セックスレス【解説】セックスレスとは?夫・妻側が拒否する原因は?

近年注目されているセックスレスは、些細なきっかけから離婚にまで発展する可能性のある、深刻な夫婦の問題のひとつです。
夫婦が性的関係を持たない状態が長く続くと、コミュニケーション不足やすれ違いが深刻化し、そのまま時間だけが過ぎてしまうと、修復が困難なほど夫婦関係が悪化してしまう可能性があります。
しかし、セックスレスと言っても、背景や理由、きっかけは人それぞれです。仕事や家事・育児によるストレスが理由のケースもあれば、配偶者の言動がきっかけでセックスレスとなったケースもあるでしょう。大切なのは、まず自分たちの状況を客観的に見直し、セックスレスとなった原因を明らかにして、レス解消に向けてしっかりと話し合いを行うことです。
そこでこの記事では、セックスレスの原因や理由、解消方法について、弁護士が詳しく解説させていただきます。
今セックスレス状態にあって悩んでいる場合はその解消に向けて、セックスレスになりそうな場合は予防・回避するために、本記事をご参考にしていただければと思います。
目次
セックスレス
それでは、まずはセックスレスの基本的な意味について見ていきましょう。
セックスレスとはどういう意味?
セックスレスとは、夫婦やパートナー間で性交渉が長期間行われない状態を指します。
英語では「sexless」と表現しますが、これを直訳すると「sex(性的な行為や要素)」が「less(不足している、少ない)」状態を示します。つまり、性行為や性的要素が不足している、あるいは極端に少ないため、「夫婦生活やパートナーシップにおいて性的な関係が持たれていない」という意味になります。
法的な定義はありませんが、日本性科学会によれば「特別な事情がないにもかかわらず、1ヶ月以上性交渉がない状態」と定義されています。
一般社団法人日本家族計画協会が、全国の3,000人の男女を対象に行った調査によると、2023年調査では、婚姻関係にある男女の48.3%が1ヶ月以上性交渉をしていない、という結果が明らかになったようです。このセックスレス率は年々増加しており、2004年の調査時には31.9%でしたが、下表の通り推移して、2023年には約5割にまで増えていることがわかります。
回次 | 調査実施年 | セックスレス率 |
第2回 | 2004年 | 31.9% |
第3回 | 2006年 | 34.6% |
第4回 | 2008年 | 36.5% |
第5回 | 2010年 | 40.8% |
第6回 | 2012年 | 41.3% |
第7回 | 2014年 | 44.6% |
第8回 | 2016年 | 47.2% |
第9回 | 2023年 | 48.3% |
セックスレスが続くと、身体的だけでなく精神的な距離も生まれやすく、夫婦関係全体に悪影響を及ぼすことがあります。そして夫婦関係が悪化することで、さらにセックスレス状態が継続するという、悪循環が生じるのです。
セックスレスの基準は何ヶ月から?
セックスレスかどうかを判断する際に「何ヶ月」を目安とするかは、夫婦やパートナーごとの状況によって変わってきます。よく知られているのは日本性科学会の「1ヶ月以上性交渉がない状態」という基準ですが、これはあくまでも一つの目安にすぎません。実際には健康状態や妊娠・出産、仕事や育児などの事情によって、セックスの頻度が変動することもあるため、一概に期限を決めることは難しいのが実情です。
また、夫婦それぞれがセックスレスと感じるタイミングも異なります。たとえば、数週間でも「寂しい」「距離を感じる」と思う人がいれば、数ヶ月程度では問題視しないという人もいます。そのため、何ヶ月経過したらセックスレスになるというよりは、お互いの感情や身体的・精神的な状況をどう認識しているかが重要となります。
夫・妻側が拒否する原因
基本的事項について確認ができたところで、夫側・妻側が性交渉を拒否する原因・理由について探っていきましょう。
妻側が拒否する原因
①疲労の蓄積
夫婦共働きが一般的になり、女性も外でフルタイム勤務をこなすことが増えています。さらに、家事や育児を並行して行う場合、自分自身の体を休める時間が十分に確保できず、慢性的な疲労に悩まされることが少なくありません。
特に、小さな子どもがいる場合、夜泣きや授乳などで睡眠不足に陥りやすく、心身ともに疲れが蓄積しがちです。そうした状態が続くと、セックスに気持ちが向かないだけでなく、そもそも相手と向き合う気力が湧いてこないこともあります。また、忙しさのあまり夫婦間のコミュニケーションも十分に取れず、「話し合おう」「スキンシップしよう」という意欲すら起こりにくくなるのが実情です。
こうした場合は、日々の生活リズムを見直し、夫婦で協力して家事や育児を分担するなど、妻の負担を軽減する工夫が必要になるでしょう。
②性欲の低下
女性の性欲はホルモンバランスや体調、精神的な状態によって大きく左右されると言われています。妊娠・出産・授乳期にはエストロゲンやプロゲステロンといったホルモン量が変動しやすいため、性欲が下がる傾向が強まるケースもあります。ストレスが強い時期や精神的に不安定な状況下では、性欲を感じにくくなることも珍しくありません。
また、日々の食生活や運動不足、加齢による身体の変化なども原因として挙げられます。こうした複合的な要因が積み重なると、「そもそもセックスをしたいと思わない」「性行為が必要だと感じない」という心境に至りやすくなるのです。
性欲が低下している場合は、婦人科の受診や専門家への相談、ストレスの軽減などが対策として考えられますが、なにより夫が妻の状態を理解し、コミュニケーションを大切にすることが重要です。
③子どもが生活の中心になっている
子どもが未成熟のうちは特に、妻が家事や育児の大部分を担っている家庭も多いでしょう。
特に、乳幼児のいる時期は、一日中子どもに合わせた生活リズムとなり、昼間だけでなく夜間もまとまった睡眠を確保できないことが珍しくありません。また、子どもの世話だけでエネルギーを使い果たしてしまい、自分の身の回りのことを後回しにせざるを得ないこともあります。そうなると、夫婦二人でゆったりと過ごす時間が取れなくなり、結果的にセックスの機会や気力も減少してしまいます。
また、「母親としての役割」に集中するあまり、女性としての自分を意識することが少なくなり、性的欲求やスキンシップへの関心も薄れがちになることがあります。家事や育児を夫婦で協力して行い、妻が個人的な時間を持ってリフレッシュできるよう、家事や育児を工夫することがポイントとなるでしょう。
④夫に魅力を感じない
長い結婚生活や同居生活が続くにつれ、当初のような新鮮味やときめきが薄れ、夫を男性として意識しにくくなるケースがあります。見た目の変化や単調な生活リズムが長く続くことで、性的魅力が感じられなくなり、身体的な触れ合い自体を避けるようになることも少なくありません。
特に女性の場合、恋愛当初のようなドキドキや刺激が失われると、セックスに対する興味や意欲が急激に下がりやすい傾向が見られます。こうした要因が重なって夫への性的魅力を見いだせなくなると、結果的にセックスレスへとつながってしまうのです。
⑤夫がストレスになっている
夫の言動や考え方、態度が原因でストレスを感じている場合も、妻が性交渉を拒否する一因となります。
たとえば、夫が過度に干渉してきたり、生活の細部にまで口を出したりすると、夫の存在自体がストレスになることがあるでしょう。また、暴言やモラハラ的な言動、過剰な束縛などが日常的に行われていると、夫に対して嫌悪感や恐怖心を抱くようになり、セックスどころか会話することすら苦痛に感じることも少なくありません。
さらに、夫婦喧嘩が頻繁に起こる、家事や育児に全く協力的でない、経済的な負担を一方的に押し付けられるなど、さまざまな夫婦間の問題が、妻にとってストレス要因となる場合もあります。
こうした環境下では、夫の存在自体が大きなストレス源となり、性行為を拒否するのは当然の帰結と言えるでしょう。夫側が自身の態度や言動を見直し、夫婦間のストレスを軽減する努力が不可欠です。
⑥性交渉が苦痛
セックスそのものが痛みを伴う、あるいは快感を得られないといった身体的要因によって、性行為を拒否する女性も少なくありません。たとえば、膣の乾燥や炎症、性感染症などがあると性交痛が生じやすくなり、性交渉そのものに苦痛や恐怖感が芽生えることがあります。
こうした体験が積み重なると「セックス=痛い・苦しい」という否定的なイメージが固定化され、セックスレスにつながるケースが多いです。根本的な解決には、婦人科での診察やカウンセリングの受診、夫婦間でのコミュニケーションをしっかり取ることが重要です。痛みや違和感を覚えるタイミングを正確に伝え合い、スキンシップを丁寧に重ねるようにするなど、お互いの理解と協力が必要となります。
⑦妻の浮気・不倫
妻自身が夫以外の異性と浮気や不倫をしている場合、夫とのセックスに対する意欲や関心が低下する可能性が高まります。
不倫関係への後ろめたさや罪悪感から、夫との性的関係を避けようとするパターンもあれば、単純に精神的なエネルギーや情熱のすべてを浮気相手に向けてしまうため、夫に対して関心が薄れるという場合も考えられます。また、浮気相手との比較によって夫の魅力を感じなくなるケースもあります。
こうした状況が続くと、夫とのセックスに限らず、会話や日常生活においても気持ちがすれ違いがちになり、セックスレスから夫婦関係の破綻につながるリスクも大きくなります。
⑧夫の浮気・不倫
夫の浮気や不倫が明らかになった場合も、妻側が性交渉を拒否する理由になります。裏切られたという感情や失望感が大きいほど、夫に対して嫌悪感や不信感を抱きやすく、身体的な接触を拒絶するのは当然の流れと言えます。
夫に対して心を閉ざしてしまうと、表面的な会話や事務的な連絡は必要最低限にとどまり、夫婦としての情や絆を再構築するのは難しくなるでしょう。さらに、浮気が続いている状況であれば、妻としては感染症リスクや精神的な苦痛を考えて、セックスを拒否するのは避けられない行動でもあります。
⑨自分の体に自信がない
多くの女性が、出産や加齢による体形や肌質の変化を経験し、その変化に対してコンプレックスを抱えているとされています。また、メディアや周囲の情報によって「理想的な体形」や「美しさ」の基準を押し付けられ、自分とは違うと感じると自己肯定感を失ってしまうことも少なくありません。こうした心理的な要因から、「裸を見られるのが恥ずかしい」「体に触れられると不安になる」といった気持ちが強まり、セックスを積極的に拒否する場合があります。
さらに、産後のホルモンバランスの乱れなどで抜け毛や肌荒れが進行したり、授乳によってバストの形が変化したりすると、「もう女性としての魅力がなくなったのでは」と落ち込んでしまうケースも少なくありません。
夫側が妻の努力や魅力を認め、日常的にポジティブな言葉を掛けるなど、妻の自己肯定感を高めるコミュニケーションが重要となります。身体のケアやエステ、適度な運動なども有効な手段ですが、何よりも夫婦間の理解とコミュニケーションが欠かせないでしょう。
夫側が拒否する原因
①仕事のストレスや疲労
現代社会では、長時間労働は珍しくありません。特に男性は、責任の重い役職に就くこともあり、社内での重圧や厳しい競争のプレッシャーにさらされることが多いです。
上司や部下との人間関係、業績へのプレッシャー、将来への不安など、さまざまな要因から強いストレスを感じると、心身ともに疲労が蓄積しやすくなるでしょう。
そして、仕事でいっぱいいっぱいの状態では、パートナーとのコミュニケーションに割く余裕も限られがちです。結果として、ベッドに入ったらすぐに眠りたいという気持ちが優先され、性的な欲求やスキンシップへの関心が薄れてしまうことがあります。
②加齢による身体的変化
男性は加齢とともにテストステロン(男性ホルモン)の分泌量が減少していき、それに伴って性欲や勃起機能が弱まってくることがあります。また、体力の衰えやメタボリックシンドロームなどの健康問題を抱えると、ますます性的な欲求が減少しやすくなるでしょう。さらに、年齢を重ねると仕事や生活全般に対する疲れも増え、若い頃のようなエネルギッシュな性生活を維持することが難しくなる場合も少なくありません。このような身体的な変化が、自身に対する自信の低下や性行為への意欲の減退につながることがあります。
③性的欲求の低下
加齢だけでなく、ストレスやうつ状態、生活習慣の乱れ、アルコールの過剰摂取など、日常生活の中でのさまざまな要因から、性的欲求が低下することがあります。
特に、仕事や家庭などで多くのプレッシャーを同時に抱えてしまうと、性行為に費やすエネルギーが残らず、セックスそのものへの関心が薄れていくことがあります。こうした状態では、本人が自覚しないままに性的欲求が衰え、自然と減少してしまうケースも少なくありません。
④妻に魅力を感じない
長い結婚生活や同居期間を経て、新鮮味やドキドキ感が失われると、妻を女性として意識しにくくなることがあります。加齢やライフスタイルの変化でお互いの外見が変わったり、夫婦間の会話やスキンシップが減少したりすることで、性的な魅力を見いだせなくなる可能性もあるでしょう。
さらに、夫婦間のコミュニケーション不足や価値観のずれが蓄積していくと、「一緒にいても楽しくない」「恋愛感情がわかない」という気持ちが強まり、セックスを拒否する一因となりかねません。
⑤個人の時間を優先している
趣味やゲーム、友人との付き合いなど、夫が自分の興味関心に集中しているために夫婦生活がおろそかになるパターンもあります。家に帰ってからの限られた時間を、自分の趣味や娯楽に充てたいという気持ちが強く、妻とのスキンシップに意識が向かない状態です。
また、スマートフォンやインターネットが普及したことで、SNSや動画視聴など一人で楽しめるコンテンツが増え、夫婦の触れ合いよりも個人の時間を重視する男性も多く見受けられます。こうした習慣が日常化すると、妻との性的関係へのモチベーションが下がり、セックスレスへとつながりやすくなるでしょう。
⑥妻に拒否され続けたから
過去に夫が妻にセックスを求めても断られ続けた経験があると、自尊心が傷ついたり諦めの感情が芽生えたりして、自ら求める意欲を失ってしまうことがあります。特に、男性は性行為を通じて自己肯定感を得ることも多いとされており、妻からの拒否が続くと「もう誘っても無駄だ」「魅力がないのでは」と落ち込みがちになってしまいかねません。こうした心理的ダメージが繰り返されることで、徐々にセックスへの興味や欲求が薄れていき、最終的には自ら性交渉を拒否することになってしまうケースも珍しくないのです。
⑦妻の浮気・不倫
妻の浮気や不倫が明らかになると、激しいショックや怒り、失望感を抱くようになります。その影響で妻への強い不信感が生まれ、「妻に触れたくない」「身体的な接触を避けたい」という気持ちが強まることも珍しくありません。
さらに、妻が別の男性と関係を持っていた事実は、自尊心を深く傷つけ、性的な関係に対して前向きになれなくなる要因にもなります。
⑧夫の浮気・不倫
夫自身が別の女性との関係を持っている場合、その浮気相手や不倫相手に性的関心が向いているため、妻とのセックスを拒否することがあります。夫の意識や感情が外の関係に向かっている状態では、妻に対して性的欲求が湧かないのはもちろんのこと、罪悪感や後ろめたさから、あえてセックスを避けるケースもあります。
こうした裏切り行為が続くと、家庭内の冷え込みが深刻化していき、最終的には夫婦関係が破綻する可能性も高まるでしょう。
⑨自尊心の低下
仕事での失敗やリストラ、収入の減少、家庭内での地位や役割に対する不満など、さまざまな要因によって男性の自尊心が低下することで、性交渉を拒否することがあります。男性は自分に自信を持てないと、パートナーとの関係にも消極的になりがちです。
また、うつ状態や精神的な不安を抱えている場合にも、性行為に対する意欲や興味が著しく減少することもあります。
以上が、性交渉を拒否する主な原因・理由になります。もちろん、ここに挙げた項目がすべてではありませんし、実際の夫婦関係では複数の要因が絡み合っている場合が多いでしょう。自分や配偶者の状況・関係性を客観的に振り返り、該当するケースがないか見直してみてはいかがでしょうか。
夫婦のセックスレス解消方法
さて、セックスレスの主な原因について把握したら、解消方法について見ていきましょう。
セックスレスの改善・解消方法
コミュニケーションを大切にする
セックスレスを改善するための最初の一歩は、やはり夫婦間のコミュニケーションです。日頃からお互いに率直な気持ちを話し合うことで、相手が抱えるストレスや不安、体調面などの問題を理解しやすくなります。セックスそのものだけでなく、普段の生活リズムや考え方、感じていることなどを共有することで、心の距離が縮まりやすくなるでしょう。
また、コミュニケーションは一方的に主張するのではなく、相手の意見や気持ちを尊重しながら行うことが大切です。感情が昂ったり、相手を責めたりしないように注意し、冷静に建設的な話し合いを心がけるだけでも、状況は前進するでしょう。
夫婦だけの時間を持つ
忙しい日常生活では、夫婦二人でゆっくり過ごす時間が持てないことが続き、やがてその状態に慣れてしまいます。ですので、ときには仕事や家事、子どものことを少しだけ後回しにして、意識的に夫婦だけの時間を作ってみてください。
一緒に外出をしてデート気分を味わったり、家で二人きりの食事を楽しんだりと、特別な行事だけでなく小さなイベントでも構いません。その際には、スマートフォンの通知をオフにするなど、外部からの干渉をできるだけ減らすこともポイントです。夫婦だけの空間でリラックスしながら自然体で会話を楽しむことで、相手を改めて異性として意識でき、セックスレスの解消や予防へとつながることが期待できます。
家事・育児を積極的に手伝う
セックスレスの背景には、家事や育児の負担に偏りがあったり、疲労やストレスが限界に達していたりすることが少なくありません。仕事が忙しいと、つい「家のことは夫/妻に任せきり」という状態になりがちですが、これでは相手の負担が増すばかりです。
家事や育児を協力し合うことで、互いへの感謝や思いやりが育まれるだけでなく、一人に偏りがちな負担が軽減され、心に余裕が生まれやすくなります。さらに、こうした些細なサポートを日常的に積み重ねていくことで、夫婦としての関係を改めて見直す機会が増え、性的スキンシップの回復や維持につながるでしょう。
日頃から愛情・敬意を伝える
夫婦生活が続いていると、どうしても「言葉にしなくても互いに分かり合える」と考えがちです。しかし実際は、言葉や行動で思いを示してこそ、相手にしっかり伝わるもの。日常の会話の中でさりげなく感謝やねぎらいを伝えたり、ちょっとしたスキンシップを取り入れたりするだけでも、夫婦間の雰囲気は大きく変わります。
大げさな言動ではなく、日々の生活の中で自然に相手を尊重する言葉や行動を示すことで、夫婦が互いに認め合える信頼関係が育まれていきます。
こうした前向きな空気が醸成されると、「相手を大切にしたい」「もっと一緒にいたい」という感情が自然と湧き上がり、セックスレス解消に向けた良い循環を生むきっかけになるでしょう。
自分磨きを怠らない
結婚生活が長くなるほど、身だしなみに気を配らなくなったり、だらしなくなったりと、日頃のケアや振る舞いがおろそかになりがちです。しかし、セックスレスの解消・予防を考える上でも、自分の外見や言動を意識することは重要です。
たとえば、清潔感のある服装を心がける、部屋着でもだらしなく見えないよう工夫する、外出予定のない日でもベースメイクはする、髭は毎日剃るなど、ちょっとした配慮が相手に与える印象を大きく左右します。
さらに、姿勢や口調など普段の振る舞いに気を配るだけでも、自分自身の意識が前向きになり、結果としてパートナーに“魅力的だ”と感じてもらえるきっかけにもなるでしょう。無理のない範囲で取り組むことから始めれば、夫婦間の雰囲気が徐々に変わっていくかもしれません。
セックスレスが辛い場合の対処方法
セックスレスの解消方法を実践してみても、なかなか効果が見えない場合もあるかと思います。そうした場合には、以下の対処方法も検討してみてください。
性的スキンシップ以外のスキンシップを増やす
夫婦間の性的スキンシップがない状態でも、手をつなぐ、肩を揉む、ハグをするなど、性的な要素を含まないスキンシップをすることが、非常に重要です。こうした非性的スキンシップによって、互いに安心感や温もりを得ることで、心の距離が近づきやすくなるでしょう。
また、何気ない会話や笑顔を交えるだけでも親近感は高まるため、まずは小さな触れ合いから再スタートしてみるのも一つの方法です。
趣味を楽しんでストレス発散する
性的欲求はあるのに満たされない状態が続くと、やり場のないフラストレーションが大きくなり、心身のバランスを崩す原因にもなり得ます。そんなときこそ、音楽や読書、スポーツ、美術鑑賞など、自分が夢中になれる趣味やアクティビティに積極的に取り組んでみましょう。好きなことに没頭する時間を作ることで、気分転換が図れ、夫婦関係や日常生活にも前向きな変化が期待できます。フラストレーションを建設的に発散できれば、セックスレスが続く中でのストレスを解消できるでしょう。
別居や離婚も視野に入れ専門家に相談する
セックスレスが深刻な状態に陥り、あらゆる改善策を試しても状況が好転しない場合は、別居や離婚といった選択肢を考えざるを得ないこともあるでしょう。
しかし、感情的に結論を急ぐのではなく、法律の専門家である弁護士に相談し、現状を整理してから冷静に判断することが大切です。問題が小さなうちに専門家の力を借りることで、後々の心労や手続きを軽減できる場合も少なくありません。
夫婦間の問題を放置すると、ますますこじれる可能性があるため、なるべく早めに相談することをおすすめいたします。
セックスレスに関するQ&A
Q1.セックスレスとはどういう意味ですか?
A:セックスレスとは、夫婦やパートナー間で長期にわたって性交渉が行われない状態を指します。日本性科学会では「特別な事情がないにもかかわらず1ヶ月以上性的関係がない状態」と定義しています。
Q2.妻側が性交渉を拒否する理由は何ですか?
A:妻側が性交渉を拒否する理由には、疲労やストレスの蓄積、ホルモンバランスの乱れによる性欲の低下、育児に追われて自分の時間が取れないこと、夫への性的魅力の低下など、さまざまな要因が考えられます。身体的な不調や心理的な要素が加わるケースもあるため、安易に「妻に拒否された=妻はしたくないのだ」と決めつけるのではなく、適切なケアや夫婦間のコミュニケーションが重要です。
Q3.夫側が性交渉を拒否する理由は何ですか?
A:夫側の場合も、仕事のストレスや加齢による体力の衰え、性欲の低下などが主な理由として挙げられます。妻に対して魅力を感じにくくなったり、自尊心の低下や精神的な問題を抱えていたりすることも原因になり得ます。また、浮気・不倫といった要因から心理的な距離が生まれるケースもあるため、夫婦で冷静に話し合い、必要に応じて専門家の助言を仰ぐことが望ましいでしょう。
まとめ
この記事では、セックスレスとは何か、妻側・夫側それぞれが性交渉を拒否する主な原因・理由、セックスレスの解消方法や、セックスレスが辛い場合の対処方法などについて、弁護士が解説させていただきました。
セックスレスが生じる背景や原因は、夫婦の生活環境や価値観、体調やストレスなど多岐にわたります。たとえば、妻側の疲労やホルモンバランスの乱れ、夫側の仕事上のストレスや加齢など、さまざまな要因が重なることで、お互いへの不満やコミュニケーション不足につながるケースも少なくありません。
本記事でセックスレスの原因や対処方法について把握していただき、円満な婚姻生活の維持に少しでも役立てていただけましたら幸いです。
また、セックスレスは夫婦間の非常にデリケートな問題ですので、なかなか周囲にも相談しづらい内容かもしれません。ですが、夫婦関係が深刻化する前に、なるべく早めに対応していただければと思います。
セックスレスを原因とした夫婦間のトラブルや離婚の是非などでお悩みがありましたら、ぜひ一度、当法律事務所の弁護士へご相談ください。
この記事を書いた人

雫田 雄太
弁護士法人あおい法律事務所 代表弁護士
略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。3,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。
家庭の法律問題は、なかなか人には相談できずに、気付くと一人で抱え込んでしまうものです。当事務所は、家庭の法律問題に特化した事務所であり、高い専門的知見を活かしながら、皆様のお悩みに寄り添い、お悩みの解決をお手伝いできます。ぜひ、お一人でお悩みになる前に、当事務所へご相談ください。必ずお力になります。