遺産分割を弁護士に相談・依頼するメリットと費用

遺産分割

更新日 2024.10.08

投稿日 2024.03.06

監修者:弁護士法人あおい法律事務所

代表弁護士 雫田雄太

略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。3,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。

弁護士法人あおい事務所の相続専門サイトをご覧いただき、ありがとうございます。当サイトでは、相続に関する法的な知識を分かりやすくお届けしております。皆様のお悩みの解消に少しでもお役立ちできましたら幸甚です。

遺産分割では、「誰がどの遺産のどれだけ受け取るのか」や「不動産をどのように分けるのか」といったことを決めなければなりません。

遺産分割で決めた内容は、直接関わった相続人だけでなく親族全員に影響を及ぼすため、トラブルが起こることも珍しくありません。相続人間で意見が合わず、遺産分割が原因で長期的な対立が起き、相続手続きの完了が遅れることもあります。

また、遺産分割について適切な知識がないと、自分の相続分を不当に減らされてしまうリスクもあります。

このようなトラブルを避けるために、遺産分割の手続きを弁護士に相談していただくことをお勧めしております。弁護士は、遺産分割の手続きを公平かつ迅速に進めるためにサポートするため、最も公正で有利な条件での解決が期待できます。

そこでこの記事では、遺産分割を巡るトラブルや問題に直面した際に、弁護士に相談・依頼するメリットについて、具体的にご紹介いたします。また、気になる弁護士費用や、遺産分割に強い弁護士の選び方などについても詳しく解説させていただきます。

遺産分割を弁護士に依頼するか検討中の方にとって、本記事がご参考となりましたら幸いです。

目次

遺産分割を弁護士に相談・依頼すべき8つのメリット

弁護士に依頼するかを考える際、そもそもなぜ弁護士に依頼すべきなのかを知っていなければ、自身の状況に応じた適切な判断ができません。

そこで、まずは弁護士に遺産分割を依頼することで得られるメリットについて、詳しく見ていきましょう。

メリット①法的に適正な方法で遺産を分けることができる

遺産分割には、「誰が相続人として認められるか」や「各相続人にどの程度の割合が適用されるか」などの決めるべき事柄がたくさんあります。こうした内容について、ただ相続人間で決めれば良いというわけではなく、法律に基づいて決めなければなりません。

そのため、遺産分割に関する法律について正確に理解していなければ、遺産分割協議を進めることは難しいのです。それだけではなく、自身の権利や法律上の制約について把握していないと、自身に不利益な条件で合意してしまう可能性も高まってしまいます。

弁護士は、これらの法的な要点に精通しておりますので、遺産分割を適切に進めるための知識を提供することができます。さらに、不公平な要求をしてくる相続人に対しても、弁護士は法的根拠に基づく解決策を提示できます。

例えば、特定の相続人が大部分の相続を要求する場合でも、法定相続分に則った分割案を提示することで、他の相続人も納得させることが可能です。

また、被相続人の財産増加や維持に特別な貢献をした相続人への「寄与分」を考慮することも重要です。弁護士は寄与分の主張がどの程度認められるかの見通しを立て、認められる場合はその主張を有利に進めることができます。

このように、弁護士に遺産分割を依頼することで、法的知識に裏打ちされた公正で適切な遺産分割を実現することが期待できます。

メリット②将来的なトラブル予防と発生したトラブルの円滑な解決ができる

親族といっても、日頃から関係性が良好とは限りません。また、たとえ普段は良好な関係を築けていても、遺産分割協議中の意見の不一致から、感情的な対立が生じることは珍しくありません。遺産や負債といった財産が絡むと、家族間でも対立が起きやすいものです。

こうした状況で遺産分割を進めても、「やっぱり分割内容に納得できない。」、「遺産分割をやり直したい!」と後になって話を蒸し返されてしまう恐れがあります。

こうした事態が起こることを避けるべく、また、トラブルが生じた際にはなるべく円滑に解決できるよう、弁護士に依頼することが推奨されます。

例えば、遺産の価値評価や分割方法に関しては、親族間で解釈が異なり、不公平感や不満が生じやすいです。弁護士が関与することで、法的に正当な解決策を提供するだけでなく、当事者間の対立を緩和し、客観的な立場から冷静に話し合いを進めることが可能です。

また、弁護士は法的手続きの流れや必要な書類の準備に精通しているため、遺産分割協議を効率的に進めることができます。適切な契約書や合意書を作成し、後から不満が出ないように事前にリスクを排除することができるのです。このように、事前に弁護士に相談することで、法的に正しい考え方や解決方法を確認し、合意内容を検討することができるため、将来的なトラブルを回避しやすくなります。

また、自分たちだけでは解決できず、相続手続きでトラブルが実際に発生した場合でも、弁護士は法律に基づいた冷静な対応を行い、裁判所を含めた適切な解決策を模索します。

弁護士に依頼すれば、相手方との交渉を代行してもらうことができますし、必要に応じて家庭裁判所における遺産分割調停の代理人として手続きや話し合いを代行してもらうことができます。弁護士が介入することで、相手方も感情的な対応を抑え、話し合いを受け入れやすくなります。これにより、よりスムーズに遺産分割の協議が進むことが期待できます。

遺産相続に関わる専門家には司法書士や行政書士もいますが、法律相談を受け、実際のトラブル解決を担うことができるのは弁護士だけです。法的な知識と経験を持つ弁護士に依頼することで、遺産分割の問題が効率的かつ円滑に解決される可能性が高まります。

メリット③協議、調停、裁判を弁護士が代理人として有利に進めてくれる

遺産分割において、弁護士に依頼することで得られる大きなメリットの一つは、協議、調停、裁判といった法的手続きにおいて、弁護士が代理人として有利に進めてくれる点です。

遺産分割の初期段階では、相続人全員で話し合う協議が行われます。しかし、協議で合意が得られない場合、次の手段として家庭裁判所での調停を検討することになります。調停でも解決しなければ、最終的に裁判に発展する可能性もあるでしょう。

こうした法的手続きでは、相続に関する専門知識や法的な解釈が不可欠であり、感情的な対立が絡む場面では、冷静かつ正確な判断を下すことが難しくなることもあります。

この点、弁護士に依頼すれば、依頼者は相手方との直接のやり取りを避けることができますし、家庭裁判所での手続きも弁護士が代理人として行うため、手続きにかかる手間を省け、時間やストレスが大幅に軽減されます。

また、万が一、遺産分割協議での合意に至らず、調停や審判に進むことになった場合でも、弁護士はその豊富な知識と経験を活かして、問題解決に向けて適切にサポートします。

特に、遺産分割調停の際では、弁護士が説得力のある主張を展開し、適切な資料を提出することで、調停委員に主張を認めてもらいやすくなります。
弁護士に依頼することにより協議や調停、審判を有利に進めることが可能になるのです。

メリット④ストレス軽減と心理的負担の緩和

ストレスの軽減と心理的負担の緩和も、弁護士に遺産分割を依頼するメリットの一つです。

遺産分割協議は親族間で行われるため、本音で話すことが難しかったり、感情的なトラブルが生じたりすることが少なくありません。

この点、弁護士に遺産分割協議を依頼すると、弁護士が依頼者の代理人として代わりに話し合いを行います。これにより、依頼者は相手と直接やり取りすることなく、精神的なストレスを軽減できます。

なお、交渉の代理は弁護士にのみ認められた業務であり、司法書士や税理士、行政書士など他の専門家では対応できません。

また、「法律の専門家に任せている」という安心感も得られます。

法的手続きが長引く場合でも、弁護士が全体の進行をしっかり管理してくれるため、依頼者が常に手続きの進み具合を気にする必要がなくなります。弁護士は、手続きの状況を適切なタイミングで報告し、必要なときには相談に乗ってくれるので、依頼者は安心して任せることができます。これにより、遺産分割の話し合いが長期化しても、日常生活や精神状態に与える悪影響を最小限に抑えることができます。余計な心配をせず、精神的な負担を軽減しながら、スムーズに問題を解決することが期待できるでしょう。

遺産分割の手続きは多くの場合ストレスが伴いますが、弁護士のサポートによって、この負担を軽減し、よりスムーズに問題解決に導くことができるのです。

メリット⑤相続人や相続財産の調査を適切に行える

いざ相続を始めると、誰が相続人となるのか分からないケースも少なくありません。兄弟姉妹が多かったり、親族が遠方にいて家族関係を把握しづらかったりと、相続人の特定が難しい場合も、遺産分割を進めるためには、全ての相続人を確定させなければなりません。

ですが、相続人の特定作業をしようとすると、被相続人の一生を通じた全ての戸籍謄本を取得しなければならないため、なかなか手間がかかります。特に、被相続人が高齢であるほど、出生までを追うと時代をかなり遡ることになるため、一見すると読みづらい手書きの戸籍謄本等も出てきます。戸籍謄本の正確な情報を読み取って、相続関係を洗い出さなければならないため、非常に面倒で煩雑なのです。

さらに、相続財産調査においても、被相続人の財産全体を把握するために様々な資料の収集が必要です。相続財産の調査は、時間がかかるうえに専門的な知識も必要であり、一般の人には難しい場合が多いです。

このような相続人・相続財産の調査も、弁護士に依頼することで、漏れなく正確に行うことができます。

また、弁護士は相続関係説明書や相続財産目録の作成も行い、正確かつ効率的に手続きをサポートすることができます。

相続関係説明書は、相続人と被相続人との法的な関係を一覧にした書類です。金融機関や不動産の登記手続きにおいて、相続人が誰なのかを明確にするため、被相続人の家族構成や相続人の関係性を図や表にまとめる必要があります。

相続財産目録は、被相続人が残した財産の一覧をまとめた書類です。この書類には、不動産、預貯金、株式、債務など、すべての相続財産とその評価額が記載されます。財産目録が正確に作成されていることは、相続人間で公平に遺産分割を進めるために非常に重要です。

弁護士は、相続人や相続財産を調査した後、相続関係説明書や相続財産目録を不備なく作成します。金融機関や法務局、家庭裁判所などでの手続きに際し、弁護士によって正確に作られたこれらの書類は非常に有用なのです。

メリット⑥遺産分割協議書を正確に作成してもらえる

遺産分割協議が成立した後、遺産分割協議書を作成しなければなりません。遺産分割協議書は、相続人間の合意内容を正式に記録し、今後の不動産の名義変更や預貯金の払戻し等の相続手続きにも必要となります。

遺産分割協議書の作成には専門的な知識が必要です。不備があると法務局や金融機関では受け付けられず、相続手続きが遅延してしまう可能性があります。また、将来的に相続トラブルの原因となる場合もあります。

弁護士に遺産分割協議書の作成を依頼することで、このような問題を防ぐことができます。

弁護士は、法的要件を満たし、全ての情報を正確に記載した遺産分割協議書を作成します。これにより、法務局や金融機関での手続きがスムーズに進み、相続手続きにおけるトラブルを最小限に抑えることが期待できます。

メリット⑦遺言書の有効性を判断してもらえる

遺言書が存在しても、それが必ずしも法的に有効とは限りません。遺言書が法的な要件を満たしていない、または偽造や改ざんの疑いがある場合、その遺言書は無効となる可能性があります。

弁護士は、遺言書の要式の確認、筆跡の鑑定、保管状態の評価などを通じて、その遺言書が法的に有効かどうかを判断します。遺言書の内容や作成状況に疑問点がある場合、弁護士は「遺言無効確認調停」や「遺言無効確認訴訟」といった法的手段を利用して、遺言書の有効性を正式に確認することができます。

遺言書が無効であると判断されれば、遺産分割の基準が変わり、相続財産の分配方法も変わります。そのため、遺言書が有効かどうかを正確に判断することは、遺産分割が公正かつ正確に行われるために不可欠です。

メリット⑧遺留分請求の可否の判断と請求を代行してもらえる

遺留分とは、法定相続人が最低限保障されている遺産相続の権利を指します。たとえ遺言があったとしても、この遺留分は侵害されるべきではありません。

弁護士は、遺言の内容や遺産分割の内容を確認し、遺留分を侵害していないかどうかを判断します。依頼者の遺留分が侵害されている場合は、遺留分の請求が必要かどうかについてアドバイスを提供し、遺留分の請求手続きも代行することができます。

また、遺留分の請求は相手との感情的な対立を招く可能性があり、一人で行うには複雑で、精神的にも非常に大変です。さらに、遺留分の請求には「相続開始と遺言を知ってから1年間」という期限があり、この期限を過ぎると請求権を失ってしまうため、迅速な対応が必要です。

弁護士に依頼することで、遺留分請求を適切かつ効率的に行うことができます。弁護士は、請求期限内に適切に手続きを進め、必要に応じて相手方との交渉を代行します。これにより、感情的な対立を避けつつ、法定相続人の権利を保護することができます。

遺産分割を弁護士に相談・依頼した場合の費用相場

以上のメリットがある弁護士ですが、依頼しようと思っても、弁護士費用は高い、というイメージがあるのではないでしょうか。

ですが、イメージだけで判断して弁護士への依頼を断念してしまうのは非常にもったいないことです。遺産分割を弁護士に相談・依頼した場合の弁護士費用の相場について解説させていただきますので、ぜひ検討の材料にしてください。

遺産分割を弁護士に相談・依頼した場合の費用相場

 

遺産分割を弁護士に相談・依頼する際に発生する主な費用には、相談料、着手金、報酬金、実費・日当があります。これらの費用は弁護士や法律事務所によって異なりますが、一般的な相場は以下のようになります。

相談料

相談料については、遺産分割の相談を始める際に必要な費用で、一般的に30分ごとに5500円程度が相場とされています。初回相談を無料で提供する法律事務所も多く、この点は事前に確認すると良いでしょう。

着手金

着手金は、弁護士が実際に遺産分割問題に着手する際に必要な費用で、依頼する際に支払います。この金額は22万円~33万円程度が相場とされています。
また、固定金額で設定している場合と、相続財産の額に基づいて一定の率を掛けて計算される場合もあります。

また、話し合いで解決せず、調停や裁判に移行した場合などは追加で11万円程度の費用が必要になることがあります。
具体的な着手金の額や計算方法は初回相談時に把握しておくことが大切です。

報酬金

報酬金は、依頼した案件が解決した際に支払う費用です。この金額は、弁護士に依頼したことで得られた金額(経済的利益)に応じて計算されるのが一般的です。各法律事務所によって報酬金の計算方法は異なりますので、初回相談時に確認しておくようにしましょう。

なお、この金額を実際に回収できたかどうかは、報酬金の発生には影響しません。相手方が実際に支払いを行わなかった場合でも、報酬金の支払い義務は発生します。

実費・日当

弁護士が遺産分割の手続きを進める中で発生する交通費や郵便代などの実費、遠方への出張時の日当などの費用も考慮する必要があります。これらの費用についても事前に弁護士と確認し、予期しない追加費用が発生しないようにすることが重要です。

遺産分割に強い弁護士の選び方

さて、弁護士に相談すると決めたら、自分に合った弁護士を実際に選んでいくことになります。この時、何を判断材料にして、どういった点を基準に選べば良いのでしょうか。

遺産分割に強い弁護士の選び方について、ご紹介いたします。

相続問題の解決実績が豊富であること

遺産分割について依頼するのですから、相続問題の解決実績が豊富な弁護士を選ぶことが重要です。

相続問題を専門に扱ってきた弁護士であれば、単なる遺産分割だけでなく、遺留分の請求や遺言書の有効性の確認など、多岐にわたる相続問題を扱ってきた実績がある可能性が高いです。

相続問題に深い知識と豊富な経験を持っているため、さまざまな複雑なケースへの対応や解決策を提案する力があります。

法律事務所の公式サイトやポータルサイトを活用し、相続問題を専門的に取り扱い、解決事例が豊富な弁護士や法律事務所を探しましょう。

料金体系が明確であること

明確な料金体系のある弁護士は、初回相談料から着手金、成功報酬、そして必要に応じて発生する可能性のある追加の実費に至るまで、すべての費用について詳細に説明してくれます。これにより、依頼者は依頼前に全体の費用を把握することができ、予算の計画を立てやすくなります。

特に、遺産分割の場合、報酬金の費用が相続財産の規模に応じて変わる場合が多いので、報酬金がどのように計算されるのかを事前に詳細に理解しておくことが重要です。

弁護士によっては、相談料が無料である場合や、分割払いなどの支払い方法に柔軟に対応していることもあります。料金体系が明確な弁護士を選ぶことで、依頼者は費用に関する不安を減らし、遺産分割の問題に集中することができます。

初回相談時の印象や相性も重要です

初回相談時の弁護士の対応を重視することが大切です。例えば、説明がわかりやすいこと、些細な悩みや質問に対しても丁寧に応えてくれることなど、初回相談時の弁護士の対応をきちんと見て判断することが、今後の関係性を築く上でとても重要です。相続問題は法律的に複雑な部分も多いため、弁護士が説明を分かりやすくしてくれるかどうかも非常に大切です。難解な法律用語や手続きについて、依頼者の理解度に合わせて噛み砕いて説明し、依頼者が安心して手続きを任せられるようサポートしてくれる弁護士は信頼に値します。

弁護士が依頼者の状況を理解し、共感を示してくれるかどうかも大切です。依頼者の感情や立場に立ったアドバイスができる弁護士は、信頼関係を築きやすくなります。反対に、話を軽く受け止めるような態度や、費用について明確な説明を避けるような弁護士は、避けた方が良いでしょう。

弁護士がどの程度迅速に応答してくれるか、また連絡が取りやすいかどうかも、重要です。連絡がスムーズで、必要なときに適切なサポートが受けられるかどうかを確認しましょう。

初回相談をしたら、必ず依頼しなければならないわけではありません。気になる弁護士が複数いれば、それぞれで初回相談をして比較してみるのも良いでしょう。

 

相続問題は長期間にわたる可能性があるため、信頼できる弁護士を選ぶことが重要です。多少費用が高くても、より良いサービスを提供する弁護士に依頼することが、長期的に見て最良の選択となる場合があります。

遺産分割を弁護士に相談してから解決するまでの流れ

最後に、遺産分割を弁護士に相談してから解決するまでの流れについて、簡単にご説明いたします。

①初回相談に行く

まずは遺産分割に関して、弁護士との初回相談を行います。この段階で相談料が発生することもありますが、当法律事務所のように、無料相談を行っている事務所も多いです。相談では、相続人や相続財産の概要、遺産分割における懸念事項を弁護士に伝え、方針や弁護士費用について確認しましょう。

②弁護士が相続人・財産の調査を行う

弁護士との初回相談を行い、依頼すると決めたら、委任契約を結び、着手金を支払います。依頼された 弁護士は、まず相続人の特定や相続財産の調査を行います。遺言書の有無、遺留分の問題についても、この段階で検討されます。

③遺産分割案の作成と遺産分割協議の代行

弁護士は、収集した情報に基づいて遺産分割案を作成します。この過程で、相続人間の意見調整や、必要に応じて遺留分の請求も検討します。

作成した遺産分割案をもとに、遺産分割協議を進めていきます。弁護士は相続人間の協議や交渉を代行することができるので、感情的な対立を避けることができ、合理的かつ公平な解決が可能となります。

④遺産分割協議書の作成

遺産分割協議が成立したら、合意した内容で、遺産分割協議書を作成します。遺産分割協議書には相続人全員の署名と押印が必要です。協議書を適切に作成し、相続人全員から署名・押印を取り付けるやり取りも弁護士が行います。

⑤遺産分割調停、訴訟への対応

話し合いで合意に至らない場合、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立て手続きを行い、調停の場で話し合いを行います。調停での合意が成立しない場合は、地方裁判所または簡易裁判所に訴訟を提起することになります。
弁護士に依頼した場合、裁判所への出頭などの裁判手続きを全て弁護士が代理人として行います。

⑥依頼の終了

遺産分割問題が解決したら、弁護士費用の清算をして、依頼終結となります。

 

遺産分割を弁護士に相談・依頼することに関するQ&A

Q: 弁護士に相談する前に、遺産分割に関してどのような資料や情報を用意するのが最適ですか?

A: 弁護士に相談する際、被相続人の戸籍謄本、相続財産に関する詳細なリスト(不動産の登記情報、銀行口座の明細、投資資産の詳細など)、存在する場合は遺言書のコピー、および他の相続人の情報などを準備しておくと良いでしょう。これらの情報があれば、弁護士はより具体的かつスムーズに分析とアドバイスを行うことができます。

Q: 弁護士が遺産分割協議に介入すると、どのようなメリットがありますか?

A: 弁護士が遺産分割協議に介入すると、冷静な第三者の視点から協議が進められ、話し合いをスムーズに進められるというメリットがあります。弁護士が法律の専門家として意見を提供し、感情的にならないように話し合いを進行するため、当事者間の感情的な対立が抑えられるでしょう。

また、弁護士が手続きを代行するため、相続人が直面するストレスが大幅に軽減されます。特に、遠方の相続人との話し合いや複雑な交渉が必要な場合、弁護士がこれらをすべて代わりに行うことで、依頼者は話し合いの結果を待つだけで済み、ストレスを感じる機会が格段に減少します。手間も時間も最低限で済みますので、遺産分割協議が進行している間も、普段とほとんど変わらない日常生活を送ることができるでしょう。

Q: 遺産分割協議を弁護士に依頼する際のデメリットは何ですか?

A: 遺産分割協議を弁護士に依頼するにあたって、弁護士費用がデメリットとなりかねません。しかし、増額された遺産分割の取り分と比較して、弁護士費用が高い場合でも、将来のトラブルを未然に防ぐことを考慮すれば、弁護士費用に見合う大きな利益があると言えます。

ただし、相続に関連する手続きに不慣れな弁護士に依頼すると、かえって手続きに時間がかかってしまう可能性がありますので、弁護士の選び方には注意が必要です。適切な弁護士を選べば、多くの場合、メリットがデメリットを上回るでしょう。

また、弁護士費用について疑問や不安がある場合は、初回相談の際に確認しておくと安心です。

まとめ

この記事では、遺産分割における弁護士の役割と、遺産分割を弁護士に依頼するメリットについて、深く掘り下げました。

弁護士に依頼する最大のメリットは、専門的な知識と経験に基づいた適切なアドバイスを受けられることです。これにより、法的な観点から遺産分割を進めることができ、感情的な対立を避けることが可能になります。

また、法的に適正な方法で遺産を分け、将来的なトラブルを予防しつつ、発生したトラブルの円滑な解決を図れる点にあります。弁護士は、協議、調停、裁判などの法的手続きにおいて、専門的な知識と経験を活かして依頼者を有利に導きます。弁護士が代理人として交渉や手続きを代行するので、依頼者はストレスや心理的負担を大幅に軽減でき、安心して手続きに臨むことが可能です。

これにより、何かと揉めがちな遺産分割の手続きを円滑に進めていくことができるでしょう。

なお、遺産分割を依頼する弁護士を選ぶ際には、その料金体系や相続問題に関する実績、自身との相性などを十分に検討するようにしてください。自身との相性を確認するには、実際にその弁護士と話してみることが重要です。多くの法律事務所では、初回無料の法律相談などを実施しておりますので、積極的に活用していきましょう。実際に相談をして、複数の弁護士を比べてみることも弁護士選びでは大切です。

当法律事務所でも、法律相談を初回無料とさせていただいております。初回相談の予約は、ホームページのWeb予約フォームや、お電話にてお受けしておりますので、お気軽にお問合せいただければと思います。

この記事を書いた人

弁護士法人あおい法律事務所
代表弁護士

雫田 雄太

略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。3,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。

家庭の法律問題は、なかなか人には相談できずに、気付くと一人で抱え込んでしまうものです。当事務所は、家庭の法律問題に特化した事務所であり、高い専門的知見を活かしながら、皆様のお悩みに寄り添い、お悩みの解決をお手伝いできます。ぜひ、お一人でお悩みになる前に、当事務所へご相談ください。必ずお力になります。