不倫で慰謝料を請求する方法とは?離婚と合わせて示談や裁判の方法も解説!
配偶者が不倫をしている場合、慰謝料を求めることができます。
しかし、「どこからが不倫になるの?」、「離婚も考えているけど、いつ慰謝料を請求すればいいの?」など、不安や疑問を抱えている方も少なくありません。
悩まれる場合は、弁護士などに相談することが一番ですが、まずはご自身で根拠や方法などについて調べることもおすすめします。
ここでは、不倫による慰謝料請求について、法的な観点から解説します。
慰謝料請求、根拠や条件、また具体的な手続きの方法などについて詳しくみていきましょう。
目次
不倫の慰謝料請求ができる条件とは?どこからが不倫になるの?
不倫の慰謝料請求が認められるのは、肉体関係がある場合
配偶者の不倫や浮気が発覚しても、すべてのケースで慰謝料を請求できるとは限りません。
不貞の慰謝料請求が認められる不貞行為とは、配偶者以外の異性と肉体関係を持った場合に限られず、同棲をしている場合や婚姻を破綻させるに至らせる蓋然性のある異性との交流や接触も含まれます。
このような行為がある場合には、平穏な婚姻関係の維持という権利が侵害されていると認められるから、不法行為責任を負うことになります。
ここでは、不倫の慰謝料請求が認められるかどうかを判断するために、まず「不貞行為」と「不法行為」について知ることが大切ですので、これについて解説していきます。
民法上の不貞行為とは
まずは、民法上の不貞行為について説明します。
民法(770条第1項)では、夫婦の離婚事由を定めています。
民法770条第1項
夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
1.配偶者に不貞な行為があったとき。
2.配偶者から悪意で遺棄されたとき。
3.配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。
4.配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
5.その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
この1つ目に挙げられているものが、「不貞行為」、いわゆる不倫のことです。
不貞行為が離婚事由になっていることから明らかなとおり、夫婦には貞操義務といって、配偶者以外と性的関係を持ってはいけない義務があります。
そのため、不貞行為は、平穏な婚姻関係の維持という権利を侵害するものと認められています。
民法上の不法行為として慰謝料を請求する
次に、この配偶者による「不貞行為」が、民法709条に定めている「不法行為」にあたることをご説明します。
民法(709条)は、不法行為について、次のように定めています。
第709条
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
判例でも、不貞相手に対して他方配偶者が不法行為に基づく損害賠償請求として慰謝料の請求ができると認められています(大判明治36年10月1日、最判昭和46年7月23日など)。
不貞行為は、夫婦の平穏な婚姻関係の維持という「権利又は法律上保護された利益」を侵害するものです。
判例でも、不貞行為が不法行為となるのは、それが婚姻共同生活の平和の維持という権利又は法的保護に値する利益を侵害するという行為ということができると述べています。
以上のとおり、不貞行為は不法行為とされ、賠償責任を負うことになるのです。
これにより、配偶者の不倫は、不法行為として認められ、不倫によって生じた損害賠償を求めることができます。
不倫による慰謝料請求が認められる条件とは?
それでは、ここからは、不倫による慰謝料請求が認められるための条件をより詳しく見ていきましょう。
配偶者の不倫によって、慰謝料を請求するためには、以下の条件を満たす必要があります。
- 配偶者が既婚者であることを不倫相手が知っていた、又は知ろうと思えば気付く状況であった
- 不倫をしていた時期は、夫婦関係が破綻していなかった
- 自らの自由意思で肉体関係を持っていた
①配偶者が既婚者であることを不倫相手が知っていた、又は知ろうと思えば気付く状況であった
不法行為とは、故意又は過失によって、相手の権利などを侵害する行為のことです。
「故意」や「過失」は法律用語ですので、普段はあまり聞き馴染みがないかもしれません。
まず、「故意」とは自己の行為により一定の結果が発生すべきことを認識しながら、その結果発生を認容して、その行為をあえてするという心理状態をいいます。
具体的には、不貞行為時において相手が既婚者であると知りながら、あえて肉体関係に及んだ場合は、故意が認められる可能性が高いです。
一方で、婚活会場やマッチングアプリなどで知り合い、互いの素性を知らないまま、相手が既婚者であると気付く余地のない状態で肉体関係を持った場合や、相手に聞いたところ独身であるなどと嘘をつかれて肉体関係を持った場合などは、故意と認められない可能性があります。
次に、「過失」とは、自己の行為により一定の結果が発生すべきことを認識すべきであるのに、不注意のためその結果の発生を認識しないでその行為をするという心理状態をいいます。
具体的には、相手が既婚者であることを知ろうと思えば知れたのに、不注意で相手が既婚者だと分からずに不倫相手の女性が肉体関係を持った場合、過失として認められて、不倫による慰謝料請求が認められる可能性が高いでしょう。
たとえば、既婚者であると直接言われていない場合であっても、既婚者であることについてほのめかすなどして、少し尋ねれば既婚者であることが分かった場合などには、過失が認められる可能性が生じるといえます。
②不倫をしていた時期は、夫婦関係が破綻していなかった
不倫によって夫婦関係が破綻した場合、不倫が配偶者の権利を侵害する行為となるため、慰謝料請求が認められます。
一方で、不倫をしていた時期に、すでに夫婦関係が事実上破綻してしまっている場合には、慰謝料請求が認められない可能性があります。
この点、判例でも、「甲の配偶者乙と第三者丙が肉体関係を持った場合において、甲と乙との婚姻関係がその当時既に破綻していたときは、特段の事情のない限り、丙は、甲に対して不法行為責任を負わない。」とされています。その理由として、判例は、不貞行為が不法行為となるのは、それが婚姻共同生活の平和の維持という権利又は法的保護に値する利益を侵害するという行為ということができるからであって、婚姻関係が既に破綻していた場合には、原則として、このような権利又は法的保護に値する利益があるとはいえないからと述べています。
婚姻関係が既に破綻していた具体例として、不貞時に、夫婦が別居していていた場合や、すでに離婚を視野にして夫婦で話し合いが行われていたり、離婚の調停などが申し立てられていた場合などにが考えられます。
③自らの自由意思で肉体関係を持っていた
夫の不倫行為による慰謝料請求が認められるためには、不貞行為に該当する場合です。
不貞行為の典型例は、肉体関係を持つことですが、それ以外にも、性交類似行為、同棲などのほか、夫婦間の婚姻関係を破綻させる可能性のある異性との交流も不貞行為に該当する可能性があるといわれています。
裁判例(東京地判平成20年12月5日)では、不貞相手が配偶者のある者との間で婚姻を約束して交際し、その配偶者のある者に対し、他方配偶者との別居及び離婚を要求し、キスしたことが認められた事案で、「これらの事実は、少なくとも…離婚原因となる民法770条1項5号の『婚姻を継続し難い重大な事由』の発生に加担したものということができ、…不法行為を構成するというべきである。」
どのような行為が不貞行為と認められるか非常に悩ましいと思いますので、ここから詳しく解説していきます。
①SNSやメールでやり取りをする、二人で食事をする、二人で映画館やドライブに行く
不倫相手に恋愛感情を抱くだけでは、不貞行為とはいえないため、慰謝料を請求することは難しいでしょう。
不倫相手とメールやSNSでやり取りをする、電話をする、二人で食事に行く、二人でドライブに行く、二人で映画館や水族館に行く、といった行為も同様に、基本的に不貞行為にはならないと考えてください。
②手をつなぐ、キスや抱擁をする
不倫相手と手をつなぐ、キスや抱擁をするなど、明らかに恋愛感情を持って身体接触をしている場合は、前後の状況によって不貞行為として認められる場合と、浮気に留まる場合があります。
キスや抱擁が不貞行為と認められるのは、それが婚姻関係を破綻させるような場合です。具体的には、性交の一環におけるキス、手淫や口淫、裸で抱き合う、一緒に入浴するなどの行為があると不貞行為となり、慰謝料を請求できる可能性があります。
一方で、前後に性交を推察される言動がなければ、キスや抱擁があっても慰謝料を請求できない場合が多いでしょう。
③飲酒で酔った状況で性交を行った場合
不倫の慰謝料請求が認められるのは、自由意思で肉体関係を持った場合です。自由意思とは、相手や第三者から強制されておらず、自発的に行為を行う心理状態をいいます。
では、アルコールに酔った状態で相手と性交又は性的な類似行為をした場合は、どうなのでしょうか?
結論としては、アルコールで酔っている状況であっても、既婚者と性交をした場合には、不貞行為といえるケースがほとんどでしょう。
なぜなら、法律上、「自由意思ではなかった」ことを立証するためには、極めて高いハードルがあるからです。
例えば、意識がないほどに酩酊している中で、強制的に性交させられる場合は、自由意思でなかったといえるかもしれません。
しかし、そうではない場合がほとんどでしょうから、アルコールの影響があったとしても、基本的には、自由意思で性交又は性的に類似する行為を行ったと考えられるため、不貞行為に該当し、慰謝料を請求するケースがほとんどと言えるでしょう。
④風俗店の利用
配偶者が風俗を利用した場合は不倫の慰謝料請求が認められるのでしょうか?
風俗には様々な種類があり、性的行為がある風俗を利用する場合は、不貞行為となるのでしょうか。
この点、裁判例(横浜地川崎支判令和1年7月12日)では、慰謝料請求を認めたものがあります。
事案は、妻が、15年以上もの期間にわたって、風俗の性的サービスとして夫と性交渉をしていた被告に対して慰謝料を請求していたというものです。
同裁判例は、「被告は、本件において、商売として性的サービスを提供したにすぎず、何ら原告とAの婚姻生活の平和を害すものではなく、不法行為を構成しない旨主張するが、恋愛感情を伴うかどうかにかかわらず、夫婦の一方の配偶者が第三者と肉体関係を持つことは婚姻生活の平和を害し、他方の配偶者に精神的苦痛を与えるものというべきであるから、被告の主張を採用することはできない。」としています。
つまり、被告は、商売として性的サービスを提供したにすぎないから不法行為を構成しないなどと反論していましたが、裁判所は、肉体関係を持つことが婚姻生活の平和を害するため、不法行為を構成すると述べて、被告の主張を排斥しました。
この事案では、裁判所は、110万円の慰謝料を認めています。
このように、風俗店を利用している場合であっても、慰謝料請求が認められる場合があるのです。
配偶者の行為が不貞行為にあるのか、慰謝料を請求できるのか判断に迷う場合、一度弁護士事務所などに相談されることをおすすめします。
不倫相手に損害賠償を請求することは可能か?
不倫は共同不法行為にあたるため、不倫相手に対しても損害賠償を請求することができる
夫や妻に不倫された場合、不倫相手に対して損害賠償を請求することはできるのでしょうか?
結論として、不倫相手にも損害賠償を請求することは可能です。
不倫は1人でできるものではありません。
不倫は、「共同不法行為」といって、不倫相手がいなければ成立しない行為です。
そのため、配偶者と不倫相手は連帯して慰謝料の全額を支払う義務を負い、請求する側はどちらに対しても慰謝料を求めることができます。
ただし、配偶者と不倫相手のそれぞれから全額を受け取ることはできません。
ただし、注意しなければいけないこととして、慰謝料は二重取りはできません。
つまり、配偶者と不倫相手が共同して慰謝料の合計金額を支払ったり、どちらか一方が全額を支払うことは認められますが、配偶者と不倫相手の双方に全額を請求して、それぞれから全額を支払ってもらうことはできません。
そのため、配偶者と不倫相手のどちらにも慰謝料を請求する場合と、どちらか一方に慰謝料を請求する場合、どちらも慰謝料の総額は同じになります。
例えば、不倫に対する慰謝料の額が200万円と認められた場合、配偶者と不倫相手それぞれに200万円支払うことを請求できます。
この場合、配偶者と不倫相手が分担して合計200万円を支払うか、どちらか一方が200万円を支払うことになります。
どちらかが200万円払った場合には、それ以上受け取ることはできません。
2人がどのような割合で負担しても問題ありませんが、合計額はあくまで200万円ということです。
不倫相手だけに慰謝料を請求した場合でも、配偶者が支払いを肩代わりするケースもある
また、不倫相手だけに慰謝料を請求した場合でも、不倫相手と配偶者が相談するなどして、不倫相手の代わりに配偶者が慰謝料を支払っているケースもあります。
せっかく不倫相手だけに請求したのに配偶者が支払っては、気持ちが収まらないでしょう。
不倫相手だけに支払ってほしいときは、不倫相手に対して、不貞慰謝料の求償権を放棄させるなどすることが考えられます。
不倫相手への慰謝料請求が認められないケースもあるため、要注意
一方で、不倫の事実が明らかになった場合でも、不倫相手に慰謝料を請求しようとして認められないケースがあります。慰謝料を請求する前に事前に確認しておきましょう。
すでに配偶者から不倫に対して慰謝料を受け取っている場合
不倫行為が発覚したことで、先に配偶者に対し慰謝料を請求し、すでに配偶者から慰謝料が支払われている場合は、不倫相手から重ねて慰謝料を請求することはできません。
これは先程説明した慰謝料の二重請求となります。
慰謝料請求の時効が経過してしまった場合
慰謝料請求を行う場合は民事上の時効があります。
不倫に対する慰謝料を請求する場合、不倫の事実及び不倫相手を知ったときから3年以内に請求する必要があります。
時効が過ぎてしまうと、請求できない場合がありますので、留意してください。
一方で、時効の期間内であれば、配偶者と離婚した後でも配偶者や浮気相手に対して慰謝料を請求することは可能です。
ただし、離婚後は元配偶者や不倫相手と連絡が取れない状況であったり、証拠がなかなか集められないことがあります。
離婚後に元配偶者と音信不通になって慰謝料が請求できない事態にならないように、離婚する前から不倫の証拠などを準備しておくとよいでしょう。
また、離婚後でも弁護士であれば不倫相手の連絡先などを調べられるケースもあります。
困ったときは弁護士事務所に一度相談してみてはいかがでしょうか。
離婚する際に不倫の慰謝料を請求する方法
離婚する際に、不貞による慰謝料を請求する方法として、以下のような手段を取ることができます。
- 当事者間で話し合う
- 弁護士に依頼して、示談交渉を行う
- 裁判所で調停又は訴訟を提訴する
以下は、それぞれの方法について解説します。
当事者間の話し合いで離婚や慰謝料について請求する
まずは、当事者同士の話し合いによって離婚や慰謝料について請求する方法です。
夫婦が離婚する場合、日本では夫婦が話し合いで合意すれば協議離婚をすることができます。
このときに、離婚の原因として配偶者の不倫を訴えることで、離婚が認められやすいといえます。
ただし、配偶者に不倫を訴える前に、まずは冷静に不倫の事実を確認する必要があるでしょう。
配偶者が不倫を認めている場合は、話し合いも比較的スムーズに進みやすいですが、配偶者が不倫を否認する場合は、話し合いが難航してしまいます。
配偶者が不倫を否認する可能性も踏まえて、事前に不倫の証拠を準備しておくとよいでしょう。
配偶者が離婚に応じた時は、離婚届に必要事項を記入して役所に提出し、役所がこれを受理することで法的にも離婚したことが認められます。
一方で、不倫の慰謝料については、離婚とは別に相手に請求していくことになります。
不倫の慰謝料は、相手が支払ってくれさえすれば、わざわざ書面にまとめる必要はないかもしれません。
慰謝料の条件を取りまとめる場合には、以下の内容を記載するとよいでしょう。
- 不倫をしたことを認めること
- 不倫の慰謝料として総額〇円を支払う
- 慰謝料の支払い方法(一括か・分割か)
- 慰謝料の支払い期限・支払い期間(〇年〇月〇日までに支払う/〇年〇月~〇年〇月の期間、毎月〇日限りに支払う)
- 分割払いの場合、二度にわたって支払いが滞った場合は、一括支払いをすること
- 二度と不貞相手と接触しないこと
- 合意が成立した日時
- 当事者の氏名・住所
なお、不倫相手に対しても慰謝料を請求する場合は、不倫相手の連絡先が必要になります。
不倫相手の情報については、配偶者に確認することになりますが、そう簡単には教えてくれないことが予想されます。配偶者と離婚してからだと、配偶者と音信不通になることもあるため、離婚する前に不倫相手の情報について聞き出すことがよいでしょう。
しかし、不倫相手の情報を得るために、配偶者や不倫相手を尾行したり、職場へ押しかけてしまうのはよくありません。
最悪の場合、配偶者や不倫相手から訴えられてしまう可能性があります。不倫相手の情報がわからない場合は、弁護士に相談しましょう。
不倫相手の連絡先などがわかったら、不倫相手と直接会って慰謝料について交渉したり、LINEやSNSなどで話し合うことができます。
1対1で不安なときには、家族や共通の知人などに同席してもらい、話し合いの証人になってもらうといいでしょう。
その際、話し合いの内容を録音したり、口約束で終わらせないために、慰謝料を支払う条件をまとめた内容を書面に残しておきましょう。
このような話し合いが難しい時は、弁護士に相談しましょう。
弁護士の示談で不倫の慰謝料を請求する方法
弁護士に依頼して示談交渉を行う
配偶者が不倫を認めずに、話し合いが難航する場合は、弁護士に依頼して示談交渉を行ってもらう方法があります。
弁護士は、法律家のプロであるため、法的に有効な証拠の集め方を助言してくれたり、依頼人の代わりにすべての示談交渉を行ってくれます。
弁護士の示談交渉の方法としては、まず内容証明郵便を利用して、配偶者に対して離婚や慰謝料を請求する通知書を送付します。
次に、相手からの返答を踏まえて、離婚、親権や養育費、慰謝料の支払い金額やそのほかの条件について交渉していきます。
内容証明郵便とは、郵便局が内容文書の存在についてを証明してくれるサービスのことです。
内容証明郵便を利用すると、相手方に送った文書内容の存在を証明することができます。そのため、配偶者から「離婚や慰謝料請求の話なんて聞いていない!」と言われても、反論することができます。
また、弁護士による示談交渉によって、離婚や不倫の慰謝料請求に相手が合意した場合は、その内容に基づいて弁護士が合意書を作成します。
特に、相手がしっかりと慰謝料を支払わなそうである時は、公正証書に残すことで、支払いを怠った場合に強制執行をすることも可能になります。
さらに、不倫相手についても、不倫相手の情報がわからない場合などに、弁護士は、職権によって「戸籍や住民票の職務上請求」や「弁護士会照会」という方法により不倫相手の連絡先を調べられる可能性があります。また、弁護士に示談交渉を任せれば、あなたと不倫相手が直接関わる必要はないので、精神的にも負担が減ることでしょう。
どのような内容で条件をまとめるのかは、依頼人の希望をもとに弁護士が考えてくれます。離婚や慰謝料の問題について一緒に解決することができますので、交渉の手間が省けるだけでなく、一貫してあなたの味方をしてくれるため、安心して示談交渉を任せられるのでおすすめです。
裁判で不倫の慰謝料を請求する方法
裁判所で離婚調停を申し立てる方法
弁護士による示談交渉を行ってもなお、話し合いがまとまらない場合、裁判所で調停又は裁判を起こすことになります。
離婚と同時に慰謝料を請求したい場合は、まずは家庭裁判所で夫婦関係調整(離婚)調停を申し立てることになります。
離婚調停では、離婚と同時に親権、養育費、面会交流、財産分与、慰謝料などについても細かく内容をまとめることが可能です。
調停を申し立てるときには、まず裁判所に対して必要書類を提出します。必要書類には、申立ての趣旨や親権、養育費、慰謝料などについての希望条件を記載することになります。
提出した書類は、裁判官や調停委員によって、夫婦双方がどのような主張を行っているのかを確認し、その後の調停進行に反映されることになります。したがって、配偶者の不倫が原因で離婚したいと考えていること、離婚と同時に慰謝料を請求したいことをしっかりと記載しておきましょう。
また、調停は、裁判官と二人の調停委員で構成された調停委員会が、夫婦の話し合いの仲裁を行います。
調停はそれぞれの条件で合意することができれば、離婚が成立しますが、一方が条件に応じない場合は話し合いが難航します。
不倫の慰謝料についても、相手が不倫を認めない場合は、話し合いが平行線になってしまうため、事前に不倫の証拠を準備しておきましょう。
裁判所の調停手続は、弁護士に依頼しなくても一人で行うことができますが、法律の知識があるほうが、優位な主張を行うことができますので、一度は弁護士に相談しておくとよいでしょう。
特に不倫の慰謝料を請求する場合は、調停で有用なレベルの証拠を集めたり、過去の判例などから適切な慰謝料の相場を把握する必要がありますので、このような場合は弁護士に代理人を依頼することがよいでしょう。
離婚や不倫の慰謝料について話し合いが難航する場合は、調停は不成立となり、必要に応じて、裁判を提起することになります。
裁判所で離婚訴訟を提起する方法
調停が不成立となった場合、裁判所で離婚訴訟を提起することができます。離婚裁判では、調停で話し合った内容などもある程度引き継がれますが、より厳密に法律の条文に沿った審理が行われます。
そのため、裁判で離婚するためには、民法の離婚事由を満たす必要があります。
不倫は、民法上の離婚事由として挙げられていますので、配偶者の不倫が不貞行為として認められる場合は、離婚と不倫の慰謝料請求が同時に認められる可能性が高いと考えられます。
ただし、不倫が不貞行為として認められるためには、その証拠が必要となります。
不貞行為の証拠としては、以下のようなものがあります。
- ホテルや不倫相手の家に出入りしている写真や動画(短時間の滞在では肉体関係があったと認められないケースもあります。ホテルに入った時間と出て行った時間を必ず記録することが必要です。)
- ホテルの領収書やクレジットカードの利用明細書
- 配偶者と不倫相手のやり取りの記録(肉体関係をほのめかすようなやり取り、不貞行為を推察できる写真や動画など)
- 不倫相手との肉体関係を認める音声や動画、LINEやSNSなどの記録 など
これらの証拠をもとに、配偶者が不貞行為を行っていたことを主張し、不貞行為が認められる場合には、不貞を根拠に離婚することの他に不貞慰謝料の請求が認められるでしょう。
裁判の終結方法としては、裁判官によって離婚と不倫の慰謝料の請求を認める旨の判決がでるか、裁判の途中で当事者双方が離婚と慰謝料を支払うことに合意して和解する方法があります。
裁判所で決まった内容については、調停でも裁判でも合意書が作成されるため、もし不倫の慰謝料の支払いが滞った場合には、強制執行が可能となります。
裁判で離婚や不倫の慰謝料を勝ち取るためには、法律の知識を基に上手に主張書面を作成したり、不倫の証拠を裁判所に提出する必要がありますので、ほとんどのケースで弁護士が依頼人の代わりに手続きを行っています。
また、調停で話し合っていた内容も踏まえて裁判手続は行われるので、調停と同じ弁護士に依頼することで、スムーズに手続きを行うことができるでしょう。
不倫相手に慰謝料を請求する場合は、別途民事訴訟を検討することになります
離婚調停や離婚裁判で慰謝料を請求する場合は、配偶者が請求相手になるため、不貞相手にも慰謝料を請求したい場合は、別途民事訴訟を検討する必要があります。
不貞行為の相手に対して慰謝料を請求するときは、一般的に調停より裁判で手続を行うことが多いでしょう。
不倫の慰謝料請求は、民法上の損害賠償請求になりますので、慰謝料が140万円以下の場合は簡易裁判所に、慰謝料が140万円を超える場合は地方裁判所に申し立てをします。
裁判で不倫の損害賠償が認められるためには、不倫が民法上の不法行為に該当する主張立証する必要があり、そのための証拠が不可欠です。
写真や動画などの客観性のある強力な証拠があれば、裁判や調停で有利な条件で交渉を進めることができますので、裁判に有利な証拠や主張を行いたい場合は、一度弁護士に相談するとよいでしょう。
不倫で慰謝料を請求する方法とは?離婚と合わせて示談や裁判の方法も解説!に関するQ&A
不倫の慰謝料請求ができる条件とは?
配偶者の不倫による慰謝料を請求する場合、不倫が民法上の不法行為として認められる必要があります。
そのためには、①配偶者が既婚者であることを不倫相手が知っていた、又は知ろうと思えば気付く状況であった、②不倫をしていた時期は、夫婦関係が破綻していなかった、③不貞行為をしたなどの条件を満たす必要があります。
不倫相手に対しても慰謝料を請求することができますか?
不倫は、「共同不法行為」といって、不倫相手がいなければ成立しない行為です。そのため、不倫相手に対しても不倫の慰謝料を請求することができます。
慰謝料を請求する側は、配偶者と不倫相手の双方に請求する方法と、どちらか一方に請求する方法がありますが、どちらの方法であっても慰謝料の総額は同じになります。
不倫の慰謝料を請求するためにはどのような方法がありますか?
不倫の慰謝料を請求する方法としては、①当事者間で話し合う方法、②弁護士に依頼して、②示談交渉を行う方法、③裁判所で調停又は訴訟を提起する方法があります。
不倫の慰謝料を請求するためには、不倫を立証する証拠が必要になりますので、証拠の集め方や請求方法について迷われる場合には、一度弁護士に相談されることをおすすめします。
不倫で慰謝料を請求する場合は弁護士にご相談を!
不倫の慰謝料請求には、法律の知識が必要ですので、自分で準備をするのが難しいと不安に思われる方は、一度弁護士事務所に相談してみてください。
弁護士に依頼する場合は、以下のようなメリットがあります。
不倫の慰謝料請求が可能か判断することができる
不倫の慰謝料請求が認められるためには、法律の条件を満たす必要があります。
そのため、慰謝料請求が可能であるのか判断するためには、法律の知識が不可欠となっています。
弁護士に相談することで、どのような場合であれば不倫の慰謝料を請求することができるかを判断することができるのでおすすめです。
有利な不倫の証拠などを集めることができる。
相手が不倫を認めない場合や、裁判などで不倫の慰謝料を請求する場合には、必ず不倫の証拠が必要になります。
特に不倫を立証するには、配偶者と不倫相手が肉体関係にあることを証明しなければなりません。客観性の高い証拠を集めるためには、プロに任せることが一番です。
慰謝料請求の交渉や裁判手続などをすべて任せることができる
慰謝料を請求するためには、不倫の証拠を集めたり、配偶者や不倫相手と交渉する必要があります。
弁護士に依頼すると、弁護士が依頼主の代わりに交渉をしてくれるため、依頼主は手続の手間が省けるほか、不倫相手などと関わらずに済むため、気持ちの面でもとても負担が減ることでしょう。
慰謝料の額以外にも、支払い方法や支払いが怠った場合の条件等についても触れておく必要がありますが、弁護士に任せることで、書面に有効な条件をまとめて作成してくれます。
また、裁判で慰謝料を請求する場合は、裁判手続に則った書面の作成や立証の手順があります。
自分ひとりでは難しいことでも、弁護士に任せることで、自分の優位な主張が可能となります。
不倫の慰謝料の増額が期待できる
不倫の慰謝料請求の知識がない場合、慰謝料を増額できる要素があるのに、うまく相手と交渉することができず、損をしてしまう場合があります。
不倫の慰謝料の金額には明確な基準はありませんが、例えば、不貞により離婚した場合には、約200万円から約250万円の慰謝料額が相場であり、相場から大きく外れない範囲で、増額できる要素があれば相手に交渉することができますので、弁護士に依頼することで、依頼主の利益を優先した慰謝料請求が可能となります。
交渉が難しいと不安に思う場合は、弁護士事務所に相談して、依頼主の事案でどの程度の慰謝料相場になるのか、また、増減要素の見落としがないかなど、専門的なアドバイスをもらうとよいでしょう。
この記事を書いた人
雫田 雄太
弁護士法人あおい法律事務所 代表弁護士
略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。3,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。
家庭の法律問題は、なかなか人には相談できずに、気付くと一人で抱え込んでしまうものです。当事務所は、家庭の法律問題に特化した事務所であり、高い専門的知見を活かしながら、皆様のお悩みに寄り添い、お悩みの解決をお手伝いできます。ぜひ、お一人でお悩みになる前に、当事務所へご相談ください。必ずお力になります。