• お金の問題

財産分与は弁護士に相談すべき?離婚時の財産分与の無料相談窓口も解説!

監修者:弁護士法人あおい法律事務所

代表弁護士 雫田雄太

略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。
3,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。

弁護士法人あおい事務所の離婚専門サイトをご覧いただき、ありがとうございます。
当サイトでは、離婚に関する法的な知識を分かりやすくお届けしております。皆様のお悩みの解消に少しでもお役立ちできましたら幸甚です。

離婚時に多くの夫婦が直面するのが、財産分与の問題です。

財産分与は、婚姻期間中に夫婦で形成した共有財産を分配することを意味していますが、注意すべきことが多くあります。

たとえば、結婚前の財産や相続によって取得した財産は共有財産に含まれないなど、知らないと大きく損をすることもあります。

特に、婚姻期間が数十年に及び共有財産が多い夫婦や、共有財産と個人の特有財産を区別することが難しい場合などは、夫婦だけで財産分与の手続きを進めることが難しいこともあります。

そこで、この記事では、離婚財産分与を弁護士に相談することのメリットを中心に、弁護士が分かりやすく解説いたします。
また、弁護士に相談するのが難しいといった方に向けて、弁護士以外の相談窓口をご紹介しております。
財産分与で弁護士相談を検討中の方に、本記事がご参考となりましたら幸いです。

目次

財産分与は弁護士に相談すべき?

離婚時の財産分与の問題については、弁護士にご相談いただくことをおすすめしております。
弁護士に相談すべきなのはなぜか、という理由についてお話しする前に、まずは離婚時の財産分与についての基本的な知識をご説明させていただきたいと思います。

財産分与は難しい?

離婚時の財産分与とは、婚姻期間中に夫婦が協力して築き上げた財産を、離婚時に清算することです(民法第768条第1項)。この「婚姻期間中に夫婦が協力して築き上げた財産」を、「共有財産」といいます。財産分与の対象となる財産は、原則としてこの共有財産に限られます。

そのため、結婚前に得た財産や独身時代の給与収入、相続によって親から取得した財産などは、「婚姻期間中に夫婦が協力して築き上げた財産」に該当しない「特有財産」であるため、財産分与の対象にはなりません。どの財産が共有財産に当たるかという判断は、その財産の名義ではなく、実質的に夫婦の共有の財産であるか、という視点が基準となります。
また、共有財産は預貯金や現金だけでなく、次のようなものも含まれます。

  • 不動産
  • 自動車
  • 家具や家電
  • 株式
  • 有価証券
  • 負債(借金や住宅ローンなど)

財産分与の割合は、原則として2分の1ずつとなります。これは、夫や妻が家事従事者である場合も同様です。なお、夫婦間の話し合いによる合意次第で、財産分与の割合を2分の1以外にすることも可能です。

そして、離婚財産分与をするにあたっては、請求可能な期間に注意する必要があります。離婚成立後に財産分与の請求を行う場合は、離婚したときから2年以内に請求を行わなければなりません(民法第768条第2項)。

このような離婚時の財産分与については、こちらの関連記事にて、より詳しく弁護士が解説しております。本記事とあわせて、ぜひご参考にしてください。

なぜ弁護士に依頼すべきなの?

さて、このような離婚財産分与ですが、「夫婦の共有財産を折半するだけ」と思われるかもしれません。たしかに、夫も妻も離婚に対して前向きで、特に財産分与の条件についても争いがないような場合には、当事者だけでスムーズに財産分与を行うことができるでしょう。

ですが、離婚財産分与に関しては、以下のような問題に直面することも少なくありません。こういった場合には、離婚時の財産分与について、弁護士にご相談することをおすすめします。

1.相手方が財産を隠しているケース

離婚協議において、財産分与の対象となる財産を明らかにするためには、双方が財産の開示を行う必要があります。日頃からお互いの財産を全て把握している場合であればともかく、個人名義の通帳を複数持っている場合や、電子マネーを持っている場合には、なかなか全てを把握しておくことは難しいです。

そのため、財産分与の話し合いにあたって、所有している財産の開示を求めることになります。ですが、相手方が財産の開示を拒否したり、財産を隠したまま財産分与を進めていくことも少なくありません。

このような場合、弁護士に依頼して、相手方に対して財産の開示を請求することができます。弁護士会照会や調査嘱託などの方法で、相手方の財産を調査することができるのです。

また、隠し財産が明らかになっても、相手方がその財産を財産分与の対象とすることを認めない場合には、裁判で争うことになります。

このような場合、弁護士に依頼することで、裁判で有利な主張をすることが期待できます。このような場合にも、一度、弁護士に相談・依頼することをおすすめします。

2.離婚協議がまとまらず、調停や裁判に発展するケース

離婚協議がまとまらず、調停や裁判に発展するケースでは、弁護士に相談・依頼することを強くおすすめします。
離婚協議は、当事者同士で話し合い、財産分与の内容を決めることになります。しかし、財産の種類や価値、取得時期など、さまざまな要素を考慮する必要があり、当事者同士での話し合いがまとまらないことも少なくありません。そのような場合、調停などの裁判手続きを利用することができます。

調停や裁判では、裁判官や調停委員が当事者双方の意見を聴き、財産分与の内容を決めます。しかし、法律の専門知識や交渉スキルがないと、不利な条件で財産分与を決められてしまう可能性があります。

弁護士に相談や依頼をすることで、法律の専門知識に基づくアドバイスを受けられるほか、相手方との交渉を弁護士に任せることが可能になります。また、話し合いでは決着せずに裁判になった場合にも、弁護士が代理人として手続きを進めることが可能です。

3.夫や妻が企業経営者や自営業者である場合

企業経営者や自営業者は、個人事業主や法人の代表者として、さまざまな財産を保有している可能性があります。例えば、自宅や事業用不動産、事業用の設備や機械、事業用の車両、株式や有価証券、そして預貯金や保険などが挙げられます。
これらの財産は、婚姻期間中に取得したものであるかどうか、個人の財産であるかどうか、事業用の財産であるかどうかなど、さまざまな要素を考慮して離婚財産分与の対象となるかどうかが判断されます。

また、企業経営者や自営業者は、事業の成功や失敗によって、財産の価値が大きく変動する可能性があります。そのため、財産分与の割合を決める際には、将来の財産の価値の変動も考慮する必要があるのです。
このような複雑な事情があるため、企業経営者や自営業者が離婚する場合は、離婚時の財産分与を弁護士に相談・依頼することをおすすめいたします。

4.評価が難しい財産がある場合

離婚の財産分与の対象となる財産には、不動産、預貯金、有価証券、自動車、貴金属、美術品、特許権、商標権など、さまざまな財産が考えられます。これらの財産は、その種類や状況によって、評価が難しい場合があります。
例えば、不動産の評価は市場価値の変動、立地、建物の状態、近隣の開発計画などによって影響を受けます。特に、事業用不動産や特殊な用途の不動産は、一般的な住宅と比べて評価が難しいことがあるのです。

有価証券もまた、市場の変動性に大きく左右され、評価時点における正確な価値を把握するのが難しい場合があります。株式の場合、特に非公開企業の株式は、市場での取引がないため、その価値を決定するのが一層困難です。
自動車や貴金属のような動産についても、その状態や希少性、ブランド価値などによって価値が大きく変動することがあります。特に、収集品や限定品の場合、市場における需要と供給のバランスが価値に大きく影響します。

こうした財産の評価は専門的な知識と経験を要し、場合によっては専門家の鑑定が必要になることもあります。離婚における財産分与を公正かつ適切に進めるためには、これらの財産の特性と評価方法を理解し、必要に応じて専門家の助言を仰ぐことが重要になるため、弁護士へ相談することが推奨されるのです。

5.財産分与の合意書を作成する場合

離婚時に財産分与について夫婦間で合意が形成された場合に、離婚協議書を作成したり、離婚公正証書を作成することは少なくありません。
しかし、離婚協議書や離婚公正証書の形式や内容に不備があると、将来的にトラブルに発展する可能性があります。

例えば、分与される財産の具体的な内容と分配比率、移転の時期や方法などが明確に記載されていないと、後から認識のズレなどを理由にトラブルになることがあります。

特に、不動産の場合は、とても大きな財産である以上、物件の詳細情報や名義変更の手続きに関する規定も含めるべきですが、これらの記載に誤りがあると、後日の実施においてトラブルが生じる可能性が高いです。

さらに、財産分与には税金の問題も関わってきます。例えば、不動産の移転には譲渡税や登録免許税が発生することがあり、これらの負担についても合意書内で明確に定める必要があります。

これらの複雑な法的、税務的側面を正しく理解し、適切に対処するためには、弁護士の専門的な知識と経験が必要となります。

また、離婚公正証書に関しても、単に離婚協議書の内容を公正証書にするだけでは不十分です。公正証書特有の条項を入れるなどして、その効力をより実効性あるものにすることが大切です。

弁護士はこれらの点を検討し、適切なアドバイスを提供することで、将来のトラブルを未然に防ぐことが期待できるのです。

弁護士なしの財産分与は難しい?

弁護士なしで財産分与を進めようとする方もいらっしゃいますが、自分だけで進めるには次のようなリスクがあるため、なるべく弁護士にご相談いただくことをおすすめしております。
財産分与の対象や分配方法に関する法律的な知識や経験が十分でない場合、適切な判断や交渉が難しくなることがあります。その結果、不利な条件を受け入れさせられたり、自分の権利を十分に主張できないことも考えられます。

また、離婚の財産分与の合意書が法的に有効な内容や形式でない場合、将来的に思わぬトラブルが起こる可能性があります。たとえば、合意書が無効となったり、相手方が履行しなかったり、追加の要求をしてくることも考えられます。
離婚時に財産分与の手続必要書類が不足したり、期限に遅れてしまうといったリスクも生じます。財産分与の合意の成立が遅くなってしまったり、紛争が発生してしまったりするリスクがあります。

また、財産分与だけでなく、慰謝料や親権、養育費などの問題も、同時に解決できない恐れがあります。このような場合、別途裁判や調停などの手続きが必要となってしまい、時間や費用が余計にかかってしまうことも考えられます。

以上の通り、財産の価値を正確に評価し、適切な方法でスムーズに分配するためには、専門的な知識が重要です。そのため、離婚時の財産分与については、弁護士にご相談いただくことをおすすめしております。
また、弁護士に離婚時の財産分与についてご相談・ご依頼いただくことで、次のようなメリットもあります。

財産分与を弁護士に相談するメリット

離婚時の財産分与について弁護士に相談・依頼することには、主に次の9つのメリットが挙げられます。

  1. 複雑な財産の正確な評価を行い、適切な分析を提供してくれる
  2. 一方が持つ情報量の差を埋め、公平な交渉をサポートしてくれる
  3. 代理人として財産分与の交渉をしてくれる
  4. 夫婦双方が納得できる内容の財産分与案を提案してくれる
  5. 離婚協議書や離婚公正証書の作成をフォローしてくれる
  6. 財産分与以外の離婚条件(慰謝料、親権や養育費など)についても相談できる
  7. アンフェアな話し合いから、依頼者の権利を守ってくれる
  8. 離婚調停や離婚裁判の手続きを代理してくれる
  9. 手続きや交渉によるストレス・手間が軽減される

それぞれのメリットについて、具体的に解説させていただきます。

メリット①:複雑な財産の正確な評価を行い、適切な分析を提供してくれる

弁護士に財産分与を依頼するメリットのひとつは、複雑な財産の正確な評価を行い、適切な分析を提供してくれることです。
離婚時の財産分与において、事業用不動産、海外の資産、特許権、芸術作品などの正確な評価は非常に難しい問題です。これらの資産は市場価値が不透明で変動しやすいため、適切な価値を見積もることが重要です。
たとえば、事業用不動産の場合、その価値は物件の場所、状態、市場の動向、さらには将来の開発計画によって大きく変動する可能性があります。

また、特許権や著作権などの無形資産は、それが将来的にどれだけの収益を生み出す可能性があるかによって評価されます。芸術作品の場合、その価値は作者の名声、作品の希少性、歴史的重要性によって左右されます。
弁護士はこれらの複雑な資産の評価に関する専門知識を持ち、適切な評価方法の選択や市場分析を行い、資産の公平な価値を算出することができます。さらに、必要に応じて鑑定士や他の専門家と連携して、より詳細な評価を行うことも可能です。

メリット②:一方が持つ情報量の差を埋め、公平な交渉をサポートしてくれる

離婚における財産分与では、しばしば情報の非対称性が問題となります。
たとえば、一方の配偶者が家庭を支える主婦(夫)であり、もう一方が事業を運営する経営者である場合、経営者側が持つ事業に関する詳細な情報や資産の全容について、もう一方は十分に把握していないことが多いです。これにより、事業資産や企業の価値、その他の金融資産などの正確な評価が困難になり、財産分与の過程で不公平が生じる可能性があります。
ここで弁護士の役割が重要になります。

弁護士は、専門的な知識を活用して隠された資産や未報告の収入を発見する手助けをし、事業の真の価値や資産の全体像を明らかにすることができます。
また、会計帳簿の分析、不動産の評価、投資ポートフォリオの検証など、複雑な財務情報の解析を行うことにより、情報の不均衡を解消します。
具体的には、事業経営者である配偶者が事業の価値を過小評価している場合、弁護士は会計士やその他の専門家と協力して、事業の正確な価値を算定し、公平な分与を実現するための交渉を行います。

このように、弁護士に依頼した場合には、夫婦間の情報の不均衡を解消し、依頼者にとって公平で均衡の取れた交渉のサポートを受けることを期待できます。

メリット③:代理人として財産分与の交渉をしてくれる

離婚においては、しばしば感情が高ぶってしまい、財産分与などの離婚条件について冷静な交渉が困難になることがあります。このような時、弁護士が代理人として関わることで、財産分与の手続きを円滑に進めることができます。
たとえば、一方の配偶者が大きな経済力を持っている場合、力の不均衡が交渉に影響を与える可能性があります。弁護士が介入することで、このような力の不均衡を緩和し、財産分与について公平な交渉の場を設けることができます。

また、弁護士は財産分与に関して法的な知見を持っているため、交渉過程での法的な落とし穴や潜在的なリスクを指摘し、依頼者が不利にならないように交渉を進めていくことが期待できます。

たとえば、特定の資産の分与に関して、税金の影響や将来的な価値変動までを考慮した提案を行うことができます。

さらに、弁護士は交渉の中で、慰謝料や子どもの養育費、親権の問題など、財産分与以外の離婚に関連する諸問題についても総合的にアドバイスを行うことができます。

弁護士は財産分与の交渉を進めていく上で、客観的かつ冷静な立場を保つため、感情的な対立を緩和する役割を果たします。これにより、当事者で財産分与についての協議を進めていくよりもスムーズに話し合いが進み、早期の合意に至る可能性が高まるのです

このように、弁護士による代理人としての交渉は、財産分与をより公平かつ効率的に進める上で重要な役割を果たします。この点も、大きなメリットのひとつです。

メリット④:夫婦双方が納得できる内容の財産分与案を提案してくれる

離婚時の財産分与は、非常に敏感かつ複雑な問題です。たとえば、夫が経営する会社の株式や共同で購入した不動産が分与対象となる場合、それらの価値評価や分配方法について、夫婦間で意見が一致しないことがよくあります。ここで弁護士の介入が重要になります。
弁護士は、法的な知識に基づき、双方にとって公平で実行可能な財産分与案を提示できます。たとえば不動産の場合、その市場価値の評価、将来の資産価値の見込み、税金の問題を総合的に考慮し、売却、一方への譲渡、共同所有の継続など、複数の選択肢を提案します。

また、事業資産の場合は、事業の継続性や影響を最小限に抑えつつ、適切な株式評価と分配方法を検討します。たとえば、事業を継続する配偶者が株式を保有し、他方に異なる形での補償を提案するなど、双方が納得できる解決策を模索します。

さらに、弁護士は、財産分与に関連する様々な要素、例えば子供の養育費や将来の生活費なども考慮に入れ、全体的なバランスを考慮して、依頼者が納得できる案を作成します。このように、弁護士は法的な観点だけでなく、個々の状況に応じた配慮を行い、公平かつ実行可能な財産分与の解決策を提案することができます。

メリット⑤:離婚協議書や離婚公正証書の作成をフォローしてくれる

離婚に際しては、離婚協議書や離婚公正証書の作成が重要な手続きとなります。これらの文書は、離婚後の双方の権利と義務を定める法的な文書であり、その内容が将来のトラブルを防ぐための鍵となります。
たとえば、夫婦が共有していた不動産の財産分与について協議した場合、離婚協議書にはその財産分与の詳細な内容、分割方法、時期、関連する税金の負担についての具体的な取り決めを明記する必要があります。

弁護士は、こうした離婚協議書や離婚公正証書の作成をサポートし、文書が法的に有効で、かつ双方の合意の内容を適切に反映したものとなるようにします。特に離婚公正証書の場合、その内容は法的に強い拘束力を持つため、不備や漏れがないよう細心の注意が必要です。
弁護士は、離婚に関連する法律や手続きに精通しているため、離婚協議書や離婚公正証書の文書が適切で完全なものとなるよう、アドバイスや案文を提供し、作成の手続きも代理します。


メリット⑥:財産分与以外の離婚条件(慰謝料、親権や養育費など)についても相談できる

離婚の際に生じる問題は財産分与だけではありません。慰謝料、子どもの親権や養育費、年金分割などの離婚条件も重要な交渉事項となります。
離婚の理由が配偶者の不倫やDVである場合は、不法行為に基づく慰謝料の支払いが問題となることがあります。弁護士は、依頼者の事情や法律的な観点から判断し、適切な慰謝料の金額を算定し、交渉や請求手続きをサポートします。

このように、弁護士には離婚に関する包括的なサポートを期待でき、財産分与だけでなく、慰謝料、親権、養育費など、離婚に関連するすべての条件について相談することができます。離婚に際しては、多くの複雑な事項が絡み合うため、これら全てに対応できる弁護士のアドバイスは、離婚後の生活をスムーズに進めるために非常に重要です。

メリット⑦:アンフェアな話し合いから、依頼者の権利を守ってくれる

離婚過程においては、感情的な対立から、協議が進まないこともあります。特に、相手方がモラハラ傾向があるなどすると、財産分与の話し合いも難航し、フェアではない話し合いがなされることもあります。

このような話し合いの結果、不当な内容の財産分与で合意してしまう方もおられます。そして、合意した後になって、後悔し、弁護士に相談に来られる方もおられます。しかし、一度合意してしまうと、あとからその効力を争うことは原則としてできません。

このような不当な財産分与を回避し、アンフェアな話し合いから依頼者の権利を守ることも弁護士の大切な仕事です。場合によっては、弁護士は依頼者の権利を守るために、必要な法的手続きを講じて、適切に解決することができます。

たとえば、配偶者からの不当な要求や圧力に対して、法的に対処して依頼者の権利を守ります。

このように、弁護士はアンフェアな話し合いを解決し、依頼者の権利が適切に守られるようサポートします。法的なトラブルを未然に防ぎ、依頼者が安心して離婚手続きを進められるようにするため、弁護士への依頼は非常に重要なメリットなのです。

メリット⑧:離婚調停や離婚裁判の手続きを代理してくれる

夫婦間の話し合いで財産分与に関する合意に至らない場合、離婚調停や離婚裁判が行われます。このような状況において、弁護士が重要な役割を果たします。
離婚裁判において、弁護士は裁判所での手続きの準備を行い、依頼者の立場を代表して主張と証拠を提示します。たとえば、不動産や事業資産などの複雑な財産分与に関して、詳細な資料の準備や専門家の意見の取りまとめを行い、依頼者の主張を裁判所に提示します。また、親権に関しては、子どもの最善の利益を考慮した主張を構築し、証拠や証言を整えます。

離婚調停の場では、弁護士は依頼者の代理として交渉に参加し、最善の解決策を見つけるために調停委員や相手方との話し合いを行います。離婚調停では、法律だけでなく、双方の感情や生活状況なども考慮されるため、弁護士はこれらの要素を総合的に理解し、依頼者に有利な解決策を模索します。

このように、弁護士は、離婚調停や離婚裁判の複雑な手続きを代理し、依頼者の権利と利益を守るために尽力します。法的な専門知識と経験を活かして、依頼者が離婚調停や離婚裁判の中で最も有利な立場を確保できるようにサポートすることは、離婚において非常に重要なメリットとなります。

メリット⑨:手続きや交渉によるストレス・手間が軽減される

離婚は、多くの手続きと複雑な交渉を伴う法的な問題です。そのため、自分ひとりで進めようとすると、多大なストレスとなることもありますし、時間や手間などの負担も生じます。
弁護士に財産分与について相談し、手続きを依頼することで、依頼者は複雑な法律的手続きや交渉の負担から解放されます。

財産分与に弁護士が関わることで、交渉や協議の過程で生じる感情的な衝突を避け、より客観的で冷静な交渉が可能になります。これにより、依頼者は精神的なストレスを大きく軽減し、日常生活や仕事に集中することが期待できるのです。

財産分与を弁護士に依頼するのにデメリットもあるの?

財産分与について弁護士に依頼することには、上記のようなメリットがある一方、弁護士費用が発生するというデメリットはあります

この弁護士費用には、着手金や成功報酬などが含まれ、依頼内容によって費用の総額が変わります。

着手金は通常、依頼を開始する際に支払うお金です。成功報酬は案件が解決した後に発生することが一般的です。
法律事務所によっては、相談の際に相談料が発生する場合もあります。

弁護士に依頼する際は、これらの費用について、事前にしっかりと確認することが大切です。

財産分与の相談窓口と無料相談の活用

 

相談窓口の選び方のコツと相談方法

 

財産分与について相談しようと考えたとき、どの相談窓口が良いのか悩むことと思います。相談窓口によって相談料は異なりますし、相談後に依頼したいと思っている内容によっては、適切ではない場合もあります。
また、弁護士に相談しよう、と思っても、ではどの法律事務所を選ぶべきなのか、選び方も迷ってしまいますよね。
この記事では、財産分与の相談窓口として主な4つの窓口と、選び方のコツについてご紹介いたします。ご自身の状況に合わせて、最適な相談窓口を選んでいただければと思います。

1.弁護士

財産分与を弁護士に相談することのメリットで解説しました通り、弁護士は財産分与の内容を精査し、相手に隠し財産があれば調査し、適切な合意内容を提案し、合意がまとまれば離婚協議書や離婚公正証書を作成します。
つまり、財産分与に関する一連の手続きを全て一任することが可能なのです。

また、弁護士であれば、財産分与に限らず、慰謝料や親権といった離婚に関する法律的な問題全般についてもあわせてご相談いただけます。話し合いでは合意がまとまらなかった場合にも、離婚調停や離婚裁判についても依頼できるため、スムーズです。
なお、全ての弁護士が離婚問題に注力しているわけではありません。家事事件といっても、その内容は多岐にわたります。

選び方のコツとしては、その法律事務所のホームページなどに、次の点についてどのように記載されているかが参考になります。

  • 相談料について明瞭な記載があるか(「初回の法律相談無料」「相談料5000円/30分」など)。
  • 離婚問題や財産分与の問題について、どのくらいの数の解決実績があるか。
  • 弁護士費用について分かりやすく明確に記載されているか。

可能であれば無料相談などを活用し、いくつかの法律事務所の弁護士の意見や方針を聞いて、自分の考え方に寄り添ってもらえる弁護士を探してみましょう。

2.行政書士

さて、財産分与の内容については合意しているものの、離婚協議書を夫婦だけでは作れない、というような悩みを抱えているケースもあるかと思います。
このような、弁護士費用を支払ってまで相談する程の悩みはないが、書類の作成を専門家に依頼したい、という場合の相談窓口として、行政書士がおすすめです。

なお、離婚などの法律行為に関する事務(法律相談、示談交渉、調停や訴訟)については、弁護士法第72条の規定により、弁護士にしか依頼ができません。
そのため、行政書士に「離婚慰謝料や離婚財産分与を請求したい」といった法律相談をすることはできないため、「既に内容が決まっている場合の離婚協議書の作成」など、相談できる内容は限定されます。

行政書士が実質的に相手と離婚条件を交渉しているケースでは、その離婚に伴う条件の合意について、法的な効力に疑問が呈されることもあるので注意が必要です。

行政書士事務所によって、相談料が無料の事務所、有料の事務所がありますので、事前にホームページなどで確認しておくことをおすすめいたします。

3.司法書士

財産分与の相談窓口の3つ目は、司法書士になります。
司法書士は、特に不動産の名義変更や登記に関連する手続きにおいて重要な役割を果たします。財産分与で不動産が関係する場合、司法書士はその移転登記の手続きを担当し、正確かつ迅速に対応することができます。
弁護士費用よりは安価であるため、登記手続きだけ依頼したい、というような場合には、司法書士がおすすめです。

しかし、前述した通り、離婚などの法律行為に関する事務については、弁護士にしか依頼することができません。そのため、財産分与についての法律相談を司法書士にはできないので、注意してください。
司法書士の相談費用についても、ホームページなどで確認しておき、不安があれば電話などで問い合わせておくと良いでしょう。

4.離婚カウンセラー

財産分与の話し合いがストレスになっている、というような精神的負担が生じている場合には、相談窓口として離婚カウンセラー(夫婦カウンセラー)も検討してみてはいかがでしょうか。
近年、「離婚カウンセラー」と呼ばれる、離婚問題に特化したカウンセリングを行う専門家が増えています。

カウンセラーの主な役割は心理的なサポートであるため、離婚に関わる財産分与の法律的な問題の解決には適していません。しかし、「財産分与の話し合いが進まず、ストレスになって日常生活に支障が出ている」「財産分与の話を切り出されて以来、不安で眠れない」といった精神的な負担を感じている場合には、離婚カウンセラーに相談することをおすすめいたします。

なお、離婚カウンセラーの相談料金は、カウンセラーの資格、経験年数、提供されるサービスの内容、カウンセリングの時間や回数によって異なります。一般的な相場は、1回1時間あたり数千円から1万円程度です。初回の相談は無料、としている離婚カウンセラーもおりますので、事前に確認しておきましょう。

初回の相談方法は?

さて、相談先を決めたら、まずは相談予約を取りましょう。弁護士などは、裁判などで事務所にいない場合も多いため、ほとんどの事務所が事前予約を推奨しています。
ホームページで予約の方法を確認して、記載の通りに進めましょう。電話による予約が一般的ですが、事務所によっては予約システムなどによって、日程調整や確認などの面倒なやり取りなしに、自分の都合の良い日時で予約を入れることも可能です。

財産分与の対象となる共有財産についての資料などがあれば、相談日までに用意しておきましょう。話し合いが具体的かつスムーズに進みます。
相談の際には、依頼することになった場合に、どのように進めていくのか、費用はいくらかかるかなど、気になる点については質問し、疑問や不安は解消しましょう。事前に質問をメモにまとめておくと、慣れない場で緊張していても安心です。
どの事務所においても、相談しただけで契約を強制されることはありません。納得して依頼することができるのか、きちんと見極めることが重要です。

以上の通り、無料相談も可能な4つの相談窓口と、相談方法についてご紹介させていただきました。

それぞれの相談窓口で、注力している部分や特色、メリット・デメリットがあります。
財産分与について全般的に手続きを委任したいのか、あるいは離婚協議書の作成だけを依頼したいのかなど、ご自身の状況やお悩みに応じて、最適な相談窓口を選んでいただければと思います。

Q&A

Q1.財産分与を弁護士に相談するメリットは何ですか?

離婚の際に、財産分与を弁護士に相談することのメリットは、主に次の9つです。

  1. 複雑な財産の正確な評価を行い、適切な分析を提供してくれる
  2. 一方が持つ情報量の差を埋め、公平な交渉をサポートしてくれる
  3. 代理人として離婚財産分与の交渉をしてくれる
  4. 夫婦双方が納得できる内容の財産分与案を提案してくれる
  5. 離婚協議書や離婚公正証書の作成をフォローしてくれる
  6. 財産分与以外の離婚条件(慰謝料、親権や養育費など)についても相談できる
  7. アンフェアな話し合いから、依頼者の権利を守ってくれる
  8. 離婚調停や離婚裁判の手続きを代理してくれる
  9. 手続きや交渉によるストレス・手間が軽減される

Q2.財産分与を弁護士に相談するのに、デメリットはありますか?

財産分与を弁護士に相談・依頼する場合は、着手金や報酬といった弁護士費用が発生します。また、弁護士が相手方との財産分与の交渉を代理で行う場合、その交渉がまとまるまで、時間と労力がかかる場合もあります。

Q3.財産分与を弁護士に相談する際、どういった点に注意すれば良いですか?

離婚時に財産分与を弁護士に相談する際は、まず信頼できる弁護士を選ぶことが重要です。この際、その弁護士が離婚や財産分与に関する専門知識や経験を持っているかを確認し、口コミや評判も参考にしてください。また、着手金や報酬金などの弁護士費用の詳細を事前に確認し、予算内での相談が可能かどうか、追加費用の可能性も把握しておくことが大切です。

相談に際しては、財産一覧や関連書類を整理しておき、自分の意向や希望を明確に伝えるために、具体的な内容の準備をしておくとよいでしょう。弁護士とのコミュニケーションは非常に重要なので、提案やアドバイスを理解しやすくするためにも、積極的に質問や確認を行ってください。また、個人情報やプライバシーの取り扱いにも注意を払い、安心して相談できる環境を確保してください。

当法律事務所の無料相談をご利用ください

財産分与の過程は複雑であり、正確な知識と適切な手続きが必要です。そのため、法律の専門家である弁護士にご相談いただくことをおすすめいたします。
本記事でご紹介させていただきました通り、弁護士は、財産の適切な評価から合法的な分配方法の提案、さらには交渉や合意書作成に至るまで、財産分与について幅広くサポートを提供いたします。

離婚時の財産分与の際には、本記事の情報も参考にしていただき、自分自身の状況に合った適切な弁護士を選んでいただければと思います。
当法律事務所では、初回の法律相談を無料としております。離婚財産分与についてのご不安やお悩みがありましたら、ぜひお気軽に初回無料相談をご利用ください。

この記事を書いた人

雫田 雄太

弁護士法人あおい法律事務所 代表弁護士

略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。3,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。

 

家庭の法律問題は、なかなか人には相談できずに、気付くと一人で抱え込んでしまうものです。当事務所は、家庭の法律問題に特化した事務所であり、高い専門的知見を活かしながら、皆様のお悩みに寄り添い、お悩みの解決をお手伝いできます。ぜひ、お一人でお悩みになる前に、当事務所へご相談ください。必ずお力になります。

関連記事