相続登記申請書|書き方は?書式は法務局からダウンロード可!綴じ方も解説

被相続人の不動産を遺産相続した場合、法務局で不動産の所有者の名義を変更する「相続登記」の申請手続きをしなければなりません。その際に必要となるのが、「相続登記申請書」です。
相続登記申請書の書式や記載例自体は法務局のホームページから入手できますが、法定相続分どおりの遺産相続か、遺産分割協議によって特定の相続人が取得するのか、といったことによって、相続登記申請書の書き方や添付書類は変わってきます。記載した内容に不備があると補正や再申請が求められることになり、相続登記が完了するまで不動産の権利関係が不安定な状態となってしまいかねません。そのため、自身のケースでどのように相続登記申請書を書けばいいのか、記入した書類をどのようにまとめればよいのかを、事前に確認しておくことが望ましいです。
そこでこの記事では、相続登記申請書について弁護士から詳しく解説させていただきます。本記事では、主に相続登記申請書の書き方と、添付書類の綴じ方をご説明いたします。記載例の見本に沿って解説していきますので、相続登記申請書を用意する際に、ぜひご参照いただければと思います。本記事が少しでもお役に立ちましたら幸いです。
目次
相続登記申請書
1.相続登記申請書(所有権移転登記申請書)とは
「相続登記申請書(所有権移転登記申請書)」は、不動産の所有者が亡くなった際に、相続を原因として不動産の名義を変更するために、法務局に提出する申請書です。
遺産相続などを原因として不動産の相続登記(名義変更)申請をする場合、電子情報処理組織(オンライン)により申請する方法と、申請情報を記載した書面(磁気ディスクを含む)により申請する方法があります(不動産登記法第18条)。
(申請の方法)
不動産登記法第18条 登記の申請は、次に掲げる方法のいずれかにより、不動産を識別するために必要な事項、申請人の氏名又は名称、登記の目的その他の登記の申請に必要な事項として政令で定める情報(以下「申請情報」という。)を登記所に提供してしなければならない。
一 法務省令で定めるところにより電子情報処理組織(登記所の使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。以下この号において同じ。)と申請人又はその代理人の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。)を使用する方法
二 申請情報を記載した書面(法務省令で定めるところにより申請情報の全部又は一部を記録した磁気ディスクを含む。)を提出する方法
相続登記申請書が必要となるのは、不動産登記法第18条2号の「書面」による場合です。条文に明記されているとおり、「不動産を識別するために必要な事項、申請人の氏名又は名称、登記の目的」および「申請情報」を記載した相続登記申請書を法務局に提出して相続登記申請をすることになります。
2.相続登記申請書には何を書くの?
相続登記申請書の書式は法務局のホームページに掲載されているため、白紙の状態から作成する必要はありません。もっとも、法務局の書式を使うことは義務ではないため、例えば「申請人が多くて法務局の書式では綺麗に書けない」などといった場合に無理して書式を使わなくても大丈夫です。上述の「不動産を識別するために必要な事項、申請人の氏名又は名称、登記の目的、申請情報(不動産登記法第18条2号)」が正確に記載されていれば、1から自分で作成しても構いません。
さて、登記の申請に必要な事項として政令で定める「申請情報」ですが、具体的には不動産登記令(不動産登記法の規定を実施するために制定された政令)に以下のとおり定められています(不動産登記令第3条)。
(申請情報)
不動産登記令第3条 登記の申請をする場合に登記所に提供しなければならない法第十八条の申請情報の内容は、次に掲げる事項とする。
一 申請人の氏名又は名称及び住所
二 申請人が法人であるときは、その代表者の氏名
三 代理人によって登記を申請するときは、当該代理人の氏名又は名称及び住所並びに代理人が法人であるときはその代表者の氏名
四 民法(明治二十九年法律第八十九号)第四百二十三条その他の法令の規定により他人に代わって登記を申請するときは、申請人が代位者である旨、当該他人の氏名又は名称及び住所並びに代位原因
五 登記の目的
六 登記原因及びその日付(所有権の保存の登記を申請する場合にあっては、法第七十四条第二項の規定により敷地権付き区分建物について申請するときに限る。)
七 土地の表示に関する登記又は土地についての権利に関する登記を申請するときは、次に掲げる事項
イ 土地の所在する市、区、郡、町、村及び字
ロ 地番(土地の表題登記を申請する場合、法第七十四条第一項第二号又は第三号に掲げる者が表題登記がない土地について所有権の保存の登記を申請する場合及び表題登記がない土地について所有権の処分の制限の登記を嘱託する場合を除く。)
ハ 地目
ニ 地積
八 建物の表示に関する登記又は建物についての権利に関する登記を申請するときは、次に掲げる事項
イ 建物の所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番(区分建物である建物にあっては、当該建物が属する一棟の建物の所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番)
ロ 家屋番号(建物の表題登記(合体による登記等における合体後の建物についての表題登記を含む。)を申請する場合、法第七十四条第一項第二号又は第三号に掲げる者が表題登記がない建物について所有権の保存の登記を申請する場合及び表題登記がない建物について所有権の処分の制限の登記を嘱託する場合を除く。)
ハ 建物の種類、構造及び床面積
ニ 建物の名称があるときは、その名称
ホ 附属建物があるときは、その所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番(区分建物である附属建物にあっては、当該附属建物が属する一棟の建物の所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番)並びに種類、構造及び床面積
ヘ 建物又は附属建物が区分建物であるときは、当該建物又は附属建物が属する一棟の建物の構造及び床面積(トに掲げる事項を申請情報の内容とする場合(ロに規定する場合を除く。)を除く。)
ト 建物又は附属建物が区分建物である場合であって、当該建物又は附属建物が属する一棟の建物の名称があるときは、その名称
九 表題登記又は権利の保存、設定若しくは移転の登記(根質権、根抵当権及び信託の登記を除く。)を申請する場合において、表題部所有者又は登記名義人となる者が二人以上であるときは、当該表題部所有者又は登記名義人となる者ごとの持分
十 法第三十条の規定により表示に関する登記を申請するときは、申請人が表題部所有者又は所有権の登記名義人の相続人その他の一般承継人である旨
十一 権利に関する登記を申請するときは、次に掲げる事項
イ 申請人が登記権利者又は登記義務者(登記権利者及び登記義務者がない場合にあっては、登記名義人)でないとき(第四号並びにロ及びハの場合を除く。)は、登記権利者、登記義務者又は登記名義人の氏名又は名称及び住所
ロ 法第六十二条の規定により登記を申請するときは、申請人が登記権利者、登記義務者又は登記名義人の相続人その他の一般承継人である旨
ハ ロの場合において、登記名義人となる登記権利者の相続人その他の一般承継人が申請するときは、登記権利者の氏名又は名称及び一般承継の時における住所
ニ 登記の目的である権利の消滅に関する定め又は共有物分割禁止の定めがあるときは、その定め
ホ 権利の一部を移転する登記を申請するときは、移転する権利の一部
ヘ 敷地権付き区分建物についての所有権、一般の先取特権、質権又は抵当権に関する登記(法第七十三条第三項ただし書に規定する登記を除く。)を申請するときは、次に掲げる事項
(1) 敷地権の目的となる土地の所在する市、区、郡、町、村及び字並びに当該土地の地番、地目及び地積
(2) 敷地権の種類及び割合
ト 所有権の保存若しくは移転の登記を申請するとき又は所有権の登記がない不動産について所有権の処分の制限の登記を嘱託するときは、次に掲げる事項
(1) 所有権の登記名義人となる者が法人であるときは、法第七十三条の二第一項第一号に規定する特定の法人を識別するために必要な事項として法務省令で定めるもの(別表において「法人識別事項」という。)
(2) 所有権の登記名義人となる者が国内に住所を有しないときは、法第七十三条の二第一項第二号に規定する国内における連絡先に関する事項として法務省令で定めるもの(別表において「国内連絡先事項」という。)
十二 申請人が法第二十二条に規定する申請をする場合において、同条ただし書の規定により登記識別情報を提供することができないときは、当該登記識別情報を提供することができない理由
十三 前各号に掲げるもののほか、別表の登記欄に掲げる登記を申請するときは、同表の申請情報欄に掲げる事項
法務局のひな形では、こうした必要な記載事項が既に印字されているため、ひな形を活用すると便利です。以下では、法務局のひな形に沿って、相続登記申請書の具体的な書き方を見ていきたいと思います。
相続登記申請書の書き方【ひな形付き】
こちらは、法務局の相続登記申請書の見本になります。
引用:相続登記申請手続のご案内(遺産分割協議編)(法務局)
この見本をもとに、各項目について書き方をわかりやすく解説させていただきます。
1.登記の目的
「登記の目的」とは、どのような権利変動を登記しようとしているのかを明示するための記載事項です。
1-1.「所有権移転」の場合
被相続人が不動産を単独で所有していた場合には、その不動産の所有権を相続人に移転させることになるため、登記の目的を「所有権移転」と記入します。1つの不動産を相続する相続人が1人の場合だけでなく、複数人で相続する場合も、対象となる不動産を被相続人が単独で所有していたのであれば、「所有権移転」となります。
1-2.「持分の移転」の場合
一方で、不動産の共有者の一人が亡くなり、その持分を相続する場合は「〇〇持分全部移転」と記載します(「〇〇」は被相続人の氏名を入れます)。
例えば、ある土地を父親(法務太郎)と母親が2分の1ずつの持分で有しており、父親が亡くなったとしましょう。父親が所有していた分を長男が相続することになった場合、登記の目的は「法務太郎持分全部移転」と記入することになります。
複数の不動産を相続し、被相続人が単独で所有していた不動産と共有のものが混在している場合は、「所有権移転及び〇〇持分全部移転」と書きましょう。
2.原因
相続登記申請書の「原因」とは、不動産に関する権利が移転した理由(登記原因)と、その効力が発生した日付(原因日付)を指します。遺産相続によって不動産の権利を移転させる場合は、登記の原因は「相続」で効力発生日は「被相続人の死亡日」となるので、「令和7年2月1日相続」のように記入します。
被相続人の死亡日は、医師が作成する死亡診断書や、死亡届に基づいた戸籍謄本等によって調べることができます。ただし、故人の親族などの届出義務者は、死亡の事実を知った日から7日以内に死亡診断書を市区町村役場に提出しなければならないとされているため(戸籍法第86条1項)、あらかじめ死亡診断書のコピーなどを控えておくと、登記申請書の作成もスムーズです。
戸籍法第86条1項 死亡の届出は、届出義務者が、死亡の事実を知つた日から七日以内(国外で死亡があつたときは、その事実を知つた日から三箇月以内)に、これをしなければならない。
3.被相続人と相続人
不動産登記申請の当事者である被相続人と相続人について記入します。
3-1.被相続人の記載
被相続人の名前は、書類上で特定しやすくするため、「(被相続人 法務 太郎)」と括弧書きを使用して記載します。
3-2.相続人の記載
相続人が何人いるか、また不動産が共有持分かどうかによって、以下のとおり記載が異なります。
3-2-1.相続人が1人の場合
相続人が1人の場合の書き方を見てみましょう。例えば、一戸建ての自宅に一人で暮らしていた父親(法務太郎)が亡くなり、長男(法務一郎)が自宅を1人で相続する場合、相続登記申請書には以下のように記入します。
〇〇郡〇〇町〇〇34番地
法務 一郎 ㊞
連絡先の電話番号 000-000-0000
3-2-2.相続人が複数の場合
次に、相続人が複数いる場合ですが、相続人の氏名の前には「持分〇分の〇」といった形で各自の持分を記載します。例えば父親(法務太郎)が亡くなり、長男(法務一郎)と長女(法務温子)が2分の1ずつ自宅を相続するといったケースでは、以下のように書きます。
〇〇郡〇〇町〇〇34番地
持分2分の1 法務 一郎 ㊞
連絡先の電話番号 000-000-0000
〇〇市〇〇町三丁目45番6号
持分2分の1 法務 温子 ㊞
連絡先の電話番号 000-000-0000
3-2-3.相続した不動産が共有持分の場合
被相続人がある不動産の2分の1の持分を所有していた場合など、相続した不動産が共有持分の場合にも、相続人の氏名の前に持分を記載します。例えば、被相続人(法務太郎)が妻と2分の1ずつ自宅を所有しており、長男(法務一郎)が被相続人の持分を遺産相続することになった場合、以下のとおり法務太郎の持分である「2分の1」を法務一郎の氏名の前に明記します。
〇〇郡〇〇町〇〇34番地
持分2分の1 法務 一郎 ㊞
連絡先の電話番号 000-000-0000
3-3.印鑑で押印
以上のとおり相続人の名前を記入したら、名前の末尾に印鑑を押印します。この際に使う印鑑は、実印ではなく認印で構いません。
4.添付書類
相続登記申請書に添付して提出する書類を記載します。登記の原因となる事実を証明する「登記原因証明情報」と、登記申請者(相続人)の現住所を証明する「住所証明情報」については、法務局の書式を利用する場合は既に印字されています。
登記原因証明情報 住所証明情報
「登記原因証明情報」としては、被相続人の出生から死亡までを確認できる戸籍謄本や除籍謄本が一般的です。また、誰が相続人であるかを証明するため、相続人の戸籍謄本も必要になります。
「住所証明情報」としては、相続人の現住所が記載された住民票の抄本や戸籍の付票の写しを添付することになります。
5.登記識別情報の通知希望
登記識別情報とは、「登記名義人が登記を申請する場合において、当該登記名義人自らが当該登記を申請していることを確認するために用いられる符号その他の情報であって、登記名義人を識別することができるもの」です(不動産登記法第2条14号)。従来は「登記済権利証」と呼ばれており、不動産の売買や抵当権設定にあたって本人確認をする際に用いられてきました。
相続人が登記申請する際に登記識別情報の通知を希望すれば、申請した相続人全員に対して登記識別情報が通知されます(不動産登記法第21条)。
(登記識別情報の通知)
不動産登記法第21条 登記官は、その登記をすることによって申請人自らが登記名義人となる場合において、当該登記を完了したときは、法務省令で定めるところにより、速やかに、当該申請人に対し、当該登記に係る登記識別情報を通知しなければならない。ただし、当該申請人があらかじめ登記識別情報の通知を希望しない旨の申出をした場合その他の法務省令で定める場合は、この限りでない。
法務局の書式には「□ 登記識別情報の通知を希望しません。」と印字されていますので、通知を希望する場合は何も記入せず、通知を希望しない場合に□にチェックを入れておきましょう。相続登記後の不動産の取引をスムーズにするため、特別な事情がない限りは登記識別情報の通知を受領しておくことが一般的です。
なお、登記識別情報の通知は窓口で直接受け取るか、郵送によって受け取ります。窓口で受領する場合は、登記申請書に押印した印鑑を持参して受け取ります。登記識別情報の保管期間は申請の完了から3ヶ月以内とされていますので、なるべく早めに受け取りましょう。郵便で受領する場合は、相続登記申請の際に返信用封筒と切手も提出します。
6.申請年月日と提出先の法務局
相続登記申請書に「申請年月日と提出先の法務局」を正確に記載します。
法務局の書式には元号があらかじめ印字されているので、申請年月日の数字を書きましょう。
相続登記申請書の提出先の法務局は、対象の不動産の所在地を管轄する登記所(法務局、地方法務局、またはその支局・出張所)になります(不動産登記法第6条1項)。
(登記所)
不動産登記法第6条1項 登記の事務は、不動産の所在地を管轄する法務局若しくは地方法務局若しくはこれらの支局又はこれらの出張所(以下単に「登記所」という。)がつかさどる。
不動産の管轄は、法務局のホームページで調べられます。例えば、不動産の所在が渋谷区か目黒区であれば管轄は東京法務局の「渋谷出張所」になり、不動産の所在が千代田区や中央区であれば管轄は「東京法務局」になります。不動産の所在が仮に八王子市とすると、管轄は八王子支局となりますので、以下のとおり記入します。
参考:管轄のご案内(法務局)
7.課税価格と登録免許税
相続登記申請書には不動産の「課税価格と登録免許税」も記載することになります。
7-1.課税価格
課税価格は、相続する全ての不動産の固定資産税評価額を合計し、1,000円未満の端数を切り捨てた金額です。仮に、不動産の評価額が合計して12,345,678円であれば、このうち下3桁(678円)を切り捨てるため、課税価格は12,345,000円となります。価格が1,000円に満たない場合は、1,000円として記載します。
7-2.登録免許税
登録免許税は、上記の課税価格に税率0.4%を乗じ100円未満の端数を切り捨てた金額です。例えば、課税価格12,345,000円に0.4%を乗じると、「12,345,000 × 0.004 = 49,380円」となります。この金額からさらに100円未満の端数(80円)を切り捨てるので、相続登記申請書に記載する登録免許税は49,300円となります。登録免許税額が1,000円に満たない場合には、1,000円として記載します。
7-3.登録免許税の免税
なお、相続登記では特定の条件を満たすと登録免許税が免除されることがあります。この場合は、相続登記申請書の「登録免許税」欄に、免税の場合は税額に代えて根拠となる法令の条項を、減税の場合は税額と共にその根拠となる法令の条項を明記する必要があります。
主な免税措置としては、「遺産相続により土地を取得した者が登記前に死亡した場合の免税(租税特別措置法第84条の2の2第1項)」や、「不動産の価額が100万円以下の土地の免税(租税特別措置法第84条の2の2第2項)」が挙げられます。
7-3-1.遺産相続により土地を取得した者が登記前に死亡した場合の免税
相続人Aが相続によって土地の所有権を取得し、その登記をする前に死亡した場合、Aを登記名義人とするための相続登記については登録免許税が非課税となります。例えば、相続人Aと相続人Bが土地を共同で相続することになり、相続登記申請の前に相続人Aが死亡した場合、Aの持分についての登録免許税が免税されます。ただし、この免税措置は平成30年4月1日から令和9年3月31日まで、と対象期間が限定されています。
一部非課税となる場合、登記申請書には次のように記載しましょう。
7-3-2.不動産の価額が100万円以下の土地の免税
こちらも適用期間が平成30年11月15日から令和9年3月31日までと限定されていますが、不動産の価額が100万円以下の土地である場合も、登録免許税の欄に根拠法令を記載しておくことで免税措置を申請します。仮に全額非課税となった場合は、次のように記入しておきます。
正確に根拠法令を記載しておかなければ免税措置が適用されませんので、注意してください。
8.不動産の表示
続いて、相続登記申請書の「不動産の表示」欄に、相続する不動産の具体的な情報を、登記事項証明書(登記簿謄本)を基に記載します。土地や建物といった相続する不動産の種類ごとに、書き方を確認しておきましょう。
8-1.土地の場合の書き方
登記事項証明書(登記簿謄本)に記載されている不動産番号、所在、地番、地目、地積を記入します。
引用:全部事項証明書(不動産登記)の見本(法務局)
不動産番号 0000000000000
所 在 特別区南都町一丁目
地 番 101番
地 目 宅地
地 積 300.00平方メートル
8-2.建物の場合の書き方
登記事項証明書(登記簿謄本)に記載されている不動産番号、所在、家屋番号、種類、構造、床面積を記入します。
引用:登記事項証明書(不動産登記)の見本(建物)(法務局)
所 在 特別区南都町一丁目 101番地
家 屋 番 号 101番
種 類 居宅
構 造 木造かわらぶき2階建
床 面 積 1階 80・00平方メートル 2階 70・00平方メートル
8-3.敷地権付区分建物(分譲マンション等)の場合の書き方
分譲マンションなど、「敷地権付区分建物」の情報を相続登記申請書に記載する場合、一棟の建物全体だけでなく、専有部分、および敷地権の情報を正確に明記する必要があります。
原則として、一棟の建物の所在や名称、専有部分の家屋番号、種類、構造、床面積、敷地権の目的たる土地、敷地権の種類・割合を詳細に記載します。
建物の名称がある場合(下画像「ひばりが丘一号館」など)は、建物の名称を記載することで、一棟の建物の構造および床面積の記載を省略することが可能です(不動産登記令第3条8号)。建物の名称を記載しない・名称がない場合には、鉄筋コンクリート造などの構造、各階の床面積を記載します。附属建物があるときは、その附属建物が属する一棟の建物の所在する市、区、郡、町、村、字および土地の地番、種類、構造および床面積についても記入します。
専有部分の建物の表示としては、所有する部屋の部屋番号や床面積といった情報を記載します。
敷地権の表示としては、敷地利用権(所有権、地上権、賃借権)について記載します。
引用:全部事項証明書(法務局)
以上を具体的にまとめますと、次のようになります。
不動産番号 0000000000000
一棟の建物の表示
所 在 特別区南都街一丁目3番地1
建物の名称 ひばりが丘一号館
専有部分の建物の表示
家屋番号 特別区南都街一丁目3番1の101
建物の名称 R10
種 類 居宅
構 造 鉄筋コンクリート造1階建
床 面 積 1階部分 150.42㎡
敷地権の表示
土地の符号 1
所在及び地番 特別区南都街一丁目3番1
地 目 宅地
地 積 350.76㎡
敷地権の種類 所有権
敷地権の割合 4分の1
9.代理人の書き方
相続登記申請を弁護士などの代理人に依頼する場合、相続登記申請書に代理人の氏名、住所、連絡先を明記します。代理人が法人の場合は、法人名と代表者名、法人の住所を記載します。
法務 花子 印
連絡先の電話番号 000-000-0000
また、この場合は代理人に委任したことを証明するために、委任状を相続登記申請書に添付して提出します。委任状には、相続人全員の署名または印鑑が必要です。委任状には、代理人に与えた権限(登記手続きの全てに対する権限、特定の行為のみに対する権限など)とその範囲を明確に記載しておきましょう。
10.相続登記申請書の注意点
最後に、注意点についても確認しておきましょう。
10-1.手書きでOK
相続登記申請書は、前述のとおり記載事項は法律によって定められていますが、その書式は自分で作成したものを使っても問題ありません。パソコンで作成しても、手書きでも構いません。
ただし、標準的なA4サイズの用紙を縦に使い、横書きします。手書きの場合は消せない黒色のボールペンで書きましょう。
10-2.複数ページになるときは契印を押す
相続人の数や不動産の数が多い場合などには、相続登記申請書が2枚以上になることも考えられます。相続登記申請書が複数枚あるときには、全てのページの境目(つづり目)に、登記権利者および登記義務者が登記申請書に押印したものと同じ印鑑で契印を押しましょう。
相続登記申請書をホチキスで綴じたら各ページを見開いて、1枚目の裏面と2枚目の表面の境目に印影がまたがるように押印するのが一般的な契印のやり方です。契印を押すことでページの改ざんや抜き取りがないことが証明でき、文書の一体性が保たれます。
相続登記申請書の詳しい綴じ方については後述しておりますので、ぜひこのままご覧ください。
相続登記申請書は法務局のホームページからダウンロード可
相続登記申請書の書式や記載例は、法務局の窓口で受け取るか、法務局のホームページからダウンロードすることが可能です。
相続登記の申請といっても、法定相続分で不動産を相続するケースや、遺産分割協議によって不動産を相続するケースなど、その内容はさまざまです。そうした種類ごとに書式や記載例が掲載されておりますので、自身の場合に適した書式を利用しましょう。
例えば、法務局のホームページに掲載されている相続登記申請書(所有権移転登記申請書)の書式と記載例として、以下のようなケースに応じたものがあります。
・所有権移転登記申請書(法定相続)
様式 (PDF)
記載例(PDF)
・所有権移転登記申請書(遺産分割)
様式 (PDF)
記載例(PDF)
・所有権移転登記申請書(公正証書遺言)
様式 (PDF)
記載例(PDF)
・所有権移転登記申請書(自筆証書遺言)
様式 (PDF)
記載例(PDF)
参考:不動産登記の申請書様式について(法務局)
相続登記申請書の綴じ方
相続登記申請の際、相続登記申請書に加え、戸籍謄本や遺産分割協議書といった、申請の内容に応じた書類を添付して提出する必要があります。
添付書類の例
- 被相続人の住民票の除票または戸籍の附票
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍)
- 相続人全員の現在の戸籍謄本
- 相続人全員の印鑑鑑証明(遺産分割による相続の場合)
- 固定資産課税明細書(固定資産評価証明書)
- 不動産の新所有者の住民票
- 遺産分割協議書(遺産分割による相続の場合)
- 遺言書(遺言による相続の場合)
- 代理人委任状(代理人が申請する場合)
こうした添付書類と相続登記申請書がバラバラにならないよう、提出前にホチキスで綴じておくことが望ましいです。以下では、一般的な添付書類の綴じる順序と綴じ方をご紹介いたします。
1.台紙に収入印紙を貼付する
相続登記申請書の記入が終わったら、相続登記申請費用(登録免許税)として納める収入印紙を用意します。郵便局やコンビニエンスストアで購入した収入印紙を、A4サイズの白紙に貼付してください。登録免許税が高額で収入印紙の枚数が多い場合などには、法務局内の収入印紙売り場で買うのがおすすめです。
相続登記申請書を一番上にし、その次に収入印紙を貼付した紙を置いて、左側をホチキスで綴じましょう。相続登記申請書が複数枚あるときは、収入印紙の紙と綴じる際に順番を間違えないよう、よく確認しましょう。全てのページの見開き部分に、相続登記申請書の押印で使った印鑑で契印を押します。
収入印紙は割印をしてしまうと使用済みとみなされてしまうため、割印しないように注意してください。
2.原本還付する書類のコピーをホチキスで綴じる
次に、戸籍謄本などの提出書類を綴じていきますが、銀行での手続きに戸籍謄本を使いたい場合などには、原本を返却してもらう必要があります(原本還付)。そのため、原本とコピーとに分けて、コピーの束の左側をホチキスで綴じ、書類の原本はクリップなどでまとめる、といったやり方が一般的になります。
原本還付を希望する場合は、返却を希望する書類のコピーを作成し、コピーに「原本に相違ありません」という文言と署名(記名)押印をします。このコピーの束も、つづり目に契印を押しましょう。そして、委任状や相続関係説明図といった、原本が返却されない書類を束にして、ホチキスで左側を綴じます。
なお、ここまでにご説明した「相続登記申請書、収入印紙貼付台、原本還付を希望する書類のコピー、原本が返却されない書類」については、個別に綴じずにまとめて1束にしてホチキスで綴じる場合もあります。
こうしてホチキスで綴じた書類の下に、原本還付してもらう書類の原本を置いていきます。書類の原本はホチキスで綴じずに、そのまま下に重ねていきましょう。
最後に、全ての書類をクリップなどでとめます。
一般的な申請書類の順序は、以下をご参考ください。
- 登記申請書
- 収入印紙貼付台
- 委任状(代理人が手続きを行う場合のみ)
- 相続関係説明図
- 遺産分割協議書または遺言書(コピー)
- 印鑑証明書のコピー(遺産分割協議による相続の場合のみ)
- 被相続人の住民票の除票または戸籍の附票(コピー)
- 不動産を取得した人の住民票の写し(コピー)
- 固定資産評価証明書(コピー)
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等、相続人の現在戸籍(原本)
- 遺産分割協議書または遺言書(原本)
- 印鑑証明書(原本)(遺産分割協議による相続の場合)
- 被相続人の住民票の除票または戸籍の附票(原本)
- 不動産を取得した人の住民票(原本)
- 固定資産評価証明書(原本)
相続登記申請書に関するQ&A
Q1.相続登記申請書とはどういう書類ですか?
A:「相続登記申請書」とは、所有権移転登記申請書ともいい、不動産の所有者が亡くなった際に、相続を原因として不動産の名義を変更するために、法務局に提出する申請書です。
Q2.相続登記申請書は手書きで作成しても問題ないですか?
A:はい、相続登記申請書は手書きでも問題ありません。手書きで相続登記申請書を作成する場合は、消せない黒のボールペンで記入してください。読みやすい丁寧な字で記入し、修正液や修正テープなどは使わないようにしましょう。
Q3.相続登記申請書に書類を添付する場合はどうやって綴じるの?
A:法律で決められた順序はありませんが、一般的には相続登記申請書を一番上にし、添付書類とまとめて左側をホチキスで綴じ、ページのつづり目に契印を押します。原本還付をしてもらう書類については、ホチキスで綴じて提出する用のコピーを用意し、返却してもらう原本はホチキスで綴じず、クリップなどで相続登記申請書等とまとめましょう。
まとめ
この記事では、不動産の相続登記申請をする際に法務局に提出する、相続登記申請書について弁護士から解説させていただきました。
相続登記申請書は法務局のホームページに書式や記載例があるため、本記事もあわせてご参考にしていただくことで、比較的簡単に作成することができるかと思います。
ですが、不動産の表示や相続人の情報といった記載事項に不備があると、補正や再提出を求められることになりかねません。不動産や当事者の情報については、誤記のないよう丁寧に記入しましょう。
相続登記申請書の書き方や添付書類の準備は、1つ1つは簡単でも積み重なることで多大な手間がかかり、時間も消費します。こうした手続きは、ぜひ専門家である弁護士にご相談いただくことをおすすめいたします。
弁護士法人あおい法律事務所では、弁護士による法律相談を初回無料で行っております。事務所にお越しいただいてのご相談だけでなく、お電話によるご相談もお受けしておりますので、ぜひお気軽にお問合せいただければと思います。
この記事を書いた人
略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。3,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。
家庭の法律問題は、なかなか人には相談できずに、気付くと一人で抱え込んでしまうものです。当事務所は、家庭の法律問題に特化した事務所であり、高い専門的知見を活かしながら、皆様のお悩みに寄り添い、お悩みの解決をお手伝いできます。ぜひ、お一人でお悩みになる前に、当事務所へご相談ください。必ずお力になります。









