建物評価額│建物の相続税評価額=固定資産税評価額?目安は?弁護士が解説

実家やマンションを相続する際や、相続した家を売却したい時に、「建物の価値」は気になるところです。建物は土地と違い、単純な時間の経過によってもその価格が変動するため、特に分かりづらいかと思います。実際、「購入したときの金額で今も売れると考えていいのか?」「今の状態だとどのくらいの価値になるのか」と悩む方も少なくありません。
建物の評価額がいくらになるか、というのは相続税や贈与税の金額を算定する際にもポイントとなりますので、適正な金額を知るために、建物評価額について正しく理解しておくことが重要です。
そこで本記事では、相続税の計算で重要な「建物評価額」について、弁護士が詳しく解説させていただきます。建物評価額の基本的な考え方から、実際に建物評価額を算定する方法などを、わかりやすくご説明いたします。
建物の価格にはさまざまな個別の事情が影響するため、複雑なケースも多いです。本記事が、少しでもご参考となりましたら幸いです。
目次
建物評価額
1.建物評価額とは
1-1.遺産相続における建物評価額
建物評価額とは、建物の価値を表す価格のことです。建物評価額といっても、1つの物件についての建物評価額が1つとは限りません。建物評価額には、公的な課税基準となる固定資産税評価額や、相続税等の算定に用いる相続税評価額、実際の市場取引の目安となる実勢価格(時価)など、複数の種類の評価額があります。
遺産相続においては、相続人間で公平な遺産分割を実現するため、相続した家屋の適切な時価を把握することが重要になってきます。また、遺産分割や家屋の売却をした後には相続税の申告が必要です。相続税申告の際に基準にされる建物評価額は、市場取引における売値や買値といった時価とは異なるため、そうした違いにも気を付けなくてはなりません。
なお、不動産の価値は「土地評価額 + 建物評価額」から成りますが、本記事では特に「建物評価額」についてご説明していきたいと思います。土地評価額については、別途こちらの関連記事をご覧ください。
1-2.実勢価格(売却相場)の目安になる
建物評価額の1つである「実勢価格」とは、実際の不動産の売買市場において、売り手と買い手の希望が一致して成立した成約価格のことです。「時価」とも呼ばれ、市場において形成される、その家屋の客観的な市場価値を反映しています。
実家などの建物を代償相続する場合や、相続して売却する場合には、実際に市場で取引される売値・買値が肝となります。そのため、現実の不動産取引において適切な取引価格の参考とするために、実勢価格を把握することが重要です。
1-3.相続税の計算の基礎になる
建物評価額は、不動産取引だけでなく、相続税の課税価格を計算する上でも重要な基準となります。相続税法第22条は、相続財産の評価額について「取得の時における時価」と定めていますので、建物についても「時価」を算定して課税価格に算入します。
(評価の原則)
相続税法第22条 この章で特別の定めのあるものを除くほか、相続、遺贈又は贈与により取得した財産の価額は、当該財産の取得の時における時価により、当該財産の価額から控除すべき債務の金額は、その時の現況による。
ただし、時価といっても、相続税の計算の際に用いられる「時価」は実勢価格ではありません。
財産評価基本通達は、「時価とは、課税時期において、それぞれの財産の現況に応じ、不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額」をいうとしています(財産評価基本通達1(2))。
参考:財産評価基本通達(国税庁)
定義上、時価は「実勢価格」ですが、相続実務では膨大な件数を迅速かつ公平に処理する必要があるため、建物については実勢価格ではなく、固定資産税評価額を基準に処理されているのです。そのため、多くの場合、相続税上の時価は実際の売却相場である実勢価格よりも低くなる傾向があります。
相続税の計算の基準にどの評価額が用いられるかによって、課税金額も変動します。建物評価額について正しく理解しておくことが、相続税制上も非常に大切なのです。
建物の相続税評価額
1.建物の相続税評価額は「=固定資産税評価額」
それでは、相続税を計算する際の建物評価額、「相続税評価額」について解説していきたいと思います。
相続税評価額とは、相続税や贈与税を申告・納税するときに基準となる評価額のことです。全ての相続財産の相続税評価額を算出して合算し、最終的な相続税の課税額を算定することになります。
そのため、不動産(家 + 土地)を遺産相続した場合は、家と土地それぞれの相続税評価額を計算してから、その合計額で課税額を算出します。
さて、建物の相続税評価額は、その建物の種類(住居・店舗・事務所等)によらず、「固定資産税評価額」と同額とされています。計算式にすると、次のようになります。
つまり、固定資産税納税通知書に記載されている固定資産税評価額が、建物に関してはそのまま相続税評価額となるのが一般的です。なぜ「建物の相続税評価額 = 固定資産税評価額」かといいますと、固定資産税評価額の算定方式に、客観的合理性があるとされているからです。
固定資産税評価額は、対象の建物を現在の物価水準で再建築した場合の費用(再調達原価)を求め、そこから経年劣化分を控除する「再建築価格方式」で評価されます。この再建築価格方式は、あらかじめ定められた資材・部品ごとの価格指標に基づき算出されたものなので、個別・主観的事情に左右されにくく、客観的で合理的な手法だと考えられています。
また、この「建物の相続税評価額 = 固定資産税評価額」の合理性については、判例も以下のとおり是認しています。1つ裁判例をご紹介しましょう。
税務署長が原告に対してした、相続税についてした更正処分の一部について、取消しを求めた裁判例です。原告側は、「本件各更正処分等には、本件各不動産の価額について時価を超える評価をした違法がある」等の主張をしました。複数ある争点の中で、「評価通達の定める家屋の評価方式」について、裁判所は次のように述べています。
固定資産評価基準は、固定資産税の課税基準に係る適正な時価を定めるために総務大臣が定めたものであり、固定資産評価基準の定める家屋の評価方式は、家屋の価格の構成要素として基本的である再建築価格を基準として、経過年数や家屋の損耗の程度、需給事情等といった個別的な事情を踏まえて家屋の価額を算出するものであることからすると、家屋の客観的な交換価値を算出する評価方式として一般的な合理性を有するものであるということができ、固定資産評価基準により算出された価額を基にして家屋の評価を行う評価通達の定めも、家屋の客観的な交換価値を算出する方法として一般的な合理性を有するものであるということができる。
その上で、「評価通達の定める宅地及び家屋の評価方式が一般的に合理性を有するものであることからすると、評価通達の定める評価方式によって算定された本件各不動産の価額は、いずれも相続税法22条の「時価」と推認される。」とし、本件各更正処分等はいずれも適法であるとし、原告の請求を棄却しました。
(札幌地方裁判所平成31年3月8日判決・要旨)
このとおり、基本的に建物の相続税評価額は固定資産税評価額と同額ですが、所有している家屋を賃貸している場合は、「借家権割合」が考慮されることになります。
借家権割合とは、相続税や贈与税における財産評価で、建物の賃借人が有する権利(借家権)の価値を算出するために用いられる一定の割合のことです。借家権割合は全国一律「30%」と定められており、自身で家屋として用いる場合の割合100%から、賃貸の分の借家権割合30%を差し引いて計算することになります。賃貸に供されている建物は、自用の場合よりも評価額が低くなるのです。
なお、借家権割合の単位は「%」ですので、100%と30%をそれぞれ計算式に直すと次のようになります。
なぜ賃貸中の建物は、自用の場合より評価額が低くなるのでしょうか。
それは、借地借家法により借主の権利(借家権)が強い保護を受けることになるためです。借家権があることで、その建物は所有者の完全な支配・利用に制限がかかることになります。
例えば、所有者自身で家を利用したくても、「明日出て行け」とはいえません。所有者の都合による賃貸借契約の終了は制限されます。借家権には対抗力があるため、所有者が建物を売却しても、新所有者は建物の借主を排除できず、同じように利用を制限されるのです。建物のある土地についても、借主が占有する範囲について土地所有者は自由に使用・収益することができません。
このように、建物を賃貸していることによって、所有者は経済的・法的にさまざまな制約を受けることになります。借家権があることで、その家屋の経済的価値が実質的に低下することになるのです。税務実務では、この価値の低下を「借家権割合30%の控除」として画一的に反映させています。
2.建物評価額の基準となる固定資産税評価額とは?
さて、「建物の相続税評価額 = 固定資産税評価額」とご説明しましたが、固定資産税評価額とはどういった評価額なのでしょうか。以下で詳しく確認していきましょう。
固定資産税評価額とは、固定資産税を決める際の基準となる評価額のことです。固定資産税のほか、不動産取得税、登録免許税、都市計画税、相続税などの税金の計算に使われる重要な指標です。
固定資産税評価額は、各市町村が「固定資産評価基準」に基づいて個別に決定しています。建物の場合、新築時は請負工事金額の約50~60%が目安とされますが、建物の規模や構造、築年数などによって評価額が調整されます。
そして、土地や建物などの固定資産を所有している場合、毎年1月1日現在で所有者として登記されている人に対して、固定資産税が課税されます。固定資産税は、原則として固定資産税評価額×1.4%で計算されますので、固定資産税評価額がいくらになるかによって、毎年の固定資産税額も変動します。
なお、固定資産税評価額は、原則として3年ごとに見直し(評価替え)が行われます(地方税法第341条6号、同第349条等)。
(固定資産税に関する用語の意義)
地方税法第341条 固定資産税について、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
六 基準年度 昭和三十一年度及び昭和三十三年度並びに昭和三十三年度から起算して三年度又は三の倍数の年度を経過したごとの年度をいう。(土地又は家屋に対して課する固定資産税の課税標準)
地方税法第349条1項 基準年度に係る賦課期日に所在する土地又は家屋(以下「基準年度の土地又は家屋」という。)に対して課する基準年度の固定資産税の課税標準は、当該土地又は家屋の基準年度に係る賦課期日における価格(以下「基準年度の価格」という。)で土地課税台帳若しくは土地補充課税台帳(以下「土地課税台帳等」という。)又は家屋課税台帳若しくは家屋補充課税台帳(以下「家屋課税台帳等」という。)に登録されたものとする。
直近では令和6年度(2024年度)が基準年度で、次回の評価替えは令和9年度(2027年度)に予定されています。また、基準年度でなくとも、建物の増改築や修繕を行った場合にも、各市町村から委託された不動産鑑定士が再計算し、建物評価額が見直されることがあります。
3.建物の固定資産税評価額の計算
それでは具体的に、建物の固定資産税評価額の計算方法について確認していきましょう。
3-1.建物の固定資産税評価額を調べる
固定資産税評価額の計算といっても、実際に計算する機会は少ないかと思います。というのも、固定資産税評価額は、市区町村から毎年贈られてくる納税通知書に記載されているため、建物所有者が自分で計算する必要がないからです。
主な確認方法は、以下の3つがあります。
もっとも一般的な確認方法としては、毎年4月頃に不動産の所有者へ送られてくる「固定資産税の納税通知書」に同封されている課税明細書を確認します。建物の固定資産税評価額は、「価格」または「評価額」の欄に記載されています。
固定資産税の納税通知書がなくても、固定資産税評価証明書でも確認が可能です。固定資産税評価証明書は、土地や家屋を管轄する市町村役所や市税事務所で取得することができます。固定資産評価証明書に記載されている「価格」が固定資産税評価額となります。
あるいは、市区町村役場に保管されている固定資産課税台帳からも確認することができます。固定資産課税台帳は、固定資産評価基準に基づいて算出された固定資産のすべてを登録した台帳です。台帳には固定資産の所有者、所在地、評価額が記載されています。不動産の所有者だけでなく、相続人等の財産の関係者であれば、固定資産課税台帳を閲覧することができます。台帳の閲覧を申請して許可されたら、固定資産税評価額が記載されている「価格」欄を確認しましょう。
3-2.固定資産税評価額の計算方法
上記の方法によって固定資産税評価額を確認することができない場合は、次の方法で計算していきましょう。
前述のとおり、固定資産税評価額は「再建築価格」を基準として算定します。再建築価格(再建築費)とは、評価の対象となった建物と同一のものを、評価の時点においてその場所に新築することとした場合に必要とされる建築費のことです。固定資産税評価額の算定にあたっては、「再建築価格」から、経年劣化やその他の要因による価値の減少を考慮して、加算や減額を行うのです。
では、具体的な計算式で見てみましょう。
「経年減点補正率」とは、築年数の経過による家屋の価値減少を考慮するための補正率です。建物の構造経年減点補正率は建物の構造(木造・鉄骨造・鉄筋コンクリートなど)や種類に応じた補正率が適用され、損耗の度合いによって最大で80%まで評価額を減額することになります。「経年減点補正率」は必ず1.0未満で設定されるため、固定資産税評価額を引き下げることになっても、反対に引き上げることはありません。
「評点一点当たりの価額」とは、建材費用の高騰や下落などによる物価水準の変動などを建物評価額に反映するものです。
評点一点当たりの価額は、「評点一点当たりの価額 = 1円 × 物価水準による補正率 × 設計管理費等による補正率」で算定します。この計算式の「物価水準による補正率」とは、建物を作る資材と地域差を考慮した補正率です。例えば、都市部は1.00で設定されていますが、地方では0.95または0.90に設定されています。
また、「設計管理費等による補正率」とは、工事原価に含まれない設計監理費、一般管理費等の費用を考慮するための補正率です。木造家屋の場合は1.05、非木造家屋での場合は1.10に設定されます。ただし、床面積が10㎡以下の簡易な建物は1.00で計算します。
「評点一点当たりの価額」は1.0を上回ることもあるため、物価水準が上がると固定資産税評価額も引き上げることになりますし、反対に物価水準が下がれば固定資産税評価額も引き下げられることになります。
3-3.建物の固定資産税評価額の目安
以上のとおり、建物の固定資産税評価額は、築年数のほか需給事情や物価水準など、さまざまな要素が考慮されることになります。一般的な目安としては、「再建築価格」の約50%から70%程度が建物の固定資産税評価額として考えられることが多いです。
固定資産税評価額(建物評価額)は下がっていく?
家屋の価値は築年数が増えるごとに下がっていくイメージがありますが、固定資産税評価額(建物評価額)は必ずしも毎年一定の割合で下がり続けるわけではありません。
建物は時間の経過とともに劣化し、その劣化分は「経年減点補正率」によって固定資産税評価額に反映されます。そのため、たしかに築年数が増えると建物評価額は下がっていくのが一般的です。
ですが、建物評価額は以下のような要素によっても変動するため、必ずしも「下がるだけ」とは限りません。
- 3年ごとの評価替えがあり、基準年度以外は価格が据え置かれる。
- 物価(資材費等)の上昇により再建築価格が高騰し、劣化による減価分を上回ることもある。
- 建物の固定資産税評価額は、再建築価格の20%を下限として評価されることになっており、一定年数経過後はそれ以上下がらない(固定資産評価基準)。
固定資産評価基準 第2章家屋
第2節 木造家屋
〔損耗の状況による減点補正率の算出要領〕
1 経過年数に応ずる減点補正率
(2)木造家屋の損耗が積雪又は寒冷によつて増大する地域に属する市町村に所在する木造家屋の経年減点補正率は、木造家屋経年減点補正率基準表の経年減点補正率に、「積雪地域又は寒冷地域の級地の区分」(別表第9の2)に定める市町村ごとの積雪地域又は寒冷地域の級地の区分に応じ次表に掲げる率(当該市町村が積雪地域及び寒冷地域に該当するときは、それぞれの率を合計して得た率とし、その率が百分の二十五を超えるときは百分の二十五とする。)を一から控除して得られる補正率を乗じたものによるものとする。ただし、当該補正率を乗じた経年減点補正率が百分の二十に満たない場合においては、百分の二十とする。第3節 非木造家屋
〔損耗の状況による減点補正率の算出要領〕
1 経過年数に応ずる減点補正率
(2)第2節五1(2)の表中「率」の欄に定める積雪地域の率と寒冷地域の率を合計した率(以下本節において「木造家屋に係る積雪寒冷補正率」という。)が百分の十八以上の地域に属する市町村に所在する非木造家屋(その構造が「軽量鉄骨造」、「れんが造」又は「コンクリートブロック造」のものに限る。以下本節において同じ。 )に対する経年減点補正率は、非木造家屋経年減点補正率基準表の経年減点補正率に、百分の三(木造家屋に係る積雪寒冷補正率が百分の二十五以上の地域に属する市町村に所在する非木造家屋にあつては、百分の五)を一から控除して得られる補正率を乗じて得た率とする。ただし、当該補正率を乗じた経年減点補正率が百分の二十に満たない場合においては、百分の二十とする。
こうした結果、経年減点補正率による評価額の減少と、物価水準の上昇による評価額の増加が相殺され、固定資産税評価額が大きく変動しないことも考えられるのです。
火災保険の保険金額と建物評価額
1.火災保険における建物評価額
さて、建物を新築する際などに、火災保険に入ることが一般的です。火災保険の目的は、火災等によって損害を受けた建物の「原状回復」にあります。そのため、建物の価値を上限として、損害に応じた保険金が支払われることになります。
したがって、火災保険の保険金の上限額は建物評価額を基準に決められることになります。
2.火災保険における建物評価額の決め方
2-1.算定方法は「再調達価格(新価)」がお勧め
保険金額を算出する際の建物の評価額には「新価」と「時価」という2つの評価基準があります。
「新価」とは、同じ物件を新たに建築するか、あるいは購入するのに必要な金額(再調達価格)のことを指します。
一方、「時価」とは新価から「建物の経年劣化による価値減少分や使用による消耗分」を差し引いた金額を指します。「時価」で契約を結ぶと、万が一の時に建て直しのための費用を十分に賄えない可能性があるため、「新価」での契約が推奨されます。実際に、多くの場合は新価での契約になっています。
2-2.建物評価額の算定
2-2-1.新築の場合
新築の場合に建物の購入金額が明確に分かる場合は、その金額がそのまま建物評価額となります。ただし、土地と建物をまとめて購入する建売住宅などの場合は、建物のみの価格を別途確認する必要があります。
建物のみの価格が分からない場合には、消費税額を利用して逆算する方法があります。土地には消費税がかからないため、物件全体の消費税額から建物の評価額を求めることができるのです。
具体的には、以下の式で計算します。
2-2-2.中古の場合
中古物件を購入した場合や新築物件購入後に年数が経過した場合には、以下の2つの方法によって建物評価額を算出します。
-
年次別指数法
建築年と建築価額(土地代を除く建物の購入額)がわかる場合は、建築価額に建築年に応じた指数を掛けることで、物価の変動などを考慮した建物評価額を算出します。
-
新築費単価法
建築年と建築価額が分からない場合は、建物の延べ床面積に都道府県・建物の構造別の平均単価を掛けて概算の金額を算出することも可能です。概算金額になるため、契約者の希望により評価額をプラスマイナス30%の範囲で調整することができます。
いずれの方法によっても、建物評価額の計算は保険会社や代理店で行うことになるでしょう。
マンションの相続税評価額
1.マンションの相続税評価額とは
マンションの評価額はマンションの土地評価額と建物評価額を合算して算出した価額です。
土地の価格は一般的に「一物四価」と呼ばれ、「① 実勢価格、② 公示価格、③ 路線価、④ 固定資産税評価額」の4種類の評価額があります。原則は、国税庁が公表している「③ 路線価(1㎡当たりの土地の価格)」を用いて計算します。マンションの場合、マンション全体の敷地の相続税評価額に、自身が所有する敷地権割合(マンションの各戸の床面積が総床面積に占める割合)を掛けることで、土地評価額を算定することになります。敷地権割合は、売買契約書や登記事項証明書で確認することが可能です。
そして、土地評価額を算定したら、建物評価額を計算していきます。
2.マンションの建物評価額の計算方法
マンションの建物評価額の具体的な計算方法を見ていきましょう。
2-1.原則
基本的には、固定資産税評価額がそのままマンションの建物評価額(相続税評価額)となります。本記事でご説明したとおり、家屋の評価額は、市区町村が決定した「固定資産税評価額」に一定の倍率を掛けて算出します。現在は全国一律で倍率が1.0倍とされているため、基本的には「マンションの建物評価額 = 固定資産税評価額」です。
なお、自身が居住するためでなく、第三者に賃貸しているアパートやマンションの場合は、基本の固定資産税評価額から、借家権の価値を差し引いて算定することになります。
「自用家屋としての価額」は100%なので、計算式に「1」を、借家権割合は全国一律で原則30%とされているので、「0.3」を当てはめます。
2-2.所有部分の全てを賃貸している場合
マンションの所有部分の全てが賃貸されている(賃貸割合が100%である)場合は賃貸割合が「1」となるため、全て当てはめると「賃貸中の建物評価額 = 固定資産税評価額 ×(1 ― 0.3 × 1)」となります。実際の計算上、賃貸割合の「× 1」は省略できるため、簡略化して以下の計算式になります。
2-3.所有部分の一部を賃貸している場合
なお、例えば、固定資産税評価額が1億円の賃貸マンションについて、延床面積500㎡のうち、200㎡を貸している場合を考えてみましょう。賃貸割合は、「500㎡分の200㎡」なので、「 200㎡ ÷ 500㎡ = 0.4 」となります。
そして、相続税評価額の計算式は「固定資産税評価額 ×( 1 - 0.3 × 賃貸割合 )」なので、これを当てはめて「1億円 × ( 1 ― 0.3 × 0.4 )= 8,800万円」です。
貸している床面積が広いほど賃貸割合は大きくなりますので、「1」から控除する値も大きくなる結果、相続税評価額は下がることになります。
建物評価額に関するQ&A
Q1.建物評価額とは何ですか?
A:建物評価額とは、建物の価値を一定の基準に基づいて金額として表したものです。税金の計算や資産の把握など、目的に応じて算定される価格であり、実際の売買価格とは異なる場合があります。
Q2.建物評価額がゼロになることはありますか?
A:原則としてゼロにはなりません。一定年数が経過しても最低限の価値は残るとされており、評価額には「20%」の下限が設けられています。
Q3.新築の建物は評価額が高いですか?
A:一般的には高くなります。建物は築年数が浅いほど価値が高く評価されるため、新築や築浅の建物は評価額も高くなる傾向があります。ですが、古いからといって必ず評価額が低くなるとも限りません。建物単体では一般的に評価額は下がりますが、立地条件や用途などによっては、古い建物でも評価額が高くなる可能性があります。
まとめ
この記事では、建物評価額の調べ方や計算方法をについて弁護士が解説させていただきました。
実際には建物評価額は原則として「固定資産税評価額」と同額ですので、固定資産税の納税通知書などで確認することができます。そのため、自身で計算する機会はあまりないかもしれません。ですが、建物評価額は固定資産税の計算、相続税や贈与税の計算、火災保険の金額の算定など、さまざまな場面で必要となります。そのため、固定資産税の納税通知書を確認できない場合でも、建物評価額を計算することができる、ということを押さえておき、その種類や見方を正しく理解しておくことが重要です。
建物評価額について、ご不明点やお悩みがありましたら、弁護士法人あおい法律事務所にご相談ください。弁護士による法律相談を初回無料で行っております。法律相談は、事務所にお越しいただいての対面によるご相談だけでなく、お電話によるご相談もお受けしております。ぜひお気軽にお問合せいただければと思います。
この記事を書いた人
略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。3,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。
家庭の法律問題は、なかなか人には相談できずに、気付くと一人で抱え込んでしまうものです。当事務所は、家庭の法律問題に特化した事務所であり、高い専門的知見を活かしながら、皆様のお悩みに寄り添い、お悩みの解決をお手伝いできます。ぜひ、お一人でお悩みになる前に、当事務所へご相談ください。必ずお力になります。






