遺産分割とは?遺産の分け方と手続きの流れ│相続との違いも

遺産分割

更新日 2024.08.12

投稿日 2024.01.25

監修者:弁護士法人あおい法律事務所

代表弁護士 雫田雄太

略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。1,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。

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遺産分割は、亡くなった人が残した財産を相続人の間で分配する手続きのことです。この手続きは、しばしば相続人同士の価値観の違いや財産への思い入れなどにより、複雑で感情的な問題に発展することがあります。
また、遺産には家や土地のような不動産、預貯金や株式のような金融資産、そして思い出の品や家具など、様々な種類があります。そのため、遺産を分ける方法も一つではなく、状況に応じて選択する必要があります。

この記事では、弁護士が遺産分割の方法や手続きの流れについて詳しく解説します。遺産分割においては、亡くなった人の意志を尊重しつつ、相続人全員が納得できる解決策を見つけることが重要です。この記事が、遺産分割をスムーズに進めるための一助となれば幸いです。

目次

遺産分割とは

「遺産分割」とは、亡くなった人の財産を誰がどのくらい相続するかを決める手続きです。遺産分割には主に2つの方法があります。一つは遺言書に基づいて遺産を分配する方法で、もう一つは相続人間の協議や法的手続きを通じて行う方法です。

遺言書がある場合は、その文書に記載された指示に従って財産を分けます。例えば、亡くなった人が遺言で特定の人に特定の不動産を渡すと指定していれば、その通りに遺産が分配されるのです。これを「遺言執行」と呼び、亡くなった人の最終的な意志を尊重して遺産が分配されます。

一方、遺言書がない場合や遺言で全財産の指定がない場合は、亡くなった人の財産は法律により自動的に相続人全員の共有となります。この共有状態を解消するために、相続人は協議を行い、それがまとまらなければ調停や裁判所の審判に頼ることもあります。こうして、それぞれの相続人がどの財産を受け継ぐかを決定します。
遺産分割は、亡くなった人の意志、相続人の関係性、相続財産の種類など、様々な要素を考慮して行う必要があります。

遺産分割と相続との違い

「遺産分割」と「相続」はどちらも、遺産を引き継ぐことを意味するため、同じことを意味するのでは?と思われるかもしれません。ですが、法律上は、遺産分割と相続は別のものとして使い分けされています。

遺産分割と相続には、次のような違いがあります。

  • 遺産分割:遺産の分け方を相続人全員で決めること
  • 相続:被相続人の財産や権利・義務などを受け継ぐこと

違いを理解するために、まずは相続とは何かについて詳しく解説いたします。

相続とは

相続とは、亡くなった人の財産、権利、義務などを引き継ぐことです。これにより、亡くなった人が持っていたさまざまな財産や地位が相続人に移ります。

相続の対象となる財産には、銀行の預金、不動産、株式、自動車などの財産だけでなく、賃貸契約の地位、損害賠償の請求権などの権利や義務も含まれます(プラスの財産)。このようなプラスの財産だけでなく、亡くなった人が残した借金や滞納家賃、税金の支払い義務などのマイナスの財産も相続の対象として受け継ぐことになります。

相続における遺産分割の役割

上で解説したように、「相続」と「遺産分割」は異なる意味で使われますが、遺産分割は相続の一部であると同時に、とても重要な手続きといえます。
相続において遺産分割はどのような位置づけなのでしょうか。具体的に説明していきます。
相続とは、亡くなった人の財産や権利、義務を受け継ぐ一連の手続きを含んでいます。遺産分割はその手続きの中の1つで、相続人が複数いる場合にそれらの財産をどう分配するかを決める手続きを指します。

相続が始まると、亡くなった人の財産は最初にすべての相続人の共有となります。この共有状態では、相続人それぞれが遺産の持ち分に応じた権利を持ちますが、その財産を活用したり処分したりするには、他の共有者全員の同意が必要です。例えば、故人が残した預貯金を解約しようとした場合、単独での解約はできず、全相続人の同意が必要になります。

遺産分割は、この共有状態を解消し、どの相続人が具体的にどの財産を受け継ぐかを決める手続きです。相続人全員が話し合い、合意に達するまでは、遺産は全員の共有状態が続きます。この手続きを通じて、個々の相続人に特定の財産が法的に分配されることになります。
このように、遺産分割は相続において特に重要な手続きとなっています。

遺産分割の方法│4つの分け方を詳しく解説

遺産分割をする方法として代表的なものは、現物分割、換価分割、代償分割、共有分割の4つです。

分割方法

説明

現物分割

遺産をそのままの形(現物)で相続人間で分配する方法

代償分割

一部の相続人が遺産を受け取る代わりに、他の相続人にその価値に相当する現金を支払う方法

換価分割

遺産を売却し、その売却から得られる金銭を相続人間で分配する方法

共有分割

遺産を分割せず、相続人全員が共同で所有する方法

遺産分割には主に4つの方法がありますが、遺産の種類(例えば不動産や預貯金など)、相続人の数や関係性、そして各相続人の要望などに応じて、最も適した方法を選ぶことが重要です。
それぞれについて詳しく説明していきます。

現物分割

「現物分割」は、遺産をそのままの形(現物)で相続人間で分配する方法です。この方法は、預貯金や現金など物理的に分割可能な財産に対して特に有効です。たとえば、預貯金や現金などは、通常この方法で分割されます。また、土地の場合は、分筆して各相続人がその一部を取得することも現物分割の一例です。

現物分割は、相続人それぞれが特定の財産を引き継ぎたい場合に適しています。例えば、ある相続人が特定の不動産を引き継ぎたい、別の相続人が株式を継承したいというような状況では、各相続人が望む財産をそのまま受け取ることができます。

しかし、物理的に分割が可能な遺産に限りこの方法が適用されます。
たとえば、一戸建てのような建物を物理的に2つに分けることはできないですし、土地も分筆が現実的でないことが多く、特に共有者が多い場合は土地が細分化され、不動産の価値を下げる恐れがあります。このような場合は他の分割方法を選ぶ必要があります。

代償分割

「代償分割」とは、一部の相続人が遺産を取得し、その代わりに他の相続人に代償金を支払う方法です。この方法は特に、物理的に分けることが不可能または難しい遺産、例えば建物などの高額資産に適しています。代償分割を行うことで、遺産を処分せずに活用することが可能となります。

代償分割は、土地などの現物分割が可能でも、分筆によって土地が細分化され、使い勝手が悪くなることを避けるために選択されることもあります。たとえば、ある相続人が土地全体を取得し、他の相続人にはその土地の価値に見合った金額を支払う形です。
代償分割を行う際には、遺産の価値を適切に評価することで、公平に遺産が分配されるよう配慮することが非常に重要です。

また、この方法は現物を相続する相続人に一定の資産や支払い能力が必要です。なぜなら、その相続人は相続分以上の遺産を受け取ることで、超えた分を他の相続人に現金で支払う必要があるからです。

換価分割

「換価分割」とは、財産を売却し、その売却から得られる金銭を相続人間で分配する方法です。この方法は代償分割と同じく、物理的に分割ができない場合、または分割によって遺産の価値が下がる場合に適しています。一般的な換価分割の対象としては、不動産や未公開株式などがあります。
換価分割を行う際には、遺産そのものを手放す必要がありますが、得られた代金を相続人間で公平に分割することが可能です。

換価方法としては、遺産を任意に売却して現金化するのですが、家庭 裁判所に申し立てて換価してもらうこともできます。ただし、土地や建物などを売却する際には、相続人全員に譲渡による所得税と住民税が課税されるため、税金の影響により手元に残る金額が減少する点に注意が必要です。

共有分割

「共有分割」とは、遺産を分割せず、相続人全員が共同で所有する方法です。この方法は、特に土地や建物などの不動産を複数の相続人が引き継ぎたい場合に選ばれることがあります。共有分割を行う主な利点は、基本的に相続手続きが登記手続きのみで済むことです。

しかし、共有分割にはいくつかのデメリットがあります。共有状態にした遺産、特に不動産を売却する際や賃貸に出す際には、共有している人全員の同意が必要となります。このような遺産の処分などについて、共有者間での意見の対立を招き、トラブルが発生しやすい原因となることがあります。
そのため、共有分割は短期的には手軽な方法かもしれませんが、長期的にはトラブルが起こる可能性が高いことを考慮する必要があります。遺産分割の方法を選ぶ際には、基本的には、共有分割ではなく、その他の方法を選択することをお勧めいたします。

遺産分割の手続きの流れ

次に、遺産分割の手続きの流れについて、順に詳しく解説していきます。大まかな流れについては、下の図の通りです。

 

遺産分割手続きの流れ

 

遺言書の有無を確認

相続が発生した際、遺産分割の手続きを進める前に、まず亡くなった人が遺言書を残しているかどうかを確認する必要があります。遺言書があるかないかによって、遺産分割の方法や遺産分割の対象となる財産が大きく変わります。
遺言書は以下のような場所で見つかる可能性があります。

 

  • 被相続人の自宅:金庫や鍵付きの引き出し。
  • 法務局:自筆証書遺言の保管制度を利用している場合。
  • 金融機関:貸金庫や遺言信託。
  • 公証役場:公正証書遺言や秘密証書遺言。

また、遺言書の種類によって、必要な手続きが異なります。

遺言書の種類

必要な手続き

自筆証書遺言/秘密証書遺言

家庭裁判所での検認が必要

公正証書遺言

作成者の公証人が所属する公証役場に連絡(原本は公証役場に保管)

遺言書が見つからない場合

最寄りの公証役場に問い合わせて全国の公証役場で保管されている公正証書遺言を検索

さらに、遺言書の作成や保管を専門家に依頼している可能性もあるため、亡くなった人と付き合いのあった弁護士や税理士にも確認すると良いでしょう。遺言書の有無を確認し、存在する場合はその内容に基づいて遺産分割を進めます。遺言書がない場合は、相続人全員で遺産分割協議をする必要があります。

遺言書がある場合│基本的には遺言に従って遺産分割を行う

遺言書がある場合、基本的にはその遺言の内容に従って遺産分割を行います。遺言書には亡くなった人の最終的な意志が記載されているため、これが最も尊重される遺産分割の方法となります。遺言書に遺言執行者が指定されている場合は、この人が遺言に基づいて遺産分割を進めます。

ただし、遺言書が一部の遺産についてしか指定していなかったり、相続分の指定のみであった場合などは、相続人全員による遺産分割協議が必要になります。なお、全ての相続人が合意すれば、遺言書の内容とは異なる方法で遺産を分割することも可能です。

一方で、遺言書が無効である場合もあります。遺言書が法的な要件を満たしていない、内容が不明確、公序良俗に反している、または遺言者に遺言能力がなかった場合などがその例です。遺言書が無効であると判断された場合、相続人全員で新たに遺産分割協議を行う必要があります。

このように、遺言書がある場合はその内容で遺産分割を行うことが基本となりますが、特定の状況においては相続人全員の遺産分割協議が必要となることがあります。遺言書の内容と有効性を慎重に確認し、必要に応じて適切な手続きを行うことが重要です。

遺言書がない場合│遺産分割協議を行う

遺言書がない場合、または遺言書で分割方法が指定されていない場合、または遺言書が無効である場合などには、相続人全員で遺産分割協議を行う必要があります。この協議は、相続人全員が参加して遺産の分配方法について話し合い、相続人全員の合意により成立します。

なお、法定相続人の中に、代襲相続人、包括受遺者、認知された子などがいる場合も、必ず参加が必要であり、1人でも欠けると合意が成立したことにはなりません。

法定相続分と異なる割合での遺産分割も、相続人全員の合意があれば問題ありません。協議が一度成立すると、全員の同意がない限りやり直しはできない点に注意が必要です。
合意が成立した場合、その内容を遺産分割協議書にまとめ、相続人全員が署名押印して締結します。この協議書は、不動産の相続登記手続きや相続税の申告、金融機関での相続手続きなどで必要になります。後日のトラブルを避けるためにも、遺産分割協議書は必ず作成しておきましょう。

このように、遺言書がない場合の遺産分割は、相続人全員の協力と合意が必要であり、遺産分割協議書の作を作成することで分割内容を明確にすることが重要です。

協議が成立しない場合は家庭裁判所に判断してもらう│調停や審判で決定

遺産分割について相続人間での協議が成立しない場合、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることができます。以下はその手続きの概要です。

申立先

相続人の一人の住所地の家庭裁判所、または当事者が合意で定めた家庭裁判所

必要書類

・申立書(原本と相手方人数分の写し)
・亡くなった人の全戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍謄本含む)
・相続人全員の住民票または戸籍附票
・遺産に関する証明書(不動産登記事項証明書、預貯金通帳の写し等)

調停では、調停委員が仲介して遺産分割について話し合いを進めます。全ての相続人が裁判官の提示する調停案に同意すれば、調停が成立し、調停調書が作成されます。

調停が不成立に終わった場合、家庭裁判所は審判によって遺産分割の方法を決定します。審判手続きは調停手続きから自動的に移行するため、追加の申立手続きは不要です。審判では、遺産分割調停の経過や提出された資料を総合的に考慮して、法定相続分を基準に各相続人が取得する遺産額を決定します。
遺産分割の協議や調停では相続人の意向が反映されますが、審判では家庭裁判所が強制的に遺産分割の方法を決めることになります。遺産の種類や分割の複雑さ、各相続人の事情などを考慮して決定されます。

遺産分割の注意点

相続人の確定に時間がかかる場合がある

遺産分割を行う前に、誰が相続人であるかを明確にする必要がありますが、この過程は時に時間がかかる場合があります。特に、相続人が一見して明らかでない複雑な家族構成の場合、相続人の特定にはさらなる時間と労力が必要となります。

一般的に、配偶者と子供が相続人となることが多いですが、相続放棄が行われたり、被相続人に子供がおらず、さらに直系尊属(父母や祖父母など)がすでに他界している場合などは、相続人の確定はより複雑になります。例えば、兄弟姉妹が被相続人より先に亡くなっている場合などは、その子供たち(甥や姪)が代襲相続により相続人となる可能性があります。

このような複雑な状況では、戸籍謄本の取得や相続関係説明図の作成など、相続人を特定するための詳細な調査が必要になります。これらの手続きは複雑で時間がかかるため、相続手続き自体に多くの時間を要する可能性があります。

遺産分割においては、相続人全員の合意が必要であるため、相続人の正確な特定は遺産分割を円滑に進める上で非常に重要です。そのため、相続が発生した場合は、できるだけ迅速に相続人の特定作業に取り組むことをお勧めいたします。

特別受益や寄与分に関する意見の対立

遺産分割において、「特別受益」と「寄与分」に関する意見の対立はよく起こります。
特別受益とは、相続人が故人から生前に受けた特別な利益(例えば、金銭の贈与や遺贈)を指します。この特別受益を受けた相続人は、その利益を相続分から差し引く必要があり、結果として他の相続人の相続分が相対的に増えることになります。

寄与分は、相続財産の維持や増加に特別に貢献した相続人(例えば、長期間の介護や事業の継続など)に対して認められるものです。この貢献により、その相続人の相続分が増え、他の相続人の分が減る可能性があります。

遺産分割協議で特別受益や寄与分を主張する相続人がいる場合は、意見が対立して協議が成立しないケースが多くあります。
このような状況で意見が対立した場合は、相続人同士での解決が難しいため、家庭裁判所に調停を申し立てることが有効な解決策となります。

遺産に不動産がある場合│適切な評価と分割後の手続き

遺産に不動産がある場合は、その性質上、特に注意が必要です。
具体的には、まず不動産を適切に評価する必要があります。市場価値に基づいて正確な評価がなされることが必須であり、これは専門家に査定してもらい評価額を正確に算出することになります。適切な評価が行われなければ、不公平な遺産分割につながる恐れがありますので注意が必要です。

また、税務面でも注意が必要です。不動産の分割や所有権移転には税金が発生します。相続税だけでなく、贈与税や不動産取得税、登録免許税などの影響も考慮する必要があります。

相続税の申告期限までに遺産分割を│税負担を軽減できる

遺産分割を税務上有利に進めるためには、相続税の申告期限内に分割を確定させることが重要です。
相続開始から10ヶ月以内(遅くとも3年以内)に遺産分割協議を確定させると、相続税が低くなる可能性があるからです。この期限内に遺産分割を確定させないと受けられない主な相続税の軽減制度には、例えば以下のようなものがあります。

制度の種類

内容

配偶者の税額軽減

相続した財産が「法定相続分まで」または「1億6000万円まで」の場合、課税されませんが、遺産分割が未了の場合はこの軽減を受けられません。

小規模宅地等の特例

土地を相続する場合には、居住用では240㎡、事業用では400㎡までの土地について、評価額を50%~80%減額できますが、未分割の状態ではこの規定を受けられません。

その他の軽減制度

・非上場株式についての相続税の納税猶予
・農地等の相続税の納税猶予
・物納
未分割状態ではこれらの制度が適用されません。

相続税をできるだけ低くするためにも、遺産分割は、なるべく申告期限までに(遅くとも3年以内に)相続人間の話し合いで解決したいものです。

遺産分割に関するQ&A

Q: 遺産分割協議がまとまらない場合、どうすればよいですか?

A: 遺産分割協議がまとまらない場合は、家庭裁判所に調停や審判を申し立てることができます。この手続きでは、中立的な第三者(調停員)が相続人間の意見の調整を試み、解決に導きます。調停が不成立の場合は、家庭裁判所が審判によって法的に遺産分割の方法を決定します。

Q: 遺産分割において、特別受益や寄与分はどのように扱われますか?

A: 特別受益とは、相続人が故人から生前に受けた贈与や遺贈などの利益のことで、これを受けた相続人の相続分は相応に減少します。一方、寄与分は故人の財産の維持や増加に貢献した相続人に対して認められ、その相続分が増加することがあります。これらは遺産分割において公平性を保つために重要で、合意に至らない場合は裁判所の判断が求められることもあります。

Q: 遺言書が存在する場合、遺産分割はどのように行われますか?

A: 遺言書がある場合、その内容に基づいて遺産分割が行われます。遺言書は亡くなった人の最終意志を反映するため、通常は遺言に記載された指示に従います。ただし、全ての相続人が合意すれば、遺言書の指示と異なる分割を行うことも可能です。遺言書に遺言執行者が指定されている場合、その人が遺産分割を進めます。

Q: 遺産分割で不動産を取り扱う際の注意点は何ですか?

A: 不動産の遺産分割には、正確な評価が必要です。市場価値に基づく専門家の査定が必要とされます。不動産は物理的に分割が難しいため、代償分割、換価分割、共有分割などを検討する必要があります。また、不動産の所有権移転には法的な登記手続きが伴い、税務面での影響も考慮する必要があります。

Q: 遺産分割協議書はどのように作成しますか?

A: 遺産分割協議書は、相続人全員が遺産の分割に関して合意した内容を正式に記録する文書です。この文書には、分割する財産の詳細、各相続人が受け取る遺産の具体的な内容などを記載します。協議書は、将来的なトラブルを防ぐための重要な書類ですので、弁護士のアドバイスを受けながら慎重に作成することをお勧めいたします。

まとめ

遺産分割は、亡くなった人が残した財産を相続人たちで分け合う手続きです。遺言書がない場合は、遺産分割協議により相続人全員で遺産分割の内容を決定します。もし相続人たちの間で意見が合わないときは、裁判所に解決を求めることもできます。

遺産相続は、相続人だけで行うこともできますが、時には相続人の見落としや、遺産分割の際に感情的な対立が起こることがあります。これによって、手続きはより複雑となり、スムーズに進まない可能性があります。

遺産分割は、みんなが納得できるように進めることが大事です。弁護士は遺産相続に必要な全ての手続きを代行し、スムーズかつ迅速な解決をサポートします。トラブルを避けて、円滑に相続を進めたい方には、弁護士に相談することをお勧めいたします。

この記事を書いた人

弁護士法人あおい法律事務所
代表弁護士

雫田 雄太

略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。1,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。

家庭の法律問題は、なかなか人には相談できずに、気付くと一人で抱え込んでしまうものです。当事務所は、家庭の法律問題に特化した事務所であり、高い専門的知見を活かしながら、皆様のお悩みに寄り添い、お悩みの解決をお手伝いできます。ぜひ、お一人でお悩みになる前に、当事務所へご相談ください。必ずお力になります。