離婚理由【完全版】離婚原因や法定離婚事由を徹底解説!夫婦が離婚したい理由は?
多くの夫婦が、結婚生活の中でさまざまな困難や課題に直面し、今や夫婦の3組に1組が離婚を選択する時代となりました。
将来を誓い合った夫婦が離婚という重大な決断に至るまでに、どのような離婚理由があったのか、どういった離婚理由が多いのか、気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
離婚理由は、感情的な問題だけでなく、経済的な問題や法的な問題にもつながっていますので、夫婦によってさまざまです。
また、離婚をしたいと思ったとき、法的な観点から離婚を考える場合、どのような事情が「法定離婚事由」として認められるのか、離婚が認められない離婚理由があるのかなど、正しい知識を身に着けておくことが大切です。
本記事では、離婚を決意した背景や、その離婚理由について詳しく見ていきます。また、民法で定められている離婚の法定事由についても解説いたします。
離婚を検討する際の参考としていただけましたら幸いです。
目次
離婚理由
なぜ離婚するのか?
(1)離婚理由(司法統計)
厚生労働省の統計「令和4年度人口動態統計特殊報告における離婚の年次推移」によれば、令和2年の離婚件数は19万3253件となっています。令和2年中、1日に530組の夫婦が離婚していたことになります。
同年の婚姻件数が52万5507件ですので、婚姻件数で割って出した離婚率は36%となります。つまり、日本の夫婦の3組に1組が離婚しているのが日本の離婚の実態です。それでは、この約3割の夫婦は、それぞれどのような離婚理由があったのでしょうか。
まず参考となるのが、裁判所が毎年ホームページ上で公開している「司法統計」です。
国内の全家庭裁判所において申立てされた離婚調停について、動機別に分類したデータ(「令和5年 婚姻関係事件数 申立ての動機別申立人別」)を基に、離婚調停の申立て理由として多かった離婚理由を列挙すると、以下のようになります。
まず、夫側からの申立ての動機について紹介します。
- 性格が合わない
- 精神的に虐待する
- その他
- 異性関係
- 浪費する
- 家族親族と折り合いが悪い
- 性的不調和
- 同居に応じない
- 暴力を振るう
- 不詳
- 生活費を渡さない
- 家庭を捨てて省みない
- 病気
- 酒を飲み過ぎる
次に、妻側からの申立ての動機を紹介します。
- 性格が合わない
- 生活費を渡さない
- 精神的に虐待する
- 暴力を振るう
- 異性関係
- その他
- 不詳
- 浪費する
- 性的不調和
- 家庭を捨てて省みない
- 酒を飲みすぎる
- 家族親族と折り合いが悪い
- 病気
- 同居に応じない
そして、男女ともに、最も多い離婚理由は「性格の不一致」となりました。
年度によっては多少の変動はありますが、令和4年度、令和元年度、平成30年度、平成29年度と統計を遡って見ても、「性格の不一致」が男女ともに、離婚調停申立てにおける離婚理由の1位という結果となっております。
(2)離婚理由(法務省の調査)
前述した司法統計は、離婚調停に限った離婚理由です。そして、調停によらない場合の離婚理由に関しては、法務省民事局の「協議離婚に関する実態についての調査研究業務報告書」が参考になります。
「協議離婚に関する実態についての調査研究」は、協議離婚を経験した30代及び40代の男女(合計1000名)を対象とし、ウェブモニターアンケートの方法によって、令和3年に行われました。
なお、質問は「あなたが離婚した原因(夫婦関係が破綻した原因)に近いものをすべて選んでください(複数回答可)」というものです。
法務省|協議離婚に関する実態についての調査研究
調査の結果、離婚理由は次の通りとなりました。
- 性格の不一致
- 異性関係
- 精神的な暴力
- 親族との折合い
- 浪費
- 性的不調和
- 経済的な暴力
- ギャンブル
- 生活費を渡さない
- 家庭を省みない
どちらの調査においても、「性格の不一致」が離婚理由として最も多く、他の離婚理由も、協議離婚と調停離婚とでそこまで大きな違いがないことが分かります。
離婚理由のランキングはこちら
なお、上記でご紹介した離婚理由のランキングについては、別途、こちらの関連記事にて詳しく解説しております。
本記事とあわせて、ランキングもぜひご一読ください。
離婚原因【徹底解説】
裁判の「離婚事由」
さて、協議離婚と調停離婚とで最も多かった離婚理由は「性格の不一致」でしたが、実は、性格の不一致は、法律上、離婚事由として明記されていません。
法律上の離婚事由は、次のとおり、民法に定められています。
(裁判上の離婚)
民法第770条1項 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
1.配偶者に不貞な行為があったとき。
2.配偶者から悪意で遺棄されたとき。
3.配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
4.配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
5.その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
裁判によって離婚をしようとする場合、法律によって定められた離婚理由でなければ離婚が認められないのをご存知でしょうか。「法定離婚事由」といいまして、民法では上記の5つが裁判で認められる離婚理由として定められています。
それでは、この5つの離婚原因について順番に見ていきましょう。
1.浮気・不倫(不貞行為)
おそらく、5つの法定離婚事由の中で最もイメージしやすいものが、この「不貞行為」ではないかと思います。
不貞行為とは、判例上、偶者のある者が、自由な意思にもとづいて、配偶者以外の者と性的関係を結ぶことをいいます。
ところで、次の項目の中で、離婚理由にできる不貞行為に当たるものは、いくつあるでしょうか。
- 配偶者以外の異性に「大好きだよ」「愛してるよ」とメールを送る。
- 配偶者以外の異性と食事に行き、映画を見てドライブする。
- 配偶者以外の異性と、一度だけラブホテルに入り肉体関係を持った。
- 配偶者以外の同一の異性と、何度かラブホテルに入り肉体関係を持った。
- 配偶者との仲が悪くなり別居した後、配偶者以外の異性と肉体関係を持った。
- 会社の上司に誘われて初めて風俗に行き、性交渉をした。
- 趣味で何度も風俗に行き、性交渉をした。
不貞行為に当たるものは③から⑦の5つです。
なお、裁判による離婚の場合、法定離婚事由があったとしても、裁判所が婚姻を継続するのが相当であると判断した場合には、離婚が認められないこともあります(民法第770条2項)。
2.悪意の遺棄
民法752条には、「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。」とあります。悪意の遺棄とは、正当な理由なく、配偶者に対する同居、協力、扶助義務を放棄することを言います。
同居義務
夫婦である以上、一緒に住まなければならないという義務です。別居することに夫婦が合意している場合や、単身赴任や里帰りなどの正当な理由がある場合の別居を除き、下記のような正当な理由もなしに同居をしないケースは、悪意の遺棄となりえます。
協力義務
夫婦は互いに協力し合って結婚生活を送らなければなりません。次のような行為は、悪意の遺棄となり得ます。
- 労働能力があるにもかかわらず、理由も無く働かない。
- 病気の配偶者を放置し、看病しない。
扶助義務
夫婦の双方が同じレベルの生活をできるように、お互い助け合う義務です。ただし、夫婦それぞれの収入や生活状況などが異なりますので、経済面で完全に折半しなければならないという意味ではありません。
- 配偶者に収入がないことを知っているのに生活費を渡さない。
- 単身赴任中や別居後、生活費を入れない。
ただし、同居義務・協力義務・扶助義務を怠ったとしても、夫婦の合意がある場合や、正当な理由がある場合は悪意の遺棄には該当しません。
なお、悪意の遺棄とはならない「正当な理由」とは、例えば、仕事上やむを得ない単身赴任での別居や、就職活動をしていて仕事がない間働かないこと、出産・子育てのために実家に戻ることなどが挙げられるでしょう。
3.配偶者の生死が三年以上明らかでない
配偶者が突然失踪し、三年以上その生死が不明である場合は、婚姻関係を存続させておく意義はありません。そのため、三年以上の生死不明が確認されると、裁判で離婚が認められることになります。
そして、この場合の「三年以上」とは、最後に連絡がついてから、連続して三年以上連絡がないことをいいます。三年間の間に一度でも連絡があれば、その連絡があった時点から三年ということになりますので、注意してください。
4.回復の見込みがない強度の精神病
病気等の看病に疲れて、身が持たないなどと思い、離婚したいけれども、病気のパートナーを見捨てるようで離婚に踏み切れない、といった悩みを抱えている人もいるのではないでしょうか。
健康な配偶者が精神病のパートナーを支えるべきだという考えもあるでしょう。しかし、夫婦には前述した協力義務と扶助義務があるのです。夫婦としてともに生計を維持していくところ、健康な配偶者にその限界を超えてまで看病させるのは、あまりにも酷なことです。
そこで最高裁判所は、一定の条件を満たした場合に例外的に、精神病の配偶者との離婚を認めました。
判例は、「諸般の事情を考慮し、病者の今後の療養、生活等についてできるかぎりの具体的方途を講じ、ある程度において、前途に、その方途の見込のついた上でなければ、ただちに婚姻関係を廃絶することは不相当と認めて、離婚の請求は許さない」と判示しています。
5.婚姻を継続し難い重大な事由
法定離婚事由の最後のひとつが、「婚姻を継続し難い重大な事由」となります。
「婚姻を継続し難い」と判断されるためには、当事者双方に婚姻を継続する意思がないか、客観的に婚姻共同生活の修復が著しく困難であるといえる必要があります。そうはいってもどのような事情が必要か分かりづらいので、具体的な事例を見ていきましょう。
【離婚裁判に至る経緯】
職場で知り合った9歳年上の夫に対し、妻が「婚姻を継続し難い重大な事由」を理由に離婚請求した事例です。
長女及び長男の養育、2度の流産を経験する中で、夫が家事や育児の辛さに対して共感を示さず、これを分担しないことなどに失望を深めた妻が、夫から自立するため看護学校に通学を始めました。夫婦の気持ちは大きくすれ違うようになり、妻は子どもらを連れて別居後、離婚調停を申し立てました。その後、裁判に至るまで、夫婦の間では復縁に繋がる具体的な動きなどはありませんでした。
【裁判所の判断】
夫は、事柄の背景を考えれば夫婦喧嘩にすぎず、離婚原因は存在しないと主張するが、夫婦の役割等に関する見解の相違を克服できないまま、妻は離婚意思を強固にしている上に、別居後は、双方に、今日に至るまで、復縁に向けての具体的な動きを見い出すことができないのであるから、既に夫婦喧嘩という範疇に留まるものではなく、離婚原因を形成するものといえる。
(東京高等裁判所平成29年6月28日判決)
なお、ご紹介した裁判例の他に、例えば次のようなケースも該当することがあります。
- 肉体的・経済的DVやモラハラ
- 長期間の別居生活
- 親族との不和
- 浪費(借金、ギャンブル)
- セックスレス
- 配偶者の犯罪行為
これらのケースについては、離婚協議や離婚調停における離婚理由にもなりますので、以下で簡単に解説していきます。
その他の離婚原因
離婚協議や離婚調停は夫婦間の話し合いとなるため、離婚理由に制限はありません。そんな夫婦のさまざまな離婚理由について、簡単に見ていきましょう。
1.離婚理由として最も多い「性格の不一致」
司法統計や法務省の調査で、最も多かった離婚理由である「性格の不一致」とは、そもそもどういう意味なのでしょうか。
ひと言で「性格の不一致」とはいっても、その具体的な内容や状況はいろいろとあります。価値観やマナーについて考え方の違いが生じたり、子どもの教育方針が異なったり、あるいは趣味や思想信条が合致しないケースも「性格の不一致」です。ときには、世間体から実際の理由をぼかして、性格の不一致による離婚、としている場合もあります。
「性格の不一致」といっても、それぞれの夫婦によって様々です。
なお、性格の不一致で離婚するためには、協議か調停によるしかありません。話し合いがこじれ、調停で揉めて離婚不成立となり、「だったら裁判で離婚だ!」と意気込んでも、裁判所は性格の不一致が直ちに離婚理由になると認めていないことは、お伝えした通りです。
そもそも結婚とは、性格の異なる他人同士が夫婦になることなので、生活習慣や価値観を夫婦が互いに努力してすり合わせていくことが、当然の前提と考えられているためです。
2.異性関係
性格の不一致と同様に、典型的な離婚理由として知られているのが、浮気や不倫といった異性関係です。法的には「不貞行為」といいます。
不貞行為が民法によって定められている離婚理由(法定離婚事由)であることは、ご説明した通りです。
なお、民法第770条1項1号「不貞行為」を理由とした離婚以外にも、個々の事情によっては、民法第770条1項2号「悪意の遺棄」に該当する場合と、民法第770条1項5号「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当する、と判断される場合があります。
たとえば、単なる風俗通いにとどまらず、風俗嬢に入れ込み、家庭が困窮しても生活費を入れてくれず、なかなか家にも帰ってこなくなったような場合は、悪意の遺棄に該当する可能性があるでしょう。
3.性的不調和
性的不調和とは、セックスレスや性嗜好の不一致など、配偶者間の性的な問題をいいます。
なお、日本性科学会によるセックスレスの定義は、病気など特別な事情がないのに、カップルの合意した性交渉が1ヶ月以上ないこと、とされています。単に性交渉が長期間ないような場合、それが夫婦双方の合意であればセックスレスには該当しません。
夫婦の一方が求めているのに、他方が特段の理由なく拒否しているようなケースでは、拒否された配偶者としては離婚を考えることもありえることが分かります。
4.モラハラ
モラハラとは、モラルハラスメントの略語です。モラルが倫理や道徳という意味で、ハラスメントが嫌がらせという意味なので、倫理や道徳に反した嫌がらせ、と解釈されています。
身体的DVなどの物理的な暴力ではなく、言動や態度による精神的な虐待なので、なかなか被害に気付きにくいのがモラハラです。
夫婦間においては、夫に話しかけたのに無視をされた、妻に収入を馬鹿にされたり暴言を浴びせられた、睨まれたり意味もなく不機嫌に振舞われた、といった行為がモラハラに該当します。
モラハラについては、当事務所でも詳細に解説しておりますので、ぜひ関連記事をご覧ください。
5.身体的暴力(DV)
「DV(ドメスティック・バイオレンス)」の用語に明確な定義はありませんが、日本では「配偶者や恋人など親密な関係にある者、または親密な関係にあった者から振るわれる暴力」という意味で使われることが多いです。
なお、従来はDVといえば夫から妻に行われるものを指しましたが、妻から夫へのDVも年々増加してきています。
6.生活費を渡さない(経済的DV)
「経済的DV」は、近年使われるようになった言葉です。これについても明確な定義はありませんが、一般的には「配偶者や恋人、親子など親密な関係にある者から金銭的な自由を奪ったり、生活費を渡さなかったりと、経済的に追い詰める行為」を意味します。
夫婦である以上、一方が稼いだ財産は、夫婦の共有財産となります。夫婦はお互いに経済的に協力する義務がありますので(民法第752条)、生活費を渡さなかったり、自由なお金を認めなかったり、生活費を渡しても不十分であったり、給与や貯金の金額を教えないといったことは、経済的DVに該当します。
モラハラ同様、経済的DVの場合も、加害者にはDVをしているという自覚が無いこともあるため、まずは夫婦で話し合いをするべきでしょう。
7.家庭を省みない
離婚理由「家庭を省みない」とは、漠然とした言葉ですよね。簡単に言ってしまえば、正当な理由もないのに頻繁に家を空け、家事・育児に非協力的で家族との時間を持ってくれない配偶者のことです。
- 毎日仕事に没頭して帰宅が遅く、休日も部屋にこもって眠っている。
- ひとり趣味を楽しんで家族のことを考えてくれない。
- 毎週末のように友人と出かけてしまう。
- 子どもの面倒を全くみない、子どもが話しかけても相手をしてくれない。
- 家事に非協力的で、仕事が休みの日も一切手伝ってくれない。
8.同居に応じない
夫婦である以上、同居義務がありますので、一緒に住まなければなりません。
別居することに夫婦が合意している場合や、単身赴任や里帰りなどの正当な理由がある場合の別居を除き、正当な理由もなしに同居をしないことは、同居義務違反となります。
ところで、法律に定められている義務とはいっても、同居を強制することまではできません。一方的に別居し話し合いにも応じない配偶者を相手に、裁判所に対して同居を求める調停や審判を申し立てることは可能です。しかし、いくら家庭裁判所が同居を命じる審判をしても、強制的に命令を履行させることはできないのです。
なお、同居を命じる審判手続きも制度としてはありますが、同居を命じる申立ては実効性に乏しいため、あまり活用されていないのが実情です。
9.家族親族と折り合いが悪い
夫婦であると、配偶者の家族や親族と関わることも増えていきます。その中で、夫婦で話し合って決める事柄について、配偶者の家族や親族が価値観を押し付けてくるようなこともあるようです。例えば、姑が妻に対して、母とはこうあるべきという価値観を押し付けてくることによって、折り合いが悪くなり、離婚を考えてしまっても場合によっては考えられます。
10.借金・浪費などお金の問題
趣味のため過剰に散財したり、嗜好品や宝飾品・衣類等を必要以上に購入したり、賭博(ギャンブル)にのめり込むといったことにより、生活を圧迫し、婚姻関係の継続を難しくしている場合を浪費といいます。
「生活を圧迫し、婚姻関係の継続を難しくする状況」とは、例えば、生活費を使い果たしたり、配偶者名義の預貯金やクレジットカードを無断で使いこんだり、配偶者に隠れてお金を借りたり、子どものために貯めているお金を使ってしまうような状況が想定されます。
11.アルコール依存、薬物中毒、難病
アルコール中毒、薬物中毒、難病等は、夫婦間の関係において多大な経済的、感情的、時間的な負担をもたらすことがあります。こういった状況は、持続的なストレスや、配偶者に対する不信感を生むことがあり、その結果、離婚理由となることが少なくありません。
特に、適切な治療やサポートが受けられない場合、夫婦の婚姻関係の継続が難しくなることが多いです。
前述した、「回復の見込みがない強度の精神病(民法第770条1項4号)」に該当しない病気等のケースであっても、「婚姻を継続し難い重大な事由(民法第770条1項5号)」に該当すると認められるのであれば、裁判離婚が認められる離婚理由にもなります。
12.配偶者の宗教活動
結婚前、妻がある宗教の信徒であることを夫に隠していた。結婚後、夫が宗教にハマってしまい、家族の時間が減ってしまった。
宗教を信仰していることによって、このような悩みや不安を抱き、やがて夫婦の間に対立が生じてしまうことがあります。
信教に関しては、協議においても裁判においても、非常にデリケートな側面がありますので、配偶者の宗教活動を離婚理由に離婚を検討したときは、早めに弁護士にご相談されることをおすすめいたします。
13.犯罪行為による服役も離婚理由に
誰でも突然、犯罪被害者になることもあれば、家族が加害者になってしまうこともあります。
もし自分の配偶者が罪を犯して服役してしまった場合、受け入れることはそう簡単ではありませんよね。特に子どもがいる場合、子どもへの影響も考えると、離婚を検討する人も多いでしょう。
しかし、服役中の配偶者が相手といえども、一方配偶者が勝手に離婚手続きを進めることはできません。基本的には話し合いですが、反対された場合は、離婚裁判となるでしょう。
離婚理由に関するQ&A
Q1.裁判で離婚が認められる法定離婚事由とは?
裁判で認められている離婚理由は、民法770条第1項に定められている、次の5つとなります。
- 配偶者が他の人と性的関係を持った場合(不貞行為)。
- 配偶者が正当な理由なく、同居義務、協力義務、扶助義務などを果たさない場合(悪意の遺棄)。
- 配偶者が3年以上、生きているか死んでいるか確認できない状態が続いた場合(3年以上の生死不明)。
- 配偶者が重度の精神病にかかり、回復の見込みがない場合(強度の精神病)。
- 上記以外で、個別的に判断して婚姻関係が破綻して回復の見込みがない場合(婚姻を継続し難い重大な事由)。
Q2.「経済的な理由」という離婚理由の具体的な内容は?
お金の問題の具体例としては、次のようなものがあります。
- 一方または両方の配偶者の失業や収入の減少
- 貯蓄の消失や借金の増加
- 金銭感覚の不一致や浪費癖
- 経済的な決定における意見の対立
Q3.法定離婚事由以外の離婚理由で離婚する場合、どのような手続きが必要ですか?
法定離婚事由以外の離婚理由で離婚する場合、夫婦双方の離婚に対する合意が必要となります。
離婚協議や離婚調停などで話し合い、合意の下で離婚届を提出することで、離婚が成立します。合意が得られない場合は、裁判を通じての離婚となります。
まとめ
本記事でご紹介したように、離婚理由は多種多様です。
法的な観点から見ると、法定離婚事由として明文化されているものもありますが、それ以外にも多くの離婚理由が実生活で存在します。
経済的な問題や価値観の不一致、夫婦間のコミュニケーションの不足など、具体的な事例は数え切れません。さらに、離婚理由によって、離婚の手続きやそのための準備は異なりますし、離婚は法的問題も多く煩雑です。
このような難しい局面に立たされたときは、一人で悩まずに、法律の専門家である弁護士にご相談ください。
当事務所でも、初回のご相談は無料とさせていただいております。ぜひお気軽にお問合せください。
この記事を書いた人
雫田 雄太
弁護士法人あおい法律事務所 代表弁護士
略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。3,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。
家庭の法律問題は、なかなか人には相談できずに、気付くと一人で抱え込んでしまうものです。当事務所は、家庭の法律問題に特化した事務所であり、高い専門的知見を活かしながら、皆様のお悩みに寄り添い、お悩みの解決をお手伝いできます。ぜひ、お一人でお悩みになる前に、当事務所へご相談ください。必ずお力になります。