遺産分割協議書の必要書類【一覧】│相続手続きに必要な書類も解説

遺産分割

更新日 2024.10.01

投稿日 2024.01.25

監修者:弁護士法人あおい法律事務所

代表弁護士 雫田雄太

略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。3,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。

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相続人全員で話し合い(遺産分割協議)を行い、誰が何を相続するか決めた場合、その内容を遺産分割協議書に記載します。

遺産分割協議書は、相続登記や預金払戻しなどの相続手続きの際に使う重要書類ですから、間違いがないよう正確に作成するために、多くの必要書類を収集する必要があります。
必要書類とは、たとえば被相続人の戸籍謄本類、相続人の戸籍謄本類、相続人の印鑑登録証明書などが挙げられます。

また、遺産分割協議書を使い、法務局での相続登記や金融機関での相続手続きを行う場合には、あわせて提出が必要となる書類を準備する必要があります。

本記事では、遺産分割協議書を作成する際の必要書類、また、相続手続きにおいて遺産分割協議書と一緒に提出する必要書類について、取得方法や注意点を交えて解説いたします。
実際にどんな書類が必要になるかよく分からないという方は、ぜひ参考になさってください。

目次

遺産分割協議書の必要書類一覧

遺産分割協議書の作成時の必要書類

遺産分割協議書を作成する場合には、多くの必要書類を集めなければなりません。

被相続人が遺言書を遺していなかった場合には、原則として、相続人全員で遺産分割協議を行い、合意した内容を遺産分割協議書に記載します。

遺産分割協議書は、相続登記や預金払戻しなどの相続手続きの際に使用する重要な書類となりますので、間違いのないように正しい方法で作成する必要があります。

したがって、遺産分割協議書を作成する前に、まずは必要書類を集めることが始めましょう。

遺産分割協議書の必要書類一覧

遺産分割協議書の作成に必要となる主な書類の一覧は、以下のとおりです。

必要書類

目的

取得方法

被相続人が出生してから亡くなるまでの戸籍謄本類

死亡の事実の確認

相続人の特定・証明

被相続人の本籍地がある市区町村役場で取得

相続人全員の戸籍謄本

各相続人の本籍地がある市区町村役場で取得

被相続人の住民票除票(または戸籍附票)

被相続人の最後の住所地の確認

被相続人の最後の住所地の市区町村役場(被相続人の本籍地がある市区町村役場)で取得

相続人全員の印鑑登録証明書(相続放棄者を除く)

遺産分割協議書の作成

各相続人の住所地の市区町村役場で取得

遺言書

(ある場合)

 

遺言書の調査

自筆証遺言書:法務局または自宅など

公正証書遺言書:公証役場または自宅など

検認済み証明書

(検認を受けた場合)

検認は家庭裁判所へ申し立てる

相続放棄申述受理証明書

相続放棄者の確定

家庭裁判所へ申請する

財産目録

相続財産の確定

遺産内容をもとに自分たちで作成する

以上が、遺産分割協議書の作成に必要となる主な書類の一覧とその取得方法です。

遺産分割協議書は、役所や法務局、金融機関などで用紙がもらえるものではなく、上記の必要書類を集めて、相続人間で作成するものになります。

遺産分割協議書の作成に必要な書類を収集する作業は、非常に労力がかかります。
ご自身で必要書類を収集して遺産分割協議書を作成するのが難しい場合には、専門家への依頼を検討されることをおすすめします。

詳細は以下の記事で解説していますので、参考になさってください。

遺産分割協議書の必要書類│書類別に解説

以下では、遺産分割協議書の必要書類について、それぞれの概要や取得方法などを解説いたします。

被相続人が出生してから亡くなるまでの戸籍謄本類

遺産分割協議書を作成する際には、相続人の特定をするために、被相続人が生まれてから死亡するまでのすべての戸籍謄本類(戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本)をもれなく集める必要があります。

通常、被相続人の本籍地では、最新の戸籍謄本しか取得できませんので、被相続人が生まれてから死亡するまでの連続したすべての戸籍謄本を取得するためには、以下のような手続きが必要となります。

  1. 被相続人の亡くなった時点の本籍地の市区町村役場で戸籍謄本(①)を取得する。
  2. ①に記載されている「移動前の本籍地」の市区町村役場で戸籍謄本(②)を取得する。
  3. 被相続人の「出生事項がはじめて記載された戸籍」にたどり着くまで、くり返す。

被相続人の出生から死亡するまでの戸籍謄本が全部で何通になるのかは、被相続人によって異なります。本籍地が移転しているなどのケースでは、通数が多くなります。

戸籍謄本類に漏れがあると、正しく相続人を確定できないリスクが発生します。そうなると、有効な遺産分割協議ができません。戸籍謄本類がそろっていないと、不動産の名義変更などの遺産分割協議書にもとづく相続手続きもできません。謄本と次の謄本類の日付が連続するように、注意しながら集めていきましょう。

なお孫が代襲相続人として相続する場合や、親・兄弟姉妹などが相続する場合などには本人だけではなく子どもや親など相続人以外の人の戸籍謄本類も必要となる可能性があります。

戸籍謄本の種類

必要となる戸籍謄本類の種類には、以下の3種類が存在する可能性があります。

  • 戸籍謄本:戸籍に記載されている全員の身分事項を証明する戸籍の写しのこと
  • 除籍謄本:戸籍に記載されている全員が除かれて、誰もいなくなったことを証明する戸籍の写しのこと
  • 改製原(かいせいげん)戸籍謄本:改正前の戸籍法に基づくフォーマットで作成された戸籍の写しのこと

「戸籍謄本」の正式名称は、「戸籍全部事項証明書」といいます。戸籍謄本には、戸籍の筆頭者や本籍地の他、その戸籍に記載される人全員の氏名や続柄などが記載されています。

「除籍謄本」とは、死亡や結婚などにより、戸籍に記載されている人全員がいなくなった状態の戸籍の写しのことをいいます。

また、「改製原戸籍」は改正前の戸籍法に基づく形式で作成された古い戸籍を指しますが、被相続人の出生までをたどる際に、改製原戸籍謄本が必要となるケースがあります。

被相続人の戸籍謄本の取得方法

被相続人が亡くなった時点の本籍地の市区町村役場に請求して取得しましょう。

戸籍謄本は、市区町村役場の窓口で直接請求して取得するほか、郵送で請求することもできます。
被相続人の本籍地が分からなければ、住所のある市区町村役場で「本籍地の記載」を希望して住民票を取得することで調べることが可能です。

転籍している場合は、以前の本籍地の市区町村役場にも戸籍謄本を請求します。

相続人全員の戸籍謄本

被相続人の戸籍謄本を全て取得し、相続人が特定できたら、次は相続人全員の戸籍謄本を取得します。
相続人全員の戸籍謄本が必要となる理由は、被相続人(死亡した人)が亡くなった時点での、相続人の生存を証明するためです。

相続人全員の戸籍謄本の取得方法

それぞれ本籍地の市区町村役場へ申請して取得しましょう。
戸籍謄本は、市区町村役場の窓口で直接請求して取得するほか、郵送で請求することもできます。

被相続人の住民票の除票または戸籍の附票

遺産分割協議書には、被相続人の最後の住所地を記載する必要があります。
したがって、以下のいずれかの書類を取得し、被相続人の最後の住所地を確認しましょう。

  • 被相続人の住民票の除票:死亡によってすでに除かれた住民票のこと
  • 被相続人の戸籍の附票:その戸籍が編製された時から除籍されるまでの住所の履歴を記録したもの

住民票の除票の取得方法

被相続人の住民票の除票は、被相続人の最後の住所地のある市区町村役場で取得できます。

戸籍の附票の取得方法

被相続人の戸籍の附票は、戸籍謄本と同様に、本籍地のある市区町村役場で取得しましょう。

相続人全員の印鑑登録証明書(相続放棄者を除く)

遺産分割協議書に押印した実印の印鑑登録証明書が、相続人全員分必要です。
印鑑登録証明書とは、市区町村役場に登録されている実印が本物であるということを証明する書類です。

印鑑登録証明書が必要な理由は、相続人本人が遺産分割協議書に署名捺印したこと、つまり遺産分割協議書の内容に同意したことを証明するためです。

なお、印鑑登録していない相続人がいる場合には、先に印鑑登録をしなければなりません。居住地の各市町村役場役所の窓口で登録する手続きを行いましょう。

印鑑証明書の取得方法

それぞれの相続人の住所地の市区町村役場で申請しましょう。
自治体によっては、マイナンバーカードを利用して、コンビニに設置されている証明書自動交付機で取得することができます。

遺言書(ある場合)

遺産分割協議書を作成する前に、まずは遺言書が残されているかどうか確認しましょう。

遺言書ですべての遺産の分け方が指定されている場合には、遺産分割協議によって遺産を分割する必要がありませんので、遺産分割協議書の作成は不要となります。

しかし、遺言書ですべての遺産についての分け方が指定されていたとしても、相続人全員の合意があれば、遺言書と異なる分け方とすることができます。また、遺言書で分け方が指定されていない遺産がある場合は、その遺産についての遺産分割協議が必要になります。

遺言書は、種類によって保管方法が異なりますので、以下を参考にしながら遺言書を探してみてください。

遺言書の種類・保管場所

  • 自筆遺言書(遺言者が直筆で作成する遺言のこと):自宅や貸金庫で保管されているか、法務局に預けられている。
  • 秘密遺言書(内容を秘密にしたまま存在だけを公証役場で証明してもらう遺言のこと):自宅や貸金庫などで本人が保管している。
  • 公正証書遺言書(遺言者の代わりに公証人が作成する遺言のこと):自宅や貸金庫などに「正本」が保管されている可能性がある。公証役場で検索すれば、謄本という写しを申請できる。

検認済み証明書(検認を受けた場合)

遺言書がある場合で、「公正証書遺言書」以外の遺言書の場合には、「検認」の手続きを行い、家庭裁判所で「検認済証明書」を発行してもらいましょう。

民法上、遺言が「公正証書遺言」以外の遺言の場合、すなわち、「自筆証書遺言」または「秘密証書遺言」である場合、遺言書を保管している人または遺言書を発見した人は、家庭裁判所に対して、「検認」の申し立てを行わなければなりません(民法第1004条)。

遺言書の検認とは、家庭裁判所に遺言書を提出し、相続人などの立会いのもとで、遺言書を開封し、遺言書の状態や内容を確認する手続きです。

家庭裁判所における検認手続きを経ずに遺言書の執行をした場合や開封した場合には、5万円以下の過料に処せられることになります(民法1005条)

「検認済証明書」があれば、「きちんと裁判所で検認を受けた遺言書」である事実を証明することができますので、家庭裁判所で発行してもらいましょう。

相続放棄申述受理証明書(相続放棄者がいる場合)

相続放棄した相続人がいる場合は、家庭裁判所に「相続放棄申述受理証明書」の交付申請をして取得しましょう。「相続放棄申述受理証明書」は、相続放棄をしたことを第三者に証明するための書類です。

相続放棄をするには、家庭裁判所に申述書を提出して、これが受理される必要があります。
相続放棄をした人は、そもそも相続人ではなかったことになりますので、遺産分割協議には参加しません。したがって、遺産分割協議書に署名する必要はありません。

相続放棄をした相続人がいる場合には、そのことを明確にするためにも「相続放棄申述受理証明書」を取得したほうが良いでしょう。なお、取得する場所は亡くなった人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所になります。

財産目録

財産目録とは、被相続人の財産の内容が一覧でわかるようにまとめたものです。財産目録の作成自体は義務ではありませんが、財産目録を作成し、どのような遺産があるのかまとめておくと、遺産分割協議を進めやすくなります。

したがって、遺産分割協議を始める前に、財産内容をまとめた財産目録を作成しておくことをおすすめします。

以上、遺産分割協議書に必要な書類の概要と取得方法について解説いたしました。

遺産分割協議書を使った相続手続きの必要書類一覧

相続手続きで遺産分割協議書を使用するケース

続いて、遺産分割協議書を使用して行う相続手続きの際に必要となる書類について解説いたします。
相続手続きには、「不動産の名義変更(相続登記)」、「金融機関での手続き」、「相続税申告」と、大きく分けて3つの手続きがあります。

これらの相続手続きにおいて遺産分割協議書が必要となるのは、遺産分割によって財産を取得した場合です。

相続手続きでは、遺産分割協議書さえあれば行えるわけではなく、遺産分割協議書とあわせて提出を求められる添付書類があります。
それぞれの手続きについて、遺産分割協議書と一緒に必要となる添付書類を、以下の一覧表にまとめました。

相続手続きの必要書類一覧

手続き場所

目的

必要書類

法務局

不動産を相続した場合に、不動産の名義変更(相続登記)をするための手続き

  • 被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本類
  • 被相続人の住民票の除票(または戸籍の附票)
  • 相続人全員の現在の戸籍謄本
  • 登記する不動産を取得する相続人の住民票
  • 対象不動産の固定資産評価証明書
  • 遺産分割協議書
  • 相続人全員分の印鑑登録証明書

金融機関

預貯金を相続した場合に、口座の名義変更や解約・払い戻しをするための手続き

  • 被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本類
  • すべての相続人の戸籍謄本または抄本
  • 遺産分割協議書
  • すべての相続人の印鑑登録証明書
  • 手続者の実印
  • 金融機関の書類(名称は銀行によって異なる)
  • 印鑑届(払い戻しの場合は不要)

税務署

相続税が発生する場合に相続税の申告をするための手続き

  • 被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本類
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 遺産分割協議書
  • 相続人全員の印鑑登録証明書

本記事では、上記に記載した3つの手続きのうち、「不動産の名義変更(相続登記)」と「金融機関での手続き」で必要となる書類について、以下で解説いたします。

法務局での相続登記の必要書類│遺産分割協議書を使う場合

相続登記で遺産分割協議書を使用するケース

相続によって不動産を取得した時に、必ず行っておきたい手続きの一つとして「相続登記」があります。相続登記とは亡くなった方(被相続人という)が所有していた不動産の名義を相続人の名義へと変更することをいいます。

相続登記には、主に「遺産分割協議による相続登記」「法定相続分による相続登記」「遺言による相続登記」の3つのケースがあります。

 

相続登記3パターンの流れ

 

このうち、遺産分割協議書を使うのは、「遺産分割協議による相続登記」を行う場合です。

相続登記は、2024年4月1日から義務化され、不動産を取得した相続人は、相続により所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければならないこととされました(改正不動産登記法 第76条の2)。正当な理由がないのに、不動産の相続を知ってから3年以内に相続登記の申請をしなかった場合、10万円以下の過料(金銭の納付を命じる罰則)の適用対象となります (改正不動産登記法 第164条)。

相続登記の必要書類一覧│遺産分割協議書を使う場合

遺産分割協議を行い、協議の結果にもとづいて登記をする場合、基本的に以下の書類が必要となります。

  1. 被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本類
  2. 被相続人の住民票の除票(または戸籍の附票)
  3. 相続人全員の現在の戸籍謄本
  4. 登記する不動産を取得する相続人の住民票:登記する不動産を取得する相続人の住所地の市区町村役場で取得。
  5. 対象不動産の固定資産評価証明書:不動産所在地の市区町村役場で取得。
  6. 遺産分割協議書
  7. 相続人全員分の印鑑登録証明書:各相続人の住所地の市区町村役場で取得。

以下では、それぞれの必要書類の概要や入手方法などを見ていきましょう。

1.被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本類

被相続人の死亡の事実の確認、また、相続人の特定をするために、被相続人の死亡時の戸籍謄本だけでなく、出生から死亡までの連続した戸籍謄本類が必要となります。

被相続人の戸籍謄本は、まず最初に、被相続人の最後の本籍地の市区町村役場で取得しましょう。
転籍している場合は、転籍前の本籍地の市区町村役場にも戸籍謄本を請求します。

2.被相続人の住民票の除票(または戸籍の附票)

被相続人の住民票の除票(または戸籍の附票)は、被相続人の「亡くなった時点の住所」と「登記記録に記載された住所」が一致しているか照らし合わせ、同一人物であるかを判断するために必要となります。

被相続人の住民票の除票は、被相続人の最後の住所地の市区町村役場で取得することができます。
被相続人の戸籍の附票は、被相続人の本籍地がある市区町村役場で取得しましょう。

3.相続人全員の現在の戸籍謄本

相続人全員の現在の戸籍謄本は、被相続人が亡くなった時点において、相続人が確かに存在(存命)しており、相続人となることを確認するために必要となります。

各相続人の本籍地がある市区町村役場で取得しましょう。

4.登記する不動産を取得する相続人の住民票

登記する不動産を取得する相続人の住所地の市区町村役場で取得。

5.対象不動産の固定資産評価証明書

相続登記を申請する際には、登録免許税という税金を法務局に納める必要があります。この登録免許税の算出の根拠となる不動産価格が記載された書面のことを「固定資産評価証明書」といいます。

固定資産税評価証明書は、不動産所在地の市区町村役場で取得することができます。

6.遺産分割協議書

遺産分割協議により遺産の分割方法を決めた場合には、その内容を証明するために「遺産分割協議書」を作成し、相続人全員がこれに実印で押印したものを法務局に提出する必要があります。

7.相続人全員分の印鑑登録証明書

相続人全員分の印鑑登録証明書は、遺産分割協議書に捺印された印鑑が実印であるかどうかを確認するために必要となります。
印鑑登録証明書は、各相続人の住所地の市区町村役場で取得しましょう。

以上が、遺産分割協議によって相続する場合に、相続登記で必要となる書類です。

なお、遺産分割協議による相続ではなく、法定相続分による相続や、遺言による相続の場合には、ケースに応じて申請に必要な書類も異なります。

相続登記の必要書類について詳しくは、以下の記事を参考にしてください。

また法務局ホームページ「相続による所有権の登記の申請に必要な書類とその入手先等」において、必要書類の一覧表が掲載されています。あわせてご覧ください。

金融機関での相続手続きの必要書類│遺産分割協議書を使う場合

金融機関での相続手続きで遺産分割協議書を使用するケース

銀行などの金融機関で、被相続人の口座を解約して預金の払い戻しをすることを、一般的に相続手続きといいます。

金融機関の相続手続きにおいて、遺産分割協議書を添付書類として使用するのは、遺産分割協議を行ったことより、法定相続分と異なる相続割合で財産を取得した場合です。

金融機関での相続手続きの必要書類│遺産分割協議書を使う場合

遺産分割協議を行い、協議の結果にもとづいて、金融機関で相続手続きをするためには、以下のような書類が必要となります。

なお、必要書類は金融機関によって異なる可能性があります。

  1. 被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本類
  2. すべての相続人の戸籍謄本または抄本
  3. 遺産分割協議書
  4. すべての相続人の印鑑登録証明書
  5. 手続者の実印
  6. 金融機関の書類(名称は銀行によって異なる)
  7. 印鑑届(払い戻しの場合は不要)

以下では、それぞれの必要書類の概要や入手方法などを見ていきましょう。

1.被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本類

被相続人の死亡の事実の確認、また、相続人の特定をするために、被相続人の死亡時の戸籍謄本だけでなく、出生から死亡までの連続した戸籍謄本類が必要となります。

被相続人の戸籍謄本は、被相続人の本籍地の市区町村役場で取得します。

2.すべての相続人の戸籍謄本または抄本

相続人の確認をするために、すべての相続人の戸籍謄本または抄本が必要となります。
各相続人の本籍地がある市区町村役場で取得しましょう。

なお、被相続人の戸籍謄本等で被相続人との関係が確認できる場合には、不要となることもありますので、詳細は、お取引金融機関に問い合わせてみましょう。

3.遺産分割協議書

遺産分割協議により遺産の分割方法を決めた場合には、その内容を証明するために「遺産分割協議書」を作成し、相続人全員がこれに実印で押印したものが必要となります。

4.すべての相続人の印鑑登録証明書

相続人全員分の印鑑登録証明書は、遺産分割協議書に捺印された印鑑が実印であるかどうかを金融機関が確認するために必要となります。

5.手続者の実印

銀行の預金等の相続手続をされる方(取得される方)の実印が必要となります。

6.金融機関の書類(名称は銀行によって異なる)

取引先の銀行で用紙を入手し、必要事項を記載します。

7.印鑑届(払い戻しの場合は不要)

銀行の預金等を「名義変更」で相続する場合は、「印鑑届」が必要です。銀行で用紙を入手し、必要事項を記載します。

なお、払い戻しの場合には、「印鑑届」は不要となります。
以上が、遺産分割協議によって取得した預貯金の相続手続きで必要となる書類です。

遺産分割協議書の必要書類に関するQA

下記では、遺産分割協議書の必要書類に関してよくある質問について、回答いたします。

Q.遺産分割協議書作成時の必要書類は何ですか?

遺産分割協議書の作成に必要となる主な書類の一覧は、以下のとおりです。

  • 被相続人が出生してから亡くなるまでの戸籍謄本類
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 被相続人の住民票除票(または戸籍附票)
  • 相続人全員の印鑑登録証明書(相続放棄者を除く)
  • 遺言書(ある場合)
  • 検認済み証明書(検認を受けた場合)
  • 相続放棄受理証明書
  • 財産目録

Q.遺産分割協議書を使う場合、相続登記における必要書類は何ですか?

遺産分割協議を行い、協議の結果にもとづいて登記をする場合、基本的に以下の書類が必要となります。

  • 被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本類
  • 被相続人の住民票の除票(または戸籍の附票)
  • 相続人全員の現在の戸籍謄本
  • 登記する不動産を取得する相続人の住民票:登記する不動産を取得する相続人の住所地の市区町村役場で取得。
  • 対象不動産の固定資産評価証明書:不動産所在地の市区町村役場で取得。
  • 遺産分割協議書
  • 相続人全員分の印鑑登録証明書:各相続人の住所地の市区町村役場で取得。

Q.遺産分割協議書を使う場合、金融機関での相続手続きにおける必要書類は何ですか?

遺産分割協議を行い、協議の結果にもとづいて金融機関で相続手続きをするためには、以下のような書類が必要となります。
なお、必要書類は金融機関によって異なる可能性があります。

  • 被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本類
  • すべての相続人の戸籍謄本または抄本
  • 遺産分割協議書
  • すべての相続人の印鑑登録証明書
  • 手続者の実印
  • 金融機関の書類(名称は銀行によって異なる)
  • 印鑑届(払い戻しの場合は不要)

まとめ

本記事では、遺産分割協議書を作成する際の必要書類、また、遺産分割協議書を使用して相続手続きを行う際の必要書類について解説いたしました。

遺産分割協議書の作成時には、正確に遺産を分割できるように、多くの書類が必要となります。遺産分割協議書の作成に不備があると、相続登記や預貯金の払い戻しなどの相続手続きが行えなくなってしまうリスクも発生します。

遺産分割協議書の必要書類の収集は、多大な手間がかかる作業ですので、ご自身での対応がむつかしい場合には、専門家への依頼をご検討されることをおすすめします。

遺産分割協議書の作成や必要書類、相続人の調査などにおいて不明な点がある場合は、相続問題の解決が得意な弁護士へ一度ご相談ください。

弁護士に依頼すれば、必要書類の収集から遺産分割協議書の作成まで、正確かつ迅速に手続きを進めることが可能です。

この記事を書いた人

弁護士法人あおい法律事務所
代表弁護士

雫田 雄太

略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。3,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。

家庭の法律問題は、なかなか人には相談できずに、気付くと一人で抱え込んでしまうものです。当事務所は、家庭の法律問題に特化した事務所であり、高い専門的知見を活かしながら、皆様のお悩みに寄り添い、お悩みの解決をお手伝いできます。ぜひ、お一人でお悩みになる前に、当事務所へご相談ください。必ずお力になります。