生命保険の受取人|配偶者以外もOK?被保険者より先に死亡した場合は?税金についても解説!

遺産分割

更新日 2026.04.15

投稿日 2024.07.04

監修者:弁護士法人あおい法律事務所

代表弁護士 雫田雄太

略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。3,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。

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「生命保険」は、被保険者が死亡した際に遺族の生活の経済的支えとなる大切な制度です。また、被保険者の死亡を要因とする「死亡保険」だけでなく、年金保険や学資保険、養老保険といったさまざまな種類の保険も生命保険契約に含まれます。生命保険は、広く一般的に利用されている制度なのです。

では、その生命保険の「受取人」について、詳しくご存知でしょうか。

受取人とは保険金を受け取る人のことですが、生命保険契約を結ぶにあたって、誰を保険金の受取人にすることができるのかを正しく把握しておくことが重要です。

そこでこの記事では、生命保険の受取人をテーマに弁護士が詳しく解説させていただきます。

生命保険の受取人に誰がなれるのか、といった基本的な事項に加え、被保険者や保険料を支払う人、保険者などの当事者についても混同しないよう、その役割を確認しておきましょう。あわせて、受取人の変更手続きについてもご説明いたします。

また、生命保険の受取人が誰であるかによって、課税される税金の種類が変わってきます。生命保険の受取人と相続税との関係性についても見ていきましょう。

生命保険契約の締結や契約内容の見直しにあたって、本記事がお役に立ちましたら幸いです。

目次

生命保険の受取人

1.生命保険の「被保険者」「契約者」「受取人」とは

生命保険(生命保険契約)とは、保険契約のうち、保険者が人の生存又は死亡に関し一定の保険給付を行うことを約するものをいいます(保険法第2条1号、同条8号)。

(定義)
保険法第2条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 保険契約 保険契約、共済契約その他いかなる名称であるかを問わず、当事者の一方が一定の事由が生じたことを条件として財産上の給付(生命保険契約及び傷害疾病定額保険契約にあっては、金銭の支払に限る。以下「保険給付」という。)を行うことを約し、相手方がこれに対して当該一定の事由の発生の可能性に応じたものとして保険料(共済掛金を含む。以下同じ。)を支払うことを約する契約をいう。
八 生命保険契約 保険契約のうち、保険者が人の生存又は死亡に関し一定の保険給付を行うことを約するもの(傷害疾病定額保険契約に該当するものを除く。)をいう。

この生命保険契約の当事者の1人が「受取人」です。本記事では、生命保険の保険金受取人について弁護士が解説させていただきますが、受取人を理解するためにも、生命保険契約の当事者となる人を確認しておきましょう。

生命保険契約には、「受取人」のほか、「保険者」、「契約者」、「被保険者」という当事者が関与することになります。

保険者
(保険法第2条2号)
保険契約の当事者のうち、保険給付を行う義務を負う者。生命保険会社がこれに該当することが一般的。
契約者
(保険法第2条3号)
保険者(生命保険会社など)と契約を結ぶ人。契約内容の変更、保険料の支払いなどの権利と義務を持つ。
被保険者
(保険法第2条4号)
保険の対象となる人。その生死や健康状態が保険金支払いの条件(保険事故)となる。
受取人
(保険法第2条5号)
保険事故が発生した際に保険給付を受ける者として、契約者によって指定された人。入院給付金や手術給付金は被保険者が受取人となることが一般的。

保険法第2条
二 保険者 保険契約の当事者のうち、保険給付を行う義務を負う者をいう。
三 保険契約者 保険契約の当事者のうち、保険料を支払う義務を負う者をいう。
四 被保険者 次のイからハまでに掲げる保険契約の区分に応じ、当該イからハまでに定める者をいう。
 イ 損害保険契約 損害保険契約によりてん補することとされる損害を受ける者
 ロ 生命保険契約 その者の生存又は死亡に関し保険者が保険給付を行うこととなる者
 ハ 傷害疾病定額保険契約 その者の傷害又は疾病(以下「傷害疾病」という。)に基づき保険者が保険給付を行うこととなる者
五 保険金受取人 保険給付を受ける者として生命保険契約又は傷害疾病定額保険契約で定めるものをいう。

2.生命保険の保険金受取人を本人にできる?

2-1.被保険者本人が受取人になれる?

保険金の受取人については「保険給付を受ける者として生命保険契約又は傷害疾病定額保険契約で定めるもの」と定義されており(保険法第2条5号)、被保険者本人を受取人と定めることを制限する規定はありません。ですので、生命保険の保険金の受取人を被保険者本人に指定することは、保険者が保険契約において特段の制約を設けていない限りは可能とされています。

例えば、生命保険の中でも「死亡保険」の場合は、被保険者が亡くなったことを原因として保険金の支払いが発生するため、被保険者と受取人を同一人物に指定することはできません。亡くなった被保険者が保険金を受け取ることはできないからです。

一方で、満期金がある養老保険や、医療保険、がん保険、個人年金保険などの給付金の場合は、被保険者と受取人を同一人物にすることができます。

なお、死亡保険でも生存中に被保険者本人が受取人として保険金を受け取ることのできる場合があります。被保険者の死亡が確実に間近に迫っている段階で保険金を先払いし、被保険者自身がその資金を有効に利用できるようにすることを目的として余命宣告を受けた際に死亡保険金を先取りする「リビング・ニーズ特約」がある場合などです。

2-2.保険契約者本人が受取人になれる?

前述のとおり、保険金の受取人に関して、保険契約者であってはならないとする制限規定はないため、保険契約者本人が保険金の受取人になることが可能です。

例えば、生命保険契約においては、「夫が自身を受取人として、妻や子ども、親などを被保険者として保険会社と結んだ保険契約」などが、保険契約者と受取人が同一人物のケースとして一般的です。

また、保険期間が終了すると満期保険金として受け取ることのできる養老保険や、生命保険の解約返戻金なども、保険契約者本人が受取人となることが多いです。

3.生命保険の受取人に指定できる人の範囲

前述のとおり、保険法において受取人は「保険給付を受ける者として生命保険契約又は傷害疾病定額保険契約で定めるもの」とだけ定義されており、生命保険の受取人を誰にするかについて、法律上は原則として保険契約者の自由な意思決定に委ねており、特定の範囲に限定する規定はありません。そのため、理論上は制限がないと考えられるものの、実際には各保険会社が「約款」によって受取人の変更範囲を一定の親族等に制限しています。

受取人の範囲について無制限としてしまうと、保険金取得を目的とした殺人等のリスクがあります。こうした「モラル・リスク」を防止するため、保険会社は受取人を「2親等以内の血族である親族」等に制限しているのが一般的です。

1親等とは、被保険者の両親や子供のことで、「2親等以内の血族である親族」には被保険者の祖父母や兄弟姉妹、孫が含まれます。

生命保険の受取人を他人にすることはできない?指定できる人の範囲

より詳細に分けて確認しておきましょう。

3-1.配偶者

被保険者が独身である場合などを除けば、保険金の受取人を配偶者としているケースが一般的です。この場合の配偶者とは「法律上の婚姻関係にある配偶者」をいいますが、保険契約によっては内縁・事実婚関係の配偶者を受取人とすることもできます。

ただし、内縁の夫や妻を保険金の受取人に指定する場合、戸籍上の配偶者の有無、同居期間などによっては、保険金額に上限を設けての契約となる引き受けとなることや、契約できない・受取人の変更ができないこともあるため、契約内容や保険会社の約款を十分に確認することが重要です。一例としましては、① 内縁関係にある当事者双方に法律上の配偶者がいないこと、② 同居しており生計を同じにしていること、が最低限の条件となっているケースがあります。

3-2.子や親など1親等の親族

配偶者以外にも、自身の子や親などを保険金の受取人としているケースも多いです。

被保険者が死亡した際に保険金が支払われる「死亡保険」以外にも、例えば学資が必要な時点での経済的入用に備えるための「学資保険」では、子を被保険者かつ受取人として指定することが一般的です。

3-3.兄弟姉妹など2親等の親族

被保険者に妻や子がいない場合や、相続対策の一環として、被保険者の兄弟姉妹を保険金の受取人に指定するケースなどが見られます。

なお、被保険者の配偶者の兄弟姉妹などは「2親等以内」に該当するものの、被保険者の血族ではないため範囲に含まれず、受取人になることはできません。

3-4.3親等以内の血族

特定の保険会社や保険商品では、2親等以内の血族が存在しない、または受け取り人として指定することが不適切であるという明確な理由がある場合に、3親等以内の血族を受取人として指定することも可能です。3親等以内の血族としては、叔父、叔母、甥、姪などが挙げられます。

4.生命保険信託は他人を受取人にできる

「配偶者や2親等以内の血族である親族」以外の他人を生命保険の受取人に指定したい場合は、生命保険信託を活用するのも1つの方法です。

生命保険信託とは、契約者が受取人や受け取り方法を自由に指定できる信託商品です。これを利用すれば、契約者は戸籍上の配偶者や親族以外であっても、事実婚のパートナーなどの他人を受取人に指定することができます。

ただし、戸籍上の他人が生命保険金を受け取る場合には、生命保険金の非課税枠を利用できないので注意が必要です。生命保険金の非課税枠については後ほど詳しく解説させていただきますので、このままお進みください。

5.受取人は複数人指定することもできる

生命保険金の受取人は、複数人であっても問題ありません。

例えば子が4人いる場合に、4人全員を生命保険金の受取人に指定することが可能です。受取人が複数人いる場合、それぞれが受け取る保険金の割合は、原則として保険契約者が指定することになります。合計が100%になるように自由に配分できるため、4人の子に25%ずつの割合とすることもできますし、長男を40%、残り3人の子をそれぞれ20%などとすることもできます。

契約者が具体的な割合を定めていない場合や、受取人を単に「相続人」と抽象的に指定する場合などもありますが、そういったケースでは特段の事情がない限り「相続分の割合(法定相続分)」によるとされています(最高裁判所平成6年7月18日判決)。

この裁判例は、事故により死亡した妻が締結した保険契約に基づく保険金を、夫が保険会社に対して請求した保険金請求事件になります。この事案において、以下の事実関係がありました。

  • 保険契約の申込書の「死亡保険金受取人指定」欄は空白であり、同欄横には、「相続人となる場合は記入不要です。」という文章が印刷されている。
  • 保険契約の保険証券の「死亡保険金受取人」欄には、「法定相続人」という文字が記入されている。
  • 保険契約に適用される保険約款には、「死亡保険金受取人の指定のないときは、被保険者の法定相続人に死亡保険金を支払う」との定めがある。
  • 死亡した妻に子はいなく、相続人は10人おり、夫の法定相続分割合は4分の3である。
  • 保険会社は夫に対し、保険金として100万円を支払っている。

以上を前提とし、夫が受け取る保険金の額について、妻の遺産に対する夫の法定相続分の割合である「4分の3」を乗じた金額である750万円か、保険金を妻の相続人の数である「10」で割った金額である100万円か、という点が争点の1つとなりました。

一審は夫の請求を認め、750万円から既に支払い済みである100万円を控除した「650万円」を夫へ支払うよう、保険会社に命じました。

控訴審である東京高等裁判所は、「夫が本件契約により保険会社に対して請求することのできる保険金の額は、保険金総額1,000万円を妻の法定相続人の員数である10で除した100万円となることが明らかである」として、100万円は既に受け取っており、「いずれも失当として棄却すべきであるところ、これを一部認容した原判決は不当」であるとして、保険会社敗訴の部分を取り消した上、夫の本訴請求を棄却することとしました。

上告審である最高裁判所は、次のように述べています。

保険契約において、保険契約者が死亡保険金の受取人を被保険者の「相続人」と指定した場合は、特段の事情のない限り、右指定には、相続人が保険金を受け取るべき権利の割合を相続分の割合によるとする旨の指定も含まれているものと解するのが相当である。けだし、保険金受取人を単に「相続人」と指定する趣旨は、保険事故発生時までに被保険者の相続人となるべき者に変動が生ずる場合にも、保険金受取人の変更手続をすることなく、保険事故発生時において相続人である者を保険金受取人と定めることにあるとともに、右指定には相続人に対してその相続分の割合により保険金を取得させる趣旨も含まれているものと解するのが、保険契約者の通常の意思に合致し、かつ、合理的であると考えられるからである。したがって、保険契約者が死亡保険金の受取人を被保険者の「相続人」と指定した場合に、数人の相続人がいるときは、特段の事情のない限り、民法四二七条にいう「別段ノ意思表示」である相続分の割合によって権利を有するという指定があったものと解すべきであるから、各保険金受取人の有する権利の割合は、相続分の割合になるものというべきである。

そして、夫が受け取る保険金の割合について、「本件契約に基づく死亡保険金につき、その法定相続分である4分の3の割合による権利を有することとなる。」と結論し、原判決を破棄差し戻しとしました。

(最高裁判所平成6年7月18日判決)

生命保険の被保険者より先に受取人が死亡した場合

ところで、生命保険の被保険者よりも先に、受取人が死亡する場合もあります。この場合、法律によって「受取人の相続人」が保険金受取人となる、と規定されています(保険法第46条)。

(保険金受取人の死亡)
保険法第46条 保険金受取人が保険事故の発生前に死亡したときは、その相続人の全員が保険金受取人となる。

ただし、保険会社によっては、法定相続人ではなく「被保険者の遺族」が受取人となる場合もありますので、保険契約の締結前に約款を確認しておくことが重要です。

生命保険金の受取と税金

それでは次に、生命保険金の受取人と税金の関係性について確認していきたいと思います。

1.課税される生命保険の保険金・給付金

生命保険から受け取るお金には、大きく分けて「保険金」と「給付金」の2種類があります。法的に厳密な使い分けはありませんが、支払いによって保険契約が消滅するものを「保険金」、支払われても契約が継続するものを「給付金」と呼ぶのが、実務上は一般的です。例えば、医療保険やがん保険などの入院や手術、通院などの際に受け取るお金は「給付金」に該当します。

このような生命保険の保険金や給付金を受け取る際には、その種類や受取人に応じて税金が課せられることがあります。

税金がかかる保険金・給付金 税金がかからない保険金・給付金
死亡保険金
満期保険金
解約返戻金
個人年金保険
その他お祝い金など(生存給付金)
入院給付金や通院給付金
医療保険やがん保険の給付金
高度障害保険金
介護保険の一時金や年金
職業不能(生活障害)保険金・年金など

2.受取人によってかかる税金が異なる

そして、保険金の受取人を誰にするかによって、課税される税金の種類や金額が異なってくるため、最終的に受取人の手元に残る金額に差が生じることがあります。

以下では、主な保険金の種類ごとに受取人と課税関係を見ていきましょう。

2-1.満期保険金の受取人と課税関係

生命保険の満期保険金とは、生存保険や養老保険(生死混合保険)において、被保険者が保険期間の満了時(満期)まで生存していた場合に支払われる保険金のことです。

2-1-1.契約者と受取人が同一

満期保険金において、契約者と受取人が同一人物である場合は、受取人自身の一時所得とみなされることになるため、受け取った保険金には所得税が課されることになります。一時所得の金額の計算にあたっては、総収入金額からその収入を得るために支出した金額(払込保険料等)を差し引き、そこからさらに最大50万円の「特別控除額」を差し引きます。この特別控除後の金額の2分の1の金額が、課税対象額となります。

課税対象額 = {保険金額 - 既払込保険料の額 - 50万円(特別控除額)}× 1/2

なお、保険期間が5年以下と短期間の場合は、保険金は給与などの他の所得とは別に扱われ、所得税15%、復興特別所得税0.315%(令和19年12月31日まで)、住民税5%の合計20.315%の税率で源泉分離課税されます。満期時には、所得税・住民税相当額を差し引いた後の金額を受け取ることになります。

2-1-2.契約者と受取人が異なる

一方で、契約者と受取人が異なる場合は、保険料を支払った人と保険金を受け取る人が異なるため、受取人が受け取った保険金は贈与とみなされ、贈与税が課されることになります。

贈与税額 = (保険金額 - 基礎控除額110万円)× 税率 - 控除額

死亡保険金に認められるような相続税法上の非課税枠(500万円 × 法定相続人の数)の制度は適用されないことと、所得税とは異なり、支払った保険料を差し引くことは認められないことに注意が必要です。このため、贈与税の場合にもっとも税負担が大きくなる可能性があります。

2-1-3.被相続人が契約者かつ被保険者で相続人が受取人

また、被相続人が契約者かつ被保険者のケースで、被相続人の死亡を原因として(あるいは満期と重なる形で)保険金が支払われる場合、受取人が取得した保険金のうち、被相続人が負担した保険料に対応する部分は「相続または遺贈により取得したもの」とみなされ、相続税の課税対象となります。

課税対象額 = 保険金額 × (被相続人が負担した保険料 ÷ 払い込まれた保険料の総額)― 相続税法上の非課税枠( 500万円 × 法定相続人の数)

以上をまとめますと、下表のとおりです。

契約形態 契約者 被保険者 受取人 税金の種類
契約者と受取人が同一 A(夫) A(夫) 所得税+住民税
契約者と受取人が同一(保険期間5年以下) A(夫) A(夫) 所得税+住民税(源泉分離課税)
契約者と被保険者が同一で、相続人が受取人 A(夫) A(夫) 相続人 相続税
契約者と受取人が異なる A(夫) B(妻) 贈与税
A(夫) C(子)

2-2.個人年金保険の受取人と課税関係

次に、個人年金保険の場合を見てみましょう。

保険料負担者と年金受取人が同一である場合には、所得税の課税対象となります。一括(一時金)で受領する場合は所得税法第34条に基づき「一時所得」として課税され、毎年分割(年金形式)で受領する場合は所得税法第35条に基づき「雑所得」として課税されます。

一方で、保険料負担者と被保険者(年金受取人)が同一であり、その死亡によって遺族が年金受給権を取得した場合には、「みなし相続財産」として他の相続財産と合算される(相続税法第3条1項5号、同項6号)ため、相続税が課税されることとなります。

また、保険料負担者、被保険者、受取人のすべてが異なる場合や、保険料負担者が生存している状態で受取人が年金受給権を取得した場合は、保険料負担者から受取人への「みなし贈与」と判断される(相続税法第6条)ため、贈与税が課税されることになります。

2-3.解約返戻金の受取人と課税関係

生命保険を解約した際に支払われる解約返戻金は、保険契約の存続期間中に契約を解消した場合の清算金としての性質を持つため、原則として保険契約者が受け取ることになります。この場合、保険料の負担者と解約返戻金の受取人が同一であり、一括して一時金として受け取る場合は「一時所得」に該当するため、所得税が課税されることになります。

なお、生命保険の「死亡保険金」については、こちらの関連記事にて詳しくご説明しておりますので、本記事とあわせてぜひご覧ください。

3.保険金や給付金を受け取ったら確定申告が必要?

さて、税金がかかる保険金や給付金を受け取った場合は、確定申告が必要となることがあります。

通常、1か所から給与を受けている給与所得者で年収が2,000万円以下の場合は、年末調整によって税金が清算されるため、確定申告を別途する必要はありません。加えて、1か所から給与を受けている人で、保険金等の給与所得および退職所得以外の所得の合計額が20万円以下の場合も、確定申告は必要ありません。

ですが、給与や年金・退職金以外の所得が20万円を超える場合や、給与収入が2,000万円を超える場合、2か所以上から給与を支給されている場合などには、確定申告が必要となります。

ですので、例えば満期保険金などの一時所得がある場合で、払込保険料と特別控除分を差し引いた後の金額の半分が20万円を超える場合には、所得税の確定申告が必要となります。

保険金を受け取り確定申告が必要な場合は、保険金を受け取った年の翌年の2月16日から3月15日までの期間に確定申告と納税をしましょう。

生命保険の受取人の変更

最後に、生命保険の受取人を契約後に変更できるかについて、確認しておきましょう。

1.支払事由が発生するまでは受取人を変更できる

保険契約者は、保険保険事故(被保険者の死亡など)が発生する前であれば、保険会社に対して意思表示をすることで、保険金の受取人を変更することができます(保険法第43条1項)。

(保険金受取人の変更)
保険法第43条 保険契約者は、保険事故が発生するまでは、保険金受取人の変更をすることができる。
2 保険金受取人の変更は、保険者に対する意思表示によってする。
3 前項の意思表示は、その通知が保険者に到達したときは、当該通知を発した時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、その到達前に行われた保険給付の効力を妨げない。

保険金受取人の変更を通知した場合、その通知が保険会社に到達した時点で、変更は効力を発生します。この効力は、通知を発した時点に遡って適用されます。

ただし、保険会社が変更通知を受け取る前に、元の受取人に対して保険金を支払っていた場合、その支払いは有効とされます。

1-1.結婚・再婚した場合の受取人変更

結婚や再婚を機会に生命保険契約を見直すこともあるでしょう。独身の頃は、保険金受取人を両親に設定していることが一般的ですが、結婚後に受取人を配偶者に変更することも多いです。

1-2.離婚した場合の受取人変更

夫が契約者かつ被保険者で、妻を受取人として指定している夫婦が離婚する場合を考えてみましょう。もし受取人の変更を行わなければ、夫が亡くなったときに元妻が保険金を受け取ることになります。法的にはもう配偶者ではなく、血族でもない元妻ですが、一度受取人として契約されている限り、離婚後も保険金を受け取る権利を持っているのです。こうした事態を避けるためには、離婚の際になるべく早めに保険会社に連絡し、保険金の受取人を変更しておくようにしましょう。

1-3.遺言による受取人変更

2010年4月1日に施行された現行の「保険法」により、遺言によって保険金の受取人を変更することも可能となりました(保険法第44条1項、同法第73条1項)。

(遺言による保険金受取人の変更)
保険法第44条 保険金受取人の変更は、遺言によっても、することができる。
2 遺言による保険金受取人の変更は、その遺言が効力を生じた後、保険契約者の相続人がその旨を保険者に通知しなければ、これをもって保険者に対抗することができない。

(遺言による保険金受取人の変更)
保険法第73条 保険金受取人の変更は、遺言によっても、することができる。
2 遺言による保険金受取人の変更は、その遺言が効力を生じた後、保険契約者の相続人がその旨を保険者に通知しなければ、これをもって保険者に対抗することができない。

 

2010年4月1日以降に締結された保険契約に関しては、このルールが適用されることとなります。施行前に契約した保険については適用されませんが、保険会社が約款等で独自に認めている場合などには、例外的に可能となることがあります。

なお、民法所定の方式を具備した有効な遺言でなければなりません。加えて、自身でなく他人の生命の保険においては「被保険者の同意」が必要です。

また、受取人の変更を保険会社に対抗するためには、遺言の効力発生後に相続人が保険会社へ通知を行う必要があります。通知が遅れて変更前の受取人に保険金が支払われてしまった場合、その後に新しい受取人が保険金を請求しても保険金は支払われません。したがって、受取人が亡くなった場合は迅速に保険会社に通知し、受取人の変更手続きを行うことが大切です。

2.受取人の変更手続きと必要書類

遺言によらず、契約者自身が生命保険金の受取人を変更する場合、手続きは次の手順で進めることになります。

まずは、保険の詳細情報が記載されている「保険証券」を手元に準備します。保険証券を紛失した場合は、保険契約者の本人確認書類(マイナンバーカード等)を用意して保険会社に連絡しましょう。

そして、契約している保険会社へ受取人の変更について問い合わせます。保険会社や契約内容によって、具体的な手続きは異なりますので、自身のケースで必要な書類等について確認しましょう。

受取人の変更手続きは、契約者と被保険者の両方の同意が必要となります。

生命保険の受取人の変更手続きには、一般的には以下のような書類が必要です。他に書類が必要な場合もありますので、必ず保険会社に確認のうえ手続きをするようにしてください。

  1. 名義変更・訂正請求書
    保険会社が用意している所定の書類に必要事項を記入します。
  2. 保険証券
    保険の契約内容が記載されている書類です。紛失した場合は、保険契約者の本人確認書類が必要となります

生命保険の受取人に関するQ&A

Q1.生命保険の死亡保険金の受取人に指定できる人は誰ですか?

A: 生命保険の死亡保険金の受取人に指定できる人は、通常、被保険者の家族や親族が対象となります。具体的には、被保険者の配偶者や1親等(父母や子)、2親等(祖父母、兄弟姉妹、孫)の血族である親族です。

保険会社や保険商品によっては、配偶者や2親等内の血族以外の第三者、例えば3親等内の血族(叔父、叔母、甥、姪)、事実婚のパートナーや同性のパートナー、婚約者などを受取人に指定できる場合もあります。また、受取人は複数人を指定することも可能で、その場合はそれぞれの受取割合も定める必要があります。

ただし、受取人の指定には保険会社ごとに基準が異なるため、契約前に確認することが重要です。

Q2.生命保険の保険金の受取人を変更することはできますか?

A: 保険金の支払い事由である保険事故が発生する前であれば、保険金の受取人を変更することができます。受取人を変更する方法としては、① 被保険者の同意を得て保険会社に必要書類を提出する方法と、② 法的に有効な遺言によって変更する方法の2つがあります。

被保険者が亡くなる前に受取人が死亡した場合、そのまま保険事故が発生すると、法定相続人が受取人となります。ですので、受取人が亡くなった場合には速やかに新しい受取人への変更手続きを行うことが重要です。

Q3.受取人が先に亡くなっていた場合、保険金は誰が受け取りますか?

A:受取人が被保険者より先に死亡している場合、そのままでは保険金を受け取る人がいないため、原則として受取人の相続人が新たな受取人となります(保険法第46条)。そのため、受取人が亡くなった場合には、早めに受取人の変更手続きをしておくことが重要です。

まとめ

この記事では、生命保険金の受取人の基本的事項と、その課税関係について解説させていただきました。

生命保険の受取人を誰にするかは、契約者の意思を最優先に考えるべきですが、同時に税金の面も考慮する必要があります。受取人が誰であるかによって、かかる税金の種類が異なるため、受取人が多額の税金を支払うことにならないよう、契約内容は慎重に決めることが重要です。

生命保険契約やその課税関係について、お悩みやご不安がありましたら、弁護士法人あおい法律事務所の弁護士にご相談ください。弁護士法人あおい法律事務所では、弁護士による法律相談を初回無料で行っております。ご相談は、事務所にお越しいただくだけでなく、お電話でも可能です。当ホームページのWeb予約フォームやお電話にて、お気軽にお問合せいただければと思います。

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家庭の法律問題は、なかなか人には相談できずに、気付くと一人で抱え込んでしまうものです。当事務所は、家庭の法律問題に特化した事務所であり、高い専門的知見を活かしながら、皆様のお悩みに寄り添い、お悩みの解決をお手伝いできます。ぜひ、お一人でお悩みになる前に、当事務所へご相談ください。必ずお力になります。