死亡後の手続きの優先順位は?葬儀後の手続きを順番に解説

相続手続き

更新日 2024.10.02

投稿日 2024.07.05

監修者:弁護士法人あおい法律事務所

代表弁護士 雫田雄太

略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。3,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。

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大切な家族や親族が亡くなった後、心に余裕がない中で迎える数々の手続き。死亡後の手続きは、期限が定められているものも多く、葬儀が終わったら優先順位を考慮しつつ、計画的に進めなければなりません。しかし、何から手をつけていいのか、どの手続きを優先すべきか、迷うことも多いでしょう。

この記事では、死亡後の手続きの優先順位と、死亡後の手続きで必要になる書類等をわかりやすくご紹介します。

目次

死亡後の手続きの優先順位は?葬儀までと葬儀後の手続き一覧表

死亡後の手続きにはさまざまなものがあり、それぞれに期限が設定されています。

期限が近いものや準備に時間が必要な手続きが優先順位が高いといえるでしょう。期限に注意して計画的に手続きを進めましょう。

【死亡後、葬儀までの手続きリスト】

手続き名

期限

死亡診断書の受け取り

死亡後すぐ

死亡届の提出・火葬許可証の受け取り

死亡から7日以内

訃報の連絡

死亡後なるべく早く

遺体の搬送、葬儀社の選定

死亡後なるべく早く

【葬儀後の手続きリスト】

手続き名

期限

年金の受給停止手続き

死亡から10日または14日以内

国民健康健康保険・介護保険の資格喪失の手続き

死亡から14日以内

住民票の抹消または世帯主の変更手続き

死亡から14日以内

雇用保険受給者資格者証の返還

死亡から1ヶ月以内

所得税準確定申告、納税

死亡から4ヶ月以内

相続税の申告、納税

死亡から10か月以内

葬祭費・埋葬料(埋葬費)の請求

死亡から2年以内

国民年金の一時死亡金請求

死亡から2年以内

死亡保険金の請求手続き

死亡から3年以内

不動産の名義変更手続き

死亡から3年以内

遺族年金の請求

死亡から5年以内

未支給年金の請求

死亡から5年以内

最も優先順位の高い死亡当日、葬儀までの手続き

死亡後、死亡日の当日からすぐとりかかるべき優先順位の高い手続きは、主に以下の2つです。

他にも遺体の搬送や葬儀社の選定、訃報の連絡なども必要です。詳しくは、以下の記事も参照してください。

死亡診断書の受け取り

家族が亡くなった際には、まず入院先の病院の医師から「死亡診断書」を受け取ることが重要です。これは、医師が死亡の事実とその原因を証明する公式な書類です。

もし事故死や突然死のようなケースであれば、警察に連絡し、警察による検視の後に「死体検案書」を受け取ることになります。この書類は、非自然死の原因や状況を記録するものであり、法的な手続きにおいて重要な役割を果たします。

死亡診断書(死体検案書)は、死亡届とセットで提出する必要があるため、遺族は死亡届に必要事項を記入します。これらの書類は、今後の様々な手続きで必要となる場合が多いため、コピーを複数枚取っておくことが推奨されます。実際には、10枚程度のコピーを用意しておくと、後から必要な手続きが発生した場合でも対応が容易になります。

余裕を持ってコピーを用意しておくことで、手続きの際にスムーズに進めることができます。

死亡届の提出・火葬許可証の受け取り

家族が亡くなった場合、遺族は死亡の事実を知った日から7日以内に役所に死亡届を提出する必要があります。死亡届と死亡診断書は通常、1枚の用紙にまとめられており、用紙の左側が死亡届、右側が死亡診断書となっています。遺族は医師から死亡診断書を受け取った後、届出人(家族や親族)として死亡届の左側を記入します。

死亡届の提出は、届出人以外の者が代理で行うことも可能です。実際には、多くの場合、葬儀社が遺族に代わって死亡診断書を受け取り、死亡届の提出を代行してくれます。

提出期限

死亡の事実を知った日から7日以内(7日目が土日又は祝日、年末年始の場合は、翌開庁日まで)

提出窓口

以下のいずれかを管轄する役所の窓口
・亡くなった人の本籍地
・届出人の住所地
・死亡した場所

届書を持参する人

届出人※又は届出人から頼まれた方(ただし、記載内容の修正は、届出人のみ可)

必要書類

・死亡届(届出人の署名及び死亡診断書に医師の証明があるもの)
・届出人の認印(届書に押印した場合)など

通常、葬儀の後には遺体を火葬することが一般的です。火葬を行うためには火葬許可証が必要となるため、葬儀の前にこれを取得しておく必要があります。火葬許可証は、死亡届を提出する際に役所で同時に申請し、通常はその場で発行されます。

火葬許可証の取得手続きも、死亡届の提出と同様に、多くの場合は葬儀社が代行してくれます。火葬が完了すると、火葬許可証に火葬済みを示す証印が押され、この証印付きの火葬許可証が後に納骨(埋葬)を行う際に必要となる埋葬許可証となります。このため、火葬許可証は紛失しないように大切に保管することが重要です。

優先順位の高い葬儀後の手続き│期限が近い順番に解説

葬儀後に行う手続きは多くありますが、早急に取りかかる必要がある手続きには以下のような手続きがあります。

期限が近いものが優先順位が高くなりますので、期限が近い手続きから順番に解説していきます。

ただし、役所で行う手続きや年金事務所で行う手続きは複数ありますので、期限に関わらずまとめて手続きをすると効率が良いでしょう。

年金の受給停止手続き

厚生年金の場合、この手続きは死亡後10日以内に行う必要があります。国民年金の場合は、死亡後14日以内に行う必要があります。期限が短いので優先的に進めましょう。

被相続人が年金受給者だった場合、年金の受給を停止する手続きが必要です。この手続きを行わないと、本来受け取るべきではない年金を受け取ってしまうことになり、不正受給とみなされる可能性があるので注意が必要です。

ただし、被相続人がマイナンバーを登録している場合は、この手続きは不要で、死亡届の提出時点で自動的に完了します。

手続き期限

・厚生年金:亡くなってから10日以内
・国民年金:亡くなってから14日以内

手続き先

年金事務所または年金相談センター

必要書類

・年金受給権者死亡届(報告書)
・年金証書
・死亡の事実を証明する書類(死亡診断書のコピー、死亡記載のある戸籍など)

詳しくは、日本年金機構のホームページ「年金を受けている方が亡くなったとき」を参照してください。

住民票の抹消または世帯主の変更手続き

故人が亡くなった場合、市町村役場の戸籍・住民登録窓口で住民票の抹消および世帯主の変更手続きを行います。死亡届が提出されると、故人は自動的に住民票から削除されますが、故人が世帯主だった場合は、新たな世帯主を指定するために世帯主変更届を14日以内に提出する必要があります。

この際、新しい世帯主の印鑑と本人確認書類が必要となります。これらの手続きにより、故人の住民登録の状況が正確に更新されます。

手続き先

亡くなった親の居住地の市役所等

届出人

・新しい世帯主
・同じ世帯の人
・代理人
のいずれか。

必要書類

・世帯主変更届(住民異動届)
・本人確認書類(保険証や運転免許証など)
・国民健康保険証、子ども医療費受給者証、介護保険証
・印鑑
・委任状など

健康健康保険の資格喪失手続き

日本ではすべての国民がいずれかの公的医療保険制度に加入しているため、加入者が亡くなった場合には保険の資格を喪失するための手続きが必要となります。以下に、国民健康保険と社会保険における資格喪失手続きの概要をまとめます。

<国民健康保険>

手続き期限

亡くなってから14日以内

手続き先

亡くなった親の住所地の市区町村の国民健康保険窓口

必要書類

・国民健康保険異動届(資格喪失)
・国民健康保険証
・高齢受給者証(70歳から75歳までの人の場合)
・戸籍謄本など

<社会保険>

手続き期限

亡くなってから5日以内

手続き先

亡くなった親の勤務先や加入先の保険組合

必要書類

・厚生年金保険被保険者資格喪失届
・健康保険被保険者証
・死亡退職届
・その他会社から求められた書類 

なお、亡くなった方の家族が健康保険の扶養に入っていた場合は、亡くなった日の翌日から資格を喪失します。そのため、新たに国民健康保険への加入手続きを行うか、他の家族の扶養になる手続きをしましょう。

介護保険の資格喪失手続き

被相続人が65歳以上であったり、40歳以上65歳未満で要介護・要支援の認定を受けていた場合、その方の介護保険被保険者証は死亡後14日以内に返却する必要があります。

手続き先

亡くなった親の住所地の市区町村役場の介護保険窓口

必要書類

・介護保険資格喪失届
・介護費保険者証など

所得税の準確定申告

もし被相続人が生前に確定申告をすべきだった場合は、相続人が代わりに被相続人の亡くなった年の所得に対する確定申告を行う必要があります。これを「準確定申告」と言います。

準確定申告は、相続が開始されたことを知った日の翌日から4ヵ月以内に完了させる必要があります。期限を過ぎてしまうと、加算税や延滞税などの追加の税金がかかることがあるので注意が必要です。

準確定申告が必要なケースは、被相続人が以下のような場合です。

  • 事業所得がある場合(事業主やフリーランスなど)
  • 不動産所得がある場合
  • 年収が2,000万円以上の場合
  • 2箇所以上の会社から収入がある場合
  • 公的年金を年間400万円以上受け取っていた場合
  • 給与や退職金以外で年間20万円以上の収入があった場合
  • 生命保険の満期金や一時金を受け取った人

手続き期限

死亡日の翌日から4か月以内

手続き先

亡くなった親の住所地の税務署

必要書類

・所得税の確定申告書、確定申告書付表
・源泉徴収票など

相続税の申告・納税

相続した遺産の総額が基礎控除額(「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」)を超える場合、被相続人の死亡を知った日の翌日から10ヶ月以内に相続税の申告と納税をしなければなりません。

たとえ遺産分割協議がまとまっていないとしても、期限までの申告・納税が必要です。その場合は暫定的な金額で申告・納税することになります。

申告期限を過ぎてしまったり、実際に受け取った相続財産の額より少なく申告したりすると、本来の税金に加えて加算税や延滞税が課されることがあります。

手続き期限

相続の開始を知った日の翌日から10か月以内

手続き先

亡くなった親の住所地の税務署

必要書類

国税庁ホームページ「相続税の申告の際に提出していただく主な書類」を参照してください。

葬祭費・埋葬料(埋葬費)の請求

葬祭費と埋葬料(埋葬費)は、葬儀費用の補助制度として国民健康保険協会などから支給されるものです。自営業者や個人事業主が国民健康保険に加入している場合、支給されるのは「葬祭費」です。一方、会社員が健康保険や協会けんぽに加入している場合は、「埋葬料」「埋葬費」「家族埋葬料」が支給されます。

これらの支給内容には違いがあります。埋葬料は、故人が生計を維持していた方に支給されるものです。埋葬費は、故人と生計維持関係のない方が埋葬を行った場合に支給されます。家族埋葬料は、被扶養者(家族)が亡くなった際に支給されるものです。

請求期限にも注意が必要です。葬儀費や埋葬費の請求期限は、「葬儀(埋葬)の日の翌日から2年以内」です。一方で、埋葬料の請求期限は「死亡日の翌日から2年以内」となっており、少し違いがあります。

<葬祭費>亡くなった親が国民健康保険・後期高齢者医療制度に加入していた場合

手続き期限

葬儀から2年以内

手続き先

亡くなった親の住所地の市区町村役場

必要書類

 ・亡くなった親の健康保険証
・申請者の本人確認書類、印鑑
・葬儀費用の領収書など

<埋葬料>亡くなった親が勤務先の健康保険に加入していた場合

手続き期限

死亡日の翌日から2年以内

手続き先

亡くなった親の加入している健康保険組合または協会けんぽ

必要書類

・埋葬料支給申請書(事業主の証明があるもの)
・死亡診断書のコピーまたは埋葬許可証
・埋葬費用の領収書など

国民年金の一時死亡金請求

国民年金の死亡一時金は、国民年金の第1号被保険者または任意加入被保険者として保険料を納めた期間が36ヶ月以上の人が、老齢基礎年金や障害基礎年金を受給せずに亡くなった場合に、その人と生計を共にしていた遺族に支給される制度です。

 

ただし、故人が国民年金の第1号被保険者以外であったり、納付期間が36ヶ月未満であったり、遺族が遺族基礎年金を受け取る場合は、この一時金の受給対象から外れます。請求期限は死亡日の翌日から2年以内と定められており、該当する場合には「国民年金死亡一時金請求書」を市区町村の役場や年金事務所(年金相談センター)に提出することで手続きを行います。

 

手続き期限

死亡日の翌日から2年以内

手続き先

・市区町村役場
・年金事務所または年金相談センター

必要書類

・基礎年金番号通知書または年金手帳
・申請者の関係がわかる戸籍謄本、または法定相続情報一覧図の写し
・亡くなった親の住民票除票
・世帯全員の住民票
・受取先金融機関の通帳など

不動産の名義変更手続き

被相続人が不動産を所有していた場合は、不動産の名義変更手続き「相続登記」が必要です。

相続登記は2024年4月1日より義務化され、不動産を取得したことを知ってから3年以内に手続きをしないと、10万円以下の過料対象となることがあります。

登記せずに時間が経過すると、二次相続や三次相続が発生した際に権利関係が複雑化し、さらに手続きが複雑になる可能性があります。

そのため、遺言や遺産分割協議によって不動産の権利関係が明らかになった時点で、速やかに相続登記を行うようにしましょう。

手続き期限

不動産の取得を知った日から3年以内

手続き先

不動産の所在地を管轄する法務局

必要書類

・登記申請書
・被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、住民票除票または戸籍附票
・相続人の戸籍謄本
・遺産分割協議書
・印鑑証明書
・遺言など

費用

・収入印紙
・登録免許税(不動産固定資産税評価額の0.4%)

相続登記の手続きは複雑ですので、専門家である弁護士や司法書士に依頼することを検討してください。

遺族年金の請求

亡くなった方が家族の生計を支えていた場合、遺族は「遺族年金」を受給する権利があります。この遺族年金には「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の2種類があり、適用条件に応じて、どちらか一方または両方を受け取ることができます。

「遺族基礎年金」は、亡くなった方の遺族に18歳未満の子どもがいる場合、または20歳未満で障害のある子どもがいる場合に支給されます。ただし、子どもがいない配偶者には支給されません。

一方、「遺族厚生年金」は、亡くなった方が厚生年金に加入していた場合に支給される年金です。この年金は、子どもがいない配偶者や18歳以上の子どもなど、より広い範囲の遺族が受給対象となります。

手続き期限

死亡日の翌日から5年以内

手続き先

・市区町村役場
・年金事務所または年金相談センター

必要書類

・年金申請書
・基礎年金番号通知書または年金手帳
・申請者の関係がわかる戸籍謄本または法定相続情報一覧図の写し
・亡くなった親の住民票除票
・世帯全員の住民票
・請求者の収入が確認できる書類
・子の収入が確認できる書類
・死亡診断書(死体検案書等)のコピーまたは死亡届の記載事項証明書
・受取先金融機関の通帳など

詳しくは、日本年金機構のホームページ「遺族年金(受給要件・対象者・年金額)」を参照してください。

また申請書の書き方については「遺族年金請求書と未支給年金請求書の記入方法等のご案内」を参照してください。

未支給年金の請求

亡くなった親が国民年金や厚生年金などの公的年金の受給資格者であった場合、遺族は未支給年金の請求を行う必要があります。この未支給年金は、公的年金が過去2ヶ月分まとめて支給される仕組みのため、亡くなった直後にはまだ受け取っていない年金が発生する可能性があるためです。

また、故人が年金を受給する資格がありながら受け取っていなかった場合、その未受給分も未支給年金として請求することができます。この請求は、亡くなった年金受給者と生計を共にしていた3親等内の親族が行うことができます。請求権者には優先順位があり、「配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹、その他親族」の順に定められています。

未支給年金の請求期限は、故人の死亡日の翌日から5年以内ですが、手続きは早めに行うことが望ましいです。

手続き期限

死亡日の翌日から5年以内

手続き先

・年金事務所または年金相談センター

必要書類

・未支給年金請求書
・死亡の事実を明らかにできる書類
・亡くなった親の年金証書
・申請者の関係がわかる戸籍謄本または法定相続情報一覧図の写し
・生計を同じくしていたことがわかる書類
・受取先金融機関の通帳など

詳しくは、日本年金機構のホームページ「年金を受けている方が亡くなったとき」を参照してください。

また申請書の書き方については「遺族年金請求書と未支給年金請求書の記入方法等のご案内」を参照してください。

夫が亡くなった後の手続き

寡婦年金の請求(5年以内)

寡婦年金は、夫が亡くなった際に、一定の条件を満たす妻が受け取ることができる年金です。具体的には、夫が死亡する前日までに国民年金第1号被保険者として保険料を納めた期間と保険料免除期間が合わせて10年以上ある場合、そしてその夫と10年以上連続して結婚生活を送っていた(実質的な結婚関係も含む)妻が対象となります。

また、夫が亡くなった時点で夫に生計を支えられていたことも条件の一つです。対象となる妻は、60歳から65歳までの間、この寡婦年金を受け取ることができます。

手続き期限

死亡日の翌日から5年以内

手続き先

・市区町村役場
・年金事務所または年金相談センター

必要書類

・基礎年金番号通知書または年金手帳
・申請者の関係がわかる戸籍謄本
・亡くなった親の住民票除票
・世帯全員の住民票
・受取先金融機関の通帳など
・年金証書(公的年金から年金を受けているとき)

詳しくは、日本年金機構のホームページ「寡婦年金を受けるとき」を参照してください。

遺族年金との併給

遺族基礎年金と寡婦年金の併給について、両方を同時に受け取ることはできませんが、受給時期が異なれば両方を受け取ることが可能です。例えば、お子さんが18歳未満の間は遺族基礎年金を受け取り、その後お子さんが成人し遺族基礎年金の支給が終了したら、60歳から寡婦年金を受け取るといったケースです。

一方、遺族厚生年金と寡婦年金の場合、両方を同時に受け取ることはできません。厚生年金加入中や老齢厚生年金を受け取っていた方が亡くなった場合に遺族が受け取れる遺族厚生年金と寡婦年金のどちらか一方を選択する必要があります。

その他優先順位に関わらず進める相続手続き

以下の相続手続きに期限はありませんが、なるべく早く手続きをすすめるようにしましょう。

遺産の相続に関する手続き

遺産相続手続きは以下の流れで進めます。

  • 遺言書の有無の確認と検認手続き
  • 相続人調査
  • 相続財産の調査
  • 限定承認や相続放棄の検討
  • 遺産分割協議と遺産分割協議書の作成

遺産の内容によって手続きの内容や方法が異なります。相続人を確定する際には、戸籍謄本などでそれを証明する必要があります。

銀行預金の解約・名義変更

被相続人が取引していた銀行や証券会社などの金融機関には、解約(払い戻し)や名義変更の手続きが必要です。明確な期限はありませんが、預金を相続する人が確定したら出来るだけ速やかに手続きを行いましょう。

公共料金、クレジットカードなどの名義変更・解約

公共料金等の名義変更や契約などは、明確な期限はありませんが、出来るだけ速やかに行いましょう。

主な手続きに以下の通りです。

  • 公共料金(電気、ガス、水道など)の名義変更・解約
  • クレジットカードの名義変更・解約
  • 携帯電話・固定電話・ネットなどの名義変更・解約
  • 運転免許証、パスポートの返却

死亡後の手続きに明確な優先順位はない

死亡後の手続きには各々期限が設けられていますが、明確な優先順位は存在しません。重要なのは、期限を意識しつつ、手続きを少しずつ進めていくことです。しかし、大切な人を失った後は、葬儀の準備や相続の手続きなど、多くのことを行う必要があります。

このような状況では、手続きをスムーズに進めるために、親族や相続人と協力しながら、専門家のアドバイスを受けることも重要です。優先度を決めて順序よく手続きを行うことで、効率的に進めることが可能になります。また、各手続きの期限や必要書類を事前に確認し、準備を整えておくこともスムーズな手続きに繋がります。

死亡後の手続きの優先順位に関するQ&A

Q: 自分で死亡後の相続手続きを行うことは可能ですか?

A: はい、相続手続きは自分で行うことも可能です。インターネットや書籍などで情報を収集することで、初めての方でも手続きを進めることができます。ただし、実際に手続きを始めると、ネットや書籍の知識だけでは不十分な場合も多く、特に戸籍の収集や解読は初心者にとって難易度が高い作業です。自分で全ての手続きを行う場合は、多くの時間と労力が必要になるため、難しさや面倒さを感じた場合は専門家に相談することをおすすめします。

Q: 死後の手続きには優先順位が存在するのでしょうか?

A: 死後の手続きには明確な優先順位はありませんが、それぞれ期限が定められており、期限が短いものから優先的に行う必要があります。特に相続に関する手続きは、遅れることで遺産分割に大きな影響を及ぼす可能性があるため、迅速に対応することが重要です。

手続きが遅れると、マイナスの財産を相続したり、給付金を受け取れなかったりするリスクもあります。効率的に手続きを進めるためには、チェックリストを活用して一つずつ進めることをおすすめします。

Q: 役所で取得するべき書類は何ですか?

A: 死後の手続きにおいて役所で受け取るべき重要な書類は以下の3つです。

戸籍謄本:亡くなった方と相続人全員の戸籍謄本が必要です。手続きの過程で複数回提出が求められることがあるため、最低でも2枚ずつ取得しておくと安心です。

印鑑証明:法的な手続きで必要となる場合があります。亡くなった方と相続人全員の印鑑証明を取得しておくと良いでしょう。

住民票:亡くなった方と相続人全員の住民票が必要になります。戸籍謄本と同様、複数枚取得しておくと手続きがスムーズに進みます。

これらの書類は、相続手続きの基礎となるため、早めに準備しておくことをおすすめします。

まとめ

死亡後の手続きは、遺族にとって心理的な負担が大きいものです。しかし、期限が定められている手続きも多いため、計画的に進めることが重要です。この記事では、葬儀後に着手すべき手続きの優先順位と、必要な書類について解説しました。

手続きをスムーズに進めるためには、専門家のアドバイスを受けることも一つの方法です。この記事が、皆様の手続きを少しでも助けることができれば幸いです。

この記事を書いた人

弁護士法人あおい法律事務所
代表弁護士

雫田 雄太

略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。3,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。

家庭の法律問題は、なかなか人には相談できずに、気付くと一人で抱え込んでしまうものです。当事務所は、家庭の法律問題に特化した事務所であり、高い専門的知見を活かしながら、皆様のお悩みに寄り添い、お悩みの解決をお手伝いできます。ぜひ、お一人でお悩みになる前に、当事務所へご相談ください。必ずお力になります。