相続した土地の評価額の調べ方は?不動産の相続税評価額の計算方法も解説!

遺産分割

更新日 2026.03.31

投稿日 2024.05.07

監修者:弁護士法人あおい法律事務所

代表弁護士 雫田雄太

略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。3,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。

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遺産相続で不動産を相続するときに重要なのが「評価額」です。不動産を1人が相続する代わりに他の共同相続人に金銭を支払う場合や、相続税を計算する場合に不動産の評価額が必要となります。不動産はその地域の状況や時世、近隣の土地の開発状況などによっても評価額が変動するため、いつどのように調べるかによって、評価額が大きく異なります。

そんな不動産の評価額ですが、どのように調べるかご存知でしょうか。

調べ方には大きく分けて「路線価」と「固定資産税評価額」の2つの調査方法があるのですが、どちらを利用するかは評価額の使用目的によっても変わります。相続税申告の際は「路線価」を基準に計算し、土地の相続登記(名義変更)の際に貼付する印紙の金額を算定する場合は固定資産税評価額を基準に計算することが一般的です。

また、遺産分割に際して土地を売却する場合などには、近隣の取引事例等を参考に不動産業者が不動産の価格を査定することになるでしょう。

そこでこの記事では、土地を相続した際に発生する相続税や贈与税を計算する際に必要な「土地の評価額」に焦点を当てて、評価額の調べ方や計算方法について弁護士がわかりやすく解説させていただきます。

土地の相続や売却を検討している方にとって、本記事が少しでもご参考となりましたら幸いです。

目次

相続した土地の評価額の調べ方

1.不動産評価額は相続税の計算で重要

土地や建物といった不動産の評価額は、遺産相続において主に2つの場面で使われます。

  1. 不動産を遺産分割する際の基準額として重要

    不動産の遺産相続方法には、不動産をそのまま分割する現物分割、1人が不動産を相続し、他の共同相続人に不動産の価値に応じた代償金を支払う代償分割、不動産を売却した利益を金銭的に分割する換価分割、相続人全員で共有状態に置く共有分割の4つがあります。この中でも、特に代償分割において不動産評価額が重要です。

    代償分割では、他の共同相続人が得る代償金の金額は、不動産の分割時点における評価額(時価)を基準として算出することになります。

  2. 続税の計算において重要

    遺産相続する財産の総額によっては、相続税の申告が必要になります。相続財産の価額は取得時の「時価」によると定められています(相続税法第22条)。

    (評価の原則)
    相続税法第22条 この章で特別の定めのあるものを除くほか、相続、遺贈又は贈与により取得した財産の価額は、当該財産の取得の時における時価により、当該財産の価額から控除すべき債務の金額は、その時の現況による。

    この「時価」とは、「課税時期において、それぞれの財産の現況に応じ、不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額」を意味します(財産評価基本通達1(2))。

    財産評価基本通達1 財産の評価については、次による。(平3課評2-4外改正)
    (2) 時価の意義
     財産の価額は、時価によるものとし、時価とは、課税時期(相続、遺贈若しくは贈与により財産を取得した日若しくは相続税法の規定により相続、遺贈若しくは贈与により取得したものとみなされた財産のその取得の日又は地価税法第2条《定義》第4号に規定する課税時期をいう。以下同じ。)において、それぞれの財産の現況に応じ、不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額をいい、その価額は、この通達の定めによって評価した価額による。

    そして、この価額は、財産評価基本通達の定めによって評価した価額による、とされており、土地の評価にあたっては、「路線価方式」や「倍率方式」によって評価することとされています。

    参考:財産評価基本通達(国税庁)

不動産を売却する場合や代償分割する場合などには、国土交通省の「不動産情報ライブラリ」で検索できる「実勢価格」や、不動産鑑定士が鑑定した土地の価格が参考になりますが、本記事では、「相続税の計算における土地の評価額の調べ方」を中心に、解説させていただきます。

2.不動産評価額の2つの調べ方

相続した土地の相続税評価額の調べ方│2つの評価方法

前述の相続税法第22条の「時価」を算出するために、「財産評価基本通達」に基づいて算出される価額のことを、「相続税評価額」といいます。相続税評価額は、相続や遺贈、贈与によって取得した財産の金銭的価値を評価し、相続税や贈与税の課税価格を決定するために重要な基準です。相続税評価額は実際の不動産の売却価格とは異なるため、その価格を正しく把握することが、相続税の申告において重要となってきます。

相続税評価額を調べるためには、「路線価方式」か「倍率方式」のいずれかの方法によって、土地を評価することになります(財産評価基本通達11)。

財産評価基本通達11 宅地の評価は、原則として、次に掲げる区分に従い、それぞれ次に掲げる方式によって行う。(昭41直資3-19改正)
(1) 市街地的形態を形成する地域にある宅地 路線価方式
(2) (1)以外の宅地 倍率方式

通常は路線価方式で土地の評価額を算定することが一般的ですが、路線価が設定されていない地域などは倍率方式で算定します。

倍率方式

倍率方式は、固定資産税評価額に一定の倍率を掛けることで土地の価値を評価する方法です。国税庁が公表している倍率表をもとに、固定資産税評価額に掛けることで評価額を計算します。

倍率方式は、路線価が設定されていない地域や、路線価による評価が困難な土地に対して適用されることが一般的です。

以下では、相続税評価額の調べ方の2種類の方法について、さらに詳しく解説していきます。

土地の相続税評価額の調べ方

それでは、土地の相続税評価額の2つの調べ方、「路線価方式」と「倍率方式」について見ていきましょう。

1.路線価方式

相続税評価額を計算する際には、基本的に路線価方式を使用します。

路線価方式は、国税庁が公表する「路線価(相続税路線価)」を基にして土地の価値を評価する方法です。

路線価とは、主要な道路に面した土地の1㎡あたりの評価額のことで、国税局長が道路(路線)ごとに路線価を設定し、毎年7月に公表しています。標準的な宅地の路線価を基準とし、道路からの奥行や土地の形状、角地の有無、間口の広さといったその土地の個別の要素を考慮して加算・減算したものが、路線価によるその土地の評価額となるのです。

参考:路線価図・評価倍率表(国税庁)

路線価方式で土地の評価額を計算する場合、計算式は次のようになります。

土地の評価額 = 路線価 × 面積 × 補正率

では、実際に路線価を使って相続税評価額を計算する流れを見ていきましょう。

1-1.固定資産税の納税通知書や登記簿謄本で地積を確認する

まず、固定資産税の納税通知書を準備しましょう。固定資産税納税通知書は毎年4月末から5月頃にかけて送付されます。固定資産税納税通知書には、土地の面積(地積)が記載されていますので、地積を確認しましょう。

なお、土地の面積は法務局で取得できる登記簿謄本でも確認できます。登記簿謄本には、土地の所在地や地目(土地の利用状況)などの情報と共に、土地の面積が記載されています。土地を共有名義で所有している場合は、この際に持分割合も確認しておきましょう。

1-2.路線価を調べる

次に、下の流れで、路線価を調べます。

路線価を調べる流れ

  1. 国税庁ホームページの「路線価図・評価倍率表」ページを開く。
  2. 検索したい地域の都道府県、市町村を選択する。
  3. 調べたい土地が掲載されている路線価図を選択する。
  4. 路線価図上で、その土地が面している道路を見つける。
  5. 道路に記載されている数字で路線価を確認する。

下の画像は、都道府県で「静岡県」、路線価図、「静岡市葵区」と順に選択したときに出てくる画面です。

路線価図・評価倍率表

引用:路線価図・評価倍率表(国税庁)

1-3.路線価に土地の面積を掛ける

路線価方式で計算する場合、路線価に表示される「130E」などの数字とアルファベットが重要になってきます。

下の画像にある「130E」を例に見てみましょう。

アルファベットの「E」など、路線価の数字の後に書かれているアルファベットは借地権割合です。土地の貸し借りのない場合は、このアルファベットは無視して構いません。

路線価

「130」という数字が路線価です。路線価は千円単位で記載されていますので、実際の計算式で当てはめる路線価の数字は「路線価図に記載されている数字 × 1,000」になります。ですので画像の「130E」は、「130 × 1,000 = 130,000」となり、1㎡あたりの路線価が13万円であることを意味しています。

この130Eの土地の地積が、固定資産税納付通知書に「200㎡」と記載されていた場合、土地の評価額は「土地の評価額 = 路線価 × 面積」ですので、「路線価13万円 × 面積200㎡  = 2,600万円」となります。

1-4.補正率を掛ける

ところで、土地は必ずしも正方形のような単純な形状をしているわけではありません。間口が狭い、奥行きが長い、道路に面していない、などの立地条件によっても土地の価値は変動するため、評価額を調整する必要があります。その調整の際に用いられるのが、前述の計算式に出てきた「補正率」です。

土地の評価額 = 路線価 × 面積 × 補正率

上記「1-3.路線価に土地の面積を掛ける」でご紹介した130Eの土地の評価額は、加算・減算が一切無い場合の単純なケースですから、通常は国税庁の「補正率表」の数値を基準に、補正率を掛けていくことになります。

参考:補正率表(国税庁)

仮に、この130Eのケースでの土地の奥行距離が3.5m、住宅街ではなく大工場地区にある場合はどうでしょうか。国税庁の「補正率表」に従うと、補正率が「0.85」とありますので、これを計算式に当てはめます。

路線価13万円 × 面積200㎡  × 補正率0.85 = 2,210万円

単純なケースの評価額が「2,600万円」だったので、補正率で土地の評価額が減算され、約400万円価格に差が出る結果となりました。

なお、路線価方式における「補正率」は、上の例の奥行距離による補正だけでなく、下表のとおりさまざまな種類が定められています。

補正の種類

説明

補正の適用条件 

間口狭小補正

間口が狭い土地の評価額を減額するための補正。

土地の間口が一定の基準より狭い場合。

奥行長大補正

間口に対して奥行きが長い土地の評価額を減額するための補正率。

土地の奥行きが一定の基準より長く、間口に対して不釣り合いな場合。

不整形地評価

正方形や長方形でない不整形な土地の評価額を減額するための補正。

土地の形状が不整形で、有効利用できる面積が減少する場合。

地積規模の大きな宅地の評価

地積が500㎡以上(三大都市圏以外は1,000㎡以上)の土地の場合は大幅に減額するための補正

地積面積が広い宅地のうち、普通商業・併用住宅地区および普通住宅地区に所在するものが対象。

無道路地の評価

道路に面していない土地の評価額を減額するための補正。

土地が道路に面しておらず、アクセスが悪い場合。

これらの補正を適用することで、土地の相続税評価額を減額することが可能です。ただし、補正の計算には専門的な知識が必要ですので、具体的な補正率や計算方法は弁護士や税理士にご相談ください。

具体的な補正率については、国税庁のホームページの補正率表に記載されていますので、確認しておくとスムーズです。

たとえば同じ面積の土地であっても、綺麗な長方形をした土地と、形がいびつで往来もしづらいような土地とでは、使い勝手の良さから長方形の土地の方が価値が高くなるのです。

2.倍率方式

路線価が設定されていない地域や、山林、原野、雑種地などの路線価が定められていない地域において、土地の評価額を計算する際に「倍率方式」が使われます。

倍率方式で土地の評価額を算定する場合、以下の計算式を使います。

評価額 = 固定資産税評価額 × 倍率

それでは、実際に路線価を使って相続税評価額を計算する流れを見ていきましょう。

2-1.固定資産税納税通知書で固定資産税評価額を確認する

倍率方式の倍、まず「固定資産税評価額」を確認しましょう。固定資産税は、不動産の所有者が毎年支払う税金で、固定資産税評価額は固定資産税を計算するために市区町村が算出した評価額です。

固定資産税評価額を調べるには、以下の3つの方法があります。

固定資産税評価額の調べ方

  1. 固定資産税納税通知書を確認する

    毎年1月1日時点の固定資産の所有者に対して、4~6月頃に各市区町村から固定資産税の納税通知書が届きます。納税通知書の中の「課税明細書」と書かれたページを確認すると、課税明細書の「価格」または「評価額」と書かれた欄に、固定資産税評価額が記載されています。固定資産税評価額から売却価格の目安を算定します。固定資産税評価額は実勢価格の約70%程度を目安に決められることが多いため、売却価格の目安は固定資産税評価額を0.7で割ることで求めることができます。

  2. 固定資産税評価証明書を確認する

    固定資産税納税通知書が手もとにない場合は、土地が所在する市町村の役所や市税事務所に出向き、固定資産評価証明書の発行を申請します。申請には、① 申請書(役所で入手またはダウンロード)、② 本人確認書類(運転免許証、パスポートなど)、③ 不動産の所有者との身分関係を証明する書類(請求者が相続人などの場合)、④ 申請手数料(市町村によって異なるため、事前に確認が必要)が必要です。

    固定資産評価証明書の発行申請は郵送でも可能です。郵送の場合は、申請書に必要事項を記入し、本人確認書類のコピーと申請手数料を同封して送付しましょう。

    固定資産評価証明書に記載されている「価格」が固定資産税評価額となります。固定資産評価証明書の発行には数日から数週間かかることがあるため、余裕を持って申請しましょう。

  3. 固定資産課税台帳を閲覧する

    固定資産課税台帳は、各市町村長が保管しているもので、固定資産評価基準に基づいて算出された固定資産のすべてを登録した台帳です。台帳には固定資産の所有者、所在地、評価額が記載されています。不動産の所有者や相続人等の財産の関係者であれば、固定資産課税台帳を閲覧することができます。

    固定資産課税台帳を閲覧するには、固定資産がある市町村の役所に出向き、固定資産税に関する担当課で閲覧の申請をします。申請には① 本人確認書類(運転免許証、パスポートなど)、② 不動産の所有者との身分関係を証明する書類(請求者が相続人などの場合)などが必要です。事前に各市町村のホームページで確認するか、直接役所に問い合わせておくと安心です。

    台帳の閲覧が許可されたら、「価格」欄を確認して固定資産の評価額を知ることができます。

固定資産税評価額の調べ方

なお、固定資産税納税通知書や固定資産税評価証明書のほかにも、市区町村役場で名寄帳を取り寄せることが固定資産税評価額を確認することができます。被相続人の名義でその市区町村内に所有している不動産全てが記載されておりますので、取り寄せておくと便利です。

2-2.倍率を調べる

次に、以下の流れで「倍率」を調べます。

倍率を調べる流れ

  1. 国税庁ホームページの「路線価図・評価倍率表」ページを開く。
  2. 検索したい地域の都道府県、市町村を選択する。
  3. 「この市区町村の評価倍率表を見る」をクリックして評価倍率表を確認する。

倍率方式による計算で用いる評価倍率は、評価しようとする土地の地目(宅地、田、畑、山林、原野、牧場、池沼)ごとに記載されています。

例えば、下の画像は令和5年分の静岡税務署による静岡市葵区の土地の評価倍率表になります。

倍率表

評価倍率表の「固定資産税評価額に乗ずる倍率等」欄に「路線」と表示されている地域については、前述の路線価方式によって土地の評価額を算定します。ですので、上画像の「葵町」は路線価方式で算出することになります。

一方、評価倍率表の上から2つ目、「相淵」を見てみると、相淵の宅地には「1.2」とあります。相淵の宅地は路線価がないため、「1.2」の評価倍率を用いて相続税評価額を計算することになるのです。

2-3.固定資産税に倍率を掛けて相続税評価額を計算する

それでは、相淵の宅地を例に、計算してみましょう。倍率方式では固定資産税評価額に倍率を掛けることで、土地の相続税評価額を計算します。

評価額 = 固定資産税評価額 × 倍率

相淵にある土地の固定資産税評価額が2,000万円の場合、土地の評価額は「2,000万円 × 1.2 = 2,400万円」となります。

なお、倍率方式の場合は路線価方式とは異なり、奥行、間口、形状等の状況による補正は、原則として必要ありません。固定資産税評価額それ自体に、その宅地の形状等が既に反映されているからです。

ただし、特定の場合には調整されることがあります。例えば、地積規模の大きな宅地の場合は、規模格差補正率を乗じて計算した価額によって土地評価額を算出します(財産評価基本通達20―2)。戸建住宅用地として分割分譲する際に発生する減価を反映させるための制度です。

また、評価額の算定方式に関わらず、アパートや賃貸物件の敷地として使われている土地(貸家建付地)の場合や、借地権割合がある場合などにも、土地の評価額は調整されることになります。

なお、「路線価方式」や「倍率方式」のほかにも、公示価格が参考にされることもあります。公示価格は国土交通省の「国土交通省地価公示・都道府県地価調査の検索」に掲載されている土地の標準価格ですが、全国23,000ヶ所の標準値のみで測定されている価格なので、全ての土地を網羅しているものではありません。

そのため、「路線価方式」や「倍率方式」で正確な評価額を算出することが重要です。

3.固定資産税路線価と相続税路線価の違い

ところで、ここまでに出てきた「路線価」とは、「相続税路線価」のことを意味します。これと似た言葉に「固定資産税路線価」があるので、両者の違いを簡単に確認しておきましょう。

相続税路線価は、前述のとおり相続税や贈与税を計算するために用いられますが、固定資産税路線価は、固定資産税や都市計画税、登録免許税や不動産取得税などを計算する際に用いられます。

また、相続税路線価は国税庁が毎年その価格を更新し公表する一方で、固定資産税路線価は市町村が3年ごとに評価します。固定資産税路線価は、一般財団法人 資産評価システム研究センターが公開している「全国地価マップ」で確認することが可能です。

参考:全国地価マップ(一般財団法人 資産評価システム研究センター)

項目 相続税路線価(路線価) 固定資産税路線価
利用目的 土地の相続税評価額の算定 土地の固定資産税評価額の算定
関係する税金 相続税・贈与税 固定資産税・都市計画税・登録免許税・不動産取得税
評価主体 国税庁 市町村(東京23区の場合は東京都)
更新 毎年 3年に1回
公表時期 毎年7月頃 基準年の4月頃
確認方法 国税庁ホームページ 全国地価マップ等
価格評価の時点 1月1日 基準年の1月1日
価格の水準 公示価格の80%程度 公示価格の70%程度

このように、両者は同じ「路線価」であっても、目的・評価主体・更新頻度・価格水準などが異なるため、どの場面でどちらの「路線価」を使うのか、正しく理解しておくことが重要です。

なお、土地の所有者であれば固定資産税納税通知書に固定資産税評価額が記載されているため、実際に固定資産税路線価を調べることはほとんどないかと思います。土地の所有者でない人が、これから取得する土地の固定資産税評価額を知りたい場合に、固定資産税路線価を調べて見当を付けることになるでしょう。

4.土地以外の不動産の評価額は?

さて、ここまでは土地の相続税評価額について解説してまいりました。それでは建物はどうなるのかといいますと、固定資産税評価額を基準にして計算することになります。

建物の場合は、相続した建物の種類(一軒家・マンション)や、被相続人が使用していたものかどうかによって計算方法が異なります。詳しくは、こちらの関連記事をご確認いただければと思います。

土地の評価額と相続税の計算

1.不動産の相続税評価額から相続税を計算する方法

さて、土地の相続税評価額を算出したら、その金額をもとに相続税を計算していきます。以下で、その流れを確認していきましょう。

1-1.遺産の総額を計算する

遺産の総額を計算します。土地の相続税評価額のほかに、預貯金、株式、建物、貴金属など、すべての遺産の相続税評価額を合計して算出します。

1-2.各種控除を適用する

相続税には、基礎控除、配偶者控除、生命保険料控除、寄付金控除など、さまざまな控除があります。これらの控除を適用することで、課税対象となる遺産の金額を減らすことができます。遺産総額から、適用可能な控除の分を差し引きましょう。

1-3.税率を適用する

遺産の総額から控除額を差し引いた額に対して相続税の税率を掛けて、最終的な相続税額を計算します。

相続税額 = 課税対象となる遺産の金額 × 税率 ― 控除額

相続税の税率は、課税対象となる遺産の金額によって累進課税となっています(相続税法第16条)。実際の相続税の計算は複雑ですので、弁護士や税理士などの専門家にご相談いただければと思います。

2.土地の相続税評価額を減額するには

土地の相続税評価額が高いと、その分相続税も高くなります。節税のためには、以下のような特例を活用することが重要です。

2-1.小規模宅地の場合

小規模宅地等の特例は、特定の条件を満たす小規模宅地の評価額を最大80%まで減額することができる制度です。相続税の負担が大きいと、相続人は納税資金を用意するために土地を売却するしかなくなってしまいかねません。ですが、小規模宅地等の特例を利用することで、税負担を軽減し、土地をそのまま所有しやすくなるのです。

この特例は、① 被相続人の居住用宅地、② 事業用宅地、③ 貸付事業用宅地のいずれかの場合に適用することができます。減額できる宅地の面積(限度面積)や減額割合は定められていますので、国税庁のホームページでご確認いただくとともに、弁護士などの専門家にご相談いただくことをお勧めいたします。

相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)

引用:相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)(国税庁)

2-2.土地が借地または貸地の場合

本記事でも少し触れましたが、アパートや賃貸物件の敷地として使われている土地(貸家建付地)の場合や、借地権割合がある場合などにも、土地の評価額は調整されます。

相続した土地が借地または貸地の場合は、借地権割合を考慮して、その分評価額から控除して相続税評価額を計算します。計算方法は、具体的な利用状況に応じて、以下のようになっています。

利用状況

計算式

補足説明 

借地権ありの土地(借地)

土地評価額 = 路線価 × 補正率 × 借地権割合 × 土地面積

借地権割合は路線価図に記載されたアルファベットに対応する割合を適用する。借地権割合は100%以下であるため、自用地より評価額が低くなる。

貸地の場合(他人に貸している土地)

土地評価額 = 路線価 × 補正率 × (1 ― 借地権割合) × 土地面積

自用地の場合よりも評価額が低くなる。

貸家建付地(貸家が建っている土地)

土地評価額 = 路線価 × 補正率 × (1 ― 借地権割合 × 借家権割合) × 土地面積

借家権割合は財産評価基本通達で一律30%と定められている。自用地の場合よりも評価額が低くなる。

貸アパート・マンション建付地

土地評価額 = 路線価 × 補正率 × (1 ― 借地権割合 × 借家権割合 × 賃貸割合) × 土地面積

賃貸割合は賃貸部分の割合を示す。満室なら100%、半分が空室なら50%となる。自用地の場合よりも評価額が低くなる。

以上のとおり、土地の評価額の計算は自分でできるものの、各種控除や補正が必要な場合は特に複雑です。なるべく早い段階で、弁護士にご相談いただくことをお勧めいたします。

相続した土地の評価額の調べ方に関するQ&A

Q1.相続した土地の評価額はどのように調べればいいですか?

A:相続した土地の評価額を計算するためには、路線価方式か倍率方式を用いることになります。まずは国税庁の路線価図を確認し、対象の土地に路線価が設定されてされていれば、路線価方式で計算しましょう。路線価が設定されていない場合は評価倍率が記載されていますので、その倍率で計算していくことになります。

Q2.路線価はどこで確認できますか?

A:国税庁のホームページにある「路線価図・評価倍率表」で調べることができます。

Q3.固定資産税評価額はどこで確認できますか?

A:固定資産税の納税通知書や課税明細書で確認できます。また、市区町村役場で評価証明書を取得することによっても確認することが可能です。

まとめ

本記事では、相続した土地の評価額の調べ方について、弁護士が解説させていただきました。

土地の評価額は、相続税の金額を左右する重要な要素となりますので、正しく理解しておくことが重要です。そして、評価方法には路線価方式と倍率方式の2つの方法がありますので、土地の所在や条件に応じて適切な方法で算出する必要があります。

また、土地の形状は単純な正方形や長方形ではありません。形状や利用状況、接道状況や近隣の環境などによっても、土地の価値というのは変動しますので、さまざまな補正率によって評価額が調整されることにもなります。

適用すべき補正率や特例、各種控除によって、相続税評価額や相続税額は大きく変わってきますので、弁護士にご相談いただければと思います。

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