社内不倫が発覚したら?バレるきっかけや職場で不倫するリスクを解説!
社内不倫がばれてしまったらどのようなリスクがあるのかご存知でしょうか?
上司や同僚と不倫をしていることが職場の人にばれてしまった場合には、人事に呼び出されることもあるでしょう。
社内不倫の内容によっては、職場の風紀を乱すと判断されて、社内不倫をきっかけに異動の辞令を受ける可能性もあります。
ここでは、社内不倫がばれるきっかけや発覚後の会社の対応について解説するとともに、もし夫や妻が社内不倫をした場合の慰謝料請求の方法についても触れていきます。
目次
社内不倫はバレない?ばれるきっかけは何?
「同じ職場の上司が不倫していて、発覚後に上司が自主退職をした」なんて体験話を聞いたことはありませんか?
社内不倫にはリスクがつきものです。
職場で堂々と不倫している人は少ないのですが、バレないように不倫していても、いつの間にか同じ職場の社員に不倫がばれていることは結構あります。
では、どうして社内不倫は発覚してしまうのでしょうか?
社内不倫がバレるきっかけは以下のようなものがあります。
- 職場の社員に話したものが噂として広まった
- 職場での距離感や雰囲気が違っていた
- 出張スケジュール、休暇、退勤のタイミングが似ている
- 会社以外で一緒にいるところを目撃される
- 会社内でこっそりと手をつないでいる場面や抱き合っている場面を同僚に目撃された
- 不倫相手のことを間違えて名前で呼んでしまった
ここでは、社内不倫がバレるきっかけについて紹介します。
社内不倫がバレるきっかけ①:職場の社員に話したものが噂として広まった
人とは不思議なもので、職場の人間にばれないように過ごしていても、つい誰かに話したくなる瞬間があります。
信用できると思っている相手の1人や2人なら話してもいいかも、など考えてこっそり社内不倫のことを打ち明けたことがきっかけとなり、いつの間にか周囲の人にも噂が広まっていたなんてことは少なくありません。
たとえば、職場の飲み会などの場で、お酒を飲んで酔った勢いで、同僚の2人に「実は、同期の○○とそういう関係なんだよね。誰にも言わないでね。」と不倫していることを打ち明けたとします。そうすると、数日後には、会社のほとんどの社員に、不倫している噂が広まっていたというケースは少なくありません。
また、職場の上司や同僚に社内不倫の相談をしたら、後で周囲に言いふらされていたということもあります。
社内不倫に限らず、この手の体験をしたことがある人は多いのではないのでしょうか。人の口に戸は立てられないとはよく言ったものです。
社内不倫がバレるきっかけ②:職場での距離感や雰囲気が違っていた
社内不倫をしているカップルの雰囲気というのは結構目立つものです。
社内不倫をしているカップルの様子を見て、周囲の社員が「もしかして、あの2人…不倫してる?」と思うこともあるでしょう。
たとえば、不倫をしている男性上司が女性部下に、パソコンの操作を教える際に、かなり至近距離で密着して指導をしているケースを考えてみましょう。周囲の社員は、このような様子を見て、「この距離感は、上司と部下の距離ではないな…怪しいな。」などと思うでしょう。さらに、不倫をしている上司と部下が、お互いに目を合わせてにやけるなど不自然なアイコンタクトをしている場合などには、周囲の社員はより不倫しているなという疑いを持つようになるでしょう。
そのため、本人たちは気付かれないように振舞っているかもしれませんが、距離の近さやアイコンタクトの多さ、言葉遣いや会話の内容などから、不倫を疑われることもあります。
社内不倫がバレるきっかけ③:出張スケジュール、休暇、退勤のタイミングが似ている
社内不倫に慣れてくると、一緒に過ごせる時間を増やすために、出張や有給の日を一緒にするカップルがいます。
たとえば、主張に行く社員のペアを決める際に、不倫をしているカップルが、特に業務遂行上の理由がないのに、お互いのことを指名するなどしたケースを考えてみましょう。このような様子を見て、周囲の社員が、「なぜ、○○さんは●●さんを指名したのだろう…もしかして不倫しているのかな?」などと疑うことはあるでしょう。
他の例としては、有休の日が1回重なるということだけでは、周囲の社員に「偶然かな。」と思われるでしょうが、有休の日が複数回重なったりした場合には、不倫を疑われることもあるでしょう。
また、仕事終わりのデートや食事を約束しているときなどに帰る時間が早まるなど、普段とは違う動きがあると、周囲に怪しまれてしまい、社内不倫が発覚するきっかけになりやすいのです。
社内不倫がバレるきっかけ④:会社以外で一緒にいるところを目撃される
会社では公私混同しないように振舞っていても、プライベートで2人でいるところを目撃されて、社内不倫が発覚することも少なくありません。
退勤後や休日に2人でデートしているところや、ホテルに出入りする場面を目撃されたりすると、隠しようがありません。
たとえば、会社の近くでは目撃されるリスクがあるから、少し会社から離れたところでデートしたケースで考えてみましょう。この場合、会社から離れた場所であれば、たしかに会社の社員に目撃される可能性は低くはなるでしょう。ですが、不倫している本人たちが気づいていなくても、電車に乗って2人で移動する様子を目撃されていたり、偶然同じ目的地に会社の同僚がいてデートを目撃されてしまったということは少なくありません。
隠れて付き合っていても、様々なきっかけから、社内不倫は意外と周囲にばれてしまっているものです。
社内不倫がバレるきっかけ⑤:会社内でこっそりと手をつないでいる場面や抱き合っている場面を同僚に目撃された
ダブル不倫の場合、お互いの家庭のことや、育児などがあり、なかなか会社以外で会う時間を作るのは難しいこともあるでしょう。
そのような場合には、会社内の倉庫や会議室の個室など、他の社員に見られることがない場所で、抱き合ったりすることもあるかもしれません。
不倫をしている本人たちは、誰にも見られていないと思っていても、偶然他の社員が目撃し、不倫がばれてしまうということがあります。目撃されてしまったら、不倫をしているという噂が数日で社内に広がることもあるでしょう。また、直接2人が抱き合っているような場面を目撃されなくても、業務上の必要がないのに、不倫をしている2人がこっそりと倉庫に入っている様子を目撃されてしまった場合には、「あの2人は、なぜ人に見られない場所でこっそり会っているのだろう。もしかして不倫してる…?」と思われてしまうこともあるかもしれません。
不倫をしている2人が社内で親密そうにする様子を目撃されて、社内不倫がばれてしまうことがあるのです。
社内不倫がバレるきっかけ⑥:不倫相手のことを名前で呼んでしまった
不倫をしている2人の中で、会社にいるとき以外は、お互いのことを名前で呼んだり、あだ名で呼んだりしていることもあるでしょう。
会社では、お互いのことを名字で呼んでいても、ふとした瞬間に無意識に、相手のことを名前やあだ名で呼んでしまうことがあるかもしれません。
そのような場合、周囲の社員は、「あの2人、お互いのことを名前・あだ名で呼んでる…?どうしてだろう…?」と不倫を疑うことがあるでしょう。
一般的に、会社の上司や部下、同僚といった関係だけでは、お互いのことを名前で呼んだり、あだ名をつけたりすることは考えにくいといえます。
そのため、不倫相手のことをうっかり名前やあだ名で呼んでしまった場合には、社内不倫を疑われることがあるのです。
社内不倫がばれたときの会社の対応
もし社内不倫が同じ職場の社員にばれてしまった場合、会社から何か言われてしまうのでしょうか?
一般に、社内不倫が発覚したときの会社の対応というのは企業ごとに異なります。
あくまでプライベートの問題として、特段関与はしない会社もあります。
しかし、社内不倫によって、会社に不利益が発生する場合は、会社としての対応を求められます。
会社内で問題のありそうな社内不倫が発覚した場合、対応する部署として多いのは人事部でしょう。
人事部では、社内不倫について発覚した情報をもとに、当事者やその上司などから、社内不倫の事実や仕事への影響などについて聞き取り調査を行うようなところもあります。
聞き取り超査の結果、会社への影響が認められた場合には、社内不倫を理由として当事者に対して具体的な処分が課せられるケースがあります。
社内不倫のはてとは?異動・転勤・クビのリスクがある?
社内不倫が発覚した場合、会社の対応として、具体的にどのような処分が行われるリスクがあるのでしょうか?
懲戒処分として異動や左遷を命じられるリスクがある
まず、会社の風紀や秩序を乱している、仕事に悪影響を及ぼしていると判断された場合は、懲戒処分になる可能性があります。
会社としては、不倫している当事者を別の部署や支店に異動させ、物理的に離してしまえば、不倫の関係が解消することを期待できるなど、トラブルを解決することができます。
社内不倫を原因とした解雇は考えにくいが、周囲の信用を失い自主退職をする人もいる
会社の懲戒処分の種類はいくつかあり、最も重いものには解雇もありますが、社内不倫が発覚したからといって退職させられることはめったにありません。
社内不倫で退職させられるのは、職場の風紀や秩序に大きな影響を与えてしまったり、社内不倫が原因で業務に著しく支障が生じるような場合です。
例えば、社内不倫の中でも上司が自身に優位な立場を利用して部下に不倫関係を強要していたり、会社で性交渉を行ってたり、一度注意されたにも関わらず、不倫関係を継続しているような場合が考えられます。
また、社会上で注目されている人が社内不倫をすることで、会社のイメージが相当にダウンして利益が著しく損なわれる場合なども、解雇の対象となるケースがあります。
実際に、懲戒解雇事由に該当する非行(社内不倫など)を理由に通常解雇できるとした裁判例があります(東京高裁昭和41年 7月30日判決)。
この裁判例の事例を説明します。この事例は、「ある運送会社のバス運転手が、妻子がいるにもかかわらず、同じ職場の未成年の女性車掌と不倫関係となりました。その結果、女性車掌は妊娠しましたが、中絶し、その後退職することになりました。この事態を重く考えた運送会社が、当該バス運転手に解雇処分をしました。」というものです。
この裁判の判決では、「妻子を有し分別ある年輩の運転士たる被控訴人が無責任にも同じ職場に勤務する未成年の女子車掌と長期間にわたり不倫な関係を結んだ挙句同女を妊娠させ、その中絶手術を受けて退職するの止むなきに至らしめた行為は、それ自体すでに控訴会社従業員間の風紀を紊し職場の秩序を破ること著しきものであり、これによつて現に当該女子車掌の退職、女子従業員の不安動揺、求人についての悪影響等を招来したほか、バス事業を経営する控訴会社の企業者としての社会的地位、名誉、信用等を傷つけるとともに多かれ少かれその業務の正常な運営を阻害し、もつて控訴会社に損害を与えたものと認められる」という理由を述べた上で、当該バス運転手の不倫行為が、「『著しく風紀・秩序を乱して会社の体面を汚し、損害を与えたとき』と規定されてある解雇事由に該当するものといわざるをえない」と判示されています。
つまり、この裁判例は、上記裁判例のような社内不倫のケースの場合には、実質的に懲戒解雇処分相当であることを認めたということになります。
「社内不倫が発覚しても解雇されたら大丈夫かな…」と甘い考えを持っている人もいますが、社内不倫が発覚すれば上司や同僚、部下からの信用は奈落の底に落ちていきます。
周囲の目に耐え切れず、自主退職をする人も少なくありません。
会社にとってどの程度の処分が適切であるかの判断はさまざまです。
しかし、懲戒処分があってもなくても、社内不倫が発覚すれば職場での評価は下がるでしょうし、周囲の人からの信用を失うことになりますので、留意しましょう。
職場で上司や同僚が不倫していたら?密告や告発する?
社内不倫を告発する判断は慎重にしましょう
上司や部下、同僚が社内不倫をしていたら、あなたはどうしますか?
もし上司や部下、同僚の社内不倫によって仕事や周囲の雰囲気に悪影響が出ている場合は、人事などに訴えることがあるかもしれません。
社内不倫を会社に告発した場合、基本的には、告発者が誰であるのかは秘匿されます。
しかし、会社の規模が小さかったりすると、告発した人が特定される恐れもあります。
また、確定的な証拠もなく社内不倫を疑って、職場の社員に噂を広めてしまったりすると、名誉棄損やプライバシーの侵害として訴えられることもあります。
そのため、「あの2人、社内不倫しているに違いない…!」と思っていても、確定的な証拠がない場合には、周囲の人に社内不倫の噂を広めたりすることは慎重になるべきでしょう。
社内不倫によって周囲が業務上被害を被っている場合は上司や人事部などに告発することもありますが、不倫の証拠がなかったり、社内不倫を行っている当事者に処分が下されるかどうかは会社の判断です。そのため、会社の処分が思い通りの結果にならないこともありますので、注意しましょう。
夫や妻が社内不倫をしていたら?慰謝料を請求することはできるか
夫や妻が社内不倫をしていたら、離婚や慰謝料を請求することも考えられる
夫や妻の社内不倫が発覚した場合、配偶者との離婚や慰謝料請求が頭に浮かびます。
一方で、社内不倫が発覚しても、子供のことを優先したりして、配偶者とは離婚せずに、婚姻生活を続ける方もいるでしょう。
夫や妻の社内不倫が発覚した後の対応は人ぞれぞれかと思いますが、ここでは大きく分けて、①離婚しない場合、②離婚する場合、③慰謝料を請求する場合について解説していきます。
社内不倫が発覚した後も離婚をしない場合
夫や妻の社内不倫が発覚しても、不倫した配偶者と話し合った上で離婚せずに婚姻を続ける方が少なくありません。
しかし、不倫相手が職場の上司や部下など仕事で接する機会の多い相手であると、社内不倫を繰り返してしまう恐れもあります。
したがって、夫や妻と離婚しない場合でも、不倫行為を繰り返させないために、いくつか約束事を作っておくことをおすすめします。
約束事は必ず書面などにまとめ、約束を破った場合のペナルティを作っておくとよいでしょう。
離婚しない場合のペナルティー付きの約束の例としては、
- 社内不倫したことを認めること
- 不倫相手の氏名、住所、連絡先
- 不倫相手の連絡先、SNSの繋がりなどをすべて消去すること
- 不倫相手との接触は業務上必要最低限とすること
- 要求した場合、携帯電話を預けること、携帯電話のやりとりを見せること
- 再び不倫をした場合は離婚すること
- 離婚時の慰謝料は〇〇〇万円とすること
- 誓約日、当事者の氏名、押印
などです。離婚しない場合は、今後の婚姻生活を安定させるために、きちんと約束事を作りましょう。
どのような約束にするかは、社内不倫をした夫や妻の性格や経済状況などにもよります。
書面の内容に迷ったり、書面に法的な拘束力を付けたい場合など、離婚しない場合の約束事で不安があるときには、弁護士に相談してみるとよいでしょう。
不倫相手の上司や部下、同僚に対して慰謝料を請求することができる
また、社内不倫が発覚しても離婚しない場合は、配偶者に対して慰謝料を請求しても同じ家計であるため、経済的に苦しくなってしまうだけになります。
そのため、配偶者としては、社内不倫の相手である上司や部下、同僚に対して、慰謝料を請求できないか?と考えるのは当然です。
一般的に、社内不倫が発覚した場合、不倫された側は、不倫相手に対して慰謝料を請求することができます。
社内不倫は1人でできるものではありません。
不倫は、「共同不法行為」といって、不倫相手がいなければ成立しない行為です。
そのため、不倫した配偶者と不倫相手は連帯して慰謝料を支払う義務を負い、請求側はどちらに対しても慰謝料を求めることができます。
ただし、気を付けておきたい点としては、二重取りはできないことです。
二重取りとは、配偶者と不倫相手の双方から総額を受け取り、2倍の慰謝料をもらうことをいいます。
したがって、先に夫や妻から不倫の慰謝料の全額を受けとっている場合は、後から不倫相手に対して慰謝料を請求することができないため、注意してください。
不倫相手の上司や部下、同僚に対して慰謝料を請求したい場合には、不倫を立証する証拠が足りているのか、いくら請求できるのかなど分からないことも多いと思いますので、一度弁護士に相談してみると良いでしょう。
不倫相手に慰謝料を請求する場合は、別途民事訴訟を検討することになります
不倫相手に社内不倫の慰謝料を請求する場合、一般的に民事訴訟を検討することが多いでしょう。
社内不倫の慰謝料請求は、民法上の損害賠償請求になりますので、慰謝料が140万円以下の場合は簡易裁判所に、慰謝料が140万円を超える場合は地方裁判所に申し立てをします。
裁判で社内不倫の損害賠償が認められるためには、社内不倫が民法上の不法行為又は不貞行為であることを立証する必要があり、そのための証拠が不可欠です。
写真や動画などの客観性のある強力な証拠があれば、裁判や調停で有利な条件で交渉を進めることができますので、裁判に有利な証拠や主張を行いたい場合は、弁護士に相談するとよいでしょう。
また、不倫相手に慰謝料を請求する場合、不貞行為があった日又は不倫相手を知った日から3年が時効となります。
「不倫相手を知った日」というのは、不倫相手の住所及び氏名を知った時点のことをいいます。
不倫相手に対して慰謝料を請求する場合は、時効の3年以内に手続を行う必要がありますので、留意してください。
なお、時効についての詳細は、こちらのリンクをご参照ください。
社内不倫が原因で離婚する場合
社内不倫が発覚して、不倫を理由に離婚する場合は、同時に慰謝料を請求することができます。
具体的にどのようにして、社内不倫をした夫や妻に離婚や慰謝料請求の話を進めるのでしょうか?
離婚と同時に社内不倫の慰謝料を請求するためには、以下のような対応が考えられます。
- 当事者間で話し合う
- 弁護士に依頼して、示談交渉を行う
- 裁判所で調停又は訴訟を提訴する
以下は、それぞれの方法について解説します。
対処①:当事者間の話し合いで離婚や慰謝料について請求する
まずは、当事者同士の話し合いによって離婚や慰謝料について請求する方法です。
夫婦が離婚する場合、日本では夫婦が話し合いで合意すれば協議離婚をすることができます。
このときに、離婚の原因として配偶者の不倫を訴えることで、離婚と一緒に社内不倫についても慰謝料を請求することができます。
ただし、夫や妻に不倫を突き詰める前に、まずは冷静に社内不倫の事実を確認する必要があるでしょう。
夫や妻が社内不倫を認めている場合は、話し合いも比較的スムーズに進みやすいですが、社内不倫を否認する場合は、話し合いが難航してしまいます。
夫や妻が社内不倫を否認する可能性も踏まえて、事前に社内不倫の証拠を準備しておくとよいでしょう。
不倫した夫や妻と離婚する場合、協議離婚書に必要事項を記入して役所に提出して、役所がこれを受理することで法的に離婚が認められます。
一方で、社内不倫の慰謝料請求については、配偶者や不倫相手が支払ってくれさえすれば、わざわざ書面にまとめる必要はありません。
しかし、口約束では後からいくらでも慰謝料請求の条件を覆される可能性がありますので、口頭で約束することはおすすめできません。
不倫の慰謝料請求について話し合う際には、できるだけ会話のやり取りを録音したり、約束事項を書面にまとめるなどして、客観的な証拠を残しておきましょう。
慰謝料請求の条件を取りまとめる場合には、以下の内容を記載するとよいでしょう。
- 社内不倫したことを認めること
- 社内不倫の慰謝料として総額〇円を請求すること
- 慰謝料の支払い方法(一括か・分割か)
- 慰謝料の支払い期限・支払い期間(〇年〇月〇日までに支払う/〇年〇月~〇年〇月の期間、毎月〇日限りに支払う)
- 分割払いの場合、二度にわたって支払いが滞った場合は、一括支払いをすること
- 上記支払い条件に違反した場合には違約金を支払うこと
- 合意が成立した日時
- 当事者の氏名・住所
対処②:弁護士に依頼して離婚や慰謝料について示談交渉を行う
夫や妻が社内不倫を認めず、話し合いが難航する場合は、弁護士に依頼して離婚や社内不倫の慰謝料について示談交渉を行ってもらう方法があります。
弁護士は、プロの法律家ですので、法的に有効な証拠の集め方や離婚や社内不倫の慰謝料を請求できるケースかどうか、社内不倫の慰謝料請求の相場などについて判断を任せることができますし、依頼人の代わりにすべての示談交渉を行ってくれます。
弁護士の示談交渉の方法としては、まず内容証明郵便を利用して、弁護士から不倫した夫や妻に対し離婚と慰謝料請求に関する通知書を送付します。
次に、相手からの返答を踏まえて、離婚、親権や養育費、慰謝料の請求金額やそのほかの条件について交渉していきます。
内容証明郵便とは、郵便局が内容を証明してくれる制度のことです。
郵便局と自分の手元に相手に送った文書と全く同じ内容の写しが控えられるため、相手に送った文書内容を証明することができます。
そのため、配偶者から「離婚や慰謝料請求の話なんて聞いていない!」と言われても、客観的な証拠に基づいて、反論することができます。
弁護士による示談交渉によって、離婚や社内不倫の慰謝料請求に合意した場合は、その内容に基づいて弁護士が合意書を作成します。弁護士が作成した合意書を公正証書にした場合は、配偶者や不倫相手が慰謝料の支払いを怠った場合に強制執行をすることも可能になります。つまり、支払いを怠った場合に、配偶者や不倫相手の給与や預貯金などの財産を差し押さえて、強制的に回収するということが可能になるのです。
さらに、弁護士に示談交渉を任せれば、妻は不倫相手と直接関わる必要はないので、精神的にも負担が減ることでしょう。
どのような内容で条件をまとめるのかは、依頼人の希望をもとに弁護士が考えてくれます。
離婚や慰謝料請求の問題について一緒に解決することができますので、交渉の手間が省けるだけでなく、一貫して依頼人の味方をしてくれます。
夫や妻の社内不倫が発覚して、ショックや動揺もある中で、弁護士にすべての示談交渉を任せることができれば、精神的負担を軽減することができます。そのため、弁護士に対応をまかせることは、非常におすすめです。
対処③:裁判所で離婚調停を申し立てる方法
弁護士による示談交渉を行ってもなお、話し合いがまとまらない場合、裁判所で調停又は裁判を起こすことになります。
離婚したい場合は、まず家庭裁判所で夫婦関係調整(離婚)調停を申し立てることになります。
離婚調停では、離婚と同時に親権、養育費、面会交流、財産分与、慰謝料請求などについても細かく内容をまとめることが可能です。
調停を申し立てるときには、まず裁判所に対して必要書類を提出します。
必要書類には、申立ての趣旨や親権、養育費、慰謝料請求などについての希望条件を記載することになります。
提出した書類は、裁判官や調停委員によって、夫婦双方がどのような主張を行っているのかを確認し、その後の調停進行に反映されることになります。
したがって、配偶者の不倫行為が原因で離婚したいと考えていること、離婚と同時に慰謝料を請求したいことをしっかりと記載しておきましょう。
また、社内不倫の証拠を準備している場合は、書面と一緒に裁判所に証拠を提出しましょう。
調停は、裁判官と二人の調停委員で構成された調停委員会が、夫婦の話し合いの仲裁を行います。
調停はそれぞれの条件で合意することができれば、離婚が成立しますが、一方が条件に応じない場合は話し合いが難航します。
社内不倫の慰謝料についても、配偶者が社内不倫を認めない場合は、話し合いが平行線になってしまうため、反論に耐えうる証拠を準備しておくとよいでしょう。
調停が成立すれば、調停調書が作成されます。調停調書には、夫婦が離婚することや、社内不倫の慰謝料の総額や支払い条件などについてまとめて記載されます。
調停調書に記載された内容は法的な拘束力が生じるため、社内不倫の慰謝料の支払いが滞った場合には、給与の差し押さえなどの強制執行が可能となります。
裁判所の調停手続は、弁護士に依頼しなくても一人で行うことができますが、法律の知識があるほうが、優位な主張を行うことができますので、一度は弁護士に相談しておくとよいでしょう。
特に社内不倫の慰謝料を請求する場合は、調停で有用なレベルの証拠を集めたり、過去の判例などから適切な慰謝料請求の相場を把握する必要がありますので、このような場合は弁護士に代理人を依頼することがよいでしょう。
離婚や社内不倫の慰謝料請求について話し合いが難航する場合は、調停は不成立となり、必要に応じて、裁判を提起することになります。
対処④:裁判所で離婚訴訟を提起する方法
調停が不成立となった場合、裁判所で離婚訴訟を提起することができます。離婚裁判では、調停で話し合った内容などもある程度引き継がれますが、より厳密に法律の条文に沿った審理が行われます。
そのため、裁判で離婚するためには、民法の離婚事由を満たす必要があります。
不倫は、民法上の離婚事由(不貞行為)として認められていますので、夫や妻の社内不倫が不貞行為として認められる場合は、離婚と社内不倫の慰謝料請求が同時に認められる可能性が高いと考えられます。
ただし、社内不倫が「不貞行為」として認められるためには、法律上、「不貞行為」の内容として不倫相手と肉体関係を持ったことを立証する必要があります。
なぜなら、不倫相手と肉体関係を持つことは、民法上の不貞行為や不法行為にあたり、損害賠償を請求することが認められているためです。
もし、社内不倫を原因として離婚や慰謝料請求を行う場合は、配偶者が不倫相手と肉体関係があったことを立証できるような証拠を集める必要があるでしょう。
決定的な証拠がなければ不倫の立証は難しいと感じるかもしれませんが、補充証拠があれば、請求が認められるケースもあります。
「決定的な証拠がないから不貞行為の立証はできないかもしれない…」と諦めずに、今ある証拠でどのような立証ができるのかについて、弁護士に相談してみるのも良いでしょう。
最終的に、証拠を基に配偶者が不貞行為を行っていたことを主張して、裁判官から見ても不貞行為があったと判断された場合には、不倫行為による離婚や慰謝料請求が認められるでしょう。
裁判の終結方法としては、裁判官によって離婚と社内不倫の慰謝料の請求を認める旨の判決がなされるか、裁判の途中で夫婦間で離婚と社内不倫の慰謝料を支払うことに合意して和解する方法があります。
裁判所で決まった内容については、判決文が作成されるため、もし社内不倫の慰謝料の支払いが滞った場合には、強制執行が可能となります。
裁判で離婚や社内不倫の慰謝料を勝ち取るためには、法律の知識を基に上手に主張書面を作成したり、社内不倫の証拠を裁判所に提出する必要がありますので、ほとんどのケースで弁護士が依頼人の代わりに手続を行っています。
また、調停で話し合っていた内容も踏まえて裁判手続は行われるので、調停と同じ弁護士に依頼することで、スムーズに手続きを行うことができるでしょう。
社内不倫が発覚したら?ばれるきっかけや同じ職場で不倫するリスクに関するQ&A
社内不倫がバレるきっかけにはどのようなものがあるのでしょうか?
社内不倫がバレるきっかけとしては、①職場の社員に話したものが噂として広まった、②職場での距離感や雰囲気が違っていた、③出張スケジュール、休暇、退勤のタイミングが似ている、④会社以外で一緒にいるところを目撃されるなどが多いでしょう。
社内不倫が発覚した場合の会社の対応やリスクとは?
会社の風紀や秩序を乱している、仕事に悪影響を及ぼしていると判断された場合は、会社が懲戒処分を下す可能性があります。
解雇になるケースはまれですが、異動や左遷を命じられるリスクがありますので留意してください。
また、社内不倫が発覚したことで周囲の信用を失い、自主退職をする人も少なくありません。
社内不倫が発覚した場合、不倫された側が取れる対応とは?
夫や妻の社内不倫が発覚した場合、不倫された側は、離婚や社内不倫についての慰謝料を請求することができます。
慰謝料請求については、不倫した配偶者だけでなく、不倫相手に対しても請求が可能です。
社内不倫が発覚しても婚姻生活を続ける場合は、社内不倫の繰り返しを防ぐために、ペナルティー付きの誓約書などを作成することをおすすめします。
最後に
もし社内不倫が発覚して配偶者から慰謝料を請求されたり、逆に配偶者の社内不倫を原因として離婚や慰謝料請求を考えている場合には、一度弁護士事務所にご相談されることをおすすめします。
不倫の慰謝料請求が可能か判断することができる
社内不倫の慰謝料請求が認められるためには、法律の条件を満たす必要があります。
そのため、慰謝料請求が可能であるのかを判断するためには、法律の知識が不可欠となっています。
弁護士に相談することで、どのような場合であれば不倫の慰謝料を請求することができるかを判断することができるのでおすすめです。
不倫の証拠などを集めることができる。
もし社内不倫を原因として離婚や慰謝料請求を行う場合は、社内不倫の証拠が必要になります。
特に不倫を立証するには、配偶者と不倫相手が肉体関係にあることを証明しなければなりません。客観性の高い証拠を集めるためには、プロに任せることが一番です。
慰謝料請求の交渉や裁判手続などをすべて任せることができる
社内不倫をした側もされた側も、弁護士に依頼することで、弁護士が依頼主の代わりに交渉をしてくれるため、依頼主は手続きの手間が省けるメリットがあります。また、交渉が調停や裁判などの手続に移行する場合は、裁判手続に則った書面の作成や立証の手順があります。自分ひとりでは難しいことでも、弁護士に任せることで、自分の優位な主張が可能となります。
この記事を書いた人
雫田 雄太
弁護士法人あおい法律事務所 代表弁護士
略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。3,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。
家庭の法律問題は、なかなか人には相談できずに、気付くと一人で抱え込んでしまうものです。当事務所は、家庭の法律問題に特化した事務所であり、高い専門的知見を活かしながら、皆様のお悩みに寄り添い、お悩みの解決をお手伝いできます。ぜひ、お一人でお悩みになる前に、当事務所へご相談ください。必ずお力になります。