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シングルマザーの賃貸物件|母子向けの住まいやアパートの選び方

監修者:弁護士法人あおい法律事務所

代表弁護士 雫田雄太

略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。
1,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。

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夫との離婚や死別によってシングルマザーになった場合、それまで暮らしていた住まいを離れて、新たな住まいを探す人も多いことでしょう。

シングルマザーになり、住まい、仕事、子供の保育園を探さなければならない・・・という状況の場合、まず住まいを決めてから、仕事と保育園を探したいという方もいらっしゃるでしょう。

シングルマザー自身の勤務先や、子どもの通園・通学に配慮した生活環境や住まいを探すとなると、アパートなどの賃貸物件もかなり限定的になりがちです。理想の賃貸物件を見つけても、仕事や収入、保証人の有無といった入居審査の段階で落とされてしまうこともあるため、経済的な面での不安を抱く方も多いでしょう。そのため、シングルマザーにとっての住まい探しはそう簡単ではありません。

この記事では、シングルマザーの物件探しをテーマに、賃貸物件を中心として、どういった物件があるのか、賃貸物件の選び方のポイントは何か、といった点について解説させていただきます。

また、賃貸借契約の方法や、入居審査の内容についても分かりやすくご説明いたします。

本記事の解説が、これから住まいを探すシングルマザーの方々にとって少しでもご参考となりましたら幸いです。

目次

シングルマザーと住まい 賃貸物件の種類と選び方

 

シングルマザーと住まい 賃貸物件の種類と選び方

 

夫と離婚・死別して家を出ていくことになった時、なるべく短期間で次の住宅を探し、賃貸借契約と引越しを済ませなければなりません。

既に持ち家があるシングルマザーや、実家を頼れる場合は問題ありませんが、子どもの通園や通学、シングルマザー自身の仕事の関係から、賃貸住宅を借りて母子だけで生活していかなければならないケースも少なくありません。

こうした時に、どういった賃貸住宅が、母子家庭向けの住宅として候補になるのでしょうか。母子家庭向けの賃貸住宅について見ていきましょう。

公営住宅(都道府県営・市区営住宅)

民間の賃貸住宅ではなく、都道府県や市区が運営する公営の賃貸住宅をご存知でしょうか。

国と県や市区が協力して運営する公営の賃貸住宅は、その性質上、シングルマザーに限らず収入の少ない人が低い家賃で生活できる賃貸物件です。

毎月の家賃が低いというだけでなく、ほとんどの場合は礼金や更新料が不要です。また、公営住宅によっては敷金や保証人も不要なこともあります。家賃は2万円~5万円の物件が一般的です。

そのため、こうした公営住宅は、収入が限られるシングルマザーにとって、手頃な家賃設定と初期費用の低さは大きな魅力なのです。

また、これらの賃貸物件は、子どもの成長に適した環境や、安全な居住空間を提供することを目的としています。多くの公営住宅は学校や保育施設が近くにあり、子どもの教育や日々の送迎が容易になるよう配慮されています。

また、公営住宅では、母子家庭が優先的に入居できる制度が設けられていることが多く、シングルマザーが住みやすい環境が整っています。

公営住宅を探すには、インターネットで「〇市 公営住宅」などのキーワードで検索するのが一般的です。たとえば、「静岡 公営住宅」のキーワードで公営賃貸住宅を検索してみると、静岡県庁の公営住宅課のWebページや、静岡県住宅供給公社が運営する静岡県内の公営住宅の検索サイトが表示されます。

参考:静岡県住宅供給公社

他にも、「東京都 公営住宅」のキーワードで公営賃貸住宅を検索してみると、東京都住宅供給公社が運営するサイトなどが表示されます。

参考:東京都住宅供給公社

さらに、低収入の人の中でも、シングルマザーをはじめとする子育て世帯を優先・優遇する公営住宅制度もあります。

たとえば静岡市の市営住宅に関しては、市営住宅子育て世帯優先入居の制度が設けられています。子育て世帯の居住の安定的な確保を支援し、子育てしやすい環境づくりを進めることを目的とし、市営住宅の入居枠について、一般枠とは別に2種類の「子育て支援枠」を設けているのです。

この優先入居の制度によれば、申込時に中学3年生以下の子どもがいるシングルマザーの場合、入居期限のない募集枠に応募することができます。

参考:令和4年度より、市営住宅空家募集に子育て支援(期限なし)が新設されました。(公益財団法人静岡市まちづくり公社)

県営賃貸住宅や市区営賃貸住宅へ入居を希望する場合、まずは自治体の募集要項をホームページなどで確認し、抽選に申し込みます。抽選で仮当選したら、公営住宅の入居申請に必要な書類を揃えます。

  • 住民票
  • 戸籍謄本
  • 市・県民税課税証明書
  • 市・県民税納税証明書
  • 給与の源泉徴収票
  • 収入証明書・事業所得者用収入証明書
  • 確定申告書の控え
  • 年金等の源泉徴収票
  • 誓約書
  • 自活状況申立書または自活状況調査書
  • 生活保護受給証明書

この他、身体障害者手帳など、公営賃貸物件の申込に必要な書類を提出し、入居資格の審査を受けます。

入居審査に合格したら、実際に入居する部屋の確認(下見)をし、入居の手続きと敷金等の納付を済ませ、入居開始となります。

UR賃貸住宅

続いてご紹介するシングルマザー向けの賃貸物件は、UR賃貸住宅です。

あまり聞きなれないかと思いますが、UR賃貸住宅とは、都市再生機構(UR都市機構)」という独立行政法人が運営する「公団住宅」のことを指します。

参考:UR賃貸住宅(UR都市機構)

敷金は月額家賃の2か月分かかりますが、仲介手数料や礼金、更新料は不要です。UR賃貸住宅に入居後は1年毎に契約が自動更新されるため、面倒な更新手続きもありません。

そして、保証人も不要です。

UR賃貸住宅に申し込む場合は、次の5つの条件に該当している必要があります。

  1. 申込者本人の平均月収額が基準月収額以上ある方
  2. 日本国籍の方、またはURが定める資格を持つ外国籍の方で、継続して自ら居住するための住宅を必要とする方
  3. 単身者もしくは現に同居し、または同居しようとする親族のある方
  4. 申込者本人を含めた同居世帯全員が、URが定める入居開始可能日から1か月以内に入居でき、物件内で円満な共同生活を営むことができる方
  5. 申込者本人を含めた同居世帯全員が暴力団員などではない方

申し込む際には、主に以下の書類が必要です。詳細は、ホームページなどでご確認ください。

  • 賃貸住宅入居申込書(UR都市機構指定様式)
  • 住民票の写し
  • 収入を証明する書類

UR賃貸物件を借りるための流れは、次の通りです。

まずはUR都市機構のホームページや店舗で希望の賃貸物件を探し、申込資格を確認して仮申込を行います。賃貸物件の内覧をし、書類の提出(本申込)を行います。書類審査が終了したら、契約手続きをして入居となります。

UR賃貸物件は、公営賃貸物件に比べると、若干家賃が高い場合もあるようですが、シングルマザーなどの子育て世帯は最大20%家賃が減額される子育て割などの家賃プランがあるため、そういったお得なプランを活用して、母子に合ったUR賃貸物件を借りることが可能です。

シンママ専用シェアハウス(母子ハウス)

さて、シングルマザー向け賃貸物件の中には、他のシンママ(シングルマザー)と共同で暮らすシェアハウス(母子ハウス)があります。

通常のシェアハウスと異なり、シングルマザー専用のシェアハウスは、入居者がシンママとその子どもだけです。似たような境遇で、同じ悩みを抱えているシンママ同士で話し合ったり、子どもが風邪をひいたりした時や、地震などの災害時に、シェアハウスで暮らすシンママ同士、すぐに助け合うことができます。

何かあった時にすぐに頼れる人が周りにいなくて不安、というシングルマザーにとって、「シェアハウスで同居している同じシンママ」という存在は、非常に心強い存在です。

このようなシングルマザー専用のシェアハウスは、その運営主体や物件によって、入居の要件やシェアハウス内のルールが異なります。

たとえば、あるシェアハウスは常時管理人がシェアハウス内を見守っており、平日は夕食も提供してもらえます。シングルマザーと子どもに加え、ペットも同居できるシェアハウスもあれば、子どもの一時預かり(ショートステイ・トワイライトステイ)が同じ建物内にあるシェアハウスもあります。

シングルマザー専用のシェアハウスを検索できるホームページなどもありますので、自分の居住地にシングルマザー専用のシェアハウスがあるかを調べ、募集要項等を確認してみてください。

例えば、「母子ハウス ○○(お住まいの地域)」などと検索してみることをおすすめします。

アパートやマンション

賃貸物件というと、やはりアパートやマンションが候補として挙がりますよね。

賃貸物件の検索サイトで、アパートやマンションの間取りや部屋数、広さ、家賃、周辺立地や駅からの距離、といった条件で絞り込んでの検索が可能です。

最低限の条件だけを希望して、たとえば築年数や駅からの距離などについては妥協すれば、予算に合ったアパートやマンションなどの賃貸物件を見つけることもできるでしょう。

アパートやマンションですと、物件の他の住人との共用部分は廊下やエントランス部分に限られるため、シンママ専用シェアハウスなどの共同生活が向かない母子にとっては、アパートやマンションがおすすめです。

また、賃貸物件を探している地域にシンママが利用しやすいシェアハウスがないような場合にも、アパートやマンションであれば見つかる可能性が高いです。

一方で、前述した公営住宅やシンママ専用シェアハウスなどでは、礼金・手数料・更新料・保証人等が不要な物件が多いのに比べ、アパートやマンションは礼金・手数料・更新料・保証人等を必要とする物件が一般的です。

そのため、シングルマザーにとって、シンママ専用シェアハウスや公営賃貸住宅、アパート・マンションのどれが最適なのかは、ケースバイケースといえます。

シングルマザーの生活に適した賃貸物件を見つけるためには、シンママと子どもの母子生活に必要な条件をリストアップし、優先順位をつけることが重要です。

見つからない時はマンスリーマンション等も活用しましょう

すぐに賃貸物件を契約できないが、家を出ていかなければならない・・・というような時には、一時的な生活拠点として、ウィークリーマンションやマンスリーマンションも検討してみてはいかがでしょうか。

最近では、最低7日間から借りられるウィークリーマンションや、1ヶ月から借りられるマンスリーマンションといった、便利な賃貸物件が増えてきました。

こういった短期型のマンションやアパートは、既に生活に必要な家具・家電が部屋についているため、一般的な賃貸物件よりも手軽に引っ越しができます。また、敷金・礼金のいらない物件や、保証人不要な物件も多いので、賃貸物件を契約して引っ越すまでの一時的な期間だけ借りる、ということができるのです。

シングルマザーにおすすめの賃貸住宅の間取り・部屋数は?

ワンルームは狭い?母子家庭では1DK、1LDK、2DKがおすすめ

シングルマザーが子どもと共に快適に生活するためには、賃貸住宅の間取り選びが非常に重要です。適切な部屋数とスペースは、子育てのしやすさだけでなく、母子家庭のプライバシー保護にも寄与します。

ここでは、特におすすめの1DK、1LDK、2DKの間取りについて、その利点と共に解説します。

まず、「ワンルーム」は寝室とリビングが一緒になったシンプルな間取りで、主に単身者向けです。

これに対し、「DK」(ダイニング・キッチン)は、キッチンがダイニングスペースと一体化している設計で、少し広めの料理や食事のスペースが確保されています。「LDK」(リビング・ダイニング・キッチン)は、リビングとダイニングが一つの大きな部屋として設計されており、シングルマザーと子どもが集まる共有スペースとして機能します。

1DKでは、キッチンが独立しているため、料理中の音や匂いが他の部屋に広がりにくく、子どもが寝ている際も家事をしやすい環境を提供します。子どもの遊び場や勉強スペースとしてリビングを使うことができ、シングルマザーと子どものコミュニケーションも促進されます。

1LDKは、リビングスペースがより広く取られているため、シングルマザーと子どもが一緒に過ごす時間をより快適に楽しむことができます。また、来客時もリビングとは別にプライバシーが守られるスペースが確保されているため、子どものお昼寝中でも安心して接客が可能です。

2DKは、さらに部屋数が増えるため、子どもが成長して独立した空間を必要とする年齢になった際に理想的です。子ども専用の部屋を設けることで、シングルマザーと子どもお互いのプライバシーを尊重しつつ、健やかな成長をサポートします。また、勉強部屋や遊び部屋として利用することも可能で、子どもの発達段階に応じて部屋の使い方を柔軟に変更できるのが大きな利点です。

以上の通り、子どもの成長やシングルマザーと子どものライフスタイルに合わせて、最適な間取りや部屋数が考えられます。シングルマザーが賃貸物件を探す際には、間取りや部屋数も十分に検討してください。

家賃・初期費用・支援制度

シングルマザーが賃貸物件を借りる際の家賃の相場はいくら?

シングルマザーに限られるわけではありませんが、一般的に賃貸物件を借りる際の家賃の目安は「月収(手取り)の3分の1」とされています。

たとえば、シングルマザーの月収が手取り20万円の場合、家賃の理想的な上限は約6万6千円となります。

もちろん、月収の3分の1の金額ギリギリの賃貸物件を借りる必要はありません。子育てにおいては突然の予期せぬ出費もありますから、生活費や貯蓄にまわせるよう、なるべく家賃をおさえることが重要です。

賃貸物件の検索サイトでは、駅や市区町村のそれぞれの家賃相場を調べることも可能ですので、賃貸物件を探す際には積極的に活用してみてはいかがでしょうか。

初期費用はどれくらい?

シングルマザーが賃貸物件を借りる際、初期費用は特に注意を払うべき、非常に重要なポイントです。

賃貸物件の初期費用には、一般的に敷金、礼金、仲介手数料、火災保険料、日割り家賃、前家賃、保証会社利用料などが含まれます。こうした初期費用の合計額は、家賃の4~6ヶ月分になることもあるため、たとえば「家賃が安く、月4万円でアパートを借りられる」となった場合でも、初期費用は16万円~24万円になることがあるのです。

賃貸物件の初期費用を節約するために、シングルマザーが検討すべき具体的な方法はいくつかあります。特に費用負担が大きい敷金や礼金、仲介手数料に注目して、これらのコストを減らす方法を積極的に探しましょう。

敷金や礼金が不要な賃貸物件を選ぶことは、シングルマザーが家を借りる際の初期費用を大きく抑える方法の一つです。多くの賃貸物件では、通常、家賃の1~2ヶ月分相当が礼金として要求されることが多いですが、近年は礼金なしの物件も増えています。また、敷金が少ないか、返還率が高い物件を選ぶことも大切です。

そして、不動産業者の選び方も重要です。不動産業者によっては、特定の物件について割引を行ったり、期間限定で仲介手数料を免除する場合がありますので、そういったキャンペーン情報を積極的に探してみましょう。

このように、家賃の高い・低いだけでなく、初期費用の合計金額がいくら必要になるのかを試算することは、賃貸物件選びで非常に大切です。

賃貸物件の初期費用を大幅に削減し、限られた予算内で快適な住環境を確保することができるよう、シングルマザーが賃貸物件を選ぶ際は、これらの節約ポイントを念頭に置いて、最適な物件を見極めることが重要です。

シングルマザー向けの住宅補助金はある?

日本では、シングルマザーを含む低所得の家庭を支援するために、住宅補助金や助成金が提供されています。これらの補助金は自治体によって、具体的な内容や申請方法が異なるため、自分の居住地の役場に問い合わせて確認することが大切です。

主な公的補助制度としては、児童扶養手当や児童手当、自治体による住宅手当が挙げられます。

児童扶養手当

児童扶養手当は、「母子手当」や「父子手当」とも呼ばれる公的支援制度です。離婚などによって父または母と一緒に生活していない児童が育つ家庭の生活を安定させ、自立を促進することを目的として手当が支給されます。

こちらの関連記事にて、児童扶養手当に関して詳しく解説しておりますので、ぜひご一読ください。

[児童扶養手当とは?申請手続き方法や支給条件などを弁護士が解説]

児童手当

児童手当とは、次代の社会を担う児童の健やかな成長に資することを目的とする「児童手当法」に基づいた支援制度です。

支給対象は、国内に住所を有する中学校卒業まで(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の児童、とされており、受給者(児童を養育する父母のうち、生計を維持する程度の高い人)の前年の所得により、支給区分が決定されます。

詳細については、現住所の市区町村の担当窓口で確認してください。

住宅手当

住宅手当とは、シングルマザー等のひとり親世帯やファミリー世帯に対し、家賃等を支援することで負担を軽減し、定住化や居住水準の向上を図ることを目的とした助成金交付制度です。

例えば、東京都世田谷区には、シングルマザー(シングルファーザー)が世田谷区で転居する場合に利用できる、「ひとり親世帯家賃低廉化補助事業対象住宅」という制度があります。この制度は、賃貸人に対して世田谷区が家賃の一部を補助することなどで、家賃を減額するものです。この制度を受ける条件として、対象が世田谷区内の住宅に転居する場合に限られるなどの条件もあるため、事前に確認しておくべきです。具体的な制度の詳細については、直接問い合わせを行うなどの方法で確認することをおすすめします。

参考:東京都世田谷区「ひとり親世帯家賃低廉化補助事業対象住宅のご案内」

住宅手当は市区町村が独自に行っている制度のため、実施していない自治体もありますが、家賃の補助制度があるかどうか、役所等に問い合わせてみることをおすすめいたします。

シングルマザー必見!入居審査のポイントと契約方法

それでは最後に、賃貸物件の契約方法と、賃貸物件の一般的な入居審査のポイントについて、簡単にご説明させていただきます。

賃貸借契約の方法

シングルマザーが賃貸物件の賃貸借契約の方法や流れは、一般的な手続き方法と大きな違いはありません。

1.物件の検索と内見

最初に、インターネットの不動産サイトや不動産仲介店を利用して、希望に合った賃貸物件を探します。気になる物件が見つかったら、実際に内見を行い、部屋の状態や周辺環境を確認します。

2.申込み

内見後、物件が気に入ったら申込書を提出し、賃貸契約の意思を伝えます。この時、希望する契約条件(契約期間、入居日など)を記入します。

3.入居審査

申込み後、賃貸管理会社または大家による審査が行われます。この審査では、入居者の信用情報や収入証明、職場情報などがチェックされます。また、連帯保証人がいない場合に保証会社を利用する時は、保証会社の利用の審査も行います。

4.賃貸借契約の締結

入居審査に通ると、賃貸契約の締結へと進みます。契約時には賃貸借契約書に署名・捺印を行い、契約書に基づく重要事項の説明を受けます。この段階で、敷金、礼金、仲介手数料などの初期費用の支払いが必要です。

5.鍵の受け取りと入居

契約が全て完了し、初期費用が支払われると、物件の鍵を受け取ります。これで正式に入居が可能となり、引越しの準備に入ります。

入居審査のチェックポイント

アパートやマンション等を借りる際に避けては通れないのが、入居審査です。シングルマザーが賃貸物件を借りる時、シングルマザーだという理由で入居審査に落とされるんじゃないか、と心配な方もいらっしゃるかもしれませんが、シングルマザーだからという理由だけで賃貸物件の入居審査で落とされることはありません。

シングルマザーであろうと単身者であろうと夫婦であろうと、賃貸物件の入居審査のチェックポイントを満たしていれば、賃貸物件の入居審査をクリアできます。

さて、賃貸物件の入居審査ですが、賃貸住宅を貸す側としては、物件を借りる人が「きちんと家賃を支払えるだけの収入を得ているか」という点と、「物件を借りた人が家賃を支払えない場合に、代わりに支払ってくれる保証人(連帯保証人)がいるか」の2点を特に厳密にチェックします。

具体的には、賃貸物件の入居審査では、次のポイントを重点的にチェックされます。

  • 年収
  • 職業・勤務先の安定性
  • 保証人・保証機関の有無
  • 入居者の人柄や身なり
  • 子どもの年齢

家賃支払い能力は、入居審査の重要な要素です。これは借り手の職業や収入、勤務先の安定性などを含む、さまざまな情報に基づいて評価されます。

たとえば、シングルマザーがフルタイムの勤務で、長期に渡って継続勤務しているなど、収入や雇用が安定していて明確であれば、物件の提供者も安心できるため、シングルマザーでも審査がスムーズに進みます。

しかし、収入が不安定であると、家賃の滞納リスクが高まってしまうため、審査を通過するのが難しくなってしまうのです。

さらに、賃貸契約においては借り手の人柄や連帯保証人の有無も審査対象です。ですが、シングルマザーの場合、連帯保証人を頼める人がいなかったり、適切な連帯保証人を見つけることが困難だったりすることも少なくありません。

このような時には、賃貸契約の連帯保証人として機能する保証会社を使うことが一般的ですが、保証会社の利用についても審査は行われます。保証会社はあくまで立て替えをしてもらう会社なので、後日、入居者が保証会社に対して立て替えてもらった分を支払う必要があります。

また、子どもがいる場合には、子どもの年齢や人数が入居審査で考慮されることがあります。幼い子どもがいる場合は、夜泣きや騒音などの要因で近隣トラブルになるリスクがあると入居審査において判断される可能性があります。

なお、子どもが一人だったり、ある程度自立している10歳程度の子どもだったりする場合には、こうした近隣トラブルや騒音トラブルのリスクが少ないため、賃貸物件の入居審査に影響しないようです。

このように、収入や保証人の有無は、シングルマザーが賃貸物件を借りるにあたって非常に重要なチェックポイントとなります。もし保証人が見つからないような場合には、本記事でご紹介した保証人不要の公営住宅やUR賃貸住宅なども検討してみましょう。

シングルマザーの賃貸物件に関するQ&A

Q1.シングルマザーでも公営住宅に入居できますか?

可能です。低所得者や福祉受給者を対象とした公営住宅は、安定した住まいを提供することを目的としており、シングルマザーは公営住宅の入居対象者として優先されることが多いです。申し込みには収入証明などの書類が必要ですが、自治体によって詳細が異なるため、居住地の市区町村役場で情報を確認してください。

Q2.UR賃貸住宅とは何ですか?シングルマザーにはどのようなメリットがありますか?

UR賃貸住宅は、都市再生機構が提供する公的な賃貸住宅で、更新料なしで長期に渡って住むことができる点が特徴です。シングルマザーにとっては、家賃が市場価格よりも安く設定されていること、広い居住空間が提供されることがメリットとして挙げられます。また、子育て支援施設が近隣にあることも多いです。

Q3.連帯保証人がいない場合、賃貸契約はどうすればいいですか?

連帯保証人がいない場合は、保証会社を利用する方法があります。保証会社は契約の際に入居者に代わって保証人となり、家賃の支払いが滞った場合に代わりに支払いを行います。保証会社を利用するには別途手数料が発生しますが、連帯保証人を準備できないシングルマザーにとっては有効な選択肢となります。

弁護士にご相談ください

この記事では、シングルマザーの物件探しをテーマに、賃貸物件を中心として、シングルマザー向けの賃貸物件には何があるのか、賃貸物件の選び方のポイントは何か、といった点について解説させていただきました。

シングルマザーが賃貸住宅を探す際には、様々な課題や制約が存在しますが、適切な情報と支援を得ることで、母子の状況に適した賃貸物件を見つけることが期待できます。

公営住宅やUR賃貸住宅のように、家賃が比較的安価で子育て支援施設に近い物件を選ぶこと、また、連帯保証人がいない場合には保証会社を活用したり、公的支援を利用したりすることで、経済的な負担を軽減し、母子にとって安定した住環境を確保することができるでしょう。

賃貸物件探し以外にも、母子生活でのお悩みやご不安がありましたら、お気軽に弁護士にご相談ください。さまざまな法的手続きや、公的手続きについて、正しい知識を持った弁護士が適切に対応いたします。

この記事を書いた人

雫田 雄太

弁護士法人あおい法律事務所 代表弁護士

略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。1,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。

 

家庭の法律問題は、なかなか人には相談できずに、気付くと一人で抱え込んでしまうものです。当事務所は、家庭の法律問題に特化した事務所であり、高い専門的知見を活かしながら、皆様のお悩みに寄り添い、お悩みの解決をお手伝いできます。ぜひ、お一人でお悩みになる前に、当事務所へご相談ください。必ずお力になります。

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