数次相続|数次相続とは?遺産分割協議書の書き方や相次相続などとの違いも

遺産相続

更新日 2026.02.19

投稿日 2024.08.06

監修者:弁護士法人あおい法律事務所

代表弁護士 雫田雄太

略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。3,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。

弁護士法人あおい事務所の相続専門サイトをご覧いただき、ありがとうございます。当サイトでは、相続に関する法的な知識を分かりやすくお届けしております。皆様のお悩みの解消に少しでもお役立ちできましたら幸甚です。

ある遺産相続を進めている最中に、当事者である相続人が亡くなってしまうこともあります。最初の遺産相続が完了しないうちに、新たに次の相続が発生しているこうした状況を、「数次相続(すうじそうぞく)」といいます。

数次相続では、複数の遺産相続について、遺産分割協議を同時に行わなければならず、通常の相続よりも手続きが複雑になりがちです。

そこでこの記事では、数次相続について、弁護士が詳しく解説させていただきます。数次相続の基本的な概念や、当事者が誰になるかといった前提について確認し、数次相続が発生した場合の遺産分割協議書について、書き方や記載例を見ていきたいと思います。

また、数次相続における相続登記の手続きや、相続税についてもご説明いたします。

数次相続に直面した際に、落ち着いて準備し適切な対応ができるよう、本記事が少しでもお役に立てましたら幸いです。ぜひ最後までご覧ください。

目次

数次相続

1.数次相続とは

数次相続(すうじそうぞく)とは、ある人(第一次被相続人)の遺産相続(一次相続)が開始した後、その遺産分割が終了する前に、一次相続の相続人(第二次被相続人)の相続(二次相続)も開始した状況のことをいいます。

数次相続の具体例

まず、父親であるAさんが亡くなり、Aさんを被相続人とする遺産相続が始まったとしましょう(一次相続)。Aさんの相続人は、妻Bさん、二人の子どもC・Dさんです。

ところが、一次相続の遺産分割協議が進んでいる間に、相続人の一人である長男Cさんが突然亡くなったため、Cさんを被相続人とする相続も始まりました(二次相続)。

長男Cさんには妻Eさん、子どもFさんがいます。Cさんが亡くなったことで、Cさんの相続人としてEさんとFさんが新たに登場することになります。つまり、Cさんの財産をEさんとFさんが相続することになります。

このケースでは、一次相続であるAさんの遺産分割協議に、Cさんの相続人であるEさんとFさんも参加する必要があります。つまり、Aさんを被相続人とする一次相続に関して、B・D・E・Fさんで遺産分割協議を行うことになるのです。

このように、一次相続に関する遺産分割協議が進行中に相続人の一人が亡くなると、一次相続、二次相続と相続が連続して発生するため、各相続の手続きを一度に進める必要があります。そして、一次相続の進行中に亡くなった相続人の相続権が次の相続人に引き継がれるため、最初の遺産相続の協議に新たな相続人が参加することになります。一次相続の遺産分割協議に、二次相続の相続人も参加することになるのです。

2.数次相続と相次相続・代襲相続との違い

数次相続と似た言葉に、「相次相続」や「代襲相続」、「再転相続」といったものがあります。これらの意味と、数次相続との違いについて確認していきましょう。

2-1.数次相続と代襲相続との違い

代襲相続とは、被相続人が亡くなる前に子供が亡くなっていた場合に、亡くなっていた子供の子(被相続人の孫)が相続人となる仕組みのことです(民法第887条)。

例えば、Aさんには父Bさんと祖父Cさんがいたとしましょう。祖父Cさんの遺産相続が始まった時に、本来相続人となるCさんの子Bさんが、すでに亡くなっていた場合、Bさんの子であるAさんがBさんの相続権を受け継ぎ、祖父Cさんの遺産相続における相続人となります。これが代襲相続です。

なお、代襲相続は相続人の死亡だけでなく、被相続人の子供が相続欠格や相続廃除となっていた場合にも発生します。

したがって、数次相続と何が違うのかといいますと、数次相続は「遺産分割中に相続人が死亡して次の遺産相続が発生する」ことで、代襲相続は「遺産分割が始まる前に相続人が死亡していたため、その故人の相続権が故人の子孫に受け継がれる」こと、となります。

2-2.数次相続と相次相続との違い

相次相続(そうじそうぞく)とは、「相次で(あいついで)」という字の通り、短期間のうちに複数回の相続が連続して発生することを指します。

例えば、ある被相続人(一次相続)の死亡によって配偶者が財産を取得し、相続手続きが完了した後、まもなくその配偶者も死亡(二次相続)して子が財産を取得するようなケースをいいます。

短期間に複数回相続が行われると、長期間相続が発生しなかった場合と比較して、一定期間内での相続税の負担が重くなってしまうという問題があるため、相続税の軽減を図る「相次相続控除」という制度が設けられているのが特徴です。

つまり、相次相続は、最初の遺産分割が完了している上で、短期間に次の遺産相続が発生することですが、数次相続は「最初の遺産分割が完了していないうちに次の遺産相続が発生すること」、という違いがあります。

2-3.数次相続と再転相続との違い

再転相続とは、最初の遺産相続の「熟慮期間」が経過する前に、次の遺産相続が始まることをいいます。
「熟慮期間」とは、ある遺産相続について、相続人が承認するか相続放棄するかを決めるための期間のことです。民法によって、相続開始から3か月以内と定められています
(民法第915条・同第916条)。

具体的には、一次相続の相続人が、相続を承認するか放棄するかの選択をしないまま、熟慮期間中に死亡して二次相続が発生した場合を指します。二次相続の相続人(再転相続人)が、一次相続と二次相続の両方について、承認するか相続放棄するかの選択権を承継することになります。

数次相続は、「遺産分割が完了する前」に次の相続が発生することなので、再転相続に似ていますが、その時間的な範囲はより広いといえます。再転相続は「熟慮期間が経過前に次の遺産相続が始まること」なので、より限定的です。

種類 概要 数次相続との違い
代襲相続 遺産相続が始まる前に本来の相続人が亡くなっており、その子孫が代わりに相続すること。 数次相続では遺産分割の途中で相続人が亡くなるが、代襲相続では相続開始前に亡くなっている。
相次相続 最初の遺産分割が完了した後、短期間のうちに次の相続が発生すること。 数次相続では、最初の遺産分割が終わっていないうちに次の相続が発生する。相次相続の場合は「遺産分割が完了した後」に次の相続が発生する。
再転相続 相続を承認するか放棄するか決める熟慮期間の経過前に相続人が亡くなり、次の相続が発生すること。 数次相続は「遺産分割が完了する前」に次の相続が発生することで、再転相続は「熟慮期間内」と、より限定的。

3.数次相続はどこまで続く?

3-1.数次相続は何次まで?

数次相続は、その名の通り、一次相続、二次相続、三次相続と連続して発生する相続のことを指します。そして、数次相続には「何次までが数次相続である」といった決まりはないため、理論上、無限に続く可能性があります。

例えば、Aさんが亡くなり(一次相続)、その相続人である長男Bさんが相続を承認します。しかし、その後すぐにBさんも亡くなったとします(二次相続)。Bさんの相続人は、Bさんの子どもCさんです。ここで、Cさんが相続を承認した後に、Cさんも亡くなった場合(三次相続)、Cさんの子どもDさんが新たな相続人となります。

このように、数次相続は相続人が亡くなるたびに、新しい相続が発生し続けるのです。

3-2.数次相続の法定相続人の範囲

数次相続が発生した場合、相続人関係がより複雑になるため、相続人が誰かを確定することが非常に重要です。特に、遺産分割協議は相続人全員が参加して、全員が合意する必要があるため、相続人が一人でも欠けていると合意が無効となってしまいます。

さて、遺言などによって指定されていない限り、基本的には民法に定められた法定相続人が相続人となります。下表のとおり、被相続人との関係性(続柄)によって法定相続人になる順位が決められており、順位が上の法定相続人がいる場合は、下順位の人は相続人になることはできません。

順位

相続人の範囲

説明 

常に相続人

配偶者

配偶者は常に法定相続人となります(民法第890条)。

第一順位

被相続人の子または孫

被相続人の子が亡くなっている場合は、その子供(被相続人の孫)が法定相続人となります(民法第887条1項、同2項)。

第二順位

被相続人の父母または祖父母

被相続人の父母が既に亡くなっている場合は、祖父母が法定相続人となります(民法第889条1項1号、同第889条2項)。

第三順位

被相続人の兄弟姉妹

被相続人の兄弟姉妹が亡くなっている場合、その子供である甥や姪が法定相続人となります(民法第889条1項2号、同第889条2項)。

数次相続では、発生した全ての遺産相続の被相続人について、出生から死亡までの連続した戸籍謄本を取得し、それぞれの相続における相続人が誰かを調べていくことになります。

全ての相続について相続人が確定したら、その相続人全員で遺産分割協議を進めていくことになります。遺産分割協議については、後述の「数次相続と遺産分割協議書」をご参照ください。

4.数次相続がある場合の法定相続分

数次相続が発生した場合の相続人の法定相続分(法定相続割合)は、一次相続における法定相続割合が基準となります。

数次相続がある場合の法定相続分の具体例

例えば、Aさんが亡くなった場合に、妻Bさんと子供(長男Cさん、長女Dさん)が相続人となるケースで考えてみましょう。Aさんが被相続人である一次相続の法定相続割合は、妻Bさんは被相続人の配偶者なので1/2、長男Cさんと長女Dさんは、被相続人の子なのでそれぞれ1/4ずつとなります(民法第900条1号)。

そして、一次相続の遺産分割協議が終わる前に長男Cさんが亡くなり、Cさんを被相続人とする遺産相続が始まったとします(二次相続)。長男Cさんには、妻Eさんと子供Fさんがいるため、Cさんの相続割合である1/4についてをEさんとFさんで相続することになります。配偶者と子供1人が法定相続人の場合、それぞれの法定相続割合は1/2なので、EさんとFさんの相続割合は、それぞれ1/8ずつ(1/4 × 1/2)となります。

つまり、被相続人Aさんについての遺産分割(一次相続)について、Aの妻Bさんが1/2、長女Dさんが1/4、Eさんが1/8、Fさんが1/8という割合になるのです。

数次相続と遺産分割協議書

1.数次相続と遺産分割協議

1-1.数次相続における遺産分割協議

相続人を確定した後、遺言がない場合は相続人全員で遺産分割協議を行います。数次相続では、被相続人ごとに遺産分割協議を個別に行う方法と、全ての相続を一度にまとめて協議する方法の2通りがあります。

一次相続と二次相続の相続人が共通する場合は、遺産分割協議を一回でまとめて行う方がスムーズです。

例えば、被相続人Aさんについて、長男Bさん、次男Cさん、長女Dさんが相続人だとしましょう。遺産分割が終わる前にBさんが亡くなり、Bさんに妻子や両親がいなかったため、Cさん・DさんがBさんの遺産についても相続人となったとします。この場合、Aさんについての遺産相続と、Bさんについての遺産相続の相続人が、Cさん・Dさんと共通しています。
このように相続人が複数の相続で共通している場合は、まとめて遺産分割協議を行う方が、当事者にとって手間も少なく便利です。

一方、一次相続と二次相続の相続人が共通でない場合、遺産相続ごとに遺産分割協議を行う方がよいケースもあります。

例えば、父Aさんの相続人が母Bさんと長男Cさんとしましょう。遺産分割中にCさんが亡くなり、Cさんの妻Dさんと子供Eさん・Fさんが新たに相続人になったとします。
この場合、Aさんの財産についての最終的な相続人はBさん、Dさん、Eさん、Fさんです。一方、Cさんの財産についての最終的な相続人は、DさんとEさん、Fさんになります。
この場合、遺産相続ごとに遺産分割協議を行う方が、当事者にとっても複雑化しすぎず、合意を得やすいかもしれません。

どちらの方法を選ぶにしても、相続人全員が参加し、全員の合意を得ることが重要です。

1-2.遺言書があれば遺言に従う

さて、遺言書があれば、通常は遺言の内容に従うことになります。
遺言を残したケースで数次相続が発生した場合、遺言書で財産を承継することになる相続人が死亡してしまったら、遺言書の効力はどのようになるのでしょうか。

例えば、被相続人Aが「相続人Bに不動産を相続させる」旨の遺言を残しており、不動産の所有権移転登記を完了する前にBが死亡してしまった場合です。なお、Bには子Cがおり、Cが相続人となるケースです。
この点、「相続させる」旨の遺言について、判例は次のように述べています。

 

このような遺言にあっては、遺言者の意思に合致するものとして、遺産の一部である当該遺産を当該相続人に帰属させる遺産の一部の分割がなされたのと同様の遺産の承継関係を生ぜしめるものであり、当該遺言において相続による承継を当該相続人の受諾の意思表示にかからせたなどの特段の事情のない限り、何らの行為を要せずして、被相続人の死亡の時(遺言の効力の生じた時)に直ちに当該遺産が当該相続人に相続により承継されるものと解すべきである。

(最高裁判所平成3年4月19日判決)

 

つまり、移転登記を完了していなくても、Bは被相続人Aの死亡時に遺言書によって不動産を承継している、ということになります。結果、Bの相続人Cが不動産を相続することとなり、実務上はAからBへの所有権移転登記とBからCへの所有権移転登記を行うことになるのです。

2.数次相続で遺産分割協議書は必要?

遺産分割協議書を必ず作成しなければならない、という決まりはありません。あくまで作成は任意ですが、不動産などの所有権の移転登記をする際や、相続税の申告でも提出が求められることになります。後々のトラブルを防ぐために、書面に残しておくことが推奨されます。

数次相続の場合、複数の遺産分割について一通の遺産分割協議書にまとめる方法と、遺産相続ごとに個別に遺産分割協議書を作成する方法があります。混乱を避け、誰の遺産相続についての遺産分割かを明確にするためにも、個別に遺産分割協議書を作成することをお勧めいたします。

通常の遺産相続の遺産分割協議書と異なり、一次相続の遺産分割協議書では、一次相続の相続人が二次相続の相続人に引き継がれることを、具体的に明記することが重要です。

以下では、数次相続における遺産分割協議書の書き方と記載例を、具体的に確認していきたいと思います。

3.数次相続における遺産分割協議書の書き方

3-1.被相続人でもある相続人の肩書き

数次相続では、あとで亡くなった「被相続人」は、最初に亡くなった人の「相続人」の立場でもあります。例えば、父親Aさんの遺産分割中に長男Bさんも亡くなった場合、BさんはAさんの相続人ですが、Bさん自身も被相続人となります。この場合、Bさんの肩書きは「相続人兼被相続人」と表記します。

3-2.相続人の署名欄の肩書き

遺産分割協議書は、最後に相続人全員が署名押印します。その署名欄に関して、通常の遺産相続では、相続人の肩書きはシンプルに「相続人」です。一方、数次相続では、相続人としての地位が重複する人もいるため、どの相続に関する相続人かを明記しなければなりません。
具体的には、以下のように記載します。

相続人 △△△△
相続人兼Bの相続人 〇〇〇〇
相続人兼Bの相続人 □□□□

上の例であれば、「△△△△」さんはAさんの遺産相続でのみ相続人です。一方、「〇〇〇〇」さんと「□□□□」さんは、Aさんについての相続人かつBさんについての相続人、ということになります。

4.数次相続における遺産分割協議書の記載例

以上の通り、遺産分割協議書の冒頭部分に一次相続および二次相続の被相続人の詳細情報を記載し、相続人全員の署名欄の肩書きも具体的に記載します。

遺産分割協議書

被相続人 A
生年月日 昭和○○年○○月○○日
死亡日 平成○○年○○月○○日
本籍地 ○○県○○市○○町○丁目○番○号
最後の住所地 ○○県○○市○○町○丁目○番○号

相続人兼被相続人 B
生年月日 昭和○○年○○月○○日
死亡日 平成○○年○○月○○日
本籍地 ○○県○○市○○町○丁目○番○号
最後の住所地 ○○県○○市○○町○丁目○番○号

被相続人の相続人全員は、被相続人の遺産について協議を行った結果、次のとおり分割することに合意した。

(中略)

令和○○年〇月〇日

住所 ○○県○○市○○町○丁目○番○号
相続人 ×××× ㊞

住所 ○○県○○市○○町○丁目○番○号
相続人兼Bの相続人 △△△△ ㊞

住所 ○○県○○市○○町○丁目○番○号
相続人兼Bの相続人 ◇◇◇◇ ㊞

数次相続と相続放棄

相続放棄とは、被相続人の遺産を相続する権利を放棄する手続きです。相続放棄をした相続人は、「初めから相続人でなかったもの」とみなされ、遺産を相続する権利を失います。

被相続人に多額の借金がある場合や、相続人同士のもめごとに巻き込まれたくない場合に利用されることの多い手続きですが、数次相続では相続放棄をするにあたって制約があるため注意が必要です。

以下では、具体的に相続放棄できるケースとできないケースを確認しましょう。

1.数次相続において相続放棄できるケース

前提として、数次相続において自由に相続放棄を選択できるのは、最初の相続開始以降に亡くなった相続人が、相続承認の意思表示をしていなかった場合に限られます。つまり、本記事で前述した「再転相続」の場合に、二次相続以降の相続人は承認か放棄かを選べることになります。

この場合に、一次相続と二次相続の両方で相続権を持つ相続人は、理論上以下の4通りの組み合わせを選択することが可能です。

  1. 一次相続を承認し、二次相続を承認する
  2. 一次相続を承認し、二次相続を放棄する
  3. 一次相続を放棄し、二次相続を承認する
  4. 一次相続を放棄し、二次相続を放棄する

両方を承認する場合、相続放棄の手続きをしなければよく、両方について相続放棄をしたい場合は、相続放棄が認められる期間内に手続きを行う必要があります。

やや複雑なのは、「一次相続を承認し、二次相続を放棄する」ケースと、「一次相続を放棄し、二次相続を承認する」ケースです。

  1. 一次相続と二次相続の両方で相続放棄する

    例えば、祖父についての遺産分割中に父親が亡くなった場合、子は祖父と父のそれぞれの遺産相続において相続人となります。この場合に、一次相続と二次相続の両方を相続放棄することが可能です。祖父や父親に借金などがあった場合は、熟慮期間の3か月以内に両方について相続放棄をすることで、子は負債を相続しなくて済みます。

  2. 一次相続を承認し、二次相続を放棄する

    先に一次相続を承認した場合、二次相続を放棄することは可能です。祖父の遺産を相続することが、父親の遺産についての相続放棄に影響することはありません。再転相続人としての固有の権利として祖父の遺産を相続するため、父親の遺産相続に対する権利とは別のものと考えられています。

  3. 一次相続を相続放棄し、二次相続を承認する

    先に一次相続について相続放棄した場合、二次相続については相続権を持ち続けます。祖父の遺産についての相続権を放棄しても、父親の遺産についての相続権は別の権利なので、影響を受けることはないからです。仮に、祖父に多額の借金があり、父親には借金がない場合、子は祖父の相続(一次相続)を放棄して父親の遺産を相続(二次相続)することで、祖父の借金を相続せずに父親の財産だけを相続できます。

2.数次相続において相続放棄できないケース

  1. 熟慮期間が経過している

    原則として、相続放棄は「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内」に行わなければ認められません(民法第915条1項)。そのため、この3か月の熟慮期間が経過してしまった場合や、熟慮期間内に相続を承認するような行為(財産の使用や処分など)をしてしまった場合には、相続放棄することは認められなくなってしまいます。

  2. 二次相続を放棄し、一次相続を承認する

    先に二次相続を放棄した場合は、一次相続を承認することはできません。二次相続で放棄した相続権は、「父親の遺産を相続する権利」です。具体的には、「子が父親の遺産を直接相続する権利」に加え、「父親が祖父の遺産について持っていた相続権」も放棄することになるからです。父親について相続人でなくなった以上、父親を代襲相続して祖父の遺産を受け継ぐことは認められません。
    したがって、祖父の遺産を相続し父親の遺産を放棄したい場合には、「一次相続の承認」を先に行うことが重要です。

以上の数次相続における相続放棄に関しては、以下の重要な裁判例があるのでご紹介いたします。

再転相続における相続人が、一次相続について相続放棄の申述をした後に、二次相続についても相続放棄の申述をした事案です。この判例の中で裁判所は、再転相続において相続放棄が認められるかは、一次相続と二次相続のどちらについて先に承認・放棄をしたか、という順序を重視する立場を取っています。

(最高裁判所昭和63年6月21日判決)

この判例のポイントについて、書籍の解説が参考となりますので、見ておきましょう。

①民法916条によって第二相続の相続人は、再転相続人たる地位そのものに基づき、第一相続と第二相続それぞれにつき承認または放棄をする機会を保障されるとする。そのうえで、②再転相続人は、第二相続を放棄した場合には、第一相続の相続人が有していた第一相続についての承認または放棄の選択権を失うことになるのであるから、もはや第一相続につき承認または放棄をすることはできないが、③第二相続につき放棄をしていないときは、第一相続につき放棄をすることができ、かつ、第一相続につき放棄しても、それは第二相続における選択に何ら障害にならず、また、その後に第二相続につき放棄しても、先に再転相続人たる地位に基づいてした第一相続についてした放棄の効力がさかのぼって無効となることはないと判示する。
(相続実務研究会 編「Q&A 限定承認・相続放棄の実務と書式」P.92より引用)

数次相続と相続登記

1.数次相続における登記申請の方法

土地や建物といった不動産を相続した場合、相続登記(名義変更)を行う必要があります。数次相続が発生した場合の登記申請をする方法には、次の2つのやり方があります。

  1. 一次相続と二次相続でそれぞれ相続登記をする方法
  2. 中間省略登記をする方法

それぞれについて、順に見ていきましょう。

1-1.一次相続と二次相続でそれぞれ相続登記をする方法

数次相続が発生した場合、原則として「一次相続の相続登記」を行ってから、「二次相続の相続登記」を行います。

最初に二次相続の相続登記をしてしまえば一度の申請で済むのではないか、と思われるかもしれません。ですが、不動産が「一次相続の被相続人A→一次相続の相続人かつ二次相続の被相続人B→一次相続と二次相続の相続人C」といったように引き継がれる場合、「A→C」というBを抜かした相続手続きは認められておりません。

相続手続きにおいて、以上のようないわゆる「中間の事実」を省略し、最終的な事実についてだけを記載する相続登記は認められていないのです。

例えば、被相続人Aさんの遺産相続について、相続人の長男Bさんが亡くなり、Bさんの子であるCさんが、Aさんの不動産を相続した場合を考えてみましょう。

まず、「AさんからBさんへの所有権移転登記」を申請します。これにより、BさんがAさんの不動産を正式に相続したことが記録されます。次に、「BさんからCさんへの所有権移転登記」を申請します。これにより、最終的にCさんがBさんの相続財産を受け継いだことが記録されるのです。

このように、数次相続における相続登記は、各相続段階ごとに時系列に沿って進める必要があります。

1-2.中間省略登記をする方法

基本は遺産相続が発生した順番で相続登記をするのですが、例外的に、以下の2つの条件のいずれかに当てはまる場合には、中間の相続登記を省略する「中間省略登記」が認められる可能性があります。

数次相続では、中間省略登記を利用することで相続登記の手続きを簡略化できる上、登録免許税の負担を軽減することができるため、重要な制度です。

中間省略登記が認められる2条件

  1. 中間の相続人が1人の場合

    中間の相続人が1人の場合、中間省略登記が認められる可能性があります。
    例えば、子どものいない夫婦の夫が亡くなった後に妻が亡くなり、夫の不動産を妻の兄が相続するようなケースでは、中間の相続人は妻一人です。

  2. 中間の相続人が複数いるが、そのうち1名が単独で相続する場合

    中間の相続人が複数いる場合でも、遺産分割協議や相続放棄によって、結果的に1名が単独で相続することになれば、中間省略登記が認められる可能性があります。
    例えば、父親が亡くなり、相続人として3人の子ども(長男、次男、長女)がいる場合を考えてみましょう。遺産分割協議の結果、次男と長女は相続放棄して長男がすべての財産を相続し、その後に長男が亡くなり、長男の子どもが相続することとなりました。この場合、父親から長男、長男から長男の子どもへの相続登記を、一度の登記申請で済ませることができます。

2.数次相続における登録免許税

2-1.一次相続が非課税になることがある

土地の相続登記を行う際には、通常、登録免許税が必要です。
ですが、数次相続が発生した場合、特定の条件を満たせば登録免許税が一部免除される特例があります。

具体的には、「相続により土地を取得した者が相続登記をせずに亡くなった場合の相続登記」について、登録免許税が免税されます。免税措置の適用期限は、令和9年3月31日までです。これに該当する場合、最初の被相続人から遺産分割中に死亡した相続人兼被相続人への相続(一次相続)の登記申請に関して、登録免許税が免除されることとなります。

AからB、BからCへと登記申請を2回行う場合でも、BからCへの二次相続の登記申請時にのみ、登録免許税を納めればよいことになっているのです。

なお、BからCへの相続がある場合に限らず、例えばBが亡くなる前に第三者に該当の土地を売却していた場合でも、AからBへの登記申請手続きの登録免許税が免税されます。

参考:相続による土地の所有権の移転登記等に対する登録免許税の免税措置について(国税庁)

2-2.必要書類(登記申請書、戸籍等)

この措置の適用を受けるための必要書類ですが、固有の必要書類はありません。通常の登記申請の手続きに必要な、登記申請書や戸籍謄本類などの添付書類を用意します。

そして、一次相続の登記申請書の「登録免許税」欄に「租税特別措置法第84条の2の3第1項により非課税」と必ず記載してください。申請する側が記載しなければ、自動で免税措置を適用してはもらえないため、注意が必要です。

登記申請書の書式と記載例は、法務局の書式をご参照ください。

参考:相続登記の登録免許税の免税措置について(法務局)

3.相続関係説明図を数次相続でも活用しましょう

相続登記手続きでは、「法定相続情報一覧図」が活用されることがあります。法定相続情報一覧図とは、被相続人の相続関係をまとめた家系図のようなもので、法務局の登記官が証明した公的証明書です。戸籍謄本の代わりとして利用できるため便利ですが、数次相続においては注意点があります。

法定相続情報一覧図は、一次相続とその後の相続について、1通の一覧図にまとめることができません。これは、法定相続情報一覧図が、あくまで戸籍謄本に記載された相続関係を証明するための書類であるからです。数次相続は、その遺産相続ごとに異なる相続関係となるため、一つにまとめることができないのです。
また、一次相続の法定相続情報一覧図に、二次相続の相続人の詳細を記載することもできません。

そこで、法定相続情報一覧図を作成する場合に、相続関係説明図も併せて作成することをお勧めいたします。

相続関係説明図は、法定相続情報一覧図と違い法的な証明書ではありませんが、書き方の自由度が高く、数次相続を1通の関係図にまとめることもできますし、より詳細な情報を記載することが可能です。

具体的には、家系図のような通常の相続関係説明図を作成し、相続人の肩書きとして以下のように記載します。

(被相続人)××××(一次相続)
(長男)相続人兼被相続人  〇〇〇〇(二次相続)
(次男)相続人兼〇〇〇〇の相続人 △△△△

数次相続と相続税

1.数次相続における相続税申告

1-1.数次相続における納税義務者

相続税の申告義務がある人が申告書を提出する前に死亡した場合、その申告及び納税義務はその相続人に引き継がれることになります(国税通則法第5条、相続税法第27条2項)。

(相続による国税の納付義務の承継)
国税通則法第5条 相続(包括遺贈を含む。以下同じ。)があつた場合には、相続人(包括受遺者を含む。以下同じ。)又は民法(明治二十九年法律第八十九号)第九百五十一条(相続財産法人の成立)の法人は、その被相続人(包括遺贈者を含む。以下同じ。)に課されるべき、又はその被相続人が納付し、若しくは徴収されるべき国税(その滞納処分費を含む。次章、第三章第一節(国税の納付)、第六章(附帯税)、第七章第一節(国税の更正、決定等の期間制限)、第七章の二(国税の調査)及び第十一章(犯則事件の調査及び処分)を除き、以下同じ。)を納める義務を承継する。この場合において、相続人が限定承認をしたときは、その相続人は、相続によつて得た財産の限度においてのみその国税を納付する責めに任ずる。
2 前項前段の場合において、相続人が二人以上あるときは、各相続人が同項前段の規定により承継する国税の額は、同項の国税の額を民法第九百条から第九百二条まで(法定相続分・代襲相続人の相続分・遺言による相続分の指定)の規定によるその相続分により按あん分して計算した額とする。
3 前項の場合において、相続人のうちに相続によつて得た財産の価額が同項の規定により計算した国税の額を超える者があるときは、その相続人は、その超える価額を限度として、他の相続人が前二項の規定により承継する国税を納付する責めに任ずる。

(相続税の申告書)
相続税法第27条2項 前項の規定により申告書を提出すべき者が当該申告書の提出期限前に当該申告書を提出しないで死亡した場合には、その者の相続人(包括受遺者を含む。第五項において同じ。)は、その相続の開始があつたことを知つた日の翌日から十月以内(その者が国税通則法第百十七条第二項の規定による納税管理人の届出をしないで当該期間内にこの法律の施行地に住所及び居所を有しないこととなるときは、当該住所及び居所を有しないこととなる日まで)に、政令で定めるところにより、その死亡した者に係る前項の申告書をその死亡した者の納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。

例えば、父親が亡くなり、その相続税申告と納税の義務のあった長男が、相続税申告書を提出する前に亡くなってしまったとします。

この場合、長男の相続税申告と納税の義務は、長男の相続人に引き継がれます。仮に長男に妻子がいる場合は、妻子が義務者となります。

1-2.相続税申告書の書き方

相続税申告の手続きでは、相続税の申告書(第1表)や相続税の総額の計算書(第2表)、相続税がかかる財産の合計表(第11表)といった書類を用意し、被相続人の死亡時の住所地を所轄する税務署に提出します。相続人全員で共同で提出することも、個別に提出することも可能です。

数次相続における相続税申告書の作成で特に注意が必要なのは、「一次相続の遺産分割が未了の場合」がある、という点です。

数次相続では、遺産分割中に新たに相続が発生することで、相続人が増減し、スムーズに遺産分割協議をまとめることが難しくなりがちです。ですが、相続税の申告には後述のとおり「相続開始から10か月以内」という期限があるため、時には遺産分割が終わっていない状態で相続税申告をする必要に迫られることもあるのです。

一次相続の遺産分割が未了の場合の相続税申告

遺産分割されていない財産については、各共同相続人が寄与分(民法第904の2条)を除く、民法による法定相続分の割合に従って、暫定的な課税価格を計算します(相続税法第55条)。

(未分割遺産に対する課税)
相続税法第55条 相続若しくは包括遺贈により取得した財産に係る相続税について申告書を提出する場合又は当該財産に係る相続税について更正若しくは決定をする場合において、当該相続又は包括遺贈により取得した財産の全部又は一部が共同相続人又は包括受遺者によつてまだ分割されていないときは、その分割されていない財産については、各共同相続人又は包括受遺者が民法(第九百四条の二(寄与分)を除く。)の規定による相続分又は包括遺贈の割合に従つて当該財産を取得したものとしてその課税価格を計算するものとする。ただし、その後において当該財産の分割があり、当該共同相続人又は包括受遺者が当該分割により取得した財産に係る課税価格が当該相続分又は包括遺贈の割合に従つて計算された課税価格と異なることとなつた場合においては、当該分割により取得した財産に係る課税価格を基礎として、納税義務者において申告書を提出し、若しくは第三十二条第一項に規定する更正の請求をし、又は税務署長において更正若しくは決定をすることを妨げない。

なお、一部の遺産について分割が完了している場合は、原則として「穴埋め方式」(相続財産全体に対する相続人の相続分に応じた価額相当分から、分割済の財産の価額を控除し、未分割財産の割合を計算する)方法で課税価格を計算します。

申告書の記載ですが、「相続税がかかる財産の合計表(第11表)」に「遺産の分割状況」の項目があるため、相続財産の分割が一部未了であれば「1 一部分割」、全部未了であれば「2 全部未分割」の数字を記入します。

なお、遺産分割が未了の場合の相続税申告では、配偶者控除などの特例の適用を受けることができません。そこで、将来遺産分割が成立した際に特例の適用を受けることを想定して、「遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨の承認申請書」を、申告期限後3年を経過する日の翌日から2か月を経過する日までに提出する必要があります。

相続税の申告後に遺産分割が成立し、当初の課税価格が過大であった場合、当該事由が生じたことを知った日の翌日から4か月以内に、更正の請求を行うことができます(相続税法第32条1項1号)。

(更正の請求の特則)
相続税法第32条1項 相続税又は贈与税について申告書を提出した者又は決定を受けた者は、次の各号のいずれかに該当する事由により当該申告又は決定に係る課税価格及び相続税額又は贈与税額(当該申告書を提出した後又は当該決定を受けた後修正申告書の提出又は更正があつた場合には、当該修正申告又は更正に係る課税価格及び相続税額又は贈与税額)が過大となつたときは、当該各号に規定する事由が生じたことを知つた日の翌日から四月以内に限り、納税地の所轄税務署長に対し、その課税価格及び相続税額又は贈与税額につき更正の請求(国税通則法第二十三条第一項(更正の請求)の規定による更正の請求をいう。第三十三条の二において同じ。)をすることができる。
一 第五十五条の規定により分割されていない財産について民法(第九百四条の二(寄与分)を除く。)の規定による相続分又は包括遺贈の割合に従つて課税価格が計算されていた場合において、その後当該財産の分割が行われ、共同相続人又は包括受遺者が当該分割により取得した財産に係る課税価格が当該相続分又は包括遺贈の割合に従つて計算された課税価格と異なることとなつたこと。

2.二次相続の相続人は一次相続の申告期限を延長できる

相続税の申告期限は、通常、相続開始から10か月以内とされています(相続税法第27条1項)。
ですが、例外的にこの申告期限を延ばすことができます。具体的には、二次相続の相続人に限り、一次相続の申告期限を延長することが認められています。

例えば、父親を被相続人とする遺産相続の相続税申告期限が令和5年11月1日だったとしましょう。相続人の一人である長男が、父親の相続税申告を行う前(令和5年4月1日)に亡くなり、二次相続が発生しました。なお、一次相続の相続人は長男、次男、三男で、二次相続により長男の子供A・Bが新たに相続人となっています。

この場合、長男の子供A・Bは、二次相続における相続人として一次相続の申告期限を延長することが可能です。
具体的には、二次相続が発生した令和5年4月1日から10か月以内、すなわち令和6年2月1日まで、一次相続の申告期限を延ばすことができます。

このケースで、一次相続の相続人である次男・三男に関しては、相続税の申告期限を延長することはできません。あくまで「二次相続における相続人」が、「一次相続の申告期限を延長する」ことができるという点に注意してください。

 

3.数次相続の相続税控除

3-1.基礎控除額の計算

相続税の基礎控除額は、最初の相続(一次相続)が発生した時点での法定相続人の数に基づいて計算されます。ですので、数次相続が発生すると、最終的な相続人が増えることがありますが、基礎控除額の計算は影響を受けません。

基礎控除額 = 3,000万円 + (600万円 × 一次相続における法定相続人の数)

例えば、父親が亡くなり、法定相続人として母親、長男、長女の3人がいるケースを考えます。遺産分割協議の進行中に長男が亡くなり、数次相続が発生して、長男の妻と子が新たに相続人になったとしましょう。この二次相続の時点で、法定相続人は「母親、長女、長男の妻、長男の子」の4人となりました。
ですが、相続税の基礎控除額の計算は「一次相続における法定相続人の数」を基にするため、計算式は次のとおりになります。

基礎控除額 = 3,000万円 + (600万円 × 3人) = 4,800万円

3-2.相次相続控除が受けられる

数次相続が発生した場合、二次相続の相続人は相次相続控除を適用することができます。相次相続控除とは、一次相続から10年以内に二次相続が発生した場合に、一定の要件を満たすことで二次相続の相続税額を軽減できる税額控除の制度です。

数次相続が発生すると、同じ財産に対して短期間で2度相続税が課されることになります。これでは相続人に大きな負担がかかるため、二次相続の相続税額の軽減が認められているのです。

相次相続控除を適用するためには、以下の要件を満たす必要があります。

  1. 一次相続で相続税を納税していること
  2. 一次相続から10年以内に二次相続が発生していること
  3. 二次相続の相続人が一次相続でも相続人であったこと

参考:No.4168 相次相続控除(国税庁)

3-3.配偶者控除(配偶者の税額の軽減)

「配偶者の税額の軽減(配偶者控除)」は、被相続人の配偶者が相続する財産に対して適用される特例です。配偶者が相続する財産の価額が1億6,000万円または法定相続分相当額のどちらか多い金額まで、相続税がかかりません。
これにより、配偶者が相続する財産に対する税負担が大幅に軽減されます。

3-4.小規模宅地等の特例

「小規模宅地等の特例」は、相続した宅地等の評価額を減額できる特例です。この特例は、相続した宅地が事業用または居住用であり、一定の要件を満たす場合に適用されます。評価額が最大で80%減額されるため、相続税の負担が大幅に軽減されます。

数次相続に関するQ&A

Q1.数次相続と代襲相続、再転相続の違いは何ですか?

A:数次相続、代襲相続、再転相続の違いはそれぞれの発生条件と手続きの流れにあります。

代襲相続とは、相続人が被相続人より先に死亡している場合にその子どもが相続することであり、相続が連続して起こるわけではありません。

再転相続とは、1回目の相続の「熟慮期間」内に2回目の相続が発生することを指します。具体的には「自分のために相続があったことを知ってから3か月」の期間中に次の相続が連続して起こる場合です。

数次相続とは、1回目の相続の「遺産分割」が終わる前に2回目の相続が発生することです。

Q2.数次相続では相続人が変わりますか?

A:亡くなった相続人の相続分は、その人の相続人に引き継がれることになるため、当初よりも相続人の数が増えることが一般的です。

Q3.数次相続における遺産分割協議の進め方はどうなりますか?

A:数次相続における遺産分割協議は、被相続人ごとに別々に行っても、同時にまとめて行ってもかまいません。相続人が共通していればまとめて行うのがスムーズですが、共通しない相続人がいる場合は、遺産相続ごとに行うことがお勧めです。

また、遺産分割協議書に記載する際には、後に亡くなった相続人は「相続人兼被相続人」と表記することになります。複数の遺産相続で相続人になる人については「相続人兼○○○○の相続人」と表記します。

まとめ

数次相続が発生すると、相続手続きはより複雑になります。

複数の遺産相続について遺産分割協議を行わなければならなくなりますし、相続登記の手続きも適切に進めていかなければなりません。

また、相続税の申告に関しても注意しましょう。相次相続控除や配偶者の税額の軽減、小規模宅地等の特例など、相続税額を軽減するための制度を活用しつつ、遺産分割が未了の財産がある場合には適切に申告書を作成し、将来課税価格に変動があれば更正の手続きも必要です。

数次相続の手続きに迷ったら、法律の専門家である弁護士にご相談いただければと思います。弁護士法人あおい法律事務所では、弁護士による法律相談を初回無料で行っておりますので、ぜひお気軽にご利用ください。

この記事を書いた人

弁護士法人あおい法律事務所
代表弁護士

雫田 雄太

略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。3,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。

家庭の法律問題は、なかなか人には相談できずに、気付くと一人で抱え込んでしまうものです。当事務所は、家庭の法律問題に特化した事務所であり、高い専門的知見を活かしながら、皆様のお悩みに寄り添い、お悩みの解決をお手伝いできます。ぜひ、お一人でお悩みになる前に、当事務所へご相談ください。必ずお力になります。