相続放棄の費用はいくら?弁護士や司法書士の相場や代行を依頼するメリット

相続放棄

更新日 2024.10.18

投稿日 2024.06.11

監修者:弁護士法人あおい法律事務所

代表弁護士 雫田雄太

略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。3,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。

弁護士法人あおい事務所の相続専門サイトをご覧いただき、ありがとうございます。当サイトでは、相続に関する法的な知識を分かりやすくお届けしております。皆様のお悩みの解消に少しでもお役立ちできましたら幸甚です。

相続放棄は遺産を受け取る権利を放棄することで、借金などの負債を回避できる手続きです。

相続放棄の手続きにはどのくらいの費用がかかるのでしょうか?自分で行う場合のコストは低いものの、手続きの複雑さや受理されないリスクを考えると、専門家への依頼が安心です。

本記事では、自分で手続きする場合の費用相場、弁護士や司法書士へ依頼する場合の費用相場とそのメリットについて詳しく解説します。相続放棄を検討中の方は、ぜひ参考にしてください。

目次

自分で相続放棄の手続きをする場合の費用│相場は3,000~5,000円

相続放棄を自分で行う場合、必要な費用は一般的に3,000円から5,000円程度です。この費用には、以下の書類取得位費用や手数料が含まれます。

必要書類の取得費用│被相続人と相続人の戸籍謄本等

被相続人の住民票除票(または戸籍の附票)

300円

死亡、または戸籍が作られてから除籍されるまでの住所を確認します。

申述人の戸籍謄本

450円

申述人が記載されている戸籍の謄本です。相続人としての身分を証明します。

被相続人の死亡記載のある除籍謄本

750円

被相続人の死亡を証明します。

合計費用は一般的に3,000円から5,000円程度となります。ただし、被被相続人の父母や兄弟姉妹、孫が相続放棄を行う場合は必要な戸籍謄本の数が増えるので、多くて1万円程度かかる場合もあります。

本籍地などが遠方の場合は市役所から郵送で取り寄せることも可能ですが、その際は戸籍謄本の取得費に加えて定額小為替の手数料(1枚につき100円)及び郵便切手代もかかります。

家庭裁判所の手数料などにかかる費用

収入印紙

800円

相続放棄の申述手続きの手数料として、相続放棄申述人(相続放棄をする人)1人につき800円の収入印紙が必要です。この印紙は、申述書に貼付し、裁判所に提出します。

連絡用郵便切手

約400円~500円

家庭裁判所からの連絡用に、連絡用の郵便切手を用意する必要があります。この切手の額面は裁判所によって異なります。

また、連絡用郵便切手の内訳は家庭裁判所によって異なるため、申述先の家庭裁判所に確認することが重要です。家庭裁判所のホームページに裁判所の管轄区域が掲載されていますので、該当する住所地の家庭裁判所を調べてください。(裁判所HP:裁判所の管轄区域)

さらに、管轄の家庭裁判所までの距離がある場合には、交通費や郵便代も考慮に入れておく必要があります。申述書の提出や書類の受け取りなどで複数回裁判所を訪れる必要がある場合、交通費は意外と大きな負担となることがあります。

自分で手続きを行う場合、費用は抑えられますが、必要な書類や手続きの複雑さを正確に理解することが不可欠です。間違いがあると手続きが遅れることもあるため、事前にしっかりと準備をすることが大切です。

弁護士に相続放棄の手続き代行を依頼する場合の費用│相場は5~10万円

相続放棄の手続き代行を弁護士に依頼する場合の費用の相場は以下のとおりです。全てあわせて5万円~10万円程度と考えておくとよいでしょう。解決後の報酬金はかからない場合がほとんどです。

相談料(1時間あたり)

無料または1万円程度

実費

5,000円~1万円程度

手続代行費用(着手金)

5万円~10万円程度

実費とは、上で案内した戸籍謄本を取得する費用や裁判所への手数用、裁判所への交通費や郵便代などを含みます。

なお、相続放棄の期限である「相続開始を知ってから3カ月」を過ぎてからの相続放棄手続きや、債権者との交渉が必要な場合、財産調査が必要な場合などは、別途追加で費用が掛かるケースがあります。費用が高くなるケースついては後ほど詳しく解説いたします。

弁護士費用は、依頼する弁護士事務所や案件の特性によって変わるため、具体的な費用については初回相談時に詳細を確認するようにしましょう。

弁護士に手続き代行を依頼するメリット│全て代理で手続きをしてもらえる

相続放棄を検討する際には、弁護士に相談することが強く推奨されます。弁護士は、相続放棄に関わる法的な手続きを熟知しており、申し立てから回答書の作成・提出に至るまで、全てのプロセスを代理で行ってくれます。

特に、回答書は相続放棄が認められるかどうかに大きな影響を与える重要な書類です。自分で回答書を作成する場合、知識が不足しているとミスや不備が生じる可能性があり、これが原因で相続放棄が無効となるリスクがあります。

しかし、弁護士に依頼することで、回答書の内容を適切に記載してもらえるため、手続きがスムーズに進み、安心して相続放棄を行うことができます。

また、弁護士は相続放棄に関する複雑な法律問題や、被相続人の財産状況についてのアドバイスも提供してくれるため、適切な判断を下すためのサポートを受けることができます。

司法書士に相続放棄の手続き代行を依頼する場合の費用│相場は3~5万円

相続放棄の手続き代行を司法書士に依頼する場合の費用の相場は以下のとおりです。全てあわせて3万円~5万円程度と考えておくとよいでしょう。

相談料(1時間あたり)

無料または5000円程度

申述書作成代理費用・実費

5,000円~1万円程度

代理手数料

2万円~3万円程度

司法書士に手続き代行を依頼するメリット│比較的安く依頼できる

相続放棄の手続きは、多くの書類の作成や提出が必要となりますが、司法書士に依頼することで、これらの手続きを効率的かつスムーズに進めることができます。

司法書士は、相続放棄に必要な戸籍謄本などの書類の取得から、相続放棄申述書の作成、家庭裁判所への提出まで、一連の手続きを代行してくれます。これにより、手続きに要する時間や手間を大幅に削減できるため、忙しい方や手続きに不慣れな方にとって大きなメリットとなります。

司法書士の報酬は事務所によって異なるため、依頼を検討する際は、複数の事務所に見積もりを依頼し、サービス内容と費用を比較することが重要です。また、事前にどのようなサポートが受けられるのか、追加費用の発生はないかなど、詳細を確認しておくこともおすすめします。

相続放棄の手続き代行費用が高くなるケース

相続放棄を専門家に依頼する場合、基本的な手続き代行費用に加えて、特定の状況や依頼内容によっては追加の費用が発生することがあります。

加算料金は各事務所や専門家によって異なるため、事前に具体的な料金体系を確認し、見積もりを取っておくことが重要です。ここでは、どのようなケースで手続き代行費用が高くなる可能性があるのかを詳しく解説していきます。

期限を過ぎているケース

相続放棄を行うには、被相続人の死亡を知った日から3か月以内に家庭裁判所に申述をする必要があります。しかし、特別な事情がある場合には、この3か月の熟慮期間を過ぎた後でも相続放棄が認められることがあります。

期限を過ぎてから相続放棄を申述する場合には、通常の相続放棄申述書に加えて、期限内に相続放棄を行わなかった正当な理由を説明する「事情説明書」も提出する必要があります。この事情説明書の作成は、専門的な知識と経験が必要となるため、専門家に依頼することがほぼ必須と言えます。

期限を過ぎてからの相続放棄は、通常の手続きよりも複雑であり、裁判所に説明を受け入れてもらうためには適切な理由と証拠の提示が求められます。そのため、専門家に依頼した場合の報酬は、通常の相続放棄手続きよりも高額になる傾向があります。

相続放棄の期限を過ぎてしまった場合には、迅速に専門家に相談し、適切な対応を取ることが重要です。事情説明書の作成や裁判所への説明は繊細な対応が求められるため、経験豊富な弁護士のサポートを受けることで、手続きの成功率を高めることができます。

相続財産の調査も依頼するケース

相続放棄を検討する際、被相続人の相続財産の状況を把握することは重要です。預貯金、有価証券、不動産、借金の有無など、被相続人の財産状況を正確に知ることで、相続放棄の判断をより適切に行うことができます。

相続放棄の手続きと合わせて、相続財産の調査も専門家に依頼する場合、その費用は通常の手続き代行費用に加算されます。相続財産調査は、銀行口座の残高確認、不動産の登記簿謄本の取得、有価証券の評価など、多岐にわたる作業を要するため、その分費用も高くなる傾向があります。

相続財産の調査を行うことで、被相続人の財産状況が明確になり、相続放棄の判断に役立ちますが、同時に手続きの複雑さが増すため、専門家への依頼は欠かせません。

相続財産清算人選任の申し立てもするケース

相続放棄を行った場合でも、相続財産の管理義務が消えるわけではありません。相続放棄によって相続人となった方が相続財産を引き継ぐまでの間、相続放棄をした方は引き続き財産の管理を行う必要があります。しかし、法定相続人が1人しかいない場合や、法定相続人全員が相続放棄をした場合は、誰も相続財産を引き継ぐことができなくなります。

このような状況では、家庭裁判所に相続財産清算人を選任してもらう必要があります。相続財産清算人は、荒れ果てた空き家の整備や売却など、相続財産の保全や処分を行うことができます。

相続放棄に加えて相続財産清算人の選任申立ても依頼する場合、費用はさらに加算されます。

特別代理人の選任が必要なケース

未成年者が相続放棄をする場合、通常は親権者が代理人として手続きを行います。しかし、親権者と未成年者の両方が相続人になっており、未成年者のみが相続放棄する場合や、複数の未成年者の親権者が一部の未成年者のみを代理して相続放棄する場合など、未成年者の利益が守られない可能性があるケースでは、親権者が代理人になることができません。

このような状況では、未成年者が相続放棄をするためには、特別代理人を選任してもらう必要があります。特別代理人は、未成年者の利益を代表して相続放棄の手続きを行います。特別代理人の選任には、家庭裁判所への申立てが必要であり、そのための費用がかかります。

特別代理人の選任が必要な場合、相続放棄の手続き代行費用は通常よりも高くなる傾向があります。これは、特別代理人の選任手続きに関わる費用や、特別代理人への報酬が追加されるためです。

安い費用で相続放棄の手続きをするには

複数の弁護士事務所・司法書士事務所で見積もりをとる

相続放棄の手続きを安い費用で行うための一つの方法は、複数の弁護士事務所や司法書士事務所で見積もりを取ることです。手続きにかかる費用は、事務所によって大きく異なる場合があります。そのため、複数の事務所に見積もりを依頼し、サービス内容と費用を比較することが重要です。

見積もりを取る際には、以下の点に注意しましょう。

費用の内訳を明確にする

見積もりを比較する際には、費用の内訳が明確であることが重要です。どのようなサービスが含まれているのか、追加費用は発生する可能性があるのかを確認しましょう。

サービス内容を確認する

費用だけでなく、提供されるサービスの内容も比較することが重要です。手続きの進行状況を定期的に報告してくれるか、相続財産の調査も行ってくれるかなど、自分のニーズに合ったサービスを提供している事務所を選びましょう。

事務所の評判を調べる

費用とサービス内容が満足できるものであっても、事務所の評判や過去の実績も重要な判断基準です。インターネットでの口コミや、知人からの紹介などを参考にして、信頼できる事務所を選びましょう。

複数の事務所から見積もりを取り、費用とサービス内容を比較することで、自分の予算に合った適切なサポートを受けることができるでしょう。

法テラスを利用する

相続放棄の手続きには、戸籍収集や書類作成、財産調査など多くの作業が必要であり、これらをすべて専門家に依頼すると費用が高額になることがあります。特に「時間がないためすべて任せたいが、費用が高くなると支払いができない」という事情を抱えている方もいるでしょう。そんなときに便利なのが、法テラスの「民事法律扶助業務」です。

法テラスの民事法律扶助業務を利用すると、経済的な余裕がない場合でも、弁護士費用などを立替えてもらえます。立替払いしてもらった費用は分割返済することになりますが、原則として3年以内に返済を終えればよいため、負担を抑えながら必要な法的サポートを受けることができます。例えば、5万円の弁護士費用を5,000円の10回払いで返済することも可能です。

法テラスの利用には条件があり、原則として収入や資産が一定以下であるなどの要件を満たす必要があります。法テラスの詳細な条件や利用方法については、公式ホームページでの確認をお勧めします。

参考:法テラスHP

相続放棄の弁護士費用は誰が払うの?

相続放棄の手続きを行う際に発生する弁護士費用や司法書士費用は、原則として依頼した本人が負担することになります。しかし、相続放棄を行う理由が他の相続人に遺産を譲ることにある場合、遺産を取得する相続人が手続きにかかる費用を負担してくれることもあります。

相続人間で費用の負担について話し合うことは自由ですので、相続放棄を行う前に、遺産を取得する相続人や他の関係者と事前に費用負担についての合意を取り付けると良いでしょう。この際、合意内容は書面で残しておくことをお勧めします。書面による合意は、後に費用負担に関するトラブルが発生した場合の証拠となり得るからです。

また、相続放棄を行う理由や背景に応じて、費用負担の割合を調整することも可能です。例えば、相続放棄によって特定の相続人が大きな利益を得る場合、その相続人が費用の大部分を負担するといった合意をすることも考えられます。

兄弟まとめて依頼すると安く抑えられる

兄弟などの複数の相続人が一緒に相続放棄を行う場合、弁護士費用を節約することができる可能性があります。

まず、相続人がまとめて相続放棄を行う場合、共通する書類は1通で足ります。これにより、書類取得の手間や費用が削減されます。また、先に手続きした相続人が提出した書類は、後に手続きする相続人が改めて用意する必要がなくなります。

さらに、司法書士や弁護士に相続放棄の手続きを依頼する場合、相続人が別々に依頼するよりも、まとめて同じ専門家に依頼した方が料金が安くなることが多いです。専門家は同じ案件に対して一括で対応できるため、効率的に作業を進めることができ、その分料金を抑えることが可能となるからです。

相続放棄後に費用がかかる場合も

相続財産管理人の選任手続き

相続放棄の手続きが家庭裁判所に受理されると、相続放棄をした方は法律上、最初から相続人ではなかったとみなされます。そのため、遺産分割協議の対象者から外れ、遺産を一切相続しないため、名義変更などの手続きを行う必要もありません。

しかし、相続放棄をしても、ケースによっては一定の手続きが必要になる場合があります。特に、相続財産の中に空き家や不要な土地が含まれている場合、相続放棄をした人に対してもその家や土地の管理義務が生じることがあります。これは、相続放棄によって相続人となった他の人が財産を引き継ぐまでの間、相続放棄をした人が財産を管理する必要があるためです。

このような場合には、相続財産管理人の選任手続きが必要になることがあります。相続財産管理人は、荒れ果てた空き家の管理や、不動産の売却などを行うことができます。この手続きには、家庭裁判所への申立て費用や、選任された管理人への報酬など、総額で100万円前後かかる場合もあります。

相続放棄申述受理証明書の発行手数料

相続放棄を行った後、特定の状況で相続放棄申述受理証明書の発行が必要になる場合があります。この証明書は、相続放棄したことを証明する公的な書類で、家庭裁判所で発行手数料150円を支払うことで取得できます。証明書の発行は、故人にお金を貸していた債権者から提出を求められた場合や、他の相続人が相続登記などの手続きをする際に必要とされることがあります。

相続放棄申述受理証明書を発行する際の必要書類は、申請者が相続放棄者本人かそれ以外の利害関係者かによって異なります。また、家庭裁判所によって手続き方法が異なる場合があるため、事前に裁判所に確認することが重要です。

どの専門家に相続放棄の手続きの代行を依頼するべき?

弁護士に依頼するべきケース

相続放棄するべきか迷っている

相続放棄を検討している場合、特に債務の状況が不明確である、または相続放棄の決断に自信が持てないという状況では、弁護士に相談することが推奨されます。弁護士は相続法に関する専門知識を持っており、相続放棄の手続きだけでなく、相続全般に関するアドバイスを提供できます。

相続放棄を行うと、相続財産を一切相続できなくなるため、この決断は慎重に行う必要があります。一度相続放棄を行うと、原則として取り消しはできません。さらに、相続が発生してから3ヶ月以内に相続放棄の手続きを行わなければならないため、迅速な判断が求められます。

このような状況で弁護士に依頼するメリットは、相続放棄の手続きだけでなく、相続に関する総合的なアドバイスを受けることができる点にあります。弁護士は、相続放棄のメリットとデメリットを含め、あなたの状況に最適な解決策を提案してくれます。

相続放棄をするべきかどうかをアドバイスできるのは、弁護士だけです。

他の相続人や債権者と揉めている

債権者対応や紛争解決を専門とする弁護士に相談することが適切です。

弁護士は法的な争いやトラブルの解決における専門家であり、適切な戦略を立てて代理人として交渉や訴訟を行うことができます。債権者からの請求に対しては、相続人としての責任範囲を明確にし、適切な対応を行うことが重要です。また、他の相続人とのトラブルがある場合には、法的な観点から交渉を進め、問題の解決に導くことが求められます。

弁護士に依頼するメリットは、法的な知識と経験を活かして、揉め事をスムーズに解決し、法的なトラブルを未然に防ぐことができる点にあります。また、弁護士は依頼者の利益を最優先に考え、適切なアドバイスを提供してくれます。

裁判所に却下される可能性がある

期限内の相続放棄は通常、問題なく認められることが多いです。しかし、3ヶ月を超えて特別な理由で申し立てる場合や、年月が経ってから相続人であることが判明した場合など、特殊な状況では相続放棄が認められず、却下されることがあります。

相続放棄の申し立てが却下された場合、即時抗告という手段で不服申し立てを行うことができます。ただし、即時抗告を行うことができる期間は限られており、手続きの複雑さもあって、一般の方が自力で行うには難しい場合が多いです。

そのため、却下される可能性がある場合や特殊な事情がある場合には、初めから弁護士に相続放棄の手続きを依頼することが推奨されます。弁護士は法律の専門家として、申し立てが却下されるリスクを最小限に抑えるための戦略を立てたり、却下された場合の即時抗告の手続きを迅速に行ったりすることができます。

その他、弁護士に相続放棄手続きを依頼するメリットについては下記記事を参照してください。

司法書士に依頼するべきケース

司法書士には業務の範囲に制限があるため、相続放棄の手続きをすべて依頼することはできませんが、特定のケースでは司法書士に依頼することが適切です。具体的には、以下のような状況で司法書士への依頼を検討すると良いでしょう。

相続放棄申述書の作成を依頼したい

相続放棄申述書は、家庭裁判所に提出する重要な書類です。司法書士はこの書類の作成を代行することができます。

戸籍関係の書類を集める手続きを任せたい

相続放棄に必要な戸籍謄本などの書類収集は、手間がかかる作業です。司法書士に依頼することで、スムーズに書類を集めることができます。

回答書の書き方がわからない場合

家庭裁判所からの質問への回答書の作成は、相続人自身で行う必要がありますが、書き方がわからない場合は、司法書士に相談することができます。

相続登記も専門家に依頼したい場合

相続放棄が認められた後の相続登記も、司法書士に依頼することができます。

また、司法書士の手数料は弁護士に比べて相場が安いことが多いため、費用を抑えたい場合にも司法書士への依頼が適しています。

トラブルがなく、費用を抑えつつ相続放棄の一部の手続きを専門家に任せたい場合は、司法書士に依頼することを検討してみると良いでしょう。

相続放棄の費用に関するQ&A

Q: 相続放棄の手続きにかかる費用はどのくらいですか?

A: 相続放棄の手続きにかかる費用は、自分で行う場合と専門家に依頼する場合で異なります。自分で行う場合、戸籍謄本や住民票の除票などの書類取得費用として数千円(例: 収入印紙800円、住民票除票300円、戸籍謄本450円など)程度が必要です。

専門家に依頼する場合、弁護士や司法書士の報酬が加わり、一般的には5万円から20万円程度の費用がかかることが多いですが、ケースによってはそれ以上の費用が発生する場合もあります。事前に見積もりを取得し、詳細を確認することが重要です。

Q: 相続放棄の手続きにかかる費用を抑える方法はありますか?

 A: 相続放棄の手続きにかかる費用を抑える方法としては、以下のような方法があります。

  • 複数の専門家から見積もりを取得する: 複数の弁護士や司法書士から見積もりを取得し、費用を比較することで、より安い費用で依頼できる専門家を見つけることができます。
  • 法テラスを利用する: 経済的な余裕がない場合、法テラスの「民事法律扶助制度」を利用することで、弁護士費用などを立替えてもらえます。立替払いしてもらった費用は分割返済が可能です。ただし、法テラスの利用には一定の条件があるため、詳細は法テラスのホームページで確認するか、直接法テラスに相談してください。

Q: 相続放棄の手続きは自分で行うべきですか、それとも専門家に依頼すべきですか?

A: 相続放棄の手続き自体は、戸籍関係の書類さえ集められれば比較的単純です。そのため、内容がシンプルなケースであれば、費用を抑えるために自分で手続きを行うことが可能です。しかし、債権者や他の相続人とのトラブルがある場合、被相続人の死亡から時間が経過している場合、または財産の価値を知りたい場合など、事情が複雑なケースでは、弁護士に相談することをおすすめします。

特に、多額の借金などマイナスの遺産を引き継ぐリスクがある場合には、専門家に依頼して確実に手続きを行うことが安心です。専門家への依頼費用は必要な経費と考え、相続に強い弁護士や司法書士に依頼することを検討してください。

Q: 相続放棄の手続きを自分でする際の注意点は何ですか?

A: 相続放棄の手続きを自分でする際の注意点として、まず書類の不備が挙げられます。相続放棄申述書には、相続放棄者の情報や被相続人の情報、相続放棄の理由などを正確に記載する必要があり、記載に不備や漏れがあると受理されません。

また、相続放棄を行える期限は相続開始を知った日から3ヶ月以内であり、この期限内に必要書類を準備し、家庭裁判所に提出する必要があります。期限内に手続きが完了しないと、相続放棄ができなくなります。

さらに、相続放棄申述書が却下された場合、理由を明確にして再申請する必要がありますが、一度却下された後の再申請は受理されにくいため、初回の申請で正確な書類を提出することが重要です。

まとめ

相続放棄の費用は、手続きを自分で行う場合と専門家に依頼する場合で異なります。自分で行う場合は、書類取得費用として数千円程度がかかりますが、専門家に依頼する場合は、報酬や手数料が加わるため、一般的には10万円から30万円程度の費用がかかることが多いです。特に複雑なケースでは、さらに高額になる可能性があります。

費用を抑える方法としては、自分で手続きを行う、複数の専門家から見積もりを取得する、法テラスを利用するなどがあります。

相続放棄の手続きは重要な判断を伴うため、不安な場合は専門家に相談することをおすすめします。専門家に依頼するメリットとしては、手続きの正確性が保証されることや、法的なトラブルを回避できることが挙げられます。費用とサービス内容をよく検討し、適切な判断を行いましょう。

この記事を書いた人

弁護士法人あおい法律事務所
代表弁護士

雫田 雄太

略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。3,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。

家庭の法律問題は、なかなか人には相談できずに、気付くと一人で抱え込んでしまうものです。当事務所は、家庭の法律問題に特化した事務所であり、高い専門的知見を活かしながら、皆様のお悩みに寄り添い、お悩みの解決をお手伝いできます。ぜひ、お一人でお悩みになる前に、当事務所へご相談ください。必ずお力になります。