対して「もしかしてマザコンなのかな・・・」と考え、夫の行動がマザコンなのかどうか知りたいと思う妻もいるでしょう。

そこで、この記事ではマザコンの夫にはどういった特徴が見られるのかを詳しく解説するとともに、そんなマザコンの夫と離婚するにはどうしたら良いのか、夫婦関係を続けていくための対処法はあるのか、といったことについても弁護士が詳しく解説させていただきます。

マザコンの夫との関係を見直し、良好な結婚生活を過ごしたいと思っている方や、離婚を検討している方にとって、この記事の情報が少しでもお役に立てましたら幸いです。

目次

マザコン夫の特徴と原因とは

マザコンの夫と関係を改善したいのか、それとも離婚したいのかを考える前に、マザコンの夫に見られる特徴について具体的に見ていきましょう。

「自分の旦那がマザコンで・・・」と思っている場合でも、実はマザコンではなく単に母親思いの旦那だっだという場合や、反対に母親思いで良い旦那だと思っていたのに旦那がマザコンだった、という場合もあります。

まずはマザコンの特徴を正しく理解し、「自分の旦那は本当にマザコンなのだろうか?」と冷静に夫の言動と照らし合わせてみましょう。

母親に依存し妻子を軽く扱いがち・・・こんな旦那はマザコン?

 

母親に依存し妻子を軽く扱いがち・・・こんな旦那はマザコン?

 

「自分の旦那がマザコンなのかもしれない」と疑ったとき、まずは夫に次のような特徴が見られるか、夫の言動をよく観察してみてください。マザコンの夫には、母親に依存して妻子を軽く扱いがちな傾向があります。そして、そうした傾向は次のようにあらわれます。

以下の特徴に当てはまるものが多ければ多いほど、夫がマザコンの可能性が高いです。

1.些細な出来事でも全て母親に共有する

マザコンの夫には、日常での些細な出来事も全て母親に共有しようとする傾向があります。

たとえば、会社での出来事や友人とのやり取り、妻との小さな言い争いや、その日妻が用意した食事についてなど、通常は人に話さないような日常生活の小さな事でも、母親に共有しようとします。

そのため、母親と別居していれば毎日のように電話やメッセージアプリなどで連絡を取り、週末には実家に帰って母親に直接報告することが多いです。

妻や子供からしてみれば、義母に共有してほしくない事まで共有されてしまいますし、連絡を取ったり実家に帰ったりする時間を、もっと妻子のために使ってほしい、と思うことでしょう。

 

たとえば、日常の些細なことで夫婦喧嘩になったケースで考えてみましょう。

このような場合に、夫が、夫の母親に「妻と家事の分担について言い合いになった。俺は仕事で疲れているのに、妻は全然わかってない。喧嘩になって、お互い口を利いてないけど、妻が悪いよね?俺は謝りたくない。」などとメッセージをしていたら、マザコンである可能性は高いでしょう。

通常であれば、夫婦の日常における些細なケンカを母親に逐一共有はしないことが多いので、このようなメッセージを送っている場合には、夫がマザコンである可能性があるといえます。

妻としても、夫婦の日常の些細なケンカを逐一義母に知られることは避けたいでしょうから、夫婦の問題は夫婦だけで解決したいと思うでしょう。

 

 

h2.母親と妻を比較する

マザコンの夫は、母親と妻を比較することも少なくありません。

たとえば、料理や掃除、子育ての方法など、日常生活の様々な場面で「俺の母はこうしていた」「母の料理はもっと美味しかった」などと言及し、妻の行動や意見を母親のそれと比べるのです。

モラハラ気味の夫は、妻を傷つけようとしてこういった言動を取ることがありますが、マザコンの夫は妻を傷つけようとしてこうした発言をするのではなく、「母親のやり方が正しいから、妻に教えてあげている」といった、無意識からの比較なのです。

そのため、こうした言動を取ることで妻を傷つけているという認識がなく、義母と比較されるのを嫌がる妻の気持ちが理解できていないことが多いです。

 

たとえば、夫が、妻の用意した食事の内容が気に入らなかったケースで考えてみましょう。

このような場合に、夫が、夫の母親に「今日の夕食のメニューがカレーだった。俺は、もっと手の込んだメニューが食べたいと思っているのに、妻は簡単なものしか作ってくれない。母さんの作ってくれたご飯はいつも手が込んでいて、美味しかったのに。」などとメッセージをしていたら、マザコンである可能性があります。

 

 

3.何事においても妻子より母親を優先する

マザコンの夫は、妻子との約束よりも母親の要望を優先することがあります。

たとえば、妻子と週末にキャンプに行くという先約があったにもかかわらず、義母から「実家に来て買い物を手伝ってほしい」と言われると、夫はそれに応じてしまうことがあります。

義母の買い物は急ぎではなく、義母自身が「今週がダメなら来週でも良い」と言ったとしても、マザコンの夫は母親の役に立って認められたいという心理的欲求を満たすため、妻子との約束を反故にし、母親の要望を優先させてしまうのです。

このような行動は、妻子との信頼関係を破綻させる要因になってしまいます。

義母との予定が、緊急かつ重要な予定の場合には、妻子の予定よりも義母との予定を優先しただけでマザコンと断定することはできません。ですが、特に理由がないのに、先に約束していた妻子の予定を当日キャンセルして、義母との予定を優先するような場合には、夫がマザコンである可能性は高いでしょう。

4.母親の意見や考えを絶対的なものと思っている

マザコンの夫は、母親の意見や考えを絶対的なものと思っているため、常に母親の意見を最優先し、それに従う傾向があります。

結婚生活における夫婦間の意見の相違、家庭内の問題や子育ての方針の違いなど、あらゆる状況で母親の考えを優先し、それを正しいと信じて疑わないのです。

こうした夫の態度は、妻に「旦那が私の意見や気持ちを尊重してくれない」「夫婦で話し合いたいのに、義母の意見で旦那が全てを決めてしまう」と感じさせることになり、夫婦間の不和の原因となってしまいます。

マザコンの夫が母親の意見を絶対視することで、妻は自身の立場が軽視されていると感じ、夫婦関係に亀裂が生じる可能性があるのです。

 

たとえば、赤ちゃんを妊娠して、もうすぐ出産を迎えるというケースで考えてみましょう。

妻としては、赤ちゃんが生まれてくる前に、夫婦で話し合って、赤ちゃんの名前や漢字を決めたいと考えているとします。

しかし、夫が、「母が、子供の名前は、○○か●●が良いと言っている。俺も母親に意見に賛成だから、子供の名前はこのどちらかにしよう。」と妻に言ってきたとします。

このような場合に、妻が、「私は、義母さんの意見とは違って、☆☆という名前にしたいと思っている。義母さんの意見を参考にするのは良いけど、夫婦で話し合って、最終的には夫婦で子供の名前を決めたい。」と夫に伝えたとします。

それでも、夫が、妻の意見を聞き入れず、「母が言うんだから、従おうよ。そうしないと、母に悪いよ。子供の名前は、○○か●●にする。」と母親の意見にこだわるような場合には、マザコンである可能性があるでしょう。

 

 

5.母親の価値観や生活様式を無意識に自分のものとして取り入れている

マザコンの夫は、母親の価値観や生活様式を無意識に自分のものとして取り入れていることがあります。

母親の料理の味付けや家事の進め方、人との関わり方など、幼少期から見てきた母親のやり方をそのまま自分のものとして受け入れ、妻との結婚生活でもそれを基準として過ごすのです。

このように、母親から受け継いだ生活習慣や価値観を無意識のうちに優先させると、夫婦生活に悪い影響を及ぼしかねません。

6.生活習慣の変化に適応しようとしない

独身時代や実家にいた頃の生活習慣は、誰にでもあるものでしょう。ですが、就職、結婚や妊娠、出産と、人生においてさまざまな変化があったときに、大抵の場合は変化に適応しようとし、それまでの生活スタイルなどが変わっていくものです。

しかし、マザコンの夫にとっては、結婚しても子供ができても、実家にいた頃の生活スタイルが自分の生活スタイルです。そのため、妻や子供との生活においても、母親から受け継いだ習慣や価値観を優先し、変化に適応しようとする努力を見せないことがあります。

マザコンの夫が過去の生活習慣に固執することで、家族としての新しい生活を築く上での調和が欠け、夫婦間の溝を深めることにつながる可能性があります。

7.妻に母親の役割を求める

マザコンの夫は、妻に母親の役割を求めることがあります。

夫が母親に対して抱く過度の依存心や期待を、妻にも同じように求めるのです。

たとえば、母親がしていたように、常に自分の世話を焼いてほしい、慰めてほしい、自分の意見を優先してほしいといった期待を持つことがあります。このような要求は、妻にとって負担となり、夫婦関係において不平等や不満を生む原因となります。

夫が妻に母親のような役割を求めることは、妻の自立性や個性を尊重しないことを示しており、夫婦としての健全な関係性を構築する上で障害となることがあります。

たとえば、夫が自分の部屋を全く片づけないケースで考えてみましょう。

妻が、夫に対して「部屋が散らかりすぎだから、片づけてほしい。」と伝えても、夫が片づけをしないこともあるでしょう。

このような場合に、夫が「実家にいるときは、母さんが部屋を片付けてくれていた。部屋を片付けてほしいなら、君が片付けてよ。」などと言ってきたり、しびれを切らした妻が部屋を片付けてくれることを当たり前だと思っている夫はマザコンである可能性は高いでしょう。

母親に依存するようになる原因

マザコンの夫は以上のような特徴を持っていますが、そもそもどうしてマザコンになってしまうのでしょうか。

夫がマザコンになる原因としては、次のようなことが考えられます。

夫がマザコンになる原因は、母親との関係性や家庭環境に深く根ざしています。

原因の一つとして、母親が過干渉・過保護であることが挙げられます。このような家庭で育った子供は、自分で物事を決める力や問題を解決する能力が育ちにくく、成人後も母親に強く依存する傾向が強まることがあります。

また、反対に、子供時代に母親との関係が希薄だった場合にも、成人後に過度に母親に依存し、マザコンになることがあります。子供時代に十分な愛情や注意を受けられなかった夫は、無意識のうちにその喪失感を埋めようとし、母親との関係を強化しようとします。

家庭内での不和や父親と母親の間に愛情がないと感じる環境で育った場合も、母親との関係に過度に依存する傾向があります。特に、母親が自分の夫との関係に不満を抱いている場合、母親の方から息子に執着し依存するようになり、息子もマザコンとなる可能性があります。

自己肯定感の欠如も、夫がマザコンになる心理的原因の一つです。自己肯定感が低いと、自分の意見や判断に自信を持てず、他者、特に母親からの評価や承認を強く求める傾向があります。自分の意見やニーズを表現することが難しくなり、母親の意見や期待に合わせようとする傾向が強まります。

また、母親からの批判や否定を過度に恐れ、自分の本当の感情や考えを隠すこともあります。このような行動は、自立性の欠如につながり、母親へ過度に依存するようになり、夫はマザコンになるのです。

対人関係の不安や社会的スキルの欠如も、マザコンになる心理的原因の一つです。他人との関係を築くことに対する不安や恐れが強かったり、社会的スキルが未発達な場合、他者とのコミュニケーションや関係構築が困難になり、結果として、既知の安全な関係である母親との関係に過度に依存することがあるのです。

このように、マザコンになる夫には様々な原因が考えられるのです。

マザコンの夫には、このような心理的原因がある場合が少なくありません。そのため、マザコンかもしれないと思った場合、家庭環境はどうだったのか、幼少期はどのように過ごしていたのか、夫と話をしてみるのも、夫婦関係を見直すための一つの判断材料となるでしょう。

妻が夫を気持ち悪いと思ってしまう場合の対処法

「旦那はマザコンだけど、離婚するほど具体的に困っているわけじゃない。」「マザコンの旦那にも良いところはあるので、できれば離婚せずに対処したい。」

このように考えていても、夫のマザコンな言動によって、日々ストレスを妻が感じてしまうのも事実です。

そこで、マザコンの夫との関係で感じるストレスを軽減するにはどう対処したら良いのか、夫婦関係を改善し気持ち良く生活するためにどういった対処法があるのかについて、見ていきたいと思います。

対処法は「旦那を変える」のではなく「自分が受け入れる」

マザコンは投薬や手術で治療ができるものではありません。そのため、夫本人が意識してマザコンの性質を改善させたいと行動するならともかく、基本的にはマザコンは治せないものだと思ってもいいでしょう。

したがって、そんなマザコン夫と夫婦としての関係を継続していくためには、妻が「マザコンの夫を受け入れる」ことで、マザコン夫と上手くやっていくしかありません。

夫がマザコンであることを自覚させることが、付き合い方の基本となります。問題を認識することが、改善への第一歩です。夫婦間の対話を通じて、マザコンの振る舞いや思考が関係にどのような影響を与えているかを明確に指摘し、理解を深めることが効果的です。

夫に、改善してほしいことを伝える際は、いきなり全てを直してもらおうと思うのではなく、1つ1つ小さなことから始めていきましょう。その際には、夫に対して「この点をこういう風にしてほしいと思っている。お願いしてもいいかな。」などと具体的に伝えることをおすすめします。

さらに、必要に応じてカウンセリングやセラピーを受けることで、専門家の支援を得て自覚を促すことも一つの手段となります。

また、マザコンの夫とうまく付き合うためには、義母を味方にすることが有効な戦略となります。義母との良好な関係を築くことで、夫の母親依存を軽減することが期待できます。

たとえば、積極的に義母とコミュニケーションを取り、共通の興味や趣味を見つけることで信頼関係を築くことができます。信頼関係が築ければ、夫婦の問題について義母に相談し、アドバイスを求めることで理解と協力を得ることが可能です。

ただし、夫がマザコンで困っていることを直接伝えるのではなく、「お義母さんから夫にお話ししてもらえますか?」などとやんわりと相談の形で伝えると良いでしょう。

さらに、義母の良い点を取り入れたり、義母の悪口を避けたりすることも、関係改善に役立ちます。たとえば、義母が得意な料理を学んで夫に振る舞うことで、義母を尊重していることを示すことができます。

義母の悪口は関係を悪化させる原因となるため、避けるべきです。代わりに、義母の良い行動や性格を称賛することで、マザコンの夫ともポジティブな関係を築くことができます。

ストレス軽減には別居も一つの対処方法

ストレスを軽減するためには、別居も一つの方法です。

マザコンの夫との日常生活が原因でストレスを感じている場合、一定期間離れて暮らすことで、お互いの気持ちを落ち着かせ、問題について冷静に考える機会を持つことができます。

別居中は、自分自身の精神的な余裕を取り戻し、マザコン夫との今後の関係をどのように築いていくかをじっくりと考えることが可能です。

また、別居は一時的なものであれば、夫婦関係をリセットする機会となり、お互いにとってより良い関係を再構築するきっかけとなることもあります。

ただし、別居を決断する前には、夫婦でしっかりと話し合い、別居の目的や期間、今後の関係についての合意を得ることが重要です。

夫のマザコンを理由に離婚する方法はある?

夫のマザコンを理由に離婚したい場合も、通常の離婚手続きと同様に、協議離婚、調停離婚、裁判離婚のいずれかの方法によって離婚することになります。

マザコン夫との協議離婚は難しい場合があります

まずは夫婦の話し合いによる協議離婚で、マザコン夫との離婚を進めていくことになります。協議離婚のメリットは、「夫婦が離婚することに合意しさえすれば、離婚が成立する」ことです。離婚の理由が「旦那がマザコンだから」であっても、何も問題ありません。

ですが、マザコン夫との協議離婚は難しい場合があります。なぜなら、マザコン夫とはこの「離婚の話し合い」が難航することが多いからです。

夫に対して、夫のマザコンが理由で夫婦仲が悪化し離婚を考えている、などと伝えても、夫自身にマザコンの自覚がなかったり、「妻が私の母親を大切に思っていない」「自分の母親を大切にすることは悪くない」と思っていたりと、なかなかマザコンを理由に離婚することに合意してもらえないのです。

また、夫がマザコンであるため、妻が離婚の話を切り出した場合、夫が母親に「離婚したいと言われた」と話してしまう可能性が高いです。離婚は夫婦の問題なのに、義母が口を出してきたり、夫の気持ちや考えを無視して義母が離婚する・しないの結論を出したりしてしまうことも考えられます。たとえば、義母が、「うちの息子は、母親を大切にしているだけなのに、マザコンだなんてひどいわ!嫁の考え方がおかしいのよ。」などと怒ってしまうこともあります。

マザコン夫との協議離婚は、こうした問題が想定されるため、当事者だけの話し合いで離婚することは難しいのです。

協議離婚で離婚できない場合、離婚調停を検討します

協議離婚でマザコン夫と離婚できない場合は、家庭裁判所での調停による離婚を検討します。

離婚調停によって離婚する場合も、協議離婚と同様に離婚の理由は問われません。

離婚調停の手続きをするには、調停申立書などの必要書類を用意して、家庭裁判所に申し立てます。離婚調停の期日では、第三者である調停委員が夫と妻それぞれから話を聞き、離婚調停を進めていきます。調停委員が夫婦の主張を整理し、話し合いを取り持ってくれるので、離婚調停では夫婦が直接顔を合わせて話し合う必要がありません。そのため、マザコン夫と妻だけの話し合いで進めるよりも、スムーズに離婚の話し合いが進むことが期待できます。

なお、離婚調停が家庭裁判所で行われるからといって、調停委員が「マザコンによる離婚を認める。」などと結論を出すわけではありません。調停はあくまで、調停委員という第三者を通した夫婦の話し合いです。

したがって、離婚調停でもマザコン夫が離婚することに合意しない場合は、調停が不成立となってしまう可能性もあるのです。

離婚調停でマザコン夫と離婚できない場合は離婚裁判になります

離婚調停でもマザコン夫と離婚できなかった場合は、離婚裁判によってマザコン夫と離婚することを目指します。

ただし、離婚裁判で離婚が認められるためには、民法第770条に定められた離婚理由(法定離婚事由)に該当しなければなりません。

(裁判上の離婚)
民法第770条1項 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
1.配偶者に不貞な行為があったとき。
2.配偶者から悪意で遺棄されたとき。
3.配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
4.配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
5.その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

夫がマザコンという離婚理由が、直ちに民法第770条1項の法定離婚事由になるわけではありません。

そのため、マザコン夫と裁判で離婚するためには、マザコン夫の言動によって夫婦関係が修復不可能なほどに悪化し、民法第770条1項5号の「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当すると離婚裁判で認められなければなりません。

たとえば、マザコン夫が毎日のように実家に帰ってしまい、妻子とはほぼ別居している状態が長く続いていて、「帰ってきてほしい」と言っても聞き入れてくれず、給与収入も母親のために使ってしまうなど、マザコン夫の行動によって夫婦関係が破綻してしまったことが認められれば、民法第770条1項5号の「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当し、裁判で離婚が成立する可能性があります。

なお、裁判でマザコン夫との離婚が認められるためには、マザコン夫の言動がどのように夫婦関係を破綻させることになったのかを客観的に証明できる証拠が重要です。

マザコン夫との離婚を考えている場合は、マザコン夫の普段の言動を記録しておくなどして、証拠を集めておく必要があります。

Q&A

Q1.マザコンの夫によく見られる特徴は何がありますか?

マザコンの夫によくある特徴としては、主に次の7つの特徴が挙げられます。

  1. 些細な出来事でも全て母親に共有する
  2. 母親と妻を比較する
  3. 何事においても妻子より母親を優先する
  4. 母親の意見や考えを絶対的なものと思っている
  5. 母親の価値観や生活様式を無意識に自分のものとして取り入れている
  6. 生活習慣の変化に適応しようとしない
  7. 妻に母親の役割を求める

Q2.夫がマザコンになる原因は?

夫がマザコンになる原因は、母親との関係や家庭環境に起因します。

母親が過干渉・過保護であることで、これにより子供は自立する能力を育みにくく、成人後も母親依存が強まります。

また、子供時代に母親との関わりが少なかった場合も、大人になってから母親への依存が増すことがあります。家庭内の不和や父母間の愛情不足がある環境で育った場合も、母親との関係に過度に依存する傾向があります。

自己肯定感の欠如、対人関係の不安、社会的スキルの欠如もマザコンの心理的原因として挙げられ、これらが結果として母親との関係に過度に依存する行動へとつながり、夫がマザコンになってしまう原因となるのです。

Q3.マザコンの夫に気持ちが悪いと思ってしまいます。ストレスを軽減するにはどうしたら良いですか?

ストレス軽減のためには、別居も有効な方法です。

マザコンの夫との日々の生活がストレスの原因となっている場合、別居を通じてお互いの気持ちを整理し、関係を見直す機会を持つことができます。この別居期間を利用して、今後の夫婦関係の方向性を冷静に考えることが可能となります。

ただし、別居を決める前には、その目的や期間について夫婦でしっかり話し合い、一方的な別居とならないように注意が必要です。

自分ひとりで悩まず弁護士にご相談ください

この記事では、マザコン夫の特徴や、マザコン夫との夫婦関係を改善するために取り得る対処方法、マザコン夫と離婚する方法について、解説させていただきました。

この記事で解説させていただきました通り、離婚の話し合いや調停がこじれて離婚裁判になってしまった場合は、単に夫がマザコンであるということだけでは離婚を認めてもらえません。

マザコン夫の行動によって夫婦関係が破綻し、修復不可能であることを裁判所に対して示す必要があります。そのためには、法的に有効な証拠を確保することがとても重要です。

そうした離婚手続きの手間やストレスを軽減するには、弁護士にご相談いただくことがおすすめです。弁護士がご依頼者様の代理人として、マザコン夫との離婚の話し合いを進めることもできますし、離婚裁判までもつれてしまった場合も、適切に対応可能です。

まずはお気軽に、初回無料相談をご利用いただければと思います。

この記事を書いた人

雫田 雄太

弁護士法人あおい法律事務所 代表弁護士

略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。3,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。

 

家庭の法律問題は、なかなか人には相談できずに、気付くと一人で抱え込んでしまうものです。当事務所は、家庭の法律問題に特化した事務所であり、高い専門的知見を活かしながら、皆様のお悩みに寄り添い、お悩みの解決をお手伝いできます。ぜひ、お一人でお悩みになる前に、当事務所へご相談ください。必ずお力になります。

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