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児童扶養手当とは?申請手続き方法や支給条件などを弁護士が解説

監修者:弁護士法人あおい法律事務所

代表弁護士 雫田雄太

略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。
1,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。

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日本において、ひとり親家庭を支援するための重要な制度の一つが、児童扶養手当です。

この手当は、離婚や配偶者の死亡によって片親だけとなったひとり親家庭に対して、給付金を支給する制度です。

この児童扶養手当に似た制度に「児童手当」などもあり、しばしば混同している人も見受けられます。

そこでこの記事では、児童扶養手当とはどういった支援制度なのか、基本的な制度の概要について弁護士が分かりやすく解説させていただきます。子どもが何歳まで手当が支給されるのか、全額支給されるか一部支給されるかは何によって決まるのか、といった気になる点についても詳しく解説いたします。

また、児童扶養手当の申請手続き方法と、申請手続きの必要書類や、支給月・支給日などについてもご説明いたします。

この記事が、児童扶養手当の受給申請を検討しているひとり親家庭にとって、少しでもご参考となりましたら幸いです。

目次

児童扶養手当とは?

児童扶養手当法に基づきひとり親に支給される手当のこと

児童扶養手当とは、父母の離婚などで、父又は母と生計を同じくしていない児童が育成されるひとり親家庭について、その生活の安定と自立の促進に寄与し、児童の福祉の増進を図ることを目的として給付金が支給される制度のことです。

児童扶養手当の目的や制度の趣旨については、「児童扶養手当法」の第1条と第2条1項に、下記の通り定められています。

(この法律の目的)
児童扶養手当法第1条
この法律は、父又は母と生計を同じくしていない児童が育成される家庭の生活の安定と自立の促進に寄与するため、当該児童について児童扶養手当を支給し、もって児童の福祉の増進を図ることを目的とする。

(児童扶養手当の趣旨)
児童扶養手当法第2条1項児童扶養手当は、児童の心身の健やかな成長に寄与することを趣旨として支給されるものであって、その支給を受けた者は、これをその趣旨に従って用いなければならない。

児童扶養手当の申請手続きは、居住している市区町村役場の窓口で行います。児童扶養手当の支給金額には、「全額支給」と「一部支給」とがあり、年収(所得)によって決定されます。

児童手当と児童扶養手当は両方受給できるの?

さて、児童扶養手当と似た制度に、「児童手当」というものがあります。児童手当イコール児童扶養手当、と誤解されることもあるのですが、それぞれ異なる手当です。

児童手当とは、次代の社会を担う児童の健やかな成長に資することを目的とする「児童手当法」に基づいた公的支援制度です。

児童手当の支給対象は、国内に住所を有する中学校卒業まで(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の児童とされています。

これに対して、本記事で後述いたしますが、児童扶養手当は原則として「ひとり親家庭」を支給対象としています。

つまり、児童手当の場合は「15歳までの児童がいること」が支給条件となるため、「ひとり親家庭」を支給対象とする児童扶養手当とは、全く異なる支援制度なのです。

したがって、それぞれの支給条件に該当していれば、児童扶養手当と児童手当の両方を併給することが可能となります。

公的年金を受ける場合、児童扶養手当と併給できる?

ところで、児童扶養手当を受けるひとり親家庭が、公的年金等を受給している場合は、児童扶養手当と公的年金等を併給できるのでしょうか。

従来は、障害基礎年金等の公的年金を受給しているひとり親家庭では、児童扶養手当を併給することができませんでした。

しかし、令和3年に制度が改正され、障害基礎年金等の公的年金を受給しているひとり親家庭でも、公的年金等の金額が児童扶養手当の金額を下回る場合には、その差額分を受給できるようになりました(児童扶養手当法第13条の2)。

児童扶養手当法第13条の2 
手当は、母又は養育者に対する手当にあっては児童が第一号、第二号又は第四号のいずれかに該当するとき、父に対する手当にあっては児童が第一号、第三号又は第四号のいずれかに該当するときは、当該児童については、政令で定めるところにより、その全部又は一部を支給しない。
一 父又は母の死亡について支給される公的年金給付を受けることができるとき。ただし、その全額につきその支給が停止されているときを除く。
二 父に支給される公的年金給付の額の加算の対象となっているとき。
三 母に支給される公的年金給付の額の加算の対象となっているとき。
四 父又は母の死亡について労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)の規定による遺族補償その他政令で定める法令によるこれに相当する給付(以下この条において「遺族補償等」という。)を受けることができる場合であって、当該遺族補償等の給付事由が発生した日から六年を経過していないとき。
2 手当は、受給資格者が次に掲げる場合のいずれかに該当するときは、政令で定めるところにより、その全部又は一部を支給しない。
一 国民年金法の規定に基づく障害基礎年金その他障害を支給事由とする政令で定める給付(次項において「障害基礎年金等」という。)及び国民年金法等の一部を改正する法律(昭和六十年法律第三十四号)附則第三十二条第一項の規定によりなお従前の例によるものとされた同法第一条による改正前の国民年金法に基づく老齢福祉年金以外の公的年金給付を受けることができるとき。ただし、その全額につきその支給が停止されているときを除く。
二 遺族補償等(父又は母の死亡について支給されるものに限る。)を受けることができる場合であって、当該遺族補償等の給付事由が発生した日から六年を経過していないとき。
3 手当は、受給資格者が障害基礎年金等の給付を受けることができるとき(その全額につきその支給が停止されているときを除く。)は、政令で定めるところにより、当該障害基礎年金等の給付(子を有する者に係る加算に係る部分に限る。)の額に相当する額を支給しない。
4 第一項各号列記以外の部分及び前項の政令を定めるに当たっては、監護等児童が二人以上である受給資格者に支給される手当の額が監護等児童が一人である受給資格者に支給される手当の額を下回ることのないようにするものとする。

 したがって、公的年金を受給している場合でも、児童扶養手当の支給条件に該当する場合は、差額分を併給することができるのです。

児童扶養手当の支給条件

児童扶養手当の支給条件

次に、児童扶養手当の具体的な支給条件について見ていきましょう。児童扶養手当の支給条件については、児童扶養手当法第4条に定められています。

児童扶養手当の支給対象(児童扶養手当法第4条)

児童扶養手当の支給対象者となるのは、次のいずれかに当てはまる18歳に達する日以後の最初の3月31日までの児童(政令で定める程度の障がいの状態にある場合は20歳未満の児童)を監護している母、児童を監護し、生計を同じくする父又は養育者です。

  1. 父母が婚姻を解消した児童
  2. 父または母が死亡した児童
  3. 父または母が政令で定める程度の障がいの状態にある児童
  4. 父または母の生死が明らかでない児童
  5. 父または母から引き続き1年以上遺棄されている児童
  6. 父または母が裁判所からのDV保護命令を受けた児童
  7. 父または母が法令により引き続き1年以上拘禁されている児童
  8. 母が婚姻によらないで出産した児童

支給制限

なお、次のいずれかに当てはまる場合は、児童扶養手当を受けることができません。

  1. 児童又は請求者が日本国内に住所を有しないとき
  2. 児童が児童福祉施設等(母子生活支援施設、保育所、通園施設を除く)に入所しているとき
  3. 児童が里親に委託されているとき
  4. 児童が父及び母と生計を同じくしているとき(父又は母が障害による受給を除く)
  5. 児童が父又は母の配偶者(事実上の配偶者を含む。)に養育されているとき

支給条件については、原則として上記の通りとなりますが、支給対象者の条件に該当しているか不明な場合は、申請を行う市区町村役場に問い合わせて確認しておきましょう。

年収による制限「所得制限」に注意

児童扶養手当は、ひとり親家庭であれば誰でも受給できるというわけではありません。受給資格者や扶養義務者等の所得の合計額と扶養人数に応じて、所得制限が設けられています。

所得が一定額を超えると、児童扶養手当の支給を全額あるいは一部受けることができなくなるため、申請前には所得金額を確認することが重要です。

具体的には、受給資格者、配偶者及び扶養義務者の前年(1月から9月までに請求した場合は前々年)の所得金額について、次の表に記載された限度額を超えている場合、児童扶養手当の全部、もしくは一部が支給停止になります。

 

年収による制限「所得制限」に注意

 

 なお、この所得制限の限度額は、単純な年収ではありません。年収などの所得から、寡婦控除や医療費控除などの各種控除を差し引いた金額になります。

児童扶養手当の所得制限において、所得額から差し引くことのできる控除項目は次の通りです。

差し引くことのできる控除項目

控除額

老人扶養親族

10万円

老人控除対象配偶者

10万円

特定扶養親族及び控除対象扶養親族

15万円

特別障害者控除

40万円

障害者控除

27万円

勤労学生控除

27万円

寡婦控除(養育者・扶養義務者・孤児等の養育者のみ)

27万円

ひとり親控除(養育者・扶養義務者・孤児等の養育者のみ)

35万円

雑損控除

控除相当額

医療費控除

控除相当額

小規模企業共済等掛金控除

控除相当額

配偶者特別控除

控除相当額

定額控除(一律)

8万円

 さらに、受給資格者が父または母の場合は、養育費の8割相当額を加えた金額が、所得金額となります。

したがって、所得制限の限度額を確認する際の所得金額の計算は、次のようになります。

 給与等収入ー給与所得控除ー各種控除+養育費の8割相当額

 以上の通り、児童扶養手当の支給については、所得金額が深く関係してきます。所得制限の確認に必要な所得金額は、単純な年収ではなく、医療費控除などの各種控除項目について控除し、養育費を受け取っている場合は養育費の8割相当額を加算した金額です。

児童扶養手当を満額受け取りたい場合、こうした所得金額と所得制限について、きちんと理解しておく必要があります。

何歳までが「児童」?いつまで受給できる?

さて、児童扶養手当ですが、いつまで受給できるのでしょうか。「児童」とは何歳までを意味するのでしょう。

児童扶養手当の支給対象者となるのは、前述した通り、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの児童(政令で定める程度の障がいの状態にある場合は20歳未満の児童)を監護している母、児童を監護し、生計を同じくする父又は養育者に限られます。

そのため、対象の児童が18歳(障がいの状態にある場合は20歳未満)に到達すると、その年度末である3月31日に、児童扶養手当の受給資格が自然消滅することになります。

児童の年齢到達による児童扶養手当の受給資格の喪失は、自然消滅なので、年齢に達した旨の届出などの手続きは不要です。

支給金額・支給月(2024年現在)

次に、児童扶養手当の実際の支給金額や、支給月・支給日などについて、簡単にご説明いたします。

いくら支給される?金額は物価スライド制

児童扶養手当の支給金額は、請求者または配偶者及び扶養義務者の前年の所得(1月~9月の間に不備のない請求書を提出する場合は、前々年の所得)によって決定されます。

請求者等の所得金額や、支給対象となる子どもの数によっても実際の支給金額は変わりますが、基本的には下の表の通りです。

児童数

全額支給の場合

一部支給の場合

1人

45,500円

45,490円~10,740円

2人

10,750円を加算

10,740円~5,380円を加算

3人以上

3人目以降1人につき6,450円を加算

6,440円~3,230円を加算

 なお、こちらの表の金額は2024年(令和6年)4月からのものですが、支給される金額は、物価変動などによって改正されることがあります(物価スライド制)。2024年の支給額と2025年の支給額が異なる可能性がありますので、注意してください。

そして、児童扶養手当の支給金額は、10円単位で変動します。たとえば、児童1人の場合は、45,490円から10,740円までの10円きざみの金額で児童扶養手当額が決定します。

 「扶養義務者」って誰?

 ところで、児童扶養手当の支給条件の所得制限の際にも出てきましたが、「扶養義務者」とは誰のことでしょうか。

扶養義務者の範囲については、民法第877条1項に定められています。

(扶養義務者)
民法第877条1項 直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。

したがって、児童扶養手当における「扶養義務者」とは、受給者等と同居しているなどして生計を一にしている者であって、かつ請求者の父母兄弟姉妹などのことを指します。

また、児童に所得がある場合には、受給対象の児童であったとしても、受給者の扶養義務者となります。

支給月や支給日は?奇数月の11日が振込日

児童扶養手当の申請を行って請求が認定されると、申請手続きをした日の属する月の翌月分から児童扶養手当が支給されることになります。

支給月と支給日は決められており、下記の表の通り、奇数月の11日に、申請者が指定した金融機関の口座へ児童扶養手当が入金されます。

なお、振込日の11日が金融機関の休業日の場合には前営業日に、11日が土曜日・日曜日・祝日に当たる場合には、その前日に振り込まれることになります。

支給日

支給対象月

1月11日

11~12月分

3月11日

1~2月分

5月11日

3~4月分

7月11日

5~6月分

9月11日

7~8月分

11月11日

9~10月分

 申請手続き方法と必要書類

初回の申請手続きは認定請求書・戸籍謄本・健康保険証等を提出

児童扶養手当の申請手続きは、住んでいる市区町村役場の児童福祉課などの窓口で行います。

まずは手続きを行う役所に事前に連絡し、児童扶養手当の申請窓口や必要書類、所得制限などについて、不明な点があれば確認しておきましょう。

次に、児童扶養手当の申請書と必要書類を準備します。児童扶養手当の申請書(認定請求書)は、市区町村役場の窓口やホームページから入手することが可能です。

児童扶養手当の申請書は、住所氏名といった基本的な記載事項に加え、個人番号や障害の有無、公的年金の受給状況などについても記入しなければなりません。申請書に不備のないよう、自宅などで落ち着いて記入すると良いでしょう。

参考:児童扶養手当(川崎市)

そして、申請書の他に、必要に応じて提出する書類を用意します。認定請求書の他に必要な書類は、主に次のようなものがあります。

  • 請求者及び対象児童の戸籍謄本・抄本(離婚による場合は、離婚日の記載がある戸籍も必要)
  • 請求者及び対象児童が含まれる世帯全員の住民票の写し(続柄・本籍が分かるもの)
  • 預貯金通帳(普通口座で請求者本人名義のもの)
  • 請求者、配偶者及び扶養義務者の前年(請求日が1月~9月の場合は前々年)の所得証明書
  • 請求者の個人番号が確認できるもの(請求者本人の個人番号カード、個人番号通知カード、請求者本人の個人番号の記載された住民票の写し又は住民票記載事項証明書等のうちいずれか)
  • 請求者が本人であることを確認できるもの(請求者本人の個人番号カード、自動車運転免許証、パスポート、在留カード、身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳、健康保険証、年金手帳等のうちいずれか)

認定請求書等の提出は郵送でも可能です

申請書類一式の準備ができたら、窓口に提出します。

市区町村によっては郵送による請求も受け付けておりますので、窓口に行くことが難しい場合には郵送申請が可能かどうか、事前に確認しておきましょう。

児童扶養手当の申請書類の提出後、児童扶養手当の受給資格の有無や所得の状況等を確認するために、書類の追加提出を求められることや、調査を実施されることがあります(児童扶養手当法第29条1項)。

(調査)
児童扶養手当法第29条1項 
都道府県知事等は、必要があると認めるときは、受給資格者に対して、受給資格の有無及び手当の額の決定のために必要な事項に関する書類(当該児童の父又は母が支払つた当該児童の養育に必要な費用に関するものを含む。)その他の物件を提出すべきことを命じ、又は当該職員をしてこれらの事項に関し受給資格者、当該児童その他の関係人に質問させることができる。

児童扶養手当の申請後、審査を経て認定までに2ヶ月程度かかります。

全部支給か一部支給か、などの認定結果については、児童扶養手当証書によって通知されます。

参考:児童扶養手当証書(橋本市)

児童扶養手当証書には、住所氏名・生年月日といった基本的事項の他、証書番号や児童扶養手当の月額、支払開始年月や支払金融機関についても記載されています。

児童扶養手当証書は他の制度の申請手続きで提示を求められることがあるため、紛失しないように大切に保管しておきましょう。

なお、児童扶養手当証書をもし紛失してしまった場合でも、再交付してもらうことは可能です。

支給開始後も「現況届」による報告が必要

児童扶養手当の認定請求をして受理されても、実は手続きが完全に終わったわけではありません。

児童扶養手当を受給している受給者は、毎年8月1日から8月31日までの間に、「現況届」を市区町村役場に提出する必要があります。児童扶養手当が全部停止の場合も、現況届の提出が必要です。

通常、現況届に必要な書類は次の2点です。

  • 児童扶養手当現況届(市区町村役場から対象者に送付されます)
  • 児童扶養手当証書(手当全部停止者を除く)

児童扶養手当の現況届の提出については、市区町村役場から事前に郵送で通知されるため、通知書をよく読んで、他に提出すべき必要書類がないかしっかり確認しましょう。

役所は、提出された現況届に基づいて、その年の11月から翌年10月分までの児童扶養手当の支給額を決定します。

現況届を提出しないと、以降の児童扶養手当が支給されなくなってしまう上に、現況届を提出しないまま2年が経過してしまうと、時効となり児童扶養手当の受給権がなくなってしまいますので、児童扶養手当の現況届を忘れることのないよう、十分に注意してください。

児童扶養手当の受給資格がなくなったら資格喪失届の提出を忘れずに!

児童扶養手当の受給資格がなくなった場合には、資格喪失届を提出しなければなりません。

児童扶養手当の受給資格を喪失するケースとしては、次のような場合が該当します。

  • 結婚したとき。
  • 事実婚関係になったとき。
  • 前夫又は前妻の引き取り、施設に入所した、里親に委託された等の事情によって、対象児童を養育しなくなったとき。
  • 受給者や対象児童が国外に転出したとき。
  • 受給者本人や対象児童が死亡したとき。

こういった事情がある場合に資格喪失届を提出しないと、児童扶養手当の受給資格がないのに児童扶養手当を受給していたことになってしまい、受給した児童扶養手当を返還しなくてはならなくなってしまいます。

また、上記以外にも児童扶養手当の受給資格を喪失する場合がありますので、生活状況に変化があった際には、児童扶養手当の受給資格を喪失するケースに該当するか、役所に問い合わせて確認することをおすすめいたします。

Q&A

Q1.児童扶養手当とは何ですか?

児童扶養手当とは、父母の離婚などで、父又は母と生計を同じくしていない児童が育成されるひとり親家庭について、その生活の安定と自立の促進に寄与し、児童の福祉の増進を図ることを目的として給付金が支給される公的支援制度です。

Q2.児童扶養手当と児童手当や公的年金は併給することができますか?

児童扶養手当と児童手当は、それぞれ支給対象の異なる公的支援制度なので、それぞれの支給条件に該当する場合は両方併給することが可能です。

また、公的年金を受給している場合にも、児童扶養手当の支給条件に該当する場合は、公的年金の金額との差額分を併給することができます。

Q3.児童扶養手当の不正受給の疑いで通報された場合はどうなるのでしょうか?

児童扶養手当の不正受給の疑いで通報された場合、役所は詳細な調査を行い、事実関係を確認します。

不正受給が認められると、受給者は不正に受け取った児童扶養手当を返還しなければなりません(児童扶養手当法第23条)。

(不正利得の徴収)
児童扶養手当法第23条 偽りその他不正の手段により手当の支給を受けた者があるときは、都道府県知事等は、国税徴収の例により、受給額に相当する金額の全部又は一部をその者から徴収することができる。

また、不正の態様によっては、3年以下の懲役または30万円以下の罰金に処される可能性もあります(児童扶養手当法第35条)。

(罰則)
児童扶養手当法第35条 偽りその他不正の手段により手当を受けた者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。ただし、刑法(明治四十年法律第四十五号)に正条があるときは、刑法による。

弁護士法人あおい法律事務所の弁護士にお問い合わせください

児童扶養手当は、経済的に困難な状況にあるひとり親家庭を支援するための制度です。

適切な申請と手続きを通じて、子どもたちの健全な育成と福祉の向上を目指すものであり、その適用条件や必要書類には厳格な基準があります。法的な支援が必要な場合や手続きの進め方に不明点がある際には、専門家の助けを借りることが望ましいです。

詳しい相談やご質問があれば、ぜひ弁護士法人あおい法律事務所の弁護士にお問い合わせください。

この記事を書いた人

雫田 雄太

弁護士法人あおい法律事務所 代表弁護士

略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。1,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。

 

家庭の法律問題は、なかなか人には相談できずに、気付くと一人で抱え込んでしまうものです。当事務所は、家庭の法律問題に特化した事務所であり、高い専門的知見を活かしながら、皆様のお悩みに寄り添い、お悩みの解決をお手伝いできます。ぜひ、お一人でお悩みになる前に、当事務所へご相談ください。必ずお力になります。

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