土地の名義が先祖代々変更していないとどうなる?!デメリットや対処法

相続手続き

更新日 2024.07.05

投稿日 2024.07.05

監修者:弁護士法人あおい法律事務所

代表弁護士 雫田雄太

略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。1,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。

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土地の名義が先祖代々変更されていないと、様々な問題を引き起こす可能性があります。特に、相続が発生した際に名義変更しなければ、後々の手続きが複雑になり、様々なデメリットが生じることがあります。

この記事では、土地の名義が先祖代々変更していない場合のデメリットの詳細、そしてそれらに対処する方法を詳しく解説します。土地の名義が先祖代々から変更していないことが判明した場合、相続登記の実施、相続放棄、または土地の売却など、さまざまな選択肢が考えられます。その名義変更手続きやその他の選択肢について、具体的に見ていきましょう。

目次

土地の名義が先祖代々変更していないとどうなる?

相続が発生すると、通常は故人の財産を法定の相続人が引き継ぐことになります。しかし、過去に祖父母や更に古い世代の名義で土地が登録されたまま放置されているケースは少なくありません。このような状況では、複数世代にわたる相続が未解決のまま積み重なっていることになり、名義の正確な更新が求められます。

2024年4月より相続登記が義務化された

2024年4月からは相続登記が義務化され、相続発生から3年以内に登記を行わないと10万円以下の過料が課されることになりました。これは、新たに発生する相続のみならず、以前から存在している未登記の相続についても適用されます。そのため、先祖代々変更されていない土地の名義に関しては、速やかに法的手続きを進める必要があります。

名義が更新されていない土地は、売却や賃貸、または建築計画を立てる際にも大きな障害となります。所有権の不明確さは取引の信頼性を低下させ、金融機関からの融資取得時にも支障を来すことがあります。さらに、税金の計算や公共料金の負担においても不具合が発生する可能性があるため、相続が発生した際には適切な登記手続きを行うことが重要です。

相続登記の義務化について、詳しくは以下の記事を参照してください。

相続登記の義務化は2024年4月1日から!法改正への過去の相続の対応や罰則

土地の名義が先祖代々変更していない場合のデメリット

①10万円以下の過料の対象となるリスクがある

2024年4月1日から相続登記が義務化されることに伴い、遺産分割協議で土地の取得が決定された場合、その成立日から3年以内に登記を完了させることが法律で要求されます。この新しい規定は、新たに発生する相続だけでなく、以前から存在している未登記の相続に関しても適用されるため、長年放置されてきた先祖代々の土地も例外ではありません。

登記を怠った場合、最大で10万円の過料が科されるリスクが生じます。この規制は、土地の法的な取引を透明にし、将来的な土地の取引や利用における紛争を防ぐために設けられています。特に、相続人が多数いる場合や、相続人間での合意形成が難しい状況では、所有権の確定が複雑化しやすく、適切な手続きの遅れが見られがちです。

この義務化は、相続人が重病などの正当な理由がない限り、申請の遅延を許さないため、相続が発生した際は迅速に行動を起こすことが求められます。

②相続関係が複雑になり遺産分割協議が困難に

土地の名義が何代にもわたって更新されていない場合、相続の際に多くの問題が発生します。具体的には、亡くなった相続人の権利がその子や孫へと移行し続けるため、長期間放置された土地は、相続人の数が増え続けることになります。

この結果、遺産分割協議を進める際には、それぞれの相続人の所在を把握し、全員の合意を形成する必要がありますが、関係が複雑になるほど、これが困難になる可能性が高まります。

特に、相続人同士が面識がない場合や、連絡が取れない相続人がいる場合には、遺産分割協議がさらに難航します。これは、全員の同意が必要なためで、一人でも合意に至らない場合、土地の登記を完了することができません。

このような状況では、法的な手続きを進めるために弁護士に相談する必要が出てきますが、これには追加の時間と費用がかかります。

③相続登記の手続きが煩雑になり費用も高額に

名義が何代にもわたって更新されていない土地の場合、相続登記の手続きは非常に煩雑で複雑になります。例えば、曾祖父からの名義のままであれば、祖父、父、そして自分と、3世代にわたる相続登記を行う必要があります。

これには、各相続人の遺産分割協議の合意が必要であり、相続人が亡くなっている場合は、その人の一生の戸籍謄本を集める必要があります。これには出生から死亡に至るまでのすべての戸籍謄本が含まれ、相続が複数回にわたるほど、必要となる文書の量が増加します。

このような複雑な手続きは、一般の人々にとっては専門的な知識を要するため、多くの場合、司法書士などの法律の専門家に依頼することが一般的です。しかしながら、名義の更新が長期間行われていない土地の相続登記は、標準的なケースと比較してより多くの時間と労力を要するため、その分、費用も高額になりがちです。司法書士の手数料は通常、手続きの複雑さに比例するため、複数世代にわたる登記を一度に処理することは、コストも高くつくことを意味します。

④土地の活用や売却ができない

長年にわたって名義変更されずに共有状態が続いている土地は、実質的にその活用や売却が困難な状況に陥りがちです。この共有状態では、土地を活用するためには共有名義人の過半数の合意が必要となりますし、売却を考える場合には全員の合意が不可欠です。

このため、共有名義人間で意見が対立すると、土地は放置されがちで、管理コストや固定資産税といった経費のみが発生し続けることになります。

また、土地の共有持分を売買すること自体は不可能ではありませんが、実際には共有持分だけを買いたいと考える人は少なく、そのような取引は一般的ではありません。結果として、共有土地は市場での魅力が低下し、適切な価値を得ることが難しくなります。

この問題に対処するためには、相続登記を速やかに行い、土地の権利関係を明確にすることが最も効果的な解決策です。2024年4月からは相続登記が義務化され、相続発生から3年以内に登記を行わなければ過料の対象となるため、更に迅速な行動が求められます。

土地の名義が先祖代々変更していない場合の対処法│3つの選択肢

①相続登記をする

相続が複数回発生している場合、特に土地などの不動産の名義が何代にもわたって更新されていない状況では、正しく順序を追って相続登記を行うことが重要です。例えば、祖父が亡くなった際、既に祖母も亡くなっており、父と叔父が相続人となっている場面を考えます。さらにその後、父が亡くなり、父の相続人が母と自分だった場合、祖父の不動産をどのように扱うかが問題となります。

このようなケースでは、まず「祖父から父と叔父への相続登記」を行い、不動産を父と叔父の名義に更新します。その後、父が亡くなっているため、「父からその相続人である母と自分への相続分の移転登記」を行います。このとき、もし父の持分を自分が単独で相続する場合は、父の持分が自分に移るように登記します。

このプロセスを通じて、不動産の名義は正確に現在の相続人に更新され、法的な権利関係が明確になります。また、相続登記を正しく行うことで、将来的に土地を売却または活用する際の障害がなくなり、土地の価値を適切に評価することが可能となります。

注意点として、2回以上の相続が発生している場合には、中間の相続人に対する登記を省略できるケースもあります。

土地の中間省略登記が認められるケース

土地の名義変更において、複数回の相続が経過している場合、一部の中間の相続人に関する登記を省略し、直接最終の相続人に名義変更を行うことが可能なケースがあります。これは、相続手続きの簡素化を図るためのもので、特定の条件下で許可されています。

この登記の省略が可能な状況は大きく分けて次の2通りです。

  1. 中間の相続人が1人のみの場合: 中間の相続人が一人だけである場合、その人が亡くなった後、直接その人の相続人に土地の名義を変更することができます。これにより、一連の相続過程で必要な手続きが減少し、時間とコストの節約につながります。
  2. 中間の相続人が複数いたが、最終的に1人に集約された場合: 中間の相続人が最初は複数存在していたが、遺産分割協議によって1人の中間者に全ての相続が集約された場合、または一部の相続人が相続を放棄し、結果的に中間者が1人になった場合も、中間の登記を飛ばし、その1人の中間相続人から最終相続人へ直接登記を行うことができます。

②相続放棄する

土地を含む相続財産を一切受け取りたくない場合、家庭裁判所への相続放棄の申立てが有効な手段です。相続放棄は、プラスの財産だけでなく負債も含めて全ての相続財産について、まるで最初から相続人でなかったかのように扱う手続きです。この申立てには期限があり、相続の開始を知った日から3カ月以内に行わなければなりません。

ただし、例外として、特別な事情がある場合(例えば相続人が相続開始を遅れて知ったなど)には、この期限後でも相続放棄が認められることがあります。

相続放棄を行うことで、相続した土地の名義変更やその他の相続手続きを行う必要がなくなりますが、重要な点として、特定の資産だけを選んで放棄することはできません。つまり、「不動産だけは相続したくない」といった選択的な放棄は認められていません。全ての遺産を一括で放棄することになるため、この点を十分に理解した上で判断する必要があります。

また、相続放棄を検討しているが期限が迫っている、または既に期限を過ぎている場合には、迅速に法律専門家(弁護士や司法書士)に相談することが推奨されます。

最後に、相続した土地の管理に悩んでいる場合は、相続した土地を国に帰属させることができる「相続土地国庫帰属制度」があります。この制度を利用するためには、土地の一定の要件を満たす必要があり、さらに10年分の管理費用を国に納めることが求められます。

③名義変更した後に土地を売却する

売却することを検討する場合、まず必須となるのは相続登記の完了です。これは、土地の所有権を現在の相続人に正式に移転させるための手続きであり、売却の前提条件となります。

相続が複数回にわたって行われている場合、遺産分割協議がスムーズに進まなかったり、相続人間で合意が取れない状況に陥ることがあります。このような状況では、土地の所有権が明確でないため、売却を進めることができません。また、一部の相続人だけで売却の話を進めてしまうと、所有権の移転ができず、最終的に買主への所有権移転ができないリスクがあります。このような場合、違約金が発生することも考えられるため、非常に注意が必要です。

したがって、不動産の売却を検討する場合は、事前に必要なすべての書類が揃っていることを確認し、適切な相続登記が行われていることを確認することが重要です。遺産分割協議書、相続人全員の印鑑証明書など、登記に必要な書類が整っていれば、その後の売却手続きもスムーズに進行し、買主への所有権移転も適切に行えるでしょう。

土地の名義を変更していない場合、固定資産税はどうなる?

相続によって土地を引き継いだ場合でも、もし相続登記を行っていない状況であっても、固定資産税の支払い義務は生じます。この税金は、毎年1月1日時点での土地の名義人に対して課されます。したがって、もし名義人がその年の1月1日にすでに亡くなっていた場合、その土地の固定資産税は法的に相続人全員の連帯債務となります。

この状況では、亡くなった名義人名義のままの土地に関する固定資産税の通知書が、そのまま相続人に送られることになります。相続人間で負担の分担を決める必要があり、協議が困難な場合は相続人代表者指定届を提出して、誰が税金を支払うかを明確にする手続きを行うことが考えられます。

もし固定資産税が未納のまま放置されると、不動産に対する差し押さえなどの法的措置が取られる可能性があるため、相続人としては速やかに納税計画を立て、適切に管理することが求められます。翌年以降、遺産分割協議が終了し、新たな所有者が確定した場合には、その人が固定資産税の納税義務者となります。このように、相続登記をしていない場合でも、税金の支払い責任は避けられないため、相続発生時は早めの対応が重要です。

土地の名義を変更していない場合でも相続税がかかる?

相続税は、遺産の総額が法定の基礎控除額を超えた場合に課税されます。しばしば、土地の名義変更が相続税発生の直接的な原因であると誤解されがちですが、実際には土地の名義変更自体と相続税の課税は直接的な関係がありません。

相続税が発生するか否かの基準は、故人から引き継がれる全ての資産(不動産、預貯金、株式など)の評価額を合算し、そこから債務や葬式費用などの控除を引いた後の遺産の純額が、法定の基礎控除額を超えるかどうかによります。この基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算されます。

例えば、もし遺産総額が基礎控除額を下回っている場合、名義を変更しても相続税は課されません。逆に、名義変更を行わなくても、遺産総額が基礎控除額を上回る場合は相続税が課されることになります。

先祖代々名義変更されていない土地の時効取得は認められる?

「時効取得」とは、一定期間土地を実際に使用し続けていることにより、他人の名義である土地の所有権を取得することが可能になる法的な制度です。民法162条「取得時効」によって定められていますが、この取得には特定の条件が必要です。

(所有権の取得時効)
第百六十二条 二十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。
2 十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する。
引用:e-Gov法令検索「民法 第162条」

先祖代々同じ土地に住み続けている場合、その土地が祖父名義であっても、単純に時効取得が認められるわけではありません。特に、共有相続が行われている状況では、土地の所有権が複数の相続人にわたっているため、取得時効の適用が複雑になります。共有相続では、すべての相続人が土地の所有権を共有している状態と認識しているため、一人の相続人が個人的に所有の意思を持っていたと認められるのは難しいです。

例えば、祖父の名義の土地に長年住んでいても、その土地が相続により複数の相続人に共有されている場合、時効取得を主張するにはすべての共有者の承諾が必要になります。したがって、改めて全相続人からの合意を得て、相続登記を行うことが一般的です。

時効取得が適用されるか否かは、個々のケースによって異なりますので、確実な判断を得るためには司法書士や弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。

先祖代々名義変更されていない土地の相続登記の手続きの流れ

①相続する不動産を特定する

相続において不動産の特定は非常に重要です。特に、数次相続が発生している場合、登記作業が複雑になるため、すべての不動産が正確に特定されているか確認することが必須です。これには故人が保管していた書類を徹底的に調査することが含まれます。特に不動産の権利証は重要な文書であり、遺産のリストアップに不可欠です。

さらに、市区町村役場で取得できる「固定資産税評価証明書」や「名寄台帳」も重要な情報源です。これらの文書には、不動産の位置や評価額などの詳細が記されており、遺産分割協議において必要なデータを提供します。

また、登記簿の「共同担保目録」の確認も重要です。これにより、故人がどの不動産に関連しているかが明確になり、見落としていた財産がないかを確認する手助けとなります。建物が存在する土地は通常見落とされることは少ないですが、周辺の道路持分など、目立たない不動産の所有もしばしば見落とされがちです。

②戸籍謄本等を取得する

相続登記の手続きにおいて、戸籍謄本の収集は次の重要なステップです。特に、数世代にわたる名義変更がされていない土地の場合、亡くなった直近の人だけでなく、過去の所有者や相続人の戸籍謄本も必要になります。この作業は、相続が複数回発生している土地においては特に複雑です。

  1. 連続した戸籍謄本の取得:故人の出生から死亡までの戸籍謄本を取得します。これにより、故人の法定相続人を確定できます。
  2. 戸籍附票の取得:亡くなった人の戸籍附票も取得します。ただし、戸籍附票の保存期間は5年間であり、それを過ぎると取得が難しくなることがあります。
  3. 過去の相続人の戸籍調査:過去にさかのぼって、それぞれの相続時における所有者や相続人の戸籍謄本を取得します。この過程は、相続が戦前の旧民法に基づく場合もあり、遺産分割協議の内容や相続人を明確にするためには詳細な調査が必要です。

過去に複数回の相続が発生しており、相続人の数が多い場合、この作業は特に時間がかかり、専門的な知識が求められます。そのため、相続に詳しい司法書士に相談し、適切なアドバイスとサポートを受けることが推奨されます。

③遺産分割協議をする

戸籍謄本を収集し、法定相続人が確定した後、全員でこの協議を行います。特に、先祖代々の名義が変更されていない土地の場合、相続関係が複雑で相続人の数が多いため、協議を進めること自体が困難になることがあります。

協議がスムーズに進まない場合、相続人間での意見の対立や合意形成が難しいときには、専門家の介入が有効です。この場合、弁護士に相談し、法的なアドバイスを受けながら遺産分割協議を進めることができます。また、裁判所の調停を利用することも一つの手段です。弁護士以外の者が報酬目的で法律事件の仲裁を行うことは法律で禁止されているため、正式な手続きを通じて専門家の支援を得ることが重要です。

遺産分割協議が合意に至った場合、法定相続人全員が遺産分割協議書に署名し、実印を押印します。その後、この協議書にはそれぞれの印鑑証明書も添付され、すべての文書が揃った状態で相続登記の申請を行います。

④法務局に登記申請書・必要書類を提出して登記申請を行う

相続登記の最終段階は、遺産分割協議が完了し、全ての必要書類が整った後に法務局に登記申請書を提出することです。

登記申請書の作成は、法務局の公式ホームページで提供されているひな形を参考にすることで、比較的容易に行えます。ただし、先祖代々名義変更されていない土地の場合は、関連する遺産分割協議の内容が複雑になる可能性があるため、正確な書類作成が求められます。

完成した登記申請書と必要書類は、不動産の所在地を管轄する法務局に提出します。提出方法は、直接窓口での提出、郵送、またはインターネットを通じて行うことができます。ただし、インターネットでの申請には専用アプリのインストールが必要であり、操作に慣れている専門家でなければ難しい場合があります。

相続登記の手続きは、多くの書類が関与し、法的な正確さが求められるため、専門的な知識が必要です。特に複雑な相続の場合、適切な手続きを確実に行うために司法書士に依頼することが推奨されます。

土地の名義が先祖代々変更していないケースについてのQ&A

Q: 土地の名義が先祖代々変更されていない場合、どのような選択肢がありますか?

A: 土地の名義が長期間変更されていない場合の選択肢は以下の通りです

  1. 相続登記を行う: 土地の名義を更新し、現在の所有者に移します。これには適切な手続きが必要で、法的問題や税金の滞納などを回避できます。
  2. 相続放棄をする: 全遺産を放棄し、手間が少なくなりますが、貴重な資産も失うことになるため慎重に検討が必要です。放棄は相続発生後3か月以内に行う必要があります。
  3. 土地を売却する: 名義を更新した上で売却を行い、所有権を第三者に移します。これには売買登記が必要です。

これらの選択肢を選ぶ際には、土地の価値、市場状況、相続人の意向を考慮し、必要に応じて専門家に相談することが助けになります。

Q: 土地の名義が先祖代々変更されていない場合、どのようなデメリットが存在しますか?

A: 土地の名義が長期間変更されていない場合、以下のようなデメリットがあります。

  1. 過料のリスク: 2024年4月1日以降、相続登記が義務化され、遺産分割協議で土地の取得が確定した場合、成立日から3年以内に登記申請を行う必要があります。違反すると最大10万円の過料が課される可能性があります。
  2. 遺産分割協議の困難さ: 土地を何代も放置していた場合、相続人が増え、相続人同士で面識がないなど関係が複雑化するため、遺産分割協議が難航しやすくなります。これにより、多大な時間と労力が必要となります。
  3. 手続きの複雑化と高額な費用: 名義が何代にもわたって変更されていない場合、複数世代の相続登記を行う必要があり、手続きが煩雑で複雑になります。また、通常よりも高額な費用がかかることがあります。
  4. 土地の活用や売却の制限: 名義変更を行わずに放置すると、固定資産税のコストは発生しながら、土地を賃貸や売却する際に法的な障害が生じます。土地の所有権を共有する人がいる場合、共有者全員の合意が必要となり、手続きがさらに複雑になります。

これらのデメリットを回避するためにも、相続が発生した際には迅速に相続登記を行うことが推奨されます。

まとめ

土地の名義が先祖代々変更されていない場合、多くのデメリットや法的な問題が発生する可能性があります。2024年以降、相続登記を怠ることにより過料が課されるようになるため、相続が発生した際は迅速な対応が求められます。

また、名義変更を放置していると、手続きの煩雑化だけでなく、権利関係の不明確さからさまざまな法的問題が生じやすくなります。

これらのリスクを避けるためにも、相続登記の実施や必要に応じて相続放棄を検討することが重要です。一人で解決しようとせず、専門家の助言を得ながら適切に手続きを進めることを強くおすすめします。このように対応することで、土地の名義問題を効果的に解決し、将来的なトラブルを未然に防ぐことが可能です。

この記事を書いた人

弁護士法人あおい法律事務所
代表弁護士

雫田 雄太

略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。1,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。

家庭の法律問題は、なかなか人には相談できずに、気付くと一人で抱え込んでしまうものです。当事務所は、家庭の法律問題に特化した事務所であり、高い専門的知見を活かしながら、皆様のお悩みに寄り添い、お悩みの解決をお手伝いできます。ぜひ、お一人でお悩みになる前に、当事務所へご相談ください。必ずお力になります。