遺産分割協議書を自分で作成!作成のポイント、本人以外に作成できる人は?

遺産分割

更新日 2025.12.17

投稿日 2024.01.25

監修者:弁護士法人あおい法律事務所

代表弁護士 雫田雄太

略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。3,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。

弁護士法人あおい事務所の相続専門サイトをご覧いただき、ありがとうございます。当サイトでは、相続に関する法的な知識を分かりやすくお届けしております。皆様のお悩みの解消に少しでもお役立ちできましたら幸甚です。

相続人同士の話し合いがまとまったら、遺産分割協議書を作成します。

作成する際に重要なのは、遺産分割協議書を作る人です。遺産分割協議書を自分で作成できるのか、相続人以外では誰が作ることができるのでしょうか。

基本的には自分で作成することが可能ですが、「何を書けばいいのかわからない」「本当に有効なのか不安」といった声も多いです。
また、実際に自分で作ったというケースでは、形式の不備や内容の不正確さが原因で、金融機関や法務局の手続きが進まなかった、ということも見受けます。

そして、遺産分割協議書を「本人以外が作る」ことには法律上の制限や注意点もあるため、作成を依頼する側として、この点についても正しく理解しておく必要があります。

そこで本記事では、遺産分割協議書を自分で作成する際の基本的なルールや注意点に加えて、相続人以外の第三者が作成にどこまで関与できるのかについても、弁護士がわかりやすく解説させていただきます。

ぜひ最後までご一読いただけましたら幸いです。

目次

遺産分割協議書を自分で作成

1.遺産分割協議書は自分で作れる?

遺産分割協議書は、法律で作成する人が決められているわけではありません。形式も自由なので、自分で作成することができます。

ですが、遺産分割協議書の内容に不備があった場合、金融機関や法務局などでの相続手続きを受け付けてもらえないこともありますので、正確に作らなければなりません。

そのため、自分で作成せずに、専門家に遺産分割協議書の作成を依頼する人も少なくありません。ですが、依頼した専門家によって、できることが異なりますので、注意が必要です。この点については、本記事で後述いたします。

2.自分で作成するメリット

遺産分割協議書を自分で作る場合、次のようなメリットがあります。

遺産分割協議書を自分で作るメリット

  1. 重要な個人情報を他の人に知られずに済む
    遺産分割協議書を自分で作成せず、専門家に依頼する場合は、相続人や相続財産の内容などの情報を提供する必要があります。
    相手は専門家とはいえ、自身や身内の情報を第三者に提供することに、抵抗のある人もいるかと思います。遺産分割協議書を自分で作れば、当事者の個人情報や相続財産の内容などを、他人に知られずに済むでしょう。
  2. 金銭的な負担をおさえられる
    遺産分割協議書の作成を専門家に依頼する場合、ある程度の費用が発生します。遺産分割協議書を自分で作成すれば、依頼料や報酬といった費用を支払わずにすむため、金銭的な負担を軽減することができます。
  3. 専門家に相談・依頼する手間を省ける
    遺産分割協議書を自分で作成するのであれば、専門家に相談・依頼する手間を省くことができます。無料相談を使って探してみたものの、なかなか相性の良い専門家が見つからない・・・といった探す手間と時間がかかりませんし、事務所を訪れる必要もありません。

3.自分で作成するデメリット

以上のようなメリットの一方で、遺産分割協議書を自分で作成することには、以下のようなデメリットもあります。

遺産分割協議書を自分で作成するデメリット

  1. 相続人間のトラブルに発展するリスクがある
    遺産分割協議書を作成するためには、相続人での話し合いが必要です。話し合いに弁護士などの専門家が介入しない場合、相続人同士の対立が激しくなってしまうことがあります。その結果、遺産分割の方法が決まらず、遺産分割協議書を作成することができないといった事態になってしまいかねません。
  2. 遺産分割協議書に不備があり、無効となるリスクがある
    専門家でない人が作成する遺産分割協議書の場合、何かと不備が生じやすいです。
    もし作成した遺産分割協議書に不備があった場合、遺産分割協議書が無効となってしまうことがあります。遺産分割協議後の具体的な相続手続きもできなくなってしまいかねません。
  3. 専門知識がないために損をする可能性がある
    相続にまつわる法律は複雑ですので、専門知識がないと、損をしてしまう可能性もあります。
    後から「納得いかない」と思ったとしても、一度相続人全員が合意して遺産分割協議書を作成した以上、原則として遺産分割協議のやり直しはできません。
  4. 必要書類の収集に時間と労力がかかる
    遺産分割協議書を自分で作成する場合は、自分自身で必要書類の収集を行う必要があります。
    例えば、被相続人が生まれてから亡くなるまでのすべての戸籍謄本類、相続人の印鑑証明書などを、漏れなく収集しなければなりません。相続財産を確認するために、クレジットカードの利用明細や預貯金の残高、不動産の情報を集める必要もあります。
    必要書類が不足していた場合には、後から重要な事実が判明するなどして、遺産分割協議をやり直さなければならなくなってしまうこともあります。

このように、遺産分割協議書を自分で作ることには、メリットだけでなくデメリットもあります。
遺産分割協議書を自分で作成する場合は、これらメリット・デメリットを踏まえ、総合的に判断することが重要です。

遺産分割協議書を自分で作成する

1.遺産分割協議書を自分で作る流れ

遺産分割協議書を自分で作成するために、まずは遺産分割協議書を作成するまでの流れを理解しておきましょう。通常、遺産分割協議書は、次のような流れで作成します。

  1. 相続開始(被相続人の死亡)
    相続開始日は、被相続人の死亡日となります。
  2. 相続人の確定
    遺産分割協議に参加する必要のある相続人を確定させる必要があります。被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本類を参考に、相続人が確定するまで戸籍を辿っていきます。
  3. 相続財産の調査
    相続財産の調査を行い、相続財産の範囲を確定させなければなりません。被相続人の所有財産について、金融機関の取引履歴や郵便物などを確認して調べます。借金やローンといった債務も相続財産に含まれるため、忘れずに調べましょう。
  4. 遺産分割協議の実施
    遺言書がない場合は、相続人全員で遺産分割協議を行い、誰がどの遺産を相続するかについて、相続人同士で話し合います。相続人のうち、誰か一人でも遺産分割協議に合意しなければ、遺産分割協議は成立しません。
  5. 遺産分割協議書の作成
    遺産分割協議が成立したら、合意した内容を証明するための「遺産分割協議書」を作成します。
    有効な遺産分割協議書を作成するためには、相続人全員が署名・押印しなければなりません。相続人全員が集まって、その場で全員が署名 ・ 押印する方法もあれば、人数分の遺産分割協議書を郵送で送り、全てに全員が署名・押印してから、それぞれ自分の分を保管する、といった方法もあります。

2.遺産分割協議書を自分で作成するポイント

次に、遺産分割協議書を自分で作成するときのポイントを押さえておきましょう。

遺産分割協議書を自作するときのポイント

2-1.書式は自由

遺産分割協議書の書式は自由です。縦書きでも横書きでも問題ありません。また、署名以外はワープロで作成しても問題ありません。

ところで、遺産分割協議書を白紙の状態から作成しようとすると、なかなか手間のかかる作業になるかと思います。そこで、下のような遺産分割協議書のひな型を活用しましょう。

遺産分割協議書

被相続人●●●●(令和○年○月○日死亡)の遺産につき、本日、共同相続人である甲野一郎及び乙野花子の間で遺産分割協議を行った結果、以下のとおり遺産を分割した。

1.相続人甲野一郎は次の遺産を取得する。

【土地】
所   在  〇〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目
地   番  〇〇番〇〇
地   目  宅地
地   積  〇〇〇.〇〇平方メートル

2.相続人乙野花子は次の遺産を取得する。

【預貯金】
○○銀行○○支店 定期預金 口座番号○○○○○○○

3.本協議書に記載のない遺産及び後日判明した遺産については、相続人甲野一郎がこれを取得する。

以上のとおり、相続人全員による遺産分割協議が成立したので、本協議書を2通作成し、それぞれに署名押印のうえ、各自1通ずつ所持する。

令和×年×月××日

〇〇県〇市〇〇1丁目23-4
甲 野 一 郎    ㊞

△△県△△市△5丁目6-7
甲 野 花 子    ㊞

2-2.被相続人の情報を記載する

誰が財産を残したのか分かるよう、被相続人の名前、生年月日、逝去日、最後の住所、本籍地などの情報を記載しましょう。

2-3.相続人・財産を明確に特定する

誰がどの財産を取得するのか、相続人や財産の内容を明確に特定できるように記載しましょう。
財産の特定について、例えば不動産や預貯金については次のような項目を記載します。

不動産(土地)

  • 所在
  • 地番
  • 地目
  • 地積

 

不動産(建物)

  • 所在地
  • 家屋番号
  • 種類
  • 構造
  • 床面積

 

預貯金

  • 預貯金
  • 金融機関名
  • 支店名
  • 種類
  • 口座番号
相続財産に不動産や預貯金が含まれる場合、通常、その後に相続登記手続きや預貯金の相続手続きが控えています。手続きが問題なく行えるよう、明確な記載がされているか注意しましょう。

遺産分割協議書を作成する前に、手続きを予定している各機関へ、必要な記載事項や提出方法などをあらかじめ確認しておくのもお勧めです。

2-4.新たに遺産が見つかった場合の取り扱いを決めておく

遺産分割協議が成立した後に、新たに遺産が見つかることがあります。
このような場合に、新たに見つかった遺産をどのように処理するのか、あらかじめ遺産分割協議書に記載しておくことが重要です。

新たに遺産が見つかった場合、通常は次のいずれかの方法によって処理することになります。

  • 遺産が新たに見つかった場合、あらためて相続人全員でその遺産の分割方法について協議する、という条項を遺産分割協議書に記載しておく。
  • 「特定の相続人が新たに見つかった遺産を取得する」ことをあらかじめ定め、遺産分割協議書に記載しておく。

2-5.住所は住民票や印鑑証明書に記載されたとおりに記載する

相続手続きで遺産分割協議書を法務局や金融機関に提出する際に、遺産分割協議書の記載内容に不備があると、修正や再提出を求められる可能性があります。
遺産分割協議書を改めて作成するのは、非常に手間のかかる作業です。
このようなリスクを避けるため、住所に関しては住民票や印鑑証明書に記載されたとおりに、正確に記載しましょう。

算用数字か漢数字か、「丁目・号・番・番地」の表記か「-(横棒)」表記か、マンションなどの建物表記はあるかなど、細かい部分ではありますが、一字一句正確に書くようにしてください。

2-6.相続人全員が実印で押印する

遺産分割協議書には、相続人全員が署名し、実印で押印しましょう。

なお、遺産分割協議書に使用する印鑑は、実印でなければならないといった決まりはありません。認印で押印した場合であっても、遺産分割協議書自体の効力が失われることはありません。
ですが、不動産の相続登記や、預貯金口座の解約・払い戻しなどの手続きを行う際に、法務局や金融機関では、相続人全員の実印が押印された遺産分割協議書と、相続人全員の印鑑証明書をあわせて提出することが求められるのが一般的です。

認印を使用してしまうと、こうした相続手続きが滞ってしまうおそれがあるため、必ず実印で押印しましょう。

そして、相続人全員の印鑑証明書を添付します。もし印鑑登録を行っていない相続人がいる場合は、なるべく早めに登録を行っておきましょう。

また、ページが複数にまたがる場合には、契印を押しておくと安心です。

2-7.相続人分の遺産分割協議書を作成する

通常、遺産分割協議書を相続人の数だけ作成し、相続人全員が同じ内容の遺産分割協議書を各自1通ずつ保管するのが一般的です。

遺産分割協議書に記載された内容が同一であれば、遺産分割協議書は何通作成しても問題ありません。

例外的に、遺産分割協議書を1通のみ作成するケースもありますが、「遺産の種類が多い」などの場合、相続手続きの際に1通の協議書を使いまわすのは非効率的です。

相続人の人数分の遺産分割協議書を作成しておくことをお勧めいたします。

遺産分割協議書を作成できる人

1.遺産分割協議書は誰が作る?

これまで見てきた通り、基本的に遺産分割協議書は、相続人が自分で作成するものです。ですが、専門家に作成を依頼することもできます。

遺産分割協議書を作成できる専門家は、「行政書士・司法書士・税理士・弁護士」の4士業です。

遺産分割協議書は、基本的には相続人が自分で作成可能な書類ですが、遺産分割をめぐってトラブルが発生している場合や、遺産に不動産が含まれているケースの相続や、遺産が多い、相続人が多い場合など、相続手続きが複雑になることが予想されるケースの相続では、遺産分割協議書の作成を専門家に依頼したほうが安心です。

2.遺産分割協議書の作成と専門家の特徴

遺産分割協議書の作成を依頼できる専門家のそれぞれの特徴を下表にまとめましたので、ご参考にしていただければと思います。

遺産分割協議書の作成を依頼できる専門家

専門家の特徴

行政書士

  • 他の士業より割安で遺産分割協議書の作成を依頼できることが多い。
  • 遺産分割に関する紛争解決を取り扱うことはできない。

司法書士

  • 遺産分割協議書の作成とあわせて、相続した不動産の名義変更(相続登記)手続きを依頼できる。

税理士

  • 相続税の計算や相続税の申告を依頼できる。
  • 相続税申告に必要となる場合に限り、遺産分割協議書の作成を依頼できる。

弁護士

  • 遺産分割をめぐって相続人間でトラブルがある場合などに、代理人として交渉を依頼できる。
  • 遺産分割協議の内容に関するアドバイスから、遺産分割協議書の作成までワンストップで依頼できる。

それぞれの向き・不向きについては、こちらの関連記事でも解説しておりますので、ぜひ本記事とあわせてご覧いただければと思います。

Q&A

Q1.遺産分割協議書を自分で作成することはできますか?

A:遺産分割協議書の作成者に制限はありませんので、自分で作成することができます。

Q2.遺産分割協議書の作成ができる人は、相続人以外だと誰ですか?

A:遺産分割協議書を作成できる専門家は、行政書士・司法書士・税理士・弁護士の4士業です。それぞれ依頼できる業務やメリット・デメリットが異なりますので、自分のケースに合う人に依頼することが重要です。

Q3.遺産分割協議書を自分で作成する場合、作成方法に決まりはありますか?

A:遺産分割協議書の書き方は基本的に自由で、明確な規定はありません。
ですが、相続財産に不動産や預貯金が含まれる場合、通常はその後に相続登記手続きや預貯金の相続手続きが控えていますので、これらの手続きが問題なく行えるよう正確・具体的な記載がなされているか、注意が必要です。

まとめ

本記事では、遺産分割協議書を自分で作成する場合の注意点や作成におけるポイントなどについて、弁護士が解説させていただきました。

遺産分割協議書は自分で作成することができますが、不動産の相続登記や預貯金の相続手続きなどで問題なく使用することができなければ、作成のために割いた時間や労力が無駄になってしまいます。
遺産分割協議書を正しく作成るために、専門家に作成を依頼することも検討してみてはいかがでしょうか。

弁護士は、遺産分割の紛争において、代理人として他の相続人と交渉したり、交渉で決着がつかない場合には調停や裁判を代理したりすることのできる唯一の専門家です。
遺産分割協議書の作成だけでなく、遺産分割協議の内容に関するアドバイスの提供・他の相続人との交渉などを、一括して依頼することが可能です。

遺産分割協議書の作成にお悩みの際には、ぜひお気軽に当法律事務所の弁護士にご相談ください。弁護士法人あおい法律事務所では、弁護士による法律相談を初回無料で行っております。お電話でのご相談もお受けしておりますので、当ホームページのWeb予約フォームやお電話にてお問合せいただければと思います。

この記事を書いた人

弁護士法人あおい法律事務所
代表弁護士

雫田 雄太

略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。3,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。

家庭の法律問題は、なかなか人には相談できずに、気付くと一人で抱え込んでしまうものです。当事務所は、家庭の法律問題に特化した事務所であり、高い専門的知見を活かしながら、皆様のお悩みに寄り添い、お悩みの解決をお手伝いできます。ぜひ、お一人でお悩みになる前に、当事務所へご相談ください。必ずお力になります。