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離婚裁判に弁護士が必要な理由とメリット|裁判離婚を相談するなら

監修者:弁護士法人あおい法律事務所

代表弁護士 雫田雄太

略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。
1,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。

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当サイトでは、離婚に関する法的な知識を分かりやすくお届けしております。皆様のお悩みの解消に少しでもお役立ちできましたら幸甚です。

離婚協議や離婚調停でも離婚の合意に至れない場合、最終的に離婚裁判によって離婚を争うことになります。

離婚裁判では、離婚協議や離婚調停の比ではないほどの時間や手間もかかりますし、高度な法的知識が求められます。
そこで、離婚裁判は弁護士に依頼することが検討されることが一般的です。

この記事では、弁護士に相談・依頼することのメリットについて、詳しく解説させていただきます。なぜ弁護士へ依頼することが推奨されるのか、その必要性について、弁護士を立てない場合にどうなるかを含め、具体的にご説明させていただきます。

また、離婚裁判に強い弁護士はどのように探せば良いのか、探し方についても簡単にご紹介します。
この記事が、離婚裁判をご検討中の方にとってご参考になりましたら幸いです。

目次

なぜ弁護士が必須とされるの?離婚裁判での代理人の役割とは

それでは、離婚裁判で弁護士を立てることが推奨される理由や、必要性について、ご説明したいと思います。
まずは、離婚裁判で代理人として弁護士がどのような役割を果たすのかということについて、ご説明いたします。
離婚裁判において弁護士は、以下のような役割・業務を行います。

  • 離婚裁判の争点を明確にする。
  • 法的に有効な証拠の収集をする。
  • 離婚裁判の書面を作成する。
  • 裁判官や相手方との交渉や和解の検討を行う。
  • 和解案の内容の適切性を確認する。

それぞれについて、具体的に見ていきましょう。

必要な理由1.離婚裁判の争点を明確にする。

弁護士は、まず、離婚事由を具体的に把握します。
たとえば、配偶者の不倫やDV・モラハラ、性格の不一致、コミュニケーションの問題などがあります。また、金銭的な問題、子供の親権や養育費の問題、DVなどの具体的な事例を集め、これらの情報を基に、依頼者について助言した上で、裁判の争点と方針を決めます。

弁護士は、ご依頼者様とのやり取りを重ねて、ご依頼者様の言い分やご要望を明確することで、離婚裁判での争点をはっきりさせた上で、ご依頼者様のために主張すべきことや、そのためには必要な証拠などを検討します。
また、離婚裁判では、「離婚する・しない」以外にも、財産分与が争われることも少なくありません。

財産分与も決める場合には、夫婦が婚姻中に形成した財産(夫婦共有の不動産や車、貯蓄や投資、退職金など)の範囲や分与方法が争点になりえます。どちらの配偶者がどの財産を取得するかについて、分与割合を踏まえて決める必要があります。また、財産隠しや財産の価値を不当に小さく見積もることを防ぐために、弁護士は、弁護士会照会や調査嘱託の手続を踏むなどして、財産を調査したり、査定依頼をして、適切に財産の評価されるようにすることができます。

子供の養育費の額も、離婚裁判で争点になりえます。算定表を目安にして、子供の現在の年齢、健康状態、教育ニーズ、生活水準などに基づいて、適切な額を主張します。

さらに、離婚裁判では慰謝料請求も問題になり得ます。慰謝料には、不貞に関する慰謝料や離婚原因に関する慰謝料など様々あります。慰謝料額は、不貞行為など、離婚の原因となった行為の重大性に応じて決定されます。具体的には、配偶者の行動がご依頼者様に与えた精神的、経済的影響を評価した上で、適切な慰謝料の額を算出します。また、慰謝料の支払条件、分割払の可能性、一時金での支払なども交渉の対象となります。

弁護士は、これらの争点を整理した上で、依頼者の利益を守るべく、離婚裁判に向けた方針を決めた上で、依頼者をサポートします。

必要な理由2.法的に有効な証拠の収集をする。

離婚裁判における弁護士の役割として、法的に意味のある証拠の収集は非常に重要です。具体例をいくつか挙げさせていただきます。
たとえば、離婚の理由が配偶者の不貞行為である場合には、その行為を証明するための写真やメッセージの記録、不貞相手の証言などが必要になります。また、家庭内での暴力が争点の場合は、医療記録や警察の報告、第三者の証言などが重要な証拠となり得ます。

財産分与に関する証拠としては、不動産の登記簿謄本、銀行口座の明細、給与明細、税金の申告書など、経済的な資産を明らかにする書類などが挙げられます。これらの書類は、財産の価値を正確に評価し、公平な分配を図るために不可欠です。

子供の親権や養育費に関連する証拠としては、子供の生活環境や教育に関する情報、親の経済状況や子供に対する関心度を示す書類や証言が重要なものとして挙げることができます。それに加えて、学校の成績表や医療記録、子供の活動に関する写真や日記、親子の交流を示す証拠なども挙げられます。

また、配偶者のこうした不法行為によって依頼者が受けた精神的苦痛を示すために、心理療法士の報告書や日記、親しい人々の証言などが必要な場合があります。弁護士は、必要な証拠を入手して、慰謝料請求の根拠として適切な形で提出し、裁判所を説得します。

このように、離婚裁判において弁護士は、多岐にわたる情報の中から、必要な証拠を収集した上で、ご依頼者様の主張を裁判所に説得的に伝える重要な役割を担うことになるのです。

必要な理由3.離婚裁判の書面を作成する。

離婚裁判において、ご依頼者様の代理人を務める弁護士は、証拠の内容を精査するほか、書面の起案など事務的な作業も行います。
離婚裁判では、たとえば次のような書面を提出する場合があります。

  • 訴状
  • 財産目録
  • 収入を証明するための資料
  • 年金分割のための情報通知書
  • 慰謝料請求の根拠を示した書類

離婚裁判における弁護士の重要な役割は、ご依頼者様の状況、希望および離婚の背景などを深く理解した上で、説得的な書面を起案することです。弁護士は、訴状に離婚の原因となった具体的な事情(配偶者の不貞行為、子供への虐待行為、長期にわたる一方的な別居など)を説得的に起案します。

財産目録の作成にあたっては、夫婦間の財産の全体像を正確に把握した上で、夫婦間で公平な分配ができるように検討を加えます。目録に記載する財産には、不動産、貯蓄、投資、退職金など、さまざまな情報が含まれます。

子どもの親権や養育費について検討するにあたっては、子どもにとって最善の利益にかなうように判断しなければなりません。子どもの親権者の適格性を判断するためには、現在までの子どもの養育状況、今後の養育方針や養育環境や当事者のいずれが親権者として適当かなどについて、詳細な情報を考慮しなければなりません。養育費については、子供の生活に要する費用として適切な額を検討しなければなりません。

慰謝料額算定のためには、配偶者の行動がご依頼者様に与えた精神的、経済的影響を具体的に示す必要があります。この場面では、心理的苦痛を裏付ける証拠等が重要となります。

以上のとおり、弁護士は、ご依頼者様の代わりに、裁判官を説得するために必要な訴状や準備書面の起案や重要な証拠を法廷で提出します。

必要な理由4.裁判官や相手方との交渉や和解の検討を行う。

当事者の主張は裁判官が判断します。弁護士は、ご依頼者様の主張を裁判所に受け容れてもらえるように、裁判官との交渉・和解交渉を行います。

離婚裁判を申し立てた場合の解決方法には大きく「判決」と「和解」の2つがあります。
離婚裁判で判決が出た場合には、判決は裁判所が一方的に内容を決めることになるため、夫婦双方が納得できない内容の判決になることもあります。

項目 離婚裁判(判決) 裁判離婚(和解)
決定者 裁判所 夫婦双方
内容 裁判所が定めた内容 当事者双方が合意した内容
メリット 裁判所の判断を仰げる 当事者の希望を最大限反映できる
デメリット 争いが長引く可能性がある 相手方の同意が得られない場合、和解によって解決できない。

そのため、弁護士は依頼者の利益が最大限、適切に反映されるよう、判決による解決を目指すか、和解による解決を目指すかについても慎重に検討しながら離婚裁判の手続きを進めていくことになります。

裁判官との交渉では、裁判官の考え方や判断基準を理解した上で、裁判官にご依頼者様の主張を認めてもらうようにします。また、相手方との和解交渉の場面では、相手方の主張を把握した上で、ご依頼者様のご希望を実現できるように調整します。

離婚裁判で相手方や相手方の弁護士と慎重に交渉を進めていく過程では、法律的な知識を前提とした十分な交渉スキルと問題解決能力が重要です。離婚裁判を弁護士に任せる必要性が大きい場面と言えるでしょう。

必要な理由5.和解案の内容の適切性を確認する。

判決による解決ではなく双方が納得できるような形での和解を目指す場合には、弁護士はご依頼者様の代理人として、ご依頼者様の利益・要望を裁判所や相手方に伝えて、ご依頼者様のご要望が和解案に最大限反映されるよう努めます。

そして、裁判所から和解案が提案された場合には、弁護士は、その和解案を詳細に精査・検討して、ご依頼者様のご希望・ご要望がかなうものかなどメリットやデメリットを分析します。この場面では、弁護士は、離婚条件(財産分与、子供の親権、養育費、慰謝料など)の精査・検討をします。弁護士は、ご依頼者様のご希望・ご要望にかなう条件が提示されているかを確認した上で、必要に応じて、裁判所に対し、和解案の内容の修正を求める場合もあります。

このように、離婚裁判における弁護士は、最善な解決策が得られるように、専門的な法的知識を駆使して、ご依頼者様のために誠実に対応します。

弁護士を立てるメリットや理由は何?

 

弁護士を立てるメリットや理由は何?

 

離婚裁判で弁護士が必要な理由を見てきました。

次に弁護士に依頼するメリットをより具体的に見ていきましょう。

  1. 法律の専門的知識や経験を活用できる。
  2. 法的に有効な証拠の収集や主張ができる。
  3. 手続きにかかる時間や手間を省くことができる。
  4. 裁判の流れを見通して、進め方を判断してくれる。
  5. 和解すべきかを判断してくれる。
  6. 和解内容が適切かを判断してくれる。
  7. 精神的ストレスを軽減できる。

それぞれについて、詳しく見ていきたいと思います。

メリット1.法律の専門的知識や経験を活用できる。

離婚裁判を弁護士に依頼する最大のメリットは、法律の専門的知識や経験を活用できることです。離婚事由についての主張を行う場合、「婚姻を継続し難い重大な事由」に関する主張をしなければならないことが通常です。反対に、離婚を拒みたい場合には、「婚姻を継続し難い重大な事由」がないことを主張しなければなりません。弁護士でなければ、どのような事実や証拠があれば、「婚姻を継続し難い重大な事由」があると裁判所を説得することができるかわからないのが通常です。

財産分与や養育費の計算や親権についても決めていかなければなりませんが、これらが問題になるのは、離婚が認められる場合です。離婚後の将来の生活設計を立てたはいいものの、そもそも離婚が認められなかった場合には、計画が大きく変わってしまうことでしょう。

このように、離婚が認められるかどうかについても、専門的な知識が必要とされることから、弁護士に依頼することは大きなメリットとなるでしょう。

また、離婚時の財産分与については、婚姻期間中に夫婦が築いた財産の価値をどのように評価し、分配するかが問題となります。離婚裁判で財産分与の請求をご自身だけで対応しようとした場合には、不動産、貯蓄、株式、退職金といった特殊な資産の評価方法についても理解する必要があります。また、相手方が財産を隠しているケースでは、相手方に開示を求めたり、弁護士会照会、調査嘱託を促したりすることが想定されますが、弁護士会照会は弁護士でなければ手続を行うことができません。

養育費についても、離婚裁判で請求する際には、子供の養育に必要な費用を適切に算出するために、算定表が実務上、大いに参考にされていますが、算定表はあくまでも目安です。個別具体的な事情を考慮して修正すべき事案も当然にあるのです。どのような事案が算定表を修正すべきなのか判断するためには、高度の専門的な知識が不可欠です。

慰謝料の算定の場面では、配偶者の不貞行為や虐待などが原因で生じた精神的苦痛を金銭的に評価します。慰謝料額を算出するためには、裁判例や慰謝料の算定基準に関する知識が必要です。また、実際の慰謝料額は、事案の具体的な状況によって大きく異なるため、それを適切に判断するためには、法律的な専門性が求められます。

このように、離婚裁判において法律の専門知識を持つ弁護士のアドバイスは、依頼者にとって非常に価値があります。弁護士は、依頼者が不利益を受けないようにサポートし、法的に複雑な問題を解決するのに役立つのです。

メリット2.法的に有効な証拠の収集や主張ができる。

離婚裁判を弁護士に依頼することのメリットのひとつは、法的に重要な証拠の収集や、離婚裁判での説得的な主張ができることです。
離婚に関連する問題、特に財産分与、子供の親権、養育費、慰謝料に関して裁判官を説得させるためには、これらに関する専門的な法律の知識や経験が不可欠です。

離婚の理由が相手方の不貞行為であり、離婚の請求と同時に慰謝料も請求するようなケースを例に挙げると、配偶者の不貞行為の有無や内容が争われることが通常です。

そこで、慰謝料請求の理由となる不貞行為があったことについて、証拠により証明しなければなりません。そのためには、不貞を立証する重要な証拠の収集が必要です。
不貞行為の証拠となるものには、たとえば次のようなものがあります。

  • 不倫相手との私的なメッセージや電子メールの交換記録
  • 不倫相手との親密な瞬間を捉えた写真やビデオ
  • 共に宿泊したことを示すホテルの領収書や記録
  • 不倫関係を示唆するようなSNSの投稿
  • 不倫関係を目撃した第三者からの証言
  • 頻繁な連絡や親密な内容を示す通話記録やテキストメッセージ
  • 不倫関係に関連する支出を示すクレジットカードや銀行の明細

離婚裁判で不貞行為があったことを認めてもらうためには、典型的には、こうした具体的な証拠が必要です。弁護士はこれらの証拠を収集し、依頼者の主張の裏付けを行います。

弁護士は、以上のような証拠を精査した上、具体的な証拠からどのような事実まで立証できるのかを分析します。
[DVの証拠とは?診断書や写真で訴える!警察の立証や離婚請求の方法をご紹介]
[不倫の証拠の集め方から立証方法まで!離婚や裁判に役に立つ]
[浮気の証拠を集めたい!調査会社に頼むべき?慰謝料請求に有効なものは?]

メリット3.手続きにかかる時間や手間を省くことができる。

離婚裁判を弁護士に依頼することのメリットのひとつは、離婚裁判の手続に要する時間や労力を省くことができることです。
裁判の進行については、専門的な知識がないと理解しにくいものです。離婚の理由や主張を整理する期日や、必要な証拠等を提出する期日など様々あるので、事前に入念な準備が必要です。
弁護士はこうした離婚裁判の手続に精通しているため、ご依頼者様がご自身で離婚裁判を行うよりも、スムーズかつ効率的に離婚裁判の手続を進めることができます。

また、離婚裁判を弁護士に依頼すると、尋問や和解といった特定の場面を除き、依頼者本人は離婚裁判に出席しないことが一般的です。離婚裁判では、代理人である弁護士が裁判所に出向き、依頼者の代理人として主張や反論を行うことが、実務においては通常だからです。そのため、離婚裁判にかかるほとんどの手間を弁護士に任せることができます。

これにより、依頼者は離婚裁判に関連する複雑な手続きから解放され、精神的な負担を軽減できます。また、依頼者自身がこれらの工程を行うよりも、弁護士に依頼することで、より迅速に問題を解決に導くことが可能となります。
離婚裁判を弁護士に依頼することで、依頼者は離婚裁判にかかる時間や手間を省くことができるのは大きな利点です。

メリット4.裁判の流れを見通して、進め方を判断してくれる。

離婚裁判を弁護士に依頼することのメリットのひとつは、離婚裁判の流れを見通して、進め方を判断してくれる点です。

たとえば、弁護士は、相手方の反論の内容を踏まえて、今後どのように証拠を収集し、主張を構築するかを計画します。裁判の進行は、相手方の反論の内容によっても変わるのです。

このように、離婚裁判の流れを見通し、それに基づいて進め方を判断することで、弁護士は依頼者が離婚裁判をよりスムーズに、そして有利に進めることができるよう、離婚裁判の進め方をサポートします。

メリット5.和解すべきかを判断してくれる。

離婚裁判を弁護士に依頼することのメリットのひとつは、和解すべきかどうかを判断してくれる点です。
離婚裁判では、裁判官が和解を提案することが少なくありません。和解が依頼者にとって最善の選択かどうかは、判決内容を見通した上でなければ適切に判断することできません。弁護士は判決を見通して弁護活動を行っているので、和解に応じるべきかどうか判断することができます。

一方で、提案された和解条件が依頼者の利益に叶わない場合は、離婚裁判を継続する方が有利であると助言することもあります。

メリット6.和解内容が適切かを判断してくれる。

メリット5と重なるところもありますが、離婚裁判を弁護士に依頼することのメリットの一つは、和解内容が適切かどうかを判断してくれる点です。離婚裁判において和解は一般的な解決策の一つですが、提案される和解内容が依頼者にとって最善かどうかは、専門的な判断が必要です。
弁護士は依頼者の状況、ニーズ、および離婚に関連する法的な側面を総合的に考慮し、提案された和解内容の適切性を評価します。

和解案が依頼者の要求に応じたものであるか、また将来にわたって依頼者にとって有益であるかどうかを検討し、適切でないと判断される場合は、より良い条件を得るための交渉や、場合によっては離婚裁判の継続をすすめることもあります。

このように、離婚裁判を弁護士に依頼することで、依頼者は和解内容が自身の利益に合致しているかどうかを専門家の意見を通じて確認でき、より安心して和解を進めることができます。

メリット7.精神的ストレスを軽減できる。

離婚裁判を弁護士に依頼することのメリットの一つは、精神的ストレスを軽減できる点です。離婚裁判をご自身で行うには、精神的・時間的負担が大きいものです。また、裁判官から尋問を受ける場合もあり、その受け答え次第では、有利にも不利にもなりえます。ほかにも、訴状や準備書面は裁判官にも読まれますので、相当な負荷となります。

弁護士に依頼して離婚裁判を進めることで、上記のようなストレスの大部分は減ります。

弁護士なしでの離婚裁判は不利で負けるって本当?

さて、離婚裁判を弁護士に依頼することのメリットや必要性について、ご理解いただけたことと思います。

ところで、それでは反対に、弁護士なしで離婚裁判をする場合どうなるのか気になる方もいらっしゃるでしょう。弁護士なしでの離婚裁判は、不利になってしまうのでしょうか。弁護士なしで離婚裁判を進めると、負ける可能性が高くなってしまうのでしょうか。

裁判所としても、弁護士に依頼していないことから、当事者を不利に扱うようなことはしません。

ですが、法律に関する知識や経験が不足している場合は、次回期日で何をすればいいのかわからなかったり、相手方からの書面にどのように反論して、自身の主張を行えばいいのかわからないなどわからないことだらけだと思います。
あえて自分から主張すべきではないようなことも主張してしまうなどして、離婚裁判が不利に進んでしまう可能性があります。

また、相手に弁護士がついているような場合には、特に法律的な知識に差が生じてしまうため、弁護士なしで対峙することは非常に難しいでしょう。
弁護士なしでの離婚裁判は必ず敗訴する、というわけではありませんが、自分が不利な状態で離婚裁判が進んでしまわないよう、弁護士にご相談いただくことをおすすめいたします。

離婚訴訟に強い弁護士に相談する流れと費用の相場

離婚裁判は弁護士にご相談いただくのがおすすめだとご紹介いたしましたが、やはり弁護士費用がいくらか気になる、と弁護士に相談するのを躊躇している人も少なくないかと思います。

そして、もし依頼するのであれば、離婚裁判に強い、離婚問題に精通した弁護士に依頼したいところですよね。
しかし、離婚裁判に強い弁護士は、どのように探せば良いのでしょうか。

離婚裁判に強い弁護士の探し方

離婚裁判に強い弁護士の探し方でおすすめの方法は、インターネット検索です。弁護士検索システムなどを利用し、離婚問題に注力している弁護士を探しましょう。
口コミや評判を確認することもできますし、離婚に強い弁護士を検索できる専門サイトであれば、弁護士費用も比較しやすく、法律相談の予約も取りやすいのでおすすめです。
離婚に強い弁護士をどのように探すのか、詳細についてはこちらの関連記事をご覧いただければと思います。
[離婚に強い弁護士の選び方・探し方を紹介|無料相談を活用しましょう]

離婚裁判を弁護士に相談する流れと方法

離婚裁判を弁護士に相談する際の一般的な流れについて、簡単にご説明いたします。

  1. 離婚問題を取り扱っている弁護士を探しましょう。法律事務所によっては、初回の法律相談を無料としている所もあります。無料相談を積極的に活用し、可能であれば法律事務所を複数選んでおくと良いでしょう。
  2. 初回相談の予約をしましょう。選んだ弁護士や法律事務所に連絡して、初回相談の予約を取ります。この際、離婚裁判に関連する基本情報を整理しておくとスムーズです。離婚協議や離婚調停でのやり取りなどの記録、メモ、資料を準備しておくと良いでしょう。
  3. 初回相談当日、弁護士に離婚裁判に関する状況や懸念点を詳細に相談します。弁護士は状況を把握し、法的なアドバイスや今後の方針について提案を行います。この初回相談時に、今後の対応や方針、弁護士費用の見積もりを確認しましょう。具体的な契約条件や弁護士費用について、明確な説明を求めることが重要です。
  4. 弁護士と相談し、弁護士費用や方針に納得したら、正式に委任契約を結びます。委任契約書の内容に不明な点があれば、納得できるまで確認しましょう。
  5. 法律事務所によって異なりますが、通常は委任契約を締結した時点で、着手金を支払うことになります。着手金の支払い方法や、分割での支払いができるかなど、不安な点は事前に十分に確認しておきましょう。

弁護士に対する離婚相談については、こちらの関連記事もぜひご一読ください。
[離婚問題の相談先は弁護士がいい?無料でできる?電話やLINEも]

弁護士費用

費用の相場については、離婚訴訟の複雑さや事件の性質によって大きく異なりますが、一般的には以下のようになります。

  1. 相談料(法律相談料)
  2. 着手金
  3. 報酬金(成功報酬金)
  4. 離婚手続きの実費・日当

法律相談料の相場は、30分で税込5500円です。なお、初回相談については法律相談料無料としている法律事務所も多いため、事前に確認しましょう。
着手金の相場の金額は、税込20万円~30万円程度です。なお、途中で弁護士への依頼をやめた場合にも、原則として着手金は返金されません。

報酬金の相場は、基本料金+経済的利益の約10%~20%程度です。報酬金は、離婚裁判で慰謝料や養育費などを争った場合に、依頼者が得られた利益(経済的利益)によって金額が変動します。

そして、郵便切手代や交通費といった実費や日当がかかります。
相手方に財産分与や慰謝料などをいくら請求するかにもよりますが、離婚裁判の弁護士費用については、全体的な相場は50万円~100万円とされています。
[離婚問題の弁護士費用はいくら?相場や内訳、払えない場合の対応など]

Q&A

Q1.離婚裁判において、弁護士はどのような役割を担っているのでしょうか。

離婚裁判において弁護士は、以下のような役割・業務を行います。

  • 離婚裁判の争点を明確にする。
  • 法的に有効な証拠の収集をする。
  • 離婚裁判の書面を作成する。
  • 裁判官や相手方との交渉や和解の検討を行う。
  • 和解案の内容の適切性を確認する。

Q2.離婚裁判を弁護士に依頼することのメリットは何がありますか?

離婚裁判を弁護士に依頼することには、主に次の7つのメリットが挙げられます。

  1. 法律の専門的知識や経験を活用できる。
  2. 法的に有効な証拠の収集や主張ができる。
  3. 手続きにかかる時間や手間を省くことができる。
  4. 裁判の流れを見通して、進め方を判断してくれる。
  5. 和解すべきかを判断してくれる。
  6. 和解内容が適切かを判断してくれる。
  7. 精神的ストレスを軽減できる。

このようなメリットがあることが、離婚裁判を弁護士に依頼する大きな理由とされています。

Q3.弁護士なしでの離婚裁判は敗訴してしまいますか?

必ず負けるというわけではありませんし、裁判所も弁護士がついていないからといってその当事者を不利に扱うようなことはしませんが、場合によっては不利になってしまう可能性があります。弁護士なしで離婚裁判に臨むと、例えば、自分からあえて主張する必要のないことを主張してしまった結果、不利になってしまうこともあり得ます。ほかにも、相手方に立証責任のあることについて、不用意に認めてしまって、不利になってしまうことも考えられます。

当法律事務所の無料法律相談をご利用ください

この記事では、離婚裁判における弁護士の必要性とメリットについてご紹介いたしました。
また、弁護士への相談の流れや、離婚裁判の弁護士費用についても簡単にご説明させていただきました。

弁護士を通じて離婚裁判に臨むことで、法的な知識や経験をフル活用し、離婚に関する複雑な手続きや証拠収集をスムーズに進めることができます。また、精神的な負担の軽減、法廷での有利な立場の確保、適切な和解の促進など、弁護士へ依頼することで依頼者が得られるメリットは大きいです。
対して、弁護士なしで離婚裁判に臨む場合は、法律的な知識の不足や手続きの煩雑さが不利に働く可能性が高くなってしまいます。

離婚は人生の大きな転機です。離婚裁判を検討している場合や、離婚裁判を申し立てられた場合には、納得いく形で解決できるよう、まずは弁護士にご相談いただくことをおすすめいたします。
当法律事務所では初回の法律相談を無料としております。ぜひお気軽にお問合せください。

この記事を書いた人

雫田 雄太

弁護士法人あおい法律事務所 代表弁護士

略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。1,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。

 

家庭の法律問題は、なかなか人には相談できずに、気付くと一人で抱え込んでしまうものです。当事務所は、家庭の法律問題に特化した事務所であり、高い専門的知見を活かしながら、皆様のお悩みに寄り添い、お悩みの解決をお手伝いできます。ぜひ、お一人でお悩みになる前に、当事務所へご相談ください。必ずお力になります。

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