遺産分割調停中にやってはいけないこと|嘘ばかりや欠席はNG!

遺産分割において、相続人間での話し合いでは解決しない場合に活用されるのが、家庭裁判所での「遺産分割調停」の手続きです。遺産分割調停では、中立的な立場の調停委員が相続人間の話し合いに関与し、当事者が合意することによって調停成立となります。
遺産分割調停では、相続人は調停委員に自身の意見を伝えることになります。この際に、少しでも自分を有利に見せようとしてしまうことがあるかもしれません。ですが、そうした言動はかえって不利な立場になりかねないため、「遺産分割調停中にやってはいけないこと」を確認しておくことが重要です。
そこでこの記事では、「遺産分割調停中にやってはいけないこと」について、弁護士が解説させていただきます。遺産分割調停の期日における言動から、出頭・不出頭に関して、全般的にご説明いたします。
遺産分割調停をスムーズかつ有利に進めていくために、本記事が少しでもご参考となりましたら幸いです。
目次
遺産分割調停中にやってはいけないこと
それではさっそく、「遺産分割調停中にやってはいけないこと」について確認していきましょう。
1.噓をつく
遺産分割調停中に嘘をつくことは、絶対にやめましょう。
自身に不都合な事実がある・少しでも有利に見せたいからといって、事実と異なるような嘘をついてはいけません。自身が出した別の主張や相手方の主張、証拠などによって嘘が発覚した場合、調停員や裁判官からの信用を失うことになります。また、嘘ではない他の主張までもが疑われることになり、結果として自身の立場を弱めることになりかねません。
仮に発言した場で嘘が露呈しなかったとしても、後々他の発言との矛盾が生じる可能性もあります。
調停委員は、提出される証拠や話し合いの内容を基に中立的で公正な判断を下します。不利な情報であっても隠さず、正直に伝えることで、調停委員の信頼を得ることができ、より良い解決につながることが期待できます。
2.遺産分割調停を欠席する
遺産分割調停を欠席するのは避けましょう。
遺産分割の対象となる財産や不動産の評価額、分配方法など、さまざまな話し合いが必要なので、遺産分割調停は長期化することが多いです。調停期日は平日の昼間に行われますから、当事者は仕事や家事・育児を調整して調停に臨まなければなりません。そのため、どうしても休めない仕事が入ってしまった、子どもを預けておけない、といったこともあるかと思います。
しかし、調停期日に欠席すると、調停委員に自身の主張を直接伝えることができないため、不利な結果になってしまう恐れがあります。特に、特別受益や寄与分について主張したい場合などには、調停委員に直接伝えなければ認められない可能性が高くなります。
遺産分割調停の欠席が続くと遺産分割審判に移行することになります。調停ではあくまでも双方が合意すれば成立となるため、法定相続分以外の割合による遺産分割も可能ですが、審判では法律に基づいて裁判所が厳格に審判を下すことになるため、納得いかない結果となってしまうこともあります。そのため、できる限り遺産分割調停に出頭し、適切な主張で早期の調停成立を目指すことが望ましいのです。
しかし、仕事等で調停期日にどうしても欠席せざるを得ない場合などもあるかと思います。やむを得ない場合の対応については、本記事で後述しておりますのでぜひこのままご覧ください。
3.遅刻や無断欠席をする
遺産分割調停を正当な理由なく無断で欠席した場合、5万円以下の過料に処される可能性があります(家事事件手続法第51条3項、同法第258条1項)。
(事件の関係人の呼出し)
家事事件手続法第51条 家庭裁判所は、家事審判の手続の期日に事件の関係人を呼び出すことができる。
2 呼出しを受けた事件の関係人は、家事審判の手続の期日に出頭しなければならない。ただし、やむを得ない事由があるときは、代理人を出頭させることができる。
3 前項の事件の関係人が正当な理由なく出頭しないときは、家庭裁判所は、五万円以下の過料に処する。(家事審判の手続の規定の準用等)
家事事件手続法第258条1項 第四十一条から第四十三条までの規定は家事調停の手続における参加及び排除について、第四十四条の規定は家事調停の手続における受継について、第五十一条から第五十五条までの規定は家事調停の手続の期日について、第五十六条から第六十二条まで及び第六十四条の規定は家事調停の手続における事実の調査及び証拠調べについて、第六十五条の規定は家事調停の手続における子の意思の把握等について、第七十三条、第七十四条、第七十六条(第一項ただし書を除く。)、第七十七条及び第七十九条の規定は家事調停に関する審判について、第八十一条の規定は家事調停に関する審判以外の裁判について準用する。
ほかにも、遺産分割調停が不成立となり審判へ移行した場合に、欠席により主張や証拠がないことを理由として、申立てが却下されるなどの不利益を被る恐れがあります。
実際に、裁判所からの数度の呼出しに出頭せず、調査官の調査にも応じなかった当事者の申立てについて、遅延の責任が当事者にあるとして却下した裁判例があります(広島高等裁判所岡山支部平成12年11月29日判決)。
この事例は、遺産分割及び寄与分を定める審判に対する即時抗告審です。原審の審判手続における調査官の調査に応じず、審問のための数度の呼出しにも出頭しなかった抗告人から、寄与分を定める審判の申立てがなされました。裁判所は、「家事審判規則103条の4第3項によれば、遺産分割の審判手続において、家庭裁判所は、当事者の寄与分を定める審判の申立てをすべき期間を定めなかった場合においても、遺産分割の審理を著しく遅延させると認められ、かつ申立てが遅滞したことにつき申立人の責めに帰すべき事由があるときは、当該寄与分を定める審判の申立てを却下することができる。」と述べた上で、原審で行われた遺産分割調停における以下の事実を検討しました。
- 抗告人は第1回期日に出頭したが、遺産は共有のままにしたいとして調停申立ての取下を要求し、その後の調停期日には出頭しなかったため、調停は不成立となり審判に移行したこと。
- 審判手続において、家庭裁判所調査官が家事審判官の調査命令を受けて調査にあたったが、抗告人は家庭裁判所調査官の調査のための呼出に応じず、抗告人の自宅まで出向いて調査する旨の家庭裁判所調査官の申し出も拒否したこと。
- 抗告人と家庭裁判所調査官との間で電話連絡が数回なされ、その際、抗告人は、家業である農業に寄与したと述べることはあったが、相手方らが本件申立てを取り下げることを要求し、抗告人は本件手続には協力しないとの主張を繰り返すのみであったこと。
- その後、原裁判所は抗告人に対して審問のための呼出を数回行ったが、抗告人は出頭しなかったため、抗告人の寄与分については、原審において調査がされていないこと。
そして、「以上によれば、抗告人の当審における寄与分を定める審判の申立てが遺産分割の審理を著しく遅延させることは明らかであり、また、抗告人は、原審の審判手続において家庭裁判所調査官の調査にも応じず、審問のための数度の呼出にも出頭しなかったものであり、これらに照らすと、抗告人が寄与分を定める審判の申立てを遅滞したことは抗告人の責めに帰す事由によるものと認めるのが相当である。」として、抗告人の申立てを却下しました。
(広島高等裁判所岡山支部平成12年11月29日判決)
また、無断欠席だけでなく、遅刻も調停委員や裁判官からの心証はよくありません。仮に電車の遅延で送れる場合は、指定された時間までに裁判所に電話で連絡し、駅で遅延証明書を交付してもらい、「遅刻に正当な理由があったこと」を証明できるようにしておきましょう。
4.感情的に主張する
遺産分割調停では、相続人同士の立場の違いから感情的な対立が生じがちです。しかし、言い争いになりがちな問題であるからこそ、冷静に話し合わなければなりません。
感情的な振る舞いや、不合理な主張で相手を怒鳴りつけるなどといった言動をすると、調停委員や裁判官からの心証は悪くなるばかりか、「これ以上は調停で話し合うことはできない。」と判断されてしまいかねません。そうすると調停不成立となり、審判に移行することになります。調停よりも自身の主張が認められない恐れがありますし、調停と審判と手続きが続くことで、手間や費用、時間を割かなければならず、精神的負担も増すでしょう。
たとえ相手方がヒートアップしても自身は冷静さを保るようにし、落ち着いて対応するようにしましょう。
5.調停委員に不誠実な対応をする
調停委員はどの当事者に対しても公正中立な立場にありますが、だからといって不誠実な対応が許されるわけではありません。調停委員はどちらかに肩入れすることはありませんが、調停委員を味方にする気持ちで丁寧に接することで、信頼関係を構築していくことが重要なのです。
不誠実な対応を繰り返すことで、「この相続人の発言は信じられない、信用に値しない」といった印象を与えてしまうのは、本人にとってもよい結果となりません。
社会人としての適切な身だしなみを整え、調停委員に対して礼儀正しく、誠実な態度で接することが大切です。。
6.法律や判例に反する不合理な主張を繰り返す
「自分は長男なのだから、遺産を一番多くもらうべきだ。」や、「他家に嫁いで実家を出た人間に親の財産を相続する権利はない。」などといった、法的根拠を欠く主張を繰り返して、話し合いを停滞させる行為も厳禁です。
こうした場合、調停委員が「長男だからといって法定相続分が多くなるものではない。」、「他家に嫁いでも法的親子関係はあるので相続権はある。」と正しく説明し、法律や判例に基づいた合理的な話し合いを進めます。
ですが、それでもなお不合理な主張を繰り返すと、調停委員や裁判官からの心証は悪くなってしまいます。話し合いが停滞してしまうことで、遺産分割調停が長期化してしまいかねません。
7.遺産分割調停で勝つために
「遺産分割調停で勝つ」とは、自身の望む方向で調停が合意に至ることを意味します。調停では、相続人間で意見が分かれ、それぞれの主張が対立するため、双方の一方が何らかの形で譲ることになります。なるべく自身の希望が通り、妥協や譲歩が最小限で済むように、以下のポイントに注意して対応することが重要です。
7-1.法律の専門家である弁護士に依頼する
弁護士は、相続に関する法律の専門家です。豊富な知識と経験から、相続人にとって最適な解決策を検討し、有利な結果を得られるようサポートします。主張を整理し、それを裏付ける証拠の収集や作成も行うため、自身で対応するよりもスムーズに手続きを進めることが期待できるでしょう。弁護士が遺産分割調停で代理人として出席することで、感情的になりがちな相続の話し合いも、客観的かつ冷静に進めることが可能となります。弁護士費用等は必要ですが、時間と労力を大幅に抑えることができ、精神的負担も軽減できるでしょう。
7-2.自分の主張を整理しておく
遺産分割調停は裁判所で行われるため、緊張から話す内容を忘れてしまったり、うまく伝えられなかったりすることも珍しくありません。そのため、事前に話す内容を整理してメモに書いておくことで、論理的に話すことができ、漏れなく正確に意見を主張できるでしょう。
メモ書きには、「自分が希望する遺産分割方法、主張を裏付ける証拠、相手方の主張への反論」を盛り込みます。下記のポイントを参考にしながら、自分の主張を整理しておきましょう。
- 民法や相続法などの条文、判例を引用するなどして法律に基づいた主張をする
- 客観的に証明できる事柄と個人の意見や主張は明確に分けておく
- 出来事や主張は時系列順に説明して、話の流れを分かりやすくする
- 出来るだけ個人的な感情や主観は排除して、客観的な証拠で裏付けられる事実を中心に述べる
- 金額や期間など具体的な数字を用いることで、主張をより説得力のあるものにする
これらのポイントを意識することで、調停委員に自分の主張を効果的に伝え、希望通りの結果を得られる可能性が高くなります。
7-3.適切な証拠を提示する
ただ主張するだけでは説得力に欠けるため、主張を裏付ける証拠を提示することが重要です。例としては以下のような主張と証拠が考えられます。
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遺産の使い込みを主張する場合
- 預金通帳の取引履歴:不自然な出金や振込を確認できる
- 残高証明書:使い込みによって残高が減少していることを証明できる
- 預貯金の振込伝票:誰に、どのような目的で振り込んだのかを確認できる
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寄与分を主張する場合
- 要介護認定通知書:被相続人の介護度を確認できる
- 要介護の認定資料:介護が必要になった経緯を確認できる
- 介護サービス利用表:実際にどのような介護サービスを利用していたのかを確認できる
- 診断書やカルテ:被相続人の病状を確認できる
- 医療・介護機関の領収書:医療費用や介護費用を支払っていたことを証明できる
- 介護の記録:介護の内容や時間を記録したもの
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特別受益を主張する場合
- 預金通帳の取引履歴:被相続人から現金を受け取ったことを証明できる
- クレジットカードの明細:被相続人の生活費を負担していたことを証明できる
- 登記簿謄本(全部事項証明書):被相続人から不動産の名義を移転されたことを証明できる
- 学費の領収書:学費を支払っていたことを証明できる
遺産分割調停を欠席する場合
1.遺産分割調停を欠席するとどうなる?
1-1.遺産分割調停の呼び出しを無視したらどうなる?
遺産分割調停で裁判所から出頭を求められた場合、当事者は原則として期日に出頭しなければなりません(家事事件手続法第51条2項)。
(事件の関係人の呼出し)
家事事件手続法第51条2項 呼出しを受けた事件の関係人は、家事審判の手続の期日に出頭しなければならない。ただし、やむを得ない事由があるときは、代理人を出頭させることができる。
これを無視して欠席すると、前述のとおり5万円以下の過料に処される可能性があります(家事事件手続法第51条、同法第258条1項)。しかしながら、実務上はこのような罰則が適用されることはほとんどなく、遺産分割調停における欠席に対して罰則が科されることはまれです。なぜなら、遺産分割調停はあくまでも話し合いによる解決を目指すもので、話し合いを強制するものではないからです。
ただし、家事事件手続法第51条2項に「やむを得ない事由があるときは、代理人を出頭させることができる。」とあるように、正当な理由がある場合には欠席が認められます。正当な理由の具体例としては、「相続人本人の病気、緊急かつ不可避な業務、天災、電車やバスといった公共交通機関の運行状況」が挙げられます。こうした場合、病気であれば疎明資料(診断書の提出等)が必要ですし、業務の場合は単なる多忙や出張では認められず、「客観的にみて出頭が著しく困難であり、かつ社会通念上やむを得ないと認められる具体的な事情がある」場合に認められると考えられています。
実際の裁判例では、① 公務員が緊急かつやむを得ない業務または出張のために期日に出頭できないときは、不出頭について「正当な事由」があるというべきである、と判示されたケース(札幌高等裁判所昭和33年4月10日決定)や、② 当事者がその経営する会社の取引上の要務のため、あらかじめ電話で調停委員の了解を得て調停期日に出頭しなかったときは、不出頭につき正当の事由がある、とされたケース(大阪高等裁判所昭和35年8月22日決定)が見受けられます。
なお、①のケースでは以上のように判示しながらも、事実関係を考慮した結果、「正当の事由なくして出頭しなかったもの」という結論が下されています。
欠席者がいる場合でも、調停の期日は行われます。そのため、やむを得ず出頭できない場合を除いて、可能な限り期日には出頭し、不利な立場とならないように主張立証を尽くすことが重要です。
1-2.欠席が続くと審判に移行する
なお、当事者の欠席が続くと、「これ以上の話し合いによる解決は困難」と判断され、遺産分割審判へと移行します(家事手続法第272条)。
(調停の不成立の場合の事件の終了)
家事手続法第272条 調停委員会は、当事者間に合意(第二百七十七条第一項第一号の合意を含む。)が成立する見込みがない場合又は成立した合意が相当でないと認める場合には、調停が成立しないものとして、家事調停事件を終了させることができる。ただし、家庭裁判所が第二百八十四条第一項の規定による調停に代わる審判をしたときは、この限りでない。
2 前項の規定により家事調停事件が終了したときは、家庭裁判所は、当事者に対し、その旨を通知しなければならない。
3 当事者が前項の規定による通知を受けた日から二週間以内に家事調停の申立てがあった事件について訴えを提起したときは、家事調停の申立ての時に、その訴えの提起があったものとみなす。
4 第一項の規定により別表第二に掲げる事項についての調停事件が終了した場合には、家事調停の申立ての時に、当該事項についての家事審判の申立てがあったものとみなす。
遺産分割の審判においては、調停のように当事者の意思は尊重されず、裁判所は民法第906条を基準とした法定相続分による分割を行うため、相続人全員が納得できる結果が得られるとは限りません。
(遺産の分割の基準)
民法第906条 遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする。
ですので、法定相続分に縛られない柔軟な解決ができる遺産分割調停には積極的に参加し、納得のいく結果を得られる機会を逃さないようにしましょう。
2.遺産分割調停を欠席せざるを得ない場合
やむを得ない事情により、遺産分割調停を欠席せざるを得ない場合もあるかと思います。そうした場合は、以下の対応を検討してください。
2-1.期日を変更してもらう
遺産分割調停の期日は通常、平日の日中に行われるため、どうしても出席できないときには裁判所に期日の変更を申し立てましょう。
ただし、裁判所は調停委員のスケジュールや調停室の利用状況などを考慮して期日を設定しているため、期日変更が必ずしも認められるわけではありません。原則として、「顕著な事由」がある場合に限り認められます(家事事件手続法第34条)。
(期日及び期間)
家事事件手続法第34条 家事事件の手続の期日は、職権で、裁判長が指定する。
2 家事事件の手続の期日は、やむを得ない場合に限り、日曜日その他の一般の休日に指定することができる。
3 家事事件の手続の期日の変更は、顕著な事由がある場合に限り、することができる。
4 民事訴訟法第九十四条から第九十七条までの規定は、家事事件の手続の期日及び期間について準用する。
そのため、申し立てをしても期日変更が認められない場合もあります。その場合でも、次回期日に出席できるよう、希望する日程を裁判所に伝えて調整を依頼するようにしましょう。
遺産を相続する意思がない場合には、相続放棄や相続分の放棄・譲渡を検討することも1つの選択肢です。相続放棄をすると遺産分割の開始時点から相続人ではなかったことになりますので、遺産分割調停からもはずれることになります。遺産分割調停に出席することが難しく、遺産を相続する意思もない場合には検討してみてはいかがでしょうか。
2-2.代理人として弁護士を立てる
弁護士に依頼することで、遺産分割調停に代理人として出席してもらえます。
弁護士は依頼者の利益を最大限に守り、依頼者にとって有利になるよう遺産分割調停に対応するため、自分自身で参加するよりも、より良い結果を期待することができます。特に、他の相続人が弁護士を代理人として立てている場合は、不利益な結果になるのを防ぐよう、自身も弁護士を立てることを検討しましょう。
2-3.電話会議システムやテレビ会議システム、ウェブ会議システムを利用する
遠方に住んでいる、身体的な理由で移動が困難、極めて忙しいために遺産分割調停に出席できない、といった場合には、電話会議システムやテレビ会議システム、ウェブ会議システムを利用できることがあります(家事事件手続法第54条1項、同法第258条1項)。
(音声の送受信による通話の方法による手続)
家事事件手続法第54条 家庭裁判所は、当事者が遠隔の地に居住しているときその他相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、最高裁判所規則で定めるところにより、家庭裁判所及び当事者双方が音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、家事審判の手続の期日における手続(証拠調べを除く。)を行うことができる。
2 家事審判の手続の期日に出頭しないで前項の手続に関与した者は、その期日に出頭したものとみなす。
電話会議システムは、裁判所と当事者双方が音声の送受信により同時に通話する方法です。
テレビ会議システムは、映像と音声の両方を用いる方法です。この場合は、テレビ会議システムが設置された最寄りの裁判所から参加する必要があります。
ウェブ会議システムは、裁判手続のIT化の一環として導入された比較的新しい方法です。映像と音声を用いる点においてテレビ会議システムと似ていますが、ウェブ会議システムは最寄りの裁判所まで出向く必要はありません。相続人本人の自宅や、遺産分割調停を依頼している弁護士の事務所等から参加することが想定されています。
ただし、電話会議システムやテレビ会議システム、ウェブ会議システムを利用するためには、事前に裁判所の承認が必要です。なるべく早期に裁判所にその旨を伝え、必要な手続きを行うようにしましょう。
【Q&A】遺産分割調停中にやってはいけないこと
Q1.遺産分割調停中にやってはいけないことを教えてください。
A:.遺産分割調停中にやってはいけないこととして、主に「噓をつく」「遺産分割調停を欠席・遅刻する」「感情的な主張を繰り返す」「調停委員に不誠実な対応をする」といったことが挙げられます。
Q2.遺産分割調停中に嘘をつくことのリスクは何ですか?
A: 遺産分割調停中に嘘をつくと、調停委員や他の相続人からの心証が悪化し、信頼関係を構築できず、他の主張についても「嘘ではないか」と疑われかねません。嘘が発覚した場合は、調停が不利な方向に進む可能性が高く、最終的には不利な結果につながる恐れがあります。調停において当事者間での信頼関係を構築することは非常に重要です。
Q3.遺産分割調停を欠席する場合、どのような対応を取るべきですか?
A: 遺産分割調停をやむを得ず欠席する場合は、可能な限り早期に裁判所にその旨を通知し、欠席の理由を説明して期日を変更してもらうよう、期日変更の申立てをしましょう。また、可能であれば代理人を立てるか、電話会議システムやテレビ会議システム、ウェブ会議システムの利用を申し出ることで、なるべく調停期日に参加するようにしましょう。欠席を繰り返すと「これ以上話し合うことはできない」と遺産分割の審判に移行することになり、不利な結果になってしまう可能性があるため、適切な手続きを踏み、期日調整や遠隔での参加等の代替手段を講じることが重要です。
まとめ
この記事では、遺産分割調停中にやってはいけないことについて、弁護士が詳しく解説させていただきました。中には、新鮮なものではなく、「当たり前だ」と感じることもあったかもしれません。
ですが、実際に遺産分割調停の場になってみると、日頃は冷静な人でも感情的になりやすく、ついついやってはいけないことをしてしまうことがあります。そのため、遺産分割調停中にやってはいけないことを、あらためて確認しておくことが重要です。
また、遺産分割調停をやむを得ず欠席する場合は、不利な立場にならないよう、適切に対応しましょう。
遺産分割調停での主張や進め方、交渉にお困りの方は、ぜひ一度、弁護士法人あおい法律事務所にご相談ください。弁護士法人あおい法律事務所では、弁護士による法律相談を初回相談料無料で行っております。法律相談は事務所にお越しいただいての対面によるご相談だけでなく、お電話によるご相談もお受けしております。ご自宅にいながら、リラックスしてご相談いただけますので、お気軽にご利用いただければと思います。
この記事を書いた人
略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。3,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。
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