相続放棄の費用|相続放棄手続きの費用や弁護士費用の相場は?

借金やローンなどの負債を相続したくない場合に、遺産を受け取る権利を放棄することで、マイナスの財産も相続せずに済みます。相続放棄するためには、家庭裁判所で「相続放棄の申述」をする必要がありますので、手数料などがどれくらいかかるのか、あらかじめ知っておくと安心です。
そこでこの記事では、相続放棄の申述手続きをする際にかかる費用について、詳しく解説させていただきます。
手続きに必要な基本的な費用に加え、弁護士などの代理人に依頼する場合の費用や、相続放棄が終わった後に必要になる費用についてもご紹介いたします。
相続放棄を誰に依頼するか、どのように進めていくかお悩みの方に、本記事が少しでもご参考となりましたら幸いです。
目次
相続放棄の費用
1.相続放棄の手続きにかかる費用
相続放棄の申述手続きをするために必要な基本的な費用は、以下のとおりです。
相続放棄の申述の基本的な費用
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戸籍謄本などの添付書類の交付申請費用
相続放棄申述書に添付する戸籍謄本などの書類を取得する費用が必要です。必要となる添付書類の枚数や、市区町村役場の窓口で交付申請するか郵送で交付申請するかによっても、具体的な費用は変動します。
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相続放棄の申述の申し立て手数料
相続放棄の申述をするにあたり、申述人1人につき800円の収入印紙を申述書に貼付して納める必要があります。
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連絡用の郵便切手代
家庭裁判所から申述人に対して、照会書や相続放棄申述受理通知書などの郵便物が郵送されます。その際の切手代は、申述人が負担することになるため、申述の際にあらかじめ指定された組合せで郵便切手を提出します。
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管轄の裁判所への交通費
相続放棄の申述書類を管轄の裁判所へ持参して提出する場合には、裁判所への交通費が必要です。
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相続放棄の申述書類の郵送費用
相続放棄の申述書類を郵送で申請する場合には、郵便代が必要です。郵送での提出は普通郵便でも可能ですが、裁判所へ届いたかを確認できるレターパックや書留が推奨されます。レターパックや書留、速達などを利用する場合には、普通郵便で送る場合よりも費用が増すことになります。
申述人本人が自分で相続放棄の申述をする場合は、以上の基本的な費用で済みます。相続放棄の手続きを弁護士などの代理人に依頼する場合は、別途弁護士費用などが必要になってきます。
こうした費用の相場については、本記事で後述いたします。
2.相続放棄後にかかる費用
2-1.相続財産管理人の選任手続き
相続放棄の手続きが家庭裁判所に受理されると、相続放棄をした申述人は法律上、最初から相続人ではなかったとみなされることになります。遺産分割協議に参加する必要もなく、不動産の名義変更などの手続きを行う必要もないため、以後遺産分割に関わることは基本的にはありません。
ですが、相続放棄をしても、場合によっては他の手続きが必要となることがあります。
例えば、相続財産清算人を選任する必要が生じたケースが考えられます。
相続放棄をしたことによって、他に一人も相続人がいない場合、遺産の家屋や土地を誰かに引き継ぐまでの間、管理する義務が生じます。とはいえ、相続放棄をした以上は自由に売却・処分する権利はないため、代わりに財産を管理してくれる「相続財産清算人」を選任することになるのです。
相続財産清算人は、家庭裁判所で選任の申し立てを行います。相続財産清算人の報酬や官報公告費用などの管理費用に充てるため、申立人があらかじめ予納金を支払わなければなりません。金額はケースによっても異なりますが、一般的に数十万円から100万円程度がかかります。
2-2.相続放棄申述受理証明書の発行手数料
相続放棄を行った後、債権者に対して相続放棄したことを証明する場合などに、相続放棄申述受理証明書が必要になります。
自動的には交付されないため、相続放棄の申述をした家庭裁判所で交付を申請します。証明書1通につき150円分の収入印紙を用意し、申請書に貼って提出しましょう。
また、証明書を郵送で申請する場合は往復の郵便切手代も必要となります。裁判所に直接受け取りに行く場合は不要ですが、交通費がかかることもあります。
3.相続放棄の費用は誰が払うの?
相続放棄の手続きにかかる費用は、原則として、申述の手続きを行う申述人自身が負担することになります。
ただし、経済的な事情で費用の支払いが困難な場合には、支援制度を利用できることがありますので、最寄りの法テラスに相談してみることをおすすめいたします。
法テラスの支援制度については、本記事でご紹介しておりますので、このままご覧ください。
相続放棄の手続きにかかる費用
1.家庭裁判所での相続放棄手続きの費用相場
相続放棄の費用の相場は3,000円から5,000円程度が一般的です。その具体的な内訳は、以下の表のとおりとなります。
| 項目 | 費用 | 概要 |
| 被相続人の住民票除票(または戸籍の附票) | 300円 | 住民票除票や戸籍の附票の1通当たりの発行手数料 |
| 申述人の戸籍謄本 | 450円 | 戸籍謄本の1通当たりの発行手数料 |
| 被相続人の死亡記載のある除籍謄本 | 750円 | 除籍謄本の1通当たりの発行手数料 |
| 定額小為替の購入手数料 | 100円 | 戸籍謄本等を郵送申請する場合の定額小為替1枚当たりの購入手数料 |
| 郵送申請用郵便切手 | 110円~ | 戸籍謄本等を郵送申請する場合の切手代 |
| 返信用郵便切手 | 110円~ | 戸籍謄本等を郵送申請する場合の返信用切手代 |
| 収入印紙 | 800円 | 相続放棄の申述手続きの手数料として、相続放棄申述人(相続放棄をする人)1人につき800円の収入印紙が必要です。この印紙は、申述書に貼付し、裁判所に提出します。 |
| 連絡用郵便切手 | 400~500円 | 家庭裁判所からの連絡用に、連絡用の郵便切手を用意する必要があります。この切手の額面は裁判所によって異なります。 |
ただし、被被相続人の父母や兄弟姉妹、孫が相続放棄を行う場合は必要な戸籍謄本等の数も増えるため、1万円程度かかる場合もあります。
連絡用郵便切手の内訳は家庭裁判所によって異なるため、申述先の家庭裁判所にあらかじめ確認しておくことが重要です。管轄の裁判所を調べ、ホームページに掲載されている予納郵便切手の情報を見るか、窓口に問い合わせるなどして、早めに用意しておきましょう。
参考:裁判所の管轄区域(裁判所)
管轄の家庭裁判所までの距離がある場合には、交通費や郵便代も考慮に入れておく必要があります。申述書の提出や書類の受け取りのために複数回裁判所を訪れる必要がある場合、交通費は想定外に大きな負担となることも少なくありません。
郵送で申述書を提出する方が費用を抑えられることもあります。一方で、申述書を持参で提出すると、窓口で軽微なミスであれば修正できたり、基本的な事項であれば相談できたりと、裁判所に直接行くことで得られるメリットもあります。
相続放棄の手続きを最初から最後まで自分一人で進める場合は、費用についてもしっかり検討しておくことが重要です。
2.土地の相続放棄で費用は変わる?
相続財産の種類や金額で基本的な申述の手数料が変わるわけではありません。ですので、相続財産に土地が含まれている場合の相続放棄も、土地がない場合と同じです。
なお、特定の土地「だけ」を放棄したい場合には、家庭裁判所での相続放棄の申述ではなく、「相続土地国庫帰属制度」を利用することも考えられます。
これは、被相続人の遺産については包括的に承認しつつ、特定の土地所有権について、法務大臣の承認を受けて国庫に帰属させる制度です。
この制度によって承認を受け、特定の土地のみ放棄する場合は、手数料と負担金を納付する必要があります(相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律第3条2項・同第10条1項)。
(承認申請書等)
相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律第3条2項 承認申請者は、法務省令で定めるところにより、物価の状況、承認申請に対する審査に要する実費その他一切の事情を考慮して政令で定める額の手数料を納めなければならない。(負担金の納付)
相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律第10条1項 承認申請者は、第五条第一項の承認があったときは、同項の承認に係る土地につき、国有地の種目ごとにその管理に要する十年分の標準的な費用の額を考慮して政令で定めるところにより算定した額の金銭(以下「負担金」という。)を納付しなければならない。
「相続土地国庫帰属制度」の費用は高額になることもあるため、土地以外の遺産についても権利を放棄しても構わないのであれば、家庭裁判所で相続放棄の申述をする方が、費用を安く抑えられる可能性があります。
相続放棄の弁護士費用
相続放棄の手続きや、関連する手続きを弁護士に一任する場合は、前述した申し立ての実費に加え、弁護士費用がかかります。
1.相続放棄の弁護士費用の相場
相続放棄の手続きを弁護士に依頼する場合の費用の相場は、5万円~10万円程度が一般的です。
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相談料(1時間あたり) |
無料または1万円程度 |
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実費 |
5,000円~1万円程度 |
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手続代行費用(着手金) |
5万円~10万円程度 |
基本的に、相続放棄の手続きは弁護士費用の金額が固定であることが多いです。金銭請求のように得られる経済的利益がなく、紛争性のあって相手方のいるような事案でもないため、「成功報酬」がかからないことが一般的です。
事務所によっては、「着手金+成功報酬」として20万円~30万円程度の代行費用を定めていることもありますので、事前にホームページなどで確認しておくと安心です。
なお、相続放棄の期限である「相続開始を知ってから3か月」を過ぎてからの相続放棄手続きや、債権者との交渉が必要な場合、財産調査が必要な場合などは、別途追加で費用がかかることもあります。
弁護士費用は、依頼する弁護士事務所や案件の特性によって変わるため、具体的な費用については初回相談時に詳細を確認するようにしましょう。
2.相続放棄の弁護士費用は誰が払うの?
相続放棄の手続きを行う際に発生する弁護士費用は、原則として弁護士に依頼した本人が負担することになります。
ですが、相続放棄を行う理由が「他の相続人に遺産を譲りたいから」といったものであるような場合、遺産を取得する相続人が、相続放棄の手続きにかかる費用を負担してくれることもあります。
相続人間で費用の負担について話し合うことは自由ですので、相続放棄を行う前に、遺産を取得する相続人や他の関係者と、費用負担についての合意を取り付けると良いでしょう。この際、後に費用負担に関するトラブルが発生した場合の証拠となり得ますので、合意内容は書面で残しておくことがお勧めです。
相続放棄を行う理由や個々の背景に応じて、費用を複数人で分担することも考えられます。例えば、相続放棄によって特定の相続人が大きな利益を得る場合、その相続人が必要な費用のうち弁護士費用についてを負担し、実費については申述人本人が負担する、といった合意をすることも考えられます。
兄弟などの複数の相続人が一緒に相続放棄を行う場合、弁護士費用を節約できる可能性があります。
というのも、同順位の相続人がまとめて一括で相続放棄を行う場合、戸籍謄本などの共通する書類は1通で足りるからです。これにより、書類取得の費用を軽減させることができます。また、先に手続きした相続人が提出した書類は、後に手続きする相続人が改めて提出する必要もなくなります。
そして、弁護士に相続放棄の手続きを依頼する場合も、全員で同じ一人の専門家に依頼した方が料金が安くなることが多いです。依頼者が複数いる事案でも、大部分が共通している事案として一括で対応できるため、効率的に作業を進めることができる分、費用を抑えることが可能となります。
3.司法書士に相続放棄を依頼する費用
専門家に依頼したいが、弁護士費用は高く感じる、などという場合には、他の専門家に依頼することも検討してみてはいかがでしょうか。
3-1.司法書士に相続放棄を依頼する費用
相続放棄の手続き代行を司法書士に依頼する場合の費用の相場は、3万円~5万円程度となります。
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相談料(1時間あたり) |
無料または5000円程度 |
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申述書作成代理費用・実費 |
5,000円~1万円程度 |
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代理手数料 |
2万円~3万円程度 |
司法書士の報酬は事務所によって異なるため、複数の事務所で無料相談を受けて見積もりを依頼し、サービス内容と費用を比較することが重要です。
また、事前にどのようなサポートが受けられるのか、追加費用の発生はないかなど、詳細を確認しておくことも重要です。
司法書士には業務の範囲に制限があるため、弁護士のように相続放棄の手続きをすべて依頼することはできません。ですが、以下のような紛争性のない事案や、単に書類を作成してほしいといった依頼の場合は、司法書士に依頼することで費用を抑えることが期待できます。
- 相続放棄申述書の作成だけ依頼したい。
- 戸籍関係の書類の収集だけ任せたい。
- 照会に対する回答書の書き方がわからない。
3-2.行政書士に相続放棄は依頼できる?
行政書士は比較的安価なので、「行政書士に相続放棄を依頼できないか」と思われるかもしれませんが、扱える業務が限定されていますので注意が必要です。
行政書士は、裁判所へ提出する書類を作成することができません。相続放棄において行政書士が代行できるのは、戸籍謄本等の添付書類の取得だけです。この場合の費用の相場は1万円〜数万円程度となっています。
また、相続財産の調査も行うことができますが、この場合の費用は3万円〜15万円程度というのが一般的です。
代行してもらえる手続きとかかる費用とを比較した場合に、行政書士に相続放棄を依頼するのはあまり現実的ではないかもしれません。
4.相続放棄を代理人に依頼して費用が高くなるケース
相続放棄を専門家に依頼する場合、基本的な手続き代行費用に加えて、個々の事情や依頼内容によっては追加の費用が発生することがあります。加算料金は事務所や専門家によって異なるため、事前に具体的な料金体系を確認し、無料相談などを受けて見積もりを取っておくことが重要です。
以下では、どのようなケースで費用が高くなる可能性があるのかについて、詳しく解説していきます。
4-1.相続放棄の期限を過ぎているケース
相続放棄を行うには、被相続人の死亡を知った日から3か月以内に家庭裁判所に申述をする必要があります(民法第915条1項)。この3か月の期限のことを「熟慮期間」といい、熟慮期間を過ぎてからなされた相続放棄の申述は、原則として認められません。
ですが、特別な事情がある場合には、この3か月の熟慮期間を過ぎた後でも相続放棄が認められることがあります。
例えば、生前、被相続人と疎遠だったため、資産や負債に関する具体的な情報を持たない高齢の相続人らが、「相続放棄の申述は相続人の中で代表者が1名すればいい」と誤解し、自身の分の相続放棄も完了したと信じていたために、各人の相続放棄の申述が熟慮期間経過後になされたという事案では、やむを得ない面があったとして、例外的に熟慮期間経過後の相続放棄の申述を受理する決定をしています(東京高等裁判所令和元年11月25日決定)。
熟慮期間を過ぎてから相続放棄の申述をする場合には、通常の相続放棄申述書に加えて、熟慮期間内に相続放棄の申述を行わなかったことについて正当な理由があることを説明する「上申書(事情説明書)」も提出する必要があります。熟慮期間経過後の相続放棄の申述が認められるのは、例外的なケースですので、この上申書の作成は非常に重要です。
特に、熟慮期間を過ぎてからの相続放棄は、通常の手続きよりも複雑で、裁判所に申述を認めてもらうためには、相当な理由を主張し、適切な証拠を提示しなければなりません。
そのため、専門家に依頼した場合の報酬は、一般的な熟慮期間内の相続放棄の手続きよりも高額になる傾向があるのです。
相続放棄の期限を過ぎてしまった場合には、なるべく早く専門家に相談しましょう。経験豊富な弁護士のサポートを受けることで、適切な対応が期待できます。
4-2.相続財産の調査も依頼するケース
相続放棄するかどうかを判断する際に、被相続人の相続財産の状況を把握する必要があります。預貯金、有価証券、不動産、借金の有無などを調べなければなりませんが、どの銀行に口座を作っていたのか、デジタル資産はあったのかなど、抜け漏れのないように財産を調査するのは非常に大変です。加えて、相続放棄には期限が定められていますので、財産調査も迅速に進めなくてはいけません。
こうした相続財産の調査も専門家に依頼する場合、費用も高くなる傾向があります。被相続人の財産を調べるためには、銀行口座の残高確認、不動産の登記簿謄本の取得、有価証券の評価など、さまざまな手続きや作業が必要となるため、財産の規模によっては10万円~30万円程度の追加費用が発生することもあります。
被相続人と生前疎遠だった場合や、被相続人の財産が多いような場合には、自分一人で調べるのにも限界があるでしょう。特に、借金の存在に気付かずに「遺産相続しよう」という判断を下してしまったり、反対にデジタル資産に気付かず「ローンがあるから相続放棄しよう」と判断してしまったりと、相続財産の調査が不十分だったことによって判断を誤ってしまう可能性もあります。
ですので、相続財産の調査はなるべく専門家に依頼することをお勧めいたします。
4-3.相続財産清算人の選任が必要なケース
相続放棄を行った場合でも、相続財産の管理義務が消えるわけではありません。次順位の相続人などが相続財産を引き継ぐまでの間、相続放棄をした人は引き続き財産の管理を行う必要があります。
本記事ですでに前述いたしましたが、法定相続人が1人しかいない場合や、法定相続人全員が相続放棄をした場合は、遺産を相続する人がいなくなってしまうため、家庭裁判所に相続財産清算人を選任してもらう必要があります。
相続財産清算人の選任が必要な場合、相続放棄にかかる費用のほかに、数十万円から100万円程度の費用が発生することになります。さらに、相続財産清算人の選任の申し立ても専門家に依頼する場合は、その分の費用も発生するため、費用総額が高くなる可能性があるのです。
4-4.特別代理人の選任が必要なケース
未成年者は相続放棄の申述のような法律行為を単独ではできないため、通常は親権者が法定代理人として相続放棄の手続きを行います。
ですが、親権者と未成年者の両方が相続人になっており、未成年者のみが相続放棄する場合や、複数の未成年者の親権者が一部の未成年者のみを代理して相続放棄する場合などは注意が必要です。こういったケースでは、親権者と相続放棄をする未成年者の利益が相反するため、結果として未成年者の利益が守られない可能性があるためです。
そのため、このような場合、未成年者が相続放棄をするためには、特別代理人を選任してもらう必要があります(民法第826条)。
特別代理人の選任には、家庭裁判所への申立てが必要なので、その分の手続きの費用と、その手続きを依頼する費用がかかります。結果として、相続放棄の手続きだけ依頼する場合よりも、費用が高額になることがあるのです。
安い費用で相続放棄をするには
1.生活保護でも法テラスで相続放棄の費用を立替えられる
相続放棄をするには、戸籍収集や財産調査、提出書類の作成など、時間と手間のかかる作業を迅速に進めなければなりません。手続きに必要なこと全てを弁護士に依頼する場合、前述のとおり弁護士費用が高額になってしまうこともあります。
最低限の手続きだけを依頼する場合でも、「費用が高くなると支払いができない。」、「生活保護を受けているため、弁護士費用は支払えない。」といった方もいらっしゃるかと思います。そうした場合に役立つのが、法テラスの「民事法律扶助業務」です。
法テラスの民事法律扶助業務を利用すると、経済的な余裕がない場合に、弁護士費用などを立替えてもらうことができます。立替払いしてもらった費用は分割返済することになりますが、原則として3年以内に返済を終えればよいため、負担を抑えながら必要な法的サポートを受けることができます。例えば、5万円の弁護士費用を5,000円の10回払いで返済することも可能です。
また、生活保護を受給中の間は、立替費用の返済は猶予されます。事件が全て終了した後も生活保護を受給している場合は、返済の免除の申請をすることも可能です。
ただし、誰でも利用できるわけではなく、原則として収入や資産が一定基準以下であること、勝訴の見込みがないとはいえないこと(問題解決の見込みがあること)、などの要件を満たす必要があります。
詳しくは、こちらの法テラスのホームページをご参照いただければと思います。
参考:無料法律相談・弁護士等費用の立替(法テラス)
2.複数の事務所で見積もりをとる
相続放棄の手続きにかかる費用を安く抑えるためには、複数の法律事務所や司法書士事務所で無料相談を受け、見積もりを取ることも重要です。手続きにかかる費用は、事務所によって大きく異なる場合があります。そのため、複数の事務所に見積もりを依頼し、サービス内容と費用を比較することがポイントです。
見積もりを取る際には、以下の点に注意しましょう。
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費用の内訳を明確にする
見積もりを比較する際には、費用の内訳が明確であることが重要です。総額だけでなく、どういった手続きにどの程度の費用がかかっているのか、内訳や追加費用が発生する可能性があるのか、といった点についても確認しましょう。
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サービス内容を確認する
費用だけでなく、提供されるサービスの内容も比較することが重要です。手続きの進行状況を積極的に共有してくれるか、相続財産の調査も依頼の範囲に含まれているのか、専門家と自身の相性は良さそうか、といった点を検討し、自身のニーズに見合うサービスを提供してもらえる事務所を選びましょう。
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事務所の評判を調べる
事務所の評判や過去の実績も重要な判断基準です。インターネット上の口コミや、友人・知人からの紹介などを参考にして、信頼できる事務所を選びましょう。相続放棄の申述を依頼する場合は、遺産相続事件に豊富な実績のある事務所を見つけることがポイントです。また、遺産相続事件といっても幅が広いため、その中でも相続放棄の申述手続きに精通した専門家を選ぶことが重要です。
複数の事務所から見積もりを取り、費用とサービス内容を比較することで、予算に合った専門家を見つけることが期待できるでしょう。
相続放棄の費用に関するQ&A
Q1.相続放棄の手続きを自分でやる場合の費用はどれくらいですか?
A:相続放棄の手続きを自分で行う場合、戸籍謄本や住民票の除票などの交付申請費用と、相続放棄の申述の手数料として、数千円程度が必要です。
Q2.相続放棄の手続きを専門家に依頼する場合の費用はどれくらいですか?
A:相続放棄を専門家に依頼する場合、手続きにかかる実費に加え、弁護士や司法書士の報酬が必要です。一般的な相場は5万円から20万円程度となっていますが、ケースによってはそれ以上の費用が発生する場合もあります。事前に料金体系を確認し、無料相談などで具体的に確認しておくことが重要です。
Q3.相続放棄の手続きにかかる費用を抑える方法はありますか?
A:相続放棄の手続きにかかる費用を抑える方法としては、以下のような方法があります。
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複数の専門家から見積もりを取得する
複数の弁護士や司法書の無料相談を受けて見積もりを取得し、費用を比較することで、より安い費用で依頼できる専門家を見つけることができます。
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法テラスを利用する
経済的な余裕がない場合、法テラスの「民事法律扶助制度」を利用することで、弁護士費用などを立替えてもらえます。立替払いしてもらった費用は分割返済が可能です。ただし、法テラスの利用には一定の条件があるため、詳細は法テラスのホームページで確認するか、直接法テラスで相談してください。
まとめ
相続放棄の費用は、手続きを自分で行う場合と専門家に依頼する場合で異なります。
自分で行う場合は、申述手続きにかかる実費や、裁判所に向かうための交通費などで、数千円~1万円程度がかかります。一方、専門家に依頼する場合は、実費に加えて専門家に支払う着手金などが加わるため、5万円から20万円程度の費用がかかることが一般的です。特に、事情が複雑で時間や手間がかかるケースでは、費用はさらに高額になる可能性があります。
そのため、専門家に依頼する際には、なるべく安価な事務所を選びたい、と思われるかもしれません。ですが、相続放棄の申述が問題なく受理されるためには、費用の安さだけでなく、専門家の実績や自身との相性なども重要です。
相続放棄の手続きを依頼するか迷った場合には、まずは無料相談を利用してみましょう。
弁護士法人あおい法律事務所でも、弁護士による法律相談を初回無料で行っております。事務所に直接お越しいただくだけでなく、お電話によるご相談もお受けしておりますので、ぜひお気軽にお問合せいただければと思います。
この記事を書いた人
略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。3,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。
家庭の法律問題は、なかなか人には相談できずに、気付くと一人で抱え込んでしまうものです。当事務所は、家庭の法律問題に特化した事務所であり、高い専門的知見を活かしながら、皆様のお悩みに寄り添い、お悩みの解決をお手伝いできます。ぜひ、お一人でお悩みになる前に、当事務所へご相談ください。必ずお力になります。





