土地の名義が先祖代々変更していないとどうなる?!デメリットや対処法

相続手続き

更新日 2026.07.16

投稿日 2024.07.05

監修者:弁護士法人あおい法律事務所

代表弁護士 雫田雄太

略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。3,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。

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先祖代々、土地の名義が変更されずに放置されていると、思わぬトラブルに巻き込まれるおそれがあります。特に、相続の際に名義変更を怠ると、法律関係が複雑になり様々な不利益を被る可能性があります。

この記事では、土地の名義が先祖代々変更されていない場合に生じるデメリットや、その対処法を詳しく解説します。名義が変更されていない場合、相続登記の実施、相続放棄、土地の売却など、さまざまな選択肢が考えられます。それぞれの手続きについて、具体的に見ていきましょう。

目次

土地の名義が先祖代々変更していないとどうなる?

家族が亡くなると、基本的には被相続人(故人)の財産は法定相続人に引き継がれます。祖父母やさらに前の世代の名義のまま放置されている土地や建物は少なくありません。しかし、このようなケースでは、複数世代にわたる相続が未解決のまま積み重なった「数次相続」が発生しています。現在の相続人の名義に変更するには、原則として各相続の順に登記をしていく必要があります。

2024年4月より相続登記が義務化された

不動産登記法が改正され、2024年4月からは相続登記が義務化されました。相続が発生してから3年以内に相続登記の申請を行わなければ、ペナルティが課されるおそれがあります。

また、この法律は、新たな相続のみならず、過去の相続についても適用される可能性があります。

そして、名義が更新されていない土地は、売却や賃貸、建築計画を作成する際などに大きな障害となります。さらに、所有者が不明確な土地については、固定資産税を誰がどのように負担するかを巡って親族間でトラブルとなるおそれもあります。

そのため、先祖代々土地の名義が変更されていない場合には、速やかに登記手続きを進める必要があります。

相続登記の義務化について、詳しくは以下の記事を参照してください。

土地の名義が先祖代々変更していない場合のデメリット

①10万円以下の過料の対象となるリスクがある

2024年4月1日から相続登記が義務化されたことに伴い、相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記申請を行う必要があります。この義務は、2024年4月1日以降に発生する新たな相続だけでなく、それより前の相続であっても未登記の場合には適用されます。したがって、先祖代々土地の名義が変更されていない場合であっても、登記義務が発生します。

このような登記義務が設けられた理由は、所有者不明の土地の発生を防ぎ、将来の不動産取引や義務を巡るトラブルを防止するためです。

もし、登記を怠った場合には、最大で10万円の過料が課されるリスクがあります。しかし、相続人がたくさんいる場合やお互いの意見が合わない場合には、権利関係の確定に時間がかかり、期限内に手続きを完了できないおそれもあります。

相続人が重病であるなどの「正当な理由」が認められない限り、期限を過ぎると過料の対象となり得るため、相続が発生した際は速やかに手続きに着手しましょう。

②相続関係が複雑になり遺産分割協議が困難に

土地の名義変更が何代にもわたって放置されている場合、相続の際に多くの問題が発生します。遺産分割をしないまま相続人が亡くなると、その権利はさらにその子や孫へと引き継がれていきます。したがって、世代を重ねるごとに相続人の数が増え続けることになります。

その結果、すべての相続人を漏れなく特定したうえ全員で遺産分割協議を行い、ひとつの合意を形成することが非常に難しくなるのです。

特に、相続人同士の面識がない場合や、連絡が取れない場合には一層ハードルが高まります。なぜなら、遺産分割協議の成立には相続人全員の合意が必要であり、一人でも反対すると遺産分割に基づく相続登記ができなくなるからです。

遺産分割協議が難航する場合、弁護士に相談するのが一般的です。ただし、調停や裁判になると、さらに時間や費用がかかることになります。

③相続登記の手続きが煩雑になり費用も高額に

不動産の名義が何代にもわたって放置されている場合、相続登記手続きが非常に複雑になる可能性があります。例えば、曾祖父からの名義のままであれば、祖父、父、そして自分と、3世代にわたる相続登記を行わなければなりません。

各世代の相続について遺産分割協議をまとめる必要があるうえ、すでに亡くなっている相続人については、出生から死亡までの連続した戸籍謄本(除籍謄本や改製原戸籍を含む)を集めなければなりません。したがって、相続の回数が多いほど、収集すべき書類の量も膨大になりがちです。

複雑な事案については、司法書士などの専門家に依頼するのが一般的です。しかし、名義変更が長期間行われていない土地の相続登記は、標準的なケースより多くの時間と労力を要し、コストも増大する可能性があります。なぜなら、司法書士の報酬は事案の複雑さや手続きの量に応じて高くなるため、複数世代分の登記をまとめて依頼すると、その分費用も高額になります。

④土地の活用や売却ができない

長年にわたって名義変更がされていない場合、その土地の活用や売却は難しくなります。遺産分割がされていない遺産は、相続人全員の「共有状態」となります。この共有状態では、管理行為(賃貸など)には共有者の持分の過半数の同意が必要となり、処分(売却など)に至っては共有者全員の同意が必要となります。

そのため、共有者間で意見が対立した状態が続くと、管理コストや固定資産税といった維持費だけが一方的にかかり続けるという事態に陥ってしまいます。

なお、共有者は自身の持分を第三者に売却できますが、「自由にできない不動産の共有持分だけを買いたがる人」は多くはないはずです。結果的に、共有状態の土地には買い手が見つからず、適切な相場で売却することができなくなります。

したがって、土地の活用・売却を検討しているのであれば、すぐに相続登記を行い、土地の権利関係を明確にする必要があります。前述のとおり2024年4月からは相続登記が義務化されているため、早めの対応が求められます。

土地の名義が先祖代々変更していない場合の対処法│3つの選択肢

①相続登記をする

土地の不動産が何世代にもわたって放置され、相続が複数回発生している場合には、相続の順番にしたがって相続登記をする必要があります。

例えば、祖父が亡くなった際、父と叔父が法定相続人であるケースを例に解説します。その後、何の手続きも行われないまま、父が亡くなり、父の相続人が母と自分だった場合、不動産の名義はどうなるのでしょうか。

このケースでは、まず「祖父から父と叔父への相続登記」を行い、不動産を父と叔父の共有名義に変更します。その後、父の持分について「父から母と自分への相続登記」を行います。仮に父の持分を自分が単独で相続することに決めた場合は、父の持分をすべて自分に移す登記を行うことになります。

このような登記手続きを通じて、現在の相続人の持分に応じた権利関係を正確に反映できるようになります。将来的に土地を活用・処分する際も、現在の所有者が明確であるため、手続きの見通しが立ちやすくなります。

なお、上記の例のように2回以上の相続が発生している場合には、中間の相続人(父)への登記を省略できるケースもありますので、次で詳しく解説します。

土地の中間省略登記が認められるケース

土地の名義変更において、複数回の相続が発生している場合、一定の要件を満たせば中間の相続人への登記を省略し、現在の相続人へ直接名義変更できるケースがあります。これは相続手続きの負担を軽減するために登記実務上認められている「中間省略登記」という取り扱いです。

中間省略登記が認められるのは、以下のような2つのケースです。

  1. 中間の相続人が1人だけの場合: Aさんの相続について、中間の相続人がBさん1人だけの場合、Bさんも亡くなると、直接AさんからBさんの相続人のCさんに土地の名義を変更できます。これにより、中間の登記手続き(Aさん→Bさんへの登記)を省略でき、時間とコストが節約できます。
  2. 中間の相続人が複数いたが、最終的に1人に集約された場合: 当初は中間の相続人が複数いたものの、遺産分割協議によって1人が単独で相続することになった場合や、他の相続人全員が相続放棄をして結果的に相続人が1人になった場合です。この場合、中間の相続人への登記を省略し、最初の被相続人から現在の相続人へ直接、相続登記を行うことができます。

②相続放棄する

土地を含む相続財産を一切受け取りたくない場合には、家庭裁判所に相続放棄を申述するのが有効です。相続放棄とは、プラスの財産だけでなく負債も含めて全ての相続財産を引き継がないことを表明する手続きです。相続放棄をすると、最初から相続人ではなかったことになります。

相続放棄を行うことで、土地の名義変更など一切の相続手続きを行う必要がなくなりますが、一部の遺産だけを放棄することはできません。つまり、「不動産は相続したくないが現金は欲しいので、不動産だけ相続放棄する」といったことはできないということです。相続放棄をすると、すべての遺産の相続権を失います。もし、現金など一部の遺産を処分・費消してしまうと単純承認したとみなされるリスクもあるため、注意が必要です。

ただし、相続放棄の申述には期限があり、相続の開始を知った時から3か月以内に行わなければなりません。

例外として、「相続財産がまったく存在しないと信じており、そう信じたことに相当な理由がある」といった特別な事情がある場合には、この期限を過ぎても相続放棄が認められることがあります。

相続放棄を検討しているが期限が迫っている、または既に期限を過ぎている場合には、すぐに弁護士に相談してください。

なお、「全財産を放棄するほどではないが、土地の管理には悩んでいる」という場合には、相続した土地を国に引き取ってもらえる「相続土地国庫帰属制度」という選択肢もあります。ただし、この制度を利用するには土地が一定の要件を満たしている必要があり、審査手数料のほか、10年分の標準的な管理費用に相当する負担金を国に納めなければなりません。

③名義変更した後に土地を売却する

土地の売却を検討している場合、まず必要となるのが相続登記の完了です。亡くなった方の名義のままでは新しい買主へ所有権を移転できないため、売却に先立って、土地の名義を現在の相続人に変更しておかなければなりません。

土地を巡って複数の相続が未登記の場合、土地の所有者の特定が難しいため、なかなか買い手がつきません。また、一部の相続人だけで売却の話を進めても、他の相続人が同意しなければ、最終的に買主へ所有権を移転できません。売買契約を締結した後にこのような事態に陥ると、買主に対して賠償責任が生じるおそれもあるため、十分な注意が必要です。

したがって、不動産の売却を検討する際は、遺産分割協議書や印鑑証明書など必要書類をすべて揃えて、適切に相続登記を済ませておくことが重要です。登記に必要な書類が整っていれば、その後の売却手続きや買主への所有権移転もスムーズに進められます。

土地の名義を変更していない場合、固定資産税はどうなる?

土地を相続した場合には、たとえ相続登記を行っていなくても、固定資産税の納付義務は生じます。固定資産税は、毎年1月1日(賦課期日)時点の登記簿上の所有者に対して課されます。したがって、もし所有者がその時点ですでに亡くなっている場合、その土地の固定資産税については、相続人全員が連帯して納付する義務(連帯納税義務)を負うことになります。

この場合、これまでは名義人宛てに届いていた固定資産税の通知書が、そのまま相続人宛てに送られることになります。通常は、市区町村に「相続人代表者指定届」を提出し、納税通知書を受け取る代表者を決めることになります。ただし、これはあくまで書類の受取人を定める手続きであり、代表者が税額の全額を負担しなければならないわけではありません。実際の負担割合は、相続人同士の話し合いで決める必要があります。

もし固定資産税が未納のまま放置すると、不動産の差し押さえなどの滞納処分が実行されるおそれがあるため、相続人は速やかに滞納状態を解消する必要があります。翌年以降、遺産分割のうえ新たな所有者が確定した場合には、その人が固定資産税の納税義務者となります。

このように、相続登記をしていなくても納税義務は避けられないため、相続発生時は早めの対応が重要です。

土地の名義を変更していない場合でも相続税がかかる?

相続税は、遺産の総額が法定の基礎控除額を超えた場合に課税されます。しばしば、「名義変更をしなければ相続税はかからない」と誤解されることがありますが、実際には、土地の名義変更の有無と相続税の課税には直接の関係はありません。

相続税が発生するか否かは、遺産総額が「基礎控除額」を超えるかどうかで決まります。

遺産総額は、相続によるプラスの資産(不動産、預貯金、株式など)から、マイナスの資産を差し引いた金額です。基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算されます。

もし遺産総額が基礎控除額を下回っている場合、名義を変更しても相続税は課されません。一方で、遺産総額が基礎控除額を上回る場合は、たとえ名義変更を行わなくても相続税が課されることになります。

先祖代々名義変更されていない土地の時効取得は認められる?

「時効取得」とは、他人の土地であっても、長期間、一定の条件下で自分のものとして使い続けると、その所有権が自分のものになる民法上の制度です(民法162条)。

(所有権の取得時効)
第百六十二条 二十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。
2 十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する。
引用:e-Gov法令検索「民法 第162条」

先祖代々同じ土地に住み続けている場合、その土地が祖父名義であっても、単純に時効取得が認められるわけではありません。特に、共同相続が発生している場合、土地は相続人全員の共有に属するため、取得時効の主張は容易ではありません。相続人の一人が土地に住み続けていても、他の相続人の持分まで含めて「自分だけの所有物として占有する意思(所有の意思)」があったとは認められにくいためです。

例えば、祖父名義の土地に長年住んでいても、その土地が複数の相続人による共有となっている場合、時効取得が認められるハードルは非常に高くなります。そのため実務上は、時効取得を主張するのではなく、相続人全員の合意を得て遺産分割協議を行い、相続登記によって名義を変更するのが一般的です。

時効取得が適用されるか否かは、個々のケースによって異なりますので、確実な判断を得るためには司法書士や弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。

先祖代々名義変更されていない土地の相続登記の手続きの流れ

①相続する不動産を特定する

相続において不動産の特定は非常に重要です。特に、数次相続が生じている場合は登記作業が複雑になるため、対象となる不動産をすべて正確に特定しておくことが欠かせません。まずは故人が保管していた書類を徹底的に調べることから始めます。特に不動産の権利証は、遺産のリストアップに不可欠な書類です。

さらに、市区町村役場で取得できる「固定資産税評価証明書」や「名寄台帳」も重要な情報源です。これらには、不動産の位置や評価額など遺産分割協議において必要となる情報が記されています。

また、登記簿の「共同担保目録」も確認しましょう。ここには、担保として設定された不動産がまとめて記載されており、故人が所有していた他の不動産の発見につながることがあります。建物の敷地となっている土地を見落とすことはまずありませんが、自宅前の私道の持分など、目立たない不動産は把握から漏れやすいため注意が必要です。

②戸籍謄本等を取得する

戸籍謄本の収集は、相続登記の手続きにおいて重要なステップです。特に、数世代にわたる名義変更がされていない土地の場合、亡くなった方だけでなく、過去の所有者や相続人の戸籍謄本も必要になります。相続が複数回発生している場合、収集すべき戸籍の数も膨大になる可能性があります。

  1. 連続した戸籍謄本の取得:故人の出生から死亡までの戸籍謄本を取得します。これにより、故人の法定相続人を確定できます。
  2. 戸籍附票の取得:亡くなった人の戸籍の附票も取得します。戸籍の附票(除票)の保存期間は、法改正により現在は150年とされていますが、改正前(2019年以前)に既に保存期間の5年を経過して廃棄されたものは取得できない場合があります。
  3. 過去の相続人の戸籍調査:過去にさかのぼって、それぞれの相続時における所有者や相続人の戸籍謄本を取得します。相続が戦前にまでさかのぼり、「古い手書きの戸籍」を読み解かなければならない場合もあります。

過去に複数回の相続が発生しており、相続人の数が多い場合、この作業は特に時間がかかり、専門的な知識が求められます。そのため、相続に詳しい司法書士に相談し、適切なアドバイスとサポートを受けることが推奨されます。

③遺産分割協議をする

戸籍謄本を収集して法定相続人が確定したら、相続人全員で遺産分割協議を行います。先祖代々の名義が変更されていない土地の場合、相続人の数が多く、協議を進めること自体が困難な場合があります。

相続人同士で意見が対立するなどして協議がスムーズに進まない場合には、専門家のサポートを受けるのが有効です。弁護士に相談すれば、法的なアドバイスを受けながら協議を進められるほか、他の相続人との交渉を代理してもらうこともできます。話し合いがまとまらない場合には、家庭裁判所の遺産分割調停を利用するのも一つの手段です。なお、報酬を得る目的で遺産分割の交渉を代理できるのは弁護士に限られており、弁護士以外の者に交渉を依頼することは法律で禁止されているため注意しましょう。

遺産分割協議が合意に至った場合、法定相続人全員が遺産分割協議書に署名し、実印を押印します。その後、この協議書にはそれぞれの印鑑証明書も添付され、すべての文書が揃った状態で相続登記の申請を行います。

④法務局に登記申請書・必要書類を提出して登記申請を行う

遺産分割協議が完了し、全ての必要書類が整ったら、いよいよ法務局に登記申請書を提出します。

登記申請書の作成は、法務局の公式ホームページで提供されているひな形を活用するのがおすすめです。ただし、先祖代々名義変更されていない土地の場合は、遺産分割協議の内容が複雑になる可能性があります。

完成した登記申請書と必要書類は、不動産の所在地を管轄する法務局に提出します。提出方法はインターネットを通じて行うことができます。ただし、オンライン申請には法務省の専用ソフト(申請用総合ソフト)のインストールや電子証明書の準備が必要であるため、操作に慣れない方にはハードルが高い場合があります。その場合は、窓口への直接の持参または郵送で提出するようにしてください。

相続登記の手続きは、多くの書類が関与し、法的な正確さが求められるため、専門的な知識が必要です。特に複雑な相続の場合、適切な手続きを確実に行うために司法書士に依頼することが推奨されます。

土地の名義が先祖代々変更していないケースについてのQ&A

Q1.土地の名義が先祖代々変更されていない場合、相続上どのような選択肢がありますか?

A: 土地の名義が長期間変更されていない場合の選択肢は、以下の通りです。

  1. 相続登記を行う: 土地の名義を現在の相続人に変更します。登記を済ませておくことで、過料などの法的リスクや権利関係のトラブルを回避できます。
  2. 相続放棄をする: 遺産の全てを放棄することで、名義変更などの手続きは不要になります。ただし、プラスの資産も失うため慎重な検討が必要です。相続放棄は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に行わなければなりません。
  3. 土地を売却する:相続登記によって名義を現在の相続人に変更した上で土地を売却し、買主へ所有権移転登記を行います。

これらの選択肢を選ぶ際には、土地の価値、市場状況、相続人の意向を考慮し、必要に応じて専門家に相談することが助けになります。

Q2.土地の名義が先祖代々変更されていない場合、どのようなデメリットが存在しますか?

A: 土地の名義が長期間変更されていない場合、以下のようなデメリットがあります。

  1. 過料のリスク: 2024年4月1日以降、相続登記が義務化され、遺産分割協議で土地の取得が確定した場合、成立日から3年以内に登記申請を行う必要があります。違反すると最大10万円の過料が課される可能性があります。
  2. 遺産分割協議の困難さ: 土地を何代も放置していた場合、相続人が増え、相続人同士で面識がないなど関係が複雑化するため、遺産分割協議が難航しやすくなります。これにより、多大な時間と労力が必要となります。
  3. 手続きの複雑化と高額な費用: 名義が何代にもわたって変更されていない場合、複数世代の相続登記を行う必要があり、手続きが煩雑で複雑になります。また、通常よりも高額な費用がかかることがあります。
  4. 土地の活用や売却の制限: 名義変更をせずに放置すると、固定資産税などのコストが発生し続ける一方で、土地の賃貸や売却には法的な障害が生じます。土地を共同相続する場合、売却には共有者全員の合意が必要となり、手続きがさらに複雑になります。

これらのデメリットを回避するためにも、相続が発生した際には迅速に相続登記を行うことが推奨されます。

まとめ

土地の名義が先祖代々変更されていない場合、多くのデメリットや法的な問題が発生する可能性があります。2024年4月以降は相続登記が義務化され、登記を怠ると過料が課されるおそれもあるため、相続が発生した際は迅速な対応が求められます。

また、名義変更を放置していると、手続きの煩雑化だけでなく、権利関係の不明確さからさまざまな法的問題が生じやすくなります。

これらのリスクを避けるためにも、早めに相続登記を行うか、状況に応じて相続放棄などの選択肢を検討することが重要です。先祖代々の土地の手続きは、戸籍の収集や相続人の調査だけでも大変な労力を要します。お一人で抱え込まず、司法書士や弁護士などの専門家の力を借りながら、将来のトラブルを未然に防止しておきましょう。

この記事を書いた人

弁護士法人あおい法律事務所
代表弁護士

雫田 雄太

略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。3,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。

家庭の法律問題は、なかなか人には相談できずに、気付くと一人で抱え込んでしまうものです。当事務所は、家庭の法律問題に特化した事務所であり、高い専門的知見を活かしながら、皆様のお悩みに寄り添い、お悩みの解決をお手伝いできます。ぜひ、お一人でお悩みになる前に、当事務所へご相談ください。必ずお力になります。