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子連れ離婚でやることリスト|別居準備やシングルマザー向け手続きまとめ

監修者:弁護士法人あおい法律事務所

代表弁護士 雫田雄太

略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。
1,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。

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当サイトでは、離婚に関する法的な知識を分かりやすくお届けしております。皆様のお悩みの解消に少しでもお役立ちできましたら幸甚です。

子連れで離婚する場合、自分自身に必要な手続きや準備だけでなく、子供に関する手続きや準備もあるため、何から進めていけばいいのか、混乱してしまいがちです。

そこで本記事では、「子連れ離婚でやることリスト」と称しまして、子連れ離婚の際に必要な手続きや準備について、やることリストにまとめました。

やることリストは、手続きや準備を一般的な優先順に記載しているため、何から手をつけたらいいのか分からない、とお悩みの方にもご参考にしていただけるかと思います。

また、やることリストに記載した手続きや準備についても簡単に概要を解説しておりますので、ぜひ本記事をご一読いただければと思います。

子連れ離婚でやることリスト

子連れ離婚の手続きで必要な準備【やることリスト】

以下の表は、子連れ離婚でやることリストになります。一般的に子連れ離婚で必要とされる手続きや準備についてまとめました。

なお、こちらは子連れ離婚前に子連れ親がやることリストとなっています。子連れ離婚後に子連れ親がやることリストについては、本記事の後半に掲載している「子連れ離婚後にやることリスト」をご参照ください。

 

子連れ離婚でやること

目的・概要

離婚協議前

不貞やDV等の証拠を収集する

配偶者に不貞(不倫)やDV、モラハラといった不法行為がある場合、慰謝料請求をするために証拠を収集します。

共有財産をリスト化しておく

財産分与の話し合いに備え、対象となる共有財産を一覧にリストアップしておきます。

婚姻費用を算定する

離婚前に別居する場合は、別居中の婚姻費用を配偶者に請求するため、婚姻費用を算定しておきます。

仕事を探す

離婚後転職・就職する場合、仕事を探します。

離婚後の住居を探す

離婚後に引っ越す場合、引っ越し先を探します。

子供の転園・転校先を探す

子供の幼稚園や保育園、学校等が変わる場合は転園・転校先を探し、手続きについて確認しておきます。

離婚後の自分と子どもの姓・戸籍について考える

離婚後に旧姓に戻るか、婚姻中の姓を名乗るかなどを決めておきます。

公的支援制度の確認をする

ひとり親世帯が受給できる助成金や、子育てに関する公的支援制度について確認します。

離婚協議

財産分与について話し合う

 

慰謝料や婚姻費用を請求する

 

未成年の子供の親権者を決める

夫と妻のどちらを親権者にするか、養育費の支払い内容や支払い方法、面会交流の方法などについてを話し合って決めます。

養育費について話し合う

面会交流について話し合う

年金分割について準備しておく

 

離婚協議後

離婚協議書を作成する

離婚協議で決定した内容を離婚協議書にまとめ、離婚協議書を公正証書にします。

離婚協議書を公正証書にする

離婚届を記入し提出する

 

やることリストに記載の順番で効率よく準備を進めましょう

一般的に子連れ離婚に必要とされる手続きについて、やることリストにまとめました。

特に離婚協議前には準備すべきものが多く、離婚協議自体もストレスになりかねません。

ですが、適切な離婚条件でなるべく有利に子連れ離婚するためには、入念な備えが肝心です。

上記のやることリストは、進めるべき順番で記載してありますので、やることリストをご参考にしていただき、できる限り効率よく子連れ離婚の準備を進めていただければと思います。

子供あり家庭の離婚準備

子連れ離婚でやることについては、上のやることリストに記載した通りです。

それでは、やることリストに挙げた手続きの概要について、簡単に説明させていただきます。

子連れ別居の前に決めること

子連れ離婚に向けた別居の前に決めること、やることは沢山あります。以下、子連れ離婚で通常決めることや、やることを解説していきます。

やることリスト(1)不貞やDV等の証拠を収集する

やることリストの1つ目は証拠の確保です。

相手の不法行為(浮気・不倫、DV、モラハラや、同居などの夫婦の義務違反など)によって子連れ離婚をする場合は、証拠を確保しましょう。

慰謝料を請求した場合、相手は「不貞などしていない。」「暴力の事実はない。」と反論してくるでしょうから、客観的に不法行為があったことを証明するため、次のような証拠が重要です。

 

  1. メール・SNSのやり取り
  2. ホテルへ出入りする写真、ホテルの領収書
  3. 性行為直前あるいは性行為中の映像等
  4. 不貞相手とのやり取りを記録した音声データ
  5. 興信所等調査会社の報告書
  6. 生活費の振り込みの実態が分かる預金通帳
  7. 生活費の支払いを拒否する発言を含むデータ(録音、録画)
  8. DVを受けた際の診断書

 

なお、DVやモラハラ等の被害に遭っている場合は、証拠収集よりも自分や子供の身の安全の確保を優先してください。

やることリスト(2)共有財産をリスト化しておく

やることリストの2つ目は、共有財産のリスト化です。

子連れ離婚する時の財産分与のために、対象となる共有財産を洗い出しておく必要があります。共有財産となるものは、主に下に列挙した財産です。

 

  1. 不動産
  2. 自動車
  3. 家具や家電
  4. 現金、預貯金といったお金
  5. 退職金
  6. 有価証券等
  7. 生命保険や学資保険などの解約返戻金
  8. 子供名義の預貯金や児童手当
  9. 負債(借金やローン)

 

自分で調べるのが難しい場合は、弁護士による弁護士照会(23条照会)や、裁判所による調査嘱託といった制度を利用されてみてはいかがでしょうか。

やることリスト(3)婚姻費用を算定する

やることリスト3つ目は、婚姻費用の算定です。

婚姻期間中は、別居状態にあっても、「夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担」しなければなりません(民法第760条)。

ここでいう婚姻費用とは、家賃や光熱費・食費といった生活費など、夫婦や子供が通常の社会生活を維持するために、一般的に必要となる費用のことです。

そこで、離婚前に別居をする場合は、別居期間中の生活費である婚姻費用を請求する準備をしておきましょう。

婚姻費用の金額の算定には、通常、裁判所が公開している「婚姻費用算定表」を使います。

<参考:養育費・婚姻費用算定表

なお、算定表から出した金額を全て請求できるとは限らないので、あくまで目安として考えておきましょう。

住まいや仕事の確保を最優先に!

やることリスト(4)仕事を探す

現在働いている仕事を続けられるのか、転職しなければならないか。

今家事従事者であるなら、就職活動は最優先事項です。

離婚後の当面の生活費として、財産分与や慰謝料、養育費があるからといって、悠長に構えてはいられません。全て金銭で給付してもらえるわけでもなく、特に養育費に関しては、必ず支払ってもらえるとも限らないからです。

DVやモラハラを受けておらず、離婚までに数ヶ月~数年をかける時間的余裕があるのでしたら、安定した勤め先を見つけるか、就職・転職のための資格を取得してみるのも良いでしょう。

やることリスト(5)離婚後の住居を探す

生活の基盤となるのは住居です。

離婚後も現在の居所で暮らしていけるのか。実家を頼ることはできるのか。通勤や通学に不便でない環境に転居できるのか。

子連れ離婚のときは、転校や転園も視野に入れて引っ越し先を探すことになります。

現在の住まいから持ち出せる家具や家電、新しく必要になる物のリストを作り、引っ越し費用を多めに見積もっておけば安心です。

やることリスト(6)子供の転園・転校先を探す

子供の転園・転校先について、仕事や住居と同時に早めに探し始めておく必要があります。

定員割れのため保育施設を選びやすい地域もあれば、反対に、待機児童が多く入所は順番待ちという地域もあります。

引っ越し後の環境については、しっかり調べておきましょう。

シングルマザーが特に準備すべきこと

やることリスト(7)離婚後の自分と子供の姓・戸籍について考える

やることリストの7つ目が、離婚後の姓と戸籍のことです。

離婚後、婚姻前の姓(旧姓)にもどる場合は、旧姓で結婚前の戸籍(実家の戸籍)にもどるか、旧姓で自分を筆頭者とした新しい戸籍を作ることになります。

子供のためにも苗字を変えたくない、という場合は、婚姻中の姓を名乗るための届出手続きが必要になります(離婚の際に称していた氏を称する届)。この届出は離婚届の提出と同時に行ってしまえる簡単な手続きです。

名義変更の手間や、子供の保育園や学校での影響などを十分に考えて、離婚後の姓と戸籍をどうするか決めましょう。

父が親権者の場合母が親権者の場合

やることリスト(8)公的支援制度の確認をする

離婚時に財産分与や養育費を請求できるとはいっても、心もとない部分もあるかと思います。

そんなときには、国や地方自治体の扶助制度を活用できますので、事前に自分が利用できる制度を確認しておきましょう。

子連れ離婚後にやることリストに記載した以下の助成金や支援制度は一例です。

 

  • 児童手当
  • 児童扶養手当
  • 生活保護
  • 医療費助成
  • 住宅手当
  • 自立支援教育訓練給付金
  • 高等職業訓練促進給付金
  • ひとり親家庭等日常生活支援事業
  • 就学援助費
  • 上下水道料金の減免
  • 保育料の減免
  • 国民健康保険料の軽減
  • 国民年金保険料の減免
  • 住民税の減免
  • ひとり親控除(所得税)
  • 寡婦控除(所得税)
  • 粗大ごみ処理手数料の減免
  • 公共交通機関の利用料割引

 

子連れ離婚後、現住所とは異なる市区町村へ引っ越す場合は、転入先の市区町村でどういった公的支援制度があるのか、電話やホームページなどで確認しておきましょう。

話し合いで生活費や養育費を確保しましょう

やることリスト(9)財産分与について話し合う

やることリスト2つ目でリストアップした共有財産をもとに、財産分与について話し合いましょう。

財産分与の割合は原則2分の1ですが、夫婦が話し合って決めるものですので、この原則に従う必要はありません。

預貯金だけでなく、家具や家電なども財産分与の対象になるため、洗濯機やオーブンレンジは妻に、といったように、現物での分与も行われます。

やることリスト(10)慰謝料や婚姻費用を請求する

相手方に対し、慰謝料や婚姻費用を請求します。

金額だけを提示しても納得はしてもらえないかと思いますので、どのようにその費用を算出したのか、簡単に説明できると良いでしょう。

慰謝料の話し合いに関しては、どうしても相手を責めるようなものになりがちです。お互い感情的になって話し合いが停滞してしまわないよう、冷静に話を進めてください。

どうしても当事者での話し合いではまとまらない場合は、弁護士にご相談されることをおすすめいたします。

やることリスト(11)未成年の子供の親権者を決める

やることリストの11項目目は、親権者についての話し合いです。

親権者が決まっていないと、離婚届を提出できないので、未成年の子供の親権をどちらが持つべきか、お互いが親権を持ちたい、と主張したときにどのように話し合うか、検討しておきましょう。

収入に不安のある女性でも親権を得ることは可能ですし、母親が親権を持つことが多いとはいえ、父親が親権を得ることも可能です。

何より大事なのは子供の利益になるか、という点です。「子供のため」を念頭に置いて、親権者を決めてください。

やることリスト(12)養育費について話し合う

養育費とは、「未成熟の子供が経済的・社会的に自立するまでに必要となる費用」のことを意味しています。
養育費の具体的な中身は、衣食住に必要な経費、学費、医療費などです。

養育費は子供を引き取る側(親権者もしくは監護権者)が相手に対して請求できる費用なので、妻が子供を引き取れば元夫に養育費を請求できますし、夫が子供を引き取る場合は、元妻に養育費を請求することになります。

養育費の具体的な金額について、法律上の決まりはありません。

協議や調停で双方が合意すれば、その合意した金額になります。審判や訴訟になったりした場合は、裁判所が公開している「養育費算定表」を基準に金額が決められることになります。

<参考:裁判所ホームページ

子供の教育方針について明確にしておき、大体の目安の金額を算定してから話し合いましょう。

やることリスト(13)面会交流について話し合う

やることリストの13項目目は、子供との面会交流についての話し合いです。

子供を引き取らなかった方の親と子供が定期的に会って交流することを、面会交流といいます。

元配偶者の不倫が原因で離婚した場合など、子供に合わせたくないこともあるとは思います。

ですが、離婚しても子供にとっては親ですので、DVやモラハラで傷つけられるような可能性のあるケースを除き、なるべく面会交流の機会を持つようにしてください。

やることリスト(14)年金分割について準備しておく

やることリストの14項目目は年金分割です。

婚姻期間中に支払った年金保険料を原則2分の1の割合で分割し、将来受け取る老齢厚生年金額を調整することをいいます。

夫婦のどちらかが厚生年金に加入している場合、年金分割の手続きを受けることができます。国民年金や確定拠出年金などは年金分割の対象ではないため、年金分割を請求できるか確認しておきましょう。

なお、年金分割の手続きは、離婚後2年以内に行う必要があります(厚生年金保険法第78条の2)。

協議がまとまった後にやること

やることリスト(15)離婚協議書を作成する

離婚条件について双方が納得できたら、離婚協議書を作成しましょう。

離婚協議書は、財産分与や慰謝料、養育費など、話し合って決めた内容を記載した夫婦間の契約書です。

様式や内容に関して法律上に定めはありませんが、自分で作るのは不安がある、という方は弁護士にご相談ください。離婚協議書の作成をサポートします。

やることリスト(16)離婚協議書を公正証書にする

離婚協議書は契約書とはいえ、法的な強制力がありません。養育費の支払いが遅滞した場合、離婚協議書を証拠として、養育費の支払いを求める裁判を起こす必要があります。

そこで、裁判を起こさなくても、養育費の支払いが遅滞したときに財産の差し押さえができるよう、離婚協議書を公正証書にしておくことをおすすめします。

やることリスト(17)離婚届を記入し提出する

全ての準備が終わったら、離婚届を記入し提出します。

夫婦双方の署名と証人の署名が必要なので、証人を誰に頼むかについても、配偶者と話し合っておくと良いでしょう。

男性が子連れ離婚を希望するときにやること

最近では、子育てに積極的にかかわる男性も増えており、中には子連れ離婚をしたいという男性もおられます。

男性が専業主夫として育児のほとんどを担っていた場合には、男性が子連れ離婚をすることもあり得るといえます。

しかし、そこまではいかずに、多くは女性が育児を担っていたという時には、男性の子連れ離婚は難しいところがあります。

裁判所が親権者を決める際には、「これまで十分に子育てに関わってきたか、離婚後も子育てに時間を割けるか」といった点を重視しています。

子連れ離婚を検討している男性は、本当に自分が子育てを担うことができるか、次のようなことを踏まえて、慎重に考えることが大切です。

 

  • 離婚までに子育てに十分関わっていたか(子育ての実績)。
  • 離婚後も子育てに十分な時間を割けるか。
  • 自分以外に子供の面倒をみてもらえる環境にあるか。
  • 離婚後の生活環境が子供に大きな変化を及ぼさないか。
  • 経済状況が安定しているか(浪費癖や借金がないこと)。
  • 自分自身が健康であるか。
  • 自分が親権者になった場合、他方親と子の面会交流に適切に応じるか。
  • 妻が親権者となることを望んでいるか。
  • 妻による育児の方が子供のためになるか。
  • 子供がどちらの親と過ごすことを望んでいるのか。

 

これまで子育てにあまり関わってこなかった男性の場合には、無理に子供を連れて出ることは子供にも大きな負担となるため、おすすめはできません。適切な子供の育児環境を整えるため、子供のことを中心に据えて、冷静に考えることが必要です。

子連れ離婚後にやることリスト

最後に、子連れ離婚した場合、離婚後にやることについてもリストにまとめました。

こちらの離婚後にやることリストも、ご参考にしてください。

 

手続き

概要

申請手続き・窓口

備考

世帯変更

世帯分離や世帯主の変更

市町村役場

変更のあった日から14日以内

住民票の異動(転出届)

引っ越したとき

引っ越しの14日前から当日まで

住民票の異動(転入届・転居届)

異なる市区町村から転入したとき(転入届)

同じ市区町村内で引っ越したとき(転居届)

引っ越しの日から14日以内

国民健康保険・国民年金

国民健康保険への加入・住所氏名の変更

変更のあった日から14日以内

マイナンバーカード

登録されている氏名や住所の変更

なるべく早く

氏名の変更

「離婚の際に称していた氏を称する届」の提出により、婚姻中の氏をそのまま使うとき

離婚した日から3ヶ月以内

印鑑登録

現在の印鑑登録の廃止

新しい印鑑の登録

必要に応じて

運転免許証

氏名や住所の変更

警察署

運転免許センター

離婚後すぐに

銀行口座

氏名や住所、連絡先、引き落とし口座など、契約者情報の変更

金融機関

クレジットカード

カード会社

公共料金

 

携帯電話

氏名や住所、契約プランの変更

携帯会社

生命保険金

保険金受取人の変更

保険会社

健康保険(被扶養者の変更)

会社の健康保険の被扶養者の変更

勤務先

変更のあった日から5日以内

厚生年金(被扶養者の変更

厚生年金の被扶養者の変更

健康保険(加入)

会社の健康保険に加入するとき

雇用開始日から5日以内

厚生年金(加入)

厚生年金に加入するとき

幼稚園・保育園・学校等

入園・入学や転園・転校等の手続き。

市区町村役場・学校

市区町村によっては保育園等の空きがないこともある。

子の氏の変更許可の申立て

離婚にともない、父の戸籍から母の戸籍に移り母の氏を称するために、家庭裁判所の許可を得る申立手続き。

子の住所地の家庭裁判所

家庭裁判所の許可を得た後、市区町村役場に入籍の届出をする必要がある。

各種公的扶助制度

児童手当

中学校卒業まで(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の児童を支給対象とした、現金給付による支援制度。

出生や転入から15日以内に、現住所の市町村に認定請求書を提出する。

毎年6月、10月、2月に、それぞれの前月分までの手当が支給される。

児童扶養手当

18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある児童(障害児は20歳未満)がいるひとり親家庭に対し現金が支給される制度。

現住所の市町村に認定請求書を提出する。

年6回(5月、7月、9月、11月、1月、3月)、それぞれ2ヶ月分が支給される。

生活保護

食費、被服費、光熱費、義務教育の学用品費、医療・介護サービス費、出産費用、就労に必要な技能習得等費用など、生活を営む上で生じる必要な費用に対して保護費を支給する制度。

都道府県や市が設置する福祉事務所で相談・申請する。

国が定める「最低生活費」から実際の収入を控除した差額が支給される。

医療費助成

母子家庭・父子家庭等の経済的負担を軽減するため、医療費の自己負担相当分の一部を都道府県と市区町村で助成する制度。

市区町村役場で申請し、医療証の交付を受ける。

生活保護受給者や限度額以上の所得がある者は支給対象外。

住宅手当

引っ越し費用などの一時的・一回限りな金銭的援助や、家賃の一部補助などを行う、市区町村独自の助成金交付制度。

役所での申請・公開抽選など、市区町村による。

市区町村により実施していない場合もある。

自立支援教育訓練給付金

雇用保険教育訓練給付金制度の指定講座を受講した場合、修了後に受講料の一部を支給する制度。

居住地の保健福祉センター等で、講座の受講申請をする。

 

高等職業訓練促進給付金

就職に有利な資格を取得するために養成機関で修業する場合、訓練促進給付金と修了支援給付金を支給する制度。

居住地の保健福祉センター等で申請する。

対象資格は看護師、准看護師、介護福祉士、保育士、理学療法士、作業療法士、歯科衛生士、美容師、社会福祉士、製菓衛生師、調理師等。

ひとり親家庭等日常生活支援事業

家庭生活支援員が、利用者宅で家事・介護などの日常生活を支援したり、支援員の居宅等で乳幼児の保育等を行う支援事業。

居住地の市区町村を管轄する福祉事務所で利用者登録をする。

利用者登録すると、1年間有効。1時間単位で利用でき、費用負担も少ない。

就学援助費

学用品費や修学旅行費、卒業アルバム代やオンライン学習通信費など、就学に必要な経費を援助する制度。

市区町村による。

 

上下水道料金の減免

基本料金及び基本料金にかかる消費税等相当額の減額。実施の有無は水道事業者による。

水道事業者による。

【例】東京都水道局の場合、児童扶養手当等の受給世帯を対象とした減免制度がある。

保育料の減免

市区町村民税が非課税のひとり親世帯や、児童扶養手当の受給世帯に対し、保育料を減免する市区町村独自の制度。

市区町村による。

 

国民健康保険料の軽減

前年より所得が大幅に減少した場合や、病気などで生活が苦しくなった場合などに、国民健康保険料が軽減される制度。

市区町村による。

 

国民年金保険料の減免

民年金保険料を納めることが経済的に困難な者を対象に、保険料の納付を一部あるいは全額免除する制度。

市区町村役場または年金事務所で申請する。

生活保護の生活扶助を受けている場合は、国民年金保険料が法定免除となる。

住民税の減免

前年より所得が大幅に減少するなど、市税等の納付が極めて困難な事情があると認められる場合に、住民税が減免される制度。

市区町村による。

 

ひとり親控除(所得税)

合計所得金額が500万円以下で、生計を一にする子がいるひとり親を対象に、所得税を減免する制度。

所得税の確定申告または年末調整で申告を行う。

寡婦控除と異なり。婚姻歴や性別を問わない。

寡婦控除(所得税)

合計所得金額が500万円以下で、ひとり親控除に該当せず、婚姻歴のある女性を対象とした、所得税を減免する制度。

所得税の確定申告または年末調整で申告を行う。

ひとり親控除と同時に適用できず、ひとり親控除が優先される。

粗大ごみ処理手数料の減免

粗大ごみの処理手数料の減額・免除。

市区町村による。

市区町村により実施していない場合もある。

公共交通機関の利用料割引

生活保護や児童扶養手当の受給世帯や、母子生活支援施設に入所している世帯等を対象に、バスや電車、地下鉄などの利用料金を減免する制度。

市区町村による。

利用できる区間や交通機関が限定されていることが多い。

子連れ離婚でやることリストに関するQ&A

Q1.子連れ離婚に必要な手続きを教えてください。

本記事の「子連れ離婚でやることリスト」に記載した、17の手続き・準備が必要です。

 

  1. 子連れ離婚でやることリスト(1)不貞やDV等の証拠を収集する
  2. 子連れ離婚でやることリスト(2)共有財産をリスト化しておく
  3. 子連れ離婚でやることリスト(3)婚姻費用を算定する
  4. 子連れ離婚でやることリスト(4)仕事を探す
  5. 子連れ離婚でやることリスト(5)離婚後の住居を探す
  6. 子連れ離婚でやることリスト(6)子供の転園・転校先を探す
  7. 子連れ離婚でやることリスト(7)離婚後の自分と子供の姓・戸籍について考える
  8. 子連れ離婚でやることリスト(8)公的支援制度の確認をする
  9. 子連れ離婚でやることリスト(9)財産分与について話し合う
  10. 子連れ離婚でやることリスト(10)慰謝料や婚姻費用を請求する
  11. 子連れ離婚でやることリスト(11)未成年の子供の親権者を決める
  12. 子連れ離婚でやることリスト(12)養育費について話し合う
  13. 子連れ離婚でやることリスト(13)面会交流について話し合う
  14. 子連れ離婚でやることリスト(14)年金分割について準備しておく
  15. 子連れ離婚でやることリスト(15)離婚協議書を作成する
  16. 子連れ離婚でやることリスト(16)離婚協議書を公正証書にする
  17. 子連れ離婚でやることリスト(17)離婚届を記入し提出する

 

詳細は、子連れ離婚でやることリストと、その概要をご参照ください。

Q2.子連れ別居の前に、特にしておくべき手続きや準備はありますか?

子連れ別居の前には、別居前でなければ難しいことについて手続きや準備を済ませておきましょう。

具体的には、やることリストの中でも①不貞やDV等の証拠収集、②共有財産のリストアップ、③婚姻費用の算定、の3つが子連れ別居の前に特に重要となってきます。

Q3.シングルマザーですが離婚後の生活費が不安です。

子連れ離婚前に、離婚財産分与や養育費、年金分割などについて配偶者と取り決めておきましょう。

子連れ離婚後、支払いが遅滞した場合に備えて、離婚協議書を作成し、公正証書にしておくことが望ましいです。

また、児童手当や生活保護といった公的支援制度がありますので、子連れ離婚する前に、利用できそうなものをリストアップしておくと良いでしょう。

本記事に掲載した「子連れ離婚後にやることリスト」にも主な公的支援制度を挙げておりますので、ご参照ください。

まとめ

子連れ離婚に必要な手続きや準備について、「やることリスト」にまとめ、概要をご説明させていただきました。

やることリストに関しては、一般的な優先順に必要な手続きを記載してありますが、個別の状況に応じて臨機応変に準備を進めていただければと思います。

この記事を書いた人

雫田 雄太

弁護士法人あおい法律事務所 代表弁護士

略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。1,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。

 

家庭の法律問題は、なかなか人には相談できずに、気付くと一人で抱え込んでしまうものです。当事務所は、家庭の法律問題に特化した事務所であり、高い専門的知見を活かしながら、皆様のお悩みに寄り添い、お悩みの解決をお手伝いできます。ぜひ、お一人でお悩みになる前に、当事務所へご相談ください。必ずお力になります。

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